JP4711043B2 - そば原料を用いた酒類の製造方法及び酒類製造用そば原料 - Google Patents

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Description

本発明は、そば原料を用いた酒類の製造方法に関する。
米を原料とする清酒や穀類、芋類、糖蜜等を原料とする焼酎は、古来から我が国の伝統的な酒として愛飲されており、近時のヘルシー志向や他の飲料との良好なブレンド性の点から特に本格焼酎の市場が世界的にも広がりつつある。酒類は、例えば穀類のデンプンから生成されるブドウ糖を酵母によりアルコール発酵させて製造されるが、清酒や焼酎の場合には、欧米の麦芽と異なり伝統的にデンプンの糖化工程を麹によらしめる。酒造りでは、「一麹、二?、三つくり」の諺のようにまず麹作りが重要であり、米、麦などを蒸してねかし、これに麹カビを加えて繁殖させて麹を作り、以降の醸造工程を実現させる。一般的な酒類の製造は、まず原料穀物の殻や皮を除去し、除去後の実の部分を水に浸漬して適度の水分含量となるまで吸水し(吸水工程)、これを蒸し(蒸し工程)、蒸した穀物原料に麹菌を植え付け(製麹工程)、この麹を主原料に混入し酵母菌を加えて醗酵させ(醗酵工程)、清酒の場合はこれを製品化し、焼酎の場合はさらにこの醗酵もろみを蒸留して(蒸留工程)製品化させる。したがって、麹原料となる各穀物の独自の風味が以降の醸造工程から最終製品化させた場合に反映し、独特の酒の風味や味覚を生じさせる。例えば、米と米麹とで醸造して得る清酒や、そば、麦、芋等を原料とする焼酎などはそれぞれの原料穀類由来の独特の風味を製品酒について生じさせる。
清酒および焼酎の製造に際しての麹原料としては、一般には適度の水分含量に調整した白米や麦が多く、蒸した後、麹菌を植えつけて麹を作る際にもべとつかず、麹菌の生育条件を整えやすい。酒類の最終製品の風味や味覚に大きな影響を与える麹原料を米、麦以外の穀類等から得る方法について、例えばイモ類を用いたものが特開2001−95523号に開示されている。そこでは、サツマイモを蒸して砕いて調整した原料は水分過多で団子状になってしまい製麹しても麹菌の繁殖が悪く雑菌に汚染されやすい点から、イモ類を裁断し、その裁断物を焙炒処理し、その焙炒処理したイモ類を製麹することにより菌体の生育を促したものが提案されている。
特開2001−95523号(明細書0004,0007)
これに対し、まろやかな風味を醸すところの(そば)については、これを麹原料として使用したものは今までになかった。この理由は、以下の通りと考えられる。そばは、タデ科ソバ属に分類される植物であり、普通種、ダッタン種、宿根種がある。そばの種実は、タンパク質が多く、水溶性タンパク質が31〜47%を占める(本格焼酎製造技術、発行所:日本醸造協会、第77頁、平成3年12月10日発行)。また、そばには水溶性タンパク質のほかに多糖を主成分とする水溶性の粘性物質が含まれており、これら水溶性のタンパク質や多糖により吸水及びα化時に非常に高い粘性を示すことが知られている。したがって、そばを原料とする酒類の製造においては吸水方法として30〜40%の撒水を行い、1時間以上吸水させるか、水浸漬30分間、水切りを2時間程度行なって40分間蒸しを行い、これを掛け原料として用いるようにしているのが一般的である。このように、そばは吸水あるいはα化時に非常に高い粘性を示すことから、表面乾燥条件が得にくく、よって製麹工程でのはぜ込み(菌糸がそばの種実中に食い込むこと)が悪く、麹菌の生育並びにデンプン分解用の酵素力価も低いという問題があった。次に、そばの外皮並びに内実の構造からくるそば実による製麹の困難性がある。すなわち、そばの種実は大部分が三角形をなしており、その外皮は硬い。