JP4709141B2 - 肝臓再生における使用および肝不全予防のためのhip/papポリペプチド組成物 - Google Patents

肝臓再生における使用および肝不全予防のためのhip/papポリペプチド組成物 Download PDF

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Description

本発明は、肝臓再生を刺激するための、さらにまた、肝不全の予防におけるヒト肝細胞癌-腸-膵臓/膵臓関連タンパク質(HIP/PAP)の使用に関する。
肝不全は、薬物誘発性肝毒性、ウィルス感染、脈管損傷、自己免疫疾患または鈍的外傷のような多くの急性および慢性臨床症状において生ずる。さらに、代謝先天異常の傾向を有する患者も肝不全を発症する危険にあり得る。これらの臨床症状の結果として生ずる肝不全の徴候としては、例えば、劇症急性肝炎、慢性肝炎または肝硬変があり、多くの場合、正常肝機能の回復は、患者の生存にとって不可欠である。例えば、肝硬変は、25〜44歳の人々における7番目の主要死因であり、4番目の疾病関連死因である(情報源:American
Liver Foundation)。
急性肝疾患においては、肝臓は、損傷後に再生し得る。疾患が肝臓の新たな細胞を再生する能力を越えて進行する場合、身体の全体的代謝は、重大な影響を受ける。肝機能の喪失は、本質的な身体機能(即ち、エネルギー供給、酸-塩基均衡および体温調節)の破壊と結び付いた代謝の不安定性をもたらし得る。急速に反転しない場合、制御されていない出血および敗血症のような合併症が生じ、脳および腎臓のような個々の器官は、毒性副生成物のため或いは肝臓がもはや重要な栄養素を合成しないために、機能を停止する。大きな肝損傷後には、肝臓組織はその再生および代謝機能をゆるめ、肝臓移植が一般的に使用される治療方法である。しかしながら、肝臓移植の臨床応用は、1回で安全に移植し得るヒト肝細胞、肝臓組織および肝臓細胞数の入手性によって制限されている。さらにまた、術前の待ち時間および術後合併症は、急性期の肝不全に対抗するには臨界的であり得る。もう1つの治療方法は、肝切除(肝臓の1部の除去)からなる。肝切除の最も典型的な適応症は、悪性腫瘍、肝細胞癌、または胆管癌のような増殖性胆汁疾患である。腫瘍は、原発性(肝臓部分で発症した)または転移性(他の器官で発症し、その後肝臓に転移した)であり得る。肝臓転移の大多数は、直腸に由来する。肝臓の左側または右側に限られている1個または2個以上の腫瘍は、60%程の高い5年生存率でもって成功裏に切除し得る。肝外疾患を有する患者に対して実施する肝切除は、腫瘍によって生ずる徴候は軽減されるが、生存の改善を殆どもたらさない。肝臓の良性腫瘍(アデノーマおよび限局性結節性過形成)は、同様に肝切除によって成功裏に管理し得る。また、肝切除は、肝臓の1部を提供する意思のある人々においても行われる。
肝臓移植および肝切除の重要性に鑑み、肝切除または移植の場合において、肝臓再生を刺激し、肝不全を阻止または抑制する幾つかの方法が示唆されている。
肝細胞は、自己分泌または傍分泌起源の各種増殖刺激および増殖抑制サイトカイン類によって制御し得るものと信じられている;しかしながら、これら増殖因子の正確な役割および作用メカニズムは、全体的に理解するにははるかに迂遠である。サイトカイン類は、アミノ酸、タンパク質、炭水化物、脂質およびミネラル類の中間的代謝を調節する分泌性のペプチドまたはタンパク質類である。サイトカイン類は、炎症を介在するように作用し、且つ細胞増殖並びに脈管壁および細胞外マトリックスに対しての炎症細胞の接着を調節する細胞内伝達に関与するペプチドまたはタンパク質類を含む。サイトカイン類は、肝臓と肝外部位間および肝臓自体内の伝達にとって不可欠である。サイトカイン類は、グルココルチコイド類のようなホルモン類と相互作用して、相互制御の複合ネットワークを生じる。多くのサイトカイン類は、その特異的な前炎症作用以外に増殖活性も奏する。肝臓は、サイトカイン合成の重要な部位であり且つ数種のサイトカイン類にとっては主要なクリアランス器官である。肝疾患においては、サイトカイン類は、肝臓再生並びに肝臓の線維化および硬変形質転換において、肝内免疫応答の発生に関与する。
また、肝細胞は、各種増殖因子によって制御されると信じられている。増殖因子は、発生事象を調節することを求められているか、或いは細胞内伝達および発生調整に関与し得る他の分泌性タンパク質をコード化する遺伝子の発現を調節することを求められており、インシュリン様増殖因子-IおよびII(IGF IおよびII)、上皮細胞増殖因子(EGF)、タイプaおよびタイプb形質転換増殖因子(TGF-αおよびTGF-β)、血小板由来増殖因子(PDGF)がある。
生体外においては、分離した肝細胞中のDNA合成は、TGFαまたはEGFのような増殖因子により刺激されることが証明されている。肝細胞増殖因子(HGF)と命名されたさらなるタンパク質は、一次肝細胞に対するマイトジェンであることが証明されている。
これらの観察に基づき、これらの因子は肝臓再生の重要なメディエイターであり得ることが提案されてきている。従って、増殖因子様活性を有するTGFα、EGFまたはHGFのような増殖因子は、肝臓再生治療において適応されてきている。しかしながら、肝臓再生を刺激し且つ肝不全を抑制することが示唆されたこれらの治療方法は、毒性および有害作用なしではその有効性が証明されていない。即ち、これらの増殖因子は、腫瘍進行を優先させる(Gang-Hong等、1992年;Lee、1992年;Horiguchi等、2002年)。
従って、当該技術においては、肝臓再生を刺激し、肝不全を防御し、且つ有害な毒性および発癌作用を排除した有効な方法が求められている。この要求は、肝損傷が誘発されているあらゆる患者集団において存在する。この要求は、移植患者においてのみならず肝切除を受けた提供者および患者においても存在する。さらに、当該技術においては、肝臓再生を刺激する新規な治療上有効な化合物も依然として求められている。
さらに、提供者臓器の入手性の乏しさを考慮すれば、生存提供者の部分肝臓移植は、臓器の不足を克服する対抗策と認識されており、部分肝臓移植を容易にしている。しかしながら、部分肝臓移植は、提供者の切除可能な肝臓量が被提供者の必要な肝臓量よりも多くの場合少ないので、移植患者の大多数を占める成人における安全な操作としてはみなしえない。即ち、小移植片に対する安全且つ迅速な肝臓再生手段が求められている。
従って、本発明の目的は、部分切除後の肝臓再生の刺激手段を提供することである。また、本発明の目的は、部分肝臓移植のような肝臓移植後の、さらにまた、肝硬変、急性肝炎および慢性肝炎のような治療不十分(discare)原因の肝不全発症後の肝臓再生または肝細胞増殖を促進し得る薬物も提供することである。
上記およびさらなる目的は、当業者にとって自明であろう。
本発明は、HIP/PAPが一次培養物中の肝細胞に対し生体外で細胞分裂促進および抗アポトーシス作用を有するという実験上の知見に基づく。さらにまた、HIP/PAPは、肝不全および肝臓再生中の生体内肝細胞に対する細胞分裂促進性および抗アポトーシス性分子である。また、本発明は、HIP/PAPが哺乳類において有害作用を有さないという実験上の知見にも基づく。
本発明の第1の目的は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの有効量を少なくとも1種の生理学上許容し得る賦形剤と一緒に含む、肝臓の生体内再生を刺激するための製薬組成物からなる。
もう1つの局面においては、本発明は、配列SEQ ID NO.1のヒト肝細胞癌-腸-膵臓/膵臓関連タンパク質(HIP/PAP)の有効量を少なくとも1種の生理学上許容し得る賦形剤と一緒に含む、肝臓の生体内再生を刺激するための製薬組成物に関する。
また、本発明は、(i)治療上有効量の肝毒性化合物、および(ii)肝臓損傷有効量の上述したようなポリペプチドを含むことを特徴とする肝臓壊死に対して限られた有害作用を有する製薬組成物にも関する。
本発明者等は、本発明に従い、HIP/PAPが一次培養物中の肝細胞に対し生体外細胞分裂促進および抗アポトーシス作用を有することを見出した。さらにまた、HIP/PAPは、肝不全および肝臓再生中に、生体内で、肝細胞に対する細胞分裂促進性および抗アポトーシス性分子でもある。
ヒト肝細胞癌-腸-膵臓/膵臓関連タンパク質(HIP/PAP)遺伝子は、ヒト肝細胞癌の25%におけるその増大した発現故に、ノーザンブロット分析を使用することによって同定された(Lasserre等、1992年)。HIP/PAPタンパク質は、健常対象者において、腸(パネート細胞および神経内分泌細胞)および膵臓(腺房膵臓細胞およびランゲルハンス島)において検出されることが判明している。また、HIP/PAPタンパク質は、正常肝臓の門脈領域辺りのある種の潜在的な前駆肝細胞においても検出されている(Christa等、1999年)。HIP/PAPは、膵炎の急性期において急速に過発現する。また、HIP/PAPは、ラット肝細胞に対する接着分子として作用し、ラミニン-1およびフィブロネクチンのような細胞外マトリックスタンパク質と相互作用する。このタンパク質は、推定シグナルペプチドを含有し、従って、ドリカマー(Drickamer’s)分類および構造分析によれば、Cタイプレクチン群のグループVIIに属する(Abergel等、1999年)。
今回、本発明者等は、肝臓再生が、ヒトHIP/PAP遺伝子を発現するマウスにおいて、部分肝切除後に、生体内で刺激されることを見出した。さらに、本発明によれば、HIP/PAPが一次培養肝細胞中で生体外細胞分裂促進作用も有することを見出している。もう1つの局面においては、本発明によれば、HIP/PAPが、一次培養肝細胞において、アクチノマイシンDと組合せたTNF-αによって誘発されるアポトーシスに対する抗アポトーシス作用を有することも見出している。また、本発明によれば、HIP/PAPを組換えにより発現する肝細胞が、部分肝切除マウスに局所的に注入したときに、肝臓再生を誘発することも証明している。本発明者等は、HIP/PAPタンパク質が、部分肝切除を受けているマウスに注入したとき、肝臓再生を誘発することを証明している。これらの観察を考慮して、本発明者等は、HIP/PAPタンパク質が、前述したようなHGF、TGFαまたはEGFのような当該技術において既知の増殖因子とは対照的に、有効な細胞分裂促進および抗アポトーシス作用をもたらし、生体内で肝不全を防御し、有害作用を有せず、さらに、とりわけあり得る発癌作用を回避することを証明している。
まとめると、これらの結果は、肝臓再生におけるHIP/PAPの治療上の重要性を実証している。即ち、これらの実験結果は、本発明者等が、配列SEQ ID NO.1のヒト肝細胞癌-腸-膵臓/膵臓関連タンパク質(HIP/PAP)の有効量を少なくとも1種の生理学上許容し得る賦形剤と一緒に含む生体内での肝臓再生を刺激するための製薬組成物を設計することを可能にしている。
本発明の第1の目的は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの有効量を少なくとも1種の生理学上許容し得る賦形剤と一緒に含む、慢性/急性肝不全後のような肝臓の生体内再生を刺激するための製薬組成物からなる。
