JP2010068764A - ショウガ酢およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ショウガと酢を原料としてなり、それぞれの健康機能を兼ね備えたうえに風味も優れたショウガ酢、および該ショウガ酢の製造方法を提供することにある。
【解決手段】ショウガ由来の辛味成分であるジンゲロールを10〜300mg/L、及び/又はショウガ由来の辛味成分であるショウガオールを0.1〜20mg/L含有し、且つショウガ由来の香気成分であるジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンがいずれも1mg/L以下の濃度であることを特徴とするショウガ酢。該ショウガ酢は、ショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスを主原料とし、水、糖質およびエタノールを含む原料に酢酸菌を接種せしめ酢酸発酵させて得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ショウガ酢及びその製造方法に関し、特にショウガの辛味成分であるジンゲロールあるいはショウガオールは含有しているが、ショウガ由来の香り成分類を低下させた新しい風味を特徴とするショウガ酢に関するものである。本発明でいう「ショウガ酢」とは、ショウガを原料の一部として、酢酸菌で発酵させたものである。またここでの「酢」の定義は、農林水産省が定める日本農林規格が分類している「醸造酢」にあたる。
ショウガ(Zingber officinale)は、世界各地で薬用、食用共に用いられている。ヨーロッパでは、1世紀頃から薬用として利用され、13、14世紀頃からは、香辛料としての利用が一般化した。日本では、平安時代には既に栽培されており、現在に至るまで、薬用、食用共に繁用されている。日本におけるショウガの薬用の利用法は、生薬として漢方薬に配合されることが殆どであるが、民間療法では、生姜湯として風邪の治療に用いられることも一般化している。一方、食品としての利用法は、卸したり刻んだりして薬味、吸口などに広く用いられる。また、甘酢や梅酢に漬けて、寿司に添えられるガリや紅ショウガとして用いられる。さらに魚や肉の煮物に加え、匂い消しや香辛料として用いられる。また、ショウガ飴、ショウガ糖、冷やし飴、ジンジャーエールなど甘味と併せて嗜好品にも用いられている。(非特許文献1)
ショウガは、生薬では生のまま乾燥させたものを生姜(ショウキョウ)、蒸してから乾燥させた物を乾姜(カンキョウ)と呼ばれており、芳香性健胃薬、食欲増進、新陳代謝機能促進、鎮吐、悪寒発熱などの目的や、他の生薬(例えば半夏など)の副作用緩和などを目的に数多くの処方に用いられている。(非特許文献2)
ショウガの成分としては、辛味成分や精油成分を中心に研究が行われており、辛味成分では、gingerol(ジンゲロール)類、gingerolの加熱により産生するshogaol(ショウガオール)類などが知られている。精油成分は、ショウガの香気に大きな影響を及ぼしており、zingiberene(ジンギベレン)、bisabolene(ビサボレン)、sesquiphellandrene(セスキフェランドレン)、Curcumene(クルクメン)、Farnesene(ファルネセン)などのセスキテルペン類を中心に多数報告されている。(非特許文献3)
ショウガの薬理研究では、伝統医学の薬効の検証を中心に研究が行われており、抗胃潰瘍作用(非特許文献4)、鎮吐作用(非特許文献5)、抗炎症作用(非特許文献6)、抗肥満活性(非特許文献7)などが報告されており、その他にも、血小板凝集抑制(非特許文献8)、抗酸化活性(非特許文献9)、抗菌活性(非特許文献10)などが報告されている。
ショウガの辛味の主成分は、ジンゲロール及びショウガオールであり、これらの化合物については、様々な研究がされてきた。その結果、ジンゲロール、ショウガオールが、抗胃潰瘍作用(非特許文献4)、鎮吐作用(非特許文献5)、抗炎症作用(非特許文献6)などを有することが明らかにされている。また、両成分の構造は、様々な薬理作用が報告されている唐辛子の辛味成分であるcapsicin(カプサイシン)と非常に類似しており、カプサイシン受容体に結合することも知られている。また、ジンゲロール、ショウガオールは、体感できる薬理作用のみならず、食した際の刺激性も感じやすく、ショウガの嗜好面からの特徴に重要である。
