JP4718833B2 - 複合生物媒体における、一時的なタンパク質分解活性の濃度を決定するための診断試験 - Google Patents

複合生物媒体における、一時的なタンパク質分解活性の濃度を決定するための診断試験 Download PDF

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Description

本発明は診断の分野にあり、より詳細には、血液又はその他の体液中に一時的に存在する生物活性酵素の濃度の推移を実時間で決定する方法と、この方法を実施するための試験キットに関する。
a.序論
体液中でのタンパク質分解酵素の産生及び消滅は、消化や炎症、血液凝固、血栓形成などの様々な過程において重要な要素である。一例を挙げると、トロンビンは、血液が凝固する際に一時的に存在する酵素であり、且つ止血及び血栓形成の重要な酵素である。止血血栓系(HTS)の障害は、廃疾的且つ致死的な全ての疾病の過半数において極めて重要なものである。定量的にそれほど重要ではないもの、血友病及び肺塞栓症がすぐに頭に浮かぶ。動脈血栓が冠状動脈梗塞を引き起こすこと、又は高齢者10人のうち1人は脳の動脈を妨害する血餅によって脳機能を失う畏れがあること(心房細動及び頚動脈塞栓による塞栓症)、又は重病患者が凝固系の障害が原因となって出血多量で死ぬ可能性があること(事故の犠牲者、及び致死性血管内凝固を伴う敗血症に罹患した患者)は、それほど広く認識されていない。悪性腫瘍よりも動脈血栓症で多くの人々が死んでおり、また事故よりも静脈血栓症で多くの人々が死んでいることは、十分に理解されていない。このような医療上の重要性に鑑み、今日臨床医が行うことのできる有効なHTSの機能試験がないことは、驚くべきことである。
体液中には、タンパク質分解酵素の活性化及びその後の不活性化によって作用する、生理学的により重要な生化学系がいくつか存在し、例えば、血液中には凝固系、線溶系、及び補体系があり、胃腸液には消化酵素が存在する。これらの系の生物学的機能を評価するには、そのようなタンパク質分解活性が生体外で体液サンプル中に生じたときに、それに合わせてタンパク質分解活性の推移を追跡できることが重要である。このような系の障害によって、致命的な疾病、例えば冠状動脈梗塞や脳卒中又は致命的な出血(血液凝固及び線維素溶解)、全身感染症及び自己免疫疾患(補体系)、又は食物吸収障害(胃腸液)などに至る可能性があるので、上述のような機能評価は診断上最も重要なことである。
止血及び血栓形成では、凝固時間が今日利用できる最良の評価事項であり、この凝固時間は、軽度止血障害(例えば血友病や軽度肝疾患のキャリア)、又は高度な血栓症リスクをもたらす高度な凝固性の影響を受けない。凝固試験は、しばしば特定の用途に適合させる必要がある。例えばトロンボプラスチン時間(=プロトロンビン時間(PT)、=クイックタイム)は、重篤な肝疾患の診断又は抗凝固薬による治療に使用することができるが、血友病又はヘパリン治療によって延長されない。臨床凝固実験の技術及び科学の多くは、種々のタイプの凝固時間、血小板凝集、出血時間などから得ることのできる散乱した情報を、どのように解釈するかを知ることにある。
全体試験の不十分な点は、一部は、凝固系の単一の成分に関する非常に様々な最新の試験によって補われ、実際にそれだけの数だけ、どれが臨床止血検査に関する特定の知識の残り半分であるか、全ての特殊なケースについて適切な選択を行うべきである。
b.トロンビン産生メカニズム
血漿中でのトロンビン産生メカニズムは、以下のように具体化することができる。組織因子(TF)は豊富にあるが、排他的なものではなく、血管壁に存在する。血管壁が損傷すると、血液が組織に入り、血漿タンパク質第Vlla因子(Vlla)がTFと相互に作用することができる。これにより、血漿タンパク質と血小板との間に極めて複雑な一組の相互作用が引き起こされ、その結果、時間的及び空間的に限りのあるトロンビンの一時的なバーストが生じ、したがって、通常は創傷部の出血が止まるが、凝固は身体の残りの部分に伝播しない。
このメカニズムは、非常に込み入ったものであることが示され、正及び負のフィードバック反応が非常に多く行われるので、その動作をその部分的な知識から予測することはできない(単純化できない複雑さ)。したがって止血系の機能を評価したい場合は、トロンビン産生が体内で生じたときに、又はトロンビン産生が身体から切り離した部分、すなわち血液又は血小板に富む血漿のサンプル中で生じたときに、その産生について調査しなければならない。血小板と血漿因子との相互作用は特に重要なものであり、乏血小板血漿から得られる情報は、本質的に不十分なものである。例えば、Beguin S、R.Kumar、I.Keularts、U.Seligsohn、B.C.Coller、及びH.C.Hemkerの、「フィブリン依存性血小板凝血原活性はGPlb受容体及びフォンウィルブランド因子を必要とする(Fibrin−Dependent Platelet Procoagulant Activity Requires GPlb Receptors and Von Willebrand Factor)」、Blood(1999)93:564〜570:Beguin S及びR.Kumar、上掲(1997)を参照されたい。
凝固血漿中に形成された全トロンビンの重要な画分(約30%)は、フィブリン凝塊に結合している。凝塊結合トロンビンはその血栓性を維持し、フィブリノーゲンを凝固させ、第V、VII、及びXI因子並びに血小板を活性化することができる[Beguin S及びR.Kumar、Thromb.Haemost.(1997)78:590〜594;Kumar,R.、S.Beguin、及びH.C.Hemker、Thromb.Haemost.(1994)72:713〜721、及び(1995)74:962〜968]。これは、ごく一部が抗トロンビンによって阻害される。したがって、凝固系の機能を調査するときにフィブリンが存在することは不可欠である。
診断上の目的で且つ抗血栓薬として安全に使用する目的で、そのような系の機能を評価するために、凝固系の単一の構成要素に関する様々な試験が開発されてきたが、これについては以下にさらに詳述する。
前述のように、病変部位で生ずるトロンビン活性は、結果として起こる止血血栓性反応の程度の重要な決定因子である。トロンビンのほとんど(>95%)は凝固が生じた後に発生し、したがって凝固時間は、そのままトロンビン活性の良好な指標にはならない。血液凝固の際のトロンビン活性は一時的な現象であり、したがって凝固過程中に測定すべきである。
血液又は血漿凝固中のトロンビン形成の典型的な推移は、トロンビン産生曲線としても表され、これを図1に示す。観察可能なトロンビンが形成されない期間の後、その濃度は急激に上昇し、ピークに到達し、次いで再び低下する。パラメータは、遅延時間、内因性トロンビンポテンシャル(ETP;以下を参照)とも表される曲線下の面積(AUC)、ピーク高さ、及びこのピークに到達するのに要する時間である。
c.関連従来技術