また、本発明は、肝臓再生にとって有効であるHIP/PAPのポリペプチドフラグメントを含む製薬組成物にも関する。このSEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端する配列のポリペプチドは、HIP/PAPタンパク質の生物学的に活性な部分からなり、この部分は、以前、炭水化物認識ドメイン(CRD)配列として説明されていた(Christa等、1994年)。
第1の好ましい実施態様においては、本発明の製薬組成物は、上述のようなHIP/PAPの生物学的活性部分を含み、この部分は、細胞または組織源から、標準のタンパク質精製法を使用する適切な精製方式によって分離し得る。
上記製薬組成物のもう1つの好ましい実施態様においては、HIP/PAPの上記生物学的活性部分は、下記の実施例において説明しているような組換えDNA法によっても製造し得る。第3の好ましい実施態様によれば、HIP/PAPの上記生物学的活性部分は、標準のペプチド合成法を使用して化学的に合成し得る。
HIP/PAPの分離したまたは精製した生物学的活性部分は、HIP/PAPが由来する細胞または組織源からの細胞物質または他の汚染タンパク質を実質的に含まず、或いは化学合成したときの化学プレカーサーを実質的に含まない。
2つのアミノ酸配列の同一性の百分率を決定するには、配列を最適の比較目的において位置合せする。例えば、間隙を第1および第2アミノ酸配列の1つまたは双方に最適アラインメントのために導入し、非相同性配列は比較目的において無視し得る。
最適比較目的のためには、2つのアミノ酸配列の同一性百分率は、以下のパラメーターにより、CLUSTAL W(バージョン1.82)によって得ることができる:(1)CPU MODE=Clustal W mp;(2)ALIGNMENT=full;(3)OUTPUT FORMAT=aln w/numbers;(4)OUTPUT ORDER=aligned;(5)COLOR ALIGNMENT=no;(6)KTUP(word size)=default;(7)WINDOW LENGTH=default;(8)SCORETYPE=percent;(9)TOPDIAG=default;(10)PAIRGAP=default;(11)PHYLOGENETIC TREE/TREE TYPE=none;(12)MATRIX=default;(13)GAP OPEN=default;(14)END GAPS=default;(15)GAP EXTENSION=default;(16)GAP DISTANCES=default;(17)TREETYPE=cladogram;および、(18)TREE GRAP DISTANCES=hide。
HIP/PAPの生物学的活性部分としては、全長HIP/PAPと同じ数のアミノ酸を含み且つHIP/PAPと少なくとも同じ生物学的活性を示す、SEQ ID NO.1のHIP/PAPの全長アミノ酸配列に対して十分に相同性のアミノ酸配列を含むペプチド類がある。
HIP/PAPの生物学的活性部分としては、さらに、全長HIP/PAPよりも多いアミノ酸を含み且つHIP/PAPと少なくとも同じ生物学的活性を示す、SEQ ID NO.1のHIP/PAPの全長アミノ酸配列に対して十分に相同性のアミノ酸配列を含むペプチド類がある。
HIP/PAPに対して相同性の生物学的活性ペプチドに適用するときの“同じ生物学的活性”とは、本明細書においては、当業者により、例えば、肝細胞によるBrdU取込みを測定し、実施例2において示すような肝臓質量回復を測定することによって容易に測定し得るときに、全長HIP/PAPと同じ度合でもって生体内肝臓再生を誘発するペプチド類を意図する。
本明細書において使用するとき、HIP/PAPの生物学的活性部分は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端する配列のポリペプチドと90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。本発明によれば、第2アミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する第1アミノ酸配列は、上記第2アミノ酸配列とアミノ酸数において少なくとも90%、好ましくは、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を含む。
本発明に従うポリペプチド類は、Orelle等によって開示されているような、種々の哺乳類に由来する、例えば、ウシ膵臓刺タンパク質(BPTP)またはラット由来の膵臓関連タンパク質1(PAP1)に由来するCRD配列のような変異体も含む。
哺乳類内に存在するHIP/PAP配列の生物学的活性部分の天然産対立遺伝子変異体以外に、当業者であれば、変更をSEQ ID NO.1のヌクレオチド配列中に変異により導入し、それによってHIP/PAPの生物学的活性を変化させることなくHIP/PAPのアミノ酸配列中に変更をもたらし得ることをさらに認識されたい。
さらに、非不可欠アミノ酸の置換もHIP/PAPに相応する配列中でなし得る。“非不可欠”アミノ酸残基は、生物学的活性を変化させることなくHIP/PAPの野生タイプ配列から変更させ得るアミノ酸残基であり、これに対し、“不可欠”アミノ酸残基は、生物学的活性に対し必要である。
本発明の第2の目的は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端する配列のポリペプチドを少なくとも1種の生理学上許容し得る賦形剤と一緒に含む、肝臓の生体内再生を刺激するための製薬組成物からなる。
本発明のもう1つの目的は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基27で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの有効量を少なくとも1種の生理学上許容し得る賦形剤と一緒に含む、肝臓の生体内再生を刺激するための製薬組成物である。
本発明のさらなる目的は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基27で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドの有効量を少なくとも1種の生理学上許容し得る賦形剤と一緒に含む、請求項1記載の製薬組成物からなる。
本発明のもう1つの目的は、ヒト肝細胞癌-腸-膵臓/膵臓関連タンパク質(HIP/PAP)の有効量を少なくとも1種の生理学上許容し得る賦形剤と一緒に含む、肝臓の生体内再生を刺激するための製薬組成物からなる。
何ら特定の理論によって拘束することを望まないけれども、本発明者等は、SEQ ID NO.1の完全HIP/PAPタンパク質、即ち、CRD配列、シグナルペプチドおよびプロペプチドを含むポリペプチドは、とりわけ、該タンパク質をコード化する発現カセットを移入させている真核細胞中でDNA組換え法により該タンパク質を産生させたときに、該タンパク質の最良の折りたたみ性(folding)をもたらすものと信じている。ところで、上記治療活性HIP/PAPの的確な折りたたみ性は、該タンパク質の1部のみを含む組成物と比較して肝臓再生に対し該タンパク質を含む製薬組成物に最良の生物学的有効性をもたらし得る。
好ましい実施態様においては、HIP/PAPは、SEQ ID NO.1に示されているアミノ酸配列を有する。他の実施態様においては、HIP/PAPは、SEQ ID NO. 1と実質的に同一であり、配列SEQ ID NO.1のタンパク質と比較したとき、肝臓再生に対し同じ生物学的活性を保持するが、自然対立遺伝子変異または変異誘発によりアミノ酸配列において異なる。従って、もう1つの実施態様においては、HIP/PAPは、SEQ ID NO. 1のアミノ酸配列と少なくとも約90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一性のアミノ酸配列を含むタンパク質である。
また、本発明は、HIP/PAPキメラまたは融合タンパク質を含む。本明細書において使用するとき、キメラタンパク質または融合タンパク質は、非HIP/PAPポリペプチドに融合させた上述のポリペプチドを含む。融合タンパク質内では、HIP/PAPポリペプチドと非HIP/PAPポリペプチドは、相互に融合している。非HIP/PAPポリペプチドは、HIP/PAPポリペプチドのN-末端またはC-末端に融合させ得る。
例えば、1つの実施態様においては、融合タンパク質は、HIP/PAP配列をGST配列のC-末端に融合させているGST-HIP/PAP融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は、組換えHIP/PAPの精製を容易にする。
全ての場合において、本発明の融合タンパク質は、SEQ ID NO.1のHIP/PAPと同じ生物学的活性を有する。
2つの異なる経路が肝臓再生を触発し、1つの経路は、部分肝切除または胆管結紮後の分化した肝細胞または胆管細胞の複製を生じさせる(Fausto等、1994年;Fausto等、2000年)。第2の再生経路は、毒性損傷後、肝細胞または胆管細胞の増殖がその損傷によって阻害されるかまたは遅延されたときに、大量壊死または発癌時に触発される(Factor VM等;Petersen B等、(1998年);Akhurst B等)。これらの条件下において、“幹様”細胞が肝細胞および胆管上皮細胞として増殖し分化し、その後、肝臓を再複製することが提案されている。囓歯類においては、いわゆる卵形細胞は、良好に形成された小集団がやがて分離さるべき異種細胞コンパートメントを示す。ヒトにおいては、卵形細胞コンパートメントは、急性大量壊死後の肝臓再複製に関与し、これも慢性肝疾患において同定されている(Roskams T等;Sell S等)。本明細書において使用するとき、用語“肝臓再生”は、“幹様”細胞が肝細胞および胆管上皮細胞として増殖し分化し、次いで再複製する過程並びに肝細胞および胆管細胞の複製に関する。
用語“生物学的活性量”は、肝細胞数減少に関連する肝疾患を治療するのに十分であり、HIP/PAPによってなされる肝臓再生が肝機能を回復させ得る本発明に従う組成物の量に関する。
HIP/PAPによってなされる肝臓再生は、手術、移植、疾患のような幾つかの状態において、さらに、肝臓壊死または肝臓部分壊死をもたらす肝毒性化合物暴露後において有用であり得る。
先ず、本発明に従う製薬組成物は、急性および慢性肝不全の治療において適切である。
急性肝不全は、肝細胞の大量アポトーシス/壊死によって一般に生じ、ウィルスまたは毒性起源の壊滅的な症状を示す。急性肝不全は、ウィルス肝炎(症例の約70%)により、薬物中毒により、例えば、自殺未遂におけるアセトアミノフェンにより主として誘発される。
本発明に従う組成物により治療し得る慢性肝不全は、B型またはC型肝炎ウィルス感染によりまたはアルコールにより誘発され得る。慢性B型肝炎、肝硬変、さらにまた非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)。NAFLDは、単純な脂肪症から非アルコール性脂肪肝炎(NASH)までに及ぶ臨床および病理症候群を説明するのに最近選択された用語である。
従って、本発明に従う組成物は、下記のような疾患に続発する肝不全の治療において適している:
