JP4707819B2 - 着色のないパーフルオロアルキルジエチレンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、光学用コーティング剤や撥水撥油剤の原料として有用な二官能性パーフルオロアルキルジエチレン(以後、RfdVと略記する)の製造法に関するものである。
【0002】
更に詳しくは、第1工程としてパーフルオロアルキレンジアイオダイド(以後、RfdIと略記する)とエチレンを反応させ、パーフルオロアルキル−ジ(エチルアイオダイド)(以後、RfdEIと略記する)を製造し、次に第2工程として、第1工程で製造したRfdEIと水酸化カリウムと反応させ、高純度かつ着色のないRfdVを製造する改良された方法を提供するものである。
【0003】
【従来の技術】
含フッ素有機化合物は、フッ素原子の特徴を利用して、耐候性に優れた塗料、撥水撥油性のあるエラストマー、衣類の防護剤、シリコン誘導体などに用いられてきた。最近、エレクトロニクス分野の著しい進歩に伴ない、含フッ素有機化合物は、光ファイバー、レンズ、ブラウン管、液晶分野などに使用され始めている。この新しい用途分野は、従来では全く問題とならなかった光学的に高度な性能が必要とされている。
【0004】
本発明のRfdVは、含フッ素有機化合物であり、その分子構造は、パーフルオロアルキル基の両末端にビニル基を有する2官能性モノマーである。RfdVは、その分子構造から光学機器や部材に用途が拡大すると期待されている。しかし、この光学分野では、機器や部材の光学的な機能や性能が極めて重要であり、原料として使われるRfdVの僅かな着色や経時変化が全く許されない。即ち、光学用途のRfdVは、高純度であること、着色がないこと、着色を起こさないことが必須の条件である。この性能がないRfdVは、光学分野には利用できず、殆ど価値がないと言ってよい。
【0005】
これまで、RfdVの製造方法としては、第1工程としてRfdIとエチレンを反応させRfdEIを製造し、次に第2工程として、前述のRfdEIと水酸化カリウムと反応させRfdVを製造する方法が公知である。
【0006】
第1工程のエチレン挿入反応は、触媒、例えば、微粉末金属、金属錯体、またはラジカル開始剤を存在させて反応を行う方法が知られている。
【0007】
例えば、米国特許第4,058,573号は、ラジカル開始剤、例えば、アゾビスイソブチルニトリルや有機過酸化物、を触媒として行なう方法を開示している。本引例では、有機過酸化物としてベンゾイルパーオキサイドを使用し、RfdIとエチレンを温度90〜95℃で、23時間反応している。このとき生成したRfdEIには、2つの微量な不純物が含まれ、ヘキサン溶媒から再結晶している。この引例のような不純物は、微量であってもRfdVの着色原因となるほか、再結晶による精製が必要となり、光学用途としては満足できるものではない。
【0008】
また、Manseriらは、ヨウ化銅を触媒として、アセトニトリル中でRfdIとアルケンと反応させる方法を開示している(Journal of Fluorine Chemistry, p151-158, vol73(1995))。しかし、本引例では、使用した触媒を除くため複雑な工程が必要となり、褐色に着色したRfdEIをヘキサン溶媒から晶析している。また、本引例は、触媒として様々なラジカル開始剤を使用する例も開示している。その中に、ラジカル開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキサイド(以後、DTBPと略記する)を用いて、135℃で反応した例が開示されている。本発明者らは、本引例に基づき注意深く追試を行なった結果、RfdEIに、さらにエチレンが片側に1個以上挿入したテロマーがかなり生成していることが判明した。このテロマーは、第2工程での脱HIが容易ではなく、蒸留による分離も難しいため、ヨウ素源が残り着色してしまうといった欠点を有している。
【0009】
また、Ruなどの金属を触媒として、RfdIとエチレンを反応させる方法が開示されている(特開昭60−106533号公報)。本引例では、反応率98.5%、収率97.8%と高収率が得られている。しかし、未だ少量の原料や中間体が残っており、反応温度が170℃と高く、さらに反応時間が33時間と長いことも相俟って、生成物に着色が見られるほか、触媒の分離操作が必要といった欠点を有している。
