JP4707925B2 - 切断機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば円形の鋸刃を回転させて切断材を切断する切断機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の切断機には、切断材を載置するテーブルと、モータにより回転する鋸刃を備えた切断機本体と、切断機本体をテーブルの上方であって切断方向にスライド可能に支持するスライド支持部を備えた、いわゆるスライドマルノコと称されるものが提供されている。このスライドマルノコにおける上記スライド支持部には、長い切断距離を確保するために切断方向に2段階(2組)のスライド機構を備えたものが提供されている。この2段スライド式の切断機の一例として、例えば特開2002−200601号公報に開示されたものがあった。
この従来の2段スライド式の切断機は、テーブルに対して第1スライドバーがその軸方向へスライド可能に支持され、この第1スライドバーに取り付けた中間スライド体に対して第2スライドバーがその軸方向であって、上記第1スライドバーと平行にスライド可能に支持され、この第2スライドバーの先端側に切断機本体が上下に傾動可能に取り付けられた構成となっている。この構成によれば、切断機本体の切断方向の移動距離(切断可能な長さ)は、最大で第1スライドバーによるスライド量と第2スライドバーによるスライド量の合計スライド量となるので、1段スライド式(スライド機構が1組のもの)の切断機に比してスライドバーを長くすることなく、あるいはテーブルを大型化することなくより長い切断距離を得ることができるので、切断幅の大きな切断材であっても効率よく切断作業を行うことができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−200601号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような2段スライド式の切断機には次のような問題があった。すなわち、第1スライドバーと第2スライドバーのスライド抵抗は部材の加工精度や組み付け精度等のばらつきにより厳密には同一ではない(各スライド機構自体のスライド抵抗の僅かな相違が存在する)ため、切断機を切断方向に移動させ始めると先ずスライド抵抗の小さい方のスライドバーが移動を開始し、このスライド抵抗の小さい方のスライドバーの移動が完了した後、スライド抵抗の大きい方のスライドバーが引き続いて移動し始める。すなわち、切断材を切断するために切断機本体を移動させた場合に、第1スライドバーと第2スライドバーが時間的にずれて移動する場合があった。
このような特性(くせ)を有する切断機において、さらに第1スライドバーと第2スライドバー相互の平行度が低い場合には、切断途中で切断機本体(切断刃)の移動方向が僅かに変化するため小さなスライド抵抗のスライドバーの移動による切断機本体の前半の移動によって形成された切断面と、大きなスライド抵抗のスライドバーの移動による後半の切断機本体の移動によって形成された切断面は連続した面一な切断面にはならず、切断途中で山形(または谷形、以下単に山形という)にわずかに折れ曲がった切断面(切断面に1本のスジが入った状態)となってしまう問題があった。
本発明は、この問題に鑑みなされたもので、切断距離を長く確保する等のために複数段のスライド機構を備えた切断機において、スライド機構の加工精度や組み付け精度の影響を受けることなく連続したきれいな切断面で切断作業を行うことができる切断機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本願発明は、前記各請求項に記載した構成の切断機とした。
請求項1記載の切断機によれば、切断機本体を切断開始位置から切断進行方向へ移動させると、スライド同期手段により複数組のスライド機構が確実に同期して動作するので、各スライド機構に相互間の平行度に差があっても、切断機本体は各スライド機構のほぼ合成方向へ移動し、従来のようにスライド機構が前半と後半とで切り換わることによって切断機本体の移動方向が不連続的に変化するといったことがなくなるので面一できれいな切断面の切断作業を行うことができる。
スライド同期手段には、ばねを用いることができる。このばねにより各スライド機構を付勢し、この付勢力に抗して切断機本体を切断開始位置から切断方向へ進行させることにより発生するばねの反発力を利用して各スライド機構を同期して動作させることができる。すなわち、各スライド機構自体に元々存在するスライド抵抗の微少な差を無視し得る程度に十分に大きな付勢力を有するばね(スライド同期手段)を各スライド機構に介装することにより、各スライド機構の実質的なスライド抵抗を同等に設定して各スライド機構のスライド動作を同期させることができる。