図7は、そばの種子(玄そば)の構造を示しており、図7−1,7−2,7−3において、そばの殻(外皮)を脱皮した内実の表面は同じく固い甘皮と呼ばれる種皮で被覆されており、その甘皮部分に麹菌が繁殖しにくく、一定した品質のそば麹の製造が困難であったためである。このように、そばが吸水及びα化時に非常に高い粘性を示すことやそば実自体の構造の点から良好な製麹が困難であること、ひいては、そばを材料とした麹原料あるいはそれから得られる酒類がなく、そばのまろやかな風味の酒類の製品の出現が待望されているという問題があった。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、酒類製造工程におけるそばを材料とする安定した品質の麹原料、掛け原料あるいはそれらを用いた新規な香味を有する酒類を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、そば原料への撒水、水切りを含む吸水工程と、吸水後のそば原料の蒸し、放冷処理を含む蒸し工程と、麹菌の種付けを含む製麹工程と、酵母発酵を行う仕込み工程と、仕込み工程により生成されるもろみを蒸留する蒸留工程と、を含む酒類の製造方法において、工程の任意段階で投入されるそば原料が、そば実を破砕後の粒が段階的に小さくなるようにする複数の順次小径粒子破砕工程と、各破砕工程に続き各破砕工程ごとに行う篩い通し工程と、を順次、複数回にわたって行って、複数区のそば粉を取得し、各区のそば粉について、少なくともでんぷん価と、粗タンパク質と、その他成分の含量を分析し、取得した複数区のそば粉のタンパク質含量を目安とし、取得した複数区のそば粉のうちのいずれか複数区のそば粉を混ぜ合わせて粗タンパク質含量が5−35%の成分調整されたそば粉を含むことを特徴とするそば原料を用いた酒類の製造方法から構成される。分画処理工程におけるそば実の外力による複数回の分割破砕は、ロール粉砕法や臼体の擂潰作用によるものでもよい。外力による複数回の分割破砕は、分割破砕時に出る粉体を収集するために行なうものであり、例えば種子に対する外部圧力により柔らかな部分から順次粉体として取り出されて製粉される。分画処理により何種類のそば粉を取り出すかは任意であるが、少なくとも2種類以上である。篩い分け時の篩いのメッシュ大きさは一定でも何段階かに分けて小さくするように設定してもよい。また、分割破砕処理時の外部の力の度合い、すなわち例えばロール粉砕法の場合には数回おきなどに段階的にロール間隙を小さくしたり、あるいは、一定の縮長率で狭めるようにしてもよい。
この場合、そば原料、そば実を破砕後の粒が段階的に小さくなるようにする複数の順次小径粒子破砕工程と、各破砕工程に続き各破砕工程ごとに行う篩い通し工程と、を順次、複数回にわたって行って、複数区のそば粉を取得し、各区のそば粉について、少なくともでんぷん価と、粗タンパク質と、その他成分の含量を分析し、複数区のそば粉のタンパク質含量を目安とし、粗タンパク質含量が5−35%の成分調整されたそば粉とし、これを酒類の製造工程において用いることもできる。分画処理工程におけるそば実の外力による複数回の分割破砕は、ロール粉砕法や臼体の擂潰作用によるものでもよい。外力による複数回の分割破砕は、分割破砕時に出る粉体を収集するために行なうものであり、例えば種子に対する外部圧力により柔らかな部分から順次粉体として取り出されて製粉される。分画処理により何種類のそば粉を取り出すかは任意であるが、少なくとも2種類以上である。篩い分け時の篩いのメッシュ大きさは一定でも何段階かに分けて小さくするように設定してもよい。また、分割破砕処理時の外部の力の度合い、すなわち例えばロール粉砕法の場合には数回おきなどに段階的にロール間隙を小さくしたり、あるいは、一定の縮長率で狭めるようにしてもよい。