B型肝炎、C型肝炎、尿素サイクル欠陥、家族性高コレステロール血症、アルコール誘発性肝硬変、グリコ−ゲン蓄積症、自己免疫性肝炎、原発性シュウ酸尿症I型、特発性肝硬変、I型クリグラー・ナジャー症候群、先天性肝線維症、ニーマン・ピック(Neimann-Pick)病、原発性胆汁性肝硬変、家族性アミロイドーシス、胆道閉鎖症、肝細胞癌、原発性硬化性胆管炎、肝芽腫、アラジル(Alagille)症候群、血管内皮腫、家族性胆汁鬱帯、非カルシニオド神経内分泌(non-carciniod neuro-endcrine)、薬物誘発性肝不全、肝細胞癌および胆管癌のような限局性結節性過形成肝腫瘍のような良性肝腫瘍、急性/劇症肝不全、バッド・キアリ症候群、アルファ-1-抗トリプシン欠乏症、ウィルソン病、ヘモクロマトーシス、チロシン血症、プロトポルフィリン症、および嚢胞性線維症。
本発明に従う組成物は、肝毒性化合物への暴露に由来する全ての病理症状の治療に適している。
アルコール;HBV、HCVまたはHIVのようなウィルス;ファロイデ
アマナイト(phaloide amanite)のようなキノコ類;熱帯性マラリア原虫のような寄生虫類またはある種の治療薬のような多くの肝毒性化合物が、細胞毒性および肝臓壊死を誘発する。上記の治療薬のうちでは、エンフルランのような麻酔薬、ヒドラジド類のような向精神心理薬(neuropsychotropics)、バルプロ酸のような抗けいれん薬、アセトアミノフェンのような鎮痛薬、アンフォテリシンBまたはペニシリンのような抗菌剤、アセトヘキサミドのようなホルモン類、パパベリンのような心臓血管薬、アスパラギナーゼのような免疫抑制薬および抗新生物剤、抗高血圧薬、ビタミンAのような抗炎症薬および多用途薬、オキシフェニサチン、ヨウ化物イオンを見出し得る。
肝毒性の正確なメカニズムは不明確であるが、これらの化合物は、肝細胞代謝に対して有害作用を有し、肝臓組織の壊死および肝不全の発症に寄与している。
とりわけ、実施例9において示すように、本発明に従う製薬組成物は、アセトアミノフェンによって生じた肝不全の治療に適しており、アセトアミノフェン中毒に対する防御効果を有する。
本発明のさらなる目的は、下記を含む肝臓壊死に対して限られた有害作用を有するキットからなる:
(i)治療上有効量の肝毒性化合物;
(ii)有効量の配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド。
また、本発明は、前述したようなHIP/PAPのポリペプチドフラグメント、HIP/PAPの生物学的活性部分またはHIP/PAPタンパク質全体を含むキットも包含する。上記組成物の肝毒性化合物は、上記で挙げた化合物の1つであり得る。
本発明に従う製薬組成物は、肝切除および肝臓移植に続発する肝不全の治療においても適している。本発明に従う製薬組成物は、肝臓移植の提供者、そのような移植の被提供者、肝切除後の患者に投与して、肝臓再生を刺激することによって、肝不全の確立および進行を阻止し得る。
肝臓再生を刺激することによって、本発明の組成物は、他の有益な効果も有する。これらの効果のうちでは、肝臓移植および部分肝臓移植を高い有効性でもって実施する機会、さらにまた、肝臓再生を生体外で刺激する、例えば、移植前の肝臓移植片、肝臓上皮細胞、肝臓幹細胞またはHIP/PAP遺伝子修飾細胞の増殖を刺激する機会を挙げ得る。
とりわけ、本発明に従う製薬組成物は、肝臓移植片の保存に適するガレヌス剤形で、好ましくはHIP/PAPを溶解または懸濁させる液体媒質中で調製し得る。
用語“肝不全”は、本明細書においては、最も広い意味で使用し、肝臓上皮細胞、即ち、肝細胞および胆管細胞数の減少に直接または間接的に由来するあらゆる構造的または機能的損傷を意味する。
用語“肝臓移植”は、当該技術における一般的意味を有し、提供者の肝臓を部分的または全体的に切除し、被提供者に部分的または全体的に移植する部分および全体肝臓移植を含む。部分肝臓移植は、手術方式により、同所部分肝臓移植、異所部分肝臓移植等に分類され、本発明は、そのいずれにも適用し得る。部分肝臓移植においては、被提供者の通常肝臓容量の約30〜50%に相当する提供者からの肝臓移植片または部分肝臓移植片を、肝臓が全体的に切除されている被提供者中に移植片として移植する。これに対し、本発明は、移植片が約30%以下である場合でさえも、肝臓再生または肝細胞増殖の促進効果を有する。
部分肝臓移植は、世界的な待機リスト患者数の急上昇に伴う死体臓器提供者の著しい不足並びに小児被提供者における生存提供者肝臓移植(LDLT)の成功の点で、とりわけ重要である。実際に、死体またはサイズ適合肝臓移植片の不足は、縮小し分割した生存提供者肝臓移植の発展をもたらしている。再生は移植片において急速に生じるものの、生存提供者肝臓移植片を受ける患者は死体移植片を受ける患者よりも小さい肝臓塊を受入れており、過小サイズ症候群(small-for size syndrome)をめぐる論争が近年拡大している。過小サイズ肝臓移植片は、指定被提供者における不十分な大きさの肝臓機能塊の移植に由来する認識された臨床的徴候によって特徴付けし得、成人における生存提供者移植の最大の障害を表している(Heaton、2003年)。0.8未満の移植片対被提供者体重比は、静脈流入を損ない、貧弱な臨床状態の患者において門脈圧亢進症と代謝要求の亢進もたらす。肝臓の右葉と左葉移植片への分割は、被提供者における過小サイズの潜在的リスクを増大させる。これらの点は、肝臓再生阻害および小移植片の壊死をもたらす過小サイズ症候群を生じる主要要因とみなされている。サイズ不適合性は、成人生存血縁肝臓移植に対する大きな障害であるので、上述の製薬組成物の使用によりSFSSの影響を低めることは、入手し得る臓器の使用を最適にし、且つ全体的疾病率および死亡率を低下させる。
本明細書において使用するとき、“肝臓移植片”は、上述するような移植手術によって被提供者に移植した肝臓を意味し、提供者の肝臓の1部からなる移植片に相当するいわゆる“部分肝臓移植片”も含む。また、肝臓移植は、肝細胞の門脈静脈への注入(遺伝子的に修飾しまたは刺激して増殖または分化させる)も意味する。
肝臓移植の場合に使用するとき、用語“肝臓再生”は、喪失肝臓組織が肝臓移植片または部分肝臓移植片の肝細胞増殖によって置換わる形態学的変化を意味するが、肝機能の改善、回復または正常化のような生化学的変化も含む。本発明の組成物により治療すべき特定の患者としては、例えば、肝炎;アルコール性、ウィルス性、薬物または未知原因の肝硬変;または肝癌のような肝疾患により生じる肝不全の治療のために肝臓を全体的に切除した後に部分肝臓移植片を受けている患者がある。
また、本発明に従う製薬組成物は、肝切除と肝臓移植の双方を有意に制限されたままであり、肝不全、肺損傷および死亡の原因となり得る肝臓虚血-再灌流(I/R)に続発する肝不全の治療においても適している。
本明細書の以下のパートは、とりわけHIP/PAPタンパク質を含む組成物の調製に関するが、HIP/PAPのポリペプチドフラグメントまたは生物学的活性部分を含む治療用組成物においても適応し得る。
本発明の目的においては、HIP/PAPを公知の方法に従って調合して製薬上有用な組成物を調製し、それによってHIP/PAPを製薬上許容し得る担体との混合物中に混合し得る。適切な担体およびその配合は、Remington's Pharmaceutical Science、第16版(1980年)、Mack publishing社、編集Oslo等に記載されている。
“生理学上許容し得る賦形剤”とは、全身または局所投与において安全に使用し得る固体または液体の充填剤、希釈剤または物質を意味する。
特定の投与経路にもよるが、当該技術において周知の製薬上許容し得る各種担体としては、固体または液体の充填剤、希釈剤、ヒドロトープ(hydrotope)類、界面活性剤、およびカプセル化用物質がある。
これらの組成物は、典型的には、患者への有効投与に適する製薬上許容し得る組成物を調製するために、有効量の、例えば、約6μg/ml〜約10 mg/ml程度のHIP/PAPタンパク質を適切量の担体と一緒に含有する。
HIP/PAPは、非経口的に、或いはその血流中への伝達を有効な形で確保する他の方法により投与し得る。HIP/PAPは、好ましくは、肝臓内経路を使用して投与し得る。そのような製薬組成物の投与量および所望の薬物濃度は、意図する特定の用途によって変動し得る。マウスにおける典型的な有効投与量は、約30μg/kgである。投与量の種間調整は、当該技術における既知の方法、例えば、Mordenti et al., Pharmaceut Res 8 p1351
(1991)に開示されているようにして実施し得る。
製剤のpHは、主として、HIP/PAPタンパク質の特定のタイプおよび濃度に依存するが、好ましくは、いずれの場合も、約3〜約8の範囲である。
HIP/PAPの臨床投与においてとりわけ良好に適する組成物としては、滅菌水溶液、または凍結乾燥タンパク質のような滅菌水和性粉末である。典型的には、適切量の製薬上許容し得る塩も、製剤を等張性にするために製剤中で使用する。
滅菌は、(0.2ミクロン)膜による滅菌濾過によって容易に達成される。
上記HIP/PAPタンパク質製薬組成物は、調製し、調合し、良好な医療実務と合致した形で投与する。このことに関しての検討要因としては、治療する特定の傷害、治療する特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、傷害の原因、薬剤の伝達部位、投与方法、投与計画、および医師にとって既知の他の要因がある。
投与するHIP/PAPタンパク質の治療上の“有効量”は、そのような検討事項に左右され、肝臓再生を誘発或いは増強させ且つ肝不全を阻止するのに必要な最低量である。そのような量は、好ましくは、哺乳類にとって毒性であるかまたは哺乳類を有意に感染症に対してより感受性にする量よりも低い。
HIP/PAPタンパク質に関連して本明細書において使用するときの用語“投与”または“投与する”とは、肝切除または肝臓再生の前に、同時にまたは後で生ずるHIP/PAPタンパク質の投与である。
本発明に従う細胞組成物
本発明の目的は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドと組合せた分裂肝細胞を含む組成物である。
本発明のもう1つの目的は、配列SEQ ID NO. 1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの発現を促進させる発現カセットを移入した肝細胞を含む組成物である。
上述のポリペプチドの発現を促進させる発現カセットは、例えば、後述の“肝臓中にHIP/PAPを発現するトランスジェニックマウス”と題したパートにおいて説明しているようにして得ることができる。
本明細書において使用するときの肝細胞は、肝臓から直接採取するか、或いは幹細胞、とりわけ肝細胞に分化している骨髄幹細胞から取得する。肝細胞中での骨髄幹細胞の分化は、Petersen等、(1999年)およびMitchell等によって報告されている。そのような骨髄幹細胞への依存は、生体外肝細胞培養物を得るのに肝切除への依存を回避し得る。
本発明のさらなる目的は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドと組合せた有効量の骨髄幹細胞を含む組成物である。
