JP4720731B2 - 成形型 - Google Patents

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本発明は、成形型に関するものである。
各種産業分野において、材料に形状を付与するため、成形型による成形が行われている。成形型による成形は、研削加工などに比べ、同形状の物を比較的量産しやすいなどの利点を有している。
このような成形による利点を活かすべく、近年、例えば、ガラス製部材の製造分野などでは、型基材部表面に金属層が積層された成形型を用いて、ガラス製部材をプレス成形する試みがなされている。
例えば、特許文献1には、WC製の型基材部表面に、Nb層、Pt−Ir層(Pt:40wt%、Ir:60wt%)がこの順に積層された成形型を用いて、ガラス製光学素子をプレス成形する技術が開示されている。
特開2002−60239号公報(実施例など)
一般に、成形型では、成形材料との離型性が良好であることが要求される。成形材料との離型性が悪いと、成形物の製造性、得られた成形物の表面品質も低下してしまうからである。この点は、ガラス成形用の成形型にも当然に当てはまる。
しかしながら、従来知られるガラス成形用の成形型は、ガラス材料との離型性が悪かった。とりわけ、成形温度が高温になるほど、当該成形型にガラス材料がひっつきやすく、場合によっては、1回も脱型できないことさえ生じうる。
このように、特に、ガラス成形では、上記成形による利点を十分に活かすことが困難な状況にあった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、離型性に優れた成形型を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者は、種々の実験を行い、鋭意検討を重ねた。その結果、成形型の最表層に、同じ合金組成の最表層を用いても、その層の結晶構造によっては、離型性が大きく変化することを突き止めた。本発明は、主に、かかる知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明に係る成形型は、型基材部表面に、少なくとも2層以上の金属層が積層された積層構造を有し、上記積層構造のうち、最表層は、面心立方構造をとる第1金属と六方最密構造をとる第2金属とを組み合わせた合金よりなり、上記最表層の結晶構造は、面心立方構造であることを要旨とする。
ここで、上記第1金属の割合は50重量%以上であると良い。
また、上記第1金属はIrであると良い。一方、上記第2金属は、Re、Os、RuおよびTcから選択される1種または2種以上であると良い。
また、上記最表層の下層は、その結晶構造が面心立方構造であると良い。
また、上記最表層の下層には、Rh層が存在すると良く、上記Rh層の下層には、Au層が存在すると良い。
上記成形型は、ガラス成形用途に好適に用いることができる。
本発明に係る成形型は、型基材部表面に、少なくとも2層以上の金属層が積層された積層構造を有しており、この積層構造のうち、最表層は、面心立方構造をとる第1金属と六方最密構造をとる第2金属とを組み合わせた合金よりなり、最表層の結晶構造は面心立方構造である。
そのため、成形材料との離型性、とりわけ、ガラス材料との離型性に優れる。したがって、本発明に係る成形型によれば、成形物を量産しやすいなど、成形物の製造性に優れる。また、型の長寿命化を図れることから、耐久性にも優れる。
ここで、上記第1金属の割合が50重量%以上である場合には、最表層の結晶構造が面心立方構造をとりやすくなり、これにより、離型性を発現しやすくなる。
また、上記第1金属がIrである場合には、とりわけ、ガラス材料との離型性に優れる。
また、上記第2金属が、Re、Os、RuおよびTcから選択される1種または2種以上である場合には、最表層の耐熱性を向上させることができる。そのため、より高温で成形しやすくなる。
また、最表層よりも下層の結晶構造が面心立方構造である場合には、最表層の結晶構造が面心立方構造をとりやすくなり、これにより離型性を発現しやすくなる。
また、上記最表層よりも下層にRh層が存在する場合、このRh層(層の結晶構造は面心立方構造)は、主として、これよりも下層の成分、型基材部成分の拡散防止層として機能する。そのため、これら成分と成形材料との結合を抑制でき、これにより、離型性を一層向上させやすくなる。
また、上記Rh層よりも下層にAu層(層の結晶構造は面心立方構造)が存在する場合、このAu層は、主として、ボンド層として機能する。そのため、積層構造の剥離を抑制することができ、これにより耐久性を一層向上させやすくなる。
