以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による面光源装置の一つの実施形態を示す模式的斜視図である。図1に示されているように、本実施形態の面光源装置は、少なくとも一つの側端面を光入射端面31とし、これと略直交する一つの表面を光出射面33とする導光体3と、この導光体3の光入射端面31に対向して配置され光源リフレクタ2で覆われた線状の一次光源1と、導光体3の光出射面上に配置された光偏向素子4と、光偏向素子4の出光面42上にこれと対向して配置された光拡散素子6と、導光体3の光出射面33とは反対側の裏面34に対向して配置された光反射素子5とから構成される。
導光体3は、XY面と平行に配置されており、全体として矩形板状をなしている。導光体3は4つの側端面を有しており、そのうちYZ面と平行な1対の側端面のうちの少なくとも一つの側端面を光入射端面31とする。光入射端面31は一次光源1と対向して配置されており、一次光源1から発せられた光は光入射端面31から導光体3内へと入射する。本発明においては、例えば、光入射端面31とは反対側の側端面32等の他の側端面にも光源を対向配置してもよい。
導光体3の光入射端面31に略直交した2つの主面は、それぞれXY面と略平行に位置しており、いずれか一方の面(図では上面)が光出射面33となる。この光出射面33またはその裏面34のうちの少なくとも一方の面に粗面からなる指向性光出射機構や、プリズム列、レンチキュラーレンズ列、V字状溝等の多数のレンズ列を光入射端面31と略平行に並列形成したレンズ面からなる指向性光出射機構等を付与することによって、光入射端面31から入射した光を導光体3中を導光させながら光出射面33から光入射端面31および光出射面33に直交する面(XZ面)内において指向性のある光を出射させる。このXZ面内分布における出射光光度分布のピークの方向(ピーク光)が光出射面33となす角度をαとする。該角度αは例えば10〜40度であり、出射光光度分布の半値全幅は例えば10〜40度である。
導光体3の表面に形成する粗面やレンズ列は、ISO4287/1−1984による平均傾斜角θaが0.5〜15度の範囲のものとすることが、光出射面33内での輝度の均斉度を図る点から好ましい。平均傾斜角θaは、さらに好ましくは1〜12度の範囲であり、より好ましくは1.5〜11度の範囲である。この平均傾斜角θaは、導光体3の厚さ(t)と入射光が伝搬する方向の長さ(L)との比(L/t)によって最適範囲が設定されることが好ましい。すなわち、導光体3としてL/tが20〜200程度のものを使用する場合は、平均傾斜角θaを0.5〜7.5度とすることが好ましく、さらに好ましくは1〜5度の範囲であり、より好ましくは1.5〜4度の範囲である。また、導光体3としてL/tが20以下程度のものを使用する場合は、平均傾斜角θaを7〜12度とすることが好ましく、さらに好ましくは8〜11度の範囲である。
導光体3に形成される粗面の平均傾斜角θaは、ISO4287/1−1984に従って、触針式表面粗さ計を用いて粗面形状を測定し、測定方向の座標をxとして、得られた傾斜関数f(x)から次の式(1)および式(2)
Δa=(1/L)∫0 L|(d/dx)f(x)|dx ・・・ (1)
θa=tan−1(Δa) ・・・ (2)
を用いて求めることができる。ここで、Lは測定長さであり、Δaは平均傾斜角θaの正接である。
さらに、導光体3としては、その光出射率が0.5〜5%の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは1〜3%の範囲である。これは、光出射率が0.5%より小さくなると導光体3から出射する光量が少なくなり十分な輝度が得られなくなる傾向にあり、光出射率が5%より大きくなると一次光源1の近傍で多量の光が出射して、光出射面33内でのX方向における出射光の減衰が著しくなり、光出射面33での輝度の均斉度が低下する傾向にあるためである。このように導光体3の光出射率を0.5〜5%とすることにより、光出射面から出射する光の出射光光度分布(XZ面内)におけるピーク光の角度が光出射面の法線に対し50〜80度の範囲にあり、光入射端面と光出射面との双方に垂直なXZ面における出射光光度分布(XZ面内)の半値全幅が10〜40度であるような指向性の高い出射特性の光を導光体3から出射させることができ、その出射方向を光偏向素子4で効率的に偏向させることができ、高い輝度を有する面光源装置を提供することができる。
本発明において、導光体3からの光出射率は次のように定義される。光出射面33の光入射端面31側の端縁での出射光の光強度(I0)と光入射端面31側の端縁から距離Lの位置での出射光強度(I)との関係は、導光体3の厚さ(Z方向寸法)をtとすると、次の式(3)
I=I0(α/100)[1−(α/100))]L/t ・・・ (3)
のような関係を満足する。ここで、定数αが光出射率であり、光出射面33における光入射端面31と直交するX方向での単位長さ(導光体厚さtに相当する長さ)当たりの導光体3から光が出射する割合(百分率:%)である。この光出射率αは、縦軸に光出射面23からの出射光の光強度の対数をとり、横軸に(L/t)をとり、これらの関係をプロットすることで、その勾配から求めることができる。
また、指向性光出射機構が付与されていない他の主面には、導光体3からの出射光の一次光源1と平行な面(YZ面)での指向性を制御するために、光入射端面31に対して略垂直の方向(X方向)に延びる多数のレンズ列を配列したレンズ面を形成することが好ましい。図1に示した実施形態においては、光出射面33に粗面を形成し、裏面34に光入射端面31に対して略垂直方向(X方向)に延びる多数のレンズ列の配列からなるレンズ面を形成している。本発明においては、図1に示した形態とは逆に、光出射面33にレンズ面を形成し、裏面34を粗面とするものであってもよい。
図1に示したように、導光体3の裏面34あるいは光出射面33にレンズ列を形成する場合、そのレンズ列としては略X方向に延びたプリズム列、レンチキュラーレンズ列、V字状溝等が挙げられるが、YZ断面の形状が略三角形状のプリズム列とすることが好ましい。
本発明において、導光体3の裏面34にレンズ列としてプリズム列を形成する場合には、その頂角を85〜110度の範囲とすることが好ましい。これは、頂角をこの範囲とすることによって導光体3からの出射光を適度に集光させることができ、面光源装置としての輝度の向上を図ることができるためであり、より好ましくは90〜100度の範囲である。
本発明の導光体においては、所望のプリズム列形状を精確に作製し、安定した光学性能を得るとともに、組立作業時や光源装置としての使用時におけるプリズム頂部の摩耗や変形を抑止する目的で、プリズム列の頂部に平坦部あるいは曲面部を形成してもよい。
なお、本発明では、上記のような光出射面33またはその裏面34に光出射機構を形成する代わりにあるいはこれと併用して、導光体内部に光拡散性微粒子を混入分散することで指向性光出射機構を付与してもよい。
光入射端面31は、XY面内及び/又はXZ面内での光の広がりを調節するために、粗面化することが好ましい。粗面の形成方法としては、フライス工具等で切削する方法、砥石、サンドペーパー、バフ等で研磨する方法、ブラスト加工、放電加工、電解研磨、化学研磨等による方法が挙げられる。ブラスト加工に使用されるブラスト粒子としては、ガラスビーズのような球形のもの、アルミナビーズのような多角形状のものが挙げられるが、多角形状のものを使用する方が光を広げる効果の大きな粗面を形成できることから好ましい。切削加工や研磨加工の加工方向を調整することにより、異方性の粗面を形成することもできる。XY面内での光の広がりの調節のためにはZ方向の加工方向を採用してZ方向の筋状凹凸形状を形成することができ、XZ面内での光の広がりの調節のためにはY方向の加工方向を採用してY方向の筋状凹凸形状を形成することができる。この粗面加工は、導光体の光入射端面に直接施すこともできるが、金型の光入射端面に相当する部分を加工して、これを成形時に転写することもできる。
