JP4713063B2 - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体およびエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体の製造方法 - Google Patents

エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体およびエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)発泡体に関し、さらに詳しくは、乾燥状態での断熱性に優れるのは勿論のこと、高湿度雰囲気中等で吸水して断熱効果が低下しても雰囲気の環境変化により放水が容易におこり断熱効果が急速に回復するEVOH発泡体およびEVOH発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、EVOHはガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、かかる特性を生かして、フィルムや容器等に成形されて食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等の各種包装材料に多用されているが、一方では、かかるEVOHを断熱材等の用途へ用いるために、EVOHを発泡させることも知られている。
【0003】
例えば、EVOH中のエチレン含有量に合わせて特定の条件式を満足するように発泡剤を添加して特定の温度条件で発泡成形すること(特許文献1参照。)、EVOHを架橋発泡させること(特許文献2参照。)、分解温度が190℃以上の発泡剤を用いて1.1〜5.0倍に発泡させること(特許文献3参照。)、ジカルボンアミド系発泡剤と炭酸水素ナトリウム発泡剤を用いて発泡させること(特許文献4参照。)、さらには、発泡性化合物を添加したエチレン−酢酸ビニル共重合体を乳化後にケン化して発泡性EVOH微粒子を得ること(特許文献5参照。)等が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭48−78271号公報
【特許文献2】
特公昭48−36474号公報
【特許文献3】
特開昭49−54469号公報
【特許文献4】
特開昭50−13465号公報
【特許文献5】
特開平3−290445号公報
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら、上記の特許文献1〜5に記載の開示方法では、断熱効果について改善の余地があり、さらに吸水(吸湿)状態から水を放出する放水速度についても問題が残るものである。すなわち、日本のような高温・多湿気候下で建築用断熱材として使用すると、断熱材界面で結露することが多く、その結果結露水を吸水して断熱効果が低下することが懸念されるので、一旦吸水した水を環境の変化に応じて容易に放水して、断熱性が回復することが重要で、乾燥時の断熱性に優れることは勿論、吸水(吸湿)状態からの断熱効果の回復性に優れたEVOH発泡体が望まれるところである。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
そこで、本発明者等は上記の事情に鑑みて鋭意研究した結果、エチレン含有量が5〜60モル%、ケン化度が90モル%以上、メルトフローレート(210℃、荷重2160g)が0.1〜35g/10分のEVOHの発泡体であって、23℃の水中に5時間浸漬させた直後の重量が、浸漬前の重量の1.3倍以上であり、かつ発泡倍率が5〜80倍であり、発泡体の気泡サイズが、直径1〜1000μmであるEVOH発泡体が、上記の目的に合致することを見出して本発明を完成するに至った。また、本発明においては、超臨界状態の不活性ガスを用いて発泡させてなること、不活性ガスが二酸化炭素または窒素であること、EVOHがホウ素化合物を含有してなること等が、本発明の好ましい実施態様である。
【0007】
上記の吸水倍率を有するEVOH発泡体は本発明固有のものであり、従来公知のEVOH発泡体ではかかる倍率のものは見当たらない。すなわち、従来のEVOH発泡体は、吸水倍率が小さく、殆ど水を吸収しないので、断熱効果の面ではメリットがあると考えられるが、一旦水を吸収してしまうと、それを放出することは難しく、結果的に恒久的な断熱効果が損なわれることが多い。
本発明では、かかる従来品とは逆に発泡体が例え吸水しても、容易に放水することができれば長期的な断熱効果が保持され、また発泡体に多少の水が吸収され断熱効果が低下してもそれは一時的な現象にとどめられるとの認識から、発泡体の吸水倍率を大きくすることによって従来技術の欠点を改善したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のEVOH発泡体は、23℃の水中に5時間浸漬させた直後の重量が、浸漬前の重量の1.3倍以上(さらには1.5倍以上、特には2.0倍以上、殊に2.5倍以上)であるもので、重量が1.3倍未満のものでは、従来品並みで本発明の目的を達成することが困難となる。
