JP4720429B2 - 耐震性に優れた管の埋設方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地下埋設管の埋設方法に関し、特に耐震性に優れた管の埋設方法に関するものである。
ガス管、水道管、石油導管、通信用ケーブルを通す導管等を地中に埋設する際には、管を保護するために地表から一定の深さ以上の所に埋設する必要があり、地面を切削して、切削した溝内に管を設置した後に土砂で埋め戻し、埋め戻し土を締め固める施工が行なわれる。長い埋設管の全長にわたって十分な締め固めを行なうことは困難であり、埋め戻し土の一部に陥没が発生すると、その部分の管に上部から過大な土圧が作用して管が部分的に沈下し、管本体に亀裂や折損が生じる等、管に損傷が発生する可能性がある。このような不等沈下は、地震等による地盤沈下によっても発生する。断層部分での管の破損の他に、管が建物の壁部分や地表露出部等において部分的に固定されている位置付近では、管が固定されていない部分から作用する土圧の影響により管の折れ曲がりや破損が発生する危険が高い。
このような埋設管の不等沈下を防止するために、管周辺の埋め戻し土を締め固めた後に、その上部全面に発泡スチロールからなるブロックを積み重ねて設置し、ブロック上をさらに土砂で埋め戻す施工方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。圧縮強度が高く、密度が小さい発泡スチロールを管の上部に敷設することで、管に作用する荷重を軽減することができる。これにより地盤が沈下しても管が沈み難くなり、管埋設部の不等沈下を緩和することができる。
一方で、地震等の発生により地盤が液状化する問題がある。砂質土が地震波により一時的に液体のような状態となり、管を支持する力がなくなることで、埋設管の沈下、傾斜の被害が発生する。特許文献1に記載の方法を用いれば、管の上部からの荷重圧が軽減されるので、管の沈下を防止可能であるが、より管に作用する荷重を小さくして、地盤の液状化による沈下量の大きい不等沈下をも防止できる技術として、ブロックを多層構造として、ブロックの幅を地表面に近い表層部ほど大きくし、管の直上のみのブロックを独立させた構造とする耐震工法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平2−213538号公報 特許第3324443号公報
特許文献1、特許文献2に記載の方法を用いれば、地震の発生等による埋設管の不等沈下の問題は通常の場合解決できる。しかし、大雨による洪水等により地下水位が一時的に上昇した場合、発泡スチロールからなるブロックを用いる方法では、ブロックに浮力が働き、ブロックが浮上してしまうという問題が発生する。地表面が舗装されている場合であっても、特許文献2に示されるように、管の直上の舗装部分は浮き上がるため、地盤の平坦性は損なわれる。ブロック上に重量物を設置することでブロックが浮上することを防止することは可能であるが、管に加わる荷重が増加するため不等沈下の防止が困難となり、適切な解決方法ではない。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、地震発生時の埋設管の不等沈下を防止可能であると共に、一時的な地下水位の上昇が発生しても、管の埋設部の地盤の平坦性を維持できる耐震性に優れた管の埋設方法を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)地盤を切削して形成した溝に管を設置し、水透過部を有する中空体を前記管の上方に敷設して土砂で埋め戻す管の埋設方法であって、前記中空体が管状部材からなり、該管状部材の両端部にフィルターを設置することで水透過部を形成することを特徴とする耐震性に優れた管の埋設方法。
(2)管状部材が複数の円筒管であり、フィルターを金属メッシュとすることを特徴とする(1)に記載の耐震性に優れた管の埋設方法。
本発明によれば、大雨による洪水等が発生した場合であっても管の埋設部の地盤の平坦性が損なわれることなく、地震が発生した場合に地盤沈下や液状化による管の不等沈下の発生を防止して、埋設管の損傷を防止できる。このため、自然災害が多発する地域であっても管の損傷を防止可能であり、ガスや水等を安定して供給できる。
本発明では、地盤を切削して形成した溝に管を設置し、水透過部を有する中空体を管の上方に敷設して土砂で埋め戻す。管の上部に軽量の中空体を敷設することで、管の上部から作用する荷重を軽減することができ、不等沈下を防止する。また、地下水位の上昇時には、水透過部から中空体内に水が浸入することにより、中空体の質量が増加し、中空体に大きな浮力が発生して浮上することを防止する。地下水位が再び下降すると、中空体内の水は水透過部から中空体外に排出されて、中空体は再び軽量の状態に戻り、地震の発生等に備えることができる。中空体としては管状部材を用いることが設置が容易であり好適である。また、管状部材の両端部にフィルターを設置することで水透過部を形成することができる。管状部材として複数の円筒管を用い、フィルターを金属メッシュとすることが好ましい。
以下、図面を用いて本発明を詳しく説明する。
図1は本発明の一実施形態(第一の形態)であり、埋設管の長さ方向に垂直な方向での断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図である。地盤1を切削して溝2を形成し、溝2の底部の土砂層3中に管4が配置されている。管4の上部には、複数の中空体5が敷設されている。図1において、中空体5は両端に水透過部を有する円筒管である。複数の中空体5の上部は土砂の層(表層土砂層)6である。
図6は、従来の方法を用いて管を埋設した場合の、埋設管の長さ方向に垂直な方向での断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図である。管4の上部に敷設されるブロック(発泡スチロール)20は軽量であるが、浸水時には浮上して、上部の表層土砂層6を破壊する。このため、水が引いた後に、再度ブロック20を設置して表層土砂層6を締め固めて地表面を平坦化する必要が生じる。これに対して本発明では、図1に示すように、ブロック20の替わりに水透過部を有する中空体5を用いているので、浸水時には質量が増加し、浮上することがない。