光入射端面31の粗面化の程度は、導光体厚さ方向で、平均傾斜角θaが1〜5度、中心線平均粗さRaが0.05〜0.5μm、十点平均粗さRzが0.5〜3μmであることが好ましい。これは、光入射端面31の粗面化の度合いをこの範囲とすることによって、明帯あるいは暗帯の発生を抑止できるとともに、輝線・暗線をぼかし見え難くすることができるためである。平均傾斜角θaは、更に好ましくは2〜4.5度、特に好ましくは2.5〜3度の範囲である。中心線平均粗さRaは、更に好ましくは0.07〜0.3μm、特に好ましくは0.1〜0.25μmの範囲である。十点平均粗さRzは、更に好ましくは0.7〜2.5μm、特に好ましくは1〜2μmの範囲である。また、光入射端面31の粗面化の程度は、長手方向で、上記と同様の理由から、平均傾斜角θaが1〜3度、中心線平均粗さRaが0.02〜0.1μm、十点平均粗さRzが0.3〜2μmであることが好ましい。平均傾斜角θaは、更に好ましくは1.3〜2.7度、特に好ましくは1.5〜2.5度の範囲である。中心線平均粗さRaは、更に好ましくは0.03〜0.08μm、特に好ましくは0.05〜0.07μmの範囲である。十点平均粗さRzは、更に好ましくは0.4〜1.7μm、特に好ましくは0.5〜1.5μmの範囲である。
導光体の光出射面33には、光入射端面31に沿って延びた第1光吸収帯36及び第2光吸収帯136が、光入射端面31に近い側からこの順に配列されている。これら第1及び第2の光吸収帯36,136は、例えば黒色の塗材を塗布することで形成することができる。光吸収帯36,136の形成は、特に限定されるものではないが、たとえば、インクの塗布により行うことができ、インクジェット印刷やスクリーン印刷やタンポ印刷や熱転写印刷によることが特に好ましい。また、光吸収帯36,136の材料としては、生産性の観点から速乾性の材料を用いることが好ましく、乾燥時間が60秒以下のものが好ましく、より好ましくは40秒以下、さらに好ましくは20秒以下のものである。このような光吸収帯材料としては、例えば、エチルメチルケトン等の有機溶剤や(メタ)アクリレートモノマー等を用いた有機溶剤系塗料や蒸発乾燥型インクや熱硬化型インク、或いは紫外線硬化型塗料や紫外線硬化型インク等が挙げられる。
第1光吸収帯36は、光入射端面31から導光体3内に導入された光の一部を吸収することで、光入射端面31の近傍での輝線の発生を防止するものであり、このため可視光線透過率(JIS−K7105B)が例えば0〜90%であり、0〜60%であることが好ましく、更に好ましくは2〜45%であり、特に好ましくは4〜30%である。また、第1光吸収帯36は、その反射率(JIS−K7105B)が0〜20%であることが好ましく、更に好ましくは0〜15%である。なお、この輝線発生には、光入射端面を経ずに光源リフレクタ2による反射で光出射面33から導光体内へと入り込む光も寄与していると考えられるが、第1光吸収帯36は、このような光をも一部吸収することで輝線発生を防止する。
第2光吸収帯136は、光入射端面31から導光体3内に導入された光または光源リフレクタ2による反射で裏面34から導光体3内へ取り込まれる光の一部を吸収することで、上記第1光吸収帯36により輝線発生を防止され輝度低下がなされた領域の近傍の領域における輝度を低下させる。これにより、第1光吸収帯36により輝線発生を防止され輝度低下がなされた領域及びその近傍の領域における局所的に急激な輝度変化の発生が防止される。このような第2光吸収帯136の輝度調整作用を良好に実現するためには、第2光吸収帯136の可視光線透過率は第1光吸収帯36の可視光線透過率より高いことが好ましい。その理由は次の通りである。第2光吸収帯136に関与する輝線の発生要因は、一般に光入射端面31から導光体3内に導入された光、または、光源リフレクタ2による反射で裏面34から導光体3内へ取り込まれた光の一部が、光出射面33と裏面34の両方で全反射して、面光源装置の有効発光領域内更には液晶表示装置の表示エリア内にて、導光体光出射面33に写りこんだものである。これらの輝線は一般に第1光吸収帯36が関与する輝線より大きな広がりを有する弱い光の帯であり、また、これらの輝度の急激な変化を改善して滑らかな出射光分布にするには、第1光吸収帯36の透過率より高い透過率を持つ(即ち吸収率が低い)光吸収帯を用いるのが適している。また、第2光吸収帯136は、第1光吸収帯36より導光体光入射端面31から離れた位置にあるため、導光体内部を導光する光のモ−ドを著しく欠損させ有効発光領域内更には表示エリア内に暗線や暗帯の輝度斑を誘発する危険性が高い。こうした観点からも、第2光吸収帯136として可視光線透過率の高いもの(可視光線吸収率が低いもの)を用いるのが好ましい。第2光吸収帯136の可視光線透過率(JIS−K7105B)は、例えば40〜95%であり、60〜90%であることが好ましく、更に好ましくは70〜90%である。また、光源リフレクタが配置された状態において、第2光吸収帯36の反射率(JIS−K7105B)は40〜95%であることが好ましく、60〜90%であることが好ましく、更に好ましくは70〜90%である。
導光体3の厚さは、光入射端面31の近傍において、例えば1.5〜4mm程度、好ましくは2〜3mmである。
図2は導光体3を一次光源1と共に示す模式的平面図である。図2に示されているように、第1光吸収帯36は、光入射端面31から入射する光を遮光せず、入射する光量の減少による輝度の低下や導光すべき光を遮光することによる暗線の発生を抑止するために、導光体3の光出射面33にのみ形成され、光入射端面31には形成しないことが必要である。また、第1光吸収帯36は、幅(X方向寸法)がW1であり、その幅を画定する2つの側縁のうちの光入射端面31に近い方の側縁と該光入射端面31との距離はD1である。幅W1は、50〜800μmであり、好ましくは100〜500μmであり、特に好ましくは150〜400μmである。幅W1が50μm未満であると所要の輝線発生防止効果が低下する傾向にあり、幅W1が800μmを越えると暗線が発生したり全体の輝度低下が発生する傾向にある。幅W1は、導光体3の光入射端面位置での厚さの0.4倍以下であるのが好ましく、更に好ましくは0.3倍以下であり、特に好ましくは0.2倍以下である。また、距離D1は、300μm以下であれば上記の輝線発生防止効果は得られ、好ましくは200μm以下であり、特に好ましくは100μm以下である。
一方、第2光吸収帯136は、幅(X方向寸法)がW2であり、その幅を画定する2つの側縁のうちの光入射端面31に近い方の側縁と該光入射端面31との距離はD2である。幅W2は、好ましくは50〜800μmであり、より好ましくは100〜700μmであり、特に好ましくは150〜600μmである。幅W2が50μm未満であると所要の輝度調整効果が低下する傾向にあり、幅W2が800μmを越えると全体の輝度低下と暗帯の写り込みが発生する傾向にある。また、距離D2は、500〜3000μmの範囲内であれば上記の輝度調整効果は得られ、好ましくは700〜2000μmの範囲内であり、特に好ましくは900〜1500μmの範囲内である。
第1光吸収帯36を導光体3の光出射面33に形成するにあたって、光出射面33の第1光吸収帯形成部位の少なくとも一部に凹部を形成し、該凹部に塗料等を塗布して第1光吸収帯を形成してもよい。即ち、図8及び図9に示されているように、光出射面33に例えば断面三角形またはレンチキュラー状の凹部70を、例えば深さ150μm以下、好ましくは100μm以下、更に好 ましくは50μm以下の深さに形成し、該凹部の内部を含むように第1光吸収帯36を形成する。この凹部70の深さが大きすぎると導光体内の導波モードが欠損して暗線が出現しやすくなる。第2光吸収帯136についても、同様にして、光出射面33の第2光吸収帯形成部位の少なくとも一部に凹部を形成し、該凹部に塗料等を塗布して第2光吸収帯を形成してもよい。
導光体3としては、図1に示したような形状に限定されるものではなく、光入射端面の方が厚いくさび状等の種々の形状のものが使用できる。
図3及び図4を用いて、以上のような導光体の製造方法の一例を説明する。
