JP4717889B2 - 分波器とそれを用いた通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、弾性表面波素子で形成された分波器とそれを用いた通信装置に関する。
近年、携帯通信端末の多機能化・マルチバンド化に伴い所謂RFフロントエンド部を構成する部品点数も増加しているが、携帯通信端末自体は小型・軽量に保ちたいという要求があるため、各部品に対し従来に比してよりいっそうの小型・軽量化が求められている。
携帯通信端末の各部品の中で、アンテナの直下で使用される部品に分波器がある。分波器とは、異なる周波数帯の信号を分離する機能を持った装置であり、例えば送信周波数帯と受信周波数帯とを分離する分波器がCDMA方式の携帯通信端末等で使用されている。
分波器には従来、誘電体共振器フィルタを用いたものが用いられていたが、小型化の要求から近年では弾性表面波フィルタを用いたものが用いられるようになった。弾性表面波フィルタは、圧電基板上に設けたIDT(Inter Digital Transducer)によって励振される弾性表面波を用いた素子である(例えば特開平05−167388号公報参照)。
分波器は通過周波数帯域の異なる複数のフィルタ装置を接続して構成される。図2は、一般的な例として、分波器D1の回路構成を概略的に示す図である。分波器D1においては、第1のフィルタF1と第2のフィルタF2とが共通電極4000で接続されており、共通電極4000にはアンテナ端子1000が接続されている。例えば第1のフィルタF1が送信周波数帯を通すフィルタ(以下ではTxフィルタとする。)であり、第2のフィルタF2が受信周波数帯を通すフィルタ(以下ではRxフィルタとする。)のときには、アンテナ端子1000で受信された信号は第2のフィルタF2(Rxフィルタ)を通って出力端子2000から図示しない受信回路へと送られ、また、図示しない送信回路からの信号は入力端子2000から第1のフィルタF1(Txフィルタ)を通ってアンテナ端子1000から送信される。
しかし、図2の回路構成では例えば送信信号は共通電極4000からアンテナ端子1000だけでなく、受信回路側へも漏洩してしまう。そこで、アンテナ端子1000と各フィルタF1、F2との間には整合回路L1が設けられてなる。整合回路L1によって、受信周波数帯ではアンテナ端子1000から送信回路がほぼ無限大のインピーダンスとなるように、また、送信周波数帯では送信回路から受信回路がほぼ無限大のインピーダンスとなるように作用する。また、送信回路から受信回路へ漏洩する信号の程度を表す数値は一般にアイソレーション特性と呼ばれ、数値が大きいほど漏洩が小さいことを示す。
分波器は送信帯域及び受信帯域で高いアイソレーション特性を有することが要求されている。従来の分波器では、小型化を実現するため、通常は各共振子が相互に近接して配置されている。しかしながら、このような構成の場合、TxフィルタとRxフィルタの間において信号が漏洩し、アイソレーション特性の劣化が避けられなかった。
これに関して、特開2004−48240号公報には、DMS型フィルタにおいて、複数組の櫛型電極を、それぞれの弾性波の主伝搬方向同士が互いに重なり合わないように配置することによって、相互の電極間で伝搬波が干渉することを避けて、スプリアスを低減できる構成が記載されている(例えば、請求項11,図2等)。
DMS型フィルタは、一般的に共振子の数が少ないため、上記のように弾性波の主伝搬方向が互いに重なり合わないように櫛形電極を配置することは比較的容易である。しかしながら、耐電力性を要する分波器には、DMS型フィルタよりもラダー型フィルタが用いられる傾向にある。ラダー型フィルタは共振子数が多いため、特開2004−48240号公報に開示された技術をラダー型フィルタに適用して櫛型電極同士の弾性波の伝搬路をずらして配置しようとすると、小型化が難しくなってしまうという問題がある。
本発明の発明者は、ラダー型フィルタを用いた分波器のアイソレーション特性について、低周波側に通過帯域を有するTxフィルタと、高周波側に通過帯域を有するRxフィルタとをそれぞれ構成する共振子の弾性波伝搬路の延長線に重なりが生じている場合であっても、アイソレーション特性の劣化が少ない場合があるという知見を得た。この知見に基づき、さらに検討を進めたところ、低周波側に通過帯域を有するフィルタ素子の通過帯域高域側の特性を制御する共振子である、直列腕に配置された共振子(これを、直列共振子とも称する)から漏洩する弾性波が、高周波側に通過帯域を有するフィルタ素子の通過帯域低域側の特性を制御する共振子である、並列腕に配置された共振子(これを、並列共振子とも称する)によって受信される場合に、最もアイソレーション特性が劣化することを突きとめた。これらの知見に基づき、さらに試作評価を重ね、以下に示す本発明の構成に到達した。
