JP2006299342A - プレス成形用アルミニウム合金材の製造方法およびプレス加工材 - Google Patents

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Abstract

【目的】十分な接合強度をもって接合しうるとともに、接合により得られる接合材のプレス成形性を効果的に高めることができるプレス成形用アルミニウム合金材の製造方法を提供する。
【構成】T4調質され、またはT4調質後に人工時効処理されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金材同士を互いに突き合わせ、突き合わせ部に回転工具を圧入し、突き合わせ部を攪拌して接合する摩擦攪拌接合により突き合わせ部を接合する工程と、450℃以上の温度で、かつ次式(1)にて得られる温度T(℃)以下の温度域で溶体化処理する工程と、続いて焼入れする工程を含むことを特徴とする。T(℃)=510+([Mn%]+2.5×[Cr%]+5×[Zr%])×40 式(1)([Mn%]、[Cr%]、[Zr%]はいずれも各元素の質量%)
【選択図】 なし

Description

本発明は、プレス成形用アルミニウム合金材の製造方法、詳しくは、特にT4調質、あるいはT4調質後、人工時効処理したAl−Mg−Si系合金(6000系アルミニウム合金)材を摩擦攪拌接合する工程を含むプレス成形用アルミニウム合金材、特にプレス成形用アルミニウム合金板材の製造方法、および当該アルミニウム合金材を利用して得られるプレス加工材に関する。
アルミニウム合金は軽量であることから、自動車、トラック、オートバイ、航空機などの輸送機の構造材やボディ材として広く用いられている。中でも、Al−Mg−Si系アルミニウム合金は、時効硬化処理により素材強度を向上させることが可能なため、自動車車体などの用途への適用拡大が進んでいる。
自動車車体の場合には、耐力が低く成形性の良好なT4調質(溶体化処理、焼入れ、常温時効)でプレス加工を行い、後工程の塗装焼付け工程でベークハード処理を行うことにより、強度上昇が起こり、所定の強度が得られるから、プレス用の素材としては一般にT4調質材が用いられている。
比較的大型のプレス製品を得る際には、プレス成形用の素材として複数のアルミニウム合金板材を接合して一体化したものが、プレス加工に供されることとなるが、Al−Mg−Si系アルミニウム合金材同士を接合して得られる接合材では、接合部あるいは接合部近傍の熱影響部において材料強度の低下が生じ、接合強度が低下する。接合強度が低下した状態でプレス加工を行うと、接合部近傍に変形が集中して、プレス加工性が低下するため、接合強度をより優れたものとすることが望まれている。
従来から、熱処理型アルミニウム合金材、特にAl−Mg−Si系アルミニウム合金材の溶融溶接方法による接合材の接合強度を高めるための技術が、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、これらの技術はAl−Mg−Si系アルミニウム合金材同士を溶融溶接により接合し、得られた接合材を、所定の温度で適当時間加熱したり、あるいは特定の温度域に加熱する人工時効処理を行うことによって、接合部の強度を高めようとするものであるが、このような技術を採用しても、ブローホールや酸化物巻き込み等の溶融溶接特有の接合不良が接合部に生ずるのを回避することは困難である。
近年、材料を溶融させずに固相状態のままで接合する摩擦攪拌接合が注目され、各種のアルミニウム合金材の接合に適用されており、Al−Mg−Si系アルミニウム合金材を摩擦攪拌接合法により接合して、健全な接合部を有する接合材を形成するとともに、得られた接合材の接合強度をさらに向上させるために、接合部を強制冷却する手法(例えば、特許文献2参照)や、接合材に対して様々な温度で人工時効処理を施す手法(例えば、特許文献3参照)も提案されている。
しかし、本発明者らが上記提案の手法に従って、Al−Mg−Si系アルミニウム合金材を摩擦攪拌接合法により接合した後、その接合材に対して人工時効処理を施して得られた接合材の特性について検討を行った結果、確かに人工時効処理によって接合部(攪拌部)が硬化し、接合強度の向上が図られるものの、母材部と接合部との狭い境界領域からなる熱影響部の硬度が、接合部や母材部よりも低いために、かかる接合体をプレス成形した際に、熱影響部で優先的に変形して、熱影響部が容易に破断してしまい、接合体全体での伸びが十分に確保され得ないことが判明した。
