JP2010271063A - イオン化式ガスセンサおよびガス検知システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 イオン化式ガスセンサは、加熱されて固体の酸化物が生成される金属ガスを検知対象ガスとし、被検査ガスが加熱されて導入される導電性のチャンバと、チャンバ内に存在する空気によってオゾンを発生させるオゾン発生手段と、チャンバ内において生ずるイオン電流を検出する集電極と、チャンバと集電極との間に電位差を与える電圧印加手段とを具えてなり、チャンバ内の空気によってオゾンが発生することにより生ずるイオン電流が前記検知対象ガスに係るガス粒子の存在により減少するその変化量に応じてガス濃度が検出される。ガス検知システムは、上記ガスセンサと、熱分解器と、ガス導入手段とを備えてなる。
【選択図】 図1
Description
イオン化式ガスセンサのある種のものは、図6に示すように、例えば板状の集電極65によって互いに気密に区画された、被検査ガスが導入される測定室63および環境条件の変化の影響を補償するための補償室64を有するチャンバ62を備え、測定室63内および補償室64内のそれぞれに例えばアメリシウム241などの放射線源66が配設されて構成された検知部61と、絶縁部材69を介してチャンバ62の壁を気密に貫通して外部に導出された集電極65の一端がオペアンプ73の非反転入力端子(Vin+ )に接続されると共にオペアンプ73の出力端子(Vout)が反転入力端子(Vin- )に接続されて負帰還がかけられた状態で構成された、いわゆる「高入力インピーダンス回路」により構成された増幅回路72およびCPU75を含む濃度算出部71とにより構成されている。図6における62Aはガス導入管、62Bはガス排出管である。
而して、測定室63内に導入される被検査ガスに、例えば目的とする検知対象ガスについてのガス粒子が含まれている場合には、このガス粒子によって放射線が吸収されて測定室63の電離電流が減少して補償室64との平衡状態が崩れるので、測定室63の電離電流の変化量を検出することにより被検査ガス中に含まれる検知対象ガスの濃度が検出される。
被検査ガスが加熱されて導入される導電性のチャンバと、チャンバ内に存在する空気によりオゾンを発生させるオゾン発生手段と、チャンバ内において生ずるイオン電流を検出する集電極と、チャンバと集電極との間に電位差を与える電圧印加手段とを具えてなり、 チャンバ内に存在する空気によってオゾンが発生することにより生ずるイオン電流が、被検査ガス中の前記検知対象ガスに係る金属酸化物よりなるガス粒子の存在により減少するその変化量に応じて検知対象ガスの濃度を検出することを特徴とする。
このようなイオン化式ガスセンサを具えてなる本発明のガス検知システムによれば、検知対象ガスの濃度検出を確実に行うことができる。
本発明のイオン化式ガスセンサは、加熱されて固体の酸化物が生成される金属ガス(以下、「特定の金属ガス」という。)などの例えば半導体製造工場で使用されるものであって、具体的には例えば、珪素,ゲルマニウム,リン,砒素,硼素,セレンおよびタンタルのいずれか一の金属の水素化物、当該金属を含む有機金属化合物である。
金属水素化物としては、例えば、モノシラン,ホスフィン,アルシン,ジボラン,セレン化水素などを例示することができる。
有機金属化合物としては、例えば、ジメチルシラン(DMS),トリメチルシラン(TRIMS),テトラメチルシラン(TMS),テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS),ジメチルジメチルアミノシラン(DMDMAS),トリメチルビニルシラン(TMVS),エチニルトリメチルシラン(ETRIMS),ヘキサメチルジシラン(HMS),ヘキサメチルジシラザン(HMDS),トリエチルシラノール(TRESOH),フェニルジメチルシラン(PDMS),オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS),トリメチルフェニルシラン(TRIMPS),トリメトキシシラン(TRIMOS),トリエトキシシラン(TRIES),テトラメトキシシラン(QMS),テトラエトキシシラン(TEOS),ジエトキシメチルシラン(DEMS),ジメチルジメトキシシラン(DMDMOS)などの有機珪素化合物;
トリメチルホスフィン(TRIMP),トリエチルホスフェート(TEOP),トリメチルホスフェート(TMOP),トリメチルホスファイト(TMP);トリメチルボレート(TMB),トリエチルボレート(TEB),トリストリメチルシリルボレート(SOB)などの有機ホウ素化合物;