一方、「酢」の起源は古く、紀元前5000年頃にはなつめやしを原料に作られていたと言われており、文献としては「旧約聖書」にも記載されている。日本には4〜5世紀頃に中国から造酒の技術と共に伝わっており、伝統的な調味料といえる。産業としては日本では年間約500KL生産されており、世界中でも大きな市場を形成している。米を原料とした「米酢」や芋などの穀物を原料とした「穀物酢」、ぶどうを原料とした「ワインビネガー」などもあげられる。さらに、多岐にわたる原料を使用した「黒酢」、「香酢」など多く存在する。
昨今の健康ブームにより、酢は伝統食品である安心感と、主成分である酢酸の刺激性や健康機能性から、そのまま水や飲料で希釈して摂取したり、料理に添加したり、あるいは健康飲料やサプリメントなどとして摂取されている。ショウガに関しても、漢方薬として疾病改善や健康維持のため摂取するのみならず、手軽にとれる健康食材として、健康飲料、ショウガ紅茶などの嗜好飲料、菓子などのデザート類にも幅広く使用されるようになった。
上記のように、酢とショウガはそれぞれ嗜好面においても、健康維持機能面においても非常に有用性が高く、酢とショウガの健康機能という有用性を兼ね備えた風味の優れた食品組成物が求められている。
その一例として、ショウガを薄くきって甘酢漬けにしたガリのように、寿司などを食べる際に、口直し、食欲増進や抗菌作用を期待されて、昔から日本では食されている。またショウガ汁と、穀物酢などの酢を単純に混合、調味しただけの調味酢も商品として市販されている。
しかしながら、ショウガ由来原料と酢そのものを調合したものは「ガリ」様の風味となるが、健康飲料や加工原料のような商品で使用するには、ショウガ由来の香りが強すぎて不適切な風味となる。例えば、ショウガ以外の風味を有する原料、例えば果汁や果実、牛乳やバターなどの乳製品、嗜好品であるチョコレートやコーヒー、またはそれらの風味を有する香料などを併用する場合が挙げられる。また、調味料などの添加で風味改善をしても、ショウガ由来の香りは強いためマスキングの効果には限界がある。
一方、ショウガの有用性を、より多くの人に利用してもらうために、風味を改変する試みは見られる。スクラロースを添加することで風味を高める技術(特許文献1)、他の香辛料と併用して本来のショウガの風味を有する食品(特許文献2、特許文献3)などが報告されている。独特のショウガの臭みを抑えてまろやかにする技術としては、乳酸菌、麹菌、酵母菌などを、一種類または複数種類を使用する発酵による風味改善(特許文献4)や、乳酸菌と酵母で一次培養を行い、そこにショウガ成分を加えて二次培養を行ってショウガ汁を作る技術(特許文献5)が開示されている。しかし、ショウガと酢とを調和させるための試みや、ショウガを酢酸菌で発酵させる取り組みは、見当たらない。ショウガに限らず発酵により風味を改善する取り組みは多く、特に大豆の不快臭を乳酸菌により低減させる提案は多い(特許文献6、特許文献7)。しかし、ショウガの風味は香気化合物の種類から考えても非常に特異的であり、これらの先行技術を応用し適用することは考えられない。
特開2000−135066号公報 特開平10−52235号公報 特開平10−52236号公報 特開2001−238593号公報 特開2006−2962459号公報 特許第3327155号公報 特開2002−51720号公報 堀田満、他、世界有用植物辞典、平凡社、pp1121 久保道徳、他、漢方・生薬学、廣川書店、100−104 Yoshikawa M.et al,Yakugaku zasshi(1993);113;307−315 Yamahara J.et al,J of Ethnopharmacology(1998);23;299−304 Kawai T.et al,Planta Medica(1994);60;17−20 Kiuchi F.et al, Chem. Pharm. Bull.(1992);40;387−391 Li−Kun H.et al,Yakugaku zasshi(2005);125;213−217 Srivastava M.A.et al,Prostaaglandins Leukotrienes and Medicine(1984);13;227−235 Hirahara F.JPN. J. Nutr.(1974);1;1−39 Joyce E.C.B.et al,MeM Inst Oswaldo Cruz,Rio de Janeiro(2006);101;382−390