したがって、本発明は上記のような問題を改善するべく案出されたものであり、耐電力性に優れたラダー型フィルタを用いた、小型でアイソレーション特性が良い分波器を提供するとともに、それを用いた通信装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様に係る分波器は、圧電基板の上に、第1のフィルタ素子と、前記第1のフィルタ素子よりも通過周波数帯域が高い第2のフィルタ素子とが設けられてなる分波器であって、前記第1と第2のフィルタ素子はともに、1対の櫛歯状電極指を有する複数の共振子を直列腕および一または複数の並列腕に配置したラダー型の構造を有し、前記第1と第2のフィルタ素子の前記複数の共振子は全て前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に沿って長手方向を有するように設けられており、前記第1のフィルタ素子の前記複数の共振子は、該複数の共振子の弾性表面波の伝搬方向が、前記第2のフィルタ素子に向かうようにして配置され、前記第2のフィルタ素子の前記複数の共振子は、該複数の共振子の弾性表面波の伝搬方向が、前記第1のフィルタ素子に向かうようにして配置され、前記第1のフィルタ素子の前記並列腕に設けられている共振子の少なくとも1つが、前記圧電基板の上において、前記第2のフィルタ素子の前記直列腕に設けられている共振子の弾性表面波の伝搬路と重なる位置に配置され、前記第2のフィルタ素子の前記一または複数の並列腕に設けられている一または複数の共振子の少なくとも1つが、前記圧電基板の上において、前記第1のフィルタ素子の前記直列腕に設けられている全ての共振子の弾性波伝搬路から外れた位置に配置されてなるようにした。
第1の態様によれば、第1のフィルタ素子の通過帯域高域側の特性を制御する共振子である直列共振子から漏洩する弾性波が、第2のフィルタ素子の通過帯域低域側の特性を制御する共振子である一または複数の並列共振子によって受信されることが抑制される。これにより、アイソレーション特性の優れた分波器が実現される。
第2の態様に係る分波器は、圧電基板の上に、第1のフィルタ素子と、前記第1のフィルタ素子よりも通過周波数帯域が高い第2のフィルタ素子とが設けられてなる分波器であって、前記第1と第2のフィルタ素子はともに、櫛歯状電極指を有する複数の共振子を直列腕および一または複数の並列腕に配置したラダー型の構造を有し、前記第1と第2のフィルタ素子の前記複数の共振子は全て前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に沿って長手方向を有するように設けられており、前記第1のフィルタ素子の前記複数の共振子は、該複数の共振子の弾性表面波の伝搬方向が、前記第2のフィルタ素子に向かうようにして配置され、前記第2のフィルタ素子の前記複数の共振子は、該複数の共振子の弾性表面波の伝搬方向が、前記第1のフィルタ素子に向かうようにして配置され、前記第1のフィルタ素子の前記並列腕に設けられている共振子の少なくとも1つが、前記圧電基板の上において、前記第2のフィルタ素子の前記直列腕に設けられている共振子の弾性表面波の伝搬路と重なる位置に配置され、前記第2のフィルタ素子の前記一または複数の並列腕に設けられている一または複数の共振子が、前記圧電基板の上において、前記第1のフィルタ素子の前記直列腕に設けられ、弾性波伝搬路の幅が最大である共振子を含む全ての共振子当該弾性波伝搬路から外れた位置に配置されてなるようにした。
第2の態様によれば、第1のフィルタ素子の通過帯域高域側の特性を制御する共振子である直列共振子のうち弾性波伝搬路の幅が最大である直列共振子から漏洩する弾性波が、第2のフィルタ素子の通過帯域低域側の特性を制御する共振子である一または複数の並列共振子によって受信されることが効率的に抑制される。これにより、アイソレーション特性の優れた分波器が実現される。
また、の態様によれば、第1のフィルタ素子の通過帯域高域側の特性を制御する共振子である直列共振子から漏洩する弾性波が、第2のフィルタ素子の通過帯域低域側の特性を制御する共振子である一または複数の並列共振子によって受信されることが、実用上問題ないレベルにまで抑制される。これにより、アイソレーション特性の優れた分波器が実現される。
また、第1またはの態様によれば、第1のフィルタ素子の並列共振子と第2のフィルタ素子の直列共振子とを、一方から漏洩する弾性波が他方に受信されるように設けたとしても、係る受信が生じることがアイソレーション特性に与える影響は小さいため、それらの共振子については弾性波伝搬路の重なりを気にせずに配置することができる。
の態様に係る分波器は、第1またはの態様に係る分波器において、前記第2のフィルタ素子の並列腕において再外側に配置されている共振子と当該並列腕においてこれに隣接配置されている共振子のそれぞれの弾性波伝搬路で挟まれる領域内に、前記第1のフィルタ素子の前記直列腕に設けられている共振子のうち、弾性波伝搬路の幅が最大である共振子が配置されてなるようにした。
の態様によれば、小型でかつアイソレーション特性の優れた分波器が実現される。
の態様に係る分波器は、第1ないし第のいずれかの態様に係る分波器において、前記圧電基板が正方形若しくは矩形の形状を有してなり、前記弾性表面波の伝搬方向が前記圧電基板のいずれかの辺と平行であるようにした。
の態様によれば、圧電基板上のデッドスペースが少なく、かつアイソレーション特性の優れた分波器が実現される。
の態様に係る通信装置は、第1ないし第のいずれかの態様に係る分波器を用いて構成されてなるようにした。