何ら特定の理論に拘束することを望まないものの、本発明者等は、HIP/PAPで処理した骨髄幹細胞の患者への投与は、肝臓再生過程を促進させるものと信じている。
上述の細胞組成物は、肝細胞の長時間生体外培養において、例えば、生体外細胞アッセイ目的において使用し得る。上記細胞組成物の利用可能性は、生体外肝細胞培養物を得るのに、肝切除への反復依存を回避する。また、本発明は、有効量の上述のような組成物を含む生体内肝臓再生を刺激するための製薬組成物にも関する。
本発明の好ましい実施態様においては、上述の組成物に由来するポリペプチドを、本明細書において定義したようなHIP/PAPのポリペプチドフラグメント、HIP/PAPの生物学的活性部分またはHIP/PAPタンパク質全体によって置き換える。
本発明に従う方法
本発明のもう1つの目的は、
(a)肝細胞を収集し;
(b)上記肝細胞を適切な培養培地中で培養し;そして、
(c)上記肝細胞を、細胞分裂量の配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにより処理する;
ことを特徴とする生体外での肝細胞増殖の刺激方法である。
“細胞分裂量”とは、肝細胞を前記で定義したようなポリペプチドの十分量で処理して肝細胞培養物中に添加したときに肝細胞増殖を誘発させることを意味する。一般に、上述の“細胞分裂量”は、培養肝細胞の増殖を、当業者により、例えば、下記の実施例において開示しているようなBrdU取込みにより容易に測定できるように誘発させる上記ポリペプチドの量である。
本発明のもう1つの目的は、
(a)肝細胞を収集し;
(b)上記肝細胞を適切な培養培地中で培養し;そして、
(c)上記肝細胞に上記肝細胞中でHIP/PAPタンパク質の発現を促進する発現カセットを移入する;
ことを特徴とする生体外での肝細胞増殖の刺激方法である。
工程(a)〜(c)は、実施例5に開示した方法および後述の“材料および方法”なるパートの相応する事項に従い実施し得る。
用語“肝細胞を収集する”とは、本明細書において使用するとき、肝細胞を肝臓から直接収集することを意味するか、或いは幹細胞から、とりわけ肝細胞に分化している骨髄幹細胞から取得することを意味する。肝細胞中での骨髄幹細胞の分化は、Petersen等、(1999年)およびMitchell等によって報告されている。そのような骨髄幹細胞への依存は、生体外肝細胞培養物を得るのに肝切除への依存を回避し得る。即ち、本発明のもう1つの目的は、
(a)骨髄幹細胞を収集し;
(b)上記骨髄幹細胞を適切な培養培地中で培養し;そして、
(c)上記骨髄幹細胞を、細胞分裂量の配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにより処理する;
ことを特徴とする生体外での肝細胞増殖の刺激方法である。
何ら特定の理論に拘束することを望まないものの、本発明者等は、上記の処理は肝臓を再生する上記骨髄幹細胞の能力を増強させるものと信じている。本発明の好ましい実施態様においては、上記方法に由来するポリペプチドを、本明細書において定義したようなHIP/PAPのポリペプチドフラグメント、HIP/PAPの生物学的活性部分またはHIP/PAPタンパク質全体によって置き換える。
本発明に従う使用
本発明のもう1つの目的は、生体内肝臓再生を刺激するための製薬組成物の製造における、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの使用からなる。
本発明のさらなる目的は、肝不全発症のリスクにあるまたは肝不全と診断されている患者における肝不全の確立または進行を予防するための製薬組成物の製造における、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの使用からなる。
また、本発明は、前述のようなHIP/PAPに由来するポリペプチドフラグメントおよびHIP/PAPの生物学的活性部分の使用も包含する。
好ましい実施態様においては、肝不全は、肝切除、肝臓移植または肝炎の結果である。
本発明のさらなる局面においては、本発明に従う上記使用は、下記からなる群に含まれる疾患により生ずる肝不全を発症するリスクにあるまたは肝不全と診断されている患者に関する:
B型肝炎、C型肝炎、尿素サイクル欠陥、家族性高コレステロール血症、アルコール誘発性肝硬変、グリコ−ゲン蓄積症、自己免疫性肝炎、原発性シュウ酸尿症I型、特発性肝硬変、I型クリグラー・ナジャー症候群、先天性肝線維症、ニーマン・ピック病、原発性胆汁性肝硬変、家族性アミロイドーシス、胆道閉鎖症、肝細胞癌、原発性硬化性胆管炎、肝芽腫、アラジル症候群、血管内皮腫、家族性胆汁鬱帯、非カルシニオド神経内分泌、薬物誘発性肝不全、肝細胞癌および胆管癌のような限局性結節性過形成肝腫瘍のような良性肝腫瘍、急性/劇症肝不全、バッド・キアリ症候群、アルファ-1-抗トリプシン欠乏症、ウィルソン病、ヘモクロマトーシス、チロシン血症、プロトポルフィリン症、および嚢胞性線維症。
本発明に従う方法
本発明のもう1つの目的は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの有効量を患者に投与することを含む、肝臓再生の刺激方法である。
好ましい実施態様においては、本発明に従う上記方法は、本明細書において定義したようなHIP/PAPのポリペプチドフラグメント、HIP/PAPの生物学的活性部分またはHIP/PAPタンパク質全体の有効量を投与することを含む方法を含む。
本発明のもう1つの方法は、下記の処置を含むことを特徴とする、障害または病態生理状態の予防または治療において有効な肝毒性治療薬による患者の治療方法である:
(a)上記患者に、同時にまたは任意の順序で、生物学的に有効な投与量の上記治療剤および予防上有効量の配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを投与する処置。
本発明のもう1つの目的は、患者に、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの有効量を投与することを含む、肝不全、即ち、肝切除、肝臓移植または肝炎の結果の確立または進行の防止方法である。
上記方法によれば、上記ポリペプチドを、肝切除または肝臓移植の前、その間または後に投与する。また、上記ポリペプチドは、例えば術後合併症を回避するためにも、肝臓移植の提供者または被提供者に投与し得る。上記方法によれば、使用するペプチドは、本明細書において定義したようなHIP/PAPのフラグメント、HIP/PAPの生物学的活性部分またはHIP/PAPタンパク質全体である。
本発明のもう1つの目的は、
(a)患者から肝細胞を収集し;
(b)上記肝細胞を適切な培養培地中で培養し;
(c)上記肝細胞を、細胞分裂量の配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドで処理し;そして、
(d)上記細胞を患者に注入する;
ことを特徴とする、患者の肝臓再生の刺激方法である。
“細胞分裂量”とは、肝細胞を前記で定義したようなポリペプチドの十分量で処理して患者に注入したときに肝臓再生を誘発させることを意味する。一般に、上述の“細胞分裂量”は、培養肝細胞の増殖を、当業者により、例えば、下記の実施例において開示しているようなBrdU取込みにより容易に測定できるように誘発させる上記ポリペプチドの量である。
工程(a)〜(d)は、実施例5に開示した方法および後述の“材料および方法”なるパートの相応する事項に従い実施し得る。好ましい実施態様においては、上記方法は、下記の追加工程を含む:
(e)上記患者を肝不全の指標についてモニターする工程;および、
(f)工程(d)に従う注入を、上記肝臓再生が十分になるまで続行する工程。
本発明のもう1つの目的は、
(a)患者から肝細胞を収集し;
(b)上記肝細胞を適切な培養培地中で培養し;
(c)上記肝細胞に、上記肝細胞中でHIP/PAPタンパク質の発現を促進させる発現カセットを移入し;そして、
(d)上記細胞を患者に注入する;
ことを特徴とする、患者の肝臓再生の刺激方法である。
上述のようなポリペプチドの発現を促進させる発現カセットは、例えば、下記の“肝臓中にHIP/PAPを発現するトランスジェニックマウス”と題するパートにおいて説明しているようにして得ることができる。
本発明のさらなる目的は、
(a)患者から骨髄幹細胞を収集し;
(b)上記骨髄幹細胞を適切な培養培地中で培養し;
(c)上記細胞を、細胞分裂量の配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドで処理し;そして、
(d)工程(c)で得られた細胞を患者に注入する;
ことを特徴とする、患者の肝臓再生の刺激方法である。
上記方法が利用可能なことは、生体外肝細胞培養物を得るのに、肝切除への反復依存を回避する。何ら特定の理論に拘束することを望まないものの、本発明者等は、HIP/PAPで処理した骨髄幹細胞の患者への投与は、肝臓再生過程を促進させ得るものと信じている。
工程(a)〜(d)は、実施例5に開示した方法および後述の“材料および方法”なるパートの相応する事項に従い実施し得る。好ましい実施態様においては、上記方法は、下記の追加工程を含む:
(e)上記患者を肝不全の指標についてモニターする工程;および、
(f)工程(e)に従う注入を、上記肝臓再生が十分になるまで続行する工程。
もう1つの実施態様においては、本発明は、ウィルスもしくは自己免疫性肝炎または肝硬変発症のリスクにあるまたはそれらと診断されている患者における肝不全の確立または進行を予防する方法に関し、上記患者に、肝不全予防量の配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを投与することを含む。
上記方法のもう1つの実施態様においては、使用するペプチドは、本明細書において定義したようなHIP/PAPのフラグメント、HIP/PAPの生物学的活性部分またはHIP/PAPタンパク質全体である。
また、本発明は、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの有効量を少なくとも1種の生理学上許容し得る賦形剤と一緒に含む生体内肝臓再生を刺激するための組成物の活性成分としてのHIP/PAPにも関する。
本発明のさらなる詳細は、以下の非限定的な実施例において具体的に説明する。
材料および方法
HIP/PAPの産生および精製
HIP/PAPを、本発明者等が以前に開示したようにして(Christa等、2000年)、乳腺中でのHIP/PAP遺伝子の発現を促進させ得るウサギWAP遺伝子を担持するトランスジェニックマウス乳中で産生させた。
WAP/HIP構築物を担持するトランスジェニックマウスを、C57BI/6xCBAハイブリッド株の単細胞マウス接合体中への微量注入により発生させた。トランスジェニックマウスは、サザンブロットでの末端DNA分析により同定した。マウスDNAをSacIで消化し、生成フラグメントを1%アガロースゲル上で分離し、Nytran 13Nに移した。トランス遺伝子の存在を、ウサギWAP遺伝子の上流領域に由来する4.4-kb Xholフラグメントを使用して検出した。
