以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明によるレンズシートの一実施形態たるプリズムシート、及び該プリズムシートを用いた本発明による面光源装置の一実施形態、及び該面光源装置を用いた本発明による液晶表示装置の一実施形態を示す模式的斜視図であり、図2はその模式的部分断面図である。本実施形態においては、面光源装置は、少なくとも一つの側端面を光入射端面31とし、これと略直交する一つの表面を光出射面33とする導光体3と、この導光体3の光入射端面31に対向して配置され光源リフレクタ2で覆われた線状の一次光源1と、導光体3の光出射面上に配置された光偏向素子としてのプリズムシート4と、導光体3の光出射面33とは反対側の裏面34に対向して配置された光反射素子5とを含んで構成されている。また、本実施形態においては、液晶表示装置は、面光源装置のプリズムシート4の出光面42上に配置された液晶パネル(液晶表示素子)8とを含んでなる。
導光体3は、XY面と平行に配置されており、全体として矩形板状をなしている。導光体3は4つの側端面を有しており、そのうちYZ面と平行な1対の側端面のうちの少なくとも一つの側端面を光入射端面31とする。光入射端面31は一次光源1と対向して配置されており、一次光源1から発せられた光は光入射端面31に入射し導光体3内へと導入される。本発明においては、例えば、光入射端面31とは反対側の側端面32等の他の側端面にも光源を対向配置してもよい。
導光体3の光入射端面31に略直交した2つの主面は、それぞれXY面と略平行に位置しており、いずれか一方の面(図では上面)が光出射面33となる。この光出射面33に粗面やレンズ列からなる指向性光出射機構を付与することによって、光入射端面31から入射した光を導光体3中を導光させながら光出射面33から光入射端面31および光出射面33に直交する面(XZ面)内において指向性のある光を出射させる。このXZ面内分布における出射光光度分布のピークの方向(ピーク光)が光出射面33となす角度をαとする。角度αは例えば10〜40度であり、出射光光度分布の半値全幅は例えば10〜40度である。
導光体3の表面に形成する粗面やレンズ列は、ISO4287/1−1984による平均傾斜角θaが0.5〜15度の範囲のものとすることが、光出射面33内での輝度の均斉度の向上を図る点から好ましい。平均傾斜角θaは、さらに好ましくは1〜12度の範囲であり、より好ましくは1.5〜11度の範囲である。この平均傾斜角θaは、導光体3の厚さ(d)と入射光が伝搬する方向の長さ(L)との比(L/d)によって最適範囲が設定されることが好ましい。すなわち、導光体3としてL/dが20〜200程度のものを使用する場合は、平均傾斜角θaを0.5〜7.5度とすることが好ましく、さらに好ましくは1〜5度の範囲であり、より好ましくは1.5〜4度の範囲である。また、導光体3としてL/dが20以下程度のものを使用する場合は、平均傾斜角θaを7〜12度とすることが好ましく、さらに好ましくは8〜11度の範囲である。
導光体3に形成される粗面の平均傾斜角θaは、ISO4287/1−1984に従って、触針式表面粗さ計を用いて粗面形状を測定し、測定方向の座標をxとして、得られた傾斜関数f(x)から次の式(1)および式(2)
Δa=(1/L)∫0 L|(d/dx)f(x)|dx ・・・ (1)
θa=tan−1(Δa) ・・・ (2)
を用いて求めることができる。ここで、Lは測定長さであり、Δaは平均傾斜角θaの正接である。
さらに、導光体3としては、その光出射率が0.5〜5%の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは1〜3%の範囲である。光出射率を0.5%以上とすることにより、導光体3から出射する光量が多くなり十分な輝度が得られる傾向にある。また、光出射率を5%以下とすることにより、一次光源1の近傍での多量の光の出射が防止され、光出射面33内でのX方向における出射光の減衰が小さくなり、光出射面33での輝度の均斉度が向上する傾向にある。このように導光体3の光出射率を0.5〜5%とすることにより、光出射面から出射する光の出射光光度分布(XZ面内)におけるピーク光の角度が光出射面の法線に対し50〜80度の範囲にあり、光入射端面と光出射面との双方に垂直なXZ面内における出射光光度分布の半値全幅が10〜40度であるような指向性の高い出射特性の光を導光体3から出射させることができ、その出射方向をプリズムシート4で効率的に偏向させることができ、高い輝度を有する面光源装置を提供することができる。
本発明において、導光体3からの光出射率は次のように定義される。光出射面33の光入射端面31側の端縁での出射光の光強度(I0)と光入射端面31側の端縁から距離Lの位置での出射光強度(I)との関係は、導光体3の厚さ(Z方向寸法)をdとすると、次の式(3)
I=I0(α/100)[1−(α/100)]L/d ・・・ (3)
のような関係を満足する。ここで、定数αが光出射率であり、光出射面33における光入射端面31と直交するX方向での単位長さ(導光体厚さdに相当する長さ)当たりの導光体3から光が出射する割合(百分率:%)である。この光出射率αは、縦軸に光出射面23からの出射光の光強度の対数をとり、横軸に(L/d)をとり、これらの関係をプロットすることで、その勾配から求めることができる。
なお、本発明では、上記のようにして光出射面33に光出射機構を形成する代わりに或いはこれと併用して、導光体内部に光拡散性微粒子を混入分散することで指向性光出射機構を付与してもよい。
また、指向性光出射機構が付与されていない主面である裏面34は、導光体3からの出射光の一次光源1と平行な面(YZ面)での指向性を制御するために、光入射端面31を横切る方向に、より具体的には光入射端面31に対して略垂直の方向(X方向)に、延びる多数のプリズム列を配列したプリズム列形成面とされている。この導光体3の裏面34のプリズム列は、配列ピッチをたとえば10〜100μmの範囲、好ましくは30〜60μmの範囲とすることができる。また、この導光体3の裏面34のプリズム列は、頂角をたとえば85〜110度の範囲とすることができる。これは、頂角をこの範囲とすることによって導光体3からの出射光を適度に集光させることができ、面光源装置としての輝度の向上を図ることができるためであり、頂角はより好ましくは90〜100度の範囲である。