の態様によれば、アイソレーション特性に優れた分波器を用いた、小型で通話品質に優れた通信装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る分波器DPの上面図である。 一般的な分波器の回路ブロック図である。 実施例に係る分波器と比較例に係る分波器のアイソレーション特性を示す線図である。 変形例に係る分波器DP1を示す図である。 変形例に係る分波器DP2を示す図である。 変形例に係る分波器DP3を示す図である。 通信装置100の構成を模式的に示す図である。 比較例に係る分波器DP4を示す図である。
<分波器の構成>
以下、本発明の分波器の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する図面において同じ機能を有する箇所には同じ符号を付すものとする。また、各電極の大きさや距離等、あるいは電極指の本数や長さや幅等については、説明のために模式的に図示したものであるので、図示したものに限定されるものではない。
図1は本実施の形態に係る分波器DPの上面図である。分波器DPは第1と第2のフィルタ素子F1、F2とを含んで構成されている。そして、第1と第2のフィルタ素子F1、F2はいずれもラダー型フィルタとなっている。なお、第1と第2のフィルタ素子F1、F2は、第2のフィルタ素子F2が第1のフィルタ素子F1よりも高い通過周波数帯域を有するように設計されている。すなわち、分波器DPにおいては、第1のフィルタ素子が低通過帯域フィルタ素子であり、第2のフィルタ素子が、高通過帯域フィルタ素子ということになる。
第1と第2のフィルタ素子F1、F2は、圧電基板1の上面(表面)に形成され、それぞれ複数個の共振子R1、R2、R3、およびR4、これらを接続する信号線S1、S2及び接地線G1、G2、送信側入出力電極10及び20、受信側入出力電極30及び40、接地電極50とを含んで構成されている。共振子R1、R2、R3、およびR4はいずれも、櫛歯状電極指を有するIDTと反射器とからなる。
第1のフィルタ素子F1は、電気的に直列の位置に配置されている複数個の共振子R1(これを直列共振子R1とも称する)と、電気的に並列の位置に配置されている複数個の共振子R2(これを並列共振子R2とも称する)とを備える。より詳細には、直列共振子R1は、送信側入出力電極10及び20を結ぶ信号線S1上に配置されてなる。また、並列共振子R2は、信号線S1と接地電極50とを接続するそれぞれの接地線G1上に配置されてなる。
同様に、第2のフィルタ素子F2は、電気的に直列の位置に配置されている複数個の共振子R3(これを直列共振子R3とも称する)と、電気的に並列の位置に配置されている複数個の共振子R4(これを並列共振子R4とも称する)とを備える。より詳細には、直列共振子R3は、受信側入出力電極30及び40を結ぶ信号線S2上に配置されてなる。また、並列共振子R4は、信号線S2と接地電極50とを接続する接地線G2上に配置されてなる。
本実施の形態に係る分波器DPにおいては、全ての共振子R1〜R4が、圧電基板1における弾性表面波の伝搬方向に沿って長手方向を有するように設けられてなる。すなわち、全ての共振子R1〜R4は、それぞれのIDTおよび反射器の櫛歯状電極指が該伝搬方向に対して垂直な方向を向くように配置されてなる。また、それぞれの共振子について、IDTの櫛歯状電極指の交差部分を弾性表面波の伝搬方向に沿って延長した領域を、該共振子の弾性波伝搬路と定義する。図1においては、図示の簡単のため、直列共振子R1のうちの1つ、および並列共振子R4のうちの1つについての弾性波伝搬路P1およびP4のみを例示してなる。2本の一点鎖線で挟まれた幅wを有する領域がこれらに該当する。他の共振子についても、弾性波伝搬路は同様に定義される。
また、図1中の白抜き矢印は、直列共振子R1と並列共振子R4とから、弾性波が漏洩していく方向を示している。弾性波の漏洩は、それぞれの共振子の弾性波伝搬路に沿って生じる。ただし、漏洩波は、圧電基板1の表面上のみならず、その内部にも伝搬するものと考えられる。なお、分波器DPにおいては、白抜き矢印を図示していない他の共振子においても同様に、弾性波の漏洩は生じ得る。さらに、白抜き矢印方向だけではなく、共振子を挟んで反対の方向にも弾性波の漏洩は起こるが、ここでは省略する。
圧電基板1としては、フィルタ素子を形成する面(上面)が正方形若しくは矩形の形状を有するものを用い、第1と第2のフィルタ素子F1、F2に含まれる全ての共振子の弾性波伝搬方向が、圧電基板1のいずれかの辺と平行であるのがより望ましい。係る場合、共振子を圧電基板1の端縁部近傍に配置する構成をとることも可能となるので、圧電基板1上のデッドスペースが低減された分波器が実現される。このことは、分波器製造の低コスト化に寄与する。
<共振子の配置関係>
本実施の形態に係る分波器DPにおいては、図1に示すように、第1のフィルタ素子F1に含まれる直列共振子R1と、第2のフィルタ素子F2に含まれる並列共振子R4とが、互いの弾性波伝搬路が重ならないように配置されている。換言すれば、直列共振子R1と並列共振子R4とは、相手の弾性波伝搬路を外れた位置に配置されている。係る共振子の配置関係を「本実施の形態に係る第1共振子配置要件」とも称する。
直列共振子R1と並列共振子R4とを本実施の形態に係る共振子配置をみたして配置することにより、直列共振子R1から漏洩する弾性波が並列共振子R4によって受信されることが抑制される。これにより、本実施の形態に係る分波器DPにおいては、第1と第2のフィルタ素子F1、F2の相互間のアイソレーション特性の向上が実現される。
