JP4715508B2 - 左右駆動力配分装置 - Google Patents
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Description
駆動力配分機構としては、左右輪のうち一方の車輪を他方の車輪よりも増速及び減速する増減速機構と、増速側の回転を他方の車輪に伝達する第1クラッチ機構と減速側の回転を他方の車輪に伝達する第2クラッチ機構とを備えている。
なお、車両前部にエンジンを搭載し、後輪を駆動するような自動車では、後輪のディファレンシャルギアは地面とフロアパネルとの間の狭い空間に設けられており、このような狭い空間に駆動力配分機構を設ける場合には、径方向に空間的な余裕がほとんどない。このため、引用文献2に開示された技術では、駆動力配分機構を後輪側に設けるのが困難となる。
もう一つの本発明の左右駆動力配分装置は、それぞれ並列に且つ同軸上に配設された第1歯車機構と第2歯車機構と電動機とをそなえ、該第1歯車機構が、左右輪の一方の車輪にベベルギア式差動装置の入力ギアを介して接続された接続された第1サンギアと、該第1サンギアの周囲に設けられ該第1サンギアに噛合する第1プラネタリギアと、該第1プラネタリギアと同軸上に設けられるとともに該第1プラネタリギアと一体に回転する第2プラネタリギアと、該第1プラネタリギア及び該第2プラネタリギアを回転自在に軸支する第1キャリアと、該第1サンギアと同軸上に設けられ、該第2プラネタリギアと噛合するとともに該2組の歯車機構を収納するケーシングに固定された第2サンギアとをそなえ、該第2歯車機構が、該左右輪の他方の車輪に接続された第3サンギアと、該第3サンギアの周囲に設けられ該第3サンギアに噛合する第3プラネタリギアと、該第3プラネタリギアと同軸上に設けられ該第3プラネタリギアと一体に回転する第4プラネタリギアと、該第3プラネタリギア及び該第4プラネタリギアを回転自在に軸支するとともに、該第1キャリアと一体に形成された第2キャリアと、該第3サンギアと同軸上に設けられ、該第4プラネタリギアと噛合するとともに該電動機の回転軸に接続された第4サンギアとをそなえることを特徴としている(請求項3)。
また、駆動源が車両の前部に設けられるとともに、該車両の後側の左右輪に該第1及び該第3サンギアが接続されているのが好ましい(請求項4)。
また、該第1サンギアと該第3サンギアとが同一歯数及び同一径に形成され、該第1プラネタリギアと該第3プラネタリギアとが同一歯数及び同一径に形成され、該第2プラネタリギアと該第4プラネタリギアとが同一歯数及び同一径に形成され、且つ、該第2サンギアと該第4サンギアとが同一歯数及び同一径に形成されるのが好ましい(請求項6)。
図2において、符号1は本発明が適用される車両であって、2はエンジン、3はトランスミッションである。エンジン2の駆動力はトランスミッション3を介してセンタディファレンシャル(以下、センタデフ)5に伝達され、このセンタデフ5から前輪8と後輪14とに駆動力が配分されて伝達されるようになっている。
そして、直進時には、左右のサイドギア22a,22b及びデフピニオン22c,22dが相対回転することなく一体となって回転するとともに、旋回時には、各ギアが自転することで左右のドライブシャフト13L,13Rの回転数差が吸収されるようになっている。
このうち左輪側に配設された一方の歯車機構(第1歯車機構)16は、リアデフ22の入力ギア22eに接続された第1サンギア161と、第1サンギア161の周囲に複数設けられ、上記第1サンギア161に噛合する第1プラネタリギア162と、第1プラネタリギア162に対し同軸上に設けられるとともに上記第1プラネタリギア162と一体回転する第2プラネタリギア163と、上記第1及び第2プラネタリギア162,163を回転自在に軸支する第1キャリア164と、上記第1サンギア161と同軸上に設けられ、第2プラネタリギア163と噛合するとともに2組の歯車機構を収納するケーシング4に固定された第2サンギア165とをそなえている。
また、中空軸166の内部には、リアデフ22のサイドギア22bに接続された右側ドライブシャフト13Rが配設されており、このドライブシャフト13Rは、第1サンギア161,第2サンギア163及び中空軸166と同軸上に配設されている。
また、モータ18は、2つの歯車機構16,17の車軸方向(車幅方向に)に配設されており、本実施形態では、外周側にステータ(固定子)18aが配設され、ステータ18aの内側にロータ(回転子)18bが配設されている。なお、ロータ18bを外周側に配設しステータ18aを内側に配設しても良い。
さらに、第2プラネタリギア163と第4プラネタリギア173とは同一歯数及び同一径に形成されるとともに、第2サンギア165と第4サンギア175とは同一歯数及び同一径に形成されている。
そして、このように構成することにより、車両の走行状況等に応じてモータ18の作動を制御することにより左右輪14L,14Rの間で駆動力配分(トルク配分)の状態を適宜変更して、一方の車輪の駆動トルクを増大または減少させることができるようになっている。なお、左右輪駆動力配分機構15の動作については後述する。
例えば、ECU20では車速とハンドル角とに基づいて車両1の走行状態に応じた左右の車輪速差の目標値(目標車輪速差)を算出するとともに、実際の左右車輪速差(実車輪速差)が目標車輪速差となるようにモータ18に対する制御信号を設定し出力するようになっている。