【0010】
さらに、(Ph3P)2Ni(CO)2などの金属錯体を触媒として、RfdIとエチレンを反応させる方法が開示されている(DE 3,338,299)。本引例では、反応率100%、選択率97.3%と高収率が得られている。しかし、この錯体系触媒は、工業的に入手し難い化合物であるほか、反応系に溶解しており、反応後に、蒸留工程などによる分離が必要となる。そのため、プロセスが長くなるとか、蒸留による錯体化合物の分解などが発生し着色の原因となる。
【0011】
一方、第2工程のRfdEIからRfdVの製造方法としては、アルコール溶媒中、RfdEIと水酸化カリウムを反応させる方法や活性亜鉛で処理する方法が公知である。
【0012】
例えば、前述のManseriらは、RfdEIのアルコール溶液を、KOHのアルコール溶液に加え、加温して反応を行っている(Journal of Fluorine Chemistry, p151-158, vol73(1995))。この工程では、アルコールに溶解したRfdEIとKOHの反応は容易に進行し、対応するRfdVを生成する。しかし、第1工程で生成したRfdEIにRfdEIのテロマーやRfdIにエチレンが1個だけ挿入した不純物が含まれると、これらは、KOHと反応が遅かったり、反応が進行しなかったりする。そのため、これら有機ヨード化合物は残存し、着色を起こす原因となる。例えば、特開平4−297425号公報には、RfdV中の残存ヨウ素を還元剤としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属を使用し、紫外線照射下に除去する方法が開示されている。
【0013】
しかし、この引例の方法では、反応工程が一段長くなり、工業的に複雑であり、エネルギー的にも工業的な製法としては満足できない。さらに、第1工程から第2工程で取り扱うRfdEI化合物は、悪臭がひどく、蒸留、晶析、粉砕または溶解などの操作を行う工程では、良好な作業環境を確保することが重要な課題となっている。
【0014】
このように、従来の方法では、光学用途に向けた、着色がなく、高純度のRfdVを製造するには、第1工程、第2工程ともにそれぞれ問題があり、プロセス全体としても着色を防止するための製造技術が求められていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術では製造不可能であった、光学分野等で利用可能な、高純度で着色のないRfdVを高収率で得るための改良された方法および高純度で着色のないRfdVを製造するのに適したRfdEIの製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、RfdIとエチレンを反応させ、RfdEIを製造する第1工程について検討した。その結果、従来の方法では、未反応の原料が残ったり、エチレンが片側だけに1個入った化合物、エチレンが片側に2個以上挿入した不純物が生成することが解った。これらの未反応の原料や不純物は、第2工程において、脱HIが起こらず、蒸留などの精製でも取り除くのは困難であるためヨウ素が残り、目的生成物であるRfdVが着色すること、第1工程で使用される極性溶媒が着色の原因となり易いこと、使用する触媒によってはRfdVに着色を起こすこと、第1工程で生成したRfdEIを大気中に暴露すると着色し易いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
即ち、本発明は、一般式(1)
I(CnF2n)I (1)
(式中、nは4ないし10の整数を表す)
で表されるRfdIとエチレンを無溶媒下に、触媒として所定量のDTBPを用い、90℃以上130℃以下で反応させることを特徴とする一般式(2)
ICH2CH2(CnF2n)CH2CH2I (2)
(式中、nは前記定義に同じ)
で表される高純度RfdEIの製造方法、
および得られた一般式(2)で表される高純度RfdEIを、そのまま溶融状態でメタノール中に導き微細な結晶として晶析分散させ、次に水酸化カリウムと反応させることを特徴とする、着色のない一般式(3)
CH2=CH(CnF2n)CH=CH2 (3)
(式中、nは前記定義に同じ)
で表されるRfdV製造方法に関するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0019】