本実施の形態に係る第1共振子配置要件をみたすことで、アイソレーション特性の向上という効果が得られる理由は、次のように推測される。一般に、ラダー型フィルタにおいて通過周波数帯域の高域側の特性により強く関与する共振子は直列共振子であり、通過周波数帯域の低域側の特性により強く関与する共振子は並列共振子である。よって、通過周波数帯域が異なる2種類のラダー型フィルタを備える分波器では、低通過帯域フィルタ素子の直列共振子(該通過帯域の高域側特性に関与)と、高通過帯域フィルタ素子の並列共振子(該通過帯域の低域側特性に関与)とが、関与する周波数帯域が最も近いもの同士の組み合わせとなる。すなわち、これらの共振子の配置が最もアイソレーション特性に影響を与えることになることになるため、本実施の形態に係る分波器DPのように、直列共振子R1と並列共振子R4とを配置することで、前者から漏洩する弾性波が後者によって受信されることが抑止されてなり、アイソレーション特性の向上が実現されてなるものと考えられる。
さらにいえば、ラダー型フィルタにおいては、低通過帯域フィルタ素子の並列共振子(該通過帯域の低域側特性に関与)と、高通過帯域フィルタ素子の直列共振子(該通過帯域の高域側特性に関与)とが、関与する周波数帯域が最も遠いもの同士の組み合わせとなる。よって、これらの共振子から漏洩する弾性波の結合がアイソレーション特性に与える影響は上記に比して小さく、これらの共振子については、弾性波の伝搬路の重なりを気にせずに近接して配置することができる。すなわち、本実施の形態に係る第1共振子配置要件をみたすように、第1のフィルタ素子F1の直列共振子R1と第2のフィルタ素子の並列共振子R4さえ上述のように配置すれば、小型でアイソレーション特性の優れた分波器を実現することができることを意味している。
<分波器の変形例>
以上の説明においては、第1と第2のフィルタ素子F1、F2のそれぞれの図示しないアンテナ端子とが電気的に分離された場合を前提として説明しているが、本実施の形態に係る分波器DPの態様はこれに限るものではなく、共通に接続したアンテナ端子を有する構成であっても何等問題ない。要求される特性に応じた設計がなされ、いずれかの構成が適宜選択されればよい。
また、第1と第2のフィルタ素子F1、F2を構成する直列共振子及び並列共振子R1,R2,R3,R4のIDTの電極指の本数、電極指の交差幅、電極指の配置周期等は、設計に合わせて適宜選択すればよい。すなわち、図1に示したものに限定されない。
図4、図5、および図6は、分波器DPとは異なる共振子配置を有するそれぞれ分波器DP1、DP2、およびDP3を示す図である。ただし、各図においては、図示の簡単のため、IDTや反射器を一体的にハッチングで示している。なお、分波器DP1、DP2、およびDP3は、圧電基板1表面の外周部分に環状電極60を備えている。分波器DP1、DP2、およびDP3に用いた共振子R1、R2、R3、およびR4の設計は全て同じであり、各共振子の配置のみを変更した構成となっている。また、それぞれの分波器において、一部の共振子は、耐電力性を稼ぐために2つに分割されてなる。
図4の分波器DP1では、第1のフィルタ素子F1の全ての共振子、すなわち全ての直列共振子R1および全ての並列共振子R2の弾性波伝搬路と、第2のフィルタ素子F2の全ての共振子、すなわち全ての直列共振子R3および全ての並列共振子R4の弾性波伝搬路とが互いに外れた位置に配置されている。
これに対して、図5の分波器DP2では、図1と同様、第1のフィルタ素子F1の全ての直列共振子R1の弾性波伝搬路と、第2のフィルタ素子F2の全ての並列共振子R4の弾性波伝搬路とが互いに外れた位置に配置されており、第1のフィルタ素子F1の並列共振子R2の弾性波伝搬路と、第2のフィルタ素子F2の直列共振子R3の弾性波伝搬路とは、重なる位置に配置されている。
また、図6の分波器DP3では、第1のフィルタ素子F1の共振子のうち、弾性波伝搬路の幅が最大である直列共振子R1m(ただし、耐電力性を稼ぐため、直列共振子R1aと直列共振子R1bとに分割されてなる)と、第2のフィルタ素子F2の全ての並列共振子R4の弾性波伝搬路とが互いに外れた位置に配置されており、直列共振子R1m以外の直列共振子R1の弾性波伝搬路と、並列共振子R4の弾性波伝搬路R4とは、重なる位置に配置されている。
また、図8は、第1のフィルタ素子F1の直列共振子R1と、第2のフィルタ素子F2の並列共振子R4の弾性波伝搬路が重なることを気にせずに、できるだけ小型になるよう共振子を配置した分波器DP4を示す図である。分波器DP4に備わる共振子R1、R2、R3、およびR4の設計は、分波器DP1、DP2、およびDP3に備わる共振子と同じである。