図1に示されるトロンビン産生曲線は、典型的な場合、血液又は血漿の凝固から短い間隔で得られた小サブサンプル中のトロンビン含量を決定することにより得られる。例えば、R.Biggs及びR.G.Macfarlaneのヒト血液凝固及びその障害(Human Blood Coagulation and its Disorders)、Blackwell Scientific Publications、Oxford 1953;W.Seegers、プロトンビン(Prothombin)、Harvard University Press、Cambridge Mass、1962を参照されたい。この方法では一般に、これらサブサンプルを個別に分析する必要があり、わずか3〜5本の曲線を同時に求めるのに熟練労働者を間断なく従事させる。これは非常に労力が要るので、臨床上又は製薬上の日常的業務への適用が妨げられる。
EP−A−0420332(US5,192,689と均等)は、凝固中に人工基質から産生される産物の量を測定することによって、凝固血液又は血漿のサンプル中に存在しているトロンビンの量を決定する方法を開示している。この量は、内因性トロンビンポテンシャルETPとして表されるように、トロンビン産生曲線下面積に比例している。この方法は、トロンビン基質と併せて凝固血液又は血漿のサンプル中にトロンビン形成活性化物質を添加することを含み、トロンビン基質の量は、その動力学的特性も同様に、サンプル中に産生されるトロンビンの量が完全に前記トロンビン基質を消費しないよう選択され、それによって変換産物が産生され、このように産生された前記変換産物の量を測定し、これからサンプル中の内因性トロンビンポテンシャルを決定する。このETP法は、以下の反応によって例示することができる。
Figure 0004718833
全ての反応は不可逆的であり、したがってトロンビンは、反応混合物中に一時的に存在するだけである。トロンビンが存在する間、反応4に寄与し、その結果、基質の変換の程度は、トロンビンがこの反応を触媒する間の時間及び同様に触媒するまでの時間を示すことになる。
基質の量は、トロンビンが消失する前に消耗されるべきではないことが不可欠である。発生したトロンビン活性の総量の正確な表示に変換された基質の量に関し、反応速度は、どの瞬間においてもトロンビンの濃度に比例すべである。このETP法の本質は、トロンビンポテンシャルが、トロンビン/時間曲線そのものを決定することなくエンドポイント法として決定されることである。基質が測定に不足である場合、エンドポイントは単に、形成された産物の最大量になり、そのような数字にはいかなる意味もない。
さらにETP法は、実際に色素産生性の基質で実施され、すなわち光学密度測定を介して検出される色素産生性脱離基を持つ基質で実施される。フィブリノーゲン及びその結果生じる血小板は、トロンビンによるフィブリノーゲン−フィブリン変換から生じる濁度によって測定がさらに不可能になるので、血漿から除去しなければならない。しかしフィブリノーゲン及び血小板は、凝固系に不可欠な成分であり、トロンビン形成過程に影響を及ぼすものである。このため、検出方法としての光学密度の適用可能性に、重大な制約が生じる。したがって、血小板及び/又はフィブリノーゲンを含有する血漿中のETPを評価することは可能ではないと考えられる。
トロンビン濃度の連続的なモニタリングは、適切なトロンビン基質を凝固サンプルに添加し、アミド分解性の分解産物が出現する時間的経過をモニタすることによって、試みられてきた。例えば色素産生性基質を使用し、p−ニトロアニリンの発生がモニタされるように光学密度を測定する(Hemker HC、S.Wieders、H.Kessels、S.Beguin:Thromb Haemost.(1993)70(4):617〜24;Hemker HC及びS.Beguin:Thromb Haemost.(1995)74(1):134〜8)。そのような試験における反応速度がトロンビン濃度のみに依存する場合、またシグナルが産物の量に比例する場合、産生曲線の勾配は存在するトロンビンの量に比例すると考えられ、したがってトロンビン発生曲線は、比例定数(Kc)がわかっている場合、この産生曲線の1次導関数から得ることができる。
しかし実際には、反応速度はトロンビン濃度だけに依存するのではなく、シグナルは必ずしも産物の量に比例するわけではなく、Kcはわかっていない。その理由は以下の通りである。
:基質消費:シグナルは、サンプル中のトロンビンの活性に依存しているだけではなく、まさに酵素活性そのものによって時間と共に減少する基質の量にも依存している。その作用は、過剰な基質を添加することによって、ある限度まで弱まる可能性がある。基質は、トロンビンの活性中心に可逆的に結合し、それによって、トロンビンが天然の抗トロンビンにより不活性化されないようにする。基質消費の作用を許容可能な程度までなくすことは、実験が約2時間にわたり続くよう延長することによって行われる(基質がより多く添加されるほど、より多くの酵素分子が占有され、天然の不活性化の過程で利用できなくなる。このため実験の所要時間が長くなる。1×Kmでは、実験が30分で終了し、5Kmでは、基質消費が実際に独立していることが得られるが、実験は90分続く)。またそのような基質濃度では、トロンビン阻害がフィードバック反応を妨げ、天然の過程が測定されることをもはや保証しない。これは、変換された基質の総量から曲線下の面積を評価しようとする方法において、実験を実用上可能なものにするために余分な抗トロンビンを添加する必要が生じるよう、過剰な基質を添加しなければならないという理由でもある(上記開示したEP−A−0420332参照)。
:光学密度の変化は血漿サンプルの凝固により生じる。色素産生性基質を使用することは、凝固時点での光の散乱によってODの擬似的な増加を引き起こすフィブリノーゲンの除去、したがって血小板の除去を意味する。しかしフィブリノーゲン及び血小板は、凝固系の本質的な成分であり、トロンビン形成過程に影響を及ぼすものである(上記参照)。これにより、検出方法としての光学密度の適用可能性に、重大な制約が生じる。この問題は、蛍光産物をもたらす基質を使用することによって回避することができる[H.C.Hemker他、The thrombogram:多血小板血漿中でのトロンビン産生のモニタリング(monitoring thrombin generation in platelet rich plasma)、Thromb Haemost.83:589〜91(2000)]。しかしこれには次の問題がある。
:蛍光測定では、シグナルが産物の量に対して直線的な関係にない。とりわけ蛍光シグナルは、蛍光分子が他の産生分子からの光を吸収するので、すなわちいわゆる「内部フィルタ効果」があるので、蛍光産物の濃度に線形従属していない。蛍光産物の場合、基質消費の作用を制限する必要性に応じて基質濃度をKmの数倍まで増大させると、その内部フィルタ効果も自動的に増大する。
問題Aは、全ての連続法に一般的なものである。問題Bは、蛍光原基質を使用することによって回避できるが、しかしそれによって問題Cが引き起こされる。
