JP4707318B2 - アルミニウム合金材の接合方法並びにプレス成形用接合材 - Google Patents

アルミニウム合金材の接合方法並びにプレス成形用接合材 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金材の接合方法並びにプレス成形用接合材に係り、特に、T4調質した6000系アルミニウム合金(Al−Mg−Si系合金)からなるアルミニウム合金材の有利な接合方法と、そのような接合方法を利用して得られるプレス成形用接合材に関するものである。
従来から、各種のアルミニウム合金からなる板材や押出形材等の所謂アルミニウム合金材をプレス成形することによって、日用品や機械部品、建材等、多種多様なプレス製品が、製造されている。また、近年では、例えば、自動車のアウター材やインナー材等のボデーパネルやホイール等、優れた強度が要求される製品も、アルミニウム合金材のプレス製品によって得られており、そのようなプレス製品を与えるアルミニウム合金材としては、高い強度と優れた加工性とを兼備するT4調質した6000系アルミニウム合金からなる材料が、多く用いられている。
ところで、よく知られているように6000系アルミニウム合金は、溶接性に劣るといった欠点を有しており、そのために、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金材同士を溶融溶接方式により接合した接合材では、接合強度が低くなってしまうことが避けられなかった。
そこで、6000系アルミニウム合金材の溶融溶接方式による接合材の接合強度を高めるための技術が、従来から、種々、提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。即ち、具体的には、それらの技術は、6000系アルミニウム合金材同士を溶融溶接により接合してなる接合材を、所定の温度で適当な時間の間、加熱処理したり、或いは特定の範囲内の加熱温度による人工時効処理を行うことによって、接合部の強度を高めるようにしたものであるが、そのような技術を採用しても、ブローホールや酸化物巻き込み等の溶融溶接特有の接合不良が接合部に生ずることを回避することが困難であった。
一方、近年では、材料を加熱溶融させずに固相状態のままで接合せしめる固相接合の一種たる摩擦撹拌接合が注目され、各種のアルミニウム合金材の接合に適用されてきている。そして、上述の如き溶融溶接の問題点を鑑みて、6000系アルミニウム合金材を摩擦撹拌接合方式により接合して、接合材を形成すると共に、かかる接合材の接合強度の更なる向上を図ることを目的として、接合材に対して様々な温度で人工時効処理を実施する技術も、幾つか提案されている(例えば、特許文献4〜7参照)。
ところが、本発明者等が、それらの提案技術に従って、6000系アルミニウム合金材を摩擦撹拌接合方式により接合した後、その接合材に対して人工時効処理を施して得られた接合材の特性について、種々検討を行ったところ、確かに、人工時効処理により、接合部(撹拌部)が硬化せしめられて、接合強度の向上が図られるものの、接合部と母材部との境界部位の極めて狭い範囲に位置する熱影響部の硬度が、それら接合部や母材部よりも低いために、かかる接合体をプレス成形した際に、そのような熱影響部に応力が集中して、熱影響部が容易に破断してしまい、その結果、接合材全体での伸びが十分に確保され得ないことが、判明したのである。
尤も、上述の如き技術のうちの一つのもの(特許文献7参照)においては、6000系アルミニウム合金材のうち、特に、過剰Si型6000系アルミニウム合金材同士を摩擦撹拌接合して得られた接合材を、180℃以下の温度で人工時効処理して、接合部の継手強度を母材比効率で70%以上回復させると共に、継手伸びが母材比効率で50%以上回復させることによって、接合材のプレス成形時における接合部や熱影響部での割れが防止されて、接合材のプレス成形性が高められることが、明らかにされている。
しかしながら、本発明者等の研究によれば、かかる技術を採用した場合、接合材に対する人工時効処理によって、接合部や熱影響部の硬度の上昇量に応じた分だけ、母材の硬度も高められ、そのために、6000系アルミニウム合金が本来有する優れた加工性が損なわれて、接合材のプレス成形時における母材の伸び変形量が不可避的に小さくなってしまい、結局、接合材全体としてのプレス成形性の向上について、十分に満足し得る程の効果が得られないことが、認められたのである。
特開平5−117826号公報 特開平8−246116号公報 特開平11−199994号公報 特開平11−104860号公報 特開2000−61663号公報 特開2002−346770号公報 特開2002−294381号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士を、優れた接合強度をもって接合し得ると共に、接合により得られる接合材のプレス成形性を効果的に高めることが出来るアルミニウム合金材の接合方法を提供することにあり、また、本発明にあっては、優れた接合強度と高いプレス成形性を有するプレス成形用接合材を提供することをも、その解決課題とするものである。
そして、本発明者等が、かかる課題の解決のために、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士を摩擦撹拌接合して得られる接合材に対する人工時効処理に関して、様々な観点から研究を行ったところ、かかる接合材では、母材部の金属組織が、T4調質により、GPゾーン(またはクラスタ)と称されるMg原子とSi原子との微細な化合物が形成された状態となっているものの、接合部の金属組織は、接合部に対する摩擦撹拌接合操作時の入熱によって、Mg原子とSi原子とが再固溶されて、GPゾーンが消失した溶入化組織となっており、また、熱影響部は、摩擦撹拌接合操作時に、接合部程、高温とならないために、その金属組織が、Mg原子とSi原子の再固溶が不完全な状態となっており、それ故、そのような金属組織の違いによって、かかる接合材に対する人工時効処理時に、接合部と熱影響部と母材部の各部位の間で、時効速度に差異が生じ、その結果、それら各部位が、人工時効処理によって最大硬さ(最大強度)に到達するまでに、処理開始から要される時間が互いに異なることが、判明した。また、それと同時に、このような接合材における接合部と熱影響部と母材部のそれぞれの部位の金属組織の違いは、例えば摩擦撹拌接合操作終了後の自然時効の進行によって、徐々に消失し、接合部と熱影響部の金属組織が、母材部と同様に、GPゾーンが形成された組織となってしまうことも、判明したのである。