これらの分波器DP1、DP2、DP3、およびDP4のアイソレーション特性を比較すると、アイソレーション特性が最も良いのは分波器DP1であり、次いで分波器DP2、分波器DP3と続き、最も悪いものが分波器DP4であることが、本発明の発明者によって確認されている。これはすなわち、分波器DP3のように第2のフィルタ素子F2の並列共振子R4の少なくとも1つが、第1のフィルタ素子F1の直列共振子R1の弾性波伝搬路から外れた位置に配置されていれば、アイソレーション特性の向上の効果が得られるということを意味する。これは、別の見方をすれば、第1のフィルタ素子F1の直列共振子R1の少なくとも1つが、第2のフィルタ素子F2の並列共振子R4の弾性波伝搬路から外れた位置に配置されていれば、アイソレーション特性の向上の効果は得られる、ということでもある。係る共振子の配置関係を「本実施の形態に係る第2共振子配置要件」とも称する。
図4に示す分波器DP1は、全ての共振子の弾性波伝搬路同士が互いに外れた位置に配置された構成を有するため、アイソレーション特性は良いものの、分波器DP2やDP3に比して小型化という点では不充分である。例えば、図4ないし図6、および図8に図示した分波器DP1ないしDP4の(より厳密にはその圧電基板1の)図面視上下方向の長さを2.2mmとすると、図4の分波器DP1ないしDP4の図面視左右方向の長さは、それぞれ、2.16mm、1.86mm、1.70mm、1.70mmとなる。そして、圧電基板1の表面積はそれぞれ、4.75mm2、4.09mm2、3.74mm2、3.74mm2となる。係る場合、図6に示す分波器DP3および図8に示す分波器DP4の表面積は、図4に示す分波器DP1のそれよりも約22%も小さいことになる。その一方で、分波器DP4の構成では第1のフィルタ素子F1の直列共振子から漏洩する弾性波が第2のフィルタ素子F2の並列共振子で受信されることになるため、良好なアイソレーション特性は得ることができない。これらを鑑みると、本実施の形態に係る第2共振子配置要件をみたす構成とすることにより、小型化を実現しつつアイソレーション特性も良好な分波器を作製することができる。
特に、図6に示す分波器DP3のように、第2のフィルタ素子F2の並列共振子R4が、第1のフィルタ素子F1の直列共振子R1のうち、弾性波伝搬路の幅が最大である直列共振子R1mの弾性波伝搬路から外れた位置に配置されてなる構成が、サイズの小型化の効果とアイソレーション特性向上の効果とをより効率的に得ることができるので望ましい。すなわち、係る構成態様は、本実施の形態において求められる第2共振子配置要件を満たしつつ、圧電基板1の表面積を最小にする構成である。なお、図6の分波器DP3は、第1のフィルタ素子F1を送信側の回路に用い、第2のフィルタ素子F2を受信側の回路に用いる態様で通信装置に搭載される場合を想定した構成を有している。すなわち、送信側入力電極10と、送信側出力電極20と、受信側出力電極30と、受信側入力電極40とを備える。また、このような態様で用いられる分波器は一般に、送信側の直列共振子のうち初段のものの弾性波伝搬路の幅が最大となるよう構成されることがある。これは、分波器では送信フィルタにパワーアンプで増幅されたハイパワーの信号が入力されるため、分波器の耐電力性能を満足するためには初段を直列共振子の直列接続とすることが有効であるためである。図6の分波器DP3もこれに対応するものであるが、第2のフィルタ素子F2の並列共振子R4を、該初段の直列共振子の弾性波伝搬路から外れた位置に配置することで、アイソレーション特性向上の効果がより効率的に得られるよう図られている。これは、別の見方をすれば、第1のフィルタ素子F1の直列共振子R1のうち、弾性波伝搬路の幅が最大である共振子R1mが、第2のフィルタ素子F2の並列共振子R4の弾性波伝搬路から外れた位置に配置されてなることが、アイソレーション特性向上の効果をより効率的に得ることができるので望ましい、ということでもある。特に、ハイパワーの信号が入力される送信フィルタの初段の直列共振子では漏洩する弾性波の強度も大きいので、図6のような配置をとることは係る漏洩を抑制するうえで非常に有効である。
なお、図6に示した分波器DP3は、第2のフィルタ素子F2の並列腕の外側に配置されている並列共振子R4aとこれに隣接する並列共振子R4bのそれぞれの弾性波伝搬路で挟まれる領域内に、第1のフィルタ素子F1の直列共振子R1mが配置されてなる構成を有するものでもある。
さらに、図6に示した分波器DP3は、圧電基板1の表面の外周部分に加えて、第1のフィルタ素子F1と第2のフィルタ素子F2との間の部分にも環状電極60が設けられた構成を有している。この場合、該環状電極60を接地電極(基準電位電極)として用いるようにすると、並列共振子R4aの接地電位側電極を該環状電極60と共有できるため、さらなる小型化に有効である。このように第1と第2のフィルタ素子F1、F2の間に環状電極がある場合であっても、本実施の形態に係る第1および第2共振子配置要件をみたしていれば、アイソレーション特性向上という効果を得ることができる。これは、弾性波の漏洩は圧電基板1の深さ方向にも生じ、いわゆるバルク波となって圧電基板1の底面に伝搬し、底面からの反射波が表面へと伝搬するが、上述した共振子配置をとれば、第1のフィルタ素子F1の直列共振子R1から漏洩し環状電極60の下方をくぐるようにして伝搬した弾性波が第2のフィルタ素子の並列共振子によって受信されることが抑制されるからである。
<分波器の製造方法>
次に、本実施の形態に係る分波器における各部位の材質、および、分波器の製造方法について、説明する。以下においては、図4ないし図6に示す、環状電極を有する場合を想定して説明する。