D:問題A、B、及びCが存在しない場合であっても、トロンビン濃度に対する反応速度に関する疑問、すなわち較正定数Kcを決定することに関する疑問は残されたままである。この関係は、実験装置によって様々に異なり(例えば異なる蛍光光度計では異なっている)、またサンプルによっても様々に異なる(例えば血漿の色のばらつきに起因して)。既知の標準量のトロンビンをサンプルに添加することは、添加した酵素が生理学的反応を妨げることになるので、不可能である。また、血漿中では不活性化することから、トロンビンを並行非凝固サンプルに添加することも不可能である。
本発明は、血液又は血漿サンプル中のトロンビンを決定することに関する方法を提供することによって、これらの欠点を未然に防ぐことを目標とするが、この方法は、上記概説したETP法とは本質的に異なるものであり、すなわち産物の量の終点を決定するのではなくトロンビン濃度曲線の推移を実時間で求め、これを連続シグナルとして提供し、それによって、遅延時間やピーク高さなどのパラメータに関するより価値のある正確な情報が得られるのである。後者は、以下にさらに概説するように、凝固メカニズムの活性のわずかな差を測定するのにより重要である。言い換えれば、新しい方法は、ETP法のようにサンプル中に存在しているトロンビンの量を単一の値として提供するのではなく、サンプル中に一時的に存在するトロンビンの濃度の推移を実時間で提供するのである。
驚くべきことに上記概説した欠点は、血小板を含み又は血小板を含まない凝固血漿中のトロンビンの濃度を測定し、適切なシグナル基質のスプリッティングをモニタし、これを並行サンプル中の一定の既知のトロンビン活性と比較することによって、都合良く回避できることをついに見出した。
したがって本発明の一態様によれば、第1の生体サンプルにおけるタンパク質分解活性の推移を、この活性がサンプル内に現れまたサンプルから消失するときに実時間で決定するための方法が提供され、前記タンパク質分解活性は実質的にはトロンビン活性であり、この方法は、以下のステップ、すなわち
a)プロテアーゼ活性化物質を前記第1のサンプルに添加してタンパク質分解活性を発生させるステップと、
b)シグナル基質をステップa)に添加するステップであって、前記シグナル基質が、発生したタンパク質分解活性による反応によって形成された変換産物の量に関する検出可能なシグナルを引き起こすものであるステップと、
c)ステップb)で定義したシグナル基質上で一定の既知の安定なタンパク質分解活性を有するが通常は不活性である手段を、タンパク質分解活性を引き起こさない第2の並行サンプルに添加するステップであって、一定の既知の安定なタンパク質分解活性を有する前記手段が、α −マクログロブリン−トロンビン複合体、スタフィロコアグラーゼ(staphylocoagulase)−プロトロンビン複合体、及びγトロンビンからなる群から選択される、
d)ステップb)で定義したものと同じシグナル基質であって、既知の安定なタンパク質分解活性を有する手段による反応によって検出可能なシグナルを引き起こすシグナル基質をステップc)に添加するステップと、
e)前記第1のサンプルと前記第2の並行サンプルにおけるシグナルの発生の時間的推移を決定し、これらのサンプルのそれぞれから曲線を得るステップと、
f)前記曲線を比較して、第1のサンプルにおけるタンパク質分解活性の推移を経時的に導き出すステップと
を含むものである。
本発明の好ましい実施形態では、第1の血液又は血漿サンプルにおいて実質的にトロンビン活性であるタンパク質分解活性の推移を、この活性がサンプル内に現れまたサンプルから消失するときに実時間で決定するための方法が提供されるが、この方法は、以下のステップ、すなわち
a)トロンビン形成活性化物質を前記第1のサンプルに添加してトロンビンを形成するステップと、
b)シグナル基質をステップa)に添加するステップであって、前記シグナル基質が、形成されたトロンビンによる反応によって形成された変換産物の量に関する検出可能なシグナルを引き起こすものであるステップと、
c)ステップb)で定義したシグナル基質上で一定の既知の安定なトロンビン活性を有するが通常は不活性である手段を、トロンビン活性が引き起こされない第2の並行サンプルに添加するステップと、
d)ステップb)で定義したものと同じシグナル基質であって、既知の安定なトロンビン活性を有する手段による反応によって検出可能なシグナルを引き起こすシグナル基質をステップc)に添加するステップと、
e)前記第1のサンプルと前記第2の並行サンプルにおけるシグナル発生の時間的推移を決定し、これらのサンプルのそれぞれから曲線を得るステップと、
f)前記曲線を比較して、第1のサンプルにおけるトロンビン活性の推移を経時的に導き出すステップと
を含むものである。
第1の生体サンプルは、通常、血液、多血小板血漿又は乏血小板血漿又は無血小板血漿を含む血漿、唾液、血清、尿、脳脊髄液、精液、及び便から選択される。
本発明の方法を血液サンプルに関して実施する場合、血液は通常、クエン酸ナトリウム又はEDTAなどが入っている試験管内に採取し、したがって血液中の遊離カルシウムイオンが結合し、トロンビンの形成及び凝固が妨げられる。したがってトロンビンの生成を開始するためには、測定開始のすぐ前にカルシウムを添加すべきである。しかし、血液をクエン酸ナトリウム中などに採取しない場合、このカルシウムの添加は必ずしも必要ではない。例えば、この方法を、血液採取後数分以内で実験を開始することが可能なやり方で使用する場合である。
決定すべきタンパク質分解活性は、通常、トロンビンを含めた活性化凝固因子活性、活性化線維素溶解因子活性、及び補体系活性の活性化成分の群から選択される。本発明の方法により血液又は血漿サンプルからトロンビン活性の推移を実時間で決定することは、好ましい実施形態である。
本発明で使用されるシグナル基質は、脱離基を含めた化合物の群から選択することが好ましく、前記脱離基は、形成されたタンパク質分解酵素による反応によって検出可能な変換産物をもたらすものである。この変換産物は、通常は分光法、特に蛍光(好ましい)、光学密度、及びNMRによって決定される。したがって脱離基は、通常、蛍光基、色素産生基、水素イオンを放出する基などである。本発明の方法を実施するのに適切で且つ好ましいシグナル基質は、Z−Gly−Gly−Arg−AMCである。さらに、適切で検出可能な変換産物には、p−ニトロアニリド及び7−アミノ−4−メチル−クマリンが含まれる。
上記定義した、本発明の方法を実施するのに適切な一定の既知の安定なタンパク質分解活性を有する手段には、α−マクログロブリン−トロンビン複合体(好ましい)、スタフィロコアグラーゼ(staphylocoagulase)−プロトロンビン複合体、及びγトロンビンが含まれる。さらに、任意のタンパク質分解酵素、すなわちその活性中心が無傷のままであるが反応混合物におけるタンパク質とのその機能的相互作用が消滅するという点で、2次認識部位が変性されている任意のタンパク質分解酵素を使用することができる。
本発明の方法を実施するのに有用なプロテアーゼ活性化物質には、カルシウムイオン、リン脂質、組織因子、可溶性組織因子、トロンボプラスチン、カオリン、及びエラグ酸が含まれる。
本発明の別の態様によれば、前記第1の生体サンプルは、止血血栓系など検討中のタンパク質分解系に及ぼす影響に関して試験がなされる医薬品をさらに含む。本発明の方法において試験することができる適切な医薬品は、抗血小板薬や抗凝固薬などの抗血栓薬、例えばヘパリン、デルマタン硫酸であり、直接トロンビン阻害剤、例えばヒルジン、アルガトロバン、又はメラガトランであり、第Xa因子阻害剤、例えば高濃度抗凝固タンパク質である。