本発明において使用される原料は、RfdI、エチレン、DTBP、メタノールおよび水酸化カリウムである。
【0020】
本発明によれば、RfdIとは、前記一般式(1)で示される化合物である。パーフルオロアルキレン基は炭素数が4〜10の弗素化されたアルキレン基である。一般式(1)で表されるRfdIの具体例としては、例えばパーフルオロブチレンジアイオダイド(以後、C4dIと略記する)、パーフルオロヘキシレンジアイオダイド(以後、C6dIと略記する)、1,4−ジアイオダイド−2,2−ビストリフルオロメチル−パーフルオロブタン等が挙げられる。RfdIの純度に特に制限はないが、望ましくは95%以上のものを用いるのが好ましい。これらRfdIは、通常液体もしくは固体であるが、望ましくはそのまま溶融し、無溶媒下に反応に使用する。
【0021】
原料のエチレン、DTBP、メタノールおよび水酸化カリウムは、通常の市販品が使用できる。
【0022】
本発明における目的物であるRfdEIは、前記一般式(2)で示される化合物であるが、前記RfdIに対応するジエチル化された化合物であって、具体的には、パーフルオロブチル−ジ(エチルアイオダイド)(以後、C4dEIと略記する)、パーフルオロヘキシル−ジ(エチルアイオダイド)、1,8−ジアイオダイド−4,4−ビストリフルオロメチル−3,3,5,5,6,6−ヘキサフルオロオクタンパーフルオロブタン等が挙げられる。
【0023】
さらに、RfdVとしては、前記一般式(3)で示される化合物であるが、前記RfdIに対応するジエチレン化された化合物であって、具体的には、パーフルオロブチルジエチレン(以後、C4dVと略記する)、パーフルオロヘキシルジエチレン、1,8−ジビニル−4,4−ビストリフルオロメチル−パーフルオロブタン等が挙げられる。
【0024】
次に、これらの原料を用いて反応を行なう。第1工程の反応は、例えば、撹拌機および温度計を備えた加圧容器を用いて行なう。まず加圧容器にRfdIとDTBPを仕込む。次に加圧容器を閉じ、空隙の空気を反応に対して不活性ガスで十分に置換する。ここで使用する不活性ガスは、例えば、窒素、エチレン、アルゴン、炭酸ガス等が挙げられる。その後、加圧容器を昇温し、RfdIの融点以上になったら撹拌する。所定温度に達したらエチレンの送入を開始する。
【0025】
本発明方法において、触媒として使用するDTBP量は、原料のRfdIに対して2.5mol%以上15mol%以下であり、好ましくは2.5mol%以上10mol%以下である。2.5mol%以下では反応率が低下する。一方、15mol%を越えるとDTBPが必要以上となり、経済性が損なわれる。
【0026】
本発明方法における反応温度は、90℃以上130℃以下であり、好ましくは90℃以上125℃以下である。90℃以下では反応率が低下する。一方、130℃を越えるとエチレンが多く入った不純物が生成し、選択率が低下し、高純度のRfdEIが得られないばかりか、着色の原因となる。
【0027】
本反応における反応圧力は特に制限はないが、0.3MPa以上1.5MPa以下が好ましい。0.3MPa以下では、吸収速度が遅く反応時間が長くなる。一方1.5MPaを越えると加圧容器に掛かる設備費が増大し、好ましくない。
【0028】
撹拌速度は加圧容器の大きさや形状に応じて異なるが、撹拌が十分にできる速度を選択すればよい。
【0029】
本発明方法における反応時間は1時間から8時間で行ない、RfdIの転化率を100%にする。反応時間が短すぎると、未反応の原料が残るとか、エチレンが片方に入った副生成物が生成する。また、反応時間が長すぎると触媒が失活したり、エチレンが片側に2個以上挿入された副生物が副生成する。
【0030】
本発明によれば、本反応終了後、加圧容器を冷却し、未反応のエチレンを不活性ガスでパージする。しかる後に加圧容器から所望の高純度RfdEIを得る。
【0031】
一方、第2工程の反応は、例えば撹拌機、温度計、冷却器および滴下装置を備えた反応容器を用いて行う。まず反応容器にメタノールを仕込む。その後、前工程で得られた高純度RfdEIを、溶融したままメタノール中に導き、微細な結晶として晶析分散させ攪拌する。この際、空気に曝されると着色の原因になるので、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気で実施するのが望ましい。そこにメタノールに溶解した水酸化カリウムを滴下して反応を行なう。本発明における反応雰囲気は特に限定されないが、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気で実施するのが望ましい。