図3は、樹脂成形加工により成形され第1及び第2の光吸収帯となる塗材が塗布されて得られた導光体素材3’を示す模式的平面図である。この導光体素材3’は、最終的に得られる導光体3の各部に対応する部分を対応部として示すと、光入射端面対応部31’、光出射面対応部33’、第1光吸収帯対応部36’及び第2光吸収帯対応部136’を有する。光出射面対応部33’には所要の光出射機構を構成する粗面としてのマット面が形成されており、その反対側の裏面対応部には所要のプリズム列が形成されている。光出射面対応部33’の光入射端面対応部31’に近接する領域に第1光吸収帯対応部36’が形成されており、該第1光吸収帯対応部36’から離れた領域に第2光吸収帯対応部136’が形成されている。
図4に示されるように、光入射端面対応部31’に対する切削加工を行って不要部分を切除することで、切削加工面として光入射端面31が形成される。これにより、容易に、光入射端面31を光出射面33との境界に至るまで一次光源1から発せられる光が入射するように構成することができる。また、図3及び図4に示されるように、切削により切除される不要部分にまで第1光吸収帯対応部31’を形成しておき、切削加工において第1光吸収帯対応部31’の光入射端面対応部31’に近い側縁部をも同時に切削除去することにより、容易に、上記の距離D1を0μmとし且つ光入射端面31を光出射面33との境界に至るまで一次光源1から発せられる光が入射するように構成することができる。尚、第2光吸収帯対応部136’は、そのまま第2光吸収帯136として利用することができる。
光偏向素子4は、導光体3の光出射面33上に配置されている。光偏向素子4の2つの主面41,42は全体として互いに平行に配列されており、それぞれ全体としてXY面と平行に位置する。主面41,42のうちの一方(導光体3の光出射面33側に位置する主面)は入光面41とされており、他方が出光面42とされている。出光面42は、導光体3の光出射面33と平行な平坦面とされている。入光面41は、多数のY方向に延びるプリズム列が互いに平行に配列されたプリズム列形成面とされている。プリズム列形成面は、隣接するプリズム列の間に比較的幅の狭い平坦部(例えば、プリズム列のX方向寸法と同程度あるいはそれより小さい幅の平坦部)を設けてもよいが、光の利用効率を高める点からは平坦部を設けることなくプリズム列をX方向に連続して配列することが好ましい。
図5に、光偏向素子4による光偏向の様子を示す。この図は、XZ面内での導光体3からのピーク光(出射光分布のピークに対応する光)の進行方向を示すものである。導光体3の光出射面33から角度αで斜めに出射されるピーク光は、プリズム列の第1面へ入射し第2面により全反射されてほぼ出光面42の法線の方向に出射する。また、YZ面内では、上記のような導光体裏面34のプリズム列の作用により広範囲の領域において出光面42の法線の方向の輝度の十分な向上を図ることができる。
光偏向素子4のプリズム列のプリズム面の形状は、単一平面に限られず、例えば断面凸多角形状または凸曲面形状とすることができ、これにより、高輝度化、狭視野化を図ることができる。
本発明の光偏向素子においては、所望のプリズム形状を精確に作製し、安定した光学性能を得るとともに、組立作業時や光源装置としての使用時におけるプリズム頂部の摩耗や変形を抑止する目的で、プリズム列の頂部に平坦部あるいは曲面部を形成してもよい。この場合、プリズム列頂部に形成する平坦部あるいは曲面部の幅は、3μm以下とすることが、光源装置としての輝度の低下やスティッキング現象による輝度の不均一パターンの発生を抑止する観点から好ましく、より好ましくは2μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。
本発明においては、輝度の低下をできる限り招くことなく、視野範囲を目的に応じて適度に制御するために、光偏向素子4の出光面上に光拡散素子6を隣接配置することができる。また、本発明においては、このように光拡散素子6を配置することによって、品位低下の原因となるぎらつきや輝度斑等を抑止し品位向上を図ることもできる。
光拡散素子6の光偏向素子4に対向する入射面61には、光偏向素子4とのスティッキングを防止するため、凹凸構造を付与することが好ましい。同様に、光拡散素子6の出射面62においても、その上に配置される液晶表示素子との間でのスティッキングの防止を考慮して、光拡散素子6の出射側の面にも凹凸構造を付与することが好ましい。この凹凸構造は、スティッキング防止の目的のみで付与する場合には、平均傾斜角が0.7度以上となるような構造とすることが好ましく、さらに好ましくは1度以上であり、より好ましくは1.5度以上である。
光拡散素子6の光拡散性は、光拡散素子6中に光拡散剤例えば、シリコーンビーズ、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、フッ素化メタクリレート等の単独重合体あるいは共重合体等を混入したり、光拡散素子6の少なくとも一方の表面に凹凸構造を付与することによって付与することができる。表面に形成する凹凸構造は、光拡散素子6の一方の表面に形成する場合と両方の表面に形成する場合とでは、その程度が異なる。光拡散素子6の一方の表面に凹凸構造を形成する場合には、その平均傾斜角を0.8〜12度の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは3.5〜7度であり、より好ましくは4〜6.5度である。光拡散素子6の両方の表面に凹凸構造を形成する場合には、一方の表面に形成する凹凸構造の平均傾斜角を0.8〜6度の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは2〜4度であり、より好ましくは2.5〜4度である。この場合、光拡散素子6の全光線透過率の低下を抑止するためには、光拡散素子6の入射面側の平均傾斜角を出射面側の平均傾斜角よりも大きくすることが好ましい。
また、光拡散素子6のヘイズ値としては8〜82%の範囲とすることが、輝度特性向上と視認性改良の観点から好ましく、さらに好ましくは30〜70%の範囲であり、より好ましくは40〜65%の範囲である。
図6は光拡散素子6を一次光源1と共に示す模式的平面図である。図1及び図6に示されているように、光拡散素子6には、ドットパターン部64が形成されている。該ドットパターン部は、出射面62に直径30μm〜70μmのドット状の光吸収性塗材を分散配置してなるものであり、導光体の光入射端面から距離d1の位置から距離d2の位置までを含む幅(d2−d1)の領域に存在する。距離d1が2mm以下であり距離d2が4mm以上であるのが好ましい。これにより、一次光源位置の近傍での全体的な明るさを適度に抑制して、発光面につき違和感の少ない輝度分布を得ることが可能になる。このような効果を効率的に得るためには、ドットパターン部64は可視光線透過率が60%〜95%であるのが好ましい。また、一層違和感の少ない輝度分布を得るために、ドット状光吸収性塗材の分散配置の密度を、光入射端面から距離d2の位置に近い少なくとも一部の幅領域において、一次光源から遠ざかるに従い次第に小さくすることが好ましい。
一次光源1はY方向に延在する線状の光源であり、該一次光源1としては例えば蛍光ランプや冷陰極管を用いることができる。この場合、一次光源1は、図1に示したように、導光体3の一方の側端面に対向して設置する場合だけでなく、必要に応じて反対側の側端面にもさらに設置することもできる。なお、本発明においては、一次光源1としては線状光源に限定されるものではなく、LED光源、ハロゲンランプ、メタハロランプ等のような点光源を使用することもできる。特に、携帯電話機や携帯情報端末等の比較的小さな画面寸法の表示装置に使用する場合には、LED等の小さな点光源を使用することが好ましい。このように一次光源1として点光源を使用する場合には、一次光源1の配置は導光体3のコーナー部等に配置することもできる。この場合、導光体3に入射した光は、光出射面と同一の平面内において一次光源1を略中心とした放射状に導光体中を伝搬するため、導光体3の光出射面に点光源を取り囲むようにして多数のレンズ列を略弧状に並列して形成した光出射機構を形成することが、輝度の均一性の点から好ましい。また、導光体3の光出射面から出射する出射光も同様に一次光源1を中心とした放射状に出射するため、このような放射状に出射する出射光を、その出射方向に関わらず効率よく所望の方向に偏向させるためには、光偏向素子4に形成するプリズム列を一次光源1を取り囲むように略弧状に並列して配置することが、輝度の均一性の点から好ましい。