そして、これに着目して、本発明者等が更に鋭意研究を重ねた結果、接合部にGPゾーンが形成される前に、接合材の人工時効処理による硬化を、接合部の硬さ(強度)が最大硬さとなる前に終了させる、所謂亜時効処理を行うことによって、接合部と熱影響部と母材部とにおける各部位の金属組織と、それら各部位の間での相対的な硬さとを確実にコントロールすることが出来、それが、接合材のプレス成形時における伸び変形量の増大に大きく寄与することを見出したのである。
すなわち、本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであって、その第一の態様とするところは、(a)T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金材の同じ厚さのもの同士をそれらの端面において互いに突き合わせて接触させて、それらの接触部位に対する摩擦撹拌接合操作を行うことにより、かかる接触部位に接合部を形成して、接合体を得る工程と、(b)かくして得られた接合体における前記接合部にGPゾーンが形成される前で、前記摩擦攪拌接合操作の終了の時点から24時間以内に、かかる接合体に対して、該接合体の人工時効処理による硬化を、前記接合部の硬さが最大硬さとなる前に終了させる亜時効処理を行い、かかる接合部の硬さを前記アルミニウム合金材の母材部よりも高めると共に、熱影響部の硬さをそれら接合部と母材部の中間の硬さとなるようにする工程とを含むことを特徴とするアルミニウム合金材の接合方法にある。
また、本発明に従うアルミニウム合金材の接合方法の好ましい第二の態様においては、前記亜時効処理が、前記接合体を150〜230℃の温度で4時間以下の範囲内の時間において加熱する熱処理とされる。
さらに、本発明に従うアルミニウム合金材の接合方法の有利な第三の態様では、前記亜時効処理が、ソルトバス、オイルバス、空気炉、アイロン、赤外線加熱又は誘導加熱の何れかの加熱手段による熱処理にて行われる。
更にまた、本発明に従うアルミニウム合金材の接合方法の望ましい第四の態様においては、前記接合体の形成工程における前記摩擦撹拌接合操作の終了から、該接合体に対する亜時効処理の開始までの時間が、時間以内とされる。
また、本発明に従うアルミニウム合金材の好ましい第五の態様では、前記アルミニウム合金材同士の相互の接触部位に対する前記摩擦撹拌接合操作の実施により、該接触部位に接合部を形成するのに引き続いて、該接合部の形成により前記接合体とされた部分に対して、前記亜時効処理が順次実施されることとなる。
そして、本発明にあっては、プレス成形用接合材に係る前記課題の解決のために、その第六の態様とするところは、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金材の同じ厚さのもの同士が、それらの端面において互いに突き合わされて接触せしめられた状態下で、それらの接触部位が接合されて、接合部が形成されることにより一体化されてなる接合体にて構成されたプレス成形用接合材であって、前記接合部が、前記アルミニウム合金材同士の接触部位に対する摩擦撹拌接合操作を行うことにより形成されると共に、該接合部の形成により一体化されてなる前記接合体に対して、該接合部にGPゾーンが形成される前で、前記摩擦攪拌接合操作の終了の時点から24時間以内に、該接合体の人工時効処理による硬化を、該接合部の硬さが最大硬さとなる前に終了させる亜時効処理が施されることによって、該接合部の硬さが前記アルミニウム合金材の母材部よりも高められていると共に、熱影響部の硬さがそれら接合部と母材部の中間の硬さとされていることを特徴とするプレス成形用接合材にある。
要するに、本発明に従うアルミニウム合金材の接合方法の第一の態様によれば、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士の接合方式として、摩擦撹拌接合方式が採用されているところから、例えば、かかる接合方式として、溶融溶接方式を採用する場合とは異なって、溶融溶接特有の接合不良のない健全な接合部が形成され得る。
そして、かかる本発明手法によれば、特に、健全な接合部にGPゾーンが形成される前の段階で、接合体に対して、該接合体の人工時効処理による硬化を、接合部の硬さが最大硬さとなる前に終了させる亜時効処理が行われることで、接合体の接合部と熱影響部と母材部とにおける各部位の金属組織と、それら各部位の間での相対的な硬さとをコントロールすることが可能となる。
すなわち、T4調質した6000系アルミニウム合金材に対する人工時効処理を行うと、かかるアルミニウム合金材は、時効の進行に従って、T4調質により形成されたGPゾーンが分解されて、Mg2Si 化合物が析出した金属組織を有するようになり、また、そのような金属組織が、強度に寄与する臨界サイズの範囲内においてMg2Si 化合物の析出サイズが大きなものである程、高い硬度を有するようになる。一方、かかるアルミニウム合金材同士の接合体に対して人工時効処理を行った場合、前述せるように、接合部にはGPゾーンが形成されておらず、熱影響部にはGPゾーンが少ないため、時効速度が、接合部において最も速く、次いで、熱影響部が速く、そして母材部が最も遅くなる。
それ故、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士の接合体に対して、接合体の人工時効処理による硬化を、接合部の硬さが最大硬さとなる前に終了させる亜時効処理を行うと、接合部の時効速度が熱影響部や母材部よりも速いため、接合部におけるMg2Si 化合物の析出サイズが熱影響部や母材部より大きな組織となり、それによって、接合部の硬さが、熱影響部や母材部より大きくなる。また、熱影響部の時効速度は母材部よりも速く且つ接合部よりも遅いため、熱影響部におけるMg2Si 化合物の析出サイズが母材部よりも大きく且つ接合部よりも小さな組織となり、それによって、熱影響部の硬さが、母材部よりも大きく且つ接合部より小さくなる。一方、母材部の時効速度は接合部や熱影響部よりも遅いため、母材部におけるMg2Si 化合物の析出サイズが接合部や熱影響部より小さな組織となり、それによって、母材部の硬さが、接合部や熱影響部より小さくなる。つまり、本発明における亜時効処理とは、接合体の人工時効処理による硬化を、接合部と熱影響部のそれぞれの硬さが母材部の硬さよりも大ならしめられた状態で、且つ接合部の硬さが最大硬さとなる前に終了させる処理を言うのである。
