JP4716747B2 - 医療用立体画像観察装置 - Google Patents

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Description

この発明は外科手術、特に脳神経外科、耳鼻科咽喉科、整形・形成外科、産婦人科、あるいは眼科などにおいて使用される医療用立体撮像装置に関する。
従来から例えば脳神経外科等においては、微細な術部の拡大観察を行なうために手術用顕微鏡が使用されている。例えば脳のように微細な組織からなる器官は、その構造組織を肉眼で識別することが困難であるために、そのような器官の処置は顕微鏡下で行なわれる。脳神経外科の手術は、ごく狭い領域で、血管や神経といった非常に重要でかつデリケートな組織を対象としており、それらの観察だけでなく、実際に血管や神経を繋いだり、血管や神経をよけて腫瘍を取り除いたりするといった処置を行なう。このため、従来の手術用顕微鏡は観察対象を拡大観察するだけでなく、処置を行なうために観察対象を立体的に捉えられることが重要な機能である。
一般に、手術用顕微鏡での拡大立体観察を行なう場合、術者はその接眼レンズを覗き込むといった動作を強いられる。このため、術者は、手術用顕微鏡での拡大立体観察時には観察位置や観察姿勢の制限を受ける。
例えば特許文献1には、電子画像顕微鏡が開示されている。この顕微鏡は、上述した観察位置や観察姿勢の制限を緩和し、自由な位置や姿勢での観察を可能にするために、術部の画像を一旦CCDなどの撮像素子により電子画像化している。このため、撮像素子により電子画像化された映像信号を術者に対して所望の位置に配置したモニターなどの表示手段によって表示可能である。
このような電子画像顕微鏡には、自由な位置や姿勢での観察を可能にするのに加え、光学系の分解能に比べてCCDのピッチが大きいために光学顕微鏡に比べて解像度(分解能)は低下する一方で、被写界深度は深くなり、ピント調整の手間が少なくて済むという長所がある。
また、瞳の位置を対物光学系よりも物体側に配置することで、広画角の顕微鏡を構成することができる。このような広画角の顕微鏡では、近いものは大きく観察され、遠いものは小さく観察されるといった、肉眼観察に近い観察状態を得ることができる。すなわち、広画角の顕微鏡では、観察対象を肉眼観察に近い状態で立体的に捉えることが可能である。
特許第3032214号公報
特許文献1に開示された顕微鏡を、広画角の顕微鏡となるように構成して手術に使用した場合、体表浅部から深部に向けて手術を進めていく際に、手前で丁度良い大きさで観察されているものが、深部を処置する際に術者が所望する大きさよりも小さく表示されてしまう。このように、患部の表示が小さいと患部に対して微細な処置を行ない難くなるため、深部の観察の際は、浅部と同じように観察されるように倍率を拡大しながら手術する必要があり、この作業が術者にとって煩雑となっている。
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、近いものは大きく表示され、遠いものは小さく表示される広画角の医療用立体画像観察装置であっても、近いものから遠いものまで術者が煩雑な倍率変更を行なわなくても、遠位側の被写体や近位側の被写体をそれぞれ容易に良好な倍率で観察することが可能な医療用立体画像観察装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明に係る、医療用立体画像観察装置は、被写体を立体的に撮影する撮像素子を有する立体撮像手段と、前記立体撮像手段によって立体的に撮像した像を立体表示する表示部を有する立体表示手段と、前記立体表示手段の前記表示部に表示される被写体の観察サイズを変更する変倍手段と、前記立体表示手段に術者が観察したい被写体の観察点を入力する観察点入力手段と、前記観察点における、前記立体撮像手段から被写体までの観察距離を測定する測距手段と、前記観察距離に応じて前記変倍手段の倍率を所定の倍率に変更する変倍制御手段とを備えている。
このため、観察点入力手段で観察点を入力することにより、観察点に位置する被写体を現在観察している被写体と同じ大きさの観察対象物が遠くにあっても同じ大きさで観察可能な所定の倍率まで、変倍制御手段によって、自動的に拡大表示させることができる。このため、現在表示されている近い位置にある被写体に対して、例えば同じような大きさに表示されるまで、遠い位置にある被写体を自動的に拡大表示させることができる。このように、遠い位置にある被写体が大きく表示されると、医療用立体画像観察装置を用いた処置もより行ない易くなる。
また、好ましくは、前記変倍制御手段は、前記観察距離が長いときに、前記被写体を電子的に高倍率に変更するズーム機能を備えている。
このため、光学的に変更可能な倍率を超えて、さらに被写体を大きく表示させることができる。
この発明によれば、近いものは大きく表示され、遠いものは小さく表示される広画角の医療用立体画像観察装置であっても、近いものから遠いものまで術者が煩雑な倍率変更を行なわなくても、遠位側の被写体や近位側の被写体をそれぞれ容易に良好な倍率で観察することが可能な医療用立体画像観察装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明する。
まず、第1の実施の形態について図1ないし図3を用いて説明する。
図1(A)に示すように、この実施の形態に係る、手術室2内に配置された医療用立体画像観察システム10は、立体撮像装置12と、3Dモニター(立体表示モニター)14と、トロリー16とを備えている。立体撮像装置12は、被写体である患者4の術部6を観察する立体画像撮像手段である。3Dモニター14は、立体撮像装置12によって撮像した観察像を3D表示可能な立体表示手段である。立体撮像装置12および3Dモニター14は、3次元的な任意の位置に移動可能およびその移動した位置で固定可能な関節部を備えた支持アーム18によってそれぞれ支持されている。このため、支持アーム18の動きによって、立体撮像装置12および3Dモニター14は、連動して動かされる。
3Dモニター14は、表示画面14aと、この表示画面14aの側部に取り付けられた例えば1対のグリップ14bとを備えている。図1(B)に示すように、これらグリップ14bのうち、少なくとも一方には、ズーム(ZOOM)スイッチ22と、フォーカス(FOCUS)スイッチ24と、フリーロックスイッチ26と、連動切替スイッチ28とが配設されている。