光源リフレクタ2は一次光源1の光をロスを少なく導光体3へ導くものである。正反射傾向の強い光源リフレクタ2の材質としては、例えば表面に金属蒸着反射層を有するプラスチックフィルムを用いることができる。図示されているように、光源リフレクタ2は、光拡散素子6及び光偏向素子4を避けて、光反射素子5の端縁部外面から一次光源1の外面を経て導光体3の光出射面端縁部へと巻きつけられている。他方、光源リフレクタ2は、光拡散素子6のみを避けて、光反射素子5の端縁部外面から一次光源1の外面を経て光偏向素子4の出光面端縁部へと巻きつけることも可能であり、或いは、光反射素子5の端縁部外面から一次光源1の外面を経て光拡散素子6の出射面端縁部へと巻きつけることも可能である。
このような光源リフレクタ2と同様な反射部材を、導光体3の側端面31以外の側端面に付することも可能である。
光反射素子5としては、例えば表面に金属蒸着反射層を有するプラスチックシートを用いることができる。本発明においては、光反射素子5として、反射シートに代えて、導光体3の裏面34に金属蒸着等により形成された光反射層等を用いることも可能である。
本発明の導光体3、光偏向素子4および光拡散素子6は、光透過率の高い合成樹脂から構成することができる。このような合成樹脂としては、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂が例示できる。特に、メタクリル樹脂が、光透過率の高さ、耐熱性、力学的特性、成形加工性に優れており、最適である。このようなメタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルを主成分とする樹脂であり、メタクリル酸メチルが80重量%以上であるものが好ましい。導光体3、光偏向素子4および光拡散素子6の粗面又はヘアライン等の表面構造やプリズム列又はレンチキュラーレンズ列等の表面構造を形成するに際しては、透明合成樹脂板を所望の表面構造を有する型部材を用いて熱プレスすることで形成してもよいし、スクリーン印刷、押出成形や射出成形等によって成形と同時に形状付与してもよい。また、熱あるいは光硬化性樹脂等を用いて構造面を形成することもできる。更に、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリルイミド系樹脂等からなる透明フィルムあるいはシート等の透明基材の表面に、活性エネルギー線硬化型樹脂からなる粗面構造またレンズ列配列構造を形成してもよいし、このようなシートを接着、融着等の方法によって別個の透明基材上に接合一体化させてもよい。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、多官能(メタ)アクリル化合物、ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類、アリル化合物、(メタ)アクリル酸の金属塩等を使用することができる。
以上のような一次光源1、光源リフレクタ2、導光体3、光偏向素子4、光拡散素子6および光反射素子5からなる面光源装置の発光面(光拡散素子6の出射面62)上に、図7に示すように液晶表示素子LCを配置することにより、本発明の面光源装置をバックライトとした液晶表示装置が構成される。図7では光拡散素子6のドットパターン部を構成する分散配置のドット状光吸収性塗材が符号64’で示されている。液晶表示装置は、図7における上方から液晶表示素子LCを通して観察者により観察される。液晶表示装置の表示エリアは、液晶表示素子LCの表示領域あるいは該液晶表示素子を保持するフレームの開口領域等により決まる。面光源装置の有効発光領域は、液晶表示装置の表示エリアより大きく、該表示エリアの全てをカバーするように存在している。第1光吸収帯36は、表示エリア外であって有効発光領域外に位置するように配置される。第2光吸収帯136は、表示エリア外に位置するように配置されるが、有効発光領域にかかっていてもよい。
図7には、導光体3において上記距離D1が0μmの場合が示されている。図示されているように、第1光吸収帯36は光入射端面31との境界まで延びているけれども、光入射端面31上にまでは延びていない。即ち、光入射端面31は光出射面33との境界に至るまで一次光源1から発せられる光が入射するように構成されている。
また、光源リフレクタ2は、その端縁部が第1及び第2の光吸収帯36,136を覆うように、配置されている。但し、光源リフレクタ2は第2光吸収帯136を覆わなくともよい。面光源装置の発光面外周部の幅2〜4mm程度の領域は枠体により覆われ、この領域(額縁状領域)からは外部への光の出射はない。光源リフレクタ2の端縁部は、額縁状領域内に位置しており、従って、第1及び第2の光吸収帯36,136は、額縁状領域内即ち面光源装置の有効発光領域外に位置している。但し、第2光吸収帯136は額縁状領域外即ち面光源装置の有効発光領域内に位置していてもよい。
光入射端面31から導光体3内に導入された光のうちで第1光吸収帯36に到達する光L1は、該第1光吸収帯によりその大半が吸収される。その残りが光出射面33で反射されて導光体内を進行する光L2となる。この光L2は裏面34から出射して反射素子5により反射されて導光体内へと再入射し、光出射面33から出射する。本発明では、光L2は第1光吸収帯36での光吸収により光L1より十分に弱められており、このため、輝線発生の原因となることは殆どない。仮に、第1光吸収帯36が存在しないとすると、この光L2の強度はかなり強いものとなる。この光L2即ち本発明で第1光吸収帯36を付した部分での反射光が輝線発生の最も大きな原因であり、第1光吸収帯36が存在しない場合には、目立つ輝線が発生する。
特に、光源リフレクタ2として、正反射傾向の強いものを使用した場合において、第1光吸収帯36が存在しない場合には、導光体3内の光の一部が光出射面33を透過して光源リフレクタ2により正反射され、再び光出射面33を透過して導光体3内に導入されるので、これに基づき非常に目立つ輝線が発生する。このような非常に目立つ輝線の発生を防止するためには、第1光吸収帯36として可視光線透過率が十分に低いものを使用することが望ましい。しかし、そのようにして第1光吸収帯36により目立つ輝線の発生を防止した場合には、輝線低減がなされた領域の輝度がその近傍の領域の輝度に比べて低下しすぎて、これら領域での輝度のコントラストが大きくなり(即ち、局所的に急激な輝度変化が発生し)、輝線除去領域が暗線として視認されたり、或いは輝線低減領域の近傍の領域が弱いながらも輝線として視認されたりすることがある。即ち、目立つ輝線は除去されても、局所的に急激な輝度変化が発生して、表示装置のバックライトとして使用した場合の表示画像の品位を低下させることがある。
しかるに、本発明においては、第2光吸収帯136を配置することで、輝線低減領域の近傍の領域の輝度を輝線低減領域の輝度との差が小さくなるように輝度調整して、これら領域での局所的に急激な輝度変化の発生がないようにし、即ちこれら領域での輝度コントラストが大きくならないようにしている。従って、輝線低減領域が暗線として視認されたり、或いはその近傍の領域が輝線として視認されたりすることがない。
即ち、光入射端面31から導光体3内に導入された光のうちで、第2光吸収帯136に到達する光L3は、該第2光吸収帯によりその一部が吸収される。その残りが光出射面33で反射されて導光体内を進行する光L4となる。この光L4は裏面34から出射して反射素子5により反射されて導光体内へと再入射し、光出射面33から出射する。本発明では、光L4は第2光吸収帯136での光吸収により光L3より弱められており、このため、上記光L2との強度差が低減されており、従って、光L2が光出射面から最初に出射する領域及びその近傍の光L4が光出射面から最初に出射する領域での輝度には大きな差異がなくなる(即ち、輝度コントラストは大きくはない)。
特に、導光体裏面34と光入射端面31との境界を形成するエッジ部分から導光体3内に導入され第2光吸収帯136に到達する光L5は、該第2光吸収帯によりその一部が吸収される。その残りが光出射面33で反射されて導光体内を進行する光L6となる。この光L6は裏面34から出射して反射素子5により反射されて導光体内へと再入射し、光出射面33から出射する。本発明では、光L6は第2光吸収帯136での光吸収により光L5より弱められており、このため、上記光L2との強度差が低減されており、従って、光L2が光出射面から最初に出射する領域及びその近傍の光L6が光出射面から最初に出射する領域での輝度には大きな差異がなくなる(即ち、輝度コントラストは大きくはない)。