図1の実施形態において、水透過部は円筒管の両端部に設けたフィルター7である。フィルターは、土砂はほとんど透過しないが、水は透過する性能を有するものを用いる。このようなフィルターを中空体の開口部(円筒管の両端部)に設置することで水透過部が形成され、中空体である円筒管の内部に土砂は浸入しないが、水は浸入することになる。このためには、例えば1mm程度のメッシュの金網を用いることができる。
図1の実施形態において、中空体5である円筒管は、溝幅一杯に上下3列に配置されているが、1つの大きな円筒管を用いることも可能である。また、円筒以外の、角管等を用いることもできる。また、中空体5である円筒管の長さ方向が、管4の長さ方向に平行な方向に配置されているが、管4と垂直な方向に配置することもできる。
中空体の素材としては、プラスチック、金属、コンクリート等、管の上部を覆って設置できるものであれば任意のものを用いることが可能であるが、軽量であるほど望ましい。軽量で安価な点では、例えば、塩ビ管を用いることが適当である。
図1を用いて、管4の埋設方法を説明する。埋設管を設置する際には、まず地盤1を切削して溝2を形成する。溝2内に管4を設置し、管4の周辺を良質な土砂で十分に締め固める。締め固めた土砂層3の上方に水透過部を有する中空体5を設置する。中空体5が複数である場合は、束ねて設置することが好ましい。中空体5の上部は土砂で締め固め、表層土砂層6を形成する。
図2は本発明の第二の形態に関し、埋設管の長さ方向に垂直な方向での断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図である。管4を埋める深さaは施工条件により変化するが、地表面8に埋設物が容易に露出しない深さbとして30〜50cmを表層土砂層とし、管の上部30〜50cm程度までを土砂層としてマージンcをとり、残りの部分を中空体5を埋設する領域dとすることが好ましい。中空体5の管4の長さ方向に垂直な方向での設置幅は、管に作用する側圧も軽減させるために管4の上部のみよりも広範囲に設置することが好ましい。現実的な中空体5の設置幅としては、溝2を切削する際に土砂が崩れない程度の角度で、溝2を切削した範囲内で設置できるものとして、埋設管位置での地表面に平行な線と角度θで交わる線eを考えると、角度θを砂の内部摩擦角程度、通常は45度程度とした直線eの間に設置できる程度とすることが好ましい。
図3は本発明の第三の形態に関し、埋設管の長さ方向での縦断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図である。管4は、その一部が建物壁9により支えられているため、建物壁9近傍で不等沈下が発生しやすく、建物壁9近傍に中空体5を設置することが特に効果的である。中空体5である円筒管の両端部には、水透過部としてフィルター7が設置されている。1つの中空体5の管4方向の長さは任意であるが、長すぎると地下水位の上昇に即座に対応できない場合がある。また、短すぎると施工の手間がかかり、コスト高である。
図4は本発明の第四の形態に関し、埋設管の長さ方向での縦断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図である。第四の形態においては、第三の形態において中空体の両端部にフィルターを設けた替わりに、中空体5の中空部にガラス繊維10を充填させたものである。ガラス繊維10は、少なくとも中空体5の両端部付近に充填されていれば水透過部を形成する効果がある。ガラス繊維以外に、スポンジ等を用いることもできる。
図5は本発明の第五の形態に関し、埋設管の長さ方向での縦断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図である。第五の形態においては、第三の形態において中空体の両端部にフィルターを設けた替わりに、中空体5の両端部部分の埋め戻しの土砂層を砕石層11とすることで、水透過部を形成するものである。砕石層11の存在により、中空体5の両端部部分の開口部が、水透過部となる。砕石層11としては、粒径10mm程度の砕石を用いることが好ましい。
尚、図3〜5は、埋設管の長さ方向に垂直な方向での断面では図1または図2と同様に中空体が配置されているものとする。
本発明の第一の形態を示す、埋設管の長さ方向に垂直な方向での断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図。 本発明の第二の形態を示す、埋設管の長さ方向に垂直な方向での断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図。 本発明の第三の形態を示す、埋設管の長さ方向での縦断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図。 本発明の第四の形態を示す、埋設管の長さ方向での縦断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図。 本発明の第五の形態を示す、埋設管の長さ方向での縦断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図。 従来の方法を用いて管を埋設した場合の、埋設管の長さ方向に垂直な方向での断面における、埋設管の地盤中での設置状態を示す概略図。
符号の説明
1 地盤
2 溝
3 土砂層
4 管(埋設管)
5 中空体
6 表層土砂層
7 フィルター
8 地表面
9 建物壁
10 ガラス繊維
11 砕石層
20 ブロック
a 管の埋設深さ
b 表層土砂層深さ
c 管の上部から中空体までの土砂層の深さ
d 中空体を埋設する領域
e 埋設管位置での地表面に平行な線と角度θで交わる線

Claims (2)

  1. 地盤を切削して形成した溝に管を設置し、水透過部を有する中空体を前記管の上方に敷設して土砂で埋め戻す管の埋設方法であって、前記中空体が管状部材からなり、該管状部材の両端部にフィルターを設置することで水透過部を形成することを特徴とする耐震性に優れた管の埋設方法。
  2. 管状部材が複数の円筒管であり、フィルターを金属メッシュとすることを特徴とする請求項1に記載の耐震性に優れた管の埋設方法。
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