ズームスイッチ22は、後述する変倍光学系L3R,L3Lを図示しないモータやエンコーダ、ガイド手段等により移動操作するためのスイッチである。このズームスイッチ22は、観察倍率を上げるUP(U)と、観察倍率を下げるDOWN(D)の2方向に操作可能である。
フォーカススイッチ24は、焦点距離可変の後述する対物光学系L1を図示しないモータやエンコーダ、ガイド手段等により移動操作するためのスイッチである。このフォーカススイッチ24は、対物光学系L1の焦点位置を上側に上げるUP(U)と、対物光学系L1の焦点位置を下側に下げるDOWN(D)の2方向に操作可能である。
フリーロックスイッチ26は、図1(A)に示す支持アーム18の関節部に設けられた図示しない電磁クラッチを励磁状態および無励磁状態に切り替え可能である。このフリーロックスイッチ26は、スイッチ26を押圧している状態では支持アーム18を移動可能状態(移動フリー状態)とし、スイッチ26を押していない状態やスイッチ26の押圧を解除した状態では固定状態となる。
連動切替スイッチ28は、変倍制御装置38の後述する自動変倍制御のON/OFF状態を切り替えるためのスイッチである。この連動切替スイッチ28は、押圧する度にON/OFFが切り替えられる。
図1(A)に示すように、手術室2内のトロリー16には、光源装置32と、カメラコントロールユニット(以下、CCUと称する)34と、測距センサー制御装置36と、変倍制御装置38とが積載されている。これら光源装置32、CCU34、測距センサー制御装置36および変倍制御装置38等は図示しないライトガイドや電気ケーブルで各装置間が接続されている。
光源装置32は、ライトガイドによって立体撮像装置12に照明光を供給し、術部6を照明する。
CCU34は、電気ケーブルを介して立体撮像装置12から映像信号を受け、3Dモニター14の表示画面14aに表示可能な映像信号に変換して送信する。
測距センサー制御装置36は、電気ケーブルを介して後述する測距センサー54からの電気信号を受けてその電気信号を距離情報信号に変換した後、その距離情報信号を電気ケーブルを介して変倍制御装置38に送る。なお、測距センサー制御装置36と、後述する測距センサー54とにより測距手段を構成している。
変倍制御装置38は、後述する変倍光学系L3とにより変倍制御手段を構成している。このうち、変倍制御装置38は、電気ケーブルを介して後述する測距センサー54からの距離情報信号を受け、変倍光学系L3を制御する変倍制御手段である。
図2(A)および図2(B)に示すように、立体撮像装置12は、支持アーム18に支持された装置本体(鏡体)42を備えている。この装置本体42は、略筒状に形成されている。
この装置本体42は、焦点距離可変の対物光学系L1と、アフォーカル光学系(無(限)焦点光学系)L2と、変倍光学系L3と、結像光学系L4と、CCD44とを下端部から上端部に向かって内部に順次備えている。このうち、変倍光学系L3、結像光学系L4およびCCD44は、それぞれ右眼用および左眼用変倍光学系L3R,L3L、右眼用および左眼用結像光学系L4R,L4L、右眼用および左眼用CCD44R,44Lを備えている。
対物光学系L1は、術部6からの光束を装置本体42の内部に導光させるために装置本体42の下端部に配設されている。この対物光学系L1は、所定の方向に沿って移動させるガイド手段やモータ(図示せず)が取り付けられている。モータには、例えばエンコーダ(図示せず)が取り付けられている。このため、対物光学系L1のガイド手段に沿った移動に基づく焦点位置合わせは、エンコーダなどによって算出される。
アフォーカル光学系L2は、対物光学系L1の上側に光学的に接続された状態で配置されている。アフォーカル光学系L2は、対物光学系L1からの光束を受けて、その光束を平行光にする。
変倍光学系L3は、アフォーカル光学系L2の上側に光学的に接続された状態で配置されている。変倍光学系L3は、アフォーカル光学系L2からの平行光の光束を受けてその光束に基づく像を所望の倍率に変倍する。このため、右眼用および左眼用変倍光学系L3R,L3Lは、アフォーカル光学系L2からの平行光の光束を受けて、その光束に基づいて、それぞれ像を分離した状態で所望の倍率に変倍する。これら変倍光学系L3R,L3Lには、それぞれ所定の方向に沿って移動させるガイド手段やモータ(図示せず)が取り付けられている。これらモータには、例えばエンコーダ(図示せず)がそれぞれ取り付けられている。このため、変倍光学系L3R,L3Lのガイド手段に沿った移動に基づくズーム倍率は、これらエンコーダなどによって算出される。
結像光学系L4R,L4Lは、変倍光学系L3R,L3Lの上側に光学的に接続された状態で配置されている。結像光学系L4R,L4Lは、右眼用および左眼用変倍光学系L3R,L3Lからの光束を受けて各光束を右眼用および左眼用CCD44R,44L上に結像する。
右眼用および左眼用CCD44R,44Lは、結像光学系L4R,L4Lの上側に光学的に接続された状態で配置されている。右眼用および左眼用CCD44R,44Lは、右眼用および左眼用結像光学系L4R,L4Lによって結像された像を撮像し、その撮像した観察像をトロリー16に配置されたCCU34に電気ケーブルを介してそれぞれ伝送する。
なお、図2(A)および図2(B)中の符号46a,46bは、装置本体42の下端から装置本体42に対して離隔する距離yに位置するアフォーカル光学系L2と対物光学系L1によってリレーされた装置本体42内の図示しない瞳位置と共役な瞳位置を示している。
ここで、右眼用および左眼用CCD44R,44Lは対物光学系L1、アフォーカル光学系L2、変倍光学系L3、結像光学系L4等の分解能に比べてピッチが大きく形成されているので、上述した対物光学系L1、アフォーカル光学系L2、変倍光学系L3、結像光学系L4等の分解能に比べて解像度は低下する。一方、右眼用および左眼用CCD44R,44Lで撮像する被写界の深度は深くなる。このため、瞳位置46a,46bから距離Yだけ離れた患部50aも、距離Yだけ離れた患部50bもともにハッキリと観察することができる。なお、説明の簡略化のため、両患部50a,50bの大きさを略同一の大きさとして説明する。
立体撮像装置12の半画角をθとすると、患部50aの位置における実視野φは瞳位置46a,46bを起点にして、
φ≒2・Ytanθ
として表される。
患部50bの位置における実視野φも同様に、