また、一次光源1から発せられた光のうちの一部は、光源リフレクタ22より反射され、光入射端面31に至ることなく第1及び第2の光吸収帯36,136に到達し、ここでその大半が吸収される。仮に、光吸収帯36,136が存在しないとすると、本発明で光吸収帯36,136を付した部分の光出射端面33から導光体内へと光が入り込む。この光も上記輝線の発生の原因であり、この点でも光吸収帯36,136が存在しない場合には、輝線が発生する。
本発明においては、十分にコリメートされた狭い輝度分布(XZ面内)の光を光源装置から液晶表示素子LCに入射させることができるため、液晶表示素子での階調反転等がなく明るさ、色相の均一性の良好な画像表示が得られるとともに、所望の方向に集中した光照射が得られ、この方向の照明に対する一次光源1の発光光量の利用効率を高めることができる。
以上の実施形態の説明では第1及び第2の光吸収帯36,136がいずれも幅方向にほぼ均一な光吸収特性を有するものとして説明したが、本発明では第1及び第2の光吸収帯はその光吸収特性が幅方向に変化していてもよい。このような光吸収特性の好ましい形態としては、第1光吸収帯36の光入射端面に近い側縁より遠い側縁の方が可視光線透過率が高くなるように形成されているものが挙げられる。このようにすることで、第1光吸収帯36とそれが形成されていない導光体光出射面33の領域との境界における光吸収性の急激な変化を防止して、局所的に急激な輝度変化の発生を一層低減することができる。第2の光吸収帯136についても同様に、中央より両側縁の方が可視光線透過率が高くなるように形成されているものが挙げられる。このようにすることで、第2光吸収帯136とそれが形成されていない導光体光出射面33の領域との境界における光吸収性の急激な変化を防止して、局所的に急激な輝度変化の発生を一層低減することができる。
例えば、図10に示されるように、第1光吸収帯36を幅方向(X方向)に関して光入射端面に近い第1領域36−1と遠い第2領域36−2との2つからなるものとし、第1領域36−1の厚さを第2領域36−2の厚さの約2倍とすることで、第2領域36−2の可視光線透過率T2を第1領域36−1の可視光線透過率T1より高くすることができる。このような可視光線透過率が2段階に変化する第1光吸収帯36は、先ず第1領域36−1及び第2領域36−2の双方に対して均等厚さに塗材の塗布を行い、しかる後に第1領域36−1においてのみ追加の塗材塗布を行うとで得ることができる。同様にして3段階以上に可視光線透過率が変化する第1光吸収帯を形成することができる。
第2光吸収帯136についても同様に、幅方向(X方向)に関して光入射端面に近い順に第1領域136−1と第2領域136−2と第3領域136−3の3つからなるものとし、第2領域136−2の厚さを第1及び第3の領域136−1,136−3の厚さの約3倍とすることで、第1及び第3の領域136−1,136−3の可視光線透過率T2を第2領域136−2の可視光線透過率T3より高くすることができる。このような可視光線透過率が2段階に変化する第2光吸収帯136は、先ず第1〜第3の領域136−1〜136−3の全てに対して均等厚さに塗材の塗布を行い、しかる後に第2領域136−2においてのみ追加の塗材塗布を行うとで得ることができる。同様にして3段階以上に可視光線透過率が変化する第2光吸収帯を形成することができる。
また、図11に示されるように、第1光吸収帯36の厚さを第1光吸収帯36の幅方向(X方向)に関して光入射端面31に近い側縁から遠い側縁にかけて次第に小さくすることで、第1光吸収帯36の可視光線透過率を第1光吸収帯36の幅方向に連続的に変化するものとしてもよい。同様に、第2光吸収帯136の厚さを第2光吸収帯136の幅方向(X方向)に関して中央から両側縁にかけて次第に小さくすることで、第2光吸収帯136の可視光線透過率を第2光吸収帯36の幅方向に連続的に変化するものとしてもよい。このような形態の第1及び第2の光吸収帯36,136は、マスク部材をX方向に光入射端面31に近い側から遠い側へと移動させながら塗材塗布を行うことで得ることができる。第1及び第2の光吸収帯36,136における可視光線透過率の連続的変化は、幅方向の全体にわたる必要はなく幅方向の一部であってもよい。
また、第1及び第2の光吸収帯36,136における可視光線透過率の変化は、図10に関し説明した段階的変化と図11に関し説明した連続的変化とを組み合わせたものであってもよい。
第1光吸収帯36の可視光線透過率は、最も低い値が0%〜60%の範囲内にあり且つ最も高い値が40%〜90%の範囲内にあるのが好ましい。また、第2光吸収帯136の可視光線透過率は、最も低い値が40%〜90%の範囲内にあり且つ最も高い値が60%〜95%の範囲内にあるのが好ましい。これらの範囲内にあることで、輝線発生の防止効果を維持しつつ暗線の発生を防止でき、局所的に急激な輝度変化の発生を一層低減することができる。
図12及び図13を用いて、以上のような導光体の製造方法の更に別の例を説明する。図12(a)及び図13(a)は部分平面図であり、図12(b)及び図13(b)はそのXZ部分断面図である。
先ず、図12に示されているように、導光体3の光出射面33の光入射端面31に近接し該光入射端面から距離D1’を隔てた幅W1’の領域に、インクジェット法により互いに独立し又は部分的に連続したインクドット36Aを形成する。インクジェット法の実施に使用される装置としては、コンティニュアス(連続噴射)方式やピエゾノズルを用いたDOD(ドロップオンデマンド)方式のプリンタが例示される。これらの装置により、多数のノズルからインクを吐出させ、必要に応じて該ノズルに対して導光体3を光出射面33と平行な所要の方向に走査することで、光出射面の所定の領域に図示されるような互いに独立した多数のインクドット36Aが形成される。これらインクドットの隣接するもの同士は図示されているように全てが完全に独立していてもよいが、それらのうちの一部が部分的に重複して連続していてもよい。
次に、インクドットの隣接するもの同士を結合させ連続したインク層とする(以下、「レベリング」という)。このレベリングは、所要のレベリング量(程度)を得るために必要な時間、実施される。これにより、図13に示されているように、インクドットの隣接するもの同士を結合させ、光入射端面31から距離D1を隔てた幅W1の領域の全体にわたって連続したインク層36Bとなす。この幅W1の領域は、上記幅W1’の領域の全てを包含しており、レベリングにより幅W1’より少し大きくなっている。
次に、インク層36Bを硬化させることにより、第1光吸収帯36を形成する。
インクとしては、例えば紫外線硬化型インクが用いられる。紫外線硬化型インクは、紫外線照射のタイミングの制御により容易に所要のレベリング量(程度)を実現することができることから、好ましく用いられる。また、所要のレベリング量を得るための時間の制御を容易にするために、インク吐出ノズルの温度即ちインクの温度を一定に維持することが好ましい。また、導光体3を加温することによっても、インクドロップ等のインク吐出の後のインクドット36Aの粘度を低下させることができ、これによって所要のレベリング量を得るための時間を短くして、印刷に要する時間を短縮することが可能となる。
以上のようにして、レベリング時間によりインク層36Bにおけるインクドットの結合状態を所望のものに制御することで、第1光吸収帯36の表面状態即ち凹凸の程度を制御することができる。この第1光吸収帯36の表面に適度な凹凸を形成しておくことで、不要光を一層目立たなくすることができる。即ち、上記のように、一次光源1から発せられた光のうちの一部が光源リフレクタ22より反射され、光入射端面31に至ることなく第1光吸収帯36に到達した時に、ここで大半が吸収される。この時、残りの光は導光体光出射面33の方へと反射されるが、この反射光を第1光吸収帯36の表面の凹凸により拡散反射させることで、目立たなくすることができる。