本発明のさらに別の態様によれば、上記定義したように、タンパク質分解活性、特にトロンビン活性の推移を実時間で求める方法を実施するためのキットが提供される。そのようなキットは、都合の良いことに、適切な容器又はその他の都合の良いパッケージング手段内に以下の構成要素、すなわち
−既知の濃度のαM−トロンビン複合体と、
−多血小板血漿が凝固反応を開始するためのPRP試薬と、
−乏血小板血漿又は無血小板血漿が凝固反応を開始するためのPPP試薬と、
−特に、止血血栓系に特定の異常が生じ又は予測される場合にトロンビン活性の推移の診断を円滑にする添加剤であって、適切な添加剤は例えば、とりわけ第V因子ライデンの診断に有用なトロンボモジュリン又は活性化タンパク質C、或いは特定の抗血栓薬又は抗血小板薬であるものと、
−シグナル基質を含有する試薬と、
コンピュータにおいて実行されるとき、上記定義した方法によって測定されるトロンビン活性曲線を計算するためのコンピュータのメモリーに直接搭載可能なソフトウェアプログラムと、
−取扱い説明書と
の1つ又は複数を含む。
このキットは、凍結乾燥試薬を適切に含んでよい。
本発明のこれら及びその他の目的について、より詳細に以下に述べる。
定義
血液又は血漿サンプル中に生じるタンパク質分解酵素に関連して本明細書で使用される「一時的に活性」という用語は、生理学的過程が当技術分野で知られている手段により開始されると、酵素活性が最初に生じ、次いで最終的には再び(ほぼ)ゼロ活性にまで鎮静化する事実を指す。
本明細書で使用する「複合生物媒体」という用語は、血漿、血液細胞を有する血漿、又は全血、或いは身体由来のもの又は他のものからの任意のその他の流体であって、酵素の活性化及び不活性化の生物学的過程が生じるものを指す。
本明細書で使用する「実時間」という用語は、媒体中の酵素濃度の推移が、反応容器内で進行するサンプルの生物学的活性化及び不活性化と同時に表示されることを示すものである。
本明細書で使用する「遅延時間」という用語は、トロンビン形成が実際に開始されるまでに要する時間を示すものである。
本明細書で使用する「ピーク高さ」という用語は、実現された最大トロンビン活性を意味する。
本明細書で使用する「上昇勾配の峻度」という文言は、ピークに到達する前にトロンビン濃度が増大する速度を意味する。
本明細書で使用する「ピークまでの時間」という文言は、反応開始時とピークに到達した瞬間との間の時間を意味する。
本明細書で使用する「ETP」という用語は、トロンビン活性が(ほぼ)ゼロになる瞬間までの曲線の時間積分を意味する。
本明細書で使用する「シグナル基質」という用語は、媒体中に存在するタンパク質分解酵素によって切断された基質であって、そこから光学的方法、NMR、又はその他の方法により検出可能な脱離基が切り離されるものを意味する。光学的に検出可能な脱離基は、例えばp−ニトロアニリドや7−アミド−4−メチル−クマリンである。p−ニトロアニリドは405nmで吸収し、7−アミノ−4−メチル−クマリンは蛍光を発する(390nmで励起、460nmで放出)。NMR活性脱離基の例は、31P、13C、或いはNMR又はその他同様の技法で検出することができる任意のその他の原子を含有するものである。Hイオンも脱離基として使用することができ、これはpHの変化を測定することによって検出可能である。
以下の事項では、本発明を実施するための止血及び血栓系(HTS)に関する典型的な記述がなされ、その最も重要な酵素であるトロンビンに重点を置いている。しかし本発明は、その他の酵素及びその他の生体系にも関し、例えば、血液及び血漿中の凝固系のその他の活性化タンパク質分解酵素(因子)、血液及び血漿中のプラスミン及びその他の線維素溶解系の活性化成分、血液及び血漿中の活性化補体因子、胃液中のペプシン、十二指腸液中のトリプシン及びキモトリプシンなどに関することにも留意されたい。
上述のように、一般に一時的な酵素活性は、変換されるとシグナルを生成する基質を添加することによって、測定することができる。本発明の分野で蛍光原基質を使用する場合、そのような方法は典型的に、トロンビン発生が引き起こされている血液(又は別の生体サンプル)に蛍光原基質を添加することを含む(当技術分野で知られている方法を使用する)。基質が切断されると、励起及び放出の波長あたりで測定可能な蛍光産物が形成される。
これは通常、同様の場合、第2の完全に同等なサンプルに、既知の活性を有する固定量の同様の基質酵素、すなわち本明細書では「較正物質」とも呼ぶ基質酵素を添加し、この既知の活性と調査中のサンプルの活性とを実時間で比較することによって実現できる。しかし本発明の場合、活性は血漿中で不安定であり後に血漿から消失するので、トロンビンそのものを較正物質として使用することは可能ではない。また、トロンビンを添加した直後には血餅形成も生じ、試薬の適正な混合が妨げられ、不安定な結果を招くことになる。
上述の問題とは別に、Y軸の単位は任意のままであるが、変換産物の濃度はいわゆる内部フィルタ効果によって増大しそれに伴って利用可能な基質が減少し、それによってトロンビン濃度とシグナル生成速度との関係が変化するので、Y軸の単位は実験の進行と共に変化する。さらにこれらの実験は、光の吸収及び蛍光の消光によってドナー依存的にシグナルに影響を及ぼす可能性のある血液又は血漿中で実施される。
したがって各ドナーからの各サンプルは、Y軸上の任意の単位が、実時間で、モル単位のトロンビン濃度として表される妥当な量のトロンビン活性に帰するような方法で測定すべきである。
本発明は、凝固血漿中に発生しまた凝固血漿から消失するときにトロンビンによって分割された分子から得られたシグナルの1次導関数に絶対値(nM)を割り当てるため適切に使用することのできる、一定のトロンビン様活性を、ある物質が示すという驚くべき発見に基づいている。適切であり特に好ましい物質は、α−マクログロブリン(本明細書ではα−M又はαMと表す)とトロンビンとの不可逆性複合体であり、或いは、スタフィロコアグラーゼとプロトロンビンとの複合体である。
トロンビン活性を、例えば蛍光分子を生成するそのアミド分解作用を介してサンプル中でモニタする場合、得られたシグナルは、様々な理由により存在するトロンビン活性に直接関係付けることができない。単位時間当たりに形成される蛍光生成物の量と蛍光シグナルの増加との関係は、器具に依存し、試量の光吸収特性に依存し、またサンプル中に既に存在する生成物の量に依存する(いわゆる内部フィルタ効果)。トロンビンの量と蛍光生成物の量との関係は、既に消費された基質の量に依存する。経時的な産物形成(dP/dt)とトロンビン活性との間にたとえ直接的な関係があるとしても、その関係は器具及びサンプルに依存的であり、実験中に変化することになる。
この系を誘発した後にトロンビンが現れ且つ消失するのは、まさに凝固系の特性である。このような出現及び消失速度の病理学的変化によって、重篤な病気が引き起こされる。したがって、サンプル中のトロンビンの消失速度は、検討されるサンプルにおいて影響を受けてはならない重要な生物学的変数である。この同じ性質によって、トロンビン活性に絶対値を割り当てる較正物質として使用することが可能であり血漿中で一定の活性を有するトロンビン製剤を得ることが不可能になる。
