以下、本発明の一実施例の空気調和機について図を用いて説明する。
まず、本実施例の空気調和機の全体構成を、図1〜図3を用いて説明する。図1は空気調和機の運転停止時の構成図、図2は図1の室内機の内部構成を示す配置図、図3は図1の室内機のA−A断面図である。
空気調和機1は、図1に示すように、室内機2と室外機6とを接続配管8で繋いで構成され、室内を空気調和するものである。ドレン配管37及び換気風路39は、室内機2から一般的に室外へ引出されて設置される。
室内機2は、図1及び図2に示すように、筐体21に熱交換器33、室内送風機31、換気装置32、露受皿35等を取付け、これらを化粧枠23で覆い、この化粧枠23の前面に前面パネル25を取付けた構成になっている。化粧枠23には、室内空気を吸い込む吸込み口27と、温湿度が調和された空気を吹出す吹出し口29とが上下に設けられている。
吸込み空気の可動パネル251は、駆動モータを回転させることにより、下端部に設けた回動軸を支点として回動可能に構成されている。この可動パネル251は、空気調和機の運転時に前側空気吸込部230bを開き、前側空気吸込部230bからも室内空気を室内機内に吸引し、空気調和機の運転停止時には、前側空気吸込部230bを閉じるように制御される。
前面パネル25の下部には、運転状況を表示する表示部397と、別体のリモコン5からの赤外線の操作信号を受ける受光部396とが配置されている。
筐体21には、図2及び図3に示すように、室内送風機31、フィルター231、熱交換器33、露受皿35、上下風向板291、左右風向板295等の基本的な内部構造体が取付けられている。室内送風機31は、送風ファン311と送風モータ313とから構成されている。上下風向板291は、主上下風向板291a(図5参照)と側方部上下風向板291a’と副上下風向板291bとから構成されている。筐体21の内側に取付けられた送風ファン311等の基本的な内部構造体は、化粧枠23を取付けることにより室内機2内に内包される。
フィルター231は、熱交換器33の吸込側を覆うように配置され、吸い込まれた室内空気中に含まれる塵埃を取り除くためのものである。送風ファン311は、横長の横流型ファンで構成され、室内空気を吸込み口27、230bから吸い込んで吹出し口29から吹出すように室内機2内の中央に配置されている。熱交換器33は、略逆V字状に形成されて送風ファン311の吸込側に配置されている。露受皿35は、熱交換器33の前後両側の下端部下方に配置され、冷房運転時や除湿運転時に熱交換器33に発生する凝縮水を受けるために設けられている。受けて集められた凝縮水は、ドレン配管37を通して室外に排出される。
これらによって、空調される室内空気を流す主風路が形成される。即ち、送風ファン311を回転させることで、室内空気は吸込み口27、230bから吸い込まれ、フィルター231を通過し、熱交換器33にて熱交換された後、吹出し口29から室内に吹出される。
化粧枠23の下面に形成される吹出し口29は、前面パネル25の下方に隣接して配置され、吹出し風路290により形成されている。吹出し風路290は、吹出し風路上壁290a、吹出し風路下壁290b、吹出し風路側壁290cからなっている。上下風向板291、291a’、291bは、両端部に設けた回動軸を支点にして、リモコン5からの指示に応じて、駆動モータにより個々に駆動される。そして、上下風向板291aは、空気調和機の運転時には、所要の角度回動して吹出し口29を開き、その状態を保持すると共に、空気調和機の運転停止時には、図4に示すように吹出し口29を閉じるように制御され、閉鎖状態で吹出し風路290をほぼ隠蔽する。
側方風向板292は、風向を側方へ変更するためのものであり、図1に示すように吹出し口29の両端部に設けられている。この側方風向板292は、図5に示すように、底面から前面に至る部分に気流の案内壁となる前側案内板292c、下側案内板292dを備え、室内機2の側方に調和空気を吹出させる場合に、リモコン5からの指示により、図9(b)に示すように外側側方吹出し口293bを開く。これにより、吹出し風路290から外側側方吹出し口293bに至る側方風路296が形成され、吹出し気流の一部が外側側方吹出し口293bから図9(b)の実線矢印で示すように、室内機2から側方に室内に吹出す。この側方風向板292は空気調和機2の運転停止時には、側方吹出し口293を閉じるように制御される。
左右風向板295は、中央左右風向板295aと端部左右風向板295bとから構成されている(図8から図11参照)。中央左右風向板295aは吹出し風路290の中央部に設けられ、端部左右風向板295bは吹出し風路290の両端部に設けられ、下端部に設けた回動軸を支点にして、駆動モータにより個々に或いはグループ毎に回動可能に構成され、リモコン5からの指示に応じて回動してその状態を保持し、吹出し空気を左右の所望の方向に吹出させる。なお、リモコン5から指示することにより、空気調和機の運転中に上下風向板291、左右風向板295等を周期的に揺動させ、室内の広範囲に周期的に吹出し空気を送ることもできる。
側方風向板292の上流側に端部左右風向板295bが設けられ、独立した駆動モータにより駆動される。室内機2の側方に調和空気を吹出させる場合には、リモコン5からの指示により、側方風向板292が開くのと連動して、端部左右風向板295bが側方へ気流を変更するように回動し、吹出し風路側壁290cの近くを流れる吹出し気流を図9(b)に実線矢印で示すように側方風路296に誘導する。これにより、室内機2の側方に調和空気を供給することができる。ここで、端部左右風向板295bに生ずるコアンダ効果により、吹出し風路290内のより中央部の気流も図9(b)に破線矢印で示すように側方風路296に偏向され、より多くの気流を側方風路296に流すことができる。
そして、室内機2は、運転停止時に、空気吹出し風路290、側方風路296及び前側空気吸込部230bを、主上下風向板291a、側方風向板292及び可動パネル251で隠蔽してインテリアに調和させている。運転時には上下風向板291a、291b、左右風向板295、側方風向板292をリモコン5からの指示に応じて回動させる。これと共に、可動パネル251を開いて前側空気吸込部230b及び上側空気吸込部230aから室内空気を吸込む。吸込んだ室内空気を内部の熱交換器33で冷風または温風にして空気吹出口29、側方吹出し口293から吹出すことができる。