プリンタの解像度が高い方が、インクドットをより近接して形成でき、インクドットの結合のためのレベリングに要する時間を短縮することが出来るので、望ましい。
以上、第1光吸収帯36について述べたことが、第2光吸収帯136についてもあてはまる。即ち、図12に示されているように、導光体3の光出射面33の幅W1’の領域から離れた領域に、同様にしてインクジェット法により互いに独立し又は部分的に連続したインクドット136Aを形成する。これらインクドットの隣接するもの同士は図示されているように全てが完全に独立していてもよいが、それらのうちの一部が部分的に重複して連続していてもよい。次に、同様にしてインクドットをレベリングさせる。これにより、図13に示されているように、インクドットの隣接するもの同士を結合させ、幅W1の領域から離れた領域の全体にわたって連続したインク層136Bとなす。次に、インク層136Bを硬化させることにより、第2光吸収帯136を形成する。以上のようにして、レベリング時間によりインク層136Bにおけるインクドットの結合状態を所望のものに制御することで、第2光吸収帯136の表面状態即ち凹凸の程度を制御することができる。この第2光吸収帯136の表面に適度な凹凸を形成しておくことで、不要光を一層目立たなくすることができる。即ち、上記のように、一次光源1から発せられた光のうちの一部が光源リフレクタ22より反射され、光入射端面31に至ることなく第2光吸収帯136に到達した時に、ここで大半が吸収される。この時、残りの光は導光体光出射面33の方へと反射されるが、この反射光を第2光吸収帯136の表面の凹凸により拡散反射させることで、目立たなくすることができる。
尚、以上のような第1及び第2の光吸収帯36,136の形成を並行して行うことで、形成のための時間が短縮される。
図14を用いて、以上のような導光体の製造方法の更に別の例を説明する。
この例では、先ず、図14(a)に示されるような導光体素材3’を用意する。次に、図14(b)に示されるように、光入射端面対応部31’に対する切削加工を行って光入射端面31を形成する。この切削加工により、光入射端面31と光出射面33との境界には光出射面33の方へと突出した(即ち光出射面33の他の領域に対して隆起して突出した)突出部39が形成される。この突出部39は、光入射端面31と光出射面33との境界線に沿って即ち光入射端面31に沿って延びている。この突出部39は、上記のように切削加工により形成することもできるが、射出成形時に成形により形成してもよい。
次に、図14(c)に示されるように、光出射面33の所要の領域にインクドット36A,136Aを形成する。このインクドットの形成は、上記図12に関し説明したようにしてなされる。次に、インクドットのレベリングを行い、図14(d)に示されるように、光出射面33の所要の領域にインク層36B,136Bを形成する。これらのインク層の形成は、上記図13に関し説明したようにしてなされるが、ここでは、レベリングにより形成されるインク層36Bの光入射端面31に近い側縁が突出部39に到達するように、インクドット形成領域の位置が設定されている。即ち、図14(c)に示されるインクドット36Aの形成される領域は、光入射端面31から僅かしか離れていない。これにより、インクドットのレベリングの際に流動するインクは突出部39により光入射端面31へと移動するのを阻止される。
最後に、インク層36B,136Bを硬化させることにより、第1及び第2の光吸収帯36,136を形成する。
以上の方法によれば、第1光吸収帯36を、光入射端面31にかかることなく且つ該光入射端面31の極く近くに形成することが容易である。この第1光吸収帯36によれば、光入射端面31から導光体3へ入射する光量の減少を抑制することができる。
このような突出部39によるインクの光入射端面31への移動の適正な位置での阻止の作用を良好なものにし且つ突出部39の形成を容易にするためには、突出部39の寸法を次のような適切な範囲内のものとすることが好ましい。即ち、図18に示されているように、突出部39の高さ(光出射面33の他の領域からの高さ)をHとし、突出部39のXZ断面形状における高さの半値全幅をWとして、好ましくは、Hは1〜50μm、より好ましくは2〜30μm、更に好ましくは5〜20μmであり、Wは1〜50μm、より好ましくは2〜30μm、更に好ましくは5〜20μmである。突出部高さHが小さすぎるとインク移動阻止の作用が不十分となる傾向にあり、突出部高さHが大きすぎるものは面光源装置の組立が困難になったり、突出部の欠けが発生しやすくなったり、更にインクを突出部の頂上付近まで移動させにくくなる傾向にある。また、高さ半値全幅Wが小さすぎるものは突出部の形成が困難になり更に機械的強度が低くインク移動阻止の作用が不確実となる傾向にあり、高さ半値全幅Wが大きすぎるものは面光源装置の組立が困難になり更にインクを突出部の頂上付近まで移動させにくくなる傾向にある。
以上説明したいずれの方法においても、光吸収帯36を形成するための塗材である紫外線硬化型インクとしては、(メタ)アクリレートモノマー及び/または有機溶媒を含有する紫外線硬化型インクを用いるのが好ましい。これは、インク層が硬化して形成される光吸収帯36の導光体3の表面に対する接合力の向上に有利であるからである。インク中に有機溶媒が存在することで、導光体3の表面を溶融し荒らすことによるアンカー効果の向上が得られる。また、特に、導光体3として(メタ)アクリル系樹脂を使用した場合には、インク中に(メタ)アクリレートモノマーが存在することで、インクにおける重合の際に該インクと導光体との間に架橋反応が生じやすくなり、これによるアンカー効果の向上が得られる。
上記(メタ)アクリレートモノマーや有機溶媒は、インク濃度が大きく変化しないように、数平均分子量100以上、好ましくは150以上、更に好ましくは200以上のものであることが好ましい。(メタ)アクリレートモノマーは、たとえばメチルメタクリレートであり、インク中にたとえば0.5〜10重量%含有されているのが好ましい。有機溶媒は、インク濃度が大きく変化しないように、沸点60℃以上、好ましくは80℃以上、更に好ましく100℃以上のものであるのが好ましく、たとえばメチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、酢酸セロソルブ及びメタクリル酸のうちの少なくとも1つを含んでなるものが例示される。
このような紫外線硬化型インクとしては、たとえば、以下に示されるような組成のものが挙げられる。
インク1:
アクリル酸オリゴマー:30〜50重量%
アクリル酸イソボルニル:10〜20重量%
1,6−ヘキサンジオールアクリレート:1〜20重量%
テトラヒドロフルフリルアクリレート:10〜20重量%
ベンゾフェノン:1〜5重量%
カーボンブラック:1〜5重量%
インク2:
アクリル酸イソボルニル:10〜20重量%
1,6−ヘキサンジオールアクリレート:1〜20重量%
アクリル酸アミン/アクリル酸エステル混合物:30〜50重量%
ベンゾフェノン:1〜5重量%
カーボンブラック:1〜5重量%
本発明においては、光吸収帯をインクジェット法等で形成する場合には、このような紫外線硬化型インクとして、インク吐出時のヘッド温度においてインク粘度が1〜100cpで表面張力が20〜55mN/mのものを用いるのが好ましく、更に好ましくはインク粘度が1〜50cpで表面張力が20〜45mN/mのものであり、より好ましくはインク粘度が1〜20cpで表面張力が25〜35mN/mのものである。尚、ヘッド温度は、インクドットのレベリング性や導光体との密着性や吐出インクの正確な塗着位置安定性等の観点から10〜100℃とすることが好ましく、更に好ましくは35〜85℃であり、より好ましくは40〜60℃の範囲である。
また、光吸収帯をインクジェット法等で形成する場合には、ヘッド速度はタクト時間の短縮、インクドットのレベリング性や導光体との密着性等との観点から、ヘッド速度を10〜1000mm/秒とすることが好ましく、更に好ましくは200〜800mm/秒であり、より好ましくは250〜500mm/秒の範囲である。