本発明者らは、健康素材であるショウガと酢からなり、なおかつ特有のショウガの臭みを低減させた今までにない新しい食品組成物を作製しようと考えた。つまり、本発明の課題は、ショウガと酢を原料としてなり、それぞれの健康機能を兼ね備えたうえに風味も優れたショウガ酢、および該ショウガ酢の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ショウガと酢を原料としてなり、それぞれの健康機能を兼ね備えた上に風味の優れたショウガ酢の製造方法について研究を重ねた結果、ショウガを酢酸菌で発酵せしめることにより、発酵過程でショウガ特有の香気成分が低減され、かつ生成した酢の風味と残存したショウガの辛味成分であるジンゲロールやショウガオールとが見事に調和することで、優れた健康機能性と優れた風味を兼ね備えたショウガ酢が得られることを見出した。さらに、得られたショウガ酢の特徴についての検討を詳細に行い、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、
(1)ショウガ由来の辛味成分であるジンゲロールを10〜300mg/L、及び/又はショウガ由来の辛味成分であるショウガオールを0.1〜20mg/L含有し、且つショウガ由来の香気成分であるジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンがいずれも1mg/L以下の濃度であることを特徴とするショウガ酢、
(2)ショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスを酢酸菌により酢酸発酵させて得られる前記(1)記載のショウガ酢、
(3)ショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスを主原料とし、水、糖質およびエタノールを含む原料に酢酸菌を接種せしめ酢酸発酵させることを特徴とする、ショウガ酢の製造方法
に関する。
本発明により、ショウガと酢それぞれの健康機能を兼ね備えた風味の優れたショウガ酢を得ることができる。ショウガ中の健康維持および呈味面で有用な成分であるジンゲロールやショウガオールは、酢酸発酵後も機能を発揮するに十分量が含有されており、且つ、酢と合わさったときに感じる「ガリ」様の風味の原因である、ショウガ由来の香気成分が発酵過程で低減され、例えばジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンは、発酵後には「ガリ」様風味を感じない極めて低濃度にまで減少した。風味の優れた該ショウガ酢を摂取することにより、健康維持、増進が期待することができる。
本発明のショウガ酢は、ショウガ由来の辛味成分であるジンゲロールを10〜300mg/L、及び/又はショウガ由来の辛味成分であるショウガオールを0.1〜20mg/L含有し、且つショウガ由来の香気成分であるジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンがいずれも1mg/L以下の濃度であることを特徴とする。
本発明のショウガ酢は、前記のように、ショウガ由来の辛味成分を含有しながら、ショウガ由来の香味成分が低減されていることにより、ショウガの風味を維持しながら、しかも摂取し易いという、新規な風味の醸造酢である。
前記ジンゲロール及びショウガオールは、ともにショウガ特有の健康機能に寄与する成分として知られている。ジンゲロールの含有量は、健康機能の発現が期待できる観点から、10mg/L以上であり、また、ショウガ特有の辛味を好適に感じることができる観点か300mg/L以下である。同様に、ショウガオールの含有量は、健康機能の発現が期待できる観点から、0.1mg/L以上であり、また、ショウガ特有の辛味を好適に感じることができる観点か20mg/L以下である。これらの成分の含有量は、後述の実施例に記載のようにHPLCなどの公知の手段を用いて測定することができる。本発明のショウガ酢は、これらの成分を含有することで、ショウガの辛味を感じることができる。
また、本発明では、前記ジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンという香気成分がいずれも1mg/L以下の濃度であることで、ショウガ特有の刺激臭を顕著に抑えたものである。これらの成分の含有量は、後述の実施例に記載のようにHPLCなどの公知の手段を用いて測定することができる。
前記のような組成を有する本発明のショウガ酢は、ショウガを主原料とし、水、糖質およびエタノールを含む原料に酢酸菌を接種せしめ酢酸発酵して得られることを特徴とする。例えば、ショウガ成分と水を主原料とし、糖質とエタノールを該原料に添加し、酢酸菌で酢酸発酵させることにより得られる。