動物保全および屠殺前の動物取扱い条件を含む全ての実験は、French Ministry of
Agricultureガイドライン(1988年4月19日付)に従って実施した。
乳サンプル
乳を、予め0.05Uのオキシトシンを注入して乳汁分泌するように刺激した麻酔マウスから分娩13日後に集めた。マウス乳を10mMTris/HCI pH 7.5、100mM CaCl2中で希釈し(1/10)、40,000gで30分遠心分離した。ペレットを廃棄し、上清を同じ条件で回転させた。上清即ち乳精をHIP/PAPの精製に直ぐに使用するか或いは20℃で冷凍保存した。
トランスジェニックマウス乳からのHIP/PAPタンパク質の精製
得られた乳精(上記参照)を、0℃で30分の撹拌下での酢酸(1 M)添加により、pH 4.6に酸性化した。沈降物を、Beckman 50.2Tiローター(Gagny社、フランス)内で110 000 gで1時間遠心分離することによって除去した。上清を1Lの20mM酢酸ナトリウム緩衝液 pH 4.8に対して4℃で1夜透析し、上記のような高速遠心分離により清澄化し、70mM酢酸ナトリウム緩衝液 pH 4.8で予め平衡させたMono S HR 5/5カチオン交換カラム上に負荷させる前に、Millex 0.22μmフィルター(Millipore社、フランス国ギュアンコート(Guyancourt))で濾過した。通過液を廃棄し、上記処理緩衝液中の0〜500mM NaClの20-mL勾配を、吸光度がベースラインに戻ったときに開始した。カラム流量は1mL.min-1であり、1-mL画分を集めた。HIP/PAP含有画分をプールし、pH 4.0の140 mM酢酸ナトリウム緩衝液の5容量中で希釈し、pH 4.0の140 mM酢酸ナトリウム緩衝液で平衡させたMono S HR 5/5カラムに再供給した。通過液を廃棄し、カラムを上記処理緩衝液中の0〜400 mM NaCl範囲の20-mL勾配で展開した。カラム流量は1 mL/minであり、1-mL画分を集めた。HIP/PAP含有画分を1容量のグリセリン中で希釈し、20℃で保存した。
上記サンプル中のタンパク質濃度は、Petersonタンパク質アッセイを使用して測定した。ドデシル硫酸ナトリウム中の変性ポリアクリルアミドゲル(12.5%アクリルアミド、SDS/PAGE)をLaemmliに従って実施した。クーマシーブルー染色ゲルをスキャンし、イメージマスターを使用して定量した。
動物
肝臓中でHIP/PAPを発現するトランスジェニックマウス
上記マウスアルブミン遺伝子18の調節領域は、図1で説明しているように、ヒトHIP/PAP遺伝子発現を肝臓中で特異的に促進させるクローン化上流HIP/PAP遺伝子フラグメントであった。NotI/KpnI線状化構築物全体を、Experimentation
on the Transgenesis部門(フランス国ビルジュイフ)においてハイブリッド株の単細胞マウス接合体中に微量注入した。動物保全、屠殺前の動物取扱い条件、および全ての実験手順は、French
Ministry of Agricultureガイドライン(1988年4月19日付)の方針に従って担保した。
対照マウス
C57BL/6マウスは、IFFA CREDO社(フランス国ラルブレール)から提供され、HIP/PAPトランスジェニックマウスの対照として使用した。
分離肝細胞の被提供体
6週齡雌重症複合型免疫不全(SCID)マウス(IFFA CREDO社、フランス国ラルブレール)を雄HIP/PAPトランスジェニックマウスまたは雄C57BL/6マウス(IFFA CREDO社、フランス国ラルブレール)から分離した肝細胞の被提供体として使用し、細胞拒絶反応のあり得るリスクを最小限にした。
部分肝切除および生体内BrdU取込み
肝切除は、2ヶ月齢のマウスにおいて、HigginsおよびAnderson(Higgins等)によって開示されているように全肝臓塊の70%を示す。各動物は、切開前の2時間において0.9%NaCl中のBrdUの60 mg/kg体重の1回腹腔内注入を受けた。これらのマウスを、肝切除後24時間、36時間、46時間および55時間で死亡させた。各動物および肝臓を秤量し、BrdU標識核を抗BrdU抗体(クローン Bu 20A)とのインキュベーション後に計数し、観察を、Universal
LSAB2ホースラディッシュ ペルオキシダーゼキット(Dako社)を使用し、各肝臓スライドについて少なくとも20の低倍率(×10)顕微鏡(Olympus BX60)視野で行った。1600個以上の核をスライド当りでスクリーニングした。
一次培養物中の肝細胞
一次マウス肝細胞を、2〜3ヶ月齢のマウスから、以前に開示されているようにして(Klaunig等、Renton等)、リベラーゼ ブレンジーム(Liberase Blendzyme)により分離した。生存肝細胞を、Kreamer等によって開示されているようにして、低速度等密度Percoll遠心分離法を使用して精製した。細胞を、ペニシリン、ストレプトマイシン、ファンギゾン、ウシ血清アルブミン(0.1%)およびウシ胎仔血清(10%)を含有する199培地中に、増殖およびアポトーシス試験それぞれにおいてプリマリア(Primaria)プレート内で2×105および4×105の密度で再懸濁させた。細胞を加湿雰囲気内で37℃に維持し、培地をプレートへの付着後2時間および3時間で交換した。付着後、細胞を1回洗浄し、血清を含まない同じ培地により培養し、その後、図表凡例において特に断らない限り、ActD(0.05μg.ml-1)+0.2〜40 ng/ml濃度範囲のTNF-αに17〜18時間暴露した。増殖試験においては、培地に、3,5,3’-トリイオドチロシン 5 10-8 M、デキサメタゾン 10-7M、インシュリン10μg/ml (2 10-6 M)、トランスフェリン 5.5μg/ml、セレニウム 7 ng/ml、ピルビン酸塩20mMおよびウシ胎仔血清5%を補充した。
一次培養肝細胞中でのDNA合成
DNA合成を測定するため、BrdU (20mM)を評価前の最後の16時間で添加した。肝細胞をPBSで洗浄し、固定し、30:70酢酸/エタノール溶液中で−20℃で30分間浸透性にした。取り込みBrdUを、BrdU標識化および検出キットIIを使用して位置特定した。複製性DNA合成を、各サンプルにおいて、少なくとも10の低倍率顕微鏡(Olympus CK2)視野でBrdU標識細胞の割合を計数することによって測定した。1000個以上の肝細胞をウェル当りでスクリーニングした。
細胞生存率および一次培養肝細胞のアポトーシスの評価
TNF-α添加後17時間で、単分子層を4%パラホルムアルデヒドにより室温で20分間固定し、Hoechst 33258(0.5μg/ml)で染色した。アポトーシス細胞を、Olympus Bx60倒立蛍光顕微鏡 (Olympus America社)を使用して、350〜460 nmの波長で検証した。細胞生存率の損失を、MTTアッセイを使用して定量した:96ウェルマイクロタイタープレートのウェル当り30,000個の細胞を、培地中に37℃で1時間新たに溶解させた×μlの(0.5 mg/ml)MTT溶液で処理した。その後、培地を吸引し、100μlのDMSOを添加して染料を可溶化した。吸光度を、Dynex MRX 96マイクロプレートリーダー(Dynex Technologies社、フランス)を使用して570nmで測定した。各々の測定は、同じプレートに分注したHIP/PAPおよび野生タイプ肝細胞において4複製で実施した。パーセント細胞生存率は、特定の処理を受けた細胞の光学密度読取り値を取り、その数を未処理の対象細胞のOD読取り値で割り、100を掛けることによって算出した。Hoechst 33258を使用して可視化したアポトーシス細胞数による結果の比較により、MTTアッセイの精度を検証した。
肝細胞の分離および移植
肝細胞を、2ヶ月齢の雄HIP/PAPトランスジェニックマウスおよび雄C57BL/6マウスから、KlaunigおよびRentonにより以前に開示されたリベラーゼ ブレンジームを使用して分離した。生存肝細胞を、Kreamerにより開示されたような低速等密度Percoll遠心分離法を使用して精製した。雌SCIDマウスをNaCl 0.9%に溶解したキシラジン(Bayer社、ドイツ国レーバークーゼン)およびケタミン(Biomerieux社、フランス国リヨン)で麻酔し、脾臓を左脇腹小切開によって露出させ、26ゲージ針を有するシリンジを使用してウィリアムス培地(Gibco/BRL社)中の100μlの細胞懸濁液(0.75×106個の生存肝細胞)を注入した。被提供体SCIDを30日間保育し、部分肝切除を行う前に、提供体肝細胞の肝臓柔組織への増殖および再組織化のための十分な時間を与えた。
肝臓再生の評価
各動物は、切開の2時間前に0.9% NaCl中の60 mg kg-1体重のBrdUの腹腔内注入を1回受けた。動物を肝切除後の24時間、36時間、46時間および55時間で死亡させた。各動物および肝臓を秤量し、BrdU標識核を抗BrdU抗体(クローン Bu 20A)とのインキュベーション後に計数し、観察を、Universal
LSAB2ホースラディッシュ ペルオキシダーゼキット(Dako社)を使用し、各肝臓スライドについて、少なくとも20の低倍率(×10)顕微鏡(Olympus BX60)視野で行った。1600個以上の核をスライド当りでスクリーニングした。
肝切除後のHIP/PAP精製タンパク質注入
組換えHIP/PAPタンパク質を以前に開示されているようにして(Christa等、2000年)、産生させて精製し、6μg/mlでNaCl 0.9%中に希釈した。100μlのHIP/PAPタンパク質またはPBS (リン酸緩衝生理食塩水)を重症細胞免疫不全(SCID)マウスの脾臓に部分肝切除後の36時間で注入した。各動物を部分肝切除後の8日目に死亡させた。
RT-PCR分析による移植肝細胞の検出
凍結肝臓組織からのRNAを、使用説明書付きのTRIZOL試薬(Life Technologies社)により抽出した。cDNAを200単位のMoloneyマウス白血病逆転写酵素(Promega社)により合成し、400 ngのランダムプライマー(Invitrogen社)により、1μgの総RNAから、42℃で45分間、10 UのRNアシン(RNasin)、上記酵素によって供給された1×緩衝液、40 mmol l-1の下記の4つのデオキシヌクレオチドの存在下に開始処理した。PCRを、40回の1分間増幅サイクルにより、94℃、60℃および72℃の各温度で、1/8のcDNAから、純粋TaqTM Ready-To-GoTM PCRビーズ(Amersham Biosciences社)を使用して実施した。ヒトHIP/PAPトランス遺伝子発現をプライマー19/101により検出した。内生HIP/PAP/Mo遺伝子発現をItohおよびTerakoaのマウス公表配列に由来する104/105プライマーにより検出した。
19センス:5’cgc
ggg atg cct ccc atg gcc ctg
101アンチセンス:5’cgc
gaa tcc gcc cat gat gag ttg cac acc aaa c 3’
104センス:5’cgc
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105アンチセンス:5’cgc
aag ctt tta acc agt aaa ttt gca gac ata 3’