圧電基板1としては、36°±10°Yカット−X伝搬のLiTaO3単結晶,64°±10°Yカット−X伝搬のLiNbO3単結晶,45°±10°Xカット−Z伝搬のLi247単結晶等を用いるのが好ましい。電気機械結合係数が大きく、かつ群遅延時間温度係数が小さいためである。特に、電気機械結合係数の大きな36°±10°Yカット−X伝搬のLiTaO3単結晶を用いるのがよい。また、結晶Y軸方向におけるカット角は36°±10°の範囲内であればよい。それにより十分な圧電特性が得られる。
圧電基板1の厚みは0.1〜0.5mm程度がよい。0.1mm未満の厚みでは圧電基板1が脆くなり、0.5mmを超える厚みは、材料コストが大きくなるので好ましくない。また、焦電効果による電極破壊を防ぐために、還元処理を施した圧電基板1を使用してもよい。また、焦電効果による電極破壊を防ぐために、Fe元素が添加された圧電基板1を使用してもよい。
直列共振子及び並列共振子R1〜R4のIDTは、1対の櫛歯状電極指を互いに噛み合わせて構成される。電極指の材質としては、AlまたはAl−Cu系,Al−Ti系,Al−Mg系,Al−Cu−Mg系等のAl合金を用いることができる。またはAl−Cu/Cu/Al−Cu,Ti/Al−Cu,Ti/Al−Cu/Ti等の積層膜でIDTを構成してもよい。また、それぞれの共振子の反射器も、同様の材質にて形成される。
また、共振子は、蒸着法,スパッタリング法又はCVD法等の薄膜形成法により上記材質からなる金属膜を形成し、その後、フォトリソグラフィやRIE等の周知の方法により所定形状にエッチングを行うことによって形成される。各共振子のIDTおよび反射器は、櫛歯状電極指の対数が50〜300程度、電極指の線幅が0.1〜10μm程度、電極指のピッチが0.1〜10μm程度、電極指の開口幅(交差幅)が10〜200μm程度、電極指の厚みが0.1〜0.5μm程度であるのが、共振子の所期の特性を得る上で好適である。
なお、信号線、接地線、パッド電極、環状電極なども、上述した共振子の形成方法と同様の方法によって形成することができる。なお、信号線とは、送信側入出力電極10及び20,受信側入出力電極30及び40に加えて、共振子間を接続する信号電位の配線電極を指す。さらに、接地線とは、接地電極50に加えて並列共振子から接地電極50に至る接地電位(基準電位)の配線電極を指す。
さらに、分波器DPには、図示しない整合回路を、例えば、信号線S1などに接続した導体層として、圧電基板1上に形成してもよい。その場合、導体層の幅と線路長、厚み等を調整することによって、所望のインダクタンス値を有する整合回路を実現できる。あるいは、整合回路を外部回路として接続したり、インダクター素子を搭載することで整合回路を設けるようにしてもよい。なお、実装用の回路基板、例えばLTCC(低温同時焼成セラミックス;Low Temperature Co-fired Ceramics)基板に整合回路を内蔵させ、該回路基板に対して、分波器DPが形成された圧電基板1を実装することによって、整合回路と分波器DPとを接続するようにしてもよい。その際、上述したパッド電極の部分に半田バンプを形成し、相手側の回路基板にも対応する形状の電極パターンを設けておけば、相互にフリップチップ接続することができる。
共振子、信号線、接地線、パッド電極、環状電極等の上には、例えばSiO2等からなる保護層を形成することが望ましい。保護層は、周知のCVD法やスパッタリング法等を用いてSiO2膜などを形成した後、係る膜をフォトリソグラフィ、RIE等により所定形状に加工することで形成できる。なお、保護層の厚さは、例えば、約0.02μm程度とすればよい。
<通信装置への適用>
以上、説明を行ったように、本実施の形態に係る分波器は、小型でアイソレーション特性に優れたものとなる。そして、本実施の形態に係る分波器を通信装置に適用することができる。
図7は、係る通信装置の一例としての通信装置100の構成を模式的に示す図である。通信装置100は、主に送受信機300、アンテナ400、制御部200、操作部600、マイクロフォンMP、及びスピーカSPを備えている。
制御部200は、通信装置100の各種動作を統括制御する部位である。この制御部200は、CPU、RAM、及びROM等を備え、ROM内等に格納されたプログラムをCPUが読み込んで実行することで、通信装置100の各種制御や機能が実現される。
この送受信機300では、マイクロフォンMPから制御部200を介して入力されたアナログ音声信号がDSP(Digital Signal Processor)301でA/D変換(アナログ信号からデジタル信号へ変換)された後、変調器302で変調され、更に局部発振器320の発振信号を用いてミキサ303で周波数変換される。ミキサ303の出力は送信用バンドパスフィルタ304およびパワーアンプ305を通り、分波器306を通ってアンテナ400に対して送信信号として出力される。
また、アンテナ400からの受信信号は分波器306を通ってローノイズアンプ307、受信用バンドパスフィルタ308を経てミキサ309へ入力される。ミキサ309は局部発振器320の発振信号を用いて受信信号の周波数を変換し、当該変換された信号はローパスフィルタ310を通って復調器311で復調され、更にDSP301でD/A変換(デジタル信号からアナログ信号へ変換)された後、制御部200を介してスピーカSPに対してアナログ音声信号として出力される。