このように、本発明に係るアルミニウム合金材の接合方法によれば、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士の接合体の接合部と熱影響部の硬度を、母材部よりも大きく為すことが出来るため、接合強度をより効果的に高めることが可能となり、また、接合部と母材部との境界部位の狭い範囲に位置する熱影響部の硬度が最も小さくなるようなことが確実に回避され得るところから、接合体のプレス成形時に、熱影響部において応力集中が惹起せしめられて、熱影響部が容易に破断するようことが、有利に解消され得る。
しかも、かかる本発明手法では、接合部と熱影響部のそれぞれの硬度の上昇に拘わらず、母材部の硬度の上昇量が可及的に抑制され得るところから、母材部が必要以上に硬くなり、それによって、かかる母材部において、T4調質した6000系アルミニウム合金材の有する優れた加工性が損なわれるようになることが、有利に回避され得ることとなる。
従って、かくの如き本発明に従うアルミニウム合金材の接合方法によれば、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士を、優れた接合強度をもって接合することが出来るだけでなく、そのような優れた接合強度をもって接合された接合体のプレス成形性を、極めて効果的に高めることが出来るのである。
また、本発明に従うアルミニウム合金材の接合方法の第二及び第三の態様によれば、亜時効処理が安定的且つ確実に行われて、上述の如き優れた効果が、より確実に奏され得ることとなる。
さらに、本発明に従うアルミニウム合金材の接合方法の第四の態様においては、摩擦撹拌接合操作の終了から惹起される自然時効の進行時間が時間以内に制限されることになるため、亜時効処理開始前の段階で、接合体における接合部と熱影響部と母材部のそれぞれの金属組織が、自然時効により均一化してしまうようなことがより一層有利に回避乃至は抑制され得る。それによって、それら接合部と熱影響部と母材部の各部位の金属組織が不均一であることに基づく時効速度の差異が確保され得て、接合体に対する亜時効処理の実施により、接合部と熱影響部と母材部とにおける各部位の金属組織と、それら各部位の間での相対的な硬さとを確実にコントロールすることが可能となる。そして、その結果として、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士の接合体における接合強度とプレス成形性の向上を、より効果的に実現することが出来るのである。
更にまた、本発明に従うアルミニウム合金材の接合方法の第五の態様によれば、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士の接触部に対する摩擦撹拌接合操作と、かかる操作にて得られる接合体に対する亜時効処理のための操作とが、一連の作業にて、連続的に実施され得るため、アルミニウム合金材の接合操作の効率化が図られ得て、上述の如き高い接合強度と優れたプレス成形性とを有する接合体を、優れた作業性をもって迅速に得ることが可能となる。
そして、プレス成形用接合材に係る本発明の第六の態様においては、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士が摩擦撹拌接合された接合体からなると共に、かかる接合体に対して、接合部にGPゾーンが形成される前に亜時効処理が施されることにより、接合体の硬さが部分的に変化せしめられて、構成されているところから、前述の如き優れた特徴を発揮する接合方法にて、T4調質した6000系アルミニウム合金材同士を接合した場合と同様に、接合部の硬さが最も大きく、次いで、熱影響部の硬さが大きく、そして母材部の硬さが最も小さくなるように構成され得る。
従って、このような本発明に従うプレス成形用接合材にあっては、高い接合強度と優れたプレス成形性とが、極めて有利に発揮され得ることとなるのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係るアルミニウム合金材の接合方法とアルミニウム合金接合材の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う接合方法により、アルミニウム合金材を接合して得られた接合材の一例として、自動車のインナー材等のボデーパネルを与えるプレス成形用接合材たるテーラードブランク材10が、その縦断面形態において、概略的に示されている。かかる図1に示されるように、テーラードブランク材10は、平板形状を呈する、等しい厚さの二枚のアルミニウム母材12,14が、それぞれの端面同士において、互いに突き合わされた状態下で、それらの突合せ部が摩擦撹拌接合されて、接合部16が形成されることにより、一体化せしめられて、構成されている。
なお、図1には明示されてはいないものの、二枚の平板状のアルミニウム母材12,14は、突合せ部の全長に亘って接合されており、以て、接合部16が、かかる突合せ部に沿って、全長に連続して延びるように形成されている。また、かかるテーラードブランク材10においては、接合部16の外側に位置する限られた狭い範囲の部分が、摩擦撹拌接合時の発熱によって、不可避的に軟化せしめられた熱影響部18とされており、更に、それら接合部16と熱影響部18以外の部位が、各アルミニウム母材12,14に由来する母材部20,22とされている。
そして、ここでは、かかるテーラードブランク材10を構成する二枚の平板状のアルミニウム母材12,14として、JIS呼称の合金番号にて6000系アルミニウム合金と称されるAl−Mg−Si系アルミニウム合金をT4(質別記号)調質した、所謂6000系アルミニウム合金のT4材が用いられているのであるが、そのような各アルミニウム母材12,14を与える合金の種類は、T4調質された6000系アルミニウム合金からなるものであれば、特に限定されるものではない。つまり、各アルミニウム母材12,14は、様々な化学成分(成分組成)を有するもの中から適宜に選択された6000系アルミニウム合金が、T4調質された板材として形成されたものにて、構成されているのであって、例えば、JIS A6061合金、JIS A6063合金等のSi含有量の少ないアルミニウム合金や、AA6016合金、AA6111合金等のSi含有量の多いアルミニウム合金等のT4材の板材にて、構成されている。なお、それら各アルミニウム母材12,14は、同一種類の6000系アルミニウム合金からなるものであっても、或いは互いに異なる種類の6000系アルミニウム合金からなるものであっても良い。