本発明においては、第1及び第2の光吸収帯36,136として光拡散性または光吸収性の微粒子を含有するものを使用することができる。この微粒子の粒径は、20μm以下が好ましく、更に好ましくは14μm以下であり、特に好ましくは8μm以下である。このような微粒子は、該微粒子を除く塗材固形分100重量部に対して10〜125重量%含有させることができる。光吸収性の微粒子としては、カーボンブラック等を含有したアクリル樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル/スチレン共重合樹脂やベンゾグアナミン樹脂などの黒色ポリマー系微粒子等からなるものが例示できる。また、光拡散性の微粒子としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル/スチレン共重合樹脂やシリコーン樹脂等のポリマー系微粒子やシリカ、アルミナや炭酸カルシウム等の無機系微粒子等からなるものが例示できる。光拡散性の微粒子は、表面反射による光拡散を利用するものであってもよいし、透光性を有し内部透過光の屈折による光拡散を利用するものであってもよい。光吸収性の微粒子は光吸収帯36,136の光吸収性の向上に寄与し、光拡散性の微粒子は光吸収帯36,136内において光拡散を行うことで間接的に光吸収性を向上させ、更に吸収されずに出射する光の拡散による平均化に寄与する。
図15に、光拡散性または光吸収性の微粒子を含有する第1光吸収帯36の実施形態を示す。この実施形態では、光吸収帯36の表面に微細な凹凸が形成されている。この凹凸の凸部37は、光吸収帯36に含有された光拡散性または光吸収性の微粒子38により形成されている。この凹凸は、光吸収帯36を構成する塗材に光拡散性または光吸収性の微粒子38を含有させておくことで、塗膜形成に伴って形成することができる。このように光吸収帯36の表面に微細な凹凸を形成しておくことで、不要光を一層目立たなくすることができる。即ち、上記のように、一次光源1から発せられた光のうちの一部が光源リフレクタ22より反射され、光入射端面31に至ることなく光吸収帯36に到達した時に、ここで大半が吸収される。この時、残りの光は導光体光出射面33の方へと反射されるが、この反射光を光吸収帯36の表面の凹凸により拡散反射させることで、目立たなくすることができる。第2光吸収帯136についても同様のことがあてはまる。
図16に、導光体3の光出射面33と光入射端面31との境界部の拡大図を示す。光出射面33と光入射端面31との境界を形成するエッジ部分(裏面34と光入射端面31との境界を形成するエッジ部分についても同様)は、理想的にはほぼ直角をなすのであるが、現実的には加工に伴い微小な曲率半径の曲面とされることが多い。特に、上記のように切削加工により光入射端面31を形成する場合には、加工により導光体材料の合成樹脂が部分的に溶融して光出射面33と光入射端面31との境界のエッジ部分が表面張力に基づき曲面となることがある。輝線発生防止等の輝度均一性低下の防止の観点からは、このエッジ部分の曲率半径Rが50μm以下であるのが好ましい。これは、このエッジ部の曲率半径Rが大きすぎると、エッジ部からの光入射が顕著になり、この部分が凸レンズのように作用して、導光体3から異常光が出射したり、第1及び第2の光吸収帯36,136による輝線発生防止効果及び局所的に急激な輝度変化の発生を防止する効果を低減したりするおそれがあるからである。エッジ部分の曲率半径Rは、更に好ましくは10μm以下であり、特に好ましくは5μm以下である。
図17に、光入射端面31と第1光吸収帯36の光入射端面に近い側縁とが切削加工により同時に形成された時の光出射面33と光入射端面31との境界部の拡大図を示す。表面張力により光出射面33と光入射端面31との境界のエッジ部分に曲率半径Rの曲面(上記のバリ39に相当)が形成され、第1光吸収帯36の端縁が導光体エッジ部分の一部を露出させるように位置している。この導光体エッジ部分の露出部は光入射端面31を構成する。
以下、実施例によって本発明を説明する。
[実施例1〜11、比較例1〜5]
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製アクリペット[商品名])を用い射出成形することによって、一方の面がマット面で、他方の面がプリズム頂角100度、頂部先端曲率半径15μm、ピッチ50μmのプリズム列が短辺と平行になるように連設配列されたプリズムパターンである矩形状で且つくさび状の導光体素材を作製した。このプリズムパターンを形成した導光体素材のマット面に、肉厚の大きい方の長辺から種々の幅(実施例1〜11及び比較例1〜5)にスクリーン印刷により下記の黒色インクを塗布して第1光吸収帯対応部を形成した。それと同様な方法で、黒色インクを厚さ2mmの透明アクリル板に、可視光線透過率が測定できるサイズに印刷した時の紫外線硬化型黒色インクの可視光線透過率は30%であった。同時に、スクリーン印刷により黒色インクを塗布して第1光吸収帯対応部から離れた領域に第2光吸収帯を形成した。それと同様な方法で、黒色インクを厚さ2mmの透明アクリル板に、可視光線透過率が測定できるサイズに印刷した時の紫外線硬化型黒色インクの可視光線透過率は80%であった。
黒色インク:
アクリル酸オリゴマー:45重量%
アクリル酸イソボルニル:17重量%
1,6−ヘキサンジオールアクリレート:15重量%
テトラヒドロフルフリルアクリレート:15重量%
ベンゾフェノン:3重量%
カーボンブラック:5重量%
次に、導光体素材の光入射端面対応部に対する切削加工を行って第1光吸収帯対応部の一部を含む不要部分を切除することで、切削加工面として形成された光入射端面及び第1光吸収帯、更には第1光吸収帯を有する導光体を得た。導光体は、230mm×290mm、厚さ2.2mm−0.7mmのクサビ板状をなしており、エッジ部分の曲率半径Rは40μmであり、光入射端面との距離D1が0μmの第1光吸収帯の幅W1、光入射端面と第2光吸収帯との間の距離D2及び第2光吸収帯の幅W2は、次のとおりであった:
実施例1―――W1=500μm,D2=1000μm,W2=200μm
実施例2―――W1=400μm,D2=1000μm,W2=200μm
実施例3―――W1=300μm,D2=1000μm,W2=200μm
実施例4―――W1=200μm,D2=1000μm,W2=200μm
実施例5―――W1=150μm,D2=1000μm,W2=200μm
実施例6―――W1=75μm,D2=1000μm,W2=200μm
実施例7―――W1=300μm,D2=1100μm,W2=700μm
実施例8―――W1=300μm,D2=900μm,W2=300μm
実施例9―――W1=300μm,D2=900μm,W2=150μm
実施例10―――W1=300μm,D2=900μm,W2=75μm
実施例11―――W1=300μm,D2=1100μm,W2=200μm
比較例1―――W1=20μm,D2=900μm,W2=200μm
比較例2―――W1=800μm,D2=900μm,W2=200μm
比較例3―――W1=300μm,D2=2700μm,W2=200μm
比較例4―――W1=300μm,D2=400μm,W2=1000μm
比較例5―――W1=20μm,D2=900μm,W2=200μm(光入射端面側にも20μm幅の光吸収帯を連続して形成)。
導光体の長さ290mmの辺(長辺)に対応する一方の側端面(厚さ2.2mmの側の端面)に対向するようにして、長辺に沿って冷陰極管を正反射傾向の強い光源リフレクタ(麗光社製銀反射フィルム)で覆い配置した。さらに、その他の側端面に光拡散反射フィルム(東レ社製E60[商品名])を貼付し、プリズム列配列の面(裏面)に対向するように反射シートを配置した。以上の構成を枠体に組み込んだ。この導光体は、出射光光度分布(XZ面内)の最大ピークが光出射面法線方向に対して70度、半値全幅が22.5度であった。
ここで、光源リフレクタは光反射素子の端縁部外面から一次光源の外面を経て導光体の光出射面端縁部へと巻きつけられ、第1及び第2の光吸収帯が光源リフレクタの端縁部により覆われるように、光源リフレクタの端縁を導光体光入射端面から1.3mmだけ光出射面の上方へと突出させた。また、枠体は、導光体光出射面外周部の幅2.5mmの領域を遮蔽するように(即ち、額縁状領域の幅が2.5mmとなるように)した。即ち、光源リフレクタの端縁部は、額縁状領域内に位置しており、第1及び第2の光吸収帯は、額縁状領域内即ち面光源装置の有効発光領域外に位置していた。