φ≒2・Ytanθ
として表される。
この装置本体42は、さらに、装置本体12の視野中心(軸線)O上の術部6である患部50a,50bまでの距離を測定する測距センサー54を備えている。この測距センサー54は、光を発する発光素子56aと、光を集光し、その光を術部6に導く投光レンズ56bと、術部6で反射した光を受ける受光レンズ56cと、この受光レンズ56cを通した受光素子56dとを備えている。
発光素子56aおよび投光レンズ56bは、対物光学系L1の軸線Oと略同軸に配置されているが、対物光学系L1に対して術部6側の観察光束を遮らない位置に配設されている。一方、受光レンズ56cおよび受光素子56dは、装置本体42の下端部の外側に配設されている。
この測距センサー54は、発光素子56aで光を発し、術部6で反射した光が受光素子56dに入る位置の変化により、対物光学系L1の軸線O方向の術部6までの観察距離を測定する三角測距式である。受光素子56dからの電気信号は、測距センサー制御装置36に伝達されて距離情報信号に変換された後、電気ケーブルを介してその距離情報信号が変倍制御装置38に送られる。
図3(A)は立体撮像装置12が図2(A)に示す状態における3Dモニター14の表示画面14a上に表示された術野を示す。この場合、3Dモニター14の表示画面14aの対角長と実視野の直径とが略一致する条件で表示されている。このため、術部6の手前側の患部50aは大きく、奥側の患部50bは小さく表示される。
一方、3Dモニター14の表示画面14a内の中央から左側に表示される患部50aにおいては、3Dモニター14の表示画面14aの対角長の半分(以下、半対角長と称する)は略φ/2に相当する長さである。表示画面14a内の右側に表示される患部50bにおいては、表示画面14aの半対角長は略φ/2に相当する長さである。
このため、同じ大きさの被写体(患部50a,50b)を観察しても実視野が小さいほど被写体が視野内を占める割合が大きい。したがって、実視野φよりも実視野φが大きいことより、患部50aは大きく、患部50bは小さく表示される。すなわち、肉眼視と同様に、近いもの(患部50a)は大きく、遠いもの(患部50b)は小さく表示される。
このように、実際には同じ大きさの患部50a,50bの3Dモニター14の表示画面14a上の大きさは実視野φ,φの大きさによって決まり、患部50aは患部50bよりもφ/φ倍だけ大きく表示される。すなわち、患部50aは患部50bよりもY/Y倍だけ大きく表示される。
以下、変倍制御装置38について説明する。
変倍制御装置38は、連動切替スイッチ28の操作により自動変倍制御機能がONに切り替えられる。この状態でズームスイッチ22が操作されると、変倍光学系L3R,L3Lは、後述するズーム倍率Zなど、所定の倍率にズーム操作される。ズーム操作終了時の変倍光学系L3R,L3Lのズーム倍率Zの情報と、軸線O方向の瞳位置46a,46bから被写体(患部50a)までの距離Yの情報とは、立体撮像装置12および測距センサー制御装置36から変倍制御装置38に送られてその変倍制御装置38にメモリーされる。
ズーム倍率Zは変倍光学系L3R,L3Lに設けられた図示しないエンコーダ等により算出される。一方、距離Yは、「測距センサー54から被写体(患部50a)までの距離」と、「測距センサー54から瞳位置yまでの距離」との差により算出される。
この状態でズームスイッチ22を操作せず、フリーロックスイッチ26を操作することで支持アーム18を移動可能状態とし、立体撮像装置12を図2(A)中の右方向に動かして軸線O方向の被写体を患部50aから患部50bに切り替える。このとき、立体撮像装置12と患部50bの位置関係は、図2(B)に示す状態であり、3Dモニター14の表示画面14aに表示される画像は図3(B)に示す状態となる。
このため、図2(B)に示すように、測距センサー制御装置36から変倍制御装置38に送られる軸線O方向の瞳位置46a,46bから被写体(患部50b)までの距離が距離Yから距離Yに変化する。ここで、変倍制御装置38は、連動切替スイッチ28の操作により自動変倍制御機能がONに切り替えられていると、測距センサー54の測定値に基づいて変倍光学系L3R,L3Lが新たな倍率Z=Z(Y/Y)となるように変倍光学系L3R,L3Lを図示しないモータ等を駆動して移動させる。
これにより、3Dモニター14の表示画面14aに表示される画像は図3(C)に示す状態となる。表示画面14a内の右側に表示される患部50bに対して表示画面14aの半対角長はφ/2(=φ/2×φ/φ)となることにより、患部50bは、図3(A)に示す患部50aと同じ大きさに拡大されて観察される。
ここで、ズーム倍率Zと距離Yは、次にズームスイッチ22が操作されるまで変倍制御装置38にメモリーされ続ける。ズームスイッチ22が操作されると、ズーム操作終了時のズーム倍率Zと距離Yとが新たにメモリーされる。
なお、自動変倍制御機能がOFF状態のときは自動変倍制御機能は働かず、つまり患部50aまでの距離Yが患部50bまでの距離Yに変化したことが測距センサー54によって計測されてもズーム倍率Zは変化しない。
次に、この実施の形態に係る立体画像観察システム10の作用について説明する。
術者は、まず図1(A)に示す3Dモニター14のグリップ14bを保持した状態で、フリーロックスイッチ26を押圧する。このとき、支持アーム18の関節部がフリー状態となるので、立体撮像装置12と3Dモニター14とを、術部6を観察可能な所望の位置まで移動させる。この状態でフリーロックスイッチ26の押圧を解除すると、立体撮像装置12と3Dモニター14とが所望の位置で固定される。次に、3Dモニター14を術部6を処置するのに邪魔になり難く、かつ表示画面14aを観察し易い位置に移動させる。なお、術部6は光源装置32からライトガイド(図示せず)により導かれた照明光により照明される。
術部6に照射した照明光の反射光は、対物光学系L1を通して装置本体42の内部に導光されて観察像が形成される。そして、対物光学系L1を通して形成された観察像の光束は、アフォーカル光学系L2を通して平行光に変換される。アフォーカル光学系L2を通した光束は、右眼用変倍光学系L3Rおよび左眼用変倍光学系L3Lを通して倍率が変更される。このように倍率が変更された光束は、右眼用結像光学系L4Rおよび左眼用結像光学系L4Lを介して、右眼用CCD44Rおよび左眼用CCD44Lに結像される。このため、右眼用CCD44Rおよび左眼用CCD44Lによって、映像信号である観察像が撮像される。