器具、サンプル、及び時間への依存性が、凝固血漿からのシグナルと一定のトロンビン様活性を有する手段との比較によって打ち消されることは、本発明に不可欠な要素である。α−マクログロブリン−トロンビン複合体は、当業者が容易に決定することのできる一定のトロンビン様活性を提供する優れた手段になるような、所望の特性を有することがわかった。トロンビンとα−マクログロブリンとの結合により、血漿中に存在する天然の不活性化物質にトロンビンの免疫性が与えられるが、切断されたときに光吸収特性、蛍光特定、又はその他のシグナル生成特性を有する分子を放出する小さい基質を分割する能力は損なわれないままである。α−マクログロブリンは多種多様のタンパク質分解酵素に結合することができるので、他のタンパク質分解酵素に対する較正物質を調製するのにも使用することができる(例えば活性化第X凝固因子、プラスミン、トリプシス、ペプシン、補体第3因子)。上述のように、スタフィロコアグラーゼとプロトロンビンの複合体は、やはり血漿阻害剤に対して感受性のない一定のトロンビン様活性を提供することができ、したがってその他のタンパク質分解酵素に対する代替の較正物質系として適用できる点で、同様の特徴を有することがわかった。
本発明による方法は、血液又は血漿のサンプルを2つに分け又は単に実質的に同等の2つのサンプルを使用し、単位時間当たり、存在するトロンビン活性に対して関係を生み出す量で、検出可能なシグナルを生成する基質を、上記2つのサンプルに添加することを含む。一方のサンプルでは、トロンビンの発生(すなわち凝固)が、当技術分野で知られている方法により引き起こされる。他方のサンプルには、独立に決定され且つ不変のトロンビン活性を有する製剤、好ましくは上述のα−マクログロブリン−トロンビン複合体を添加する。産物の形成については、好ましくは同じ時に2つのサンプルで測定する。凝固サンプル中に任意の時点で存在するトロンビンの厳密なモル量は、そのサンプルからのシグナルと、これと同時に測定された、既知の且つ不変のトロンビン活性を有する製剤が添加されているがトロンビンの形成は生じていないサンプルからのシグナルとの比較によって得られる。
α−マクログロブリン−トロンビン複合体の他、アミド分解性を有するがトロンビンの生理学的活性を持たない代替の酵素は、細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)により産生されたスタフィロコアグラーゼである。この酵素は、血漿中に存在するプロトロンビンに結合することができる。スタフィロコアグラーゼ−プロトロンビン複合体は、ATにより阻害されることなく小規模のトロンビン基質を変換することができる。例えばスタフィロコアグラーゼ、スタフィロコアグラーゼ−プロトロンビン又はαM−トロンビン複合体を、通常は1リットル当たり5〜1000ナノモルの範囲の量で、好ましくは1リットル当たり100ナノモル程度の量で、試験サンプルに添加する。
本発明の方法により生成された曲線は、遅延時間、曲線下の面積、ピーク高さ、上昇勾配の峻度、ピークまでの時間などのパラメータ、及び数学関数T=a.t^b.exp−ct(遅延時間後に開始)に似ている曲線のその他全てのパラメータによって特徴付けられる。トロンビンの濃度は、典型的な場合ゼロで始まり、通常は50〜500ナノモルの間の値のピーク高さまで上昇し、再びゼロに戻る。遅延時間は、通常0〜20分の間の値であり、トロンビン濃度が約10ナノモル程度になるや否や終了する。この時点では血餅の形成も生じるが、2〜3分後にピークが生じる。Synapse B.V.の登録商標であるThrombogram(登録商標)としても表される、本明細書に記載されるトロンビン発生曲線のパラメータは、相互に作用する凝固因子の多様な濃度及び反応定数によって影響を受ける複合パラメータである。これらパラメータは、臨床、治療、又はその他の状況で引き起こされるような止血血栓系の機能に影響を及ぼすこれら変数の全ての変化を反映する。これまで測定されている全ての抗血栓及び止血血栓系に関係する全ての疾患は、これらのパラメータに影響を及ぼしてきた。抗血栓治療又は任意の種類の止血性凝固障害の間、遅延時間及びピークまでの時間の値は通常増大し、ピーク高さ及び曲線下の面積は通常減少する。一方、凝固亢進状態では、これらのパラメータはこれと反対の方向に進む。このようにThrombogramは、血液の凝固可能性を正確に反映し、血栓性又は止血性のリスクの指標を与える。
本発明はさらに、本明細書に記載する本発明の方法を実施するためのキットに関し、並びに本発明の方法の決定を日常的に行うための装置に関し、大量の試験サンプルを保持することができる自動化された機器の操作を容易にするために試験成分の供給源を大量に供給することに関する。
好ましい実施形態では、この試験キットは以下のものを含むことが適切である。
1.任意選択で凍結乾燥した形をとる、既知の濃度のα−マクログロブリン−トロンビン複合体からなるトロンビン「較正物質」。
2.多血小板血漿を目的とし且つ凝固反応を開始するトリガ物質を含有したPRP試薬であり、通常は、任意選択で凍結乾燥した形をとる、トロンボプラスチン又は組換え再脂質化組織因子又は可溶性組織因子である。或いは、エラグ酸やカオリンなど、本来の系を活性化するトリガ物質を含有してもよい。
3.任意選択で凍結乾燥した形をとり、トロンボプラスチン又は組換え再脂質化組織因子又は可溶性組織因子と併せてリン脂質小胞を含有する、乏血小板血漿又は無血小板血漿を目的とするPPP試薬。或いは、エラグ酸やカオインなど、本来の系を活性化するトリガ物質を含有してもよい。
4.PPP又はPRP試薬からの化合物と、凝固系内の特定の異常に対してThrombogramの感度をより高くする特定の化合物とを含有する試薬。例えば、リン脂質を含まないPPP試薬を用いると、血漿中に存在する微粒子に対し、Thrombogramの感度がより高くなる。トロンボモジュリン又は活性化タンパク質C(APC)を添加したPPP又はPRP試薬は、プロテインC系として知られる天然の抗凝固系の全ての障害に対するThrombogramの感度をより高くする。活性化タンパク質C(APC)を添加したPPP又はPRP試薬は、第V因子ライデン、或いは第V因子及び/又は第VIII因子のいわゆるAPC耐性のその他の先天的又は後天的な形のものに対し、Thrombogramの感度をより高くする。組織因子を持たないPRP又はPPP試薬は、サンプル中に存在する内因性組織因子活性の存在に対して、Thrombogramの感度を高くする(Giesen他、Proc Natl Acad Sci USA 1999 96(5):2311〜5参照)。
5.Z−Gly−Gly−Arg−AMCなどのシグナル基質を含有する試薬であり、通常はカルシウムイオンも含むもの。
6.経時的にトロンビン濃度を得るために、本発明の方法に含まれる補正の計算を円滑に行うソフトウェアプログラム。本発明の方法を実施するために特別に設計され且つThrombinoscope(登録商標)という商標で指示される適切なソフトウェアプログラムは、そのウェブサイトwww.thrombin.comを介して又は電子メール:info@thrombin.comにより接触することが可能な、出願人であるSynapse B.V.から得ることができる。