主原料とするショウガ成分は、ショウガが主原料であれば特に形態は制限されるものではなく、根ショウガをそのまま潰し繊維質を残したショウガ粉砕物、圧搾し絞り汁だけ回収したショウガ絞り汁、あるいはショウガや乾燥ショウガを水やエタノールなどの有機溶媒で抽出したショウガ抽出エキスなどでも良い。ショウガの産地や品種に特に制限されない。なお、ショウガ粉砕物、ショウガ絞り汁及びショウガ抽出エキスは、公知の手段で得られたものであればよく、市販品でもよい。また、前記ショウガ粉砕物、ショウガ絞り汁、ショウガ抽出エキスは、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で、全原料中に含有せしめるショウガの量は、酢酸発酵がスムーズに行なえ、且つショウガの辛味が最終的に得られる量であれば問題なく、通常、全原材料に対して、ショウガ成分を固形分として1重量%以上含有させるのが好適であり、30重量%以上でもよいが、好適な発酵速度を得る観点からより望ましくは2〜30重量%含有させることが好適である。
本発明で使用する糖質は、グルコース、スクロース、フルクトースなどの単糖類や二糖類でよく、食品に使用できるものであれば特に限定されるものではないが、発酵の効率を考えるとグルコースやスクロースが望ましい。また、デンプンなどの糖質であっても良いが、高分子の糖質を使用する場合は、酢酸発酵させる前段階でアミラーゼのような糖化酵素を作用させ糖化させるか、麹菌などを作用させて糖化させる前処理が効果的である。
本発明で、全原料中に含有せしめる糖質の量は、全原料中に0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好適である。上限値は特に限定されないが、目的とする最終品の風味に支障が無い量が好ましい。
本発明で使用するエタノールは、食品で使用できるものであれば特に制限は無く、一般的には醸造アルコールや発酵エタノールがあげられる。アルコール濃度は、酢酸発酵が進む濃度であれば特に制限は無いが、全原料中0.5〜50重量%が好ましく、より望ましくは、4〜5重量%が好ましい。ただし、最終製品に0.5重量%以上のエタノールが残留しないように発酵の程度と合わせて考えればよい。
本発明で使用する水は、前記ショウガ原料、糖質、エタノールの残部であればよく、酢酸発酵が可能であればその含有量及び水の種類について特に限定はない。
なお、本発明においては、エタノールを使用せずショウガ酢を作製することも可能である。例えば、前記ショウガ成分と水のみを原料とし、これに酵母を接種しエタノール発酵を経た後に、酢酸菌を接種し酢酸発酵させる方法が挙げられる。ただし、工程数が少ないなどの観点から、前記のようにエタノールを使用することが好ましい。
接種する酢酸菌の種類は、食酢に使用されている菌種であれば利用可能であり、例えば酢酸菌の属としてはアセトバクター属(Acetobacter)やグルコノバクター属(Gluconobacter)が挙げられる。ただし、同じ種であっても株が違えば発酵が進まない場合があるから注意が必要である。酢酸菌は原料との相性が合わないと、酢酸発酵が遅れたり、十分な酢酸濃度まで発酵が進まなかったりするという性質の為、酢酸菌の適切な選定が必須という点である。ショウガにも、菌の種類によっては増殖を阻害する作用があり、一部抗菌剤としても報告されている(特表2005−534699)(特開 2000−247818)。
使用され得る酢酸菌としては、アセトバクター アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター パスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター キシリナス(Acetobater xylinus)等が挙げられるが、これらに限定されない。
中でも、本発明者らは、産業的に利用可能な酢酸菌の探求を重ねた結果、伝統的な種酢が適合することを発見しており、本発明のショウガ酢の発酵には、種酢を用いることが望ましい。
ここでいう種酢とは、長年の食酢醸造の過程で発酵原料や発酵方法の影響を受けつつ馴養、選択された酢酸菌が主要発酵菌となっており、複数の酢酸菌が存在していることが多い。また種菌の構成は、食酢を醸造している製造条件により様々であり、例えば、食酢の製造会社であっても、同じ工場内で製造現場が異なれば種菌の構成も相違すると考えられる。