導光体3としては、図1に示したような形状に限定されるものではなく、光入射端面の方が厚いくさび状等の種々の形状のものが使用できる。
導光体3は、光透過率の高い合成樹脂から構成することができる。このような合成樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂が例示できる。特に、アクリル系樹脂が、光透過率の高さ、耐熱性、力学的特性、成形加工性に優れており、最適である。このようなアクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチルを主成分とする樹脂であり、メタクリル酸メチルが80重量%以上であるものが好ましい。導光体3の粗面等の表面構造やプリズム列又はレンチキュラーレンズ列等の表面構造を形成するに際しては、透明合成樹脂板を所望の表面構造を有する型部材を用いて熱プレスすることで形成してもよいし、押出成形や射出成形等によって成形と同時に形状付与してもよい。また、熱あるいは光硬化性樹脂等を用いて構造面を形成することもできる。更に、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリルイミド系樹脂等からなる透明フィルムあるいはシート等の透明基材の表面に、活性エネルギー線硬化型樹脂からなる粗面構造またレンズ列配列構造を形成してもよいし、このようなシートを接着、融着等の方法によって別個の透明基材上に接合一体化させてもよい。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、多官能(メタ)アクリル化合物、ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類、アリル化合物、(メタ)アクリル酸の金属塩等を使用することができる。なお、(メタ)アクリルとはアクリルとメタクリルの総称である。
プリズムシート4は、導光体3の光出射面33上に配置されている。プリズムシート4はシート状透光性部材からなり、その2つの主面である第1面41及び第2面42は全体として互いに平行に配列されており、それぞれ全体としてXY面と平行に位置する。一方の主面である第1面41(導光体3の光出射面33に対向して位置する主面)が入光面とされており、他方の主面42が出光面とされている。入光面41は、複数のY方向に延在するプリズム列が互いに平行に配列されたプリズム列形成面とされている。出光面42は、微細な凹凸形状が形成されている面すなわち凹凸面とされている。
図3に、プリズムシート4及び導光体3の模式的部分拡大断面図を示す。プリズムシート4は、透光性基材43と透光性レンズ列形成層たる透光性プリズム列形成層44と、光拡散層45とからなる。これらの透光性基材43、プリズム列形成層44及び光拡散層45が、シート状透光性部材を構成している。プリズム列形成層44の下面にプリズム列411が形成されており、この下面が入光面41を形成する。また、光拡散層45の上面が出光面42を形成する。
透光性基材43の材料は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を透過するものが好ましく、このようなものとして、柔軟な硝子板等を使用することもできるが、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリスチレン及びアクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン及びエチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂、ナイロン及び芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリルイミド系樹脂等の透明樹脂シートやフィルムが好ましい。
透光性基材43の厚さは、強度や取り扱い性等の作業性などの点から、例えば10〜500μmが好ましく、20〜400μmがより好ましく、30〜300μmが特に好ましい。なお、透光性基材43には、活性エネルギー線硬化樹脂からなるプリズム列形成層44と透光性基材43との密着性を向上させるために、その表面にアンカーコート処理等の密着性向上処理を施したものが好ましい。
プリズム列形成層44の上面は、平坦面とされており、上記透光性基材43の下面と接合されている。プリズム列形成層44の下面即ち入光面41は、プリズム列形成面とされており、Y方向に延在する複数のプリズム列411が互いに平行に配列されている。プリズム列形成層44の厚さは例えば10〜500μmである。プリズム列411の配列ピッチPは例えば10μm〜500μmである。
プリズム列411は、2つのプリズム面411a,411bからなる。これらのプリズム面は光学的に十分に平滑な面(鏡面)とされていてもよいし、或いは粗面とされていてもよい。本発明においては、プリズムシートによる所望の光学特性を維持する点から、プリズム面は鏡面とすることが好ましい。プリズム列411の頂角θは40〜150°の範囲内とすることが好ましい。一般的に、液晶表示装置のバックライトでは、プリズムシートをプリズム列形成面が液晶パネルに対向するように配置する場合には、プリズム列の頂角θは80〜100°程度の範囲であり、好ましくは85〜95°の範囲である。一方、上記実施形態のようにプリズムシート4をプリズム列形成面が導光体3の光出射面33に対向するように配置する場合には、プリズム列411の頂角θは40〜75°程度の範囲であり、好ましくは45〜70°の範囲である。