【0006】
請求項1記載の切断機によれば、切断機本体を切断進行方向へ移動させると、第1スライド機構と第2スライド機構が同期して作動し、これにより第1スライドバーがテーブルに対してスライドすると同時に第2スライドバーが中間スライド体に対してスライドする。このため、第1スライドバーと第2スライドバーとのごく僅かな平行度の差は吸収されて切断機本体は第1スライドバーのスライド方向と第2スライドバーのスライド方向の合成方向へスライドし、これにより切断途中においてスライド機構の切り換わりがなくなるので、面一できれいな切断面の切断加工を行うことができる。
請求項1記載の切断機によれば、切断機本体を切断開始位置から切断進行方向へ移動させると、第2スライドバーが第2ばね(第2スライド機構を付勢するばね)の付勢力に抗して中間スライド体に対してスライドするとともに、この第2ばねの付勢力が中間スライド体を経て第1スライドバーに付加される。第1スライドバーは、上記第2ばねの付勢力により第1ばね(第1スライド機構を付勢するばね)に抗してテーブルに対してスライドし、これにより第1および第2スライド機構が同期して動作することから、上記と同様の作用効果を奏する。第1ばねと第2ばねの付勢力の大きさ(ばね定数)は、いずれが大きくても小さくても同様の作用効果を得ることができるが、両スライド機構のスライド量が同じである場合は、その動作をよりきめ細かく同期させるには両スライド機構のばねのばね定数(付勢力)を同等に設定することが望ましい。これに対して両スライド機構のスライド量が異なる場合は、以下の関係を満たすばね定数とすることが望ましい。
(第1スライド機構のばね定数/第2スライド機構のばね定数)
=(第2スライド機構の全スライド量/第1スライド機構の全スライド量)
【0007】
請求項2記載の切断機によれば、切断機本体が切断開始位置に位置する状態では、第1スライドバーがテーブルに引き込まれた状態となっており、また第2スライドバーが中間スライド体から切断開始位置側(操作者側)へ引き出された状態となっている。また、第1および第2スライドバーは、それぞれテーブルおよび中間スライド体に対して片持ち状態でスライド支持されている。このため、切断機本体を切断開始位置に位置させ、この切断開始位置で作業者が切断機本体に対して押し下げ力(切断刃を切断材に切り込ませる力)を加えると、この押し下げ力による第2スライドバーのたわみは最も大きく、第1スライドバーのたわみは最も小さい状態となる。
作業者が切断機本体に対して押し下げ力を加えたままこの切断機本体を上記切断開始位置から切断進行方向へ移動させると、第2スライドバーが中間スライド体に対して徐々に引き込み方向へ移動するので、作業者の押し下げ力が一定であっても第2スライドバーのたわみは徐々に小さくなり、従って切断機本体は徐々に上方へ変位する。また、この第2スライドバーのスライドと同期して第1スライドバーがテーブルから徐々に突き出される方向へスライドするので、作業者の押し下げ力による第1スライドバーのたわみは徐々に大きくなり、従って切断機本体は徐々に下方へ変位する。
【0008】
ここで、切断刃をテーブル(切断材)に対して直角に位置させた状態(真っ直ぐに立てた状態)で行ういわゆる直角切りの場合には、切断機本体が多少上下に変位することは加工品質にほとんど影響ないといえる。これに対して、切断刃を切断進行方向に対して左方または右方へ傾斜した状態で行ういわゆる傾斜切りの場合には、第2スライドバーのたわみが減少することにより切断機本体が上方へ変位しながら切断進行方向へ移動することによって形成される切断面と、第1スライドバーのたわみが徐々に大きくなることにより切断機本体が下方へ変位しながら切断進行方向へ移動することによって形成される切断面は、従来であれば前記したように相互に連続した面一の切断面とはならず、山形に折れ曲がった切断面となる。
この点、請求項2記載の切断機によれば、スライド同期手段により第1スライドバーが第2スライドバーに確実に同期してスライドするので、第1スライドバーのたわみの変化と第2スライドバーのたわみの変化が相殺され、その結果切断機本体を上下方向に変位のない状態で切断進行方向に移動させることができ、従って傾斜切りの場合であっても切断進行途中で折れ曲がらない面一できれいな切断面(従って切断線は直線)で切断加工を行うことができる。
【0009】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る切断機1を示している。この切断機1は、切断材Wを載置するためのテーブル2と、円形の切断刃13を備えた切断機本体10と、切断機本体10をテーブル2に対して切断方向(図1において左右方向)にスライド自在に支持するためのスライド支持部20を備えている。