操作部600は、ユーザーによる通信装置100への各種入力を受け付ける部位であり、例えば、各種ボタン等によって構成される。
係る通信装置100の分波器306として、本実施の形態に係る分波器DPあるいはDP1ないしDP3を用いることができる。例えば、第1のフィルタ素子F1を送信側の回路に用い、第2のフィルタ素子を受信側の回路に用いれば、相互の回路間における信号の漏洩が抑えられて、高い通話品質が得られることになる。これにより、小型で通話品質に優れた通信装置を提供することができる。なお、第2のフィルタ素子を送信側の回路に用い、第1のフィルタ素子を受信側の回路に用いるようにしてもかまわない。
なお、本発明に係る分波器の実施形態は上述の態様に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることは何ら差し支えない。
例えば、櫛歯状電極指の対数や交差幅等が、共振子ごとに異なる態様であってもよい。櫛歯状電極指の対数や交差幅等を適宜に定めることによる寄生容量の調整及び弾性表面波の制御が可能となるので、さらに低損失で高アイソレーションな特性を得ることができる。
次に、上述の実施の形態に係る分波器の実施例を以下に示す。なお、以下に示す実施例はあくまで本発明の実施の形態の一例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例においては、送信周波数帯域が824〜849MHz、受信周波数帯域が869〜894MHzであり、第1のフィルタ素子F1が送信回路に、第2のフィルタ素子F2が受信回路に用いられるように、分波器DPを設計している。
まず、LiTaO3からなる圧電基板を用意し、その主面上に、厚みが6nmのTi薄膜層を形成し、その上に厚みが130nmのAl−Cu薄膜層を形成した。それぞれの層を交互に計3層ずつ積層し、合計6つの薄膜層からなるTi/Al−Cu積層膜を形成した。
次に、レジスト塗布装置により、該Ti/Al−Cu積層膜の上にフォトレジストを約0.5μmの厚みに塗布した。そして、縮小投影露光装置(ステッパー)により、図6に示す配置位置を有するように、共振子や信号線、接地線、パッド電極等となるフォトレジストパターンを形成した。その後、現像装置により、不要部分のフォトレジストをアルカリ現像液で溶解させた。
次に、RIE(Reactive Ion Etching)装置により、必要な箇所を残して残りをエッチングで除去し、図6に示す電極パターンを形成した。
なお、より厳密に言えば、係る電極パターンの形成は、多数個取り用の母基板の状態である圧電基板上に、所望の電極パターンを2次元的に繰り返し配置することで行っている。
次に、電極パターンの所定領域上に保護膜を作製した。すなわち、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置により、電極パターン及び圧電基板の主面上にSiO2膜を約0.02μmの厚みに形成した。そして、フォトリソグラフィによってフォトレジストのパターニングを行ない、RIE装置等でフリップチップ用電極部(入出力電極、接地電極などのパッド電極部分、および環状電極の部分)のSiO2膜のエッチングを行なった。
次に、スパッタリング装置を使用し、SiO2膜を除去した部分に、Cr,Ni,Auよりなる積層電極を成膜した。このときの電極膜厚は約1μm(Cr0.02μm、Ni1μm、Au0.1μm)とした。そして、フォトレジスト及び不要箇所の積層電極をリフトオフ法により同時に除去し、積層電極が形成された部分を、フリップチップ用バンプを接続するためのフリップチップ用電極部とした。
その後、圧電基板に設けられたダイシング線に沿ってダイシング加工を施し、圧電基板1条に電極パターンが形成された状態の多数のチップを得た。
次に、あらかじめ用意しておいたセラミックからなる回路基板上に形成されている、銀からなるパターン電極、入出力導体、接地導体、及び環状導体の上に、導電材を印刷した。導電材としては半田を使用した。そして、フリップチップ実装装置によって、各チップを、電極形成面を下面にして該セラミック回路基板上に仮接着した。仮接着はN2雰囲気中で行った。さらに、N2雰囲気中でベークを行ない、半田を溶融することにより、チップとセラミック回路基板とを接着した。チップに形成された環状電極と回路基板に形成された環状導体とにおいて半田が溶融し、接着することで、チップ表面の電極パターンが気密封止された。
さらに、チップが接着されたセラミック回路基板に樹脂を塗布し、N2雰囲気中でベークを行ない、チップを樹脂封止した。
最後に、セラミック回路基板にダイシング線に沿ってダイシング加工を施して個片に分割することで、回路基板上に実装された状態の、実施例に係る分波器Aが得られた。なお、個片に分割された状態のセラミック回路基板は、平面サイズが2.5×2.0mmであり、積層構造を有してなる。
また、比較例として、実施例と同じ膜構成を有するが、共振子の配置が異なる分波器Bを全く同じ方法によって作製した。分波器Bにおいては、図8に示したように、第1のフィルタ素子の直列共振子と、第2のフィルタ素子の並列共振子とを、互いの弾性波伝搬路と重なる位置に配置した。