この空気調和機1を運転する時には、電源を投入してリモコン5を操作し、所望の冷房、除湿、暖房等の運転を行う。
室内機2は内部の電装品ボックスに制御装置10を備えている。制御装置10は、室内温度センサー、室内湿度センサー等の各種のセンサーからの信号を受けると共に、リモコン5からの操作信号を受光部396で受けることにより、送風モータ313、可動パネル駆動モータ、上下風向板駆動モータ、左右風向板駆動モータ、側方風向板駆動モータ等を制御し、且つ、室外機6との通信を司る等、室内機2を統括して制御する。
運転停止時には、室内機2は、図3に示すように、可動パネル251、上下風向板291及び側方風向板292が閉鎖された状態となっている。
この状態で、リモコン5から運転操作の信号が発せられると、制御装置10は、リモコン5からの操作信号または自動運転が設定されていれば各種センサーからの情報に基づいて、冷房、暖房等の運転モードを決定する。
該決定に基づいて、制御装置10は、可動パネル251及び上下風向板291を動作させて、気流の通路を開放状態にする。このとき、吸込み口230bが開放されるが、室内からの視線は可動パネル251で遮られて室内機2の内部までは届かず、インテリアの雰囲気を崩すことは無い。つまり、制御装置10は、駆動モータを動作させ、上下風向板291、左右風向板295、側方風向板292をリモコン5からの指示に対応した吹出し角度まで回動する。また同時に、制御装置10は、上下風向板291の動作に連動して可動パネル251を開く可動パネル駆動モータを動作させ、図3の二点鎖線で示す如く可動パネル251を開く。
次いで、制御装置10は、送風モータ313を回転させて上側空気吸込部230a及び前側空気吸込部230bから室内空気を吸込み、吸込んだ室内空気を熱交換器33で温風または冷風あるいは熱交換しないで上下風向板291、左右風向板295、側方風向板292に沿って空気吹出口29から吹出させるように制御する。空気吹出口29は、中央部の空気吹出し口とその両側の側方吹出し口293とからなっている。
次いで、運転を停止する際には、制御装置10は、送風モータ313を停止させた後に、可動パネル251、上下風向板291、側方風向板292の駆動モータを逆回転させて開の状態から閉の状態に戻すように制御する。
次に、側方風向板開閉機構について図4〜図7を参照しながら説明する。図4は図3の室内機の空気吹出し部拡大図である。図5は図3の室内機の運転時の空気吹出し部拡大図、図6は側方風向板開閉機構の台枠説明図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。図7(a)は図6は側方風向板開閉機構の収納時の側方風向板部の外観正面図、図7(b)は同状態の側方風向板開閉機構説明図である。
主上下風向板291aの横に隣接された側方風向板292は、筐体21に設けられた台枠261に取付けられた側方風向板開閉機構260により開閉される。
側方風向板開閉機構260は、台枠261と、台枠261に取付けた迫出しモータ265と、迫出しモータ265により台枠261から迫出される迫出し台271と、迫出し台271に取付けた側方風向板292の駆動機構270とを備えて構成される。
台枠261は、左右に間隔を置いて設けられた支持台261a、261a’と、これらを連結する台座261bとで構成されている。一方の支持台261aには迫出しモータ265が取付けられている。迫出しモータ265の出力軸には、迫出しギアーA265aが嵌装され、支持台261aに回動可能に取付けられた迫出しギアーB265bに噛合する。
迫出しギアーB265bは、迫出し台271の迫出しラック271aに噛合し、迫出しモータ265の回転を迫出しラック271aに伝達して、迫出し台271を移動させる。また、迫出しギアーB265bは、図6に示すように、支持台261aに回動可能に取付けられた迫出しギアーC265cに噛合する。これにより、迫出しギアーC265cと同軸に取付けられた連結棒266を介して反対側の支持台261a’に回動可能に取付けられた迫出しギアーC’265c’に迫出しモータ265の回転が伝えられる。
従って、これと噛合する支持台261a’に回動可能に取付けられた迫出しギアーB’265b’が回動し、迫出し台271の迫出しラック271aの反対側の迫出しラック271a’に噛合し、迫出しモータ265の回転を迫出しラック271a’に伝達して、迫出しギアーB265bと協働して迫出し台271を移動させる。支持台261a、261a’には長穴を設け、迫出しガイド261c、261c’とし、迫出し台271の両側面に設けた迫出しガイドピン271b、271b’を遊嵌している。
迫出し台271は、左右両側部の下端面に迫出しギアーB265b、迫出しギアーB’265b’に噛合する迫出しラック271a、271a’を備え、その外側側面に迫出しガイドピン271b、271b’を備えている。また、迫出し台271には側方風向板292とその駆動機構270とが取付けられている。これにより、迫出しモータ265を駆動して、側方風向板292を迫出し台271と一緒に室内機2の内部から突出させたり、収納させたりすることができる。なお、本実施例では、迫出し台271の移動方向は室内機2の横流型送風ファン311の吹出し風路下壁290bに略平行に前方斜め下方向とし、横方向への移動は無いものとしている。
側方風向板駆動機構270は、迫出し台271に回動自在に固定され、迫出し台271に搭載された側方風向板292を駆動する駆動モータ274により回動される内側ギアー276及び外側ギアー278と、内外ギアー276、278の先端に設けた内側ピン276a及び外側ピン278aと、内外ピン276a、278aに回動自在に取付けた内側レバー281及び外側レバー283と、内外レバー281、283同士を回動自在に連結したレバーピン285とを備えている。側方風向板駆動機構270は、迫出し台271と共に5リンク機構を構成し、内外レバー281、283のレバーピン285に関して内外ピン276a、278aと反対側の端部にスライドピン282、固定ピン284を有すると共に、固定ピン284と回動可能な回動孔292bと、スライドピン282とスライド可能なスライド溝292aとを有する側方風向板292に結合可能としている。
迫出し台271の中央背部に駆動モータ274を固定し、迫出し台271を貫通する出力軸に駆動ギアー274aを嵌装する。駆動ギアー274aは迫出し台271に回動軸276b、278bで回動自在に軸支され、同一の歯形と同一の径を有する内側ギアー276と外側ギアー278に噛合する。