プリズム列形成層44は、例えば活性エネルギー線硬化樹脂からなり、面光源装置の輝度を向上させる等の点から、高い屈折率を有するものが好ましい。具体的には、その屈折率は、1.52以上が好ましく、1.55以上がより好ましく、1.6以上がさらに好ましい。プリズム列形成層44を形成する活性エネルギー線硬化樹脂としては、紫外線、電子線等の活性エネルギー線で硬化させたものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル類、エポキシ系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリレート系樹脂がその光学特性等の観点から特に好ましい。このような硬化樹脂に使用される活性エネルギー線硬化性組成物としては、取扱い性や硬化性等の点で、多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート(以下、多官能(メタ)アクリレートと記載)、モノアクリレートおよび/またはモノメタクリレート(以下、モノ(メタ)アクリレートと記載)、および活性エネルギー線による光重合開始剤を主成分とするものが好ましい。代表的な多官能(メタ)アクリレートとしては、ポリオールポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレート、ウレタンポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上の混合物として使用される。また、モノ(メタ)アクリレートとしては、モノアルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリオールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
一方、光拡散層45は、透光性樹脂451中に多数の光拡散材(光拡散粒子)452を含有させてなるものであり、層をなす透光性樹脂451の表面から光拡散材452が突出することで、光拡散層45の表面が凹凸面に形成されている。
光拡散層45の形成方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。例えば、透光性樹脂451を溶剤に溶解し、これに光拡散材を必要量添加してドープ(塗料)を作製する。このドープを透光性基材43の表面に塗工し乾燥させることで、表面に光拡散材による微細な凹凸を形成する。凹凸の形状は、ドープ中の透光性樹脂の含有量と、塗工量、光拡散材の平均粒子径によって容易に調整が可能である。必要なヘーズを発現させるために、凹凸の高さを適宜調整することができる。なお、形成される凹凸の形状は、光拡散材の形状に由来して決まり、例えば、球形光拡散材を使用した場合は、微細な凹及び凸レンズの集合体のような形状になる。なお、凹凸の高さが高すぎると、光拡散層45の表面の一部において、透光性基材43の表面に対しなす角度が該透光性基材からの入射光の臨界角を超えるようになりやすい。この場合には、光拡散層45の出射面の一部で光が全反射して損失光となり、面光源装置の輝度を低下させることになる。このため、光拡散層45の凹凸の高さは、以上のような全反射を生起させる表面の急峻な傾斜が生じないような高さにすることが好ましい。
ドープの作製に使用される溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、エタノール等の一般的な溶剤を挙げることができる。ドープの塗工方法としては、グラビアコートやリップコート、コンマコーター、ロールコーターなどを用いた塗工方法を挙げることができる。
透光性樹脂451としては、光拡散材452の分散が可能で、充分な強度を有する透明性のある樹脂であれば特に制限なく使用可能である。このような透光性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂(電離放射線硬化樹脂)等が挙げられ、これらのうちから透光性基材43や光拡散材452との密着性等を考慮して適宜選択するのが好ましく、特に透過率の高いアクリル系樹脂の使用が特に好ましい。
アクリル系樹脂としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸等の重合体が好ましい。特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを単量体単位として含むアクリルポリオールをトルエンやメチルエチルケトン等の溶剤に溶解し、イソシアネート、イソシアヌレート等のオリゴマー化したイソシアネートまたはメラミン等の架橋剤と混合して塗工し、硬化させて得られるアクリル樹脂が、強度、透光性基材への密着性の点で好ましい。
また、透光性樹脂451としては、耐熱性の観点から、ガラス転移点Tgが60℃以上であるものが好ましい。
なお、透光性樹脂451には、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を添加、含有させることが出来る。中でも、レベリング剤を含有させることによって、光拡散材の凝集を抑制することが出来ると共に光拡散材による凹凸を容易に形成することが出来る。
光拡散材452としては、シリカ、アルミナ、ガラスなどの無機系微粒子や、アクリル、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミンなどの架橋有機微粒子や、シリコーン樹脂微粒子などを適宜選択して使用することができる。特に、アクリル系架橋微粒子は対薬品性に優れることからドープへ添加した後の膨潤の発生が無い為、光学特性が経時的に変化しにくく、また耐熱性に優れるため、特に好ましく使用することが出来る。
なお、2種類以上の光拡散材を目的に応じて併用しても良い。光拡散材としては、球形、不定形や扁平形状等、形状を問わず使用することができる。光拡散材は透光性のものが好ましい。
光拡散層45における光拡散材452の含有量は、光拡散層45の全ヘーズを40〜90%とするために、透光性樹脂451に対して15〜40wt%であるのが好ましい。光拡散材452の含有量が15wt%よりも少ないと光拡散層45の全ヘーズが40%より低下して、面光源装置の視野角が低下したり、欠陥隠蔽性が低下する傾向にあり、光拡散材452の含有量が40wt%よりも多くなると全ヘーズが90%を超えて、輝度が低下する傾向にある。