図1は、切断機本体10を切断開始位置に位置させた状態を示している。この切断機本体10に対して作業者は図示右側に位置している。従って、切断作業は、作業者が切断機本体10を最も手前側の切断開始位置に位置させた後、図示左方へ押しながら行われる。この明細書では、切断開始位置から図1において左方へ移動する方向を切断進行方向という。
テーブル2は、ベース3上に回転可能に支持されている。ベース3の両側部は、テーブル2の側方へ張り出されており、この張り出し部分には切断材Wの位置決めをするためのフェンス4が跨って取り付けられている。このため、テーブル2の回転位置に関係なくフェンス4は常時一定の位置に固定されている。フェンス4の前面4a(図1において右側面)は、テーブル2の回転中心に一致させられている。図中符号2aは、テーブル2をベース3に対して回転支持する支軸を示している。
【0010】
テーブル2の下面側には軸受け5,5を介して2本の第1スライドバー6,6が相互に一定の間隔をおいて平行な状態で切断方向へスライド自在に支持されている。両第1スライドバー6,6の図示右端側は連結バー8により一定の間隔に固定されている。また、両第1スライドバー6,6の図示左端側は中間スライド体30に固定されている。
両軸受け5,5と連結バー8との間であって両第1スライドバー6,6の一方には圧縮ばね(第1ばね7)が介装されている。このため、両第1スライドバー6,6は切断機本体10の切断開始位置側へスライドする方向(図において右方)へ付勢されている。この2本の第1スライドバー6,6および軸受け5,5が特許請求の範囲に記載した第1スライド機構(以下、符号Aを付す)を構成している。
テーブル2の後端側(図示左端側)にはストッパねじ9が設けられている。このストッパねじ9を締め込むと、両第1スライドバー6,6がスライド不能に固定される。
【0011】
次に、中間スライド体30は、傾動支持体21と傾動体22を備えている。傾動体22は、支軸23を介して回転可能に傾動支持体21に連結されている。傾動支持体21に対して傾動体22を回転させることにより切断機本体10を切断進行方向に対して左右方向(紙面に直交する方向)へ傾動させることができ、これによりいわゆる傾斜切りを行うことができるようになっている。レバー24を締め込み方向に回転させると、傾動体22ひいては切断機本体10の傾斜位置が固定される。レバー24を緩めると、傾動体22ひいては切断機本体10を任意の角度に傾斜させることができる。
傾動体22の上部には、支持体部22aが上方へ延びるように設けられている。この支持体部22aに軸受け25を介して2本の第2スライドバー26,26が相互に平行な状態で切断方向へスライド可能に支持されている。両第2スライドバー26,26の後端側(図示左端側)は連結バー28により一定の間隔に連結されている。両第2スライドバー26,26の前端側(図示右端側)は、切断機本体10の本体支持ブラケット11により一定の間隔に連結されている。また、両第2スライドバー26,26は、前記第1スライドバー6,6に対して平行に支持されている。この2本の第2スライドバー26,26および軸受け25,25が特許請求の範囲に記載した第2スライド機構(以下、符号Bを付す)を構成している。また、第1および第2スライド機構A,Bがスライド支持部20を構成している。
本体支持ブラケット11と支持体部22aとの間であって両第2スライドバー26,26の一方には圧縮ばね(第2ばね27)が介装されている。このため、切断機本体10および両第2スライドバー26,26は、支持体部22aに対して切断機本体10の切断開始位置側へ移動する方向に付勢されている。
【0012】
切断機本体10は、本体支持ブラケット11に対して支軸12を介して上下に傾動可能に支持されている。切断機本体10は、切断刃13を回転可能に支持するとともに切断刃13の上側半周の範囲を覆うブレードケース14を備えている。このブレードケース14の後端部14aが上記支軸12を介して本体支持ブラケット11に回動可能に連結されている。また、ブレードケース14の後端部14a寄りの位置には、ストッパボルト18が設けられている。このストッパボルト18が、本体支持ブラケット11に設けたストッパプレート部11aに当接することにより、当該切断機本体10の下側の傾動端位置が規制されている。切断作業は、上記ストッパボルト18をストッパプレート部11aに当接させた位置を含む傾動範囲内で切断機本体10を押し下げつつ当該切断機本体10を図1において左方へ移動させることにより行われる。