また、そのような各アルミニウム母材12,14を与える6000系アルミニウム合金のT4材は、従来より公知の手法にて製造されたものが、何れも使用され得る。即ち、例えば、先ず、6000系アルミニウム合金が、通常のDC法による半連続鋳造法によって造塊され、そして、この得られた造塊物に対して均質化処理が施された後、熱間圧延と冷間圧延とが行われて、圧延板として製造される。また、かかる圧延板は、CC法により製造された連続鋳造圧延板に対して冷間圧延が行われて、製造されたものであっても良い。何れにしろ、かくして製造された圧延板に対して、必要に応じて、冷間圧延前或いは冷間圧延途中に、中間焼鈍が行われた後、溶体化処理が施され、その後、焼入れが行われ、更に、自然時効されて、T4材とされる。そして、かくして得られた6000系アルミニウム合金のT4材が、各アルミニウム母材12,14として、用いられるのである。
なお、6000系アルミニウム合金のT4材をプレス成形用のブランク材として使用する場合には、プレス成形後の塗装焼き付け処理により硬度の向上が図られ得るベークハード性をブランク材に付与することを目的として、焼入れされた後の自然時効に先だって、一般に、40〜120℃の温度で、1〜24時間程度の時間内において加熱処理を行う予備時効処理を行うことがあるが、ここでは、そのような予備時効処理を行う際に、その加熱温度が、有利には、50℃以下に制限される。何故なら、本実施形態では、後述する如く、6000系アルミニウム合金のT4材からなる二枚のアルミニウム母材12,14の摩擦撹拌接合後に、亜時効処理が実施されているのであるが、各アルミニウム母材12,14が、予め、50℃を越える温度で予備時効処理が行われたものであると、亜時効処理によって奏されるべき所望の効果を得ることが困難となるからである。また、勿論、各アルミニウム母材12,14として用いられる6000系アルミニウム合金のT4材は、圧延板に、特に限定されるものではなく、その他、例えば、公知の押出操作によって得られた押出形材に対して、溶体化処理、焼入れ、自然時効が行われてなるT4材であっても、何等差し支えない。
そして、本実施形態においては、上述の如き6000系アルミニウム合金のT4材からなる二枚のアルミニウム母材12,14に対する摩擦撹拌接合操作を実施して、接合体を得、そして、かくして得られた接合体に対して亜時効処理を実施する特別な接合方式により、二枚のアルミニウム母材12,14が接合されて、テーラードブランク材10が形成されているのであり、そこに、大きな特徴が存しているのである。
すなわち、本実施形態のテーラードブランク材10を得る際には、先ず、図2に示されるように、平板状の二枚のアルミニウム母材12,14が、互い対応する端面同士において接触せしめられるように突き合わされ、そして、それらの突合せ部(接触部位)24に対して、公知の摩擦撹拌接合操作が、実施される。
より詳細には、この摩擦撹拌接合操作の実施に際しては、ピン26が先端部に同心的に設けられたロッド状の回転治具28が用いられ、従来と同様に、図示しない公知の回転駆動機構にて、ピン26が、回転治具28と共に一体的に高速回転せしめられつつ、二枚のアルミニウム母材12,14における接合開始端部に差し込まれた後、回転治具28が、かかる突合せ部24に沿って相対移動せしめられることにより、突合せ部24における接合が進行せしめられる。
これによって、一体回転せしめられるピン26や回転治具28と二枚のアルミニウム母材12,14との間に、摩擦熱が発生せしめられ、また、その摩擦熱にて、突合せ部24の周辺部位が塑性加工可能な状態とされる。そして、そのような状態下で、ピン26の高速回転による撹拌作用にて、各アルミニウム母材12,14の突合せ部24の組織が入り交じり合わされて、かかる突合せ部24に沿って接合部16が形成され、以て、二枚のアルミニウム母材12,14が、溶融せしめられることなく、接合されることとなる。なお、この摩擦撹拌接合操作で形成される接合部16においては、ブローホールや酸化物巻き込み等の溶融溶接特有の接合不良のない健全な接合状態が得られる。
次に、上述の如き摩擦撹拌接合操作の実施により、二枚のアルミニウム母材12,14が接合されて、一体化された接合体に対する亜時効処理が行われる。
この亜時効処理とは、接合体に対して、それの人工時効処理による硬化を、接合部16と熱影響部18のそれぞれの硬さが母材部20,22の硬さよりも大ならしめられた状態で、且つ接合部16の硬さが最大硬さとなる前に終了させる操作であって、具体的には、例えば、図3に示されるように、オイルバス30に収容されたオイル32内に、二枚のアルミニウム母材12,14が摩擦撹拌接合されてなる接合体34を浸漬せしめた状態で、一般的なT6調質を行う人工時効処理時における加熱温度よりも低い温度か若しくはかかる人工時効処理時における加熱時間よりも短い加熱時間にて、接合体34の全体を加熱処理するものである。
そして、このような加熱処理からなる亜時効処理が、接合体34に対して実施されることによって、接合体34の接合部16と熱影響部18と母材部20,22とにおける各部位の金属組織と、それら各部位間での相対的な硬さとがコントロールされることとなる。
すなわち、T4調質した6000系アルミニウム合金材からなるアルミニウム母材12,14同士の接合体34に対して、亜時効処理を行った場合、接合部16の時効速度が、熱影響部18や母材部20,22の時効速度よりも速いために、時効の進行に従って析出するMg2Si 化合物の析出サイズが、接合部16において、熱影響部18や母材部20,22より大きな組織となり、それによって、接合部16の硬さが、熱影響部18や母材部20,22より大きくなる。また、熱影響部18は、その時効速度が、母材部20,22よりも速く且つ接合部16よりも遅いため、そのような熱影響部18におけるMg2Si 化合物の析出サイズが、母材部20,22よりも大きく且つ接合部16よりも小さな組織となり、それによって、熱影響部18の硬さが、母材部20,22よりも大きく且つ接合部16より小さくなる。更に、母材部20,22の時効速度は、接合部16や熱影響部18よりも遅いため、母材部20,22におけるMg2Si 化合物の析出サイズが、接合部16や熱影響部18より小さな組織となり、それによって、母材部20,22の硬さが、接合部16や熱影響部18より小さくなる。