車両の直進時にはモータ18は回転せずに静止状態となり、旋回状態となると左右輪の回転数差に応じて回転する。即ち、直進時においては、左右のドライブシャフト13L,13Rの回転数が一致しているので、第1及び第2歯車機構16,17の第1及び第3サンギア161,171の回転数は一致する。したがって、第1及び第3プラネタリギア162,172も互いに等速で自転する。
また、この第1プラネタリギア162を支持する第1キャリア164は、第3プラネタリギア172を支持するキャリア174と一体に構成されたシャフトであるので、当然ながら、第3プラネタリギア172は第1プラネタリギア162と同様に公転し、第4プラネタリギア173に噛合している第4サンギア175は、ケーシング4に固定された第2サンギア165と同じ回転数、即ち停止状態となる。また、第4サンギア175はモータ回転軸18cに接続されているのでモータ18は停止状態となる。
一方、旋回時には、左右輪の回転数差がリアデフ12により吸収される。このとき、左右輪の回転数差に応じて2つのサンギア161,171に回転数差が生じ、この差分だけモータ回転軸18cが回転することになる。具体的には左旋回時には、右輪14Rの回転数が左輪14Lより多くなるが、この回転数差分だけ第3及び第4プラネタリギア172173の自転速度が増速されることになり、結果的にモータ18が第3サンギア171及び右側ドライブシャフトの回転方向と同じ回転方向に回転する。また、右旋回時はこれとは逆に、左輪14Lの回転数が多くなり、モータ18は左右輪の回転数差に応じた速度で、第3サンギア171及び右側ドライブシャフト13Rとは逆方向に回転する。
また、これとは逆に旋回内輪側のサンギア161,171が増速するようにモータ18の作動を制御することで内輪側にトルクを移動することができる。この場合は、モータ18の回転数を低減することで車両の旋回方向に関係なく内輪側のサンギア161,171が増速される。これにより、旋回を抑制するようなヨーモーメントが発生してオーバステアが低減され、旋回安定性を向上できる。
以上詳述したように、本発明の左右駆動力配分装置によれば、モータ18の作動を制御して旋回外輪にトルクを移動することにより、旋回促進モーメントを付与して旋回性能を向上させることができる。また、旋回内輪にトルクを移動することにより、旋回抑制モーメントを付与して旋回安定性を向上させることができる。また、モータ18の作動をロックすることでLSDとしての機能し、安定性やトラクション性能を向上させることができる。
また、2つの歯車機構16,17に隣接してモータ18を同軸上に設けることにより、更なる小型化を図ることができるほか、特に従来の技術に対して径方向へ小型化することができる。本実施形態のように、前方にエンジン1が搭載された車両1の後輪側の駆動力配分に本装置を適用する場合、車幅方向(車軸方向)には比較的空間に余裕があるものの径方向にはほとんど余裕がないため、従来の技術のように径方向に大型化する装置では搭載が困難であったが、本発明によれば、径方向への小型化を図ることができるので、搭載性が大幅に向上するという特有の利点がある。
即ち、この変形例では、第1サンギア161と第3サンギア171との間にディファレンシャルギアが介装されておらず、第1サンギア161が直接左後輪14Lの車軸23Lに接続され、第3サンギア171が直接右後輪14Rの車軸23Rに接続されている。
なお、この変形例では、車両前部に駆動源(エンジン)を搭載して前輪を駆動するいわゆるFF車両の後輪側に駆動力配分機構15を適用した場合を示すが、車両前部に駆動源を搭載して後輪を駆動するいわゆるFR車両の前輪側、又は、車両後部に駆動源を搭載して後輪を駆動するいわゆるRR車両の前輪側等に駆動力配分機構15を適用してもよい。
次に、本発明の第2実施形態に係る左右駆動力配分装置について説明すると、図4はその要部構成を示す模式図であって、第1実施形態に対して適用されるディファレンシャルギアのタイプが異なっている。なお、これ以外は第1実施形態と同様に構成されているので、重複する部材については同じ符号を付し説明を極力省略する。
そして、このように構成することにより、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。つまり、モータ18の回転を増速させることで旋回外輪にトルクを移動することができ、旋回促進モーメントを付与することができる。したがって、この場合には旋回性能を向上させることができる。また、モータ18の回転を減速することで旋回内輪にトルクを移動することができ、旋回抑制モーメントを付与することができる。したがって、この場合には、旋回安定性を向上させることができる。さらにはモータ18の作動をロックすることで、トラクションを向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば図1及び図3において、モータ18を歯車機構16とリアデフ12,22との間に設けて、歯車機構16の第2サンギア165をモータ回転軸18cに接続するとともに、他方の歯車機構17の第4サンギア175をケーシング4に固定しても良い。なお、このように構成した場合には、歯車機構16が特許請求の範囲に記載された第2歯車機構となり、歯車機構17が特許請求の範囲に記載された第1歯車機構となる。