内側ギアー276、外側ギアー278には、その適切な位置に、内側ピン276a、外側ピン278aが設けられている。これらの内側ピン276a、外側ピン278aには、内側レバー281、外側レバー283が回動自在に取付けられる。内側レバー281、外側レバー283は、その中央部の適切な位置をレバーピン285で、内側レバー281、外側レバー283同士を回動自在に連結している。
駆動モータ274を回転させることにより、駆動ギアー274aを介して、内側ギアー276、外側ギアー278が回転し、内側ピン276a、外側ピン278aの位置が回動軸276b、278bを中心として同一方向に同一速度で同一角度だけ移動する。
ここで、機構的に見ると、駆動ギアー274a、内側ギアー276、外側ギアー278は、内側ピン276a、外側ピン278aの位置を回動軸276b、278bを中心として同一方向に同一角速度で同一角度だけ移動させる2本の回動アームとみなして支障は無い。このため、以下のリンク機構の説明に当たっては、内側ギアー276を内側回動アーム276、外側ギアー278を外側回動アーム278と言うこととする。
このように、迫出し台271に設けた内外回動アーム276、278の回動軸276b、278bと、内外ピン276a、278aと、レバーピン285とを連結点とした5リンク機構が形成される。更に、このリンク機構の駆動条件として、内外回動アーム276、278が同一の駆動ギアー274aに噛合することから、内外回動アーム276、278が同一方向に、同一角速度で、同一角度だけ回転すると言う条件が付加される。
内外レバー281、283の自由端にはスライドピン282、固定ピン284が設けられ、各々、側方風向板292のスライド溝292a、回動孔292bと結合している。なお、本実施例では室内機2の右側の側方風向板開閉機構260を例にとって説明したが、左側の側方風向板開閉機構の場合は、構成を左右反転させることにより、同様の動作を実現できることは言うまでも無い。引き続き右側の側方風向板開閉機構260を例にとって説明する。
次に、側方に風向を偏向する場合の動作について、図4、図5、図7〜9、図12〜14、図19を用いて説明する。図8は側方風向板収納時、及び、迫出し時の風向板状態図である。図9は側方風向時の風向板状態図である。図12(a)は迫出し時の側方風向板部の外観正面図、図12(b)は同状態の側方風向板開閉機構説明図である。図13(a)は側方向け傾斜動作時の側方風向板部の外観正面図、図13(b)は同状態の側方風向板開閉機構説明図である。図14(a)は側方向け風向時の側方風向板部の外観正面図、図14(b)は同状態の側方風向板開閉機構説明図である。図19は側方風向板の収納時、及び、側方風向時の側方風向板開閉機構リンク部の模式図である。
運転停止時は、側方風向板292が閉じており、迫出し台271が図4のように室内機2の内部に引き込まれて収納されている。また、側方風向板292も同様に室内機2の外殻と同一面まで引き込まれ、凹凸の少ない状態に保持されている。この状態の外観は図7(a)の如くである。
このときの側方風向板開閉機構270の状態は、図7(b)に示すように側方風向板292が迫出し台271の迫出し方向に対して直角に、室内機2の横方向に対して平行に保持されている。従って、側方風向板292は、室内機2の外殻と一体となって、違和感の無い外観を形成する。このときの側方風向板292の状態を模式的に示すと、図8(a)のように、側方風向板292は室内機2の外殻と同じ位置まで引き込まれて側方風路296を閉じ、気流が側方に流れることは無い。
側方風向板292を開くときには、先ず、迫出しモータ265を駆動し、迫出し台271を前述のように迫出させる。
このとき、側方風向板292も一緒に室内機2の外殻から図5に示すように突出する。この状態の外観は、図12(a)の如くであり、側方風向板292が大きく飛び出し、側方風向板292が作動状態であることを明確に表す。この状態の側方風向板開閉機構270は、図12(b)に示すように、側方風向板駆動機構270が未駆動で、迫出し台271が側方風向板292及び側方風向板駆動機構270を載せたまま台枠261上を移動する。このように移動することにより、側方風向板292は室内機2の外殻に衝突することなく、左右に傾斜して移動することができるようになる。
このときの側方風向板開閉機構リンク部を模式的に示すと、図19(a)のように表され、側方風向板292は迫出し台271と平行になっている。また、このときの風向板の状態を模式的に示すと、図8(b)のように、側方風向板292は室内機2の外殻から離れ、側方風路296が開放され、側方風路296に気流が流通可能になる。
次いで、側方風向板駆動機構270を駆動して、側方風向板292を傾斜させる。即ち、側方風向板駆動機構270が前述のように構成されているので、図12(b)の状態で駆動モータ274を左回転させることにより、内側回動アーム276、外側回動アーム278が右回転する。この回転にリンクして、内側レバー281、外側レバー283がレバーピン285の周りで若干閉じるように動いて、その自由端に設けたスライドピン282、固定ピン284の位置を変化させる。
これによって、図13(b)のように、スライドピン282の位置は大きく前進し且つ内側に寄り、固定ピン284の位置は少し前進し且つ内側に寄る。 スライドピン282、固定ピン284の位置変化に応じて、該部に結合されている側方風向板292の回動孔292b周りに側方風向板292が回動し、スライドピン282がスライド溝292a内の所定位置に移動する。これにより、側方風向板292は内側の端部が室内機2の中心寄りに移動すると共に、外側端部が大きく前進し、側方に風向を偏向する如く傾斜する。
このときの側方風向板開閉機構リンク部を模式的に示すと、図19(b)の実線のように表され、側方風向板292は点線で示した迫出し台271と平行な状態から傾斜した状態に変化している。
また、この状態の外観は図13(a)の如くであり、側方風向板292が傾斜して大きく飛び出し、側方風向板292が作動状態であることを明確に表す。また、このときの風向板の状態を模式的に示すと、図9(a)のように、側方風向板292は室内機2の外殻から離れ、外側が大きく開いた状態になり、側方風路296からの気流が偏向できるようになる。