なお、本発明における発泡体の吸水倍率の計算で、EVOH発泡体の重量の測定にあたっては、120℃で5時間真空乾燥させたEVOH発泡体(浸漬前の重量を測定)を23℃の恒温水漕中に該発泡体が水上に浮遊しないように重石を付けて完全に浸漬・吸水させ、浸漬5時間後に水中から取り出して発泡体表面の付着水を拭き取って取り出し15秒後の23℃、50%RH雰囲気下での重量を測定(浸漬後の発泡体の重量)するものである。
上記の重量変化の上限は特に制限されないが、吸水・吸湿時のEVOH発泡体の寸法安定性等を考慮すれば、10倍以下(さらには8倍以下、特に6倍以下)が好ましい。
【0009】
かかる発泡体に用いるEVOHとしては、特に限定されないが、エチレン含有量は5〜60モル%である。さらには10〜50モル% 、特には20〜50モル%、殊に22.5〜45モル%が好ましく、かかるエチレン含有量が5モル%未満では耐水性、吸水・吸湿時の寸法安定性等が不十分となり、逆に60モル%を越えると吸水・吸湿後の放水性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0010】
また、酢酸ビニル成分のケン化度は90モル%以上である。さらには95モル% 以上、特には99モル%以上、殊に99.5モル%以上が好ましく、かかるケン化度が90モル%未満では吸水・吸湿後の放水性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0011】
さらに、メルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g。以下同様)は、0.1〜35g/10分である。さらには0.5〜25g/10分、特には0.5〜20g/10分、殊に1〜15g/10分が好ましく、該MFRが0.1g/10分未満では発泡時に押出機内が高トルク状態となって発泡が困難となり、逆に35g/10分を越えると発泡時に発泡セル壁が潰れやすく発泡体の気泡が不均一になり好ましくない。
【0012】
上記のEVOHは、本発明の目的を逸脱しない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。又、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化等、後変性されても差し支えない。また、EVOHとして、例えば特開昭60−144304号公報に記載の如きケイ素を含有したEVOHを用いることも可能である。
【0013】
また、本発明においては、本発明の作用効果のさらなる向上を目指して、EVOHにホウ素化合物を含有させることも好ましく、かかるホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)が用いられる。
【0014】
かかるホウ素化合物の含有量は特に限定されないが、EVOH100重量部に対してホウ素換算で0.001〜1重量部(さらには0.001〜0.5重量部、特には0.002〜0.3重量部、殊に0.002〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる含有量が0.001重量部未満では含有効果に乏しく、逆に1重量部を越えるときは発泡体表面にブリードして外観性が低下する恐れがあり好ましくない。なお、上記ホウ素化合物の含有量の測定に当たっては、樹脂組成物をアルカリ溶融してICP発光分光分析により、ホウ素含有量を定量することで測定される。
【0015】
かかるホウ素化合物をEVOHに含有させるにあたっては特に限定されず、▲1▼ホウ素化合物の水溶液にEVOHを接触させる方法、▲2▼EVOH溶液にホウ素化合物を接触させる方法、▲3▼二軸押出機等でEVOHとホウ素化合物を溶融混合する方法、▲4▼発泡成形時に直接EVOHとホウ素化合物を混合する方法等が挙げられるが、ブリード抑制の面から通常は▲1▼の如く該水溶液にペレット状に成形されたEVOHを投入して攪拌しながら、上記のホウ素化合物を含有させることが好ましい。
【0016】
上記のようなEVOHを用いて、発泡体を得る方法は特に限定されないが、超臨界状態の不活性ガスを用いてEVOHを発泡させることが好ましく、かかる方法について具体的に説明する。
【0017】
まず、かかる発泡時に用いる不活性ガスとしては、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができ、安全性・環境負荷の面から二酸化炭素あるいは窒素が好適に用いられる。
【0018】