さらに、前記提案された手法のうちの一つ(特許文献3に記載の手法)においては、Al−Mg−Si系アルミニウム合金材のうち、特に過剰Si型Al−Mg−Si系アルミニウム合金材同士を摩擦攪拌接合して得られた接合材を、180℃以下の温度で人工時効処理して、接合部の継手強度を母材比効率で70%以上回復させるとともに、継手伸びを母材比効率で50%以上回復させることによって、接合材のプレス成形時における接合部や熱影響部での割れが防止され、接合材のプレス成形性が高められるとされている。
しかしながら、本発明者らの研究によれば、このような手法を採用した場合、接合材に対する人工時効処理によって、接合部や熱影響部の硬度の上昇量に応じた分だけ、母材の硬度も高められるため、Al−Mg−Si系アルミニウム合金が本来有する優れた加工性が損なわれて、接合材のプレス成形時における母材の伸び変形量が不可避的に小さくなってしまい、結果的に接合材全体としての成形性が十分満足しうる程度に向上しないことがわかった。
特開平5−117826号公報 特開平11−104860号公報 特開2002−294381号公報
発明者らは、Al−Mg−Si系合金材の摩擦攪拌接合材の接合強度、プレス成形性についての上記の問題点を解消することを目的として、T4調質したAl−Mg−Si系アルミニウム合金材を摩擦攪拌接合し、得られた接合材の特性に対する熱処理の影響についての研究段階において、接合材に対して、融点直下の温度で所定時間保持する溶体化処理と焼入れを行った場合、接合材の接合部、熱影響部および母材部の各部位における金属組織をいずれも硬度に寄与する添加元素であるMgとSiとが溶入化(固溶)された溶体化組織とすることができ、接合部と熱影響部と母材部の各部位における金属組織の均一化が図られて、これら各部位における硬度のバランスがコントロールされることを見出した。
この知見に基づいて、さらに研究を進めたところ、T4調質したAl−Mg−Si系アルミニウム合金材同士の接合材に対して、単に溶体化処理および焼入れを行った場合には、摩擦攪拌接合時の入熱により熱膨張した後の熱収縮により、熱影響部に転位が導入され、しかもその転位密度が比較的小さいため、溶体化処理時に熱影響部で平均結晶粒径が1mmを越えるような粗大再結晶(グレイングロス)が起こり、ホールペッチ則により、熱影響部の硬度低下が生じてしまい、結局接合材のプレス成形時に、最も硬度の小さい熱影響部で優先的に変形し、容易に破断される現象が生じることが認められた。
発明者らは、接合材の溶体化処理時における熱影響部での粗大再結晶の発生を回避するための方策についてさらに検討を行った結果、摩擦攪拌接合の実施後、接合材に対して従来よりも低温域で溶体化処理を行い、続いて焼入れを行った場合、摩擦攪拌接合時の入熱により熱膨張した後の熱収縮によって、熱影響部に転位が導入された熱影響部においても、粗大再結晶(グレイングロス)が発生せず、しかも接合材の母材、熱影響部、接合部のいずれの部位においても硬度が均一に制御されることを見出した。
本発明は、上記の知見に基いてさらに試験、検討を重ねた結果としてなされたものであり、その目的は、Al−Mg−Si系アルミニウム合金材を、十分な接合強度をもって接合しうるとともに、接合により得られる接合材のプレス成形性を効果的に高めることができるプレス成形用アルミニウム合金材の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、当該アルミニウム合金材を使用して得られるプレス加工材を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1によるプレス成形用アルミニウム合金材の製造方法は、T4調質され、またはT4調質後に人工時効処理されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金材同士を互いに突き合わせ、突き合わせ部に回転工具を圧入し、突き合わせ部を攪拌して接合する摩擦攪拌接合により突き合わせ部を接合する工程と、450℃以上の温度で、かつ次式(1)にて得られる温度T(℃)以下の温度域で溶体化処理する工程と、続いて焼入れする工程を含むことを特徴とする。
T(℃)=510+([Mn%]+2.5×[Cr%]+5×[Zr%])×40 (1)
ここで、[Mn%]、[Cr%]、[Zr%]はいずれも各元素の質量%を示す。
請求項2によるプレス成形用アルミニウム合金材の製造方法は、請求項1において、摩擦攪拌接合による接合部および接合部近傍の熱影響部の平均結晶粒径が500μm以下であることを特徴とする。
請求項3によるプレス加工材は、請求項1または2で得られるT4調質アルミニウム合金材をプレス成形してなることを特徴とする。
本発明によれば、Al−Mg−Si系アルミニウム合金材を、十分な接合強度をもって接合しうるとともに、接合により得られる接合材のプレス成形性を効果的に高めることができるプレス成形用アルミニウム合金材の製造方法が提供される。また、当該アルミニウム合金材を使用して得られ、輸送機器部材、例えば、自動車用フード、フェンダー、トランクリッド、ルーフ、ドアなどに好適に使用することができるプレス加工材が提供される。