また、酒類製造用そば原料として、タンパク質含量を目安として成分調整されたそば粉に水分を加えて造粒成形してもよい。分画したそば粉を目的の成分になるように調整及び混合し、造粒することにより、蒸し後及び製麹前後の接着や、型崩れをすることなく、はぜ廻り(麹菌菌糸の繁殖の様相)がよく、酸度及び酵素力価の高いそば麹を製造できる。また、これらのそば粉造粒体及び/または造粒そば麹を用いて新規な香味を有する酒類を製造することができる。






本発明のそば粉造粒体の製造方法によれば、そばを用いた酒類の製造方法において、脱皮したそば実の外力による複数回の分割破砕と篩い分けを含む分画処理工程を介して複数種類のそば粉を製粉し、該複数種類のそば粉の組み合わせで配合調整したものに水分を加えて造粒成型し掛け原料あるいは麹原料としてのそば粉造粒体を得るから、酒類製造工程におけるそばを材料とする安定した品質の麹原料、掛け原料を得ることができ、さらにそれらを用いた新規な香味を有する酒類を確実に製造することが可能である。特に、本発明では、分画処理し成分調整後のそば粉を用いる造粒そばを使用し、製麹することで接着、型崩れすることなく、はぜ廻りがよく、酸度及び酵素力価の高い造粒そば麹を提供することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。本発明の1つは、そばを用いた酒類の製造方法において、脱皮したそば実の外力による複数回の分割破砕と篩い分けを含む分画処理工程を介して複数種類のそば粉を製粉し、該複数種類のそば粉の組み合わせで配合調整したものに水を加えて造粒成型し掛け原料あるいは麹原料としてのそば粉造粒体を得ることを特徴とするそば粉造粒体の製造方法である。本発明でいうそばとは、タデ科ソバ属に分類される植物のことで、品種及び産地に限定されない。本発明のそば粉造粒体は、吸水及び蒸し工程を経て麹菌を植えつけられる際の一次仕込み用の麹原料であり、また、一次仕込みで製造された一次もろみに加えられる掛け原料としても適用され、この掛け原料は吸水及び蒸し工程を経たもので、一次もろみに加えられ二次もろみ製造用の原料とされる。すなわち、そば粉造粒体は、製麹用原料あるいは掛け原料用として吸水工程に投入されるそば実からなる成分調整原料であり、該そば粉造粒体およびその製造方法あるいはそれらにより製造される酒類が本発明の主要な部分である。特に、製麹原料としてそばを用いることにより、例えば製造工程から完成品酒類までのすべてをそば原料により製造でき、香味豊かなそば100%原料の酒類を製造することができる。
上記のように、本発明のそば粉造粒体は、分画処理工程を介して複数種類のそば粉を製粉し、該複数種類のそば粉の組み合わせで配合調整したものに水を加えて造粒成型したものであり、特に、本発明では、そば実を外力により物理的に分割破砕し、破砕物全体を篩い分けし、篩い分け残物について以下順次、分割破砕と篩い分け工程を複数回行なって全体として同じそばの実から複数種類のそば粉を製粉する。そして、該複数種類のそば粉の組み合わせで配合調整したものに水を加えて造粒成型することにより本発明のそば粉造粒体が得られる。
図1は、図5におけるそば酒類の製造工程中の造粒工程(最終造粒に至る前段階の分画、配合処理工程)を説明しており、皮付きのそばを分画処理し、これらを配合調整するまでの処理の手順を示している。図1において皮をつけた状態のそば実(玄そば)を脱皮して外皮を除去し、分画製粉により全体のロットから複数種類のそば粉を取得し、これらを分析して麹菌生育に良好な条件の粉体を配合調整するものである。本実施形態の分画処理では、外力による物理的なそば実の分割粉砕はロール製粉法が適用されている。本実施形態では、図2に示すように、7回ロール間で粉砕して7種類のそば粉を製粉する。すなわち、本実施形態では、脱皮したそば実の分割破砕はローラ間圧接破砕により行なうようにしている。