【0032】
本発明方法において、分散剤および除熱剤として使用するメタノールの量は原料の高純度RfdEIに対して1倍量(重量)以上10倍量(重量)以下であり、好ましくは1倍量(重量)以上5倍量(重量)である。1倍量(重量)以下では除熱するのが難しく、収率が低下するので好ましくない。一方10倍量(重量)を越えると反応器が大きくなり経済性が失われ工業的に好ましくない。
【0033】
本発明方法における反応温度は20℃以上50℃以下であり、好ましくは20℃以上40℃以下である。反応温度が20℃未満では反応の進行が遅くなる。一方40℃を越えると不純物が生成し、RfdVの選択率が低下するため実用的ではなくなる。
【0034】
本発明方法において、原料の水酸化カリウムはメタノールに溶解させ撹拌下に逐次添加し反応させる。添加する速度は反応温度が20℃以上50℃以下になるように行なえばよい。添加する水酸化カリウムのモル比は、高純度RfdEIに対して2.1以上4.0以下、好ましくは2.5以上3.0以下である。2.0未満では必要量以下となり収率が著しく低下する。一方4.0を越えると水酸化カリウムが必要以上となり、経済性が損なわれる。
【0035】
撹拌速度は加圧容器の大きさや形状に応じて異なるが、撹拌が十分にできる速度を選択すればよい。
【0036】
本発明によれば本反応終了後、反応液に水を加え、撹拌、静置すると下層の粗RfdV相と上層のメタノール−水溶液相の2層に分離できる。この時使用する水の量はメタノールに対し0.5倍量以上10倍量以下であり、好ましくは1倍量以上5倍量以下である。水量が0.5倍量未満ではメタノールを十分に抽出できない。一方10倍量を越えるとメタノールを回収する水量が多くなり経済性が損なわれる。得られた粗RfdVは、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧蒸留により着色のない高純度RfdVを得ることができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を具体的に実施例にて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでない。
【0038】
実施例1
撹拌機および温度計を備えた5L加圧容器に、2000g(4.41モル)のC4dI(純度99.5%)と20.0g(0.13モル)のDTBP(純度99.3%)を仕込んだ。次に加圧容器を閉じ、空隙の空気を窒素で十分に置換した。その後800rpmで撹拌しながら115℃まで昇温した。そこへ反応温度を115℃から125℃に保ちながらエチレンを徐々にフィードした。発熱がおさまった後徐々に圧力を上げ、1.2MPaに保ち、1時間熟成を行なった。熟成終了後、加圧容器を室温まで冷却し、未反応のエチレンを窒素置換し高純度C4dEI 2244g得た。ガスクロマトグラフによる反応率は100%、選択率は99.9%であった。
【0039】
実施例2
撹拌機、温度計、冷却器および滴下装置を備えた5L四口フラスコに、実施例1で得られた高純度C4dEI500g(0.98モル)を溶融したまま600g(18.8モル)のメタノールに分注し、分散晶析させ、窒素雰囲気下に、800rpmで撹拌しながら溶液の温度を25℃まで冷却した。そこへ反応温度を30℃から40℃に保ちながら、メタノール600g(18.8モル)に170g(3.03モル)の水酸化カリウムを溶解したメタノール溶液を滴下した。滴下終了後5時間熟成を行なった。熟成終了後、2Lの水を加え、30分撹拌した後、30分間静置し2層分離させた。下層の粗C4dV相を取り出し、硫酸ナトリウムで乾燥させたところ247gのC4dVを得た。ガスクロマトグラフによる反応率は100%、選択率は99.6%であった。これを減圧で蒸留し、着色のない純度99.8%のC4dV 235.7gを得た。色相(APHA)は#5以下で、着色はなかった。
【0040】
実施例3
実施例1と同一の容器に、1900g(3.43モル)のC6dI(純度99.3%)と20.0g(0.14モル)のDTBPをとり、実施例1と同一の反応条件下で反応を行なった。その結果、高純度のC6dEIを2074g得た。