なお、迫出し台271に搭載された各部の移動の方向を表すとき、迫出し台271に対する相対位置の変化で表し、室内機2の横方向の中心部側を内側、室内機2の横方向端部側を外側と言う。更に、迫出し台271の迫出し方向に変化するのを前進と言い、反迫出し方向に変化するのを後退と言う。
次いで、側方風向板292の傾斜を保ったまま、迫出しモータ265を逆転させて図14(b)に示すように、迫出し台271を室内機2の内部に引込む。このとき、側方風向板292の内側端部が主上下風向板291aに接触しないように制御するのが良い。これにより、側方風向板292は内側の開きが小さく、外側の開きが大きい、風向の側方偏向に適した開き方になり、側方に所要の気流を流すことができる。また、側方風向板292の内側端部が主上下風向板291aに接近する如く移動するので、室内機2の中央部を流れる主気流を一部側方風向板292で捉える。このため、側方に偏向する気流を増加させることができる。
この状態の外観は図14(a)の如くであり、空気調和機1を運転して、気流を側方に偏向している状態が明確に判り、且つ、側方風向板292の突出を最小限にして、室内の雰囲気を乱さないようにしている。また、このときの風向板の状態を模式的に示すと、図9(b)のように、側方風向板292は室内機2の外殻に接近し、且つ、外側が大きく開いた状態になり、側方風路296からの気流がスムーズに側方に偏向できるようになる。
なお、側方に風向を偏向するときには、側方風向板292を図14のように側方偏向の位置にすると共に、端部左右風向板295bを図9(b)のように、側方吹出し口293方向に傾斜させる。これにより、端部左右風向板295bの近辺を流れる気流が側方風向板292の方向に誘導され、側方に偏向する気流を増加させることができる。
次に、室内機2の風向を中央に集中させる場合の側方風向板292の動作について、図10(a)、図12、図15、図16、図20を用いて説明する。図10(a)は中央集中風向時の風向板状態図である。図15(a)は中央向け傾斜動作時の側方風向板部の外観正面図、図15(b)は同状態の側方風向板開閉機構説明図である。図16(a)は中央向け風向時の側方風向板部の外観正面図、図16(b)は同状態の側方風向板開閉機構説明図である。図20は側方風向板の収納時、及び、中央集中風向時の側方風向板開閉機構リンク部の模式図である。
側方風向板292が閉じた状態から風向を中央に集中させる場合の動作において、側方風向板292を平行を保ったまま室内機2から突出させ、図8(b)、図12の状態にするまでは、前述の側方に風向を偏向する場合の動作と同じであるので説明を省略する。以下、図8(b)、図12の状態からの動作を説明する。図20(a)は図12の状態を示し、前述の図19(a)と同じである。
側方風向板駆動機構270を駆動して、側方風向板292を傾斜させる。側方風向板駆動機構270が前述のように構成されているので、図12(b)の状態で駆動モータ274を右回転させることにより、内側回動アーム276、外側回動アーム278が左回転する。この回転にリンクして内側レバー281、外側レバー283がレバーピン285の周りで若干閉じるように動いて、その自由端に設けたスライドピン282、固定ピン284の位置を変化させる。
これによって、図15(b)のように、スライドピン282の位置は後退し且つ外側に寄り、固定ピン284の位置は前進し且つ外側に寄る。ここで、スライドピン282の位置は後退し且つ外側に寄るが、迫出し台271及び側方風向板292が前進しているので、側方風向板292の外側端部が室内機2の外殻に衝突することは無い。
スライドピン282、固定ピン284の位置変化に応じて、該部に結合されている側方風向板292の回動孔292b周りに側方風向板292が回動し、スライドピン282がスライド溝292a内の所定位置に移動する。これにより、側方風向板292は内側の端部が前進すると共に、外側端部が後退し且つ外側に寄って、側方風路296に漏れ出る気流を室内機2の中央部に偏向する如く傾斜する。
この状態を室内機2の正面から見ると図15(a)の如くであり、側方風向板292が傾斜して大きく飛び出し、側方風向板292が作動状態であることを明確に表す。
次いで、側方風向板292の傾斜を保ったまま、迫出しモータ265を逆転させて図16(b)に示すように、迫出し台271を室内機2の内部に引込む。このとき、側方風向板292の外側端部が室内機2の外殻に接触しないように制御するのが良い。これにより、側方風向板292は内側の開きが大きく、外側の開きが小さい、風向の中央集中に適した開き方になり、側方風路296に拡散してきた気流を室内機2の中央方向に戻し、気流を中央に集中することができる。
また、側方風向板292の外側端部が室内機2の外側方向に移動するので、側方風路296に流れる気流の大部分を捉えることができる。捉えられた気流は側方風向板292の傾斜に沿って室内機2の中央方向に流れ、前進して外側に寄り、大きく開いた内側側方吹出し口293aから室内機2の中央方向に吹出す。
このときの側方風向板開閉機構リンク部を模式的に示すと図20(b)の実線のように表され、側方風向板292は点線で示した迫出し台271と平行な状態から傾斜した状態に変化している。
また、この状態の外観は図16(a)の如くであり、空気調和機1を運転して気流を中央に集中している状態が明確に判り、且つ、側方風向板292の突出を最小限にして室内の雰囲気を乱さないようにしている。また、このときの側方風向板292の状態を模式的に示すと、図10(a)のように、側方風向板292は室内機2の外殻に接近し且つ内側が大きく開いた状態になり、側方風路296からの気流がスムーズに中央に偏向できるようになる。
次に、吹出し風路290の通風抵抗を最小な状態にして、最大の風量での運転、低騒音での運転、または、消費電力を小さくする省エネ運転をする場合の側方風向板292の動作について、図10(b)、図12、図17、図18、図21を用いて説明する。図10(b)は最小抵抗時の風向板状態図である。図17(a)は気流外退避動作時の側方風向板部の外観正面図、図17(b)は同状態の側方風向板開閉機構説明図である。図18(a)は気流外退避時の側方風向板部の外観正面図、図18(b)は同状態の側方風向板開閉機構説明図である。図21は側方風向板の中央集中風向時及び気流外退避時の側方風向板開閉機構リンク部の模式図である。
側方風向板292が閉じた状態から吹出し風路290の通風抵抗を最小な状態にする場合の動作において、迫出し台271を迫出した状態で側方風向板292を室内機2の中央に向くように傾斜させ、図15の状態にするまでは、前述の風向を室内機2の中央に集中させる場合と同じであるので説明を省略する。以下、図15の状態からの動作を説明する。図21(a)は図15の状態を示し図20(b)と同じである。