切断刃13は、ブレードケース14の背面側(図1では見えていない側)に配置した電動モータにより回転する。ブレードケース14の上部には、作業者が把持するためのハンドル15が設けられている。ハンドル15の内周側にはトリガ形式のスイッチレバー17が配置されている。作業者がハンドル15を把持した手でこのスイッチレバー17をオン操作すると、上記電動モータが起動して切断刃13が回転する。
切断刃13の下側半周の範囲は、図中二点鎖線で示したセーフティカバー16により覆われるようになっている。このセーフティカバー16は、切断機本体10の上下動に連動して開閉する。図1に示すように切断機本体10を下方へ傾動させると、セーフティカバー16は図中二点鎖線で示すように図示反時計回り方向へ回動して開かれる。セーフティカバー16が開かれると、切断刃13の下側半分が露出されて、切断材Wを切断することができる。切断機本体10を上方へ戻すと、セーフティカバー16は時計回り方向に回動して切断刃13の下側半周を覆う。
【0013】
以上のように構成した本実施形態の切断機1(2段スライド式のマルノコ)によれば、スライド支持部20を構成する2組のスライド機構A,Bにより切断機本体10はテーブル2に対して切断方向(図示左右方向)にスライド可能であり、スライド可能な範囲で切断機本体10をスライドさせることにより長い距離を切断することができるので、切断幅の大きい切断材Wであっても1回の切断作業で効率よく切断することができる。
また、両スライド機構A,Bの第1および第2スライドバー6,6、26,26のそれぞれの一方には圧縮ばね7,27が介装されており、これにより切断機本体10が切断開始位置側へ付勢されている。このため、切断機本体10の切断進行方向への移動は、圧縮ばね7,27に抗してなされる。圧縮ばね7,27に抗して切断機本体10を図1において示す切断開始位置から切断進行方向へ向けて(図1において左方へ向けて)移動させると、圧縮ばね27の付勢力が支持体部22aに付加され、この付勢力が傾動体22および傾動支持体部21ひいては第1スライドバー6,6を図示左方へスライドさせる外力として作用する。両第1スライドバー6,6の図示左方へのスライドは圧縮ばね7に抗してなされる。
【0014】
このように切断機本体10を切断進行方向へ移動させると、圧縮ばね27の付勢力により第1スライド機構Aが第2スライド機構Bに同期して同じ方向へスライドする。このことから、本実施形態における第1および第2の圧縮ばね7,27が特許請求の範囲に記載したスライド同期手段の一実施形態に相当する。このため、切断機本体10の移動距離は、第2スライド機構Bにおける第2スライドバー26,26のスライド距離と第1スライド機構Aにおける第1スライドバー6,6のスライド距離の合計距離に相当する。
また、第2スライド機構Bの両第2スライドバー26,26と、第1スライド機構Aの両第1スライドバー6,6は同期してスライドするので、切断機本体10の移動方向(切断刃の移動方向)は第1スライドバー6,6のスライド方向と第2スライドバー26,26のスライド方向との合成方向となる。
このことから、関係する部材あるいは部位の加工精度や組付け精度等の理由から第1スライドバー6,6と第2スライドバー26,26との相互の平行度(特に切断進行方向左右の平行度)の精度が低い場合すなわち第1スライドバー6,6と第2スライドバー26,26のスライド方向が僅かにずれている場合であっても、切断機本体10はその合成方向へ移動することから切断面は面一になり、従って切断面がきれいな切断加工を行うことができる。
この点、スライド同期手段を備えていない切断機において、切断機本体を切断進行方向へ移動させると、各スライド機構自体のスライド抵抗等の僅かな相違から先ず一方のスライド機構だけがスライドし、この一方のスライド動作が完了した後、他方のスライド機構のスライド動作が開始される場合には、図2において破線で示すように切断途中において切断刃の移動方向が変化するため切断線S1は途中で折れ曲がってその切断面P1は面一にならず切断途中で屈曲した切断面P1となり、その結果図3および図4に示すように切断方向途中に1本のスジJが入ったような切断面P1となる。なお、図2において、切断線S0は本実施形態に係る切断機1を用いて切断した場合の切断線を示している。この切断線S0は切断線S1とは異なってほぼ直線になっている。
【0015】
また、第1スライドバー6,6と第2スライドバー26,26のスライド方向が僅かにずれていても、第2スライド機構Bの両第2スライドバー26,26に同期して第1スライド機構Aの両第1スライドバー6,6がスライドするので、切断機本体10を切断進行方向に対して左方または右方へ傾斜させていわゆる傾斜切りを行う場合であっても図5〜図7において実線で示すようにほぼ面一の切断面P0できれいな切断加工を行うことができる。