上記成形型を例えば、ガラス成形用途に用いた場合には、耐熱ガラスなどのガラス材料の成形を行うことができる。
以下、本実施形態に係る成形型について詳細に説明する(以下、本実施形態に係る成形型を「本成形型」ということがある。)。
初めに、本成形型の構成について説明する。本成形型は、型基材部と、積層構造とを基本構成として有している。
型基材部は、型本体をなす。型基材部の表面には、通常、成形材料に所望形状を転写しうる転写面(図示されない)が形成されている。
型基材部の材質としては、具体的には、例えば、WC系の超硬合金、グラッシーカーボン、ステンレス鋼、Siおよびその複合体からなるセラミックスなどを例示することができる。成形材料としてガラス材料を選択する場合、好ましくは、耐久性、耐熱性に優れるなどの観点から、WC系の超硬合金、セラミックスなどである。
上記積層構造は、型基材部表面に形成されている。上記積層構造は、少なくとも2層以上の金属層が積層されてなる。なお、金属層にいう「金属」には、合金も含まれる。
上記積層構造は、少なくとも2層以上の金属層が積層されておれば、その積層数は特に限定されるものではない。
もっとも、積層数が過度に多くなると、積層構造全体の厚みが増加する。当該厚みが過度に厚くなると、例えば、型基材部表面に凹凸などの転写面を形成する場合、凹溝を余分に深く形成したり、凸部を余分に高く形成したりする必要が生じる。そのため、型の生産性が低下したり、コストも増加しやすくなる。なお、この点は、積層構造を形成する個々の金属層の厚みが過度に厚くなった場合も同様である。
上記積層数としては、好ましくは2層〜5層、より好ましくは2層〜4層である。最も好ましくは3層である。
上記積層数を3層とした場合、本発明の趣旨より、最表層は、主として、成形材料との離型性を発現する離型層として機能することになる。一方、最表層の直下にある下層(以下、「下層(2)」ということがある。)には、型基材部成分などの拡散を抑制する拡散防止機能を付与すると良い。また、下層(2)の直下にある下層(以下、「下層(1)」ということがある。)には、型基材部と下層(2)との結合性を向上させる機能を付与すると良い。
積層構造の剥離抑制による耐久性の向上、上記成分拡散の防止による離型性の向上や成形物の汚染防止などといった利点が得られるからである。
ここで、本成形型では、上記積層構造のうち、最表層は、第1金属と第2金属とを組み合わせた合金よりなる。
上記第1金属は、単一成分で存在する場合に、その結晶構造が、面心立方構造(以下、単に「fcc」ということがある。)をとる。一方、上記第2金属は、単一成分で存在する場合に、その結晶構造が、六方最密構造(以下、単に「hcp」ということがある。)をとる。
なお、上記合金は、第1金属と第2金属との合金であるが、これら金属以外にも、成形材料との離型性に悪影響を与えない範囲であれば、他の第3金属を含んでいても良い。また、不可避的不純物を含んでいても良い。
上記第1金属としては、具体的には、例えば、Ir、Pt、Rh、Pdなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
これらのうち、第1金属としては、特に、ガラス材料との離型性に優れるなどの観点から、Irを好適に用いることができる。
一方、上記第2金属としては、具体的には、例えば、Re、Os、Ru、Tc、Ti、Zn、Cd、Y、Scなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
これらのうち、第2金属としては、特に、離型性に優れる、最表層に耐熱性を付与できるなどの観点から、Re、Os、Ru、Tcを好適に用いることができる。
また、本成形型において、上記最表層の結晶構造は、面心立方構造(fcc)である必要がある。成形材料、とりわけ、ガラス材料との十分な離型性を確保するためである。詳しくは、実施例にて後述するが、成形材料がガラス材料である場合、最表層が同じ合金組成であっても、その層の結晶構造が面心立方構造をとらないと、ほとんど離型性が発現されない。
上記最表層の結晶構造を面心立方構造(fcc)とするのに寄与する最表層側の要因としては、上記第1金属と第2金属との割合を挙げることができる。
より具体的には、上記第1金属の割合は、好ましくは、50重量%以上80重量%以下、より好ましくは、50重量%以上70重量%以下であると良い。
上記最表層の厚みは、特に限定されるものではない。最表層の厚みの上限は、転写面の形成性、成膜時間、コストなどの観点から、好ましくは、5μm以下、より好ましくは、1μm以下、最も好ましくは、500nm以下である。一方、最表層の厚みの下限は、離型性、膜の耐久性などの観点から、好ましくは、50nm以上、より好ましくは、200nm以上、最も好ましくは、300nm以上である。