光拡散材452の平均粒子径は、1〜5μmが好ましく、1.5〜4.5μmがより好ましく、2.0〜4.0μmがとくに好ましい。光拡散材452の平均粒子径が1μmよりも小さくなると、光拡散層45を通過した光線が着色して面光源装置の色温度を低下させたり、欠陥隠蔽性が低下したりすることがあり、光拡散材452の平均粒子径が5μmよりも大きくなるとぎらつき現象が強く発生する傾向にある。
光拡散層45の凹凸面は、JIS B 0601−1994に規定される局部山頂平均間隔Sが40μm以下となるように形成され、より好ましくは35μm以下となるように形成され、さらに好ましくは30μm以下となるように形成される。また、光拡散層45の凹凸面は、JIS B 0601−1994に規定される十点平均粗さRzが4.0μm以下となるように形成され、より好ましくは3.5μm以下となるように形成され、さらに好ましくは3.0μm以下となるように形成される。また、液晶パネルとのスティッキングを防止する観点から、Rzは0.5μm以上、好ましくは1.0μm以上が良い。光拡散層45の凹凸面をこのように形成することが、ぎらつき現象を抑制する為に特に重要である。
光拡散材452のような微粒子は、塗工液内部で複数個が会合して凝集し、二次粒子453を形成することがある。この凝集は、光拡散材452と透光性樹脂451及び溶剤とのSP値(溶解度パラメーター)の違いによる親和性の違いや光拡散材452の表面電位、また塗工時のドープの粘度の高低、レベリング時間(塗工から乾燥までの時間)の長さやレベリング剤の有無等によって変化する。凹凸面の局部山頂平均間隔Sは、塗膜面内方向での凝集が著しくなると大きくなる。また、凹凸面の十点平均粗さRzは塗膜厚み方向での凝集が著しくなると大きくなる。
なお、光拡散層45の任意の位置での70μm半径の円形領域において、長径30μm以上の二次粒子453の数が3個以下、好ましくは2個以下、さらに好ましくは1個以下であることが、ぎらつき現象を抑制する為には望ましい。さらに好ましくは長径20μm以上のものが、上記の個数範囲にある場合である。図4に平面図を示すように、複数個の光拡散材452が凝集して形成される二次粒子453の平面形状は、一般に円形ではない。そこで、二次粒子453の大きさを長径Dにより代表させる。
このように凝集した2次粒子を1次粒子とみなした場合、非常に大きな光拡散材を添加したことと同じことになり、前述した理由から凝集を抑制することは非常に重要である。例えば、透光性樹脂としてポリエステル系樹脂を用い、アクリル−スチレン共重合体架橋微粒子等のアクリル系光拡散材を添加した場合では、粒子凝集の発生が起こり易く、凝集を回避する為に塗工時の条件(例えば塗工速度等)の幅が狭くなるなどの問題があった。しかしながら、前述したアクリル系光拡散材をアクリル系の透光性樹脂に含有させた場合、広い塗工条件幅で、塗工時の粒子の凝集が抑制され、会合凝集粒子の発生を最低限に抑えることができることが判った。透光性樹脂としてアクリル系樹脂を使用し、アクリル系樹脂微粒子を光拡散材として使用した光拡散層は、凝集粒子によって発生するぎらつき現象を抑制すると共に、広い塗工条件幅で製造できるといった観点からも、特に好ましく使用することができる。
以上の実施形態では、光拡散層45を透光性樹脂451と光拡散材452とを含むドープの塗布により形成しており、光拡散材452の添加量によって光拡散層45のヘーズを容易に調整可能であり、面光源装置の輝度や視野角、及び欠陥隠蔽性等の性能を容易に調整することができ、好適である。
但し、本発明においては、凹凸面を有する光拡散層を、その他の方法により形成することも可能である。例えば、透光性基材の表面を化学エッチングやサンドブラスト、エンボスロールなどを用いて予め粗面化処理することで凹凸面を形成することができる。また、透光性基材上に別途透光性樹脂からなる塗膜を塗工付加し、これにより形成される透光性樹脂膜の表面に金型による転写方式等を用いて凹凸構造を付与しても良い。以上の方法を2種以上組み合わせて異なる凹凸構造の複合した凹凸面としても良い。これらの凹凸面を形成する樹脂に、前述のような光拡散材を添加して、ヘーズを自由にコントロールすることが出来る。
また、本発明における透光性基材43の上に形成された凹凸面を有する光拡散層45の像鮮明性は、JIS K 7105における0.25mm幅の光学くしで測定した像鮮明性が30%未満であることが、レンズシート製造に使用する金型の微小欠陥に由来するプリズム列の表面構造欠陥の視認性を低減させ、導光体の光出射面またはその反対側の裏面に形成したマット構造やレンズ列配列構造等の表面構造の欠陥の視認性を低減するために重要である。この像鮮明性は、より好ましくは、25%未満である。一般に、液晶パネルの画面サイズや解像度(ピクセル数)によっても異なるが、概ね一画素のピッチは、画面縦方向で200〜250μm程度であり、また横方向では60〜90μm程度である。従って、この程度の大きさの欠陥がプリズムシート4もしくは導光体3に存在した場合には、欠陥による散乱などにより、欠陥部と相対する位置の一画素の輝度の低下が発生しやすくなる。したがって、本発明において0.25mm幅の光学くしで測定した像鮮明性の範囲を規定することには、欠陥隠蔽性を高めるという本発明の目的からみて格別の意義がある。
以上、プリズムシート4が透光性基材43とは別個にプリズム列形成層44を有するものとして説明したが、本発明においては、透光性基材43とプリズム列形成層44とを共通の部材からなるものとすることができる。即ち、透光性基材43の表面にプリズム列を形成することができる。この場合、透光性基材43は、光透過率の高い合成樹脂から構成することができる。このような合成樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂が例示できる。特に、アクリル系樹脂が、光透過率の高さ、耐熱性、力学的特性、成形加工性に優れており、最適である。このようなアクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチルを主成分とする樹脂であり、メタクリル酸メチルが80重量%以上であるものが好ましい。