7.どのようにキットを使用すべきかという説明が記載されたマニュアルも、この試験キットの一部を形成する。
PPP試薬とPRP試薬との相違はリン脂質の含量にあり、この含量は、PRPの場合、トロンビン形成における血小板の寄与を測定可能にするために低くすべきである。
試験キットは、以下のように都合良く使用される:PPP 80マイクロリットルにPPP試薬20μLを添加し、これと同様の別の血漿サンプル80μLにトロンビン較正物質20μLを添加する。その後、蛍光原基質とカルシウムとの混合物20マイクロリットルを、両方のサンプルに添加し、蛍光光度計において反応を行う。
本発明の方法及びキットは蛍光原基質との使用に制約されず、場合によっては色素産生性、NMR、化学発光、及びその他同様のアッセイ法に適用できることが当業者に理解されよう。しかし、任意のその他の利用可能な方法とは対照的に、評価をフィブリンの存在下で行うことができ、したがってフィブリン上のトロンビンも測定されるので、現在のところは蛍光原基質が好ましい選択である。さらに、しばしば面倒な脱線維素を回避することができ、その結果、診察室で容易に運用することのできる、より簡単でより信頼性のある方法が得られる。さらに、今回の蛍光原基質を使用する本発明の方法によれば、血小板の存在下でのトロンビンの評価が可能になり(当技術分野で周知のように、フィブリンは血小板の活性化に必要である)、したがって抗血小板薬を試験することができ、血小板の病理を測定することができ、このためより適切な治療が可能になる。
図9は、健康なドナーの多血小板血漿を測定し、それと共に既知の血小板活性化阻害剤(ReoPro(登録商標))で処理した同様の血漿について測定を行った実験の一例である。2つの曲線はその形状が異なっており、それは長いTTPと低いピーク高さから明らかであるが、いずれの曲線についてもその曲線下の面積は3%以内であり、同一である。ETPに対する明らかな影響がない場合のピーク高さ及びTTPに対するこの影響は、多くの軽度凝固因子欠乏症、例えばフォン−ウィルブランド病や、第VII因子又は第V因子の欠乏症、及び第VIII因子又は第IX因子の欠乏症(血友病)でも見られる。多くの場合、ピーク高さ及びTTPは、ETPだけの場合よりも非常に感度の高いトロンビン形成曲線のパラメータであることを証明している。
本発明による方法は、ヒト及び動物における先天的、後天的、又は薬物誘発型の凝固亢進状態及び凝固低下状態を診断するのに適切に使用することができ、したがって、抗血栓薬と、一般には凝固系の機能及びこの系の機能不全を特徴とする全ての病的状態に影響を及ぼす全ての薬物とを用いた予防的又は治療的療法をモニタするのに適切に使用することができる。
次に本発明について、いかなる観点からも本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない以下の実施例により、さらに説明する。
実験
1.トロンビン較正物質の調製
α−マクログロブリンの分離
未処理のα−マクログロブリン(αM)を、Barrett,A.J.α−マクログロブリン(Alpha 2−macroglobulin)、Methods Enzymol、(1981)80(Pt C)、第737〜54頁に従って調製する。この物質を、クエン酸ウシ血漿から分離する。この手順を、αMが12%(w/v)PEG−20,000中に沈殿するまで続ける。ペレットを、100mM NaCl、20mM HEPES(pH7.9)に溶解し、これを使用してαM−トロンビン複合体(αM−T)を調製する。
α−マクログロブリン−トロンビン複合体の調製
αMに、12μMウシプロトロンビン、6mM CaCl、50μMリン脂質小胞(20%脳ホスファチジルセリン、80%卵黄ホスファチジルコリン)、5nMウシ第Xa因子、及び0.78nMウシ第Va因子を添加する。この混合物を室温で30分間撹拌し、次いで一晩4℃に保つ。形成された血餅を除去し、この製剤をゲル濾過によって、精製に適した量に、すなわち本発明者の場合40mlの量に分ける(サイズ排除クロマトグラフィー)。次にこの製剤を、さらに処理が行われるまで−80℃で凍結することができる。
αM−T 40mlを、100mMクエン酸ナトリウム、20mM HEPES(pH7.4)、0.02% NaNで平衡化したセファクリルカラム(20cm×90cm)に添加する。このカラムに平衡緩衝液を、700mlに関し0.7ml/分で流し、次いで3ml/分で流す。保持体積774〜846mlである画分は、αM−Tを含有する。物質が、鋭いピークで溶出される。
αM−Tの濃度は、これが色素産生基質S2238を加水分解できるかどうかによって測定する。色素産生基質を加水分解する能力を、アミド分解活性と呼ぶ。この製剤のアミド分解活性は、600nMヒトトロンビンと同じ活性になるよう調節され、次いで100nMウシ抗トロンビン及び2U/mlヘパリン(LEO)を添加する。次にこの物質を、トロンビン較正物質として使用できるように準備ができている。必要なら、この物質を適切な量で凍結乾燥することができる。
2.血漿へのトロンビン又はα M−トロンビンの添加
トロンビンを血漿に添加すると、その活性は、血漿中に存在する天然のトロンビン阻害剤が原因となってすぐに低下する。一方、αM−トロンビンと同じ活性であるので、基質の欠乏及び内部フィルタ効果のみに起因してカーブした線が得られる。図1は、トロンビン(100nM)又はα M−トロンビン複合体を添加し、さらに蛍光原基質Z−Gly−Gly−Arg−AMC(0.417μM、BACHEMから入手可能、カタログ#l−1140)を添加した、96ウェルプレートのウェル内で測定された蛍光シグナルを示す。αM−トロンビン複合体(太線)とは対照的に、トロンビン曲線(シンボル)の活性は素早く低下することがわかる。緩衝液(20mM Hepes、140mM NaCl、5g/lウシ血清アルブミン(BSA)、pH7.35)では、これら2つの製剤が同一の活性を有し(細線及びシンボル)、緩衝液における蛍光収率が血漿中におけるよりも高いことも観察される。これは、血漿の色が緩衝液の色と著しく異なることに起因する。血漿の色のドナーごとのばらつきにより、シグナルの量に著しい相違が生じる可能性がある。このため、特定ドナーの血漿中のトロンビン活性と、同じドナーの血漿中の既知の較正物質の活性とを、常に比較する必要が生じる。
3.α M−トロンビン複合体の活性の評価
較正物質のアミド分解活性は、その既知の量のヒトトロンビンによる活性との比較により決定する。このヒトトロンビンの濃度は、活性部位の滴定によって決定される。トロンビンを、触媒反応の第1の部分で非常に速く反応する基質と相互に作用させて、発色性産物を放出し、例えば酵素の急速アシル化により測定可能な産物を放出し(例えばp−ニトロアニリン)、その後、非常にゆっくりと反応させて代謝回転反応を終了させる。したがって産物のバーストは、活性部位の数に比例する。次いでこのトロンビンから、酵素分子当たりの単位時間当たりの多数の変換分子の活性が、正確に理解される。比較は、温度、pH、及び基質濃度に関し、実際の実験の場合及びその実験の時間制限内(<30分)でトロンビンが安定な媒体の場合と同一の条件下で行う。これは、緩衝液(上記参照、図2参照)又は加熱した血漿、すなわち天然のトロンビン阻害剤が加熱(70℃で10分)によって不活性化されている血漿にすることができる。