かくして、接合体34に対する亜時効処理の完了後に、接合体34において、接合部16の硬さが最も大きく、次いで熱影響部18が大きく、母材部20,22の硬さが最も小さくなるように、接合体34の硬さが部分的に変化せしめられて、テーラードブランク材10が、形成されるのである。
そして、このように、上述の如くして形成されたテーラードブランク材10にあっては、亜時効処理によって、熱影響部18の硬度が、接合部16の硬度よりは小さいものの、母材部20,22の硬度よりも高くされるところから、限られた狭い範囲に存在する熱影響部18が最も低い硬度とされた従来のアルミニウム合金接合材とは異なって、プレス成形された際に、熱影響部18において応力集中が惹起されて、熱影響部18が容易に破断してしまうようなことが、有利に回避され得るようになる。
また、かかるテーラードブランク材10では、亜時効処理による母材部20,22の硬度の上昇が可及的に抑制されているため、そのような母材部20,22を与える、6000系アルミニウム合金のT4材からなるアルミニウム母材12,14が本来有する優れた加工性が有利に維持され得ており、それによって、プレス成形時における母材部20,22の伸び変形量が、十分に確保され得るようになる。
なお、かくの如き接合体34に対する亜時効処理は、摩擦撹拌接合操作の終了後に、例えば自然時効によって、接合部16の金属組織中にGPゾーンが形成される前に開始されなければならない。何故なら、接合部16の金属組織中にGPゾーンが形成されるようになると、それと同様に、熱影響部18の金属組織中にもGPゾーンが形成されて、それら接合部16と熱影響部18とが、母材部20,22と同様な金属組織を有するようになり、それによって、それら各部位16,18,20,22の時効速度が略同様な値に近づいて、亜時効処理の実施により、各部位16〜22の金属組織と、各部位16〜22間での相対的な硬さとをコントロールすることが難しくなってしまい、その結果として、亜時効処理による接合体34の接合強度とプレス成形性の向上効果を得ることが、極めて困難となってしまうからである。そして、このような接合部16の金属組織中へのGPゾーンの形成に起因する亜時効処理による効果の低下を防止するためには、接合体34に対する亜時効処理が、接合部摩擦撹拌接合操作の終了から、24時間以内に、速やかに実施されることが望ましく、摩擦撹拌接合操作終了から6時間以内に行われることが、より好ましいのである。
ところで、かかる接合体34に対する亜時効処理は、上述せる如く、オイルバス30等の加熱装置を利用して、接合体34を徐々に加熱し、所定の加熱温度となった時点で、所望の時間だけ保持する加熱処理によって実施されるのであるが、この接合体34の加熱温度は、例えば、150〜230℃程度とされることが好ましく、また、そのような加熱温度での保持時間である加熱時間は、4時間以内とされることが望ましい。
何故なら、150℃を下回る温度での加熱処理によって亜時効処理を実施した場合、接合体34全体における時効硬化が不十分となって、接合体34の接合部16と熱影響部18と母材部20,22とにおける各部位間での相対的な硬さをコントロールすることが困難となることがあり、そのために、亜時効処理の実施による接合強度とプレス成形性の向上効果を十分に得ることが難しくなる恐れがあるからである。また、亜時効処理が230℃を越える温度で実施される場合には、接合体34において過時効が発生して、接合体34全体が軟化してしまう恐れがあり、そのような軟化現象が生じた場合にも、亜時効処理の実施によって奏される効果を得ることが困難となるからである。更に、亜時効処理が4時間を超えるようになると、時効硬化量がより大きくなって、硬度が過剰に高くなり、それによって、延性が低下して、プレス成形性が低くなってしまう恐れがあり、また、そのような長時間の亜時効処理を比較的に高温の下で実施する場合には、過時効による延性の低下が生じ、これによっても、プレス成形性が低下する危惧がある。
それ故に、接合体34に対する亜時効処理により、接合体34(テーラードブランク材10)の接合強度とプレス成形性とを十分に且つ確実に高める上で、かかる亜時効処理時における加熱温度が150〜230℃程度とされ、且つその加熱時間が4時間以内とされていることが、望ましいのである。また、亜時効処理の実施による優れた特徴を更に一層十分に引き出すためには、亜時効処理時における加熱温度が160〜200℃の範囲で、且つ加熱時間が2時間以内とされていることが、より望ましい。
なお、このような亜時効処理における加熱時間の下限値は、特に限定されるものではない。つまり、例えば、オイルバス30内の温度が、上昇せしめられて、接合体24に対する目標加熱温度に達した時点で、この温度を保持することなく、オイルバス30内の温度を降下せしめることで、目標加熱温度での加熱時間を実質的に0と為しても良いのである。また、接合体24に対する加熱温度を目標温度にまで上昇させる昇温速度は、例えば、目標加熱温度等に応じて、適宜に決定される。更に、このような亜時効処理時における最適加熱時間は、加熱温度に大きく依存するため、亜時効処理を実施する際には、その加熱温度に応じて、加熱時間が、適宜に決定されることとなる。
また、そのような接合体34の加熱のために用いられる加熱装置は、オイルバス30に、何等限られるものではなく、公知の加熱装置のうち、接合体34の全体を同時に加熱出来る装置が適宜に選択されて使用され得るのであり、そのような加熱装置としては、例えば、オイルバス30以外に、ソルトバスや空気炉、アイロン、赤外線加熱装置、誘導加熱装置等が、好適に用いられ得る。
さらに、それら例示される加熱装置を用いる場合には、通常、かかる加熱装置が、摩擦撹拌接合操作を行うためのラインとは別個に配設される。そして、二枚のアルミニウム母材12,14の突合せ部24の全体が摩擦撹拌接合されて、接合体34が完成された後、かかる接合体34が、摩擦撹拌接合操作を行うためのラインから、加熱装置の配設箇所に移動せしめられて、加熱装置により加熱処理されることで、接合体34に対する亜時効処理が行われるが、例えば、摩擦撹拌接合操作に用いられる回転治具28の配置位置よりも接合方向後方側に、所定の加熱装置を設置し、この加熱装置を用いて、接合体34に対する亜時効処理を行うようにしても良い。