図3には、プリズムシート4によるXZ面内での光偏向の様子が模式的に示されている。この図では、XZ面内での導光体3からのピーク光(出射光分布のピークに対応する光)の進行方向の一例が示されている。導光体3の光出射面33から角度αで斜めに出射されるピーク光の大部分は、プリズム列411の第1のプリズム面411aへ入射し第2のプリズム面411bによりほぼ内面全反射されてほぼ出光面42の法線の方向に進行し、光拡散層45の主として凹凸構造の表面により拡散されて出射する。また、YZ面内では、上記のような導光体裏面34のプリズム列の作用もあって、広範囲の領域において出光面42の法線の方向の輝度の十分な向上を図ることができる。
尚、プリズムシート4のプリズム列411のプリズム面411a,411bの形状は、単一平面に限られず、例えば断面凸多角形状または凸曲面形状とすることができ、これにより、一層の高輝度化や狭視野化を図ることができる。
プリズムシート4においては、所望のプリズム列形状を精確に作製し、安定した光学性能を得るとともに、組立作業時や光源装置の使用時におけるプリズム列頂部の摩耗や変形を抑止する目的で、プリズム列の頂部に頂部平坦部あるいは頂部曲面部を形成してもよい。この場合、頂部平坦部あるいは頂部曲面部の幅は、3μm以下とすることが、面光源装置としての輝度の低下やスティッキング現象による輝度の不均一パターンの発生を抑止する観点から好ましく、より好ましくは頂部平坦部あるいは頂部曲面部の幅は2μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。
以上のようなプリズム列の形成は、プリズム列411を有するプリズム列形成面からなる入光面41を転写形成する形状転写面を有する型部材を用いて、合成樹脂シートの表面に対する賦形を行うことで、実現することができる。
図5は、プリズムシートにおけるプリズム列の形成の実施形態を示す模式図である。
図5中、符号7は、入光面41を転写形成する形状転写面を円筒状外周面に形成してなる型部材(ロール型)である。このロール型7は、アルミニウム、黄銅、鋼等の金属からなるものとすることができる。図6は、ロール型7の模式的斜視図である。円筒状ロール16の外周面には形状転写面18が形成されている。図7は、ロール型7の変形例を示す模式的分解斜視図である。この変形例においては、円筒状ロール16の外周面に薄板状の型部材15を巻き付けて固定している。この薄板状型部材15は、外側の面に形状転写面が形成されている。
図5に示されているように、ロール型7には、その外周面即ち形状転写面に沿って透光性基材9(43)が供給されており、ロール型7と透光性基材9との間に活性エネルギー線硬化性組成物10が樹脂タンク12からノズル13を経て連続的に供給される。透光性基材9の外側には、供給された活性エネルギー線硬化性組成物10の厚さを均一にさせるためのニップロール28が設置されている。ニップロール28としては、金属製ロール、ゴム製ロール等が使用される。また、活性エネルギー線硬化性組成物10の厚さを均一にさせるためには、ニップロール28の真円度、表面粗さ等について高い精度で加工されたものが好ましく、ゴム製ロールの場合にはゴム硬度が60度以上の高い硬度のものが好ましい。このニップロール28は、活性エネルギー線硬化性組成物10の厚さを正確に調整することが必要であり、圧力機構11によって操作されるようになっている。この圧力機構11としては、油圧シリンダー、空気圧シリンダー、各種ネジ機構等が使用できるが、機構の簡便さ等の観点から空気圧シリンダーが好ましい。空気圧は、圧力調整弁等によって制御される。
ロール型7と透光性基材9との間に供給される活性エネルギー線硬化性組成物10は、得られるプリズム部の厚さを一定にするために一定の粘度に保持することが好ましい。粘度範囲は、一般的には、20〜3000mPa・Sの範囲の粘度とすることが好ましく、さらに好ましくは100〜1000mPa・Sの範囲である。活性エネルギー線硬化性組成物10の粘度を20mPa・S以上とすることにより、プリズム部の厚さを一定にするためにニップ圧を極めて低く設定したり成形スピードを極端に速くしたりする必要がなくなる。ニップ圧を極めて低くすると、圧力機構11の安定作動ができなくなる傾向にあり、プリズム部の厚さが一定しなくなる。また、成形スピードを極端に速くすると、活性エネルギー線の照射量が不足し活性エネルギー線硬化性組成物の硬化が不十分となる傾向にある。一方、活性エネルギー線硬化性組成物10の粘度を3000mPa・S以下とすることにより、ロール型の形状転写面構造の細部まで十分に硬化性組成物10を行き渡らせることができ、レンズ形状の精確な転写が困難となったり気泡の混入による欠陥が発生しやすくなったり成形速度の極端な低下による生産性の悪化をもたらしたりすることがなくなる。このため、活性エネルギー線硬化性組成物10の粘度を一定に保持させるためには、硬化性組成物10の温度制御が行えるように、樹脂タンク12の外部や内部にシーズヒーター、温水ジャケット等の熱源設備を設置しておくことが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物10をロール型7と透光性基材9との間に供給した後、活性エネルギー線硬化性組成物10がロール型7と透光性基材9との間に挟まれた状態で、活性エネルギー線照射装置14から活性エネルギー線を透光性基材9を通して照射して、活性エネルギー線硬化性組成物10を重合硬化し、ロール型7に形成された形状転写面の転写を行う。活性エネルギー線照射装置14としては、化学反応用ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、可視光ハロゲンランプ等が使用される。活性エネルギー線の照射量としては、200〜600nmの波長の積算エネルギーが0.1〜50J/cm2となる程度とすることが好ましい。また、活性エネルギー線の照射雰囲気としては、空気中でもよいし、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下でもよい。次いで、透光性基材9(43)と活性エネルギー線硬化樹脂で形成されたプリズム列形成層(44)とからなるプリズムシートをロール型7から離型する。