HIP/PAPアッセイ:ウェスタンブロット分析、免疫組織化学およびELISA試験
HIP/PAPタンパク質を、上述のようにして、またChrista等、2000年に従い、乳分泌するトランスジェニックマウスから産生させ精製した。ウェスタンブロットおよび免疫組織化学は、プレ-HIP抗体により、以前に開示されたようにして実施した(Christa等、1999年)。血清HIP/PAP値は、サンドイッチELISA試験を使用し、製造業者の使用説明書(Dynabio社、フランス国ラガード)に従いアッセイした。
転写因子STAT3の活性化
転写因子STAT3の活性化を、TramsAMキット(活性モチーフ)により、さらに以前に開示されているようにして行ったウェスタンブロット分析(Simon等、2003年)により、全抗-STAT3および抗-ホスホSTAT3抗体(Santa Cruz社)によって試験した。
肝臓サイトカイン発現
肝臓サイトカイン発現を、以前に開示されたようなリボヌクレアーゼ保護アッセイにより評価した(Tralhao JG、2002年)。
APAP中毒
HIP/PAPトランスジェニックマウスおよびC57BI6を、Bedda等(2003年)またはFerret P.J.等(2001年)により開示されているようにして、致死投与量のAPAP(1000mg/kg)により中毒させた。組換えHIP/PAPタンパク質(600 ngまたは1200 ng)を、腹腔内APAP注入の1時間前にC57BI6マウスに静脈内注入した。各動物を24時間モニターし、生存率をKaplan-Meier法を使用して算出した。
統計解析
一次培養物中の肝細胞についての結果を平均±SDとして表しており、統計的有意性(P<0.05)は、不対スチューデント検定を使用して決定している。生体内肝臓再生は、ボックスおよびヘアライン表示を使用して、BrdUを取込む核のパーセントにより示しており、HIP/PAPトランスジェニックおよび野生タイプマウス間の統計的有意差は、データ分布が正常でないので、マン・ウィットニーU検定(P<0.05)により決定した(Statview 5'、Abacus Concepts社、カリフォルニア州バークレー)。
結果
ヒトHIP/PAPトランスジェニックマウスの特性決定
HIP/PAPトランス遺伝子を肝臓内で特異的発現させたところ、HIP/PAP発現マウスは、2年間の追跡後肝腫瘍を発症しなかった。免疫組織位置決定分析により、HIP/PAPタンパク質をトランスジェニックマウスの肝臓内で拡散した肝細胞内の免疫染色として検出し、肝細胞の細胞質の殆どを占めていた(図2A、1および2)。染色は外生であり、陽性領域は、肝臓腺房の小葉中心または門脈領域において見られる。この外生分布は、HIP/PAP分泌を反映しているようである、即ち、肝細胞は、HIP/PAP分泌の前または後でそれぞれ陽性または陰性のいずれかであり得た。HIP/PAPタンパク質は、同型接合体トランスジェニック系24および27の血清中(250 ng/ml〜700 ng/ml)、また、一次肝細胞の培養培地中(2.105細胞当り30〜120 ng/ml)に分泌していた。形態性および倍数性における差異は、HIP/PAP発現性および対照肝細胞間で、組織学検査によっては検出されなかった(マウス肝細胞は、Leist等によって以前に開示されているように、接着後80%二核性であった)。培養物中の肝細胞のHIP/PAP免疫組織化学観察は、50%よりも多くの肝細胞がHIP/PAPラベル化されていることを示していた(図2A、3および4)。ウェスタンブロット分析は、HIP/PAPトランスジェニックマウス由来の肝臓抽出物および一次培養肝細胞において16kDaタンパク質としてHIP/PAPを検出していた(図2B)。HIP/PAPタンパク質は、野生タイプマウスにおいては検出されなかった。アクチンハイブリッド化は、肝臓および肝細胞に対して負荷した50μgタンパク質の正確な推定を示した(50μgは、およそ50,000個の肝細胞に相当する)。
肝臓再生はヒトHIP/PAP遺伝子を発現するマウスにおいて刺激される
肝細胞増殖に対する生体内HIP/PAP効果を試験するために、部分肝切除によって誘発された肝臓再生を検証した。部分肝切除後の24時間、36時間、46時間および55時間においての低倍率(×20)観察を図3Aに示している。上記各時間において、陽性BrdU細胞のパーセントは、両群においてBrdUを取込んでいる核の全体的低い頻度にもかかわらず、野生タイプ肝臓におけるよりもHIP/PAPトランスジェニックにおける方が高かった。BrdUを取込んでいる核のパーセントは、部分肝切除46時間後で、野生タイプ(中央値 18%;範囲 11〜27%)に比較し、HIP/PAPトランスジェニックマウス(中央値 33%;範囲 20〜42%)において有意に高い(P=0.0014)(図3B)。HIP/PAPタンパク質が肝臓再生中に増殖因子として作用し得るという仮説を補足するために、野生タイプおよびトランスジェニックマウスの肝臓塊回復の時間経過を、肝切除後に立証している(図3C)。動物体重と肝臓質量を正常な肝切除していないマウスにおいて測定した。質量の肝臓/本体比を算出し。平均パーセント±SDとして示している。この比においては、2群間で差はなかった:野生タイプおよびHIP/PAPトランスジェニックマウスのそれぞれにおいて、0.0460±0.0064(n=12)および0.0489±0.0035(n=16)。肝臓回復は、野生タイプマウスにおけるよりもHIP/PAPトランスジェニックにおける方が高く、その差は、48時間(p<0.001)、60時間(p<0.003)および96時間(p<0.002)において統計的に有意であった。120時間では、肝臓質量は、野生タイプおよびHIP/PAPトランスジェニックマウスの双方において同じパーセントに回復した。
一次培養肝細胞中でのHIP/PAP細胞分裂促進効果
HIP/PAPトランスジェニックマウスにおける肝切除後に生体内で観察された肝臓再生増強をさらに試験するために、肝細胞の一次培養物を使用してHIP/PAP細胞分裂促進効果を評価した。HIP/PAPトランスジェニックおよび野生タイプマウスに由来する各肝細胞は、EGFで刺激したとき、塗抹後の60時間と84時間に2つのピークDNA合成を示していた(図4AおよびB)。60時間では、BrdU陽性肝細胞の平均パーセントは、トランスジェニックおよび野生タイプマウスにおいて、それぞれ、31±7% (n=19)および16±4% (n=20)であった(p<0.0001)。細胞をHGFで刺激したとき、DNA合成は、この場合も、野生タイプ肝細胞におけるよりもHIP/PAPにおいて高かったが(60時間後、それぞれ、41±14% (n=4)および31±11% (n=4))、この差は有意性を得ていない。肝細胞を増殖因子で刺激させなかった場合、BrdU取込みは、トランスジェニックおよび野生タイプ肝細胞それぞれにおいて、11%±3 (n=8)および6%±3 (n=7)であり、この差は統計的に有意であった(p=0.0146)。HIP/PAPは分泌性タンパク質であり、従って、HIP/PAPがパラクリンマイトジェン因子として作用するかどうかを試験した。HIP/PAPタンパク質 (40 ng.ml-1)を野生タイプ肝細胞に添加したとき、EGF誘発DNA合成は、16±4%から24±7%に増大していた(P=0.0168;n=8;図4C)。これらの結果は、HIP/PAPが一次培養物中の肝細胞に対するマイトジェン因子であることを示していた。従って、肝細胞増殖に対するHIP/PAPの細胞分裂促進効果は、生体内および生体外の双方において実証された。
一次培養肝細胞中でTNF-α+ActDによって誘発されたアポトーシスに対するHIP/PAP抗アポトーシス効果
次に、HIP/PAP細胞分裂効果がHIP/PAP抗アポトーシス効果と関連しているかどうかについて試験した。一次培養物中のラット肝細胞は、TNF-α処理単独によって生ずる細胞死に対しては感受性でなかった。代りに、これらの細胞は、低投与量のActD(22)と組合せたTNF-αへの暴露後のアポトーシスによっては死滅した。マウス肝細胞の細胞死は、ActD(0.05μg ml-1)単独では何ら生存率の低下を誘発しなかったにもかかわらず、0.05μg/ml程のActD投与量と組合せたTNF-αによって誘発された(図5B)。HIP/PAPを発現する肝細胞は、TNF-α+ActD誘発アポトーシスに対し、処理の16〜17時間後に抵抗性であったことが証明されている(図5A)。細胞生存率は、2 ng.ml-1 TNF-αにおいて75%対43%(p<0.0001)、20ng.ml-1 TNF-αにおいて60%対27%(p<0.0001)に達していた。TNF-αにおけるLD50は、HIP/PAPおよび野生タイプ肝細胞において、それぞれ、40ng.ml-1よりも上および1
ng.ml-1であった。パン-アンチカスパーゼz-VAD-fmk(50μM)による細胞の予備処理は、TNF-α誘発細胞死を完全に阻止しており、従って、この過程が肝細胞アポトーシスを介して生じることを示唆していた。また、細胞染色がアポトーシスの典型的な特徴を示すかどうかも試験した。Hoechst
33258により染色したとき、生存していない細胞は、濃縮したクロマチン、フラグメント化核およびアポトーシス体を示したのに対し、生存細胞は示さなかった。アポトーシス体の特徴は、TNF-αによって誘発された肝細胞アポトーシスの“ロゼット”特性において組織化されていた(図5C)。HIP/PAPタンパク質(40 ng.ml-1)を野生タイプ肝細胞に添加したとき、20 ng.ml-1 TNF-α+ActDに対する防御は、27%から47%に上昇していた(p<0.0001)。これらのデータは、HIP/PAPが一次肝細胞におけるTNF-α誘発アポトーシスを部分的に阻止することを実証している。
肝臓再生はHIP/PAPトランスジェニックマウスから分離した肝細胞によってマウス内で刺激される
生体内実験モデルを用意し、小数の肝細胞中でのHIP/PAP発現の肝臓再生全体に対する効果について試験した。即ち、HIP/PAPトランスジェニックおよびC57BL/6マウスから分離した肝細胞の肝細胞移植を実施し、その後、部分肝切除後の肝臓再生の度合をSCID被提供体マウスにおいて試験した。
2つの補足的な方法を使用して肝細胞移植を評価した。先ず、ヒトHIP/PAPトランス遺伝子発現の利点を採用して、HIP/PAP抗体による免疫組織化学を使用することによって移植肝細胞の運命をモニターした。半定量的評価においては、移植細胞は、被提供体肝臓の1/1000未満しか構成していないことが示された。さらにまた、HIP/PAP発現は、肝臓切片(門脈および小葉中心領域)に優先的に分布することなく限られた数の肝細胞において示されていた。次に、ヒトHIP/PAP配列の存在の利点を利用してRT-PCRを実施した。ヒトHIP/PAP発現は、部分肝切除前に、被提供体SCID肝臓において実際に検出され、従って、肝細胞移植を確認した;さらにまた、ヒトHIP/PAP発現は、肝切除後の種々の時点で得られた肝臓切片において持続している。これらの結果は、移植細胞が被提供体肝臓再生の刺激時に存続し、遺伝子発現を保持していたことを実証していた。