その場合には、例えば、二枚のアルミニウム母材12,14の全体が接合された接合体34の完成を待たずに、二枚のアルミニウム母材12,14の突合せ部24に対する摩擦撹拌接合操作を行うためのライン上で、かかる摩擦撹拌接合操作に引き続き、接合部16の形成により接合された部位に対して、回転治具28よりも接合方向後方側に位置する加熱装置にて、亜時効処理が、順次、実施されることとなる。これによって、摩擦撹拌接合操作と亜時効処理のための操作とが、一連の作業にて、連続的に実施され得て、それらの作業の効率化が有利に図られ得、以て、高い接合強度と優れたプレス成形性とを有するテーラードブランク材10が、優れた作業性をもって迅速に得られることとなる。なお、このようなオンラインでの亜時効処理の実施に際して用いられる加熱装置も、特に限定されるものではなく、例えば、上記例示の加熱装置のうち、赤外線加熱装置、誘導加熱装置等が用いられ、その他の公知の加熱装置も、適宜に使用される。
また、かくの如き接合体34に対する亜時効処理は、かかる亜時効処理による硬度の上昇に基づいて、母材部20,22の引張強さが20MPa以下の範囲内で上昇せしめられるように実施されることが、望ましい。何故なら、母材部20,22の引張強さが20MPaを上回る程度にまで、母材部20,22の硬度が上昇せしめられると、母材部20,22の延性が低下して、接合体34(テーラードブランク材10)全体のプレス成形性を大きく損なうこととなる恐れがあるからである。
このように、本実施形態においては、二枚のアルミニウム母材12,14の突合せ部24に対する摩擦撹拌接合操作を行って、接合体34を得た後、かくして得られた接合体34に対する亜時効処理を実施することによって、高い接合強度と優れたプレス成形性を有するテーラードブランク材10が、極めて効果的に且つ安定的に得られることとなるのである。
なお、本実施形態では、自動車のインナー材等のボデーパネルを与えるプレス成形用接合材(テーラードブランク材)とそれを構成するアルミニウム合金材同士の接合方法に対して、本発明を適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、各種のアルミニウム合金接合材の形成時に採用されるアルミニウム合金材同士の接合方法や、そのような接合手法を利用して製造される、自動車のインナー材等のボデーパネル以外の様々なプレス製品を与えるプレス成形用接合材の何れに対しても有利に適用され得るものであることは、勿論である。
その他、本発明は、各種の形態において実施され得るものであって、当業者の知識に基づいて採用される本発明についての種々なる変更、修正、改良に係る各種の実施の形態が、何れも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
<実施例1>
先ず、下記表1に示される如き化学成分(成分組成)を有する5種類の6000系アルミニウム合金(A〜E)からなる鋳塊を、公知のDC鋳造法により鋳造した。
Figure 0004707318
次に、この鋳造された5種類の合金(A〜E)ならなる鋳塊のそれぞれのものに対して、均質化処理、熱間圧延、及び冷間圧延を、それぞれ常法により実施して、厚さ1.0mmの圧延板を作製した。そして、その後、それら5種類の合金(A〜E)ならなる圧延板に対して、常法に従って、溶体化処理及び焼入れを行い、更に室温で、7日間、自然時効させることで、各圧延板をT4調質し、以て、互いに化学成分の異なる5種類の、T4調質した6000系アルミニウム合金板材を作製して、準備した。
引き続き、かくして準備された5種類のアルミニウム合金板材のそれぞれ2枚ずつを用い、互いに同じ化学成分を有するアルミニウム合金板材同士を、その圧延方向(長手方向)において互いに突き合わせた後、それらの突合せ部に対する摩擦撹拌接合を行って、母材の化学成分が互いに異なる5種類のアルミニウム合金接合材を得た。なお、ここでは、かくして得られる5種類のアルミニウム合金接合材を、各々1枚ずつ、合計5枚作製した。また、ここでの摩擦撹拌接合は、鋼製の回転工具を、回転数:1000rpm、接合速度:400mm/分で水平移動させる条件下において実施した。また、ここで用いられる回転工具の端部には、切削を目的として、深さ1mmの溝を8カ所設けた。
その後、この得られた5種類のアルミニウム合金接合材のそれぞれを、摩擦撹拌接合操作の終了から1時間以内に、オイルバス内に収容せしめて、それら各アルミニウム合金接合材に対して、175℃の温度で15分間保持する亜時効処理を行った後、20℃で7日間保管して、5種類の試験材(1〜5)を各々作製した。
そして、上述のようにして得られた試験材1〜5のそれぞれの硬さ分布を調べるために、先ず、各試験材1〜5から、長手の試験片を、母材同士の接合線が、試験片の中心に位置するように、それぞれ切り出して、作製した。そして、それら各試験片の切断面に対して、樹脂埋めと研磨とを行った後、ビッカース硬さ試験機を用いて、荷重1kgfで、各試験片における接合部と熱影響部と母材部の各部位における硬さ測定を行った。その結果を、下記表2に併せて示した。
また、5種類の試験材1〜5の接合強度及び破断伸びを調べるために、上記破断伸びの測定を行う試験片とは別に、JIS−5号形の試験片を、母材同士の接合線が、試験片の中心において、後述する引張試験における引張方向に対して直角な方向に延出して位置せしめられるように、それぞれ切り出して、作製した。そして、それら各試験材1〜5から各々1種類ずつ作製した5種類の試験片に対して、常温で、JIS Z 2241に従って引張試験を行い、標点間距離50mmにおける引張強さと耐力と破断伸びの測定を、それぞれ行った。また、引張試験で破断した部位が、接合部と熱影響部と母材部の何れであるかを視認により調べた。それらの結果を、下記表2に併せて示した。
さらに、5種類の試験材1〜5のプレス成形性を調べるために、上記破断伸びの測定を行う試験片とは別に、5種類の試験材1〜5から、直径120mmの円板状試験片を、母材同士の接合線が試験片の中心に位置するように切り出して、それぞれ作製した。そして、この試験材1〜5から各々1種類ずつ作製した5種類の円板状試験片とエリクセン試験機とを用い、各試験片の表面に低粘度潤滑油を塗布した後、それら各試験片に対して、しわ押え力40kN、成形速度2.0mm/sの条件で、直径50mmの球頭ポンチを用いた張出し加工を行って、各試験片の限界成形高さを調べた。このとき、しわ押えのダイスには、全周に亘って、幅3mm、高さ0.5mmのロックビードを設け、材料流入を防止した。その結果を、下記表2に併せて示した。
Figure 0004707318