本発明は、T4調質(溶体化処理、焼入れ、常温時効)されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金材、またはT4調質後に人工時効処理されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金材を適用することを前提とするものである。とくに板材に対して好適に適用される。
本発明で用いられるAl−Mg−Si系(6000系)アルミニウム合金材は、Mg、Siを主要合金成分とし、Cu、Mn、Cr、Zr、Znをそれぞれ使用目的に合わせて選択的に含有し、Fe、Tiを不純物元素として含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるものである。
各元素の含有範囲は、Al−Mg−Si系合金に分類される範囲では特に規定しないが、例えば、Mg:0.2〜1.6%(質量%、以下同じ)、Si:0.2〜1.8%が好適な範囲である。それぞれ下限未満、あるいは上限を越えて含有されると、本発明の効果を妨げることはないものの、Al−Mg−Si系合金として十分な強度特性が得られなかったり、靭性が低下したりする場合があるため好ましくない。
Cu、Mn、Cr、Zr、Znは選択的に含有される元素であるが、Cu:1.2%以下、Mn:0.9%以下、Cr:0.35%以下、Zr:0.2%以下、Zn:1.0%以下が好適な範囲である。それぞれ上限を超えて含有されると耐食性、強度、延性、成形性などの低下を招くことがあり、本発明の効果を妨げることはないものの、材料特性上好ましくない。
Fe、Tiは不純物元素として含有される元素であるが、Fe:1.0%以下、Ti:0.25%以下が好ましい。いずれも上限を越えて含有されると、本発明の効果を妨げることはないものの、強度低下や成形性低下を招くことがあり、材料特性上好ましくない。また、上記以外の成分として、0.06%以下のB、0.7%以下のBi、2.0%以下のPb、1.5%以下のSnなどが含有しても、本発明の効果に影響することはない。
本発明においては、上記アルミニウム合金材を突き合わせ、突き合わせ部に回転工具を圧入し、突き合わせ部を攪拌して接合する摩擦攪拌接合により突き合わせ部を接合することにより接合材を得る。摩擦攪拌接合方式によれば、溶融溶接方式とは異なり、溶融溶接特有の接合不良のない健全な接合部が形成され、接合強度の向上した接合材を得ることができる。
摩擦攪拌接合により形成された接合材は、ついで、従来よりも低温で最適化された温度、すなわち、450℃以上の温度で、かつ式、T(℃)=510+([Mn%]+2.5×[Cr%]+5×[Zr%])×40、で計算される温度T(℃)以下の温度範囲内の温度で溶体化処理を行うことにより、接合材の母材部、熱影響部、接合部のいずれの部位においても硬度が均一に制御される。
Mn、Cr、Zrの各元素は、いずれも溶体化処理の際に、再結晶核生成サイトとして作用し、また再結晶抑制効果を有するから、その添加量は溶体化処理時の再結晶挙動に強く影響を及ぼす。試験、検討の結果、溶体化処理の最適な上限温度(T)は、これら元素の添加量により、式、T(℃)=510+([Mn%]+2.5×[Cr%]+5×[Zr%])×40で規定するのが好ましく、T(℃)以下の温度であれば、熱影響部の粗大再結晶が抑制されることがわかった。
溶体化処理温度が450℃未満では、Mg,Si元素の十分な固溶が得られないばかりか、むしろMg−Si系の化合物が形成され、強度低下の原因となる。さらに、接合材の母材部、熱影響部、接合部の硬度が均一にならず、引張変形の際に局部変形を起こし、延性が低下するとともに、成形性も低下し易くなる。
溶体化処理がT(℃)以上の温度で行われた場合には、接合後の熱収縮により転位の導入された熱影響部において、粗大再結晶(グレイングロス)が発生し、接合材の強度、延性および成形性が低下し易くなる。
溶体化処理時間は特に規定しないが、生産性の観点からは、より短時間で行うのが好ましく、例えば60s以内で行うのが好ましい。上記のように、溶体化処理は従来よりも低温で行われることから、接合前の素材が軟質材(O材)や冷間加工材(H材)の場合には、強度に寄与する主要合金元素のMg、Siの固溶が十分に起こらず、接合材の強度が不十分となる場合があり、そのために、接合前の素材の調質はT4であることが必要である。なお、T4調質後、人工時効処理を行った状態であれば、人工時効処理により形成された化合物が微細であるため、低温の溶体化処理でも十分な固溶状態が得られ、本発明の効果を十分に発揮することが可能となる。
