JP4720885B2 - ショウガ酢およびその製造方法 - Google Patents
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すなわち、本発明の要旨は、
(1)ショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスを主原料とし、さらに、水、糖質およびエタノールを含む原料(ただし、原料として酵母を用いてアルコール発酵させて得られたアルコール含有液および酒類は除く)に酢酸菌を接種せしめ酢酸発酵させて得られるショウガ酢であって、ショウガ由来の辛味成分であるジンゲロールを10〜300mg/L、及び/又はショウガ由来の辛味成分であるショウガオールを0.1〜20mg/L含有し、且つショウガ由来の香気成分であるジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンがいずれも1mg/L以下の濃度であることを特徴とするショウガ酢、
(2)前記原料がショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスに水、糖質およびエタノールを添加してなる原料である、前記(1)記載のショウガ酢、
(3)ショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスを主原料とし、水、糖質およびエタノールを含む原料(ただし、原料として酵母を用いてアルコール発酵させて得られたアルコール含有液および酒類は除く)に酢酸菌を接種せしめ酢酸発酵させることを特徴とする、ショウガ酢の製造方法
に関する。
本発明のショウガ酢は、前記のように、ショウガ由来の辛味成分を含有しながら、ショウガ由来の香味成分が低減されていることにより、ショウガの風味を維持しながら、しかも摂取し易いという、新規な風味の醸造酢である。
使用され得る酢酸菌としては、アセトバクター アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター パスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター キシリナス(Acetobater xylinus)等が挙げられるが、これらに限定されない。
ここでいう種酢とは、長年の食酢醸造の過程で発酵原料や発酵方法の影響を受けつつ馴養、選択された酢酸菌が主要発酵菌となっており、複数の酢酸菌が存在していることが多い。また種菌の構成は、食酢を醸造している製造条件により様々であり、例えば、食酢の製造会社であっても、同じ工場内で製造現場が異なれば種菌の構成も相違すると考えられる。
ショウガ(市販の高知県産土ショウガ)の皮を除き、ミキサーにて粉砕し、ショウガミンチを得た。ショウガミンチ1kgに、砂糖0.5kg、90%(w/w)エタノール230gを加え、水を添加して最終的に4Lになるようにメスアップした。よく攪拌の後に、種酢100mLを添加し、30℃にて10日間静置発酵させた。この時の酸度は4.1%であった。その後、火入れをして殺菌後、室温にて3日間熟成し、その後メッシュ濾過し、80℃で10分間の加熱殺菌を行い、3Lのショウガ酢(淡黄色の液体、酸度4.7%、無塩可溶性固形分1.5%)を得た。得られたショウガ酢を官能評価したこところ、ジンゲロールやショウガオールのシャープな辛味と、酢酸特有の刺激性を兼ね備え、しかしながら「ガリ」様のショウガ風味は極めて低いクリアーな風味を有するものであった。
実施例1で得られたショウガ酢の辛味成分の定量と、原料からの残存率を検討するために、ショウガ酢中のジンゲロールおよびショウガオールを次のように定量した。ショウガ酢を0.45μmのフィルターにてろ過し被験試料とした。定量にはHPLC(Waters製アライアンス)を用いた。カラムはC18(資生堂カプセルパックUG−120、4.6mm×250mm)、溶媒の条件は、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)含有アセトニトリルと0.1%TFA含有水の混合割合を、0.1%TFA含有アセトニトリル30%から100%まで、1%/分の条件でグラジェント分析を行った。検出はUV−vis検出器(Waters製)により実施した。その結果、ショウガ酢1mL中ジンゲロール(0.116mg;116mg/L)、ショウガオール(0.0015mg;1.5mg/L)であった。
次に、原料からのジンゲロールおよびショウガオールの残存率を求めるために、ショウガミンチ1g中の各化合物の定量を行なった。ショウガミンチ1gをメタノール2mLで10分間超音波抽出、ろ過し被験試料とした。HPLCの分析は同様の条件で行なった。ショウガミンチ1g中のジンゲロールは0.837mg、ショウガオールは0.0048mgであった。1kgのショウガミンチから3Lのショウガ酢が製造されることを考えると、ジンゲロールは約42%、ショウガオールは約94%が残存しており、発酵過程を経ても辛味を感じる十分量が残存することが定量的に明らかとなった。