右眼用CCD44Rおよび左眼用CCD44Lに電気ケーブルによって電気的に接続されたCCU34は、右眼用CCD44Rおよび左眼用CCD44Lからそれぞれ映像信号を受ける。CCU34は、その映像信号を3Dモニター14の表示画面14aに表示可能な立体(3D)映像信号に変換して電気ケーブルを介してその映像信号を3Dモニター14に送信する。このため、3Dモニター14の表示画面14aには、術部6が3D表示される。したがって、術者は3Dモニター14の表示画面14aを観察することにより術部6の立体観察を行なうことができる。
なお、支持アーム18をフリー状態として立体撮像装置12を動かすとき、これから処置する予定の患部50aが3Dモニター14の中央に表示されるようにしておく。つまり、対物光学系L1の軸線O方向に患部50aを位置させる(図2(A)および図3(A)参照)。
そして、フォーカススイッチ24を操作して図2(A)に示す患部50a,50bがクッキリと表示されるように調整する。焦点距離可変の対物光学系L1が図示しないモータやエンコーダ、ガイド手段により移動され、フォーカス調整がなされる。
光学系の分解能に比べてCCD44R,44Lのピッチは大きく形成されているため、光学顕微鏡等に比べて解像度は低下するが、被写界深度は深い。このため、互いに対物光学系L1に対する距離Y,Y、すなわち深度が異なる互いに離れた患部50a,50bの双方をクッキリと観察することができる。これを、第1の観察状態とする。
次に、連動切替スイッチ28を押して自動変倍制御装置38の自動変倍制御機能をONの状態に切り替える。
続いて、術者はズームスイッチ22を操作して3Dモニター14上に表示される、これから処置を行なう患部50aを処置し易い大きさになるように調整する。
図3(A)は、処置し易い大きさにズーム調整した後に、3Dモニター14上に表示される患部50aの状態を示している。なお、遠くに見える患部50bはクッキリと観察されているが、その表示サイズが小さいので、この状態で処置を行なうには小さい大きさである。
ズームスイッチ22の操作によるズーム操作終了時に、測距センサー54の発光素子56aを発した光は、患部50aで反射して受光素子56dに入る位置により測距センサー54から患部50aまでの距離(y+Y)が検出される。この検出信号は、測距センサー制御装置36を介して変倍制御装置38に伝達される。
また、立体撮像装置12からも、装置本体42の下端部から瞳位置46a,46bまでの距離(y)と、変倍光学系L3R,L3Lに設けられた図示しないエンコーダ等より検出されたズーム倍率Zとが変倍制御装置38に伝達される。
以上により、ズーム操作終了時のズーム倍率Zと、装置本体42の軸線O方向の瞳位置46a,46bから被写体(患部50a)までの距離Yとの情報が変倍制御装置38内にメモリーされる。
なお、距離Yは、
=(y+Y)−y
により算出されている。
この状態で患部50aの処置を完了させ、次に患部50bの処置を行なう。
術者はフリーロックスイッチ26を押圧して支持アーム18をフリー状態にし、立体撮像装置12と3Dモニター14を図2(A)中の右側に動かす。このとき、図2(B)に示すように、装置本体42の軸線Oの方向を患部50bに一致させる。このため、次に処置する予定の患部50bが3Dモニター14の表示画面14aの中央に表示される。すなわち、対物光学系L1の軸線O方向に患部50bを位置させる(図2(B)および図3(B)参照)。
軸線O方向の瞳位置46a,46bから被写体(患部50b)までの距離Yの情報は測距センサー54により検出される。このように検出された距離Yの情報は、上述したように、測距センサー54、測距センサー制御装置36を介して変倍制御装置38に伝送される。
変倍制御装置38は、既にメモリーされている距離Yと変動後の距離Yにより、新たなズーム倍率Z=Z(Y/Y)となるように変倍光学系L3R,L3Lを図示しないモータやエンコーダ等を駆動して移動させる。
これにより3Dモニター14の表示画面14aに表示される画像は、図3(C)に示す状態となる。表示画面14a内の右側に表示される患部50bに対して表示画面14aの半対角長はφ/2(=φ/2×φ/φ)となる。このため、患部50bが図3(A)に示す患部50aと同じ大きさで、つまり、患部50bは、処置し易い大きさに表示される。これを、第2の観察状態とする。
この状態で、患部50bの処置を行なう。
なお、患部(被写体)50bの大きさが大きく変化したり、その患部50bの倍率を変更したいときには、ズームスイッチ22を操作して変倍光学系L3R,L3Lを稼動させて倍率を変更する。これにより新たなズーム倍率Zおよび距離Yがメモリーされる。そして、上述した操作を行なうことによって、ズーム倍率Zおよび距離Yが規定される。
患部50a,50bに対する自動変倍制御機能を必要としないときには、連動切替スイッチ28の操作により自動変倍制御装置38の自動変倍制御機能をOFFの状態にしておく。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
連動切替スイッチ28によりON/OFFが切り替えられる変倍制御機能が変倍制御装置38に設けられている。このため、被写体(患部50a,50b)の大きさにあまり差異がないときに、術者が最初に患部50aに対してズーム操作を行なった後に3Dモニター14の表示画面14aの略中央に被写体(患部50b)を配置する、すなわち、装置本体42を横方向に移動させるだけで、新たにズーム操作を行なうことなく、所定の良好な大きさ(所定のズーム倍率Z=Z(Y/Y))に患部50bをズーム観察することができる。
次に、第2の実施の形態について、図4ないし図6を用いて説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
この実施の形態に係る立体画像観察システム10は、第1の実施の形態で適切な大きさで観察したい患部50a,50bを3Dモニター14の表示画面14a内の中央に配置するように装置本体42を横方向に動かしていたのを、装置本体42を動かさなくても3Dモニター14の後述する表示画面62上に設けたタッチパネル62a上から観察したい患部50a,50bの位置を触るだけで適正な大きさで所望の患部50a,50bを観察可能なように変更するものである。