逆に、スライド同期手段を備えていない従来の切断機の場合であって、切断機本体10を切断進行方向へ移動させると、各スライド機構自体のスライド抵抗等の相違から先ず一方のスライド機構だけがスライド動作し、この一方のスライド動作が完了した後、他方のスライド機構のスライド動作が開始される場合には、スライド機構のたわみが徐々に減少してゆく状態と徐々に増大してゆく状態が時間的にずれて発生するため、傾斜切りの切断面P2は、図5に示すように切断進行方向の途中で山形に折れ曲がって前半の切断面P2aと後半の切断面P2bが相互に不連続に連なった切断面P2となる。図5〜図7では、山形および谷形に折れ曲がった切断面P2が破線で示されている。また、図5〜図7では、本実施形態に係る切断機1により傾斜切りした場合の切断面P0および切断線S2が実線で示されている。切断面P0および切断線S2は、切断面P2および切断線S3とは異なって滑らかかつほぼ平坦で面一な切断面および直線となっている。また、切断面P0および切断線S2は、切断材Wの側面WS(フェンス4の前面4aに当接される面)に対して直交する切断面P0、切断線S2となっている(フェンス4の前面4aを切断刃13に対して直交させて行う切断形態の場合)。
このように本実施形態およびこれを含む本願発明によれば、複数のスライド機構の相互の平行度が精確でない場合、あるいは作業者の押し付け力によって当該スライド機構にそれぞれたわみが発生する場合であっても、これらを同期してスライド動作させることにより、切断機本体10の進行方向が切り換わる状態を排除し、これにより切断面P0を面一にすることができ、また切断面P0および切断線S2が切断材Wの側面WSに対して直角になる状態で切断することができる。
なお、図5および図6では、理解を容易にするために、切断面P2(切断面P2a,P2b)の山形形状および谷形形状が実際よりも誇張して示されている。
【0016】
本実施形態においても、作業者が切断機本体10を押し下げつつこの切断機本体10を切断開始位置から切断進行方向へ移動させることにより、第2スライドバー26,26が支持体部22aに対して徐々に引き込み方向(図1において左方)へ移動するので、第2スライドバー26,26のたわみ(作業者の押し付け力による切断機本体10の下方への変位)が徐々に小さくなる一方、この第2スライドバー26,26のスライド動作と同期して第1スライドバー6,6がテーブル2から徐々に突き出される方向(図示左方)へスライドし、従って第1スライドバー6,6のたわみが徐々に大きくなる。しかしながら、本実施形態の場合は、第2スライドバー26,26のたわみが徐々に小さくなる状態(たわみの減少傾向)と、第1スライドバー6,6のたわみが徐々に大きくなる状態(たわみの増加傾向)が合成されることにより切断機本体10の進行方向が途中で切り換わることがなく、従って切断面P0はほぼ平坦できれいな切断面となる。
【0017】
切断幅が小さく、2段階のスライド機構A,Bを必要としない場合には、ストッパねじ9を締め込んで、第1スライド機構Aを機能しないようにし、切断機本体10の切断方向の移動を第2スライド機構Bのみで行うことができる。この場合には、そもそも切断面が山形あるいは谷形に屈曲した面になることはない。複数のスライド機構間における平行度によりスライド方向がずれると言ったことがないからである。
なお、第2スライド機構B側にストッパねじを設けて、第1スライド機構A側のみで切断機本体10のスライド動作を行う構成とすることもでき、また、第1および第2スライド機構A,B双方にストッパねじを設けて、任意の一方のスライド機構のみで切断機本体10をスライド動作させる構成とすることができる。
【0018】
以上説明した実施形態には種々変更を加えて実施することができる。例えば、スライド同期手段として、第1および第2ばね7,7、27,27を用いる構成を例示したが、これに代えて例えば第1スライドバー6,6と第2スライドバー26,26との間にギヤ列を介装し、あるいはベルト伝達機構を介装することにより第1スライド機構Aと第2スライド機構Bの動作を同期させる構成としてもよい。
また、第1および第2スライドバー6,6、26,26のそれぞれの一方にばね7,27を介装する構成を例示したが、それぞれ両方のスライドバー6,6、26,26にばね7,7、27,27を介装する構成としてもよい。また、圧縮ばね7,27に代えて引っ張りばねを用いることもできる。この場合、引っ張りばねは、軸受け5および支持体部22aに対して例示した圧縮ばね7,27とは反対側に装着すればよい。