図15(b)の状態で、更に駆動モータ274を右回転させることにより、内側回動アーム276、外側回動アーム278が更に左回転する。この回転にリンクして内側レバー281、外側レバー283がレバーピン285の周りで更に閉じるように動いて、その自由端に設けたスライドピン282、固定ピン284の位置を更に変化させる。スライドピン282の位置は更に後退し且つ更に外側に寄り、固定ピン284の位置は更に前進し且つ更に外側に寄る。
スライドピン282、固定ピン284の位置変化に応じて、該部に結合されている側方風向板292の回動孔292b周りに側方風向板292が回動し、スライドピン282がスライド溝292a内の所定位置に移動する。これにより、側方風向板292は内側の端部が更に前進すると共に、外側端部が更に後退し且つ更に外側に寄って、横流型送風ファン311の気流の外に退避する如く、横流型送風ファン311の軸方向の翼端311aよりも外側に出る。
この状態を室内機2の正面から見ると図17(a)の如くであり、側方風向板292が傾斜して更に大きく飛び出し、側方風向板292が作動状態であることを明確に表す。
次いで、側方風向板292の傾斜を大きく保ったまま、迫出しモータ265を逆転させて図18(b)に示すように、迫出し台271を室内機2の内部に引込む。このとき、側方風向板292の外側端部が室内機2の外殻に接触しないように制御するのが良い。これにより、側方風向板292は内側端部が横流型送風ファン311の軸方向の翼端よりも外側に出て、横流型送風ファン311の気流の外に退避した状態になる。
これによって、側方風路296に漏れ出る気流の大半は側方風向板292の影響を受けること無しに室内に吹出され、側方風向板292による通風抵抗の増加は最小限のものとなる。このときの側方風向板開閉機構リンク部を模式的に示すと、図21(b)の実線のように表され、側方風向板292は点線で示した中央集中風向時の状態から大きく傾斜した状態に変化している。
また、この状態の外観は図18(a)の如くであり、空気調和機1を運転して、側方風向板292を気流の外に退避させ、側方風向板292による通風抵抗を最小にしている状態が明確に判り、且つ、側方風向板292の突出を最小限にして、室内の雰囲気を乱さないようにしている。また、このときの風向板の状態を模式的に示すと、図10(b)のように、側方風向板292は横流型送風ファン311の軸方向の翼端311aよりも外側に出て、横流型送風ファン311の気流の外に退避した状態になり、側方風向板292による通風抵抗の増加が最小限になる。
次に、側方に風向を偏向する場合の変形例について図11を用いて説明する。図11は片側方風向時の風向板状態図である。
図11(a)は室内機2の右方向のみを空気調和したいときの風向板状態図であり、右側の側方風向板292を側方風向の位置にする。更に、左側の側方風向板292を中央集中吹出しの位置にし、左右風向板295を全体の風向が右側になるように傾ける。このようにすることにより、室内機2の右側部分を選択的に空気調和することができる。
図11(b)は室内機2の中央部と右方向を空気調和したいときの風向板状態図であり、右側の側方風向板292を側方風向の位置にする。更に、左側の側方風向板292を最小抵抗の位置にし、左右風向板295の右半分を風向が右側になるように傾け、左半分は前方に向ける。このようにすることにより、室内機2の前方中央部と右側部分を選択的に空気調和することができる。
図11(c)は室内機2に近い中央部と右方向の狭い領域を少ない風量で空気調和したいときの風向板状態図であり、右側の側方風向板292を側方風向の位置にする。更に、左側の側方風向板292を閉鎖の位置にし、端部左右風向板295bを側方風向板292の方向に傾け、他の左右風向板295は前方に向ける。このようにすることにより、室内機2に近い前方中央部と右側部分の狭い領域を選択的に小風量で空気調和することができる。
本実施例によれば、横長の横流型送風ファン311と、該送風ファン311の吹出し風路290に順に設けた左右風向板295と、上下風向板291とを備えた分離型空気調和機の室内機において、上下風向板291の横方向端部と室内機2の横方向端部との間に、該送風ファン311の軸方向の翼端を跨ぐように側方風向板292を設け、該側方風向板292の横方向の両端部を突出させて、側方風路296を開閉する。また、横長の横流型送風ファン311と、該送風ファン311の吹出し風路290に順に設けた左右風向板295と、上下風向板291とを備えた分離型空気調和機の室内機2において、吹出し口の中央部に中央上下風向板291を設け、中央上下風向板291の右方及び/又は左方に、該送風ファン311の軸方向の翼端を跨ぐように側方風向板292を設け、該側方風向板292の横方向の両端部を突出させて、側方風路296を開閉する。
かかる構成により、横流型送風ファン311の軸方向端部からの気流を捉え、側方に偏向することができるので、側方に十分な量の気流を偏向できる。また、風路の先端の、外筺と同一の面に設けた側方風向板292で風向を変更するので、横流型送風ファン311の軸方向端部の風を風路の側壁に邪魔されること無く、効果的に、従来より大きい角度に左右方向に偏向でき、風を向けることのできない風向の死角が大幅に減少する。
このように、室内機2からの横方向の風向偏向の可能域が広がり、室内空調の死角を狭くすることができ、室内のほぼ全域に調和空気の供給が可能となるので、部屋の隅に据付けても、室内空調の死角が狭く、ほぼ真横方向に気流を偏向できるので居住領域の空調が有効に行える。
また、室内機2の据付位置の選択幅が広く、制約が少ないので、室内機2を使用者の快適性や美観に配慮して、適正な位置に据付けることができる。このため、室内のどこにいても快適な空調を享受でき、また、室内機2を適正な位置に据付けることができる空気調和機を得ることができる。
なお、風向の死角が少なくなるため、従来は死角となっている部分を快適にするため、ともすれば暖房時は温度を高めに設定し、冷房時は温度を低めに設定する等して過剰な空調を行ない勝ちになっていたのが、適性な空調になるため、暖め過ぎ、冷やし過ぎが無くなり省エネに貢献する。また、左右いずれかの一方の横流型送風ファン311の軸方向の翼端を跨ぐように側方風向板292を設けた場合も、設けた側の片側のみに限定されるが、同様の効果が生ずる。