本成形型において、上記積層構造は、上記最表層の下に、少なくとも1層以上の下層を有する。これら下層の結晶構造は、その全ての層の結晶構造が面心立方構造(fcc)であっても良いし、部分的に、六方最密構造(hcp)または体心立方構造(bcc)の層を含んでいても良い。
もっとも、下層の結晶構造は、上記最表層の結晶構造を面心立方構造(fcc)とするのに寄与する要因の一つになりうる。
そのため、最表層の結晶構造が面心立方構造(fcc)をとりやすくなり、離型性を発現しやすくできるなどの観点から、下層の結晶構造は、その全ての層の結晶構造が面心立方構造(fcc)であると良い。
また、上記下層は、全ての下層が単体金属よりなっていても良いし、全ての下層が合金よりなっていても良い。あるいは、上記下層は、単体金属よりなる層と合金よりなる層との組み合わせであっても良い。
上記下層を形成する金属としては、具体的には、例えば、Rh、Au、Pt、これらの合金などを例示することができる。
とりわけ、上記下層としてRh層を有する場合には、Rh層(層の結晶構造は面心立方構造)は、主として、これよりも下層の成分や型基材部成分(例えば、Fe、Cr、Niなど)の拡散防止層として機能させやすい。そのため、これら成分と成形材料との結合を抑制し、これにより、離型性を一層向上させやすくなる。このような効果を十分に得るなどの観点から、上記Rh層は、最表層と接して存在していると良い。より好ましくは、上記Rh層は、最表層と接して存在しており、かつ、型基材部に近いほど良い。
また、上記下層としてAu層を有する場合には、Au層は、主として、ボンド層として機能させやすい。そのため、積層構造の剥離を抑制することができ、これにより耐久性を一層向上させやすくなる。このような効果を十分に得るなどの観点から、上記Au層は、型基材部と接して存在していると良い。
上記下層の材質として、単体の金属を選択する場合、当該金属の純度としては、上記効果の発現、成形物への汚染を抑制するなどの観点から、2N(99%)以上であることが好ましく、より好ましくは3N(99.9%)以上であると良い。
上記下層の厚みは、特に限定されるものではない。もっとも、下層の厚みは、上記最表層の結晶構造を面心立方構造(fcc)とするのに寄与する要因の一つになりうる。下層の厚みが厚いほど、最表層の結晶構造を面心立方構造(fcc)に安定化させやすくなる傾向が見られる。下層の厚みは、他にも、下層に付与する機能や、転写面の形成性なども考慮して最適な値を選択すると良い。
下層の厚みの上限は、転写面の形成性、成膜時間、コストなどの観点から、好ましくは、1μm以下、より好ましくは、500nm以下、最も好ましくは、300nm以下である。一方、下層の厚みの下限は、好ましくは、10nm以上、より好ましくは、30nm以上、最も好ましくは、50nm以上である。
なお、本成形型において、上述した層の結晶構造は、X線回折(XRD)により特定することができる。
以上説明した本成形型は、無機材料、有機材料の何れの成形材料に対しても使用することができる。無機材料としては、具体的には、例えば、ガラス、セラミックス、金属などの材料を例示することができる。また、有機材料としては、各種樹脂、ゴムなどを例示することができる。これら成形材料は1種または2種以上混合されていても良い。好適には、従来成形が困難とされてきたガラス材料に対して適用すると有用である。
本成形型により成形される成形物としては、具体的には、例えば、ガラスレンズなどの光学部材、光通信分野などで用いられる基板、素子など、各種の用途のものを例示することができる。
上記成形物は、本成形型を用いて、上記成形材料を、例えば、プレス成形、射出成形などの各種成形法により成形する工程を経れば、得ることができる。
次に、本成形型の製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)の一例について説明する。
本製造方法は、少なくとも、型基材部表面に、少なくとも2層以上の金属層を積層した積層構造を形成する工程を有している。
そして、この工程では、上記積層構造のうち、最表層を、面心立方構造をとる第1金属と六方最密構造をとる第2金属との合金より形成する。また、最表層の結晶構造は面心立方構造に安定化させる。
なお、型基材部表面に金属層を積層する前に、脱脂処理、不働態被膜の除去、洗浄などの前処理を、必要に応じて行っても良い。
ここで、上記金属層は、型基材部表面に種々の手法を用いて積層することができる。