本発明のショウガ酢の製造方法は食酢の製造方法に準じて行えばよく、酢酸発酵が進むのであれば特に方法は限定されない。発酵の程度は酸度で検証でき、食酢の規格を満たすものにするのであれば、酸度4.0%以上となるように発酵を進める。発酵条件は約20〜40℃が好ましく、25〜35℃がより好ましい。発酵日数は静置発酵の場合、3〜60日で、より好ましくは10〜40日である。深部発酵ならば1〜7日で食酢の規格である酸度4.0%以上まで発酵させることも可能である。静置発酵である方が風味はより向上するが、通気攪拌しつつ酢酸菌を繁殖させて発酵する深部発酵法などでも問題はない。その後、従来通りの熟成、濾過、殺菌などを行うことにより、本発明のショウガ酢が得られる。
以上のようにして得られるショウガ酢は、そのまま飲用したり希釈して飲用したりすることができるが、二次加工することにより用途は飛躍的に拡大する。つまり本発明のショウガ酢の特徴を有した各種の飲食品として応用できる。他のビタミンCなどの健康素材と組み合わせた健康飲料、デザート用のゼリー、調味用のドレッシング、嗜好性のスナック菓子、飴、グミ、アイスクリーム、シャーベットなど幅広く適用できる。ソフトカプセルなどに含有させたサプリメントも可能であり、適用範囲は極めて広い。
次に、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、これにより本発明を限定するものではない。
実施例1(ショウガ酢の製造)
ショウガ(市販の高知県産土ショウガ)の皮を除き、ミキサーにて粉砕し、ショウガミンチを得た。ショウガミンチ1kgに、砂糖0.5kg、90%(w/w)エタノール230mgを加え、水を添加して最終的に4Lになるようにメスアップした。よく攪拌の後に、種酢100mLを添加し、30℃にて10日間静置発酵させた。この時の酸度は4.1%であった。その後、火入れをして殺菌後、室温にて3日間熟成し、その後メッシュ濾過し、80℃で10分間の加熱殺菌を行い、3Lのショウガ酢(淡黄色の液体、酸度4.7%、無塩可溶性固形分1.5%)を得た。得られたショウガ酢を官能評価したこところ、ジンゲロールやショウガオールのシャープな辛味と、酢酸特有の刺激性を兼ね備え、しかしながら「ガリ」様のショウガ風味は極めて低いクリアーな風味を有するものであった。
試験例1(辛味成分の定量)
実施例1で得られたショウガ酢の辛味成分の定量と、原料からの残存率を検討するために、ショウガ酢中のジンゲロールおよびショウガオールを次のように定量した。ショウガ酢を0.45μmのフィルターにてろ過し被験試料とした。定量にはHPLC(Waters製アライアンス)を用いた。カラムはC18(資生堂カプセルパックUG−120、4.6mm×250mm)、溶媒の条件は、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)含有アセトニトリルと0.1%TFA含有水の混合割合を、0.1%TFA含有アセトニトリル30%から100%まで、1%/分の条件でグラジェント分析を行った。検出はUV−vis検出器(Waters製)により実施した。その結果、ショウガ酢1mL中ジンゲロール(0.116mg;116mg/L)、ショウガオール(0.0015mg;1.5mg/L)であった。
次に、原料からのジンゲロールおよびショウガオールの残存率を求めるために、ショウガミンチ1g中の各化合物の定量を行なった。ショウガミンチ1gをメタノール2mLで10分間超音波抽出、ろ過し被験試料とした。HPLCの分析は同様の条件で行なった。ショウガミンチ1g中のジンゲロールは0.837mg、ショウガオールは0.0048mgであった。1kgのショウガミンチから3Lのショウガ酢が製造されることを考えると、ジンゲロールは約42%、ショウガオールは約94%が残存しており、発酵過程を経ても辛味を感じる十分量が残存することが定量的に明らかとなった。
試験例2(香気成分の定量)
ショウガミンチと穀物酢の混合物、実施例1で得られたショウガ酢の香り成分の比較を行うため、ガスクロマトグラフィー−質量分析計(GC−MS)分析を行った。
使用機器は、Inter−cap WAX(0.25mmid×30m、膜厚0.25μm、GLサイエンス社製)、SPMEファイバー(50/30μm, DVB/CAR/PDMS、スペルコ社製)、GC−MSは、JMS−Q1000GC K9(日本電子社製)を用いた。SPMEファイバーの条件は、前加熱(65℃、3分)、吸着時間(30分)、脱着時間(5分)、注入口温度(250℃)で行った。また、GCの条件は、温度条件(40℃で5分→230℃まで5℃/分→230℃で5分)、スプリット(比:5.6)、キャリアガス(ヘリウム)で行った。