また、本実施例では、側方風向板292の中央上下風向板291寄りの部分に中央左右風向板295aを備える。これにより、大部分の気流が通過する中央部の左右風向板295aでの偏向により形成された偏向気流が、側方風向板292によるコアンダ効果でより大きく偏向されて室内に吹出す。このように、側方風向板292での真横方向への偏向風に加えて吹出し口中央部からの気流の主流が横方向に大きく偏向して吹出し、従来風向の死角領域であった室内機2の真横下の領域も多量の気流で十分に空気調和できる。このため、従来風向の死角領域であった部分も、快適にすることができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、側方風向板292を、端部左右風向板295bより下流側に設置している。また、側方風向時に、側方に偏向する気流の流路上で側方風向板292と横流型送風ファン311との間に少なくとも1枚の端部左右風向板295bを備える。また、側方風向時に、端部左右風向板295bを横流送風ファン311の軸に垂直な方向から透視した時に該端部左右風向板295bの少なくとも一部が側方風向板292と重なる。
これにより、側方に気流を偏向するため側方風向板292が開いているときに、吹出し風路290を斜め下向き前方方向に流れてきた横流型送風ファン311の軸方向端部からの気流が左右端の端部左右風向板295bに偏向されて、側方風向板292に導かれ、側方風向板292から室内機2の側方に、斜め下向きに吹出す。
このように、端部左右風向板295bを吹出し風路290壁近くを流れる気流中に置くことにより、端部左右風向板295bの衝突面で気流を軸方向外側に偏向させると共に、その背面側に生ずる負圧によって、より中央側の気流をも偏向させて側方風向板292に誘導する。このため、横流型送風ファン311の軸方向端部からの気流を予め、端部左右風向板295bで横方向外側に偏向し、偏向した気流を側方風向板292に流すことで側方への偏向を確実にする空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、端部左右風向板295bを中央上下風向板291の上流部の左又は/及び右に設けている。
これにより、側方に気流を偏向するため側方風向板292が開いているときに、吹出し風路290を斜め下向き前方方向に流れてきた横流型送風ファン311の軸方向端部からの気流が端部左右風向板295bにより偏向されて、側方風向板292に導かれ、側方風向板292から室内機2の側方、斜め下向きに吹出す。
このため、横流ファンからの気流を確実に側方に偏向して吹出すことができ、従来死角領域であった部分の空気調和を実現できる。また、室内を広範囲に亘って同時に空気調和することもできる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、側方風向板292を開くときは、空気調和機の運転停止時の外形線より外方に、該側方風向板292が突出するように構成している。
これにより、側方に気流を偏向するときに、気流が室内機2内の側方風路296と室内機2の外形から飛び出した側方風向板292との間の広くなった風路を流れるので、風路の抵抗が少なく、騒音の上昇、風量の減少が少ない。また、気流が室内機2の外形から飛び出した側方風向板292で偏向されるので、室内機2の外形の影響をほとんど受けることなしに気流を偏向でき、ほぼ真横方向に吹出すことができる。また、空気調和機の運転停止のときには側方風向板292は室内機2の外形内に収まる。
このため、室内機2からの調和空気の吹出し角度を大きく左右に偏向でき、且つ、停止時の室内の雰囲気を乱すことがない空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、側方風向板292が少なくとも底面から前面に至る部分に気流の案内壁を備える。また、側方風向板292を閉じるときは、該側方風向板292の突出を解除し、側方風路296をほぼ隠蔽する。
これにより、側方に気流を偏向するため側方風向板292が開いているときは、吹出し風路290から側方風向板292に導かれた気流は、側方風向板292の前側案内板292c、下側案内板292dで偏向されて、室内機2の側方、斜め下向きに吹出す。このとき、側方風路296の内部は前側案内板292c、下側案内板292dで隠されて、内部があからさまに見えることは無い。
また、側方風向板292が閉じているときは、前側案内板292c、下側案内板292dが室内機2の前面及び底面に連続した外表面を形成し、側方吹出し風路290を遮蔽する。このように、側方風向板292で風向を真横方向へ偏向するのに加えて気流を側方吹出し中も、閉じた時も、側方吹出し風路290を前側案内板292c、下側案内板292dで隠蔽し、室内機2の外観が向上する。
このため、室内機2の運転、停止にかかわらず、室内の雰囲気に調和したデザインとなる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、側方風向板292を開くときは、側方風向板292の中央上下風向板291側の端部又は反対側の端部の何れか一方が他端部より大きく外方に突出する。
これにより、風向を側方に偏向するときには、中央側の端部を小さく突出させ、外方の端部を大きく突出させる。また、風向を中央に集中するときには、中央側の端部を大きく突出させ、外方の端部を小さく突出させる。また、気流の抵抗を少なくするときには、中央側の端部を更に大きく突出させ、外方の端部を小さく突出させる。
このように、中央側の端部を小さく突出させ、外方の端部を大きく突出させて、気流を側方風路296から斜め側方に吹出させる。また、中央側の端部を大きく突出させ、外方の端部を小さく突出させて、気流を側方風路296から中央方向に吹出させ、気流を前方中央部に集中させる。また、中央側の端部を更に大きく突出させ、外方の端部を小さく突出させて、側方風向板292を気流から離すことにより、気流の抵抗を少なくし、風量を増大させることができる。
このため、風向を側方に向けるときも、中央に集中するときも、風量を増加させるときも、側方風向板292を適切な位置にして、使用者のニーズにあった適切な運転をすることができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、側方風向時に、側方風向板292の中央上下風向板291側の端部が中央上下風向板291に接近する如く移動すると共に、該側方風向板292の他端部が中央上下風向板291側の端部より大きく外方に突出する。