上記金属層の形成手法としては、具体的には、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどの物理的気相成長法(PVD)、熱CVD、プラズマCVDなどの化学的気相成長法(CVD)などといった気相法や、電解めっき、無電解めっきなどのめっき法、陽極酸化法、塗布法、ゾル−ゲル法などといった液相法などを例示することができる。なお、各金属層は、それぞれ同じ手法を用いて形成されていても良いし、それぞれ異なる手法を用いて形成されていても良い。
密着性が良好である、緻密な膜が得られるなどの観点からは、上記金属層は、スパッタリング法により形成すると良い。この際、合金層を形成する場合には、合金を構成する各金属のターゲットを用い、同時スパッタを行うなどすれば良い。
なお、スパッタ電力、スパッタ時間、スパッタ温度などのスパッタ条件は、金属層の厚み、組成などを考慮して、適宜最適な値を選択すれば良い。
また、型基材部の加工時に形成される加工マークなど、相対的に大きな凹凸部と、型基材部の加工時に脱落した粒子や型基材部表面に存在する空孔(ポア)など、相対的に小さな凹凸部との両方を平坦化しやすい、気相法に比較して低コストであるなどの観点からは、上記金属層は、めっき法により形成すると良い。
なお、めっき液の種類、めっき電流密度、めっき時間、めっき浴温度、めっき浴中に添加する平坦性を付与する添加剤の種類や添加量などのめっき条件は、金属層の厚み、組成などを考慮して、適宜最適な値を選択すれば良い。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。なお、以下で作製した成形型は、型基材部の表面に、下層(1)、下層(2)、最表層を順に積層した積層構造を有している。
1.成形型の作製
(実施例1)
1.1 型基材部の準備およびその表面への前処理
型基材部として、Coを12重量%含有するタングステンカーバイト粉末が焼結されてなる焼結型を準備した。なお、型基材部には、1000ppm以下のFe、Ni、Crが不純物成分として含有されていた。
次に、所定形状に焼結された型基材部の表面を、NaOH水溶液により陽極電解脱脂し、表面に存在する有機不純物を溶解した。次いで、EDTA(70g/L)と過酸化水素水(35重量%)とを含む60ml/Lの溶液中に、型基材部を浸漬し、型基材部表面に存在する不働態被膜を除去した。更に、型基材部の表面を塩酸で洗浄し、その後、水洗した。
1.2 下層(1)の形成
スパッタリング装置(芝浦メカトロニクス(株)製、「CFS−4EP−LL」)を用い、上記型基材部の表面を2分間逆スパッタした。その後、この型基材部の表面に、真空状態、常温下にて、スパッタ電力150Wで1分15秒間、Auスパッタを行った。これにより、型基材部表面にAu層を形成した。
1.3 下層(2)の形成
上記スパッタリング装置を用い、上記Au層表面に、真空状態、常温下にて、スパッタ電力150Wで45分間、Rhスパッタを行った。これにより、Au層表面にRh層を形成した。
1.4 最表層の形成
上記スパッタリング装置を用い、上記Rh層表面に、真空状態、300℃にて、Irのスパッタ電力130W、Reのスパッタ電力110Wで65分間、同時スパッタを行った。これにより、Rh層表面にIr−Re層(Ir:50wt%、Re:50wt%)を形成した。
以上により、実施例1に係る成形型を作製した。
(実施例2)
上記実施例1の「1.4 最表層の形成」において、Irのスパッタ電力130W、Reのスパッタ電力50Wで90分間、同時スパッタを行い、Rh層表面にIr−Re層(Ir:70wt%、Re:30wt%)を形成した点以外は同様にして、実施例2に係る成形型を作製した。
(実施例3)
上記実施例1の「1.4 最表層の形成」において、Irのスパッタ電力130W、Osのスパッタ電力100Wで65分間、同時スパッタを行い、Rh層表面にIr−Os層(Ir:50wt%、Os:50wt%)を形成した点以外は同様にして、実施例3に係る成形型を作製した。
(実施例4)
上記実施例1の「1.4 最表層の形成」において、Irのスパッタ電力130W、Ruのスパッタ電力80Wで65分間、同時スパッタを行い、Rh層表面にIr−Ru層(Ir:50wt%、Ru:50wt%)を形成した点以外は同様にして、実施例4に係る成形型を作製した。
(比較例1)
上記実施例1の「1.2 下層(1)の形成」において、型基材部の表面に、真空状態、常温下にて、スパッタ電力200Wで15分間、Taスパッタを行い、型基材部表面にTa層を形成した点、「3.下層(2)の形成」において、上記Ta層表面に、真空状態、常温下にて、スパッタ電力150Wで45分間、Reスパッタを行い、Ta層表面にRe層を形成した点以外は、同様にして、比較例1に係る成形型を作製した。
(比較例2)
