JP4714326B2 - 平形ブロック類の製造方法および成形型 - Google Patents

平形ブロック類の製造方法および成形型 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面の縦横寸法よりも小さな数値の厚さを有し、縦置き自立が困難であるような薄型の平形ブロック類の同時に多数個製造する製造方法およびこの製造方法の実施に適する平形ブロック類成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にブロック塀その他構造物を構成する際に使用されるコンクリートブロックや排水溝その他用途に使用されるU字溝などは成形型に生コンを流し込むことによって製造される。このような流し込み式製造法では比較的大型の製品の大量生産に適するが、生コンの硬化を待って成形型を外し、製品の取り出しを行うため生産のサイクルタイムが長くなるのは否めない。
【0003】
これに対して、セメント、適宜骨材、および少なめの水を配合して混練した固練りコンクリート原料を成形型に押入加圧して成形し、短時間で成形型から取り出す、いわゆる即脱法も広く採用されている。このような即脱法では製造装置は強力なプレス装置を内蔵せしめるなど高価となるが、短時間で多様なブロック類を効率よく製造することができる利点がある。
【0004】
このような製造の対象となるブロック類としては、歩道敷石、盲人用ブロック、公園・広場・その他公共施設等の各種形状および色彩のカラー平板、色彩・模様の付された平板、庭用飛び石、透水ブロック、吸音ブロック、その他床面化粧ブロック等(以下、平形ブロック類という。)がある。
【0005】
これら平形ブロック類は、押圧成形後10秒程度で型から取り出す即脱法での製造に適するが、比較的薄型のものが多いことから成形工程、型から取り出し後乾燥するまでの間は平らな状態にしておく必要があり、積み重ねることもできない。このような状態はブロックの実容積に比して占有面積が大きくなることから、成形効率が低くなるばかりでなく、その後乾燥固化に至るまでの間の搬送・保管等の能率も悪くなる。
【0006】
縦置き状態で自立が可能な厚さ、例えば10cm以上のような厚さを有する製品については縦成形型を用いて成形し、成形型から取り出した後にそのまま脱型・搬送・乾燥固化させる方法が採用されている。しかし、平形ブロック類には厚さが3〜6cm程度の厚さのものも多く存在する。このような薄い平形ブロック類は平らにして成形すること自体は可能であるが、成形個数が成形装置の能力以下に限定され、さらに脱型後の搬送・乾燥固化を行う間に縦置き自立が困難となる。
【0007】
したがって、従来技術においては、厚さに比して広い面積の平形ブロックを横にした状態で成形および脱型・搬送・乾燥固化せざるを得なかったため、この種の縦置き自立が困難であるような薄い平形ブロック類を効率よく成形し、脱型・搬送・乾燥固化させるためには所要面積が大きくなる等の理由から、生産効率が低く結果的にコスト高となっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、縦置き自立が困難であるような薄い平形ブロック類を多数個同時に成形し、脱型・搬送・乾燥固化することができる平形ブロック類の製造方法および該製造方法の実施に適する平形ブロック類成形型を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、外枠12と、該外枠と連結して形成され、隣接する成形型単位同士を部分的に連通させるための連通部18を設けた複数の隔壁16と、該外枠と隔壁により仕切られ、個々の平形ブロック類Bを成形するために併置された複数の平形ブロック類の成形型単位14a、14b、14c、・・・と、からなり、縦置き自立が困難であるような薄い平形ブロック類の多数個同時成形を可能にする平形ブロック類の成形型10に対して、セメントおよび適宜骨材に少なめの水を加えて混練した固練り原材料Rを押圧充填することにより、前記隔壁の連通部により形成された連結材30によって隣接する平形ブロック類同士が相互に部分的に連結された状態の平形ブロック類連続体を成形し、所定時間経過後に前記平形ブロック類連続体を縦置き状態で脱型を行い、その後、前記脱型された平形ブロック類連続体を縦置き状態で搬送、乾燥固化を行い、乾燥固化後に、前記隣接する平形ブロック類同士の間に形成された複数の連結材30を除去することにより平形ブロック類を個々に分離して製造する、平形ブロック類の製造方法によって解決される。
【0010】
また、本発明の課題は、外枠12と、該外枠と連結して形成された複数の隔壁16と、該外枠と隔壁により仕切られ、個々の平形ブロック類Bを成形するために併置された複数の平形ブロック類の成形型単位14a、14b、14c、・・・と、からなり、縦置き自立が困難であるような薄い平形ブロック類の多数個同時成形を可能にする平形ブロック類の成形型であって、前記隔壁16は、前記隣接する成形型単位同士を部分的に連通させて、セメントおよび適宜骨材に少なめの水を加えて混練した固練り原材料Rを押圧充填することによって隣接する平形ブロック類同士を相互に部分的に連結させるための連結材形成用の連通部18を設けた、平形ブロック類成形型によって解決される。