図4(A)に示す3Dモニター14の表示画面62には、観察点(所望の観察位置)入力手段として透明なタッチパネル62aが採用されている。図4(A)中の符号62bは、タッチパネル62aのどの部分が押されたかを検出する電極格子である。タッチパネル62aは図示しない電気ケーブルにより測距センサー制御装置36に電気的に接続されている。
図5(A)に示すように、測距センサー54は図示しないモータやエンコーダ、ガイド手段により、装置本体42の軸線Oに対して直交する方向に移動可能に設けられている。この測距センサー54は、図4(A)中に示す測距センサー制御装置36と協働して、測距離手段を構成している。
図6(A)は図5(A)の状態における3Dモニター14のタッチパネル式の表示画面62上に表示された術野を示す。
表示画面62内の中央には患部50aが、右側には患部50bが表示されている。ここで3Dモニター14の表示画面62内の中央の患部50a上には、測距センサー54の位置を示すカーソル64が、図4(A)中のCCU34による画像処理により重畳表示されている。すなわち、患部50a上には、カーソル64が表示されている。
ここでタッチパネル式の表示画面62が術者に押圧されたときの制御方法について説明する。
電源投入時、測距センサー54は必ず装置本体42の軸線Oと略同軸の位置に移動する。このため、表示画面62上に重畳表示されたカーソル64は、図6(A)に示す位置にある。この状態で図6(B)に示すように、タッチパネル式の表示画面62内の中央から右方向に距離Xだけ離れた位置が押圧されたときには、現在カーソル64がある場所での瞳位置46a,46bから患部50aまでの距離Yを測定することで、実視野φを算出する。図5(A)に示す状態では第1の実施の形態と同様に、実視野φは、
φ≒2・Ytanθ
として表される。
この実視野φと3Dモニター14の表示画面62の対角とは、一致しているので、3Dモニター14の表示画面62の対角を、押圧位置の中央からの距離をX、対角長をXとすると、実視野φにその比分をかけることで、測距センサー54の図5(B)に示す移動量X
=2・Ytanθ(X/X)
として求められる。このため、測距センサー54が移動量Xだけ移動される。その測距センサー54の移動にともなって、表示画面62に重畳表示されたカーソル64の位置も3Dモニター14の表示画面62上で測距センサー54が動いた位置に表示される。
そして、測距センサー54が移動した後の位置では、測距センサー54により再度距離Yが測定され、変倍制御装置38が、第1の実施の形態と同様に、メモリーされている倍率Zおよび距離Yを基に、ズーム倍率Z=Z(Y/Y)の変倍を行なう(図6(C)参照)。
他の構成は第1の実施の形態で説明した立体画像観察システム10と同じなので説明を省略する。
次に、この実施の形態に係る立体画像観察システム10の作用について説明する。
図5(A)および図6(A)に示すように、患部50a,50bを表示画面62内に入れ、図4(B)に示すフォーカススイッチ24を押圧することで患部50a,50bをクッキリと観察可能な状態にする。次に、連動切替スイッチ28を押圧して自動変倍制御装置38の自動変倍制御機能をONの状態に切り替える。
この状態において、図5(A)に示すように、患部50aは、装置本体42の軸線Oと略同軸の位置に位置している。そして、図6(A)に示すように、3Dモニター14の表示画面62内の中央には、測距センサー54の位置を示すカーソル64が、図4(A)中に示すCCU34による画像処理により患部50aに重畳表示されている。
患部50aの処置を行なう際は、患部50aが適正な観察倍率となるようにズームスイッチ22を操作して3Dモニター14の表示画面62上の表示サイズを調整する。これにより、第1の実施の形態と同様に変倍制御装置38にズーム倍率Zと距離Yがメモリーされる。
患部50aの処置が終わり、深度が異なる患部50bの処置を行なう際には、3Dモニター14の表示画面62上の患部50aの中央から患部50bが観察される距離Xだけ離れた位置をタッチパネル式の表示画面62を押圧する。タッチパネル式の表示画面62の電極格子62bの電圧の変化より、表示画面62のどの位置が押されたかが電極格子62bにより検出されて、その検出信号が測距センサー制御装置36に伝達される。
測距センサー制御装置36は測距センサー54により、現在カーソル64がある場所での距離Yを測定することで、実視野φを算出する。図5(A)に示す状態では第1の実施の形態と同様に、実視野φは、
φ≒2・Ytanθ
により算出される。
この実視野φと3Dモニター14の表示画面62の対角とは、一致しているので、タッチパネル式の表示画面62の押圧位置の中央からの距離X、対角長X、実視野φより測距センサー54の移動量Xは、
=2・Ytanθ(X/X)
により求められる。このため、距離Xだけ測距センサー54が移動される。この測距センサー54の移動にともない、重畳表示されるカーソル64の位置も3Dモニター14の表示画面62上で患部50b上である、元の位置に対して動いた位置に表示される。
そして、カーソル64の移動後の位置では、測距センサー54により再度瞳位置46a,46bから患部50bまでの距離Yが測定される。変倍制御装置38が、第1の実施の形態と同様に、メモリーされているズーム倍率Z、距離Yを基にして、図6(C)に示すように、倍率Z=Z(Y/Y)の変倍が行なわれる。
他の作用は、第1の実施の形態と同じなので説明を省略する。
なお、この実施の形態では、3Dモニター14の表示画面62の対角長と対比する基準である実視野φを初期状態では中央、以降は現在測距センサー54が配置されている位置としたが、これに限らず、測距センサー54の移動途中で複数の距離Yを測定することで複数の実視野φを算出し、より精度を高めた制御を行なっても良い。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
連動切替スイッチ28によりON/OFFが切り替えられる変倍制御機能が変倍制御装置38に設けられている。このため、被写体(患部50a,50b)の大きさにあまり差異がないときに、術者が最初に患部50aに対してズーム操作を行なって表示画面62の中央にカーソル64を配置して患部50aに対して処置を行なうことができる。そして、その患部50aの処置の終了後に3Dモニター14のタッチパネル式の表示画面62の患部50bが表示された位置を押圧するだけで、新たにズーム操作を行なうことなく、良好な大きさ(所定のズーム倍率Z=Z(Y/Y))に患部50bをズーム観察することができる。