また、第1および第2スライド機構A,Bを備えた2段スライド式の切断機1を例示したが、3段以上のスライド機構を備えた切断機であっても同様の構成を適用することができ、これによっても同様の作用効果を得ることができる。
さらに、切断機本体10の切断進行方向への移動により、支持体部22aへ引き込み方向へ移動する第2スライドバー26,26を例示したが、切断機本体10が第2スライドバー26,26の後端部に取り付けられて、切断機本体を切断進行方向へ移動させると第2スライドバー26,26が支持体部から突き出される方向に移動する構成とした切断機にも同様に適用することができる。
さらに、スライド機構A,Bはスライドバー6,26と軸受け5,25を主体とし、スライドバー6,26が片持ち支持される構成を例示したが、ほぼ全長にわたって固定したレールと、このレールに対して移動可能に設けた移動体を有するスライド機構を用いることができる。この場合は、レールのたわみを考慮する必要がないが、各スライド機構が同期して動作することにより、切断面の屈曲を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す図であり、切断機(スライドマルノコ)の全体側面図である。
【図2】 切断材の平面図であって、直角切りの場合の切断線の様子を実施形態と従来とで比較して示す図である。
【図3】 図2において直角切りした切断面を矢印(3)方向から見た図である。
【図4】 直角切りした切断部の斜視図である。
【図5】 傾斜切りした切断部の斜視図である。
【図6】 傾斜切りした切断部の平面図である。
【図7】 傾斜切りした切断部の側面図である。
【符号の説明】
A…第1スライド機構
B…第2スライド機構
W…切断材
1…切断機(スライドマルノコ)
2…テーブル、2a…支軸
6…第1スライドバー
7…第1ばね(圧縮ばね)
9…ストッパねじ
10…切断機本体
13…切断刃
20…スライド支持部
21…傾動支持体
22…傾動体
26…第2スライドバー
27…第2ばね(圧縮ばね)
30…中間スライド体
S0〜S3…切断線
P0〜P2…切断面
P2a…切断進行方向の途中で屈曲する切断面の切断前半の切断面
P2b…切断進行方向の途中で屈曲する切断面の切断後半の切断面
Claims (2)
- 切断材を載置するためのテーブルと、切断刃を備えた切断機本体と、該切断機本体を前記テーブルに対して切断方向にスライド可能に支持するスライド支持部を備えた切断機であって、
前記スライド支持部は、相互に平行に段階的に連設された第1及び第2のスライド機構と、該第1及び第2のスライド機構を同時に動作させるためのスライド同期手段を備え、
前記第1スライド機構は、前記テーブルに軸方向スライド可能に支持された第1スライドバーを備え、前記第2スライド機構は、該第1スライドバーに取り付けられた中間スライド体に軸方向スライド可能に支持された第2スライドバーを備え、該第2スライドバーに切断機本体が取り付けられた構成とされ、
前記スライド同期手段は、前記第1及び第2のスライド機構のそれぞれについて圧縮ばねを用いて前記切断機本体を切断開始位置側へ付勢した構成とされ、一方のスライド機構の圧縮ばねの付勢力に抗してなされる前記切断機本体の切断進行方向への移動により発生する他方のスライド機構の圧縮ばねの反発力を利用して前記第1及び第2のスライド機構を相互に同期させる構成として、
前記切断機本体の移動方向を、前記第1スライドバーのスライド方向と前記第2スライドバーのスライド方向の合成方向として前記切断材の切断面を面一化する構成とした切断機。 - 請求項1に記載した切断機であって、前記切断機本体が切断開始位置から切断進行方向へ移動すると、前記第1スライドバーが片持ち状態で前記テーブルから突き出される方向へスライドする一方、前記第2スライドバーが片持ち状態で前記中間スライド体に引き込まれる方向へスライドする構成とした切断機。
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JPS6320507Y2 (ja) * | 1982-04-15 | 1988-06-07 | ||
JPS63312034A (ja) * | 1987-06-15 | 1988-12-20 | Kitagawa Tekkosho:Kk | スライド・テ−ブル装置 |
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JP2002137026A (ja) * | 2000-10-31 | 2002-05-14 | Oiles Ind Co Ltd | プレス金型用カム |
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