【0011】
また、本発明にかかる前記連通部18は、各平形ブロック類の成形型単位間の全部または一部を連通せしめるように形成することができ、各平形ブロック類の成形型単位に接する部位において寸法を狭小に形成されることにより連結材の除去が容易になる特徴が得られる。
【0012】
本発明にかかる平形ブロック類成形型によれば、縦置き自立が困難であるような薄い平形ブロック類同士は、複数併置された各成形型単位間に設けられた連通部に充填された成形材料によって相互連結せしめられ、該相互連結材によって互いに支持し合うように成形される。したがって、併置された平形ブロック類成形型単位の数だけの平形ブロック類が同時に多数個成形され、前記相互連結材の作用により脱型後にも転倒せずに自立しており、その後の乾燥固化場所への搬送や固化工程の間にも転倒等の不都合は生じない。
【0013】
そして、成形された各平形ブロック類同士を相互連結している部材は乾燥固化後に外部から加えられる僅かな衝撃力によって容易に除去される。換言すれば、各成形型単位間に設けられる連通部は、平形ブロック類の転倒を防止するための相互支持が確実に行われながら、乾燥固化後における除去作業が容易であるような位置、寸法、個数等となるように選定されるべきである。
【0014】
このように構成された平形ブロック類成形型を、固練り原材料の押圧充填が可能なブロック成形装置の成形枠として使用する平形ブロック類の製造方法により、縦置きでは自立困難な薄い平形ブロック類の成形型単位を複数併置した平形ブロック類成形型によって効率よく製造可能となる。製造された各平形ブロック類は成形型に設けられた連通部によって形成される連結材によって相互支持されることから安定に自立しており、転倒による不良品発生などの事態は確実に防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図を参照しながら本発明の実施の形態について詳述する。図1は、本発明にかかる平形ブロック類成形型10の基本構成を示す平面図(図(A))およびB−B矢視正面図(図(B))である。なお、図(B)では、外枠12の高さを隔壁16、連通部18と同一にして表しているが、連通部18の高さは外枠12および隔壁16より多少低めにすることができる。
【0016】
この実施例においては、外枠12の内部には、6個の成形型単位14a、14b、14c、・・・が併置されており、併置個数に応じた平形ブロック類を同時に成形することができる。なお、この併置個数は単なる例示であり、成形装置の規模、能力に応じて適宜増減することができることはもちろんである。
【0017】
各成形型単位14a、14b、14c、・・・の間の隔壁16には複数の連通部18が形成されている。この連通部18は、B−B矢視正面図である図(B)に示すように、隣接する成形型単位14aと14bとの間を頂部から底部まで連通する連通部18aのように形成してもよい。また、連通部の構成は、成形型単位14cと14dとの間の連通部18bまたは成形型単位14eと14fとの間の連通部18cのように全体の1/3ないし1/2程度であってもよい。また、これらを交互に混在せしめたものであってもよく、同一高さ、同一面上に形成してもよい。
【0018】
成形型単位14a、14b、・・・等の連数をどの程度にするかは、製造しようとする平形ブロック類の種類、形状、特に厚さとブロック製造装置の規模等によって適宜選定すべきものである。また、各成形型単位14間の隔壁16に形成される連通部18の配設数も特に限定されず、種々の条件、例えば平形ブロック類の種類、形状、特に厚さを考慮して適宜選定されるべきものである。なお、本実施例における連通部18は隔壁毎に交互に異なる位置に配設しているが、全ての隔壁を同一部位に配設することも任意である。
【0019】
この場合、製造すべき平形ブロック類の厚さが薄い場合は、肉厚の小さな連通部を多めに、例えば3〜4箇所設け、反対に、平形ブロック類の厚さが比較的厚い場合は、肉厚のやや大きな連通部を少なめに、例えば1〜3箇所程度設けることも可能である。これは、平形ブロック類自体の自立安定性の大小を考慮したものである。いずれにしても、このような連通部18によって形成される連結材は、製品化にあたって最終的に除去されるものであり、単に相互支持による転倒防止を目的とするものであるから、必要最低限に止めるべきである。
【0020】
図2は、上述のような平形ブロック類成形型10を下部抜き型として用いた平形ブロック類製造工程の実施例を示すものである。図(A)では、図示していないブロック成形装置の所定位置に設置された平形ブロック類成形型10の底部端に基台20を密接させる。次いで、図(B)のように平形ブロック類成形形10の上方にカバー22を接触させ固練り原材料Rを所定量充填する。
【0021】
次いで図(C)のように上方から加圧部材24により所定圧力Pにより押圧して成形型10内で原材料Rを圧縮し、所望寸法および特性のブロックBを製造する。ブロックBが所定圧力で加圧されたことを確認して図(D)のように加圧部材24および平形ブロック類成形型10を僅かに上昇させる(第1成形型上昇工程)。
【0022】