EVOHを発泡させるにあたっては、発泡ガス供給装置を備え付けた単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機等の公知のガス発泡成形機を用いることができ、かかるガス発泡成形機にEVOHを供給すると共に上記の不活性ガスを超臨界状態にして供給してEVOHと接触(ガス溶解工程)させて、その後温度を下げて冷却(冷却工程)させた後にダイ部分で一気に圧力開放して発泡させればよく、例えば、二酸化炭素の場合は、臨界圧力が75.3kg/cmで、臨界温度が31.1℃、窒素の場合は臨界圧力が34.6kg/cmで、臨界温度が−147.0℃なので、かかる圧力以上で臨界温度以上にした二酸化炭素または窒素を超臨界状態で供給すればよい。このときのガスの供給量は、不活性ガスの種類によって一概に言えないが、EVOH100重量部に対して不活性ガスが0.01〜50重量部(さらには0.05〜20重量部、特には0.1〜10重量部、殊に0.5〜7.5重量部)とすることが好ましく、かかる供給量が0.01重量部未満では発泡倍率が低下して十分な断熱効果が得られない恐れがあり、逆に50重量部を越えると発泡体の気泡の均一性や表面の外観性が低下して好ましくない。
【0019】
なお、上記のEVOHと不活性ガスの接触(ガス溶解工程)においては、溶融状態のEVOH中に二酸化炭素を溶解させることが必要であるため、この工程での温度は150〜280℃(さらには160〜260℃、特には170〜250℃)に調整されることが好ましく、かかる温度が150℃未満ではEVOHの溶融が不十分なために不活性ガスの溶解が十分に進まない恐れがあり、逆に280℃を越えるとEVOHが熱劣化して着色等が発生することから好ましくない。
【0020】
EVOHと不活性ガスが接触してEVOHに不活性ガスが溶解した後は、温度を下げて発泡に適したEVOHの粘度に調整する(冷却工程)のである。このときの温度としては、上記のガス溶解工程よりも50℃程度温度を下げて100〜230℃(さらには110〜220℃、特には130〜210℃)で冷却することが好ましく、かかる温度が100℃未満ではEVOHの粘度が高いため押出機内が高トルク状態となって加工が困難となり、逆に230℃を越えるとEVOHの粘度が低いため発泡成形時に発泡セルの壁が潰れやすく発泡体の気泡が不均一となって好ましくない。
【0021】
かくして、冷却したEVOHはダイ部分で圧力が開放されることにより発泡を起こさせると共に、所望とする成形物の形状に合わせたダイから押出されて目的とするEVOH発泡体が得られるのである。
【0022】
得られる発泡体の発泡倍率としては、5〜80倍であり、さらには10〜70倍、特には10〜60倍、殊に15〜50倍とすることが好ましく、かかる発泡倍率が5倍未満では十分な断熱性能が得られない恐れがあり、逆に80倍を越えると機械的強度が低下する恐れがあり好ましくない。
【0023】
また、発泡体の気泡(セル)サイズは、直径1〜1000μmである。さらには5〜500μm、特には7.5〜300μm、殊に10〜100μmが好ましく、かかるサイズが1μm未満では十分な断熱性能が得られない恐れがあり、逆に1000μmを越えると機械的強度が低下する恐れがあり好ましくない。
【0024】
上記の発泡倍率や気泡サイズは、EVOHのエチレン含有量、ケン化度、MFR、ホウ素化合物の含有量、不活性ガス種、不活性ガス供給量、発泡成形温度及び圧力等によりコントロールすることができる。
また、気泡の形態としては、独立気泡と連続気泡のどちらでも構わないが、断熱性能を考慮すれば、独立気泡が好ましい。
【0025】
なお、本発明においては、上記の発泡体を得るに際して、従来公知の発泡助剤(亜鉛、カルシウム、鉄、バリウム等の金属化合物、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸等の有機酸、尿素またはその誘導体など)や造核剤(ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ等の無機充填剤)を併用して発泡させることも可能である。
【0026】
本発明のEVOH発泡体は、包装材(食品・精密部品など)、緩衝材(クッション材)、合成木材、家具、合成皮革、電気製品の部品、建材(天井・壁・床などの断熱材)、フィルター(浄化漕・浄水機など)、排水板(屋上緑化用・スキー場融雪防止用など)等に幅広く利用することができるが、特に建材(建築)用の断熱材として有用である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準を示す。
【0028】
実施例1