トリエチルアルシネート(TEASAT),トリエトキシアルシン(TEOA)などの有機砒素化合物;
テトラメチルゲルマニウム(TMG)などの有機ゲルマニウム化合物,tert−ブチルイミノトリス(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTEMT)等を例示することができる。
このイオン化式ガスセンサ(以下、単に「ガスセンサ」という。)10は、空気をイオン化してオゾンが発生することにより生ずるイオン電流を検出する検知部11と、検知部11からの検出信号(電流信号)に基づいて検知対象ガスの濃度を算出する濃度算出部15とを備えている。
チャンバ12の形状が円筒型であることにより、集電極21付近の電場を高くすることができるため、イオンの再結合による損失を緩和することできる。
集電極21の先端部は、他の構成部材の他端面より軸方向外方に突出しており、電極構造体20がチャンバ12に装着された状態においては、測定室S内においてチャンバ12の中心軸と同軸上に位置された状態とされる。
集電極21を構成する金属材料としては、例えばステンレス鋼、タングステン、鉄、モリブデン等を例示することができ、また、これらの素線の表面に例えばNi−Auメッキ処理がなされたものであってもよい。
集電極21の線径は、例えばφ1.0mm以下であることが好ましく、φ0.4〜φ0.8mmであることがより好ましい。集電極21の線径が過大である場合には、所定のガス測定を行うに際して必要とされる印加電圧が高いものとなり、一方、集電極21の線径が過小である場合には、自己保形性が小さくなって振動などによる影響を受けやすくなる。
一方、集電極21は例えば接地電位状態に維持されており、従って、電離作用によって生ずる正イオンが陰極として機能するチャンバ12に集められると共に易動度の高い電子が陽極として機能する集電極21に集電されるよう、測定室S内に電場が形成される。また、ガードリング24は、集電極21と同電位となる状態とされており、これにより、集電極21に流れ込む漏洩電流を防ぐことができる。
この無電極放電灯31においては、放電ガスとしてキセノンガスが用いられており、中心波長が185nmである紫外線(真空紫外線)が光放射口32Aを介してチャンバ12内に出射される。
また、この積分回路16においては、コンデンサCに充電された電荷を放電するためのスイッチ(リセットスイッチ)SWがコンデンサCに対して並列に接続されている。
上記ガスセンサ10は、熱分解器や、吸引ポンプなどのガス導入手段と共にガス検知システムを構成して使用される。ガス検知システムの構成について、図5を参照して説明すると、被検査ガスを、検知対象ガスの種類に応じて設定される温度、例えば800〜900℃程度に加熱することにより固体の金属酸化物(ガス粒子)を生成する熱分解器41がガスセンサ10のチャンバ12に設けられたガス導入部12Aに接続されると共に、例えば吸引ポンプ45よりなるガス導入手段がガスセンサ10のチャンバ12に設けられたガス排出部12Bに接続されている。
熱分解器41は、図4に示すように、例えば箱型の外匣411を備え、この外匣411内を貫通して伸びるよう、例えば石英よりなる直管状のガス導入管412が設けられていると共に、加熱手段としての線状の発熱体413がガス導入管412の外周面に巻回された状態で設けられて、構成されている。そして、外匣411の内部空間には、断熱材415が充填されている。
ここに、検知対象ガスの濃度は、下記式(1)に基づいて出力Voutが算出され、これにより得られる出力Voutに応じた検知対象ガスの濃度が予め取得されていた検量線に基づいて算出される。
すなわち、紫外線が照射されることによって、下記反応式(1)に示すように、チャンバ12内に存在する空気の主要構成成分である酸素(O2 )の一部が酸素原子(O)とされると共に、下記反応式(2)に示すように、当該酸素原子(O)の一部が、酸素分子(O2 )と結合することによりオゾン(O3 )が生成される。
反応式(1) O2 +hυ(185nm)→2O 〔hυ;紫外線のエネルギー〕
反応式(2) O+O2 →O3
反応式(3) O+N2 →O- +N2 +