かかる表2から明らかなように、本発明手法に従って、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士が接合されてなる試験材1〜5においては、何れも、接合部と熱影響部と母材部のそれぞれの硬度を比較した場合、接合部が最も大きく、次いで、熱影響部が大きく、母材部が最も小さくなっている。また、それら各試験材1〜5は、何れも、破断伸びが16%以上で、限界成形高さが16mm以上のそれぞれ大きな値となっており、更に、引張試験において、母材部で破断せしめられている。
これらのことから、本発明手法に従って、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士を摩擦撹拌接合した後、亜時効処理を行うことによって、接合強度が十分に高められ得ると共に、プレス成形性の向上が効果的に図られ得ることが、明確に認識され得るのである。
<比較例1>
また、比較のために、先ず、前記実施例1で準備された、互いに化学成分の異なる5種類の合金(A〜E)からなる、T4調質した6000系アルミニウム合金板材のそれぞれ2枚ずつを用い、それらを、前記実施例1と同様な条件で摩擦撹拌接合して、母材の化学成分が互いに異なる5種類のアルミニウム合金接合材を、それぞれ1枚ずつ得た。
その後、この得られた5種類のアルミニウム合金接合材のそれぞれを、摩擦撹拌接合操作の終了後、亜時効処理を何等行わずに、20℃で7日間保管して、5種類の試験材(6〜10)を各々作製した。
そして、前記実施例1と同様にして、それら5種類の試験材(6〜10)のそれぞれにおける接合部と熱影響部と母材部のビッカース硬さを測定し、また、各試験材(6〜10)の引張強さ、耐力、破断伸び、限界成形高さ、及び引張試験での破断位置とを、それぞれ調べた。それらの結果を、下記表3に併せて示した。
Figure 0004707318
かかる表3から明らかなように、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士が摩擦撹拌接合されてはいるものの、そのような摩擦撹拌接合後に、亜時効処理が何等施されていない試験材6〜10においては、何れも、接合部と熱影響部と母材部のそれぞれの硬度を比較した場合、母材部が最も大きく、次いで、接合部が大きく、熱影響部が最も小さくなっている。また、それら各試験材6〜10は、何れも、破断伸びが13%以下で、限界成形高さが15mmを下回る小さな値となっており、更に、引張試験において、熱影響部で破断せしめられている。これは、従来の如く、単に、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士を摩擦撹拌接合しただけのアルミニウム合金接合材が、接合強度が低く、しかもプレス成形性にも劣るものであることを、如実に示しているのである。
<比較例2>
さらに、前記実施例1で準備された、互いに化学成分の異なる5種類の合金(A〜E)からなる、T4調質した6000系アルミニウム合金板材のそれぞれ2枚ずつを用い、それらを、前記実施例1と同様な条件で摩擦撹拌接合して、母材の化学成分が互いに異なる5種類のアルミニウム合金接合材を、それぞれ3枚ずつ、合計15枚得た。
その後、この得られた5種類で合計15枚のアルミニウム合金接合材のそれぞれを、摩擦撹拌接合操作の終了後、室温で、1時間以内に、オイルバス内に収容せしめて、下記表4に示されるような条件で加熱する人工時効処理を行った後、20℃で7日間保管して、母材の化学成分が互いに異なる5種類の試験材(11〜25)を各々作製した。
そして、前記実施例1と同様にして、それら5種類の試験材(11〜25)のそれぞれにおける接合部と熱影響部と母材部のビッカース硬さを測定し、また、各試験材(11〜25)の引張強さ、耐力、破断伸び、限界成形高さ、及び引張試験での破断位置とを、それぞれ調べた。それらの結果を、下記表4に併せて示した。
Figure 0004707318
かかる表4と前記表2とから明らかなように、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士が摩擦撹拌接合されてはいるものの、そのような摩擦撹拌接合後に、かかる摩擦撹拌接合にて得られた接合体に対して、250℃の極めて高い加熱温度で人工時効処理を施した5種類の試験材12,15,18,21,24においては、本発明手法に従って、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士が接合された試験材1〜5に比して、接合部と熱影響部と母材部のそれぞれの硬度が明らかに小さくなっていることが認められる。これは、5種類の試験材12,15,18,21,24が、高温の人工時効処理にて過時効となり、それによって、軟化せしめられたものと考えられる。
また、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士が摩擦撹拌接合されてはいるものの、そのような摩擦撹拌接合後に、かかる摩擦撹拌接合にて得られた接合体に対して、480分の長時間に亘って人工時効処理を施した5種類の試験材13,16,19,22,25においては、本発明手法に従って、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士が接合された試験材1〜5に比して、接合部と熱影響部と母材部のそれぞれの硬度が過剰に大きくなっていることが認められる。これは、5種類の試験材13,16,19,22,25が、長時間の人工時効処理にて、時効硬化量が過大となったことによると考えられる。
さらに、表4から明らかなように、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士が摩擦撹拌接合されてはいるものの、そのような摩擦撹拌接合後に、かかる摩擦撹拌接合にて得られた接合体に対して、120℃の極めて低い温度で人工時効処理を施した5種類の試験材11,14,17,20,23においては、何れも、接合部と熱影響部と母材部のそれぞれの硬度を比較した場合、熱影響部が最も小さく、接合部と母材部とが略同じ大きさとなっている。これは、人工時効処理の温度が低過ぎるために、5種類の試験材11,14,17,20,23の時効硬化が不十分であることによるものと考えられる。