上記実施例1の「1.2 下層(1)の形成」において、型基材部の表面に、真空状態、常温下にて、スパッタ電力200Wで15分間、Taスパッタを行い、型基材部表面にTa層を形成した点、「3.下層(2)の形成」において、上記Ta層表面に、真空状態、常温下にて、スパッタ電力150Wで45分間、Rhスパッタを行い、Ta層表面にRh層を形成した点以外は、同様にして、比較例2に係る成形型を作製した。
2.下層(1)、下層(2)および最表層の厚み測定
集束イオンビーム(FIB)装置(FEI社製、「FIB200」)を用いてエッチングを行った後、SIM(走査イオン顕微鏡)観察を行うことにより、各層の厚みを測定した。なお、後述する表記載の厚みは、試料中心部で任意の箇所5点について測定した厚みの平均値である。
3.各層の結晶構造の特定
X線回折装置(XRD)(リガク(株)製、「RINT−1500」)を用いて、各層の結晶構造を特定した。
4.離型性評価
上記作製した各成形型を用いてガラス材料を実際にプレス成形することにより、各成形型とガラス材料との離型性を評価した。
すなわち、ガラス素子真空成形装置(東芝機械(株)製、「GMP−207HV」)に、評価対象となる成形型を取り付け、ガラス材料(オハラ(株)製、「光学ガラスS−BSL7」)を700℃でプレス成形し、200℃に冷却した後、ガラスを取り出すという成形サイクルでガラス成形物を製造した。
そして、成形したガラス成形物を、当該型から脱型できなくなるまでのサイクル数を測定した。
表1に、実施例および比較例に係る成形型につき、型基材部表面上に形成した各層の構成、材料、結晶構造、厚みなどをまとめたものを示す。また、表2に、実施例および比較例に係る成形型の離型性評価の結果をまとめたものを示す。
Figure 0004720731
Figure 0004720731
表1および表2によれば、以下のことが分かる。すなわち、比較例1および比較例2は、最表層が、面心立方構造(fcc)をとるIrと六方最密構造(hcp)をとるReとの合金であるIr−Reよりなっているが、最表層の結晶構造は、六方最密構造(hcp)である。
そのため、成形型とガラス材料とが密着してしまい、1回も脱型することができず、全く離型性を発現することができなかった。
なお、比較例1および比較例2において、最表層の結晶構造が、Reの結晶構造である六方最密構造(hcp)で安定化しているのは、最表層よりも下層に、その結晶構造が体心立方構造(bcc)や六方最密構造(hcp)である層を有しているためであると推測される。
これらに対し、実施例1〜4は、最表層が、面心立方構造(fcc)をとるIrと六方最密構造(hcp)をとるReとの合金であるIr−Reよりなっており、かつ、最表層の結晶構造が面心立方構造(fcc)である。
そのため、成形サイクル数が200回〜1000回以上と、優れた離型性を発現することが可能であった。とりわけ、高温にて型とひっつきやすいガラス材料を成形できたことによる利点は大きい。
なお、実施例1〜4において、最表層の結晶構造が、面心立方構造(fcc)で安定化しやすかったのは、最表層よりも下層が全て、面心立方構造(fcc)の結晶構造であったためであると推測される。
また、比較例1および比較例2と実施例1とを比較すると分かるように、最表層よりも下層の結晶構造が面心立方構造(fcc)であると、最表層の結晶構造が、面心立方構造(fcc)をとりやすくなり、離型性を発現させる上で有利であると言える。
以上、本実施形態、実施例に係る成形型について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。

Claims (8)

  1. 型基材部表面に、少なくとも2層以上の金属層が積層された積層構造を有し、
    前記積層構造のうち、最表層は、面心立方構造をとる第1金属と六方最密構造をとる第2金属とを組み合わせた合金よりなり、
    前記最表層の結晶構造は、面心立方構造である成形型。
  2. 前記第1金属の割合が、50重量%以上である請求項1に記載の成形型。
  3. 前記第1金属は、Irである請求項1または2に記載の成形型。
  4. 前記第2金属は、Re、Os、RuおよびTcから選択される1種または2種以上である請求項1から3の何れかに記載の成形型。
  5. 前記最表層の下層は、その結晶構造が面心立方構造である請求項1から4の何れかに記載の成形型。
  6. 前記最表層の下層にRh層が存在する請求項1から5の何れかに記載の成形型。
  7. 前記Rh層の下層にAu層が存在する請求項6に記載の成形型。
  8. ガラス成形用である請求項1から7の何れかに記載の成形型。
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