図1に戻って、一次光源1はY方向に延在する線状の光源であり、該一次光源1としては例えば蛍光ランプや冷陰極管、またはLED或いは複数のLEDを含んでなるLEDモジュールを用いることができる。この場合、一次光源1は、図1に示したように、導光体3の一方の側端面に対向して設置する場合だけでなく、必要に応じて反対側の側端面にもさらに設置することもできる。
光源リフレクタ2は一次光源1の光をロスを少なく導光体3へ導くものである。その材質としては、例えば表面に金属蒸着反射層を有するプラスチックフィルムを用いることができる。図示されているように、光源リフレクタ2は、プリズムシート4を避けて、光反射素子5の端縁部外面から一次光源1の外面を経て導光体3の光出射面端縁部へと巻きつけられている。他方、光源リフレクタ2は、光反射素子5の端縁部外面から一次光源1の外面を経てプリズムシート4の出光面端縁部へと巻きつけることも可能である。このような光源リフレクタ2と同様な反射部材を、導光体3の光入射端面31以外の側端面に付することも可能である。
光反射素子5としては、例えば表面に金属蒸着反射層を有するプラスチックシートを用いることができる。本発明においては、光反射素子5として反射シートに代えて、導光体3の裏面34に金属蒸着等により形成された光反射層等を用いることも可能である。
以上のような一次光源1、光源リフレクタ2、導光体3、プリズムシート4及び光反射素子5を含んでなる面光源装置の発光面(プリズムシート4の出光面42)上に透過型の液晶パネル(液晶表示素子)8を配置することにより、本発明の面光源装置をバックライトとした液晶表示装置が構成される。液晶表示装置は、上方から観察者により観察される。
面光源装置のプリズムシート4の出光面42から出光する光は、液晶パネル8の入射面81に入射し、画像情報信号に応じた変調を受けて、観察面82から出射する。
本実施形態においては、プリズムシート4の特に光拡散層45が上記のような特徴を持つので、面光源装置または液晶表示装置の輝度の大幅な低下を招くことなく、液晶表示装置におけるぎらつき現象を低減し、また欠陥隠蔽性を高めることが出来る。
以上の実施形態においては、特に光拡散層45の全ヘーズが40%以上の場合には、プリズムシートの光拡散層45が十分な光拡散機能を発揮するので、その上の別個の光拡散シートの配置は不要である。但し、本発明においては、全ヘーズが40%未満の場合においては、別個の光拡散シートを併用することにより、液晶表示装置におけるぎらつき現象を低減しつつ更に光拡散性を向上させて輝度を向上させることができるとともに、欠陥隠蔽性をさらに高めることができる。
また、以上の実施形態ではレンズ列を有するレンズシートとしてプリズム列を有するプリズムシートが使用されているが、本発明においては、それ以外のレンズ列たとえばレンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズ等を使用することも可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
[実施例1]
以下のようにして、図1〜図3に関し説明したプリズムシート、面光源装置及び液晶表示装置を作製した。
重合反応容器の2Lのセパラブルフラスコ中にトルエン106重量部、メチルエチルケトン(MEK)71重量部、メチルメタクリレート(MMA)69重量部、エチルアクリレート25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5重量部、メタクリル酸1重量部を量り取り、撹拌翼により撹拌を行ないながら、窒素によるバブリングを30分間実施した。その後ラジカル重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.45重量部を加えた後に、反応容器を90℃に昇温し、その状態で5時間保持した。さらに2,2−アゾビスイソブチロニトリル1重量部を加えて反応容器を4時間保持した後、室温まで冷却し反応を完了し、アクリル系の透光性樹脂451の溶液(塗工液)を得た。塗工液中のアクリル系樹脂は、分子量がMW=75,100で、水酸基価が21.6mgKOH/gで、酸価が2.1mgKOH/gで、Tgが61℃であり、透光性樹脂451の溶液の加熱残分は36.0重量%であった。
光拡散材452として、屈折率1.51で平均粒子径3.0μmのアクリル/スチレン樹脂微粒子(積水化成品工業製、商品名XX78B)を使用し、これを透光性樹脂451に対して16.7wt%になるように(すなわち、透光性樹脂451の量をl00wt%として、光拡散材452の量が16.7wt%となるように)前記塗工液に添加し、攪拌混合して光拡散材が含有された塗工液を調製した。
透光性基材43として、厚さ188μmのPETフィルム(東洋紡績社製、商品名A4300)を使用し、リバースグラビアコート法を用いて、前記光拡散材が含有された塗工液を前記PETフィルム上に溶剤乾燥後の平均厚みが7μmになるように塗工し、乾燥させた。これにより、PETフィルムの片面に、光拡散材に基づく凹凸構造を持ち即ち凹凸面を有する光拡散層を形成した。
得られた光拡散層について、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製、商品名HM−150)を用い、光拡散層が受光側に向くように取り付けて、全光線透過率(JIS K 7316)Tt及びヘーズ(JIS K 7136)Hazeを測定した。その結果、全光線透過率は90.5%であり、ヘーズは40.2%であった。
また、光拡散層の凹凸面の局部山頂平均間隔Sと十点平均粗さRzとを、表面粗さ計(東京精密社製、商品名サーフコム1500DX−3DF)を使用し、1μmの測定子を用いて測定した(JIS B 0601−1994)。その結果、局部山頂平均間隔Sは21.3μmであり、十点平均粗さRzは1.0μmであった。