含水率48%の多孔性EVOHペレット[エチレン含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MFR(210℃、荷重2160gで測定)が3.2g/10分]を0.1%のホウ酸水溶液に投入して、30℃で4時間撹拌した後、110℃で8時間乾燥を行って、含水率0.3%のEVOH組成物[ホウ素化合物含有量がEVOH100部に対してホウ素換算で0.05部]を得た。
【0029】
かかる組成物を用いてタンデム型押出発泡装置にて以下の要領でEVOH発泡体を得た。
Figure 0004713063
【0030】
〔ガス溶解工程〜冷却工程連結部分(冷却工程)〕
温度 200℃
【0031】
Figure 0004713063
【0032】
〔ダイの条件〕
ダイ形状 幅150mmのTダイ
ダイ温度 185℃
上記で得られたEVOH発泡体をサイジング装置を通して、厚さ2mmのEVOHの発泡シートを得た。
【0033】
得られた発泡シートから約1gを採取して120℃で5時間真空乾燥した後に精秤し、23℃の水中に投入して、5時間浸水させた後の重量を電子天秤で測定した結果、吸水倍率は2.6倍であった。
【0034】
また、得られた発泡シートの発泡倍率は20倍、気泡サイズは40μmで、走査電子顕微鏡で調べたところ独立気泡を有するものであった。
【0035】
次いで、得られた発泡シートについて、以下の評価を行った。
(断熱性)
23℃、50%RH雰囲気中で、得られた発泡シート(10cm×10cm)を表面温度80℃のホットプレート上に置いて1分後の該シート表面の温度(空気層側)を測定して、以下のように評価した。
◎・・・40℃未満
○・・・40℃以上、60℃未満
×・・・60℃以上
【0036】
(放水性)
得られた発泡シートを5日間水中に浸漬させた後、水中から取り出して表面の付着水を拭き取った後、23℃、50%RH雰囲気中に放置して、10分ごとに重量を測定して含水率の変化を追跡し、含水率が5%になるまでの時間を調べて以下のように評価した。
◎・・・1時間未満
○・・・1時間以上、2時間未満
×・・・2時間以上
【0037】
実施例2
実施例1において、ホウ酸を含有させなかった以外は実施例1と同様にして発泡シートを作製して、同様に評価を行った。
なお、得られた発泡シートについて、23℃の水中に5時間浸水させた直後の重量を実施例1と同様に測定したところ、吸水倍率は1.55倍であった。また、得られた発泡シートの発泡倍率は11倍、気泡サイズは60μmで、走査電子顕微鏡で調べたところ独立気泡を有するものであった。
【0038】
実施例3
実施例1において、ガス溶解工程(第一押出機)の圧力を30kg/cmとして20℃の二酸化炭素を供給した以外は実施例1と同様にして発泡シートを作製して、同様に評価を行った。
なお、得られた発泡シートについて、23℃の水中に5時間浸水させた直後の重量を実施例1と同様に測定したところ、吸水倍率は1.38倍であった。また、得られた発泡シートの発泡倍率は5.5倍、気泡サイズは100μmで、走査電子顕微鏡で調べたところ独立気泡を有するものであった。
【0039】
実施例4
実施例1において、ガス溶解工程(第一押出機)の圧力を160kg/cmとした以外は実施例1と同様にして発泡シートを作製して、同様に評価を行った。
なお、得られた発泡シートについて、23℃の水中に5時間浸水させた直後の重量(g)を実施例1と同様に測定したところ、吸水倍率は2.7倍であった。また、得られた発泡シートの発泡倍率は23倍、気泡サイズは30μmで、走査電子顕微鏡で調べたところ独立気泡を有するものであった。
【0040】
実施例5
実施例1において、不活性ガスの供給量をEVOH100部に対して5部とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを作製して、同様に評価を行った。
なお、得られた発泡シートについて、23℃の水中に5時間浸水させた直後の重量(g)を実施例1と同様に測定したところ、吸水倍率は2.9倍であった。また、得られた発泡シートの発泡倍率は29倍、気泡サイズは40μmで、走査電子顕微鏡で調べたところ独立気泡を有するものであった。
【0041】
実施例6
実施例1において、不活性ガスを窒素とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを作製して、同様に評価を行った。
なお、得られた発泡シートについて、23℃の水中に5時間浸水させた直後の重量(g)を実施例1と同様に測定したところ、吸水倍率は2.6倍であった。また、得られた発泡シートの発泡倍率は19倍、気泡サイズは30μmで、走査電子顕微鏡で調べたところ独立気泡を有するものであった。
【0042】
比較例1
EVOH(エチレン含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MFR3.3g/10分)100部に対して発泡剤としてバリウムアゾカルボキシレートを1部添加して230℃で化学発泡させて発泡シートを得て、実施例1と同様に評価を行った。