以上のように、上記ガスセンサ10においては、チャンバ12内の空気をイオン化させることにより、例えば光イオン化式ガスセンサ(PIセンサ)であれば阻害ガスとされるオゾン(O3 )をいわば意図的に生成させ、当該オゾン(O3 )の生成過程において生じるものと考えられる1価の酸素スーパーオキシドアニオン(O- )を集電極21によって捕集することによりイオン電流を検出する、いわば「オゾントラップ型」ともいうべき構成とされており、被検査ガス中のガス粒子の存在によって減少するイオン電流の変化量を検出することにより、検知対象ガスの濃度を検出することができる。ここに、検知部11からの検出信号としての入力電流信号は微小なものであるが、当該入力電流信号が積分回路16によって処理されることにより、検知対象ガスの濃度を確実に検出することができる。
本発明に係るガスセンサを図1および図2に示す構成に従って作製した。このガスセンサの仕様を以下に示す。
〔ガスセンサ(10)の仕様〕
チャンバ(12):材質;ステンレス鋼,外径;φ20mm,内径;φ10mm,長さ;11mm、測定室の容積;約870mm3 、
集電極(21):材質;表面にNi−Auメッキが施されたタングステン,線径;φ0.3mm,測定室内における配置位置;チャンバの中心軸と同軸上の位置、
無電極放電灯(31):放電ガス;キセノンガス,中心波長185nmの紫外線を放射、
例えば、本発明のガスセンサにおけるオゾン発生手段としては、チャンバ内の空気をイオン化させる機能を有するものであればよく、無電極放電灯以外の他の紫外線源(レーザ光源など)を具えたものや、プラズマ放電(無声放電)を利用したオゾン発生装置などにより構成することができる。
また、本発明においては、集電極とチャンバとの間に所定の電位差が得られるよう電圧印加手段が設けられた構成とされていればよい。
11 検知部
12 チャンバ
12A ガス導入部
12B ガス排出部
14 電圧印加手段
15 濃度算出部
16 積分回路
17 オペアンプ
18 AMP電源
19 CPU
20 電極構造体
21 集電極
22 集電極ホルダー
23A 内側絶縁部材
23B 外側絶縁部材
24 ガードリング
30 オゾン発生手段
31 無電極放電灯
32 バルブ
32A 光放射口
33 誘導コイル
40 ガス検知システム
41 熱分解器
411 外匣
412 ガス導入管
413 発熱体
415 断熱材
42 流量計
43 粒子除去フィルター
44 活性炭フィルター
45 吸引ポンプ
50 スイッチング電源
51 点灯装置
55 出力手段(シンクロ)
60 イオン化式ガスセンサ
61 検知部
62 チャンバ
62A ガス導入管
62B ガス排出管
63 測定室
64 補償室
65 集電極
66 放射線源
68 電圧印加手段
69 絶縁部材
71 濃度算出部
72 増幅回路
73 オペアンプ
75 CPU
S 測定室
C コンデンサ
SW スイッチ(リセットスイッチ)
Claims (5)
- 加熱されて固体の酸化物が生成される金属ガスを検知対象ガスとするイオン化式ガスセンサであって、
被検査ガスが加熱されて導入される導電性のチャンバと、チャンバ内に存在する空気によりオゾンを発生させるオゾン発生手段と、チャンバ内において生ずるイオン電流を検出する集電極と、チャンバと集電極との間に電位差を与える電圧印加手段とを具えてなり、 チャンバ内に存在する空気によってオゾンが発生することにより生ずるイオン電流が、被検査ガス中の前記検知対象ガスに係る金属酸化物よりなるガス粒子の存在により減少するその変化量に応じて検知対象ガスの濃度を検出することを特徴とするイオン化式ガスセンサ。 - オゾン発生手段は、ピーク波長が185nmである紫外線を照射することにより空気をイオン化させるものであることを特徴とする請求項1に記載のイオン化式ガスセンサ。
- 検知対象ガスが、珪素,リン,硼素,ゲルマニウムおよび砒素のいずれか一の金属の水素化物または当該金属を含む有機金属化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオン化式ガスセンサ。
- チャンバが円筒型のものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のイオン化式ガスセンサ。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のイオン化式ガスセンサと、被検査ガスを加熱することにより固体の金属酸化物よりなるガス粒子を生成する熱分解器と、当該熱分解器を介して被検査ガスをイオン化式ガスセンサにおけるチャンバ内に導入するガス導入手段とを備えてなることを特徴とするガス検知システム。
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