図2に示すように、ロール製粉法は、例えば互いに逆回転するロール12,14の間に原料(そば実)Mを投入し、咬み込ませて、圧縮・せん断・ねじり作用により処理物を粉砕製粉するものであり、粉砕後の粉砕物16Aが得られる。本実施形態では、最初の2回の粉砕ロールを滑面状ロールとし、他の5回の粉砕を歯立てロールにより行なわせている。図7に示すように、そば種子の外皮を除去した内実の表面には甘皮という固い薄皮が被覆されており、さらにそばの内実も甘皮に近い部分(外側部分)は固く中心部分ほど相対的に柔らかい構造となっている。したがって、ロール12,14間(G1)で分割破砕されたそば実Mは、図3に示すように例えば2分割され、その際に中心部分の柔らかい部分から微粒子状の粉体群Pが離脱する。実際にはロール間で挟圧されて粉砕されるから割れる態様はさまざまであり、そば実の一部が欠ける場合もあれば、複数片に分割される場合もある。粉砕後の粉砕物16Aは、これらのそば実分割片M1、M2と粉体群Pとを含む。得られた粉砕物16Aは、シフタ(篩い)18に掛けられて篩い目を通過した粉体であるそば粉‐1(20‐1)が得られる。シフタ18の篩いに残った残物16A1は、最初のロール間隙から縮められたロール間(G2)を通されて破砕され、図3のように分割されて分割片と粉体群とを含む粉砕物16Bが得られる。これをシフタ18‐2に掛けて篩い、そば粉‐2(20‐2)を得る。シフタ18‐2の篩いに残った残物16B1は、歯立てロール121、141間(G3)でさらに分割、あるいは破砕され、分割片と粉体群を含む粉砕物16Cを得る。そして、シフタ18‐3により分級して粉体部分のそば粉20‐3を得るとともに、篩い残である16C1を次の歯立てロール間(G4)に通して破砕させる。以下、同様に、7回のロール破砕工程とその間の6回の篩い掛け工程により7種類の微粉末状のそば粉20‐1〜20‐7を得る。この場合、篩い掛け工程の目的は、粒径をそろえることではなく、微粉末(粉末群P)を得ることにある。なお、シフタの篩い目は6度のシフタ工程において、同じメッシュ大きさのものを使用してもよい。
このようにして得られた7種類のそば粉20‐1〜20‐7のそれぞれについて成分を分析する。各そば粉は、表1の分析結果(単位は重量%)に示すように、はじめのうちに破砕したそば粉ほどデンプン価は高く(77.2%)、粉砕工程が後になるほど低くなる(6.1%)。
Figure 0004711043
これに対し、タンパク質ははじめのうちに破砕したそば粉では含量は低く(3.5%)、中間の工程で最も高く(34.0%)最終に近づくほど低下傾向となる。すなわち、そば実は中心部分ほどデンプン価が高く外皮に近づくほどでんぷん含量は低下する。これに対し、麹原料の良否を左右するタンパク質含量はそば実の中心部と外皮との中間部分ほど高く、以下外皮に近い部分>中心部分のように含量が分布している。
次に、分析後の7種類のそば粉20‐1〜20‐7の分析結果から、いずれか複数のそば粉を配合調整し、最も麹原料として適したものを混合調製する。この際、タンパク質含量を目安として行なわれる。タンパク質は、菌体を原料に植え付けて麹菌を生育させる際に、麹菌の栄養源となり、生育した麹菌は原料を溶解する酵素群を生成すると共にクエン酸を生成する。上記の造粒分画処理工程を介して得た複数種類のそば粉を成分分析し、その分析結果からタンパク質含量を目安として成分調整粉体を得る。この際、配合調整後の配合そば粉は、粗タンパク質含量が5〜35重量%のそば粉を調製するとよい。配合調整後の配合そば粉は、粗タンパク質含量が5%以下であれば製麹時の栄養不足により麹菌の生育が悪く、はぜ廻りが悪くなる。その結果、酵素力価が著しく劣り、もろみにおける原料の溶解率が下がる。一方、粗タンパク質含量が35%以上の場合には、酵素力価は極めて良好となり原料の溶解率は大幅に向上するが、出麹酸度が低下し、もろみにおける雑菌汚染の危険性が高くなる。すなわち、この配合そば粉の粗タンパク質含量が5〜35重量%であれば、出麹酸度の値も十分に大きくてはぜ廻りも大変よく、しかも酵素力価が高く良好な原料溶解力を保持して醸造に適した麹原料とされる。