ショウガミンチと穀物酢の混合物、実施例1で得られたショウガ酢の香り成分の比較を行うため、ガスクロマトグラフィー−質量分析計(GC−MS)分析を行った。
使用機器は、Inter−cap WAX(0.25mmid×30m、膜厚0.25μm、GLサイエンス社製)、SPMEファイバー(50/30μm, DVB/CAR/PDMS、スペルコ社製)、GC−MSは、JMS−Q1000GC K9(日本電子社製)を用いた。SPMEファイバーの条件は、前加熱(65℃、3分)、吸着時間(30分)、脱着時間(5分)、注入口温度(250℃)で行った。また、GCの条件は、温度条件(40℃で5分→230℃まで5℃/分→230℃で5分)、スプリット(比:5.6)、キャリアガス(ヘリウム)で行った。
図1にショウガ酢のGC−MSクロマトグラム、図2にショウガミンチと穀物酢の混合物のGC−MSクロマトグラム、図3にショウガミンチのGC−MSクロマトグラムを載せている。各クロマトグラムのイオン強度は、図1、2は2.7×108が、図3は5.4×108が其々100%になるように設定してある。
図1に示すショウガ酢のGC−MSクロマトグラムから、1,8−cineole(1,8−シネオール)(9:45)、酢酸(17:00)、linalool(リナノール)(19:46)、terpineole(テルピネオール)(23:15)、eudesmol(オイデスモール)(32:50)などが確認できた。括弧内は保持時間。
図2に示すショウガミンチと穀物酢の混合物のGC−MSクロマトグラムから、1,8−シネオール(9:45)、酢酸(17:00)、ジンギベレン(24:03)、ファルネセン(24:39)、sedorene(セドレン)(25:05)などが確認できた。
図3に示すショウガミンチのGC−MSクロマトグラムからは、1,8−シネオール(9:45)、ジンギベレン(24:03)、ファルネセン(24:39)、セドレン(25:05)の他に、camphene(カンフェン)(5:00)が確認できた。
シネオール、ジンギベレン、ファルネセン、セドレンは、ショウガの精油成分の主成分であり、これら3つのクロマトグラムの比較から、ショウガミンチ由来のショウガ臭さが、本発明のショウガ酢では減少しており、酢酸発酵の過程で減少したと考えられる。
試験例2で明らかになった精油成分の変化量を明らかにするために、精油成分のメジャー成分として知られているジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンについて定量を行った。定量用の各化合物は、ショウガオイル(稲畑香料社製)からHPLCを用いてそれぞれの化合物を単離し、GC−MSで同定した。同定済みの化合物を標品とし、検量線を作成し、その後被験試料中の化合物を定量した。ショウガミンチと穀物酢の混合物は、試験例2と同様のものを用いた。ショウガミンチと穀物酢の混合物および本発明品のショウガ酢を0.45μmのフィルターにてろ過し、それぞれ被験試料とした。定量にはHPLC(Waters製アライアンス)を用いた。カラムはODSのC18カラム(資生堂カプセルパックUG−120、4.6mm×250mm)、溶媒の条件は、0.1%TFA含有アセトニトリルと0.1%TFA含有水の混合割合を、0.1%TFA含有アセトニトリル75%で10分間流し、75%から100%まで、1%/分の条件でグラジェント分析を行った。検出はフォトダイオアレイ検出器(Waters製)によりジンギベレンは260nm、ファルネセンとセスキフェランドレンは230nmで検出した。
Claims (3)
- ショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスを主原料とし、さらに、水、糖質および精製エタノールを含む原料に酢酸菌を接種せしめ酢酸発酵させて得られるショウガ酢であって、ショウガ由来の辛味成分であるジンゲロールを10〜300mg/L、及び/又はショウガ由来の辛味成分であるショウガオールを0.1〜20mg/L含有し、且つショウガ由来の香気成分であるジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンがいずれも1mg/L以下の濃度であることを特徴とするショウガ酢。
- 前記原料がショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスに水、糖質および精製エタノールを添加してなる原料である、請求項1記載のショウガ酢。
- ショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスを主原料とし、水、糖質および精製エタノールを含む原料に酢酸菌を接種せしめ酢酸発酵させることを特徴とする、ショウガ酢の製造方法。
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