JP4713608B2 - イオン化式ガスセンサ - Google Patents
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Description
イオン化式ガスセンサのある種のものは、図4に示すように、例えば板状の集電極75によって互いに気密に区画された、被検ガスが導入される測定室73および環境条件の変化の影響を補償するための補償室74を有するチャンバ72を備え、測定室73内および補償室74内のそれぞれに例えばアメリシウム241などの放射線源76,77が配設されて構成された検知部71と、集電極75からの検出信号としての電流信号(測定室73の電離電流と補償室74の電離電流との差分に応じたもの)が、絶縁部材79を介してチャンバ72の壁を気密に貫通して外部に導出された集電極75の一端がオペアンプ83の非反転入力端子(Vin+ )に接続されると共にオペアンプ83の出力端子(Vout)が反転入力端子(Vin- )に接続されて負帰還がかけられた状態で構成された、いわゆる「高入力インピーダンス回路」により構成された増幅回路82およびCPU85を含む濃度算出部81とにより構成されている(例えば特許文献1参照)。図4における72Aはガス導入管、72Bはガス排出管である。
而して、測定室73内に導入される被検ガスに、例えば煙粒子やガス粒子などの微粒子が含まれている場合には、この微粒子によって放射線が吸収されて測定室73の電離電流が減少して補償室74との平衡状態が崩れるので、測定室73の電離電流の変化量を検出することにより被検ガス中に含まれる検知対象ガスの濃度が検出される。
被検ガスが導入される測定室を画成する導電性を有するチャンバを備え、このチャンバ内に、放射線源および集電極が配設されると共に、チャンバと集電極との間に電位差を与える直流電源よりなる電圧印加手段が設けられてなる検知部を有し、
前記放射線源による電離作用によって生ずる電子が前記集電極に集電されることにより前記チャンバと前記集電極との間に流れる電離電流の大きさに応じた検出信号を積分する積分回路が設けられていることを特徴とする。
このイオン化式ガスセンサ(以下、単に「ガスセンサ」という。)10は、放射線による気体の電離作用を利用した電離箱の原理を利用した検知部11と、検知部11からの検出信号に基づいて検知対象ガスの濃度を算出する濃度算出部30とを備えている。
集電極21を構成する材料としては、例えばステンレス鋼、タングステン、鉄、モリブデン等を例示することができ、また、これらの素線の表面に例えばNi−Auメッキ処理がなされたものであってもよい。
集電極21の線径は、例えばφ1.0mm以下であることが好ましく、φ0.4〜φ0.8mmであることがより好ましい。集電極21の線径が過大である場合には、所定のガス測定を行うに際して必要とされる印加電圧が高いものとなり、一方、集電極21の線径が過小である場合には、自己保形性が小さくなって振動などによる影響を受けやすくなる。
放射線源15としては、放射能が10kBq(キロベクレル)以下、例えば8kBq(キロベクレル)程度のものが用いられている。
一方、集電極21は例えば接地電位状態に維持されており、従って、電離作用によって生ずる正イオンがチャンバ12に集められると共に易動度の高い電子が集電極21に集電されるよう、測定室14内に電場が形成される。
また、この積分回路32においては、コンデンサCに充電された電荷を放電するためのスイッチ(リセットスイッチ)SWがコンデンサCに対して並列に接続されている。
被検ガスが適正な大きさに調整されたガス流量でチャンバ12の測定室14に導入されると共に、電圧印加手段18によって、適正な大きさに制御された例えば負(−)の電圧がチャンバ12に印加されることにより、測定室14内の空気が放射線源15からの放射線(α線)の作用によって電離され、これにより生ずる電子および陰イオンが陽極として機能する集電極21に引き付けられることにより陰極として機能するチャンバ12の壁と集電極21との間に電離電流が流れ、当該電離電流の大きさに応じた入力電流信号が積分回路32に入力され、この積分回路32の出力信号がCPU35に入力されることにより当該出力信号に基づいて検知対象ガスの濃度が算出されるが、検知対象ガスに係るガス粒子が被検ガスに含まれている場合には、当該ガス粒子が放射線源15からの放射線(α線)がガス粒子に吸収されることに伴って電離電流が減少されることとなり、当該電離電流の変化量(減少の程度)に応じて検知対象ガスの濃度が算出される。