本実施形態において、図1のように、例えば7種類のそば粉20‐1〜20‐7の成分分析結果から、これらの複数を配合調整し、4種類の配合そば粉を調製している。表2は、4種類の配合そば粉22‐1〜22‐4と、比較例として図1の破線枠のように同じそば実と、これを挽き割りして得られたそばグリッツについての成分を示しており、このうちの例えば、配合そば粉2,3,4(22‐2〜22‐4)が粗タンパク質含量から麹原料として適すると判断される。
Figure 0004711043
そば実並びにそばグリッツは、粗タンパク質含量は良いとしても後述するように、出麹酸度並びに酵素力価が低い値となり、麹原料としては安定した品質を維持するのは困難である。
さらに、複数種類のそば粉の組み合わせで配合調整した配合そば粉に水分を加えて造粒成型してそば粉造粒体を得るものである。そば実を分割粉砕していったん粉体とし、これを造粒成型するから、製麹時に造粒体表面へのはぜ廻り(はぜ込み)が良好となり、麹菌が良好に生育する。図4は、例えば1つのそば造粒工程を示しており、複数種類の配合そば粉を各々2軸エクストルーダに投入して造粒成型させる。すなわち、2軸エクストルーダのホッパより配合後のそば粉を投入し、必要量の水を加えて圧送しつつ混合、混練する。温度を制御し、未膨化または膨化の状態で所定口径の開いたダイより連続して押し出しながら、回転カッターにより所定の粒径になるように切断させた後、乾燥及び冷却し成分調整そば粉造粒体を得る。
この成分調整そば粉造粒体は、麹原料として好適に用いられるばかりでなく、麹により一次仕込みを介して得られた一次もろみに加えられる、吸水、蒸し工程を経た掛け原料としても好適に適用され得る。
表1の分画製粉後の7種類のそば粉(20‐1〜20‐7)を調製した。この際、表3のようなロール機の種類、ロール間隙、シフタ網目大きさにより分画製粉を行った。
Figure 0004711043
これらの7種類のそば粉の成分分析後、これらを配合して表2のように4種類の配合そば粉(22‐1〜22‐4)を取得し、これらの配合そば粉のそれぞれを前述した2軸エクストルーダに投入して混練、加熱しながら圧送、切断して5mm直径程度の大きさに造粒した4種類の成分調整造粒そばを得た。分画製粉後の7種類のそば粉から4種類の配合そば粉を調製するについては、国税庁所定分析法に基づいてそれぞれ、デンプン価、水分、粗タンパク質(ケルダール法に準じた定量を行なう)、粗脂肪をそれぞれ算出した。この4種類の成分調整造粒そば(造粒そば‐1〜造粒そば‐4(試験区))と、比較例(対照区)としてのそば実とそばグリッツ(造粒そば製造工程での同じそば実のロットから挽き割りしてそばグリッツとして得られたもの)について、シャーレ法[日本醸造協会誌 Vol.73,No.5,第402〜404頁(1978)]による製麹を行なった。具体的には、引き込み水分を35%前後に調節し、種麹には焼酎白麹菌を用いた。温度経過は、前半28時間を高温経過(37〜40℃)、後半15時間を低温経過(30〜35℃)とした。製麹のはぜ廻りの程度を最も良い(+++)、大変良い(++)、良い(+)、不良(−)とし、これらと、麹の水分含量、製麹後の酸度、酵素力価(α‐アミラーゼ、グルコアミラーゼ、酸性プロテアーゼ、酸性カルボキシペプチダーゼ)を測定した。この麹の分析結果を表4に示す。なお、酸度及び酵素力価は国税庁所定分析法により測定し、乾燥麹当たりで表記した。
Figure 0004711043