これらの分波器A及びBの電気特性をネットワークアナライザ装置により測定した。図3はその結果を示す、分波器A及びBの通過帯域近傍のアイソレーション特性を示す線図である。図3において、横軸は周波数(単位:MHz)を、縦軸はアイソレーション(単位:dB)を表わしている。実線の特性曲線が分波器Aの結果を、破線の特性曲線が分波器Bの結果を示している。
図3に示すように、実施例に係る分波器Aでは、送信帯域のアイソレーション特性が62dB、受信帯域のアイソレーション特性が51dBであり、しかも共振子から漏洩した弾性波を別の共振子が受信することにより生じるリップルがごく小さいという結果が得られた。これに対し、比較例に係る分波器Bでは、送信帯域のアイソレーションが60dB、受信帯域のアイソレーションが47dBであり、リップルが大きい特性となっていた。
これにより、第1のフィルタ素子F1に含まれる直列共振子R1と、第2のフィルタ素子F2に含まれる並列共振子R4とを、互いの弾性波伝搬路が重ならないように配置することで、換言すれば、相手の弾性波伝搬路を外れた位置に配置することで、前者から漏洩する弾性波が後者によって受信されることを抑制することができ、アイソレーション特性が改善され、良好な電気特性を有することが確認できた。

Claims (5)

  1. 圧電基板の上に、第1のフィルタ素子と、前記第1のフィルタ素子よりも通過周波数帯域が高い第2のフィルタ素子とが設けられてなる分波器であって、
    前記第1と第2のフィルタ素子はともに、1対の櫛歯状電極指を有する複数の共振子を直列腕および一または複数の並列腕に配置したラダー型の構造を有し、
    前記第1と第2のフィルタ素子の前記複数の共振子は全て前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に沿って長手方向を有するように設けられており、
    前記第1のフィルタ素子の前記複数の共振子は、該複数の共振子の弾性表面波の伝搬方向が、前記第2のフィルタ素子に向かうようにして配置され、
    前記第2のフィルタ素子の前記複数の共振子は、該複数の共振子の弾性表面波の伝搬方向が、前記第1のフィルタ素子に向かうようにして配置され、
    前記第1のフィルタ素子の前記並列腕に設けられている共振子の少なくとも1つが、前記圧電基板の上において、前記第2のフィルタ素子の前記直列腕に設けられている共振子の弾性表面波の伝搬路と重なる位置に配置され、
    前記第2のフィルタ素子の前記一または複数の並列腕に設けられている一または複数の共振子の少なくとも1つが、前記圧電基板の上において、前記第1のフィルタ素子の前記直列腕に設けられている全ての共振子の弾性波伝搬路から外れた位置に配置されてなる、
    ことを特徴とする分波器。
  2. 圧電基板の上に、第1のフィルタ素子と、前記第1のフィルタ素子よりも通過周波数帯域が高い第2のフィルタ素子とが設けられてなる分波器であって、
    前記第1と第2のフィルタ素子はともに、1対の櫛歯状電極指を有する複数の共振子を直列腕および一または複数の並列腕に配置したラダー型の構造を有し、
    前記第1と第2のフィルタ素子の前記複数の共振子は全て前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に沿って長手方向を有するように設けられており、
    前記第1のフィルタ素子の前記複数の共振子は、該複数の共振子の弾性表面波の伝搬方向が、前記第2のフィルタ素子に向かうようにして配置され、
    前記第2のフィルタ素子の前記複数の共振子は、該複数の共振子の弾性表面波の伝搬方向が、前記第1のフィルタ素子に向かうようにして配置され、
    前記第1のフィルタ素子の前記並列腕に設けられている共振子の少なくとも1つが、前記圧電基板の上において、前記第2のフィルタ素子の前記直列腕に設けられている共振子の弾性表面波の伝搬路と重なる位置に配置され、
    前記第2のフィルタ素子の前記一または複数の並列腕に設けられている一または複数の共振子が、前記圧電基板の上において、前記第1のフィルタ素子の前記直列腕に設けられ、弾性波伝搬路の幅が最大である共振子を含む全ての共振子の当該弾性波伝搬路から外れた位置に配置されてなる、
    ことを特徴とする分波器。
  3. 請求項1または請求項2に記載の分波器であって、
    前記第2のフィルタ素子の並列腕において最外側に配置されている共振子と当該並列腕においてこれに隣接配置されている共振子のそれぞれの弾性波伝搬路で挟まれる領域内に、前記第1のフィルタ素子の前記直列腕に設けられている共振子のうち、弾性波伝搬路の幅が最大である共振子が配置されてなる、
    ことを特徴とする分波器。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の分波器であって、
    前記圧電基板が正方形若しくは矩形の形状を有してなり、
    前記弾性表面波の伝搬方向が前記圧電基板のいずれかの辺と平行である、
    ことを特徴とする分波器。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分波器を用いて構成されてなる通信装置。
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