<実験例1>
本発明に係るガスセンサを図1に示す構成に従って作製した。このガスセンサの仕様を以下に示す。
〔ガスセンサ仕様〕
チャンバ(12):材質;ステンレス鋼,外径;φ20mm,内径;φ15mm,長さ;55mm、
集電極(21):材質;表面にNi−Auメッキが施されたタングステン,線径;φ0.3mm,測定室内における配置位置;チャンバの中心軸と同軸上の位置、
放射線源(15):材質;アメリシウム241,放射能;8kBq(キロベクレル)、
図2におけるガス検知システム40において、41は熱分解器、42はガスセンサ、43はデータロガ、44は粒子除去フィルター、45は流量計、46はバッファ、47はガス流量調整バルブ、48は吸引ポンプ、49は排気ダクトである。熱分解器41によるシランガスの加熱温度を600℃とした。
参考用のガスセンサを図4に示す構成に従って作製した。この参考用ガスセンサの仕様を以下に示す。
〔参考用ガスセンサ仕様〕
チャンバ(72):材質;真鍮,測定室および補償室を画成する殻体;内径43mmの半球状、
集電極(75):材質;ステンレス鋼,形状;厚み0.5mmの板状,
放射線源(76,77):材質;アメリシウム241,放射能;37(=18.5×2)kBq(キロベクレル)、
例えば、本発明においては、集電極とチャンバとの間に所定の電位差が得られるよう電圧印加手段が設けられた構成とされていればよく、例えば、集電極およびチャンバの両方に電圧が印加される構成とされていてもよい。
また、集電極それ自体がチャンバの外部に導出された構成である必要はなく、例えば集電極の基端部分に給電用の外部リードを接続して当該外部リードがチャンバの外部に導出される構成とされていてもよい。
さらに、本発明のガスセンサは、一酸化炭素、硫化水素、炭化水素、二酸化炭素、メタン、ブタンなどを感知するための煙感知器に適用することもできる。
11 検知部
12 チャンバ
12A ガス導入管
12B ガス排出管
14 測定室
15 放射線源(α線源)
18 電圧印加手段
21 集電極
23 絶縁部材
30 濃度算出部
32 積分回路
35 CPU
40 ガス検知システム
41 熱分解器
42 ガスセンサ
43 データロガ
44 粒子除去フィルター
45 流量計
46 バッファ
47 ガス流量調整バルブ
48 吸引ポンプ
49 排気ダクト
OP オペアンプ
C コンデンサ
SW スイッチ(リセットスイッチ)
70 イオン化式ガスセンサ
71 検知部
72 チャンバ
72A ガス導入管
72B ガス排出管
73 測定室
74 補償室
75 集電極
76,77 放射線源
78 電圧印加手段
79 絶縁部材
81 濃度算出部
82 増幅回路
83 オペアンプ
85 CPU
Claims (3)
- 放射線による気体の電離作用によって生ずる電離電流が検知対象ガスのガス粒子の存在により減少するその電流変化量に応じて検知対象ガスの濃度を検出するイオン化式ガスセンサにおいて、
被検ガスが導入される測定室を画成する導電性を有するチャンバを備え、このチャンバ内に、放射線源および集電極が配設されると共に、チャンバと集電極との間に電位差を与える直流電源よりなる電圧印加手段が設けられてなる検知部を有し、
前記放射線源による電離作用によって生ずる電子が前記集電極に集電されることにより前記チャンバと前記集電極との間に流れる電離電流の大きさに応じた検出信号を積分する積分回路が設けられていることを特徴とするイオン化式ガスセンサ。 - チャンバが両端が気密に密閉された円筒型のものであって、当該チャンバの一方の端壁に放射線源が設けられており、線材よりなる集電極がチャンバの中心軸と同軸上の位置にチャンバの軸方向に伸びるよう配設されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン化式ガスセンサ。
- 放射線源の放射能が10kBq以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオン化式ガスセンサ。
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