表4の結果より、造粒そばからなる造粒そば麹は比較例のそば実及びそばグリッツに比べて全体的にははぜ廻りが良好で、中でも配合そば粉‐2〜配合そば粉‐4に対応する造粒そば‐2〜造粒そば‐4が大変良好であり、特にそのうちでも造粒そば‐3が、はぜ廻り、出麹酸度ならびに酵素力価が顕著に良好でバランスの良い麹となり、麹原料として優れていることが分かる。このように、分画製粉したそば粉を成分調整し、混合造粒することで目的に合致した醸造用原料を製造しうることが確認される。
[第2実施形態]
次に、成分調整そば粉造粒体を用いて製造される酒類の1つの例として、例えばそば焼酎の製造方法について説明する。本発明のそば粉造粒体を用いて製造される酒類の製造方法は、常法により従来と同様である。1つの例として、例えばそば焼酎の製造方法について説明する。図5は、そば焼酎の製造工程を示す流れ図であり、本実施形態の焼酎製造においては、実線矢印に示す流れが一次仕込による一次もろみ製造工程を示し、破線矢印が二次仕込による二次もろみ製造工程を示す。まず、造粒工程においては、前述の通り、脱皮したそば実を用意し(S1)、外力による複数回の分割破砕と篩い分けを含む分画処理工程(S2)を介して複数種類のそば粉を製粉し、それぞれのそば粉の成分分析を行って、タンパク質含量を目安として配合調整し成分調整した配合そば粉を調製(S3)し、これを造粒して(S4)そば粉造粒体を得る。
次に、このそば粉造粒体を用いて一次もろみあるいは二次もろみ製造に向けた原料処理工程を行う。原料処理工程では、まず実線矢印の流れでそば粉造粒体を用いた一次仕込み工程が行われ、破線矢印の流れで同じくそば粉造粒体を必要に応じて含む二次仕込み工程が行われる。一次もろみ製造に向けた処理では、そば粉造粒体(S5)が選択され、これに撒水、水切りを含む吸水工程(S6)、吸水後のそば粉造粒体の蒸し、放冷処理を含む蒸し工程(S7)、麹菌の種付け・育成、製麹処理を含む製麹工程(S8)を経て、酵母を加える一次仕込み工程(S9)が行われ、一次もろみを製造する。
次に、二次もろみ製造に向けた二次仕込み処理では、脱皮後のそば実や、これを挽き割りしたそばグリッツ、あるいはS4でのステップのそば粉造粒体のすべてあるいはこれらのうちのいずれかの組み合わせを選択する(S10)。これらの二次仕込み原料は、浸漬、撒水、水切りを含む吸水工程(S11)、吸水後のそば粉造粒体の蒸し、放冷処理を含む蒸し工程(S12)を経て、ステップS9で製造した一次もろみにこれらの二次仕込み原料を掛け原料として加え混合し二次仕込み工程(S13)を行う。そして、二次仕込み工程で生成される二次もろみを蒸留(S14)し、瓶詰め製品化(S15)するものである。
実施例1にて造粒した成分調製造粒そば(造粒そば‐3)を用い、製麹及び焼酎製造を行った。焼酎の仕込み配合を表5に示す。
Figure 0004711043
対照(比較例)として2種類(一次仕込みに麦麹又はそばグリッツ麹を使用したもの)の計3種類を製造した。まず、麹原料(造粒そば、そばグリッツ、麦)を引込水分が35%前後になるように撒水、水切り、蒸きょう及び放冷して、白麹菌接種し製麹した。製麹は、麹蓋を用いて行い、シャーレ法時と同様、温度経過は、前半28時間を高温経過(36〜41℃)、後半15時間を低温経過(30〜35℃)とした。一次仕込みについては、麹に仕込水及び酵母を加え、25℃〜30℃で6日間培養を行った。二次仕込みについては、そばグリッツを常法に基づき、撒水、水切り、蒸きょう及び放冷を行ったものを掛け原料とし、一次もろみに仕込水と共に加えた。その後、25℃〜30℃で12日間糖化・醗酵を行い、醗酵終了もろみを得た。醗酵終了後の成分分析結果を表6に示す。
Figure 0004711043
上記の醗酵終了もろみを蒸留した。その後、すべてのサンプルをアルコール度数25度まで割水し、得られた焼酎の香気成分の分析値を表7に示す。なお、対照3として従来のそば焼酎製品を用いた。