なお、得られた発泡シートについて、23℃の水中に5時間浸水させた直後の重量(g)を実施例1と同様に測定したところ、吸水倍率は1.18倍であった。また、得られた発泡シートの発泡倍率は2.5倍、気泡サイズは300μmで、走査電子顕微鏡で調べたところ独立気泡を有するものであった。
【0043】
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0044】
Figure 0004713063
【0045】
【発明の効果】
本発明の特定のエチレン含有量、ケン化度、メルトフローレートを有するEVOH発泡体は特定の吸水倍率、発泡倍率および気泡サイズを有するため、乾燥状態での断熱性に優れることは勿論のこと、一旦吸水状態になっても環境変化に応じて放水速度が速くてその断熱性の回復性に優れ、例えば、断熱用途に使用したときに、結露水を吸収しても放水速度が速いため、断熱性の回復速度が速いという特性を備えるもので、建築用の断熱材(天井・壁・床などの断熱材)をはじめ、包装材(食品・精密部品など)、緩衝材(クッション材)、さらには合成木材、家具、合成皮革、電気製品の部品、フィルター(浄化漕・浄水機など)、排水板(屋上緑化用・スキー場融雪防止用など)等にも、幅広く利用することができる。

Claims (9)

  1. エチレン含有量が5〜60モル%、ケン化度が90モル%以上、メルトフローレート(210℃、荷重2160g)が0.1〜35g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の発泡体であって、23℃の水中に5時間浸漬させた直後の重量が、浸漬前の重量の1.3倍以上であり、かつ発泡倍率が5〜80倍であり、発泡体の気泡サイズが、直径1〜1000μmであ建材用途に用いることを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体。
  2. 超臨界状態の不活性ガスを用いて発泡させてなることを特徴とする請求項1記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体。
  3. 不活性ガスが二酸化炭素または窒素であることを特徴とする請求項2記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体。
  4. ホウ素化合物を含有してなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体。
  5. ガス発泡成形機にエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を供給すると共に不活性ガスを超臨界状態にして供給してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と接触させ、その後温度を下げた後にダイ部分で圧力開放することを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体の製造方法。
  6. 上記不活性ガスの供給量が、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物100重量部に対して0.01〜50重量部であることを特徴とする請求項5記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体の製造方法。
  7. 上記不活性ガスを超臨界状態にして供給してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と接触させる際の温度が、160〜260℃であることを特徴とする請求項5または6記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体の製造方法。
  8. 上記不活性ガスを超臨界状態にして供給してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と接触させ、温度を50℃程度下げることを特徴とする請求項5〜7いずれか記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体の製造方法。
  9. 上記不活性ガスを超臨界状態にして供給してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と接触させた後に温度を130〜210℃とすることを特徴とする請求項5〜8いずれか記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物発泡体の製造方法。
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