すなわち、立体撮像装置12の装置本体12の位置を動かさなくても、3Dモニター14の表示画面62上の所望の被写体(患部50b)を良好な大きさで観察しながら処置を行なうことができる。
次に、第3の実施の形態について図7および図8を用いて説明する。この実施の形態は、第2の実施の形態に係る立体画像観察システム10の変形例であって、第2の実施の形態と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
この実施の形態に係る立体画像観察システム10は、第2の実施の形態で観察点入力手段をタッチパネルとしていたのを、視線入力により観察したい患部を指定可能なように変更したものである。
図7に示すように、3Dモニター14の表示画面62上には、視線検出装置70が配設されている。図8に示すように、視線入力手段としての視線検出装置70は、赤外LED70aと、ダイクロイックミラー70bと、集光レンズ70cと、視界センサー70dとを備えている。
赤外LED70aは、術者の眼球72を照明する。術者の眼球72によって反射された反射光は、眼球72の位置によってはダイクロイックミラー70bに入射される。
ダイクロイックミラー70bは、赤外LED70aの波長のみ反射し、他は透過する。このため、ダイクロイックミラー70bによって反射された赤外LED70aの波長の光は、集光レンズ70cに入射される。この集光レンズ70cは、赤外LED70aの波長の光を集光する。
視界センサー70dは、集光レンズ70cにより集光された赤外LED70aの波長の光の位置を検出することにより、術者の眼球72の向きを検出する。
この視線検出装置70は、測距センサー制御装置36に電気ケーブルによって電気的に接続されている。このため、視線検出装置70により得られる術者の眼球72の向きを示す電気信号は、測距センサー制御装置36に送信される。
他の構成は第2の実施の形態と同じなので説明を省略する。
図7に示す立体画像観察システム10に対して、図5(A)および図6(A)に示すように、患部50a,50bを表示画面62内に入れてフォーカススイッチ24を押圧する。このため、両患部50a,50bがクッキリと観察可能な状態となる。次に、連動切替スイッチ28を押圧して自動変倍制御装置38の自動変倍制御機能をONの状態に切り替える。
図6(A)に示すように、3Dモニター14の表示画面62内の中央には、測距センサー54の位置を示すカーソル64が、図7中に示すCCU34による画像処理により重畳表示されている。
患部50aの処置を行なう際は、適正な倍率になるようにズームスイッチ22を操作して3Dモニター14の表示画面62上の表示サイズを調整する。これにより、第1および第2の実施の形態と同様に変倍制御装置38にズーム倍率Zと距離Yがメモリーされる。
患部50aの処置が終わり、深度が異なる患部50bの処置を行なう際には、3Dモニター14の表示画面62上の患部50bの位置に術者の視線を合わせる。
図8に示すように、視線検出装置70の赤外LED70aを発した照明光は、術者の眼球72の角膜で反射し、さらにダイクロイックミラー70bで反射して、集光レンズ70cにより集光される。そして、集光された照明光が視界センサー70dで取り込まれることで、術者の眼球72の向きが検出される。
この術者の視線情報は視線検出装置70から測距センサー制御装置36に伝達される。その後、第2の実施の形態と同様に、測距センサー制御装置36は測距センサー54により、現在カーソル64がある場所での距離Yを基に測距センサー54を動かし、移動先での距離Yを測定することでズーム倍率Z=Z(Y/Y)の変倍を行なう。
他の作用は、第2の実施の形態と同じなので説明を省略する。
なお、自動変倍制御機能が必要ない場合は、連動切替スイッチ28の操作により、自動変倍制御機能をOFFの状態にしておけばよい。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
連動切替スイッチ28によりON/OFFが切り替えられる変倍制御機能が変倍制御装置38に設けられている。このため、被写体(患部50a,50b)の大きさにあまり差異がないときに、術者が最初に患部50aに対してズーム操作を行なって表示画面62の中央にカーソル64を配置して患部50aに対して処置を行なうことができる。そして、その患部50aの処置の終了後に3Dモニター14の表示画面62の患部50bが表示された位置に視線を合わせるだけで、新たにズーム操作を行なうことなく、良好な大きさ(所定のズーム倍率Z=Z(Y/Y))に患部50bをズーム観察することができる。
すなわち、立体撮像装置12の装置本体12の位置を動かさなくても、3Dモニター14の表示画面62上の所望の被写体(患部50b)を良好な大きさで観察しながら処置を行なうことができる。このとき、視線を動かすだけでズーム機能を働かせることができるので、例えば両手が塞がっていたときなどに、術者が容易に患部50bを拡大観察することができる。また、表示画面62がタッチパネル式でないので、術者が手を動かして操作する必要がないので、ズーム機能を働かせるための入力を素早く行なうことができる。
次に、第4の実施の形態について図9ないし図11を用いて説明する。この実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であって、第2の実施の形態と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
この実施の形態は、第2の実施の形態の観察点入力手段(タッチパネル)および測距手段(測距センサー54および測距センサー制御装置36)をナビゲーションのポインター84に変更したものである。すなわち、第2の実施の形態のタッチパネル式の表示画面62は、第1の実施の形態で説明した通常の表示画面14aに変更され、測距センサー54および測距センサー制御装置36が除去されている。
図9に示すように、手術室2内には、カメラアレイ80が設置されている。立体撮像装置12にはマーカー82が固定されている。符号84は観察点入力手段としてのポインターであり、このポインター84にもマーカー86が設けられている。
カメラアレイ80は立体撮像装置12のマーカー82、およびポインター84のマーカー86の位置を検出し、その結果により立体撮像装置12およびポインター84の先端の位置を算出している。