一方、屈折率1.5064のアクリル系紫外線硬化性樹脂を用いて、片方のプリズム面の曲率半径が400μmである凸曲面形状で、他方のプリズム面が平面形状で、ピッチ50μmの多数のプリズム列が並列に連設されたプリズム列を厚さ125μmのポリエステルフィルムの一方の表面に形成したプリズムシートを作製した。
得られたプリズムシートを、上記導光体の光出射面(マット面)側にプリズム列形成面が向き、導光体の光入射端面にプリズム列の稜線が平行となり、導光体の光入射端面の方に各プリズム列の平面形状プリズム面が向くように載置した。
以上のようにして得られた実施例1〜11及び比較例1〜5の面光源装置について、同一の条件で一次光源を点灯させて発光面を目視により観察したところ、実施例1〜11のものでは導光体光入射端面の近傍での輝線および暗線は実使用に差し支えのない程度に目立たないものであり且つ全体の輝度の低下は実使用には差し支えない程度のものであった。中でも、実施例4及び7のものが最も良好であった。尚、実施例1〜5、7〜9及び11のものでは導光体光入射端面の近傍での輝線および暗線は殆ど認められなかった。実施例2〜6及び8〜11のものでは全体の輝度の低下は殆ど認められなかった。これに対して、比較例1のものでは導光体光入射端面の近傍での明確な輝線が認められ、比較例2のものでは実施例1〜11のものに比べて導光体光入射端面の近傍での明るさの低下が認められ、比較例3及び4のものでは実施例1〜11のものに比べて導光体光入射端面の近傍での輝線および暗線が認められ、比較例5のものでは実施例1〜11のものに比べて全体の輝度の低下および有効発光領域内での暗線が認められた。
[実施例12]
実施例1と同様にして、導光体素材を作製した。その後、導光体素材の光入射端面対応部に対する切削加工を行って、切削加工面として形成された光入射端面を有する導光体を得た。導光体は、230mm×290mm、厚さ2.2mm−0.7mmのクサビ板状をなしていた。このプリズムパターンを形成した導光体素材のマット面に、下記のような条件でインクジェット法により下記の紫外線硬化型黒色インクを多数ドロップして、図12に示すような幅W1’が約300μmで距離D1’が約60μmの領域に直径約70μmの多数の互いに独立した第1光吸収帯用のインクドットを形成した。同時に、インクジェット法により直径約70μmの多数の互いに独立した第2光吸収帯用のインクドットを形成した。その状態にて5秒間インクドットをレベリングさせることで、図13に示すような幅W1が約400μmで距離D1が約10μmの領域に全体にわたって連続した第1光吸収帯用のインク層を形成した。同時に、同様なレベリングにより第2光吸収帯用のインク層を形成した。その時点で、紫外線を照射してインク層を硬化させ、略直線状の第1及び第2の光吸収帯を形成した。
インクジェット法:
ヘッド速度:400mm/秒
ヘッド温度:55℃
ピエゾ素子による圧送方式
紫外線硬化型黒色インク(インク95重量%+メチルメタクリレート5重量%):
インク組成:
アクリル酸オリゴマー:42重量%
アクリル酸イソボルニル:15重量%
1,6−ヘキサンジオールアクリレート:20重量%
アクリル酸アミン/アクリル酸エステル混合物:15重量%
ベンゾフェノン:3重量%
カーボンブラック:5重量%
インク粘度(55℃):10cp
インク表面張力(55℃):30mN/m
なお、同様な方法で、紫外線硬化型黒色インクを厚さ2mmの透明アクリル板に、可視光線透過率が測定できるサイズに印刷した時の紫外線硬化型黒色インクの可視光線透過率は、第1光吸収帯のものが20%で、第2光吸収帯のものが80%であった。
得られた導光体を、実施例1と同様にして、冷陰極管、光源リフレクタ、光拡散反射フィルム及び反射シートと組み合わせ、これにより得られた構成を枠体に組み込んだ。この導光体は、出射光光度分布(XZ面内)の最大ピークが光出射面法線方向に対して70度、半値全幅が22.5度であった。
実施例1と同様にして作製したプリズムシートを、上記導光体の光出射面(マット面)側にプリズム列形成面が向き、導光体の光入射端面にプリズム列の稜線が平行となり、導光体の光入射端面の方に各プリズム列の平面形状プリズム面が向くように載置した。
以上のようにして得られた面光源装置について、一次光源を点灯させて発光面を目視により観察したところ、導光体光入射端面の近傍での輝線および暗線はほとんど目立たなかった。
[比較例6]
実施例1と同様の導光体素材を作製し、その後、導光体素材の光入射端面対応部に対する切削加工を行って、切削加工面として形成された光入射端面を有する導光体を得た。本比較例では光吸収帯を形成しなかった。
得られた導光体を、実施例1と同様にして、冷陰極管、光源リフレクタ、光拡散反射フィルム及び反射シートと組み合わせ、これにより得られた構成を枠体に組み込んだ。この導光体は、出射光光度分布(XZ面内)の最大ピークが光出射面法線方向に対して70度、半値全幅が22.5度であった。
実施例1と同様にして作製したプリズムシートを、上記導光体の光出射面(マット面)側にプリズム列形成面が向き、導光体の光入射端面にプリズム列の稜線が平行となり、導光体の光入射端面の方に各プリズム列の平面形状プリズム面が向くように載置した。
以上のようにして得られた面光源装置について、実施例12と同一の条件で一次光源を点灯させて発光面を目視により観察したところ、導光体光入射端面の近傍での明確な輝線が認められた。
[実施例13]
実施例1と同様にして、導光体素材を作製した。その後、導光体素材の光入射端面対応部に対する切削加工を行って、切削加工面として形成された光入射端面を有する導光体を得た。導光体は、230mm×290mm、厚さ2.2mm−0.7mmのクサビ板状をなしていた。このプリズムパターンを形成した導光体素材のマット面に、実施例12と同様にしてインクジェット法により紫外線硬化型黒色インクを多数ドロップして、図12に示すような幅W1’が約300μmで距離D1’が約60μmの領域に直径約70μmの多数の互いに独立した第1光吸収帯用のインクドットを形成した。同時に、インクジェット法により直径約70μmの多数の互いに独立した第2光吸収帯用のインクドットを形成した。その直後に、インクドットをレベリングさせないように、紫外線を照射してインクドットを硬化させ、略直線状の第1及び第2の光吸収帯を形成した。
なお、同様な方法で、紫外線硬化型黒色インクを厚さ2mmの透明アクリル板に、可視光線透過率が測定できるサイズに印刷した時の紫外線硬化型黒色インクの可視光線透過率は、第1光吸収帯のものが20%で、第2光吸収帯のものが80%であった。
得られた導光体を、実施例1と同様にして、冷陰極管、光源リフレクタ、光拡散反射フィルム及び反射シートと組み合わせ、これにより得られた構成を枠体に組み込んだ。この導光体は、出射光光度分布(XZ面内)の最大ピークが光出射面法線方向に対して70度、半値全幅が22.5度であった。
実施例1と同様にして作製したプリズムシートを、上記導光体の光出射面(マット面)側にプリズム列形成面が向き、導光体の光入射端面にプリズム列の稜線が平行となり、導光体の光入射端面の方に各プリズム列の平面形状プリズム面が向くように載置した。
以上のようにして得られた面光源装置について、実施例12と同一の条件で一次光源を点灯させて発光面を目視により観察したところ、実施例12のものに比べてやや輝度の低下が認められ、更に導光体光入射端面の近傍で若干の輝線が認められた。
[実施例14]
実施例12と同様にして、導光体素材の光入射端面対応部に対する切削加工を行って、切削加工面として形成された光入射端面を有する導光体を得た。切削加工により光入射端面と光出射面との境界に光出射面の他の領域に対して隆起して突出した突出部が形成された。この突出部は、高さが10μmで高さの半値全幅が10μmであった。実施例12と同様にして、インクドットを形成しレベリングさせることで、インク層を形成した。但し、第1光吸収帯に関する上記インクドットの形成領域の位置は、レベリングによりインク層が突出部に到達するように設定した。
得られた導光体を用いて実施例12と同様にして得た面光源装置について、一次光源を点灯させて発光面を目視により観察したところ、導光体光入射端面の近傍での輝線および表示エリア内での暗線はほとんど目立たなかった。