また、上述の実施形態では、第1歯車機構16及び第2歯車機構17は、いずれも第1及び第3サンギア161,171の回転数を減速して第2及び第4サンギア165,175に伝達する減速機構として機能しているが、第2及び第4サンギア165,175に伝達される回転数を等速で伝達する機構であっても良いし、増速して伝達する機構であってもよい。
2 エンジン(駆動源)
3 トランスミッション
4 ケーシング
5 センタディファレンシャル(センタデフ)
6 フロントディファレンシャル(フロントデフ)
7L,7R ドライブシャフト
8 前輪
9 ベベルギア機構
10 プロペラシャフト
11 ベベルギア機構
12,22 リアディファレンシャル(差動装置)
13L,13R ドライブシャフト
14 後輪
15 左右輪駆動力配分機構(駆動力調整手段)
16 第1歯車機構
17 第2歯車機構
18 モータ(電動機)
18a ステータ(固定子)
18b ロータ(回転子)
18c 中空軸(モータ回転軸)
19 前後輪駆動力配分機構
20 駆動力配分制御手段(ECU)
161 第1サンギア
162 第1プラネタリギア
163 第2プラネタリギア
164 第1キャリア(シャフト)
165 第2サンギア
166 中空軸
171 第3サンギア
172 第3プラネタリギア
173 第4プラネタリギア
174 第2キャリア(シャフト)
175 第4サンギア
Claims (6)
- それぞれ並列に且つ同軸上に配設された第1歯車機構と第2歯車機構と電動機とをそなえ、
該第1歯車機構が、
左右輪の一方の車輪に接続された第1サンギアと、
該第1サンギアの周囲に設けられ該第1サンギアに噛合する第1プラネタリギアと、
該第1プラネタリギアと同軸上に設けられるとともに該第1プラネタリギアと一体に回転する第2プラネタリギアと、
該第1プラネタリギア及び該第2プラネタリギアを回転自在に軸支する第1キャリアと、
該第1サンギアと同軸上に設けられ、該第2プラネタリギアと噛合するとともに該2組の歯車機構を収納するケーシングに固定された第2サンギアとをそなえ、
該第2歯車機構が、
該左右輪の他方の車輪に接続された第3サンギアと、
該第3サンギアの周囲に設けられ該第3サンギアに噛合する第3プラネタリギアと、
該第3プラネタリギアと同軸上に設けられ該第3プラネタリギアと一体に回転する第4プラネタリギアと、
該第3プラネタリギア及び該第4プラネタリギアを回転自在に軸支するとともに、該第1キャリアと一体に形成された第2キャリアと、
該第3サンギアと同軸上に設けられ、該第4プラネタリギアと噛合するとともに該電動機の回転軸に接続された第4サンギアとをそなえる
ことを特徴とする、左右駆動力配分装置。 - 該第1サンギアと該第3サンギアとの間に、駆動源からの駆動力が入力されるとともに該左右輪の回転数差を吸収する差動装置が介装されている
ことを特徴とする、請求項1記載の左右駆動力配分装置。 - それぞれ並列に且つ同軸上に配設された第1歯車機構と第2歯車機構と電動機とをそなえ、
該第1歯車機構が、
左右輪の一方の車輪にベベルギア式差動装置の入力ギアを介して接続された接続された第1サンギアと、
該第1サンギアの周囲に設けられ該第1サンギアに噛合する第1プラネタリギアと、
該第1プラネタリギアと同軸上に設けられるとともに該第1プラネタリギアと一体に回転する第2プラネタリギアと、
該第1プラネタリギア及び該第2プラネタリギアを回転自在に軸支する第1キャリアと、
該第1サンギアと同軸上に設けられ、該第2プラネタリギアと噛合するとともに該2組の歯車機構を収納するケーシングに固定された第2サンギアとをそなえ、
該第2歯車機構が、
該左右輪の他方の車輪に接続された第3サンギアと、
該第3サンギアの周囲に設けられ該第3サンギアに噛合する第3プラネタリギアと、
該第3プラネタリギアと同軸上に設けられ該第3プラネタリギアと一体に回転する第4プラネタリギアと、
該第3プラネタリギア及び該第4プラネタリギアを回転自在に軸支するとともに、該第1キャリアと一体に形成された第2キャリアと、
該第3サンギアと同軸上に設けられ、該第4プラネタリギアと噛合するとともに該電動機の回転軸に接続された第4サンギアとをそなえる
ことを特徴とする、左右駆動力配分装置。 - 駆動源が車両の前部に設けられるとともに、該車両の後側の左右輪に該第1及び該第3サンギアが接続されている
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の左右駆動力配分装置。 - 該電動機が該ケーシングに収納されている
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の左右駆動力配分装置。 - 該第1サンギアと該第3サンギアとが同一歯数及び同一径に形成され、
該第1プラネタリギアと該第3プラネタリギアとが同一歯数及び同一径に形成され、
該第2プラネタリギアと該第4プラネタリギアとが同一歯数及び同一径に形成され、
且つ、該第2サンギアと該第4サンギアとが同一歯数及び同一径に形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の左右駆動力配分装置。
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