そして、カメラアレイ80は、立体撮像装置12の3Dモニター14の表示画面14aの視野内にポインター84の先端が入り、かつ数秒間静止すると、カメラアレイ80は両者の位置関係よりポインター84の先端位置での距離Yを算出し、その距離Yを変倍制御装置38に伝達する。
他の構成は第2の実施の形態と同じなので説明を省略する。
次に、この実施の形態に係る立体画像観察システム10の作用について説明する。
図9(A)、図10(A)および図11(A)に示すように、患部50a,50bを表示画面14a内に入れ、フォーカススイッチ24を押圧することで患部50a,50bをクッキリと観察可能とする。次に、連動切替スイッチ28を押圧して、自動変倍制御機能をONの状態に切り替える。
図10(A)および図11(A)に示すように、3Dモニター14の表示画面14aを観察しながら立体撮像装置12の視野内にポインター84を入れる。そして、患部50aにポインター84の先端を接近させた状態で数秒間停止すると、カメラアレイ80は立体撮像装置12のマーカー82とポインター84のマーカー86の両者の位置関係より、ポインター84の先端位置での距離Yを算出する。このカメラアレイ80は、その算出情報を変倍制御装置38に伝達する。
この状態で患部50aが適正な倍率で観察されるようにズームスイッチ22を操作して3Dモニター14の表示画面14a上の表示サイズを調整する。ズームスイッチ22の操作終了時、立体撮像装置12はズーム倍率Zの情報を変倍制御装置38に伝達する。これにより変倍制御装置38にズーム倍率Zと距離Yがメモリーされる。
患部50aの処置が終わり、患部50bの処置を行なう際には、図10(B)および図11(B)に示すように、3Dモニター14の表示画面14aを観察しながら立体撮像装置12の視野内にポインター84を入れる。患部50bにポインター84の先端を接近させた状態で数秒間停止すると、カメラアレイ80は両者の位置関係よりポインター84の先端位置での距離Yを算出してその情報を変倍制御装置38に伝達する。変倍制御装置38は倍率Z=Z(Y/Y)の変倍を行なう。
他の作用は第2の実施の形態と同じなので説明を省略する。
なお、自動変倍制御機能を必要としないときには、連動切替スイッチ28により変倍制御機能をOFFの状態にしておけばよい。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
第2の実施の形態で説明した効果に加え、立体撮像装置12には測距手段である、立体観察装置12のマーカー82、およびポインター84のマーカー86しか備えていないので立体撮像装置12を小型化することができる。このため、立体撮像装置12を軽量に構成することができる。
なお、上述した第1ないし第4の実施の形態では、例えば変倍光学系L3R,L3Lを稼動させて光学像の倍率を変更することについて説明したが、例えばCCD44R,44Lによってズーム倍率を変更させても良い。その他、電子画像処理(電子ズーム)によって画像の表示サイズを変更しても良い。
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
上記説明によれば、下記の事項の発明が得られる。また、各項の組み合わせも可能である。
[付記]
(付記項1) 被写体を立体撮影するための立体撮像手段と、
前記立体撮像手段が撮像した像を立体表示する立体表示手段とを備えた医療用立体画像観察装置において、
前記立体表示手段上に表示される被写体の観察サイズを変更する変倍手段と、
前記立体表示手段上に術者の観察点を入力する観察点入力手段と、
前記観察点において、前記立体撮像手段から被写体までの観察距離を測定する測距手段と、
前記観察距離に応じて前記変倍手段の倍率を所定の倍率にする変倍制御手段とを備えたことを特徴とする医療用立体画像観察装置。
(付記項2) 被写体を立体撮影するための立体撮像手段と、
前記立体撮像手段が撮像した像を立体表示する立体表示手段とを備えた医療用立体画像観察装置において、
前記立体表示手段上に表示される被写体の観察サイズを変更する変倍手段と、
前記立体表示手段上の略中央の観察点において、前記立体撮像手段から被写体までの観察距離を測定する測距手段と、
前記観察距離に応じて前記変倍手段の倍率を所定の倍率にする変倍制御手段とを備えたことを特徴とする医療用立体画像観察装置。
(付記項3) 前記変倍制御手段が、観察距離が長いほど高倍率にする制御を行なうことを特徴とする付記項1もしくは付記項2に記載の医療用立体画像観察装置。
(付記項4) 前記変倍制御手段が、第1の観察距離と第1の倍率による定まる前記立体表示手段上の前記被写体の観察サイズを、第2の観察距離になった時にも同じ観察サイズになるように前記変倍手段を第2の倍率に変倍制御することを特徴とする付記項1もしくは付記項2に記載の医療用立体画像観察装置。
(付記項5) 前記変倍制御手段が、第1の観察条件(第1の観察状態)において前記変倍手段の倍率Zと前記撮像手段の入射瞳位置から被写体までの距離Yとを記憶し、
第2の観察条件(第2の観察状態)において前記撮像手段の入射瞳位置から被写体までの距離Yに基づき前記変倍手段の倍率をZとなるように制御することを特徴とする付記項1ないし付記項3のいずれか1に記載の医療用立体画像観察装置。
ここで、倍率Z=Z(Y/Y
(付記項6) 前記変倍制御手段が、第1の観察条件において前記変倍手段の倍率Zと前記撮像手段の実視野φとを記憶し、
第2の観察条件において前記撮像手段の実視野φに基づき前記変倍手段の倍率をZとなるように制御することを特徴とする付記項1ないし付記項3のいずれか1に記載の医療用立体画像観察装置。
ここで、倍率Z=Z(φ/φ
(付記項7) 前記第1の観察条件が術者の入力による変倍手段の動作終了時であることを特徴とする付記項5もしくは付記項6に記載の医療用立体画像観察装置。
(付記項8) 前記観察点入力手段が、術者の視線により観察点を入力する視線入力手段であることを特徴とする付記項1、付記項3ないし付記項7のいずれか1に記載の医療用立体画像観察装置。
(付記項9) 前記観察点入力手段が、表示部への接触により観察点を入力するタッチパネル型入力手段であることを特徴とする付記項1、付記項3ないし付記項7のいずれか1に記載の医療用立体画像観察装置。
(付記項10) 前記観察点入力手段が、術部に挿入されるポインターであることを特徴とする付記項1、付記項3ないし付記項7のいずれか1に記載の医療用立体画像観察装置。