4.トロンビン発生の自動化された蛍光発生的測定
まず、多血小板血漿サンプル中のトロンビン発生を測定する実験について述べる。使用した溶液:Beguin,S.、T.Lindhout、及びH.C.Hemker、微量の組織因子が、多血小板血漿中のトロンビン発生、そのヘパリンによる阻害に及ぼす影響(The effect of trace amounts of tissue factor on thrombin generation in platelet rich plasma,its inhibition by heparin)、Thromb Haemost、1989、61(1)、第25〜9頁に記載されるように得られるヒト多血小板血漿。緩衝液A:20mM Hepes、140mM NaCl、5g/lウシ血清アルブミン(BSA)、pH7.35;緩衝液C:20mM Hepes、140mM NaCl、BSA 60mg/mLを含む、pH7.35、0.02%アジ化ナトリウムを保存剤として含む。
FluCa溶液:緩衝液C 1750μLに、1M CaCl 200μLを添加する。この混合物を37℃に温める。次いでDMSOに基質溶液を100ミリモル/リットルになるよう溶かしたもの50μLを注ぎ込み、その試験管をすぐに撹拌することにより、基質2.5mM、CaCl 100mM、DMSO 2.5%の完全に透明な溶液を得る。
マイクロタイタープレート蛍光光度計(Fluoroscan Ascent、Thermolab Systems、ヘルシンキ、フィンランド)を、サーモスタットで37℃に調節した。96ウェル丸底プレートにおいて、緩衝液Aに組換え組織因子が30ピコモルの濃度になるよう溶かしたものからなる予熱したトリガ溶液20μLを、1つのウェルに添加し、α M−トロンビン複合体の濃度が600ナノモルであるものからなる予熱した較正物質20μLを、別のウェルに添加し、これらのウェルのそれぞれに、血漿を80μL添加した。蛍光光度計のディスペンサにFluCa溶液を満たし、実験を開始した。図3は、出現した蛍光シグナルを示す。得られたシグナルの1次導関数を図4に示す。
図3に示される1次導関数は、以下の3つの理由によりトロンビン時間曲線を正確に表していない。a)蛍光分子が測定波長の光も吸収するので(内部フィルタ効果)、産物−蛍光の関係が線形ではない。b)基質が消費される。c)α−マクログロブリン−トロンビンが、実験で生ずるトロンビン及び通常は任意の血漿中に存在するα −マクログロブリンから構成される。
実験中に構成されるαM−トロンビンの作用は、トロンビンがその小規模なシグナル基質上でのアミド分解活性により評価される測定法、サブサンプリング、及び連続法などの、全てのトロンビン発生の測定に共通の特徴である。この作用を補正する方法については公表されており、当業者に周知である[Hemker,H.C.及びS.Beguin、血漿中のトロンビンの発生:内在性トロンビンポテンシャルを介したその評価(Thrombin generation in plasma:its assessment via the endogenous thrombin potential.)Thromb Haemost、1995、74(1):第134〜8頁]。
妨害作用a及びbは、サンプル中に発生したトロンビンからのシグナルの1次導関数(O=f(t))と、較正物質によりその他のサンプル中に生成されたシグナルの1次導関数(S=f(t))との連続的なオンライン比較によって補正される。後者は、式S=B−Atに適合する直線に良好に近似される。A及びBは、S=f(t)により、最も良く適合する直線から実験中に連続的に計算される。補正された値(R)は、以下の式によって得られる。
R(t)=BSQRT(((B^2−4A)O(t))/(2A))−(B^2/(2A))
得られた曲線R=f(t)は、実験中、これらの実験を実行するコンピュータのスクリーン上に連続的に表示される(図5A及びB)。
5.同時実験
上記4で記述した実験は、96ウェルプレートの2つのウェルを必要とする。これは、繰り返し行われる実験で又は異なる実験で、任意の数の利用可能なウェルで同時に行うこともできる。唯一の要件は、所与の血漿における実験が常に、それと同様の別の血漿サンプルにおける較正物質からのシグナルとの位置合わせを伴うことである。図6は、同時に行われた24の実験からのシグナルの平均及び信頼限界を示す。フィブリン(フィブリノーゲン)の存在下で発生したトロンビンの量はより高いことがわかり、これは、この方法により、血餅に結合したトロンビンの活性がピックアップされることを示している。
図7は、異なる3個体からそれぞれ4回ずつ測定された曲線を示す。図8は、1つの個体のPRPから、1日につき4回、6日間にわたり測定された曲線を示す。
本発明は、生体サンプル中のタンパク質分解活性、特に血液又は血漿中のトロンビン活性の推移を実時間で決定するのに都合の良い試験方法を提供し、これは連続シグナルとして提供され、それによって、産物の量の終点決定だけがなされるETP法などの現況技術に属する方法に比べ、遅延時間やピーク高さなどのパラメータに関してより価値のある正確な情報が得られる。
本発明の開示は、全ての点において例示的なものであり限定するものではないと見なすべきであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって指示され、均等性の意味及び範囲内に包含される全ての変更は本発明に含まれるものとする。
サブサンプリングによって決定された、血液又は血漿凝固中のトロンビン形成の典型的な推移を示す、トロンビン発生曲線である。 蛍光原基質を含有する加熱した血漿又は緩衝液(上方のシンボル線)へのトロンビン添加による蛍光シグナルの発生(下方のシンボル線)と、α−マクログロブリン−トロンビン添加によるシグナルの発生(太線)を示す図である。 同濃度の蛍光原基質が添加される2つの同等の血漿サンプルの、当初の蛍光シグナルを示す図である。一方のサンプルでは、トロンビン発生活性化物質を添加した結果、トロンビンが発生した。他方のサンプルでは、既知の濃度のα−マクログロブリン−トロンビン複合体を添加した結果、安定なアミド分解活性が得られた。太線:トロンビン発生が活性化されたサンプルからのシグナル。細線:α−マクログロブリン−トロンビン複合体が添加されたサンプルからのシグナル。 図1のシグナルの1次導関数を示す図である。太線:トロンビン発生が生じたサンプルからのdFU/dt。細線:既知の濃度のα−マクログロブリン−トロンビン複合体が添加されたサンプルからのdFU/dt。 血漿における2つのトロンビン発生曲線を示す図である。太線:基質消費又は内部フィルタ効果に対して補正されていない経時的なトロンビン濃度。シンボル線:基質消費及び内部フィルタ効果に対して補正した後の経時的なトロンビン濃度。どちらの場合も、トロンビンの濃度は、血漿中の既知の活性のα−マクログロブリン−トロンビン複合体による蛍光原基質の初期変換速度から決定した。 トロンビン発生に関して同時に24回決定した値から得たシグナルの平均及び信頼限界を示す図である。曲線Aは正常な血漿を示し、曲線Bは、フィブリノーゲンが除去された正常な血漿を示す。 それぞれ4回ずつ同時に測定された、3個体からのトロンビン曲線を示す図である。 1日につき4回、6日間にわたり測定された、1個体のPRPからの曲線を示す図である。 それぞれ、健康なドナーの多血小板血漿と、これと同じ血漿を血小板活性化阻害剤で処理したものに関する、トロンビン発生曲線を示す図である。