その後、部分肝切除後の肝臓再生の度合に関係する肝細胞の肝臓内埋込みの効果を評価した。部分肝切除後8日目の肝臓の肉眼評価は、トランスジェニックHIP/PAPマウス由来の肝細胞を移植した被提供体マウスの肝臓塊の顕著な増大を示した(図6A)。さらにまた、これらの知見を肝臓質量測定により確認したところ、トランスジェニックHIP/PAP由来の肝細胞を移植した被提供体マウスにおいて有意に高かった(図6B)。部分肝切除後48時間で行ったBrdU取込み分析により、ヒトHIP/PAP発現性肝細胞の移植における細胞DNA合成の顕著な増大を確認した。即ち、750 000個の生存肝細胞の移植で、肝臓再生を増強させるのに十分であった。肝臓の標準組織検査においては、何ら明白な形態的変化は見られなかった。
肝臓再生はHIP/PAPの投与によりマウスにおいて刺激される
精製HIP/PAPの注入が肝臓再生に対し移植と同じ効果を有し得るかどうかを試験した。残存肝臓の質量を、100μlの精製HIP/PAP(マウス当り600 ng)を部分肝切除後の36時間で注入したSCIDマウスにおいて、部分肝切除後8日目に比較した。図7に示した結果は、PBSを注入したマウスにおいて観察された肝臓質量と比較して、HIP/PAPを注入したマウスにおいては10%の肝臓質量増大を示していた。この観察は、生体内HIP/PAPタンパク質の細胞分裂促進パラクリン効果を実証していた。
肝臓再生および有糸分裂はHIP/PAPの投与によりC56BI6マウスにおいて刺激される
部分肝切除の46時間後の、肝臓塊の回復、BrdU取込みおよび有糸分裂に対するC57BI6の部分肝切除後直ちに注入したHIP/PAPタンパク質対塩水の効果を比較した(図8)。肝臓塊の回復増大は部分肝切除後の46時間で観察されたが、差は、統計的には有意ではなかった(p=0.08);恐らく、46時間は、肝臓塊の一貫した増大を観察するのは早過ぎるためであろう。しかしながら、HIP/PAP注入マウスにおいては、BrdU取込み(p<0.02)および有糸分裂数(p<0.04)は増大していた。
BrdU取込みおよび有糸分裂の分布は、各群のマウスにおける平均値および中央値の差によって評価するように、外生である。中央値検定(フィッシャー精密検定の応用である)を使用することにより、HIP/PAPを注入したマウスがNaClを注入したマウスとは群有意差を示すことを検証した(表1)。
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肝臓再生に対するHIP/PAPの利点を特性決定するため、中央値検定のモデルを使用して、BrdUおよび有糸分裂について合計での中央値に従い、マウスを4つの公称群に分類した(図9)。有糸分裂に関連してのBrdUに従うマウス集団の統計解析は、HIP/PAP注入マウスの方が塩水注入マウスよりもBrdU核および有糸分裂肝細胞(細胞サイクルのS/M期の肝臓)の双方においてポジティブであること示しており(p=0.01)、HIP/PAPが細胞サイクルを介しての肝細胞進展を促進させ得たことを示唆していた。
肝臓再生の時間経過中の肝臓サイトカイン類の発現およびSTAT3転写因子の活性化
肝臓再生は、肝細胞が細胞サイクルのG1期に入るのを開始させるために、TNF-αおよびIL-6サイトカイン類によって開始されなければならない。IL-6の制御下に、STAT3転写因子は、リン酸化活性化され、核に転位される。しかしながら、TNF-α/IL-6発現およびSTAT3活性化の持続は、有害であり、再生の時間経過を遅延させる。肝臓サイトカイン発現およびSTAT3活性化に対するHIP/PAPの効果を試験した。この点に関して、HIP/PAP対対照肝細胞を移植したSCIDマウスのPHX (部分肝切除)のT0時および46時間後の肝臓中でのサイトカイン発現を比較した。リボヌクレアーゼ保護法により、同じ試験において、4つの肝臓抽出物(図10;HIP/PAPトランスジェニックマウスレーンaおよびb、SCIDマウスレーンcおよびd)のプール中でのリンポトキシン-β(LTβ)、TNF-αおよびTGF-βのT0時(レーンaおよびc)およびPHX後T46時間(レーンbおよびd)における比較が可能となった。デンシトメトリー分析により、2つのハウスキーピング遺伝子(L32およびGAPDH)に対して標準化したシグナルを定量した。結果は、移植をHIP/PAPまたは対照肝細胞によって実施したとき、TGF-βの肝臓発現の差はないことを示した:PHX後の46時間で、TGF-βは、同じ程度で増大していた。これに対して、LTβおよびTNF-α(両サイトカインは、同じ機能群に属する)の発現は、HIP/PAP肝細胞を移植したSCID肝臓において抑制されていた。これらの結果は、HIP/PAPがSCID肝臓中の肝TNF-α発現を抑制することを示している。
リボヌクレアーゼ保護法は、SCIDの肝臓再生中のIL6発現の検出を可能にしなかった。しかしながら、転写因子STAT3の活性化速度をHIP/PAPトランスジェニックおよびC57BI6マウスにおいて試験した。核ホスホ-STAT3の集積/分解時間経過を、PHX後の最初の24時間中に、HIP/PAPトランスジェニック対C57BI6マウスにおいて測定した(図11)。活性化は、HIP/PAPにおいてはPHX後の1時間程の早期で測定されたが、C57BI6マウスにおいては測定されなかった(p=0.02)。さらにまた、STAT3活性化は、12時間程の早期で、C57BI6マウスにおけるよりもHIP/PAPにおいて低いレベルに戻った(p=0.04)。結果を、抗-STAT3リン酸化抗体によるウェスタンブロットにより検証し可視化した(図11)。
HIP/PAPはAPAP誘発急性肝不全に対する防御薬である
ヒト急性肝不全の誘発は、APAP(アセトアミノフェノン)中毒からなる適切な実験動物モデルによって擬態し得た。APAP過投与量は、NAPQ1、GSHの細胞内プールを欠乏させる高反応性代謝物、オキシダントスカベンジャーおよびレドックス調節の両能力を有する非タンパク質チオールの産生増大に至る。従って、マウスのAPAP中毒においては、毒性の反応性酸素種(ROS)が産生されて、急性肝不全に至る。マウスにおけるAPAPの大量単回投与は、ヒトにおけるように、大量の小葉中心実質性破壊および肝細胞死を引起し得る。APAP誘発性急性肝不全のマウスモデルにおけるHIP/PAPタンパク質の治療活性を試験した。この目的において、野生タイプマウスに注入した致死投与量のAPAPに対するHIP/PAPトランスジェニックマウスの抵抗性を試験した。薬物誘発急性肝不全は、200μlの滅菌リン酸緩衝生理食塩水中に希釈した致死量の1000mg/ml(APAP1000)の腹腔内注入により、24匹のHIP/PAPトランスジェニックマウスおよび24匹のC57/b16マウス(各群、12匹の雄および12匹の雌)において達成された。
生存時間は、80%のHIP/PAPトランスジェニックマウス(雄または雌)が24時間よりも長く生存していたのに対し、野生タイプ対照群では25%であったこと示していた。これらの結果は、HIP/PAPタンパク質が、その肝細胞の再生および生存状態の双方に対する作用により、肝不全の予防および治療を目的とする臨床治療応用における良好な候補であることを示している(図12)。
APAP中毒に対するHIP/PAPタンパク質の予防的パラクリン保護を試験するために、HIP/PAPタンパク質を、APAPの1時間前にC57BI6の尾部に静脈内注入した。結果は、HIP/PAPタンパク質の投与量依存性予防的保護を示していた:600ngにおいて、HIP/PAP注入マウスおよび塩水注入マウスのそれぞれで4/10および2/10匹が生存していた;1200 ngにおいて、HIP/PAP注入マウスおよび塩水注入マウスのそれぞれで8/10および2/10匹が生存していた。
HIP/PAPタンパク質はHIP/PAP発現トランスジェニックマウスの長期生体内フォローアップにおいて毒性作用を示していない
肝細胞増殖を刺激し得る薬物は、いずれも癌を誘発する潜在力を有し、従って、HCCを発症するリスクをあらゆる投与前に判定しなければならない。マウスアルブミン遺伝子のプロモーター(2株)またはマウスメタロチオネイン遺伝子のプロモーター(2株)のいずれかの下でヒトHIP/PAP遺伝子を発現する2種のトランスジェニックマウスモデルを開発した。両モデルは、肝臓内でのHIP/PAP遺伝子発現および血液中でのHIP/PAPタンパク質の分泌を目的とする。HIP/PAP発現マウスのうち、2年間のフォローアップ期間後、肝(または他の)腫瘍を発症したマウスはいなかった。
HIP/PAPは素因誘発処理トランスジェニックマウスにおけるHCC発症を遅延させる
ビ-トランスジェニックマウスの長期間フォローアップによる肝臓発癌モデルに対するHIP/PAPタンパク質の効果を試験した。HIP/PAPトランスジェニックマウス(メタロチオネインプロモーター)を、ウッドチャック肝炎(WHV)調節配列により促進されるc-mycの肝臓特異性発現が全ての動物において肝癌を引起すWHV/c-mycマウスと交配させた(Terradillos等(1997年))。生存率曲線は、WHV/c-myc腫瘍マウス(n=39マウス)のT50の42週間に対して、ビトランスジェニックマウス(n=87マウス)のT50が60週間であったことを示しており、これは、Terradillos等(1997年)に公表された中央値であった。生存率曲線は、HIP/PAPトランスジェニックマウスと同腹ネガティブ対照において同一であった。即ち、第1に、これらマウスの寿命中のHIP/PAPタンパク質の毒性は検出されず、第2に、HCC発症は、両トランス遺伝子、即ち、WHV/c-mycおよびHIP/PAPを担持するマウスにおいては遅延していることが証明された。(図13)。
HIP/PAPの長時間投与中の毒性についての証拠はない。さらにまた、c-myc-誘発肝癌トランスジェニックマウスにおけるHCC発症遅延が観察されている。
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トランス遺伝子を略図的に示す。 マウスアルブミン遺伝子の調節領域のエンハンサー(2kb)およびプロモーター(0.3kb)は、点線で示している。ヒトHIP/PAP遺伝子(1.6 kb)のエクソンII、III、IV、VおよびVI並びにイントロンは、それぞれ、黒ボックスおよび点線で示している。ウシ成長ホルモンポリAフラグメント(1021-1235)pcDNA 3.1は、点線で示している。プラスミドDNAは、太線で示している。関連制限部位は、矢印で示している。 HIP/PAPタンパク質の免疫検出を示す。 A.免疫組織化学(原寸×20倍):1. 野生タイプ肝臓;2. HIP/PAPトランスジェニック肝臓;3. 野生タイプ肝細胞;4. HIP/PAP肝細胞。 B.それぞれ、16kDAおよび45kDAの予測サイズを有するバンドを示すHIP/PAPおよびアクチン抗体でハイブリッド化したウェスタンブロット。レーン1.精製HIP/PAPタンパク質(10 ng);レーン2、3および4、野生タイプ肝臓、それぞれ、HIP/PAPトランスジェニック肝臓27および24同型株;レーン5、6および7、野生タイプ、それぞれ、分離後のHIP/PAP 27および24肝細胞。 部分肝切除後の生体内肝臓再生の時間経過を示す。 A.野生タイプ(1、2、3、4)およびHIP/PAPトランスジェニック (5、6、7,8)肝臓におけるBrU陽性核心の免疫検出:肝切除後、1および5、24時間;2および6、36時間;3および7、46時間;4および8、55時間。 B.各ボックスプロットは、変動値の10番目、25番目、50番目、75番目のパーセンタイルを示す5本の水平線を含む。90番目パーセンタイルの上および10万目のパーセンタイルの下の変動値における全ての値を別個にプロットして、各ボックスプロットが、あり得る異常値を明白にするのに価値あるようにしている。野生タイプマウス(n=9)、HIP/PAPトランスジェニックマウス (n=10)(p=0.0014)。 C.肝臓質量を正常な肝切除していないマウスにおいて測定した。質量の肝臓/本体比を算出し、平均パーセント±SDとして表した。この比においては、2群間で差はなかった(野生タイプおよびHIP/PAPトランスジェニックマウスのそれぞれにおいて、0.0460±0.0064(n=12)および0.0489±0.0035(n=16))。部分肝切除後の各時間点での野生タイプ(○)およびHIP/PAP(■)マウスにおける正常肝臓質量の平均%回復(±SD)は、HIP/PAPトランスジェニックマウスにおいて刺激された回復を示している(5〜9匹のマウスを各群において各時点で肝切除した)。差は、48時間(p<0.001)、60時間(p<0.003)および96時間(p<0.002)において統計的に有意であった。