図1にショウガ酢のGC−MSクロマトグラム、図2にショウガミンチと穀物酢の混合物のGC−MSクロマトグラム、図3にショウガミンチのGC−MSクロマトグラムを載せている。各クロマトグラムのイオン強度は、図1、2は2.7×108が、図3は5.4×108が其々100%になるように設定してある。
図1に示すショウガ酢のGC−MSクロマトグラムから、1,8−cineole(1,8−シネオール)(9:45)、酢酸(17:00)、linalool(リナノール)(19:46)、terpineole(テルピネオール)(23:15)、eudesmol(オイデスモール)(32:50)などが確認できた。括弧内は保持時間。
図2に示すショウガミンチと穀物酢の混合物のGC−MSクロマトグラムから、1,8−シネオール(9:45)、酢酸(17:00)、ジンギベレン(24:03)、ファルネセン(24:39)、sedorene(セドレン)(25:05)などが確認できた。
図3に示すショウガミンチのGC−MSクロマトグラムからは、1,8−シネオール(9:45)、ジンギベレン(24:03)、ファルネセン(24:39)、セドレン(25:05)の他に、camphene(カンフェン)(5:00)が確認できた。
シネオール、ジンギベレン、ファルネセン、セドレンは、ショウガの精油成分の主成分であり、これら3つのクロマトグラムの比較から、ショウガミンチ由来のショウガ臭さが、本発明のショウガ酢では減少しており、酢酸発酵の過程で減少したと考えられる。
試験例3(精油成分の定量)
試験例2で明らかになった精油成分の変化量を明らかにするために、精油成分のメジャー成分として知られているジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンについて定量を行った。定量用の各化合物は、ショウガオイル(稲畑香料社製)からHPLCを用いてそれぞれの化合物を単離し、GC−MSで同定した。同定済みの化合物を標品とし、検量線を作成し、その後被験試料中の化合物を定量した。ショウガミンチと穀物酢の混合物は、試験例2と同様のものを用いた。ショウガミンチと穀物酢の混合物および本発明品のショウガ酢を0.45μmのフィルターにてろ過し、それぞれ被験試料とした。定量にはHPLC(Waters製アライアンス)を用いた。カラムはODSのC18カラム(資生堂カプセルパックUG−120、4.6mm×250mm)、溶媒の条件は、0.1%TFA含有アセトニトリルと0.1%TFA含有水の混合割合を、0.1%TFA含有アセトニトリル75%で10分間流し、75%から100%まで、1%/分の条件でグラジェント分析を行った。検出はフォトダイオアレイ検出器(Waters製)によりジンギベレンは260nm、ファルネセンとセスキフェランドレンは230nmで検出した。
定量の結果、ショウガミンチと穀物酢の混合物では、ジンギベレン:10mg/L、ファルネセン:39mg/L、セスキフェランドレン:80mg/Lとなった。一方、本発明品のショウガ酢では、3成分とも検出限度以下(1mg/L以下)であった。
本発明のショウガ酢は、クリアーな風味に改善されており、従来より幅広い各種加工食品や飲料の原料として使用可能となる。例えば、健康飲料、ゼリー、ドレッシング、スナック菓子、飴、グミ、アイスクリーム、シャーベットなど幅広く適用できる。
図1は、試験例2で行ったショウガ酢のGC−MSクロマトグラムの結果を示す。 図2は、試験例2で行ったショウガミンチと穀物酢の混合物のGC−MSクロマトグラムの結果を示す。 図3は、試験例2で行ったショウガミンチのGC−MSクロマトグラムの結果を示す。

Claims (3)

  1. ショウガ由来の辛味成分であるジンゲロールを10〜300mg/L、及び/又はショウガ由来の辛味成分であるショウガオールを0.1〜20mg/L含有し、且つショウガ由来の香気成分であるジンギベレン、ファルネセン、セスキフェランドレンがいずれも1mg/L以下の濃度であることを特徴とするショウガ酢。
  2. ショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスを酢酸菌により酢酸発酵させて得られる請求項1記載のショウガ酢。
  3. ショウガ粉砕物及び/又はショウガ絞り汁及び/又はショウガ抽出エキスを主原料とし、水、糖質およびエタノールを含む原料に酢酸菌を接種せしめ酢酸発酵させることを特徴とする、ショウガ酢の製造方法。
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