また、光拡散層中における光拡散材の凝集状態を、光学顕微鏡(オリンパス社製、商品名MX61L)を用いて倍率500倍にて透過光で観察した。その結果、光拡散層の表面の任意の位置での半径70μmの円形領域における長径30μm以上の二次粒子の数は、最大で1個であった。
また、光拡散層の0.25mm幅の光学くしにおける像鮮明性(スガ試験機社製 商品名ICM−1DP)を測定した結果、25.2%であった。
厚さ1.0mm,400mm×690mmのJIS黄銅3種の薄板の表面に、プリズム列形成面の形状に対応した形状の形状転写面を形成して、型部材を得た。ここで、目的とするプリズム列形成面の形状は、ピッチP=50μm、頂角θ=65°のプリズム列411が多数並列して配置されたものであった。
次いで、直径220mm、長さ450mmのステンレス製の円筒状ロールを用意し、その外周面上に型部材を巻き付け、ネジで固定し、ロール型を得た。このロール型7とゴムロールとの間に前記光拡散層付きの透光性基材をロール型に沿って供給し、ゴムロールに接続した空気圧シリンダーにより、ゴムロールとロール型との間で透光性基材をニップした。
一方、以下の紫外線硬化性組成物
フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製ビスコート#192):50重量部
ビスフェノールA−ジエポキシ−アクリレート(共栄社油脂化学工業社製エポキシエステル3000A):50重量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバガイギー社製ダロキュア1173):1.5重量部
を、粘度300mPa・S/25℃に調整した。
この紫外線硬化性組成物を、ゴムロールによりロール型へとニップされている透光性基材の前記光拡散層の付与された面とは反対側の面に供給した。ロール型を回転させながら、紫外線硬化性組成物がロール型と透光性基材との間に挟まれた状態で、紫外線照射装置から紫外線を照射し、紫外線硬化性組成物を重合硬化させロール型の形状転写面のプリズム列パターンを転写させた。その後、ロール型より離型し、プリズムシートを得た。
以上のようにして得られたプリズムシートを、14.1W(ワイド)サイズに切り出し、これを冷陰極管を側面に配置した14.1W(ワイド)サイズのアクリル樹脂製導光体の光出射面上に、図1及び図2に示されているように、プリズム列形成面が下向きとなるように載置し、他の側面および裏面を反射シートで覆い、面光源装置を得た。この面光源装置において、冷陰極管を点灯させ、輝度計(トプコン社製、商品名BM−7)を用いて法線輝度及び半値角を測定した。その結果、法線輝度は2520Cd/m2であり、半値角は19.3°であった。
また、導光体中に練り込まれていた白色の直径200μmの異物欠陥を、導光体の光出射面の法線方向に20cmの距離から観察したところ、導光体だけで観察した場合には欠陥が明瞭に認識されたものの、プリズムシートを載せて観察した結果、欠陥を認識することが出来なかった。
以上のようにして得られた面光源装置のプリズムシート上に、透過型液晶パネルを載置した。この液晶パネルは、光沢計(日本電色工業社製、商品名VGS−300A)で測定した観察面の60度光沢値が48.6で、入射面の60度光沢値が31.2の、画素数XGAのサイズ14.1W(ワイド)液晶パネルであった。また、光透過部であるカラーフィルターのサイズを計測した所、画面縦方向が197μm、画面横方向が54μmであった。このようにして得られた液晶表示装置において、面光源装置を発光させ、液晶パネルにより白画像を表示して、ぎらつきを観察したところ、ぎらつき現象は殆どなく、非常に滑らかな質感を有した見易い画質が得られた。また、導光体の欠陥も認識することが出来なかった。
[実施例2]
実施例1で使用した光拡散材を、その添加量が透光性樹脂451に対して25.2wt%になるように(すなわち、透光性樹脂451の量をl00wt%として、光拡散材452の量が25.2wt%となるように)塗工液に添加したこと以外は、実施例1と同様にして光拡散層を形成した。
得られた光拡散層について、実施例1と同様にして全光線透過率及びヘーズを測定した。その結果、全光線透過率は90.3%であり、全ヘーズは60.9%であった。
また、光拡散層の凹凸面の局部山頂平均間隔Sと十点平均粗さRzとを、実施例1と同様にして測定した。その結果、局部山頂平均間隔Sは19.4μmであり、十点平均粗さRzは1.7μmであった。
また、光拡散層の表面の任意の位置での半径70μmの円形領域における長径30μm以上の二次粒子の数は、最大2個であった。
また、光拡散層の0.25mm幅の光学くしにおける像鮮明性(スガ試験機社製 商品名ICM−1DP)を測定した結果、7.6%であった。
更に、実施例1と同様にしてプリズム列形成層を形成してプリズムシートを得、このプリズムシートを用いて実施例1と同様にして面光源装置を作製した。この面光源装置において、実施例1と同様にして法線輝度及び半値角を測定した。その結果、法線輝度は2286Cd/m2であり、半値角は21.0°であった。
また、実施例1と同じ導光体中に練り込まれていた白色の直径200μmの異物欠陥を、同一条件で観察したところ、導光体だけで観察した場合には欠陥が明瞭に認識されたものの、プリズムシートを載せて観察した結果、欠陥を認識することが出来なかった。
更に、この面光源装置を用いて実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置において、実施例1と同様にしてぎらつきを観察したところ、ぎらつき現象は殆どなく、非常に滑らかな質感を有した見易い画質が得られた。また、導光体の欠陥も認識することが出来なかった。
[比較例1]
実施例1で使用した光拡散材を、その添加量が透光性樹脂451に対して12.5wt%になるように(すなわち、透光性樹脂451の量をl00wt%として、光拡散材452の量が12.5wt%となるように)塗工液に添加したこと以外は、実施例1と同様にして光拡散層を形成した。
得られた光拡散層について、実施例1と同様にして全光線透過率及びヘーズを測定した。その結果、全光線透過率は90.7%であり、ヘーズは28.0%であった。