そして、表4から明らかなように、高温で或いは低温で、又は長時間において人工時効処理が施された15種類の試験材にあっては、何れも、破断伸びが13%以下で、限界成形高さが15mm以下の小さな値となっており、更に、引張試験において、熱影響部で破断せしめられているものもある。これらの結果から、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士を摩擦撹拌接合した後、適度な加熱温度と加熱時間とにて、亜時効処理を確実に行うことにより、初めて、接合強度が十分に高められ得ると共に、プレス成形性の向上が効果的に図られ得ることが、明確に認識され得るのである。
<比較例3>
また、前記実施例1で準備された、互いに化学成分の異なる5種類の合金(A〜E)からなる、T4調質した6000系アルミニウム合金板材のそれぞれ2枚ずつを用い、それらを、前記実施例1と同様な条件で摩擦撹拌接合して、母材の化学成分が互いに異なる5種類のアルミニウム合金接合材を、それぞれ1枚ずつ得た。
その後、この得られた5種類のアルミニウム合金接合材のそれぞれを、摩擦撹拌接合操作の終了後、室温で、72時間保管した後、オイルバス内に収容せしめて、175℃で15分間の間加熱することにより亜時効処理を行った後、20℃で7日間保管して、5種類の試験材(26〜30)を各々作製した。
そして、前記実施例1と同様にして、それら5種類の試験材(26〜30)のそれぞれにおける接合部と熱影響部と母材部のビッカース硬さを測定し、また、各試験材(26〜30)の引張強さ、耐力、破断伸び、限界成形高さ、及び引張試験での破断位置とを、それぞれ調べた。それらの結果を、下記表5に併せて示した。
Figure 0004707318
かかる表5から明らかなように、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士が摩擦撹拌接合されてはいるものの、それにより得られた接合体を、摩擦撹拌接合操作の終了後、室温で、72時間保管した後、亜時効処理を施した試験材26〜30においては、何れも、接合部と熱影響部と母材部のそれぞれの硬度を比較した場合、接合部の硬度が最も小さくなっている。これは、摩擦撹拌接合操作の終了後の長時間の保管時に、自然時効が進行して、亜時効処理の開始前に、接合部が、GPゾーンが形成された金属組織を有するようになり、そのために、亜時効処理を行ったにも拘わらず、接合部と熱影響部と母材部における各部位間での相対的な硬さのコントロールが出来なくなったことによるものと考えられる。
そして、それらの試験材26〜30では、破断伸びが14%以下で、限界成形高さが15mm以下の小さな値となっており、更に、引張試験において、接合部で破断せしめられている。これらの結果からも、T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金板材同士を摩擦撹拌接合した後、接合部にGPゾーンが形成される前に、亜時効処理を確実に行うことにより、初めて、接合強度が十分に高められ得ると共に、プレス成形性の向上が効果的に図られ得ることが、認識され得るのである。
本発明手法に従ってアルミニウム合金材同士が接合されてなるプレス成形用アルミニウムブランク材の一例の縦断面の一部を拡大して示す説明図である。 本発明手法に従って、アルミニウム合金材同士を接合する一工程例を示す説明図であって、アルミニウム合金材同士の突合せ部を摩擦撹拌接合している状態を示している。 本発明手法に従って、アルミニウム合金材同士を接合する、図1に続く工程例を示す説明図であって、アルミニウム合金材同士を摩擦撹拌接合により接合して得られた接合体に対して亜時効処理を実施している状態を示している。
符号の説明
10 テーラードブランク材 12,14 アルミニウム母材
16 接合部 18 熱影響部
20,22 母材部 24 突合せ部
26 ピン 28 回転治具
30 オイルバス 32 オイル
34 接合体

Claims (4)

  1. T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金材の同じ厚さのもの同士をそれらの端面において互いに突き合わせて接触させて、それらの接触部位に対する摩擦撹拌接合操作を行うことにより、かかる接触部位に接合部を形成して、接合体を得る工程と、
    かくして得られた接合体における前記接合部にGPゾーンが形成される前で、前記摩擦攪拌接合操作の終了の時点から1時間以内に、かかる接合体に対して、該接合体の人工時効処理による硬化を前記接合部の硬さが最大硬さとなる前に終了させる亜時効処理を、該接合体を160〜200℃の温度で2時間以下の範囲内の時間において加熱する熱処理にて行い、かかる接合部の硬さを前記アルミニウム合金材の母材部よりも高めると共に、熱影響部の硬さをそれら接合部と母材部の中間の硬さとなるようにする工程と、
    を含むことを特徴とするアルミニウム合金材の接合方法。
  2. 前記亜時効処理が、ソルトバス、オイルバス、空気炉、アイロン、赤外線加熱又は誘導加熱の何れかの加熱手段による熱処理にて行われる請求項1に記載のアルミニウム合金材の接合方法。
  3. 前記アルミニウム合金材同士の相互の接触部位に対する前記摩擦撹拌接合操作の実施により、該接触部位に接合部を形成するのに引き続いて、該接合部の形成により前記接合体とされた部分に対して、前記亜時効処理が順次実施される請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム合金材の接合方法。
  4. T4調質した6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金材の同じ厚さのもの同士が、それらの端面において互いに突き合わされて接触せしめられた状態下で、それらの接触部位が接合されて、接合部が形成されることにより一体化されてなる接合体にて構成されたプレス成形用接合材であって、
    前記接合部が、前記アルミニウム合金材同士の接触部位に対する摩擦撹拌接合操作を行うことにより形成されると共に、該接合部の形成により一体化されてなる前記接合体に対して、該接合部にGPゾーンが形成される前で、前記摩擦攪拌接合操作の終了の時点から1時間以内に、該接合体の人工時効処理による硬化を該接合部の硬さが最大硬さとなる前に終了させる亜時効処理が、160〜200℃の温度で2時間以下の範囲内の時間において施されることによって、該接合部の硬さが前記アルミニウム合金材の母材部よりも高められていると共に、熱影響部の硬さがそれら接合部と母材部の中間の硬さとされていることを特徴とするプレス成形用接合材。
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