溶体化処理の焼入れ処理は、水冷、あるいは強制空冷が好ましい。接合材の強度が十分に確保できる場合には、放冷でもよい。一般的には、常温まで5℃/s以上の速度で冷却する処理が好ましい。また、焼入れ後に塗装焼付け硬化性(ベークハード性)を付与するための予備時効処理や復元処理を行ってもよい。一般に、予備時効処理は120℃以下、復元処理は150〜250℃の温度範囲で行われる。
本発明においては、また、接合材の接合部および熱影響部の平均結晶粒径を500μm以下とするのが好ましく、平均結晶粒径が500μmを越えた場合には、接合材の延性が低下するとともに、プレス加工で肌荒れが生じ易くなり、外観品質の低下を招く。さらに好ましい平均結晶粒径は200μm以下、最も好ましい平均結晶粒径100μm以下である。
上記のように、溶体化処理、焼入れ処理されてT4調質処理された接合材は、プレス成形され、プレス加工材となる。接合材は、接合部、熱影響部、母材部の各部位における金属組織の均一化が図られるとともに、各部位における硬度のバランスが図られているから、プレス成形において接合部近傍で破断することなく、また肌荒れなどの表面品質低下もなく、改善されたプレス成形性をそなえており、プレス加工材は、自動車部材などの輸送機器部材として好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明するとともに、それに基づいてその効果を実証する。なお、これらの実施例は、本発明の好ましい一実施様態を説明するためのものであって、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
DC鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延により、表1に示す組成を有する5種類のAl−Mg−Si系アルミニウム合金A〜Eの板材を作製し、550℃で60秒の溶体化処理を行い、強制空冷による焼入れを行うことにより、板厚1.0mmのT4調質材を作製した。
続いて、各T4調質材のそれぞれ2枚ずつを母材として用い、同一化学成分を有するT4調質材同士を、その圧延方向(長手方向)において互いに突き合わせた後、突き合わせ部を摩擦攪拌接合し、5種類の接合材(試験材1〜5)を得た。なお、摩擦攪拌接合は、鋼製の回転工具を、回転数1000rpm、接合速度400mm/分で水平移動させる条件で実施し、回転工具の端部には、より十分な攪拌作用を起させることを目的として、深さ1mmの溝を8ヶ所設けた。
次いで、得られた試験材に対して、表2に示される条件で、塩浴炉を用いて溶体化処理した後、直ちに常温の水道水にて水焼入れを行った。その後、20℃で7日間保管することによりT4調質材とした。
各試験片について、以下に示す方法により、接合部、熱影響部、母材部の各部位における平均結晶粒径、硬さ、接合強度、破断伸びを測定し、プレス成形性の評価として限界成形高さを求めた。結果を表2および表3に示す。
平均結晶粒径の測定:板表面について電解研磨を行い、偏光フィルターを設けた光学顕微鏡により、接合部、熱影響部、母材部の各ミクロ組織観察を行い、切断法による平均結晶粒径測定を行う。
硬さの測定:母材同士の接合線が試験片の中心において幅方向に延びるように試験片を切り出し、試験片の切断面に対して樹脂埋めと研磨とを行った後、ビッカース硬さ試験機を用い、荷重1kgfで各試験片における接合部と熱影響部と母材部の各部位における硬さ測定を行う。
接合強度および破断伸びの測定:JIS−5号試験片を、母材同士の接合線が試験片の中心に位置し、さらに引張試験片の引張方向に対して直角な方向に配向するよう切り出し、引張試験片に対し、常温でJIS Z 2241に従って引張試験を行い、標点間距離50mmにおける引張強さと耐力と破断伸びをそれぞれ測定した。また、引張試験で破断した部位が、接合部と熱影響部と母材部のいずれであるかを視認により調べた。
プレス成形性の評価(限界成形高さの測定):試験材から直径120mmの円板状試験片を、母材同士の接合線が試験片の中央に位置するように切り出し、エリクセン試験機を用いて、試験片の表面に低粘度潤滑油を塗布した後、試験片に対して、しわ押さえ力40kN、成形速度2.0mm/sの条件で、直径50mmの球頭ポンチを用いた張出し加工を行って、試験片の限界成形高さを測定する。なお、しわ押さえのダイスには、全周に亘って幅3mm、高さ0.5mmのロックビードを設け、材料流入を防止した。
Figure 2006299342
Figure 2006299342
Figure 2006299342
表2〜3にみられるように、本発明に従う試験材1〜5は、いずれも接合部、熱影響部、母材部の結晶粒径がそれぞれ500μm以下であり、均一な硬さ分布を有し、引張試験においても十分な強度および伸びを示し、破断位置も全て母材部であり、さらに成形試験においても15mm以上の優れた成形性を示した。