これにより、側方に気流を偏向するため側方風向板292が開いているときには、吹出し風路290を斜め下向き前方方向に流れてきた横流型送風ファン311の左右端部からの気流は左右端の風向板で確実に、側方風向板292に導かれる。側方風向板292は気流を更に横方向に偏向し、また、側方風向板292をより中央部に移動させることにより、より中央部の気流も捕らえ、室内機2の側方、斜め下向きに吹出す。
このように、左右端の左右風向板295で横流型送風ファン311の左右端部からの気流を側方風向板292の方向に偏向させ、側方風向板292で更に横方向に変更させることにより、確実に所要の気流を側方に偏向させる。このため、横流型送風ファン311の左右端部からの気流をより多く側方風向板292で捕らえ、側方に偏向する空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、側方風向時に、側方風向板292の中央上下風向板291側の端部が中央上下風向板291に接近する如く移動すると共に、該側方風向板292の他端部が中央上下風向板291側の端部より大きく外方に突出し、且つ、端部左右風向板295bを側方風向板292方向に傾斜させる制御装置を備えている。
これにより、側方に気流を偏向するため側方風向板292が開いているときに、吹出し風路290を斜め下向き前方方向に流れてきた横流型送風ファン311の左右端部からの気流が左右端の左右風向板295に誘導されて、側方風向板292に導かれ、また、側方風向板292をより中央部に移動させることにより、より中央部の気流も捕らえ、側方風向板292から室内機2の側方、斜め下向きに吹出す。
このように、片側端の左右風向板295、側方風向板292を連動させて開くように制御することにより所要の気流を側方風向板292から吹出させることができる。また、左右端の左右風向板295、左右の側方風向板292を連動させて開くように制御することにより、室内の左右方向の両側に亘る広い領域を同時に空気調和することができる。
このため、横流型送風ファン311の左右端部からの気流を確実に側方に偏向して吹出すことができ、従来死角領域であった部分の空気調和を実現できる。また、室内を広範囲に亘って同時に空気調和することもできる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、側方風向時に、端部左右風向板295bが側方風向板292に向けて左右に風向を偏向し、側方風向時以外には、該端部左右風向板295bが正面又は中央部に向けて風向を偏向する制御装置を備える。
これにより、側方に気流を偏向するため側方風向板292が開いているときには、吹出し風路290を斜め下向き前方方向に流れてきた横流型送風ファン311の左右端部からの気流を左右端の風向板で確実に、側方風向板292に導き、側方風向板292から室内機2の側方、斜め下向きに吹出す。
このように、左右端の左右風向板295で横流型送風ファン311の左右端部からの気流を側方風向板292の方向に偏向させることにより、確実に所要の気流を側方風向板292方向に誘導し、側方に偏向させる。また、気流を前方に吹出す、又は前方、若しくは反対側に集中させるときは、左右端の左右風向板295を正面又は中央部に向けることにより、吹出し風路290での気流の圧力損失を最小にして最大風量で運転したり、気流の拡散を抑制して気流をより遠くまで到達させたりすることができる。このため、横流型送風ファン311の左右端部からの気流を側方風向板292に誘導し、側方に偏向する空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、片側方風向時に、片側方の側方風向板292を側方風向の位置にすると共に、反対側の側方風向板292を中央風向時の位置にする制御装置を備える。
これにより、片側方に風向を偏向する場合、該片側方風向板292を側方風向の位置にする。また、左右風向板295を該片側に向ける。更に、反対側の側方風向板292を中央集中吹出しの位置にする。これにより、吹出し風路290の反対側端部の左右風向板295による偏向ができない風路の側壁沿いの気流も反対側の側方風向板292によって中央方向に偏向され、横流型送風ファン311から吹出される気流のすべてを片側に向けることができる。このため、送風ファン311からの気流を効率よく片側方に吹出させる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、片側方風向時、反対側の側方風向板292を閉じる制御装置を備えている。
これにより、左右いずれか一方のみに風向を向ける場合は、意図する風向の偏向に関与しない反対側の側方風向板292を閉じることで、この側の室内機2外観のデザインが乱されることがなくなる。このため、室内機2の外観の乱れを最小限にできる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、中央風向時に、側方風向板292の中央上下風向板291側の端部が他端部より大きく外方に突出すると共に、該端部が中央上下風向板291から離間する如く移動し、風路の側壁より中央寄りに位置する。
これにより、左右端の左右風向板295による偏向ができない風路の側壁沿いの気流も側方風向板292によって中央方向に偏向され、横流型送風ファン311から吹出される気流のすべてを中央に向けることができる。このため、送風ファン311からの気流を効率よく中央に集中して吹出させる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、前方風向時に、側方風向板292の中央上下風向板291側の端部が他端部より大きく外方に突出すると共に、該端部が中央上下風向板291から離間する如く移動し、風路の側壁より外側に位置する。また、左右風向板295を真直ぐ前方に向ける。
これにより、吹出し気流の最外側となる吹出し風路290の側壁沿いの気流も側方風向板292に衝突することなく室内に吹出され、吹出し風路290での通風抵抗が最小となる。このため、騒音が低くなると共に、風量が最大となり、空気調和の効率が上がり、節電になる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、前方風向時に、側方風向板292の中央上下風向板291側の端部が他端部より大きく外方に突出すると共に、該他端部が中央上下風向板291から離間する如く、中央上下風向板291側の端部が横流型送風ファン311の翼端の外方に移動する。