Claims (16)

  1. 第1の生体サンプルにおけるトロンビン活性の推移を、当該活性が当該サンプル内に現れまたサンプルから消失するときに実時間で決定するための方法であって、以下のステップ、
    a)トロンビン形成活性化物質を前記第1のサンプルに添加してトロンビンを形成するステップ、
    b)シグナル基質をステップa)に添加するステップであって、前記シグナル基質が、形成されたトロンビンによる反応によって形成された変換産物の量に関する検出可能なシグナルを引き起こすものであるステップ、
    c)ステップb)で定義したシグナル基質上で一定の既知の安定なトロンビン活性を有するが通常は不活性である手段を、トロンビン活性引き起こさない第2の並行サンプルに添加するステップであって、一定の既知の安定なトロンビン活性を有する前記手段が、α−マクログロブリン−トロンビン複合体、スタフィロコアグラーゼ(staphylocoagulase)−プロトロンビン複合体、及びγトロンビンからなる群から選択される、
    d)ステップb)で定義したものと同じシグナル基質であって、既知の安定なトロンビン活性を有する手段による反応によって検出可能なシグナルを引き起こすシグナル基質をステップc)に添加するステップ、
    e)前記第1のサンプルと前記第2の並行サンプルにおけるシグナルの発生の時間的推移を決定し、当該サンプルのそれぞれから曲線を得るステップ、
    f)前記曲線を比較して、前記第1のサンプルにおけるトロンビン活性の推移を経時的に導き出すステップ、
    を含む、方法。
  2. 第1の血液又は血漿サンプルにおける、トロンビン活性の推移を、当該活性が当該サンプル内に現れまたサンプルから消失するときに実時間で決定するための方法であって、以下のステップ、
    a)トロンビン形成活性化物質を前記第1のサンプルに添加してトロンビンを形成するステップ、
    b)シグナル基質をステップa)に添加するステップであって、前記シグナル基質が、形成されたトロンビンによる反応によって形成された変換産物の量に関する検出可能なシグナルを引き起こすものであるステップ、
    c)ステップb)で定義したシグナル基質上で一定の既知の安定なトロンビン活性を有するが通常は不活性である手段を、トロンビン活性が引き起こされない第2の並行サンプルに添加するステップ、
    d)ステップb)で定義したものと同じシグナル基質であって、既知の安定なトロンビン活性を有する手段による反応によって検出可能なシグナルを引き起こすシグナル基質をステップc)に添加するステップ、
    e)前記第1のサンプルと前記第2の並行サンプルにおけるシグナル発生の時間的推移を決定し、当該サンプルのそれぞれから曲線を得るステップ、
    f)前記曲線を比較して、前記第1のサンプルにおけるトロンビン活性の推移を経時的に導き出すステップ、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の生体サンプルが、血液、多血小板血漿、乏血小板血漿、又は無血小板血漿も含めた血漿、唾液、血清、尿、脳脊髄液、精液、及び便からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記トロンビン活性が、トロンビンを含めた活性化凝固因子活性、活性化線維素溶解因子活性、及び補体系活性の活性化成分からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記シグナル基質が、脱離基を含む化合物からなる群から選択され、前記脱離基が、形成された前記タンパク質分解酵素による反応によって検出可能な変換産物をもたらす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記シグナル基質がZ−Gly−Gly−Arg−AMCである、請求項5記載の方法。
  7. 前記検出可能な変換産物が、分光法、特に蛍光、光学密度、及びNMRによって決定される、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記脱離基が、蛍光基、発色基、又は水素イオンを放出する基である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記検出可能な変換産物がp−ニトロアニリド又は7−アミノ−4−メチル−クマリンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記トロンビン形成活性化物質が、カルシウムイオン、リン脂質、組織因子、可溶性組織因子、トロンボプラスチン、カオリン、及びエラグ酸からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記第1の生体サンプルが、調査中のタンパク質分解系に及ぼす影響について試験がなされる医薬品をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記タンパク質分解系が止血血栓性の系である、請求項11記載の方法。
  13. 前記医薬品が、抗血小板薬又は抗凝固薬などの抗血栓薬である、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記抗血栓薬が、ヘパリン、デルマタン硫酸、直接的なトロンビン阻害剤、例えばヒルジン、アルガトロバン、又はメラガトラン、及び第Xa因子阻害剤、例えば高濃度抗凝固タンパク質からなる群から選択される、請求項13記載の方法。
  15. 既知の濃度のαM−トロンビン複合体、
    多血小板血漿が凝固反応を開始するためのPRP試薬、
    乏血小板血漿又は無血小板血漿が凝固反応を開始するためのPPP試薬、
    トロンビン活性の推移の診断を円滑にする添加剤、
    シグナル基質を含有する試薬、
    コンピュータにおいて実行されるとき、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法によって測定されるトロンビン活性曲線を計算するためのコンピュータのメモリーに直接搭載可能なソフトウェアプログラム、
    取扱い説明書、
    を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキット。
  16. 凍結乾燥試薬を含有する、請求項15記載のキット。
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