ガスクロマトグラフによる反応率は100%、選択率は99.9%であった。
【0041】
実施例4
実施例2と同一の容器に、実施例3で得られた高純度C6dEI500g(0.82モル)を溶融したまま600g(18.8モル)のメタノールに分注し、分散晶析させ、窒素雰囲気下に、800rpmで撹拌しながら溶液の温度を25℃まで冷却した。ここへ反応温度を30℃から40℃に保ちながら、メタノール600g(18.8モル)に140g(3.03モル)の水酸化カリウムを溶解したメタノール溶液を滴下した。滴下終了後6時間熟成を行なった。熟成終了後、実施例2と全く同様の操作を行ない、291gのC6dVを得た。ガスクロマトグラフによる反応率は100%、選択率は99.7%であった。これを減圧で蒸留し、着色のない純度99.9%のC6dVを267.1g得た。色相(APHA)は#5以下で、着色はなかった。
【0042】
比較例1
実施例1のDTBPの代わりに32.2g(0.14モル)の2,2’ −アゾビスメチルイソイブチレートを用いた以外は、実施例1と同一の反応条件下で反応を行った。その結果、C4dEIを233g得た。ガスクロマトグラフによる反応率は23.0%、選択率は10.4%であった。
【0043】
比較例2
実施例1のDTBPの代わりに33.9g(0.14モル)のベンゾイルパーオキサイドを用いた以外は、実施例1と同一の反応条件下で反応を行った。その結果、C4dEIを1034g得た。ガスクロマトグラフによる反応率は60.5%、選択率は46.0%であった。
【0044】
比較例3
反応温度135℃で、実施例3と同一の反応条件下で反応を行なった。その結果、C6dEIを1704g得た。ガスクロマトグラフによる反応率は89.6%、選択率は91.0%であった。また、さらにエチレンが1個挿入されたものが7.5%生成していた。
【0045】
比較例4
反応温度を80℃に保った以外は、実施例3と同一の反応条件下で反応を行なったが、全く反応せず、C6dEIは得られなかった。
【0046】
比較例5
比較例3で得られた低純度のC6dEI500g(0.82モル)を実施例4と同一の条件下で反応を行なった。その結果、C6dV 268.3gを得た。ガスクロマトグラフによる反応率は100%、選択率は96.3%であった。これを減圧で蒸留し、純度97.9%のC6dVを253.3g得たが、色相(APHA)は#50以下で、着色していた。
【0047】
比較例6
実施例2と同一の容器に、実施例3で得られた高純度C6dEI500g(0.82モル)を冷却し固体のまま600g(18.8モル)のメタノールに投入した後、実施例2と全く同様の操作を行なった。その結果、286gのC6dVを得た。ガスクロマトグラフによる反応率は98.3%、選択率は97.1%であった。これを減圧で蒸留し、純度98.9%のC6dVを266.1g得たが、色相(APHA)は#30以下で、着色していた。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、RfdVの製造法において、高収率で目的とする生成物を得るのみならず、従来技術では不可能であった高純度な着色のない生成物を得ることが可能となり、光学用原料として利用することが可能となった。
Claims (2)
- 一般式(1)
I(C n F 2n )I (1)
(式中、nは4ないし10の整数を表す)
で示されるパーフルオロアルキレンジアイオダイドとエチレンを、反応温度90℃以上130℃以下、触媒としてジ−tert−ブチルパーオキサイドの存在下反応させ、一般式(2)
ICH 2 CH 2 (C n F 2n )CH 2 CH 2 I (2)
(式中、nは前記定義に同じ)
で表される高純度パーフルオロアルキル−ジ(エチルアイオダイド)を製造し、前記一般式(2)で表される高純度パーフルオロアルキル−ジ(エチルアイオダイド)を、溶融状態でメタノール中に導き、微細な結晶として晶析分散させ、次に水酸化カリウムと反応させることを特徴とする、着色のない一般式(3)
CH2=CH(CnF2n)CH=CH2 (3)
(式中、nは前記定義に同じ)
で表されるパーフルオロアルキルジエチレンの製造方法。 - パーフルオロアルキルジエチレンが、パーフルオロヘキシルジエチレンである請求項1に記載の製造方法。
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