これにより、また、左右風向板295を真直ぐ前方に向ける。これにより、吹出し気流の最外側となる吹出し風路290の側壁沿いの気流も側方風向板292に衝突することなく室内に吹出される。このため、吹出し風路290での通風抵抗が最小となる。このため、騒音が低くなると共に、風量が最大となり、空気調和の効率が上がり、節電になる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、中央風向時又は前方風向時に、側方風向板292の中央上下風向板291側の端部を他端部より大きく突出させると共に、中央上下風向板291から離間させる如く移動させる制御装置を備える。
これにより、前方全般に送風する場合は両側方風向板292を吹出し気流の外に退避させ、左右風向板295を前方に真直ぐに伸ばし、吹出し風路290での気流の抵抗を最小にして、豊かな風量で室内全般に気流を行き渡させる。また、前方の一部に集中して送風する場合は両側方風向板292を吹出し気流の中で、側方風向板292に衝突した気流が室内機2中央部に向かうように開き、気流の中央への集中を助ける。
このように、使用者のニーズに合わせて、豊かな風量での省エネ運転と、前方の一部に集中して送風する指向性運転との使い分けができる。このため、使用者のニーズに合わせて、運転の使い分けができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、側方風向板292と横流型送風ファン311との間に、中央上下風向板291の左右端に段違いに連結された側方上下風向板291を設ける。
これにより、側方に吹出す気流に対して上下方向の偏向も加えることができる。このため、側方の空間に対して、より快適な空気調和が可能となる空気調和機を得ることができる。側方風向板292を中央に向けた場合、側方風向板292を吹出し風路290から退避させた場合にも、この側方部上下風向板291部を通過する気流に対して、上下方向の偏向を加えることができるのは言うまでも無い。
また、本実施例では、側方風向板292が少なくとも台枠と、台枠に取付けた迫出しモータと、迫出しモータにより台枠から迫出される迫出し台と、迫出し台に取付けた側方風向板292の駆動機構とから構成された側方風向板292開閉機構により開閉される。
これにより、側方風向板292が室内機2の外形から突出し、室内機2の外筐に妨げられることなく、側方風向板292に衝突した気流を側方又は中央部に偏向し、あるいは吹出し気流の外に退避して気流を妨げない位置を取ることができる。このため、室内機2からの調和空気の吹出し角度を大きく左右に偏向でき、且つ、停止時の室内の雰囲気を乱すことがない空気調和機を得ることができる。
また、本実施例では、駆動機構が、迫出し台に回動自在に固定され、迫出し台に搭載された側方風向板292駆動モータにより回動される内側回動アーム及び外側回動アームと、内外回動アームの先端に設けた内側アームピン及び外側アームピンと、内外アームピンに回動自在に取付けた内側レバー及び外側レバーと、内外レバー同士を回動自在に連結したレバーピンとを備え、迫出し台と共に5リンク機構を構成し、内外レバーのレバーピンに関して内外アームピンと反対側の端部に固定ピンを有すると共に、一方の固定ピンと回動可能な回動孔と、他方の固定ピンとスライド可能な案内溝とを有する側方風向板292に結合可能である。
これにより、左右1台づつの側方風向板292駆動モータにより、側方風向板292が少なくとも側方に風向を偏向する位置、中央集中吹出しにする位置及び最大風量で吹出す位置の3位置を採ることが可能となる。
すなわち、側方に風向を偏向するときには、側方風向板292の上下風向板291側の端部が該上下風向板291に接近する如く移動すると共に、該側方風向板292の他端部が該上下風向板291側の端部より大きく外方に突出する。
また、中央集中吹出しにするときには、側方風向板292の上下風向板291側の端部が他端部より大きく外方に突出すると共に、該端部が該上下風向板291から離間する如く移動し、風路の側壁より内側に位置する。
また、最大風量で吹出すときには、側方風向板292の上下風向板291側の端部が他端部より大きく外方に突出すると共に、該端部が該上下風向板291から離間する如く移動し、風路の側壁より外側に位置する。
このため、室内機2からの調和空気の吹出し角度を大きく左右に偏向でき、且つ、停止時の室内の雰囲気を乱すことがない空気調和機を得ることができる。
1…空気調和機、2…室内機、5…リモコン、6…室外機、8…接続配管、10…制御装置、21…筐体、23…化粧枠、25…前面パネル、27…吸込み口、29…吹出し口、31…室内送風機、32…換気装置、33…熱交換器、35…露受皿、37…ドレン配管、39…換気風路、231…プレフィルター、230a…上側空気吸込み部、230b…前側空気吸込み部、251…可動パネル、260…側方風向板開閉機構、261…台枠、261a…支持台、261b…台座、261c…迫出しガイド、265…迫出しモータ、265a…迫出しギアーA、265b、b’…迫出しギアーB、B’、265c、c’…迫出しギアーC、C’、266…連結棒、270…側方風向板駆動機構、271…迫出し台、271a、271a’…迫出しラック、271b…迫出しガイドピン、274…駆動モータ、274a…駆動ギアー、276…内側回動ギアー(アーム)、276a…内側ピン、276b…回動軸、278…外側回動ギアー(アーム)、278a…外側ピン、278b…回動軸、281…内側レバー、282…スライドピン、283…外側レバー、284…固定ピン、285…レバーピン、290…吹出し風路、290a…吹出し風路上壁、290b…吹出し風路下壁、290c…吹出し風路側壁、291…上下風向板、291a…主上下風向板、291a’…側方部上下風向板、291b…副上下風向板、292…側方風向板、292a…スライド溝、292b…回動孔、292c…前側案内板、292d…下側案内板、293…側方吹出し口、293a…内側側方吹出し口、293b…外側側方吹出し口、295…左右風向板、295a…中央左右風向板、295b…端部左右風向板、296…側方風路、311…送風ファン、313…送風モータ、311a…翼端、396…受光部、397…表示部。