(付記項11) 前記観察点を前記表示部上に可視可能に表示する観察点表示手段を備えたことを特徴とする付記項1ないし付記項10のいずれか1に記載の医療用立体画像観察装置。
(付記項12) 前記撮像手段は少なくとも撮像光学系と対物光学系を含み、前記撮像光学系の入射瞳位置を前記対物光学系と被写体との間に配置したことを特徴とする付記項1ないし付記項11のいずれか1に記載の医療用立体画像観察装置。
(A)は第1の実施の形態に係る医療用立体画像観察システムを示す概略的な斜視図、(B)は(A)中の3Dモニターのグリップを示す概略図。 (A)は第1の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて浅部側の患部を観察する状態を示す概略的な断面図、(B)は第1の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて深部側の患部を観察する状態を示す概略的な断面図。 (A)は第1の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて浅部側の患部を中央に表示した状態を示す3Dモニターの表示画面の概略図、(B)は第1の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて深部側の患部を中央に表示した状態を示す3Dモニターの表示画面の概略図、(C)は第1の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて深部側の患部を中央に表示し、かつ、(A)中の表示画面の中央の患部と略同じ大きさに拡大させた状態を示す3Dモニターの表示画面の概略図。 (A)は第2の実施の形態に係る医療用立体画像観察システムを示す概略的な斜視図、(B)は(A)中の3Dモニターのグリップを示す概略図。 (A)は第2の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて浅部側の患部を観察する状態を示す概略的な断面図、(B)は第2の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて深部側の患部を観察する状態を示す概略的な断面図。 (A)は第2の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて浅部側の患部を中央に表示した状態を示す3Dモニターの表示画面の概略図、(B)は第2の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて深部側の患部を中央に表示した状態を示す3Dモニターの表示画面の概略図、(C)は第2の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて深部側の患部を中央に表示し、かつ、(A)中の表示画面の中央の患部と略同じ大きさに拡大させた状態を示す3Dモニターの表示画面の概略図。 (A)は第3の実施の形態に係る医療用立体画像観察システムを示す概略的な斜視図、(B)は(A)中の3Dモニターのグリップを示す概略図。 第3の実施の形態に係る立体画像観察システムにおける3Dモニターの表示画面に設けられた視線検出装置と術者の視線との関係を示す概略図。 (A)は第4の実施の形態に係る医療用立体画像観察システムを示す概略的な斜視図、(B)は(A)中の3Dモニターのグリップを示す概略図。 (A)は第4の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて浅部側の患部を観察する状態を示す概略的な断面図、(B)は第4の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて深部側の患部を観察する状態を示す概略的な断面図。 (A)は第4の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて浅部側の患部を中央に表示した状態を示す3Dモニターの表示画面の概略図、(B)は第4の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて深部側の患部を中央に表示した状態を示す3Dモニターの表示画面の概略図、(C)は第4の実施の形態に係る立体画像観察システムの立体撮像装置を用いて深部側の患部を中央に表示し、かつ、(A)中の表示画面の中央の患部と略同じ大きさに拡大させた状態を示す3Dモニターの表示画面の概略図。
符号の説明
φ,φ…実視野、50a,50b…患部、62…表示画面、64…カーソル

Claims (4)

  1. 被写体を立体的に撮影する撮像素子を有する立体撮像手段と、
    前記立体撮像手段によって立体的に撮像した像を立体表示する表示部を有する立体表示手段と、
    前記立体表示手段の前記表示部に表示される被写体の観察サイズを変更する変倍手段と、
    前記立体表示手段に術者が観察したい被写体の観察点を入力する観察点入力手段と、
    前記観察点における、前記立体撮像手段から被写体までの観察距離を測定する測距手段と、
    前記観察距離に応じて前記変倍手段の倍率を所定の倍率に変更する変倍制御手段と
    を具備することを特徴とする医療用立体画像観察装置。
  2. 前記変倍制御手段は、前記観察距離が長いときに、前記被写体を高倍率に変更するズーム機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の医療用立体画像観察装置。
  3. 前記立体撮像手段は前記撮像素子で複数の実視野φ ,φ を得ることが可能であり、
    前記変倍制御手段は、前記変倍手段の倍率Zと前記立体撮像手段の一方の実視野φとを記憶するとともに、前記撮像手段の他方の実視野φに基づいて前記変倍手段の倍率をZ=Z(φ/φ)にしたがって制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の医療用立体画像観察装置。
  4. 前記変倍制御手段で前記変倍手段の倍率Zと前記立体撮像手段の一方の実視野φとを記憶するの、術者の入力による変倍手段の動作終了時としたことを特徴とする請求項3に記載の医療用立体画像観察装置。
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