野生タイプおよびHIP/PAPトランスジェニック肝細胞におけるDNA合成を示す。 A.60時間でのBrU陽性肝細胞の免疫検出:野生タイプ (a);HIP/PAP (b)(原寸×200倍)。示した値は、各遺伝子型の12匹のマウスからの個々の培養物の平均±SDである。 B.EGF (30 ng.ml-1)で刺激した肝細胞におけるDNA合成の時間経過:野生タイプ (○);HIP/PAPトランスジェニック(■)。 C.塗抹後の60時間での培養肝細胞におけるDNA合成:増殖因子 (EGF 30ng.ml-1、HIP/PAP 40ng ml-1)は、細胞付着後に添加した。ホルスコリンは、最後の16時間で添加した。4〜20回の試験からのデータを平均±SDとして示した;(□)野生タイプ、(■)HIP/PAP。 HIP/PAPが培養一次肝細胞中のTNF-α±ActD誘発性アポトーシスを抑制することを示す。 A.野生タイプ(□)およびHIP/PAP(■)トランスジェニック肝細胞における細胞生存率の投与量依存性TNF-α誘発低下。示したデータは、各遺伝子型の5匹のマウスからの4複製による個々の培養物の平均±s.e.mである。 B.肝細胞を説明したようにして17時間処理した:(□)野生タイプ、(■)HIP/PAP。ヒストグラムは、4複製による3回の別々の試験の平均値±s.e.mを示す。 C.依然として付着している肝細胞の濃縮核をHoechst33258で染色した(倍率×400)。矢印は、TNF-αによって誘発された肝細胞アポトーシスの“ロゼット”特性で組織化されたアポトーシス体の特徴を示す;野生タイプ(1、3、5)およびHIP/PAP(2、4、6)対照培養物:無添加(1および2)、TNF-α 2 ng ml-1±ActD(3および4)、TNF-α 20 ng ml-1±ActD(5および6)。 野生タイプまたはHIP/PAPトランスジェニックマウス由来の肝細胞を移植したSCIDマウスにおける肝臓再生の刺激を示す。 A.野生タイプまたはHIP/PAPトランスジェニックマウス由来の肝細胞を移植し、肝切除後7日目で死亡させたSCIDマウスの肝臓の肉眼評価。 B.肝切除後7日目の肝細胞移植SCIDマウスの肝臓質量のボックスプロット。有意差は、マン・ウィットニー(Mann-Whitney)検定を使用することにより、野生タイプ肝細胞を移植したSCID対HIP/PAP肝細胞を移植したSCID間で観察された(p=0.0008)。
HIP/PAPタンパク質によるSCIDマウスにおける肝臓再生の刺激を示す。 HIP/PAPタンパク質 (600ng/マウス)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS) (100μL)を部分肝切除後36時間で脾臓内注入したSCIDマウスの肝臓質量のボックスプロット。マウスは、肝切除後の7日目で死亡させた。有意差は、マン・ウィットニー検定を使用することにより、HIP/PAPタンパク質を注入したSCID対PBSを注入したSCID間で観察された(p=0.0022)。 HIP/PAPタンパク質注入がC57マウスにおいて肝臓再生を刺激することを示す。 部分肝切除後46時間での肝臓質量の回復、BrdUの取込みおよび有糸分裂に対するC57BI6の部分肝切除直後に注入したHIP/PAPタンパク質対塩水の効果を比較した。肝臓質量、BrdU取込みおよび有糸分裂を示すボックスプロットを提示している。マン・ウィットニー検定を実施し、p<0.05を統計的に有意であるとみなしている。 BrdUおよび有糸分裂によるマウス集団の統計解析を示す。 分布は、部分肝切除後の46時間でBrdU取込みおよび有糸分裂についての複合中央値により特徴付けしている群間で統計的に有意である。 肝切除後の移植マウスの肝臓中での肝サイトカイン類発現を示す。 HIP/PAP対対照肝細胞を移植したSCIDマウスのPHX (部分肝切除)のT0時および46時間後の肝臓中でのサイトカイン発現を比較した。リボヌクレアーゼ保護法により、同じ試験において、肝臓抽出物HIP/PAPトランスジェニックマウスレーンaおよびb、SCIDマウスレーンcおよびdの4つのプール中でのリンホトキシン-β(LTβ)、TNF-αおよびTGF-βのT0時(レーンaおよびc)およびPHX後T46時間(レーンbおよびd)における比較が可能となった。デンシトメトリー分析により、2つのハウスキーピング遺伝子(L32およびGAPDH)に対して標準化したシグナルを定量した。また、mRNAレベルも肝臓抽出物中で測定した。グラフは、各マウス群において、L32およびGAPDH mRNA含有量の平均を表している。
肝切除後のStat3活性化を示す。 核ホスホ-STAT3の集積/分解時間経過を、部分肝切除後の最初の24時間中に、HIP/PAPトランスジェニック対C57BI6マウス中で測定した(図11)。活性化は、HIP/PAPにおいてはPHX後の1時間程の早期で測定されたが、C57BI6マウスにおいては測定されなかった(p=0.02)。さらにまた、STAT3活性化は、12時間程の早期で、C57BI6マウスにおけるよりもHIP/PAPにおいて低いレベルに戻った(p=0.04)。結果を、抗-STAT3リン酸化抗体によるウェスタンブロット分析により検証し可視化した。 HIP/PAPトランスジェニックマウスがアセトアミノフェン(APAP)によって誘発される急性肝不全から防御されることを示す。 致死投与量のAPAP(アセトアミノフェン)(1000 mg.kg-1)で処置した雌HIP/PAPトランスジェニックマウス(Tg HIP雌)および雄HIP/PAPトランスジェニックマウス(Tg HIP雄)の生存率を、APAPまたはPBSで処置したC57BI6対照マウス(CT C57BI6雄および雌)の生存率と比較した。生存率の有意差は、APAPを注入したHIP/PAPトランスジェニックマウス対APAPを注入したC57BI6対照マウス間で観察された。また、HIP/PAPは、APAP中毒に対する予防効果も有する。 HIP/PAPが長期の生体内フォローアップ中に毒性作用を示さないことを示す。 HIP/PAPトランスジェニックマウス(メタロチオネインプロモーター)を、ウッドチャック肝炎(WHV)調節配列により促進されるc-mycの肝臓特異性発現が全ての動物において肝癌を引起すWHV/c-mycマウスと交配させた。生存率曲線は、WHV/c-myc腫瘍マウス(n=39マウス)のT50の42週間に対して、ビトランスジェニックマウス(n=87マウス)のT50が60週間であったことを示していた。生存率曲線は、HIP/PAPトランスジェニックマウスと同腹ネガティブ対照において同一であった。即ち、これらマウスの寿命中のHIP/PAPタンパク質の毒性は検出されず、HCC発症は、両トランス遺伝子、即ち、WHV/c-mycおよびHIP/PAPを担持するマウスにおいては遅延している。

Claims (6)

  1. 慢性/急性肝不全を持つ看者を治療するための製薬組成物を製造するための、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの使用であって、前記慢性/急性肝不全を持つ患者が以下のグループから選択されたものであるポリペプチドの使用。
    −肝切除を受けている患者、
    −部分肝臓移植の対象者;肝炎のような肝疾患により生じた肝不全;アルコール性、ウィルス性、薬物または未知原因の肝硬変、または肝癌および
    −B型肝炎、C型肝炎、尿素サイクル欠陥、家族性高コレステロール血症、アルコール誘発性肝硬変、グリコ−ゲン蓄積症、自己免疫性肝炎、原発性シュウ酸尿症I型、特発性肝硬変、I型クリグラー・ナジャー症候群、先天性肝線維症、ニーマン・ピック病、原発性胆汁性肝硬変、家族性アミロイドーシス、胆道閉鎖症、肝細胞癌、原発性硬化性胆管炎、肝芽腫、アラジル症候群、血管内皮腫、家族性胆汁鬱帯、非カルシニオド神経内分泌、薬物誘発性肝不全、肝細胞癌および胆管癌のような限局性結節性過形成肝腫瘍のような良性肝腫瘍、急性/劇症肝不全、バッド・キアリ症候群、アルファ-1-抗トリプシン欠乏症、ウィルソン病、ヘモクロマトーシス、チロシン血症、プロトポルフィリン症、嚢胞性線維症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群に含まれる疾患の対象者である患者。
  2. 前記患者が以下のグループから選択されたものである請求項1のポリペプチドの使用。
    −急性/劇症肝不全の患者、
    −肝癌患者、
    −肝切除を受けている患者、
    −慢性肝炎の患者、および
    −薬物によって誘発される肝疾患の患者。
  3. 前記患者が以下のグループから選択されたものである請求項1のポリペプチドの使用。
    −肝切除を受けている患者、および
    −アセトアミノフェンによって誘発される肝疾患の患者。
  4. 前記ポリペプチドが、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基27で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるポリペプチドと少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むものである請求項1〜3のいずれかのポリペプチドの使用。
  5. 前記ポリペプチドが、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基36で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるものである請求項1〜3のいずれかのポリペプチドの使用
  6. 前記ポリペプチドが、配列SEQ ID NO.1のアミノ酸残基27で開始しアミノ酸残基175で終端するアミノ酸配列からなるものである請求項1〜3のいずれかのポリペプチドの使用
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