光拡散層の凹凸面の局部山頂平均間隔Sと十点平均粗さRzとを、実施例1と同様にして測定した。その結果、局部山頂平均間隔Sは18.5μmであり、十点平均粗さRzは0.8μmであった。
また、光拡散層の表面の任意の位置での半径70μmの円形領域における長径30μm以上の二次粒子の数は、最大2個であった。
また、光拡散層の0.25mm幅の光学くしにおける像鮮明性(スガ試験機社製 商品名ICM−1DP)を測定した結果、47.6%であった。
更に、実施例1と同様にしてプリズム列形成層を形成してプリズムシートを得、このプリズムシートを用いて実施例1と同様にして面光源装置を作製した。この面光源装置において、実施例1と同様にして法線輝度及び半値角を測定した。その結果、法線輝度は2652Cd/m2と非常に高い輝度が得られたものの、ヘーズ値が28.0%と低い為か、半値角は18.3°と狭い視野角しか得られなかった。
また、実施例1と同じ導光体中に練り込まれていた白色の直径200μmの異物欠陥を、同一条件で観察したところ、導光体だけで観察した場合には欠陥が明瞭に認識され、プリズムシートを載せて観察した結果においても、像鮮明性が47.6%と高い為に、輪郭はぼけていたが、欠陥が認識された。
更に、この面光源装置を用いて実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置において、実施例1と同様にしてぎらつきを観察したところ、ぎらつき現象は殆どなく、非常に滑らかな質感を有した見易い画質が得られたが、導光体の欠陥部が黒点として認識された。
[実施例3]
厚さ1.0mm,400mm×690mmのJIS黄銅3種の薄板の表面に、平均粒子径80μmの球形ガラスビーズ(ポッターズバロティーニ社製、商品名GB075)を用いて、ブラスト法により、表面に凹凸が形成された型部材を得た。
次いで、直径220mm、長さ450mmのステンレス製の円筒状ロールを用意し、その外周面上に型部材を巻き付け、ネジで固定し、ロール型を得た。このロール型とゴムロールとの間に透光性基材をロール型に沿って供給し、ゴムロールに接続した空気圧シリンダーにより、ゴムロールとロール型との間で透光性基材をニップした。
実施例1のプリズム列形成層を形成する為に使用した紫外線硬化性組成物を、ゴムロールによりロール型へとニップされている透光性基材の一方の面に供給した。ロール型を回転させながら、紫外線硬化性組成物がロール型と透光性基材との間に挟まれた状態で、紫外線照射装置から紫外線を照射し、紫外線硬化性組成物を重合硬化させロール型の形状転写面の凹凸パターンを転写させ、光拡散層を形成した。その後、ロール型より離型した。
得られた光拡散層について、実施例1と同様にして全光線透過率及びヘーズ値を測定した、その結果、全光線透過率は90.2%であり、ヘーズは64.2%であった。
また、光拡散層の凹凸面において、Sは50μmで、Rzは6.1μmであった。
また、光拡散層の0.25mm幅の光学くしにおける像鮮明性(スガ試験機社製 商品名ICM−1DP)を測定した結果、5.3%であった。
更に、実施例1と同様にしてプリズム列形成層を形成してプリズムシートを得、このプリズムシートを用いて実施例1と同様にして面光源装置を作製した。この面光源装置において、実施例1と同様にして法線輝度及び半値角を測定した。その結果、法線輝度は2240Cd/m2であり、半値角は21.8°であった。
また、実施例1と同じ導光体中に練り込まれていた白色の直径200μmの異物欠陥を、同一条件で観察したところ、導光体だけで観察した場合には欠陥が明瞭に認識されたものの、プリズムシートを載せて観察した結果、欠陥を認識することが出来なかった。
更に、この面光源装置を用いて実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置において、実施例1と同様にしてぎらつきを観察したところ、Rzが6.1μmと大きく、さらにSが50μmと大きいため、非常に強いぎらつき現象が観察され、非常に見づらい画質しか得られなかった。なお、導光体の欠陥は認識することが出来なかった。
[実施例4]
実施例1で使用した光拡散材を、その添加量が透光性樹脂451に対して40.5wt%になるように(すなわち、透光性樹脂451の量をl00wt%として、光拡散材452の量が40.5wt%となるように)塗工液に添加したこと以外は、実施例1と同様にして光拡散層を形成した。
得られた光拡散層について、実施例1と同様にして全光線透過率及びヘーズを測定した。その結果、全光線透過率は83.5%であり、ヘーズは91.0%であった。
光拡散層の凹凸面の局部山頂平均間隔Sと十点平均粗さRzとを、実施例1と同様にして測定した。その結果、局部山頂平均間隔Sは16.8μmであり、十点平均粗さRzは4.3μmであった。
また、光拡散層の表面の任意の位置での半径70μmの円形領域における長径30μm以上の二次粒子の数は、最大3個であった。
また、光拡散層の0.25mm幅の光学くしにおける像鮮明性(スガ試験機社製 商品名ICM−1DP)を測定した結果、2.3%であった。
更に、実施例1と同様にしてプリズム列形成層を形成してプリズムシートを得、このプリズムシートを用いて実施例1と同様にして面光源装置を作製した。この面光源装置において、実施例1と同様にして法線輝度及び半値角を測定した。その結果、ヘーズ値が91.0%と高い為か半値角は23.5°と広い視野角が得られたが、法線輝度は1980Cd/m2と非常に低い輝度しか得られなかった。
また、実施例1と同じ導光体中に練り込まれていた白色の直径200μmの異物欠陥を、同一条件で観察したところ、導光体だけで観察した場合には欠陥が明瞭に認識されたものの、プリズムシートを載せて観察した結果、欠陥を認識することが出来なかった。
更に、この面光源装置を用いて実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置において、実施例1と同様にしてぎらつきを観察したところ、ぎらつき現象は殆どなく、非常に滑らかな質感を有した見易い画質が得られ、導光体の欠陥も認識することが出来なかった。
以上の実施例及び比較例を表1にまとめて示す。