Figure 0004711043
表7より、造粒そばを用いた焼酎にはパイナップル様芳香と称されるカプリル酸エチルがおよそ2倍量含まれることが確認できた。また、ハチミツ様の芳香を有するフェニル酢酸エチルも他のサンプルより多く検出された。
次に、アルコール度数25%まで加水した上記の4種類のサンプルを約2ヶ月間熟成させた後、味認識装置SA402Bを用いて、味の識別を行った。結果を図6に示す。
図6に示すように、本発明のそば粉造粒体を用いたそば麹を使用しない従来製品(○)と、同様に麦麹を使用した対照2(▲)は、ほぼ同じ位置にプロットされ、味が非常に似ていることが判明した。一方、本発明(●)と対照1(■)のそば焼酎サンプルは、それぞれ特徴的な香味を有することが判明した。
続いて官能検査を行った。官能検査は、パネル11名により、三点識別法で行い、当社従来製品のそば焼酎を比較対照とした。三点識別法として、3つのコップを用意し、2つには比較対照を、1つに本発明のそば粉造粒体によるそば麹を使用したそば焼酎を入れ、味が異なると感じたものを指摘させる形式で行った。なお、コップの配置を換え、検査を2通り行った.結果を表8に示す。
Figure 0004711043
図5並びに表8の結果より、造粒そばを使用することで、従来のそば焼酎とは全く異なる、新規な香味を有する焼酎が製造できることが確認された。なお、有意水準とは、偶然同じ結果が得られる確率を、統計学に基づいて算出した値である。有意水準が極めて低かった今回の結果は、信頼性が非常に高いことを意味する。
以上説明したそば粉造粒体の製造方法、造粒そば麹の製造方法、そばを用いた酒類製造用掛け原料及び造粒そば麹並びにそれらを用いた酒類は、上記した実施形態あるいは実施例のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
本発明のそば粉造粒体の製造方法、造粒そば麹の製造方法、そばを用いた酒類製造用掛け原料及び造粒そば麹並びにそれらを用いた酒類は、焼酎またはその他の酒類全般の製造について、適用することができる。
本発明の酒類の製造工程中の分画処理工程の概略の流れを示す分画処理フロー図である。 図1の分画処理工程の詳細処理を示す説明図である。 図2の分画処理によるそば実の分割破砕時の状態を説明する図である。 図2の分画処理後調製される配合そば粉から造粒する際の造粒工程フロー図である。 本発明のそば粉造粒体を用いた酒類の製造工程例を示すフロー図である。 本発明の実施例に係るそば焼酎の味認識装置による味の識別結果を示す図である。 そば種子の構造を示す拡大斜視図である。 そば種子の構造を示す拡大縦断面説明図である。 そば種子の構造を示す拡大横断面説明図である。

Claims (1)

  1. そば原料への撒水、水切りを含む吸水工程と、吸水後のそば原料の蒸し、放冷処理を含む蒸し工程と、麹菌の種付けを含む製麹工程と、酵母発酵を行う仕込み工程と、仕込み工程により生成されるもろみを蒸留する蒸留工程と、を含む酒類の製造方法において、
    工程の任意段階で投入されるそば原料が、
    そば実を破砕後の粒が段階的に小さくなるようにする複数の順次小径粒子破砕工程と、各破砕工程に続き各破砕工程ごとに行う篩い通し工程と、を順次、複数回にわたって行って、複数区のそば粉を取得し、
    各区のそば粉について、少なくともでんぷん価と、粗タンパク質と、その他成分の含量を分析し、
    取得した複数区のそば粉のタンパク質含量を目安とし、取得した複数区のそば粉のうちのいずれか複数区のそば粉を混ぜ合わせて粗タンパク質含量が5−35%の成分調整されたそば粉を含むことを特徴とするそば原料を用いた酒類の製造方法。
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