次いで図(E)のように、平形ブロック類成形型10の下方にブロックBを搬送するためのフォーク26を前進せしめ、ブロックBを載置する準備をする。このフォーク26が確実に平形ブロック類成形型10の下方に配置された後に、図(F)のように、加圧部材24は上昇させずに、平形ブロック類成形型10のみを上昇させて脱型し、ブロックBをフォーク26上に載置せしめる。
【0023】
その後、図(G)のように、フォーク26を後退せしめ、図示していない搬送装置、例えばコンベア等に移載して所望部位まで搬送する。フォーク後退・搬送が行われると成形型10が降下開始する。その後、図(H)のように、平形ブロック類成形型10を基台20の上に復帰させ、引き続く次製造サイクルに移行する。
【0024】
他方、図(G)の工程を経て取り出された図(I)のブロック連続体Bは、乾燥・固化の後図(J)のように連結材30が除去され、図(K)のような製品ブロックBとなる。なお、要すれば連結材30の除去痕跡を除去するための研磨・塗装その他の仕上げ処理を施すことができる。
【0025】
上述のように、平形ブロック用成形型単位同士の間に形成された連通部18によって各ブロックB間に形成される連結部30は、脱型後の搬送・乾燥固化工程の間、平形ブロック群を相互支持により転倒させないように作用するものである。しかしながら、連結部30はブロックBが乾燥固化した後は全く不要であり、簡易に除去可能であり、さらにブロックB表面にも大きな痕跡が生じないものであることが望ましい。そのため、図1(B)に示した連通部18b、18c等のように、連通部をブロックBの全幅よりも短く形成することも効果的である。
【0026】
さらに、連通部18のブロックBと接する部位の寸法を、図3に示すように狭小Sに形成することにより、より連結部30を簡潔に除去することができ、かつ除去後の痕跡をも軽微なものとすることができる。また、ブロックBの表面側のみを狭小にしておくことにより、ブロック表面の痕跡を可能な限り軽微にすることも可能である。
【0027】
なお、図2では平形ブロック類成形型10を下部抜き型とした実施例を示しているが、例えばブロック成形型単位を1対のみとし、型開きをした後ブロックBを取り出すものであってもよく、また本発明にかかる平形ブロック類の製造工程はこれに限定されるものではなく、種々の製造工程を採用することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明にかかる平形ブロック類の製造方法および該製造方法を実施するに適する平形ブロック類成形型によれば、縦置き自立が困難であるような薄い平形ブロック類を効率よく成形し、脱型・搬送・乾燥固化することができる。したがって同時に多数個の成形が可能となり、製造効率を大幅に向上させ、必然的に平形ブロックの製造コストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる平形ブロック類の製造に適する平形ブロック類成形型の構成を示す平面図および部分破断正面図である。
【図2】 本発明にかかる平形ブロック類の製造方法の1例を示す工程説明図である。
【図3】 本発明にかかる平形ブロック類の製造型の連通部の構成例を示す部分平断面図である。
【符号の説明】
10 平形ブロック類成形型
12 外枠
14a、14b、14c、・・・ 成形型単位
16 隔壁
18 連通部
20 基台
22 カバー
24 加圧手段
26 フォーク
30 連結材(連結部)
B 平形ブロック類
R 固練り原材料

Claims (2)

  1. 外枠と、該外枠と連結して形成され、隣接する成形型単位同士を部分的に連通させるための連通部を設けた複数の隔壁と、該外枠と隔壁により仕切られ、個々の平形ブロック類を成形するために併置された複数の平形ブロック類の成形型単位と、からなり、縦置き自立が困難であるような薄い平形ブロック類の多数個同時成形を可能にする平形ブロック類の成形型に対して、セメントおよび適宜骨材に少なめの水を加えて混練した固練り原材料を押圧充填することにより、前記隔壁の連通部により形成された連結材によって隣接する平形ブロック類同士が相互に部分的に連結された状態の平形ブロック類連続体を成形し、
    所定時間経過後に前記平形ブロック類連続体を縦置き状態で脱型を行い、
    その後、前記脱型された平形ブロック類連続体を縦置き状態で搬送、乾燥固化を行い、
    乾燥固化後に、前記隣接する平形ブロック類同士の間に形成された複数の連結材を除去することにより平形ブロック類を個々に分離して製造する
    ことを特徴とする平形ブロック類の製造方法。
  2. 外枠と、該外枠と連結して形成された複数の隔壁と、該外枠と隔壁により仕切られ、個々の平形ブロック類を成形するために併置された複数の平形ブロック類の成形型単位と、からなり、縦置き自立が困難であるような薄い平形ブロック類の多数個同時成形を可能にする平形ブロック類の成形型であって
    前記隔壁は、前記隣接する成形型単位同士を部分的に連通させて、セメントおよび適宜骨材に少なめの水を加えて混練した固練り原材料を押圧充填することによって隣接する平形ブロック類同士を相互に部分的に連結させるための連結材形成用の連通部を設けた
    ことを特徴とする平形ブロック類の成形型。
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