実施例2
実施例1で作製した表1に示す組成を有する5種類のAl−Mg−Si系アルミニウム合金A〜Eの板材について、550℃で60秒の溶体化処理、強制空冷による焼入れを行うことにより、板厚1.0mmのT4調質材とし、さらに180℃で8時間の人工時効処理を行った。
続いて、得られた人工時効処理材のそれぞれ2枚ずつを母材として用い、同一化学成分を有するT4調質材同士を、その圧延方向(長手方向)において互いに突き合わせた後、突き合わせ部を摩擦攪拌接合して、5種類の接合材(試験材6〜10)を得た。なお、摩擦攪拌接合は、鋼製の回転工具を、回転数1000rpm、接合速度300mm/分で水平移動させる条件で実施し、回転工具の端部には、より十分な攪拌作用を起させることを目的として、深さ1mmの溝を8ヶ所設けた。
次いで、得られた試験材に対して、表4に示される条件で、塩浴炉を用いて溶体化処理した後、直ちに常温の水道水にて水焼入れを行った。その後、試験材を20℃で7日間保管することによりT4調質材とした。
得られた各試験片について実施例1と同様の方法で、平均結晶粒径、硬さ、接合強度および破断伸びの測定を行い、プレス成形性の評価を行った。結果を表4および表5に示す。
Figure 2006299342
Figure 2006299342
表4〜5にみられるように、本発明に従う試験材6〜10は、いずれも接合部、熱影響部、母材部の結晶粒径がそれぞれ500μm以下であり、均一な硬さ分布を有し、引張試験においても十分な強度および伸びを示し、破断位置も全て母材部であり、さらに成形試験においても15mm以上の優れた成形性を示した。
比較例1
実施例1で作製した表1に示す組成を有する5種類のAl−Mg−Si系アルミニウム合金A〜Eの板材について、550℃で60秒の溶体化処理、強制空冷による焼入れを行うことにより、板厚1.0mmのT4調質材を作製した。
続いて、各T4調質材のそれぞれ2枚ずつを母材として用い、同一化学成分を有するT4調質材同士を、その圧延方向(長手方向)において互いに突き合わせた後、突き合わせ部を摩擦攪拌接合して、接合材(試験材11〜20)を得た。なお、摩擦攪拌接合は、鋼製の回転工具を、回転数1000rpm、接合速度400mm/分で水平移動させる条件で実施し、回転工具の端部には、より十分な攪拌作用を起させることを目的として、深さ1mmの溝を8ヶ所設けた。
次いで、試験材のそれぞれに対して、表6に示される条件で、塩浴炉を用いて溶体化処理した後、直ちに常温の水道水にて水焼入れを行った。その後、試験材を20℃で7日間保管することによりT4調質材とした。
得られた各試験片について実施例1と同様の方法で、平均結晶粒径、硬さ、接合強度および破断伸びの測定を行い、プレス成形性の評価を行った。結果を表6および表7に示す。
Figure 2006299342
Figure 2006299342
表6〜7に示すように、本発明の条件を外れた試験材11〜15はいずれも、溶体化処理が式(1)による計算で求められた温度、T(℃)を越えて行われたため、熱影響部の結晶粒径がそれぞれ500μmを越え、熱影響部の硬さが最も低くなり、引張試験において熱影響部で破断したため伸びが低く、さらに成形試験においても15mm未満の低い成形性を示した。
また、試験材16〜20はいずれも、溶体化処理温度が450℃未満で行われたため、熱影響部の硬度が低くなり、引張試験において熱影響部で破断したため伸びが低く、さらに成形試験においても15mm未満の低い成形性を示した。

Claims (3)

  1. T4調質され、またはT4調質後に人工時効処理されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金材同士を互いに突き合わせ、突き合わせ部に回転工具を圧入し、突き合わせ部を攪拌して接合する摩擦攪拌接合により突き合わせ部を接合する工程と、450℃以上の温度で、かつ次式(1)にて得られる温度T(℃)以下の温度域で溶体化処理する工程と、続いて焼入れする工程を含むことを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金材の製造方法。
    T(℃)=510+([Mn%]+2.5×[Cr%]+5×[Zr%])×40 (1)
    ここで、[Mn%]、[Cr%]、[Zr%]はいずれも各元素の質量%を示す。
  2. 摩擦攪拌接合による接合部および接合部近傍の熱影響部の平均結晶粒径が500μm以下であることを特徴とする請求項1記載のプレス成形用アルミニウム合金材の製造方法。
  3. 請求項1または2で得られるT4調質アルミニウム合金材をプレス成形してなるプレス加工材。
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