JP2002294381A - 成形用アルミニウム合金溶接継手 - Google Patents
成形用アルミニウム合金溶接継手Info
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Abstract
金溶接継手を提供することを目的とする。 【解決手段】 アルミニウム合金材同士が溶接接合さ
れているとともに、少なくともいずれかのアルミニウム
合金材がAA乃至JIS 規格に規定される過剰Si型6000系ア
ルミニウム合金である成形用溶接継手であって、前記溶
接接合後に180 ℃以下の温度で時効処理され、前記過剰
Si型6000系アルミニウム合金材接合部の継手強度が母材
比効率で70% 以上回復されるとともに、継手伸びが母材
比効率で50% 以上回復されたものとすることである。
Description
ム合金溶接継手 (以下、アルミニウムを単にAlと言う)
に関するものである。
ム類、メンバー類などの部材には、例えば板などのAl合
金材同士を溶接接合した継手(溶接継手)を、更に部材
形状にプレス成形などで成形加工したものも用いられる
ようになっている。
士が接合されたテーラードブランク材は、パネル、フレ
ームなどの他の部材の製造過程で発生した種々の端材を
再使用できる点や、要求強度や成形性などが部位により
異なる部材を、継手素材の厚みにより調整により製作で
きる点などで、利点が大きい。
は、従来から溶接構造用Al合金として汎用されるAA乃至
JIS 規格に規定される5000系や、6063、6N01、6061など
の6000系 (以下、AA乃至JIS は省略) 、7N01、7003など
の7000系などのAl合金展伸材(圧延板材、押出形材、鍛
造材などの総称、以下、単にAl合金材とも言う) があ
る。
に対しSiが過剰に含有されている、Si過剰型の6000系(A
l-Mg-Si 系) Al合金は、溶体化処理および焼き入れ処理
(質別記号T4) やその後の時効処理 (質別記号T6) 、過
時効処理 (質別記号T7) 後の特性において、特に時効硬
化性に優れている。
部材への成形時には低耐力で成形性を確保するととも
に、成形後の部材の塗装焼き付け処理などにおいて、17
0 ℃など比較的低温の加熱でも高耐力化して要求強度を
満たせる特性を有している。また、前記5000系や7000系
などのAl合金に比して、合金元素量が少ないので、スク
ラップを元の6000系Al合金の溶解原料として再利用でき
るなどのリサイクル性にも優れている。
は、その優れた時効硬化性ゆえに、逆に溶接時には、そ
の接合性(接合強度)が低下するという問題がある。即
ち、少なくともいずれかのAl合金材を過剰Si型6000系Al
合金として、成形用溶接継手を溶接接合した場合、接合
部である、溶接金属部 (溶着部) やその近傍乃至周囲の
熱影響部 (以下、HAZ と言う) が軟化し硬度が低くな
る。
り、他のAl合金系においても生じる共通した現象であ
る。しかし、本発明者らが知見したところによれば、過
剰Si型6000系Al合金では、他の6000系などのAl合金に比
して、Al合金溶接継手としての強度 (σB ) の低下の
他、溶接継手としての伸びの低下が著しいという特異な
傾向がある。
(b)にAA6022Al合金同士のテーラードブランク材接合部
のビッカース硬度(HV)分布を示している。このテーラー
ドブランク材は、図4 に平面図で示す通り、具体的に
は、2mm 厚と1mm 厚の2 枚の差厚Al合金板を接合部A に
おいて、CO2 レーザーで突き合わせ溶接して (溶接長さ
830mm)製作した。図5 は、このテーラードブランク材の
接合部A から幅方向 (図の右方向) へのビッカース硬度
(HV)分布を示す。
6022Al合金とを対比すれば明らかなように、過剰Si型60
00系Al合金では、まず、他の6000系などのAl合金に比し
て、接合部が軟化し、硬度が低くなる傾向が著しい。
は、母材の強度や伸びとの比である母材比効率において
も、他の6000系や5000系のAl合金溶接継手と比較した場
合に著しく低い。例えば、他の6000系や5000系のAl合金
の溶接継手効率は、強度 (σB) で90% 以上、伸びで50%
以上である。これに対し、過剰Si型6000系Al合金で
は、溶接継手効率は強度 (σB ) で80% 程度、伸びでは
20% 程度に、いずれも著しく低くなる傾向にある。
22Al合金およびAA6111Al合金のテーラードブランク材の
溶接継手効率を図6 に示す。図6 に示す通り、AA5182Al
合金テーラードブランク材の溶接継手効率は、強度 (σ
B ) で98% 、伸びで50% である。これに対し、過剰Si型
6000系Al合金では、溶接継手効率は、AA6022Al合金が強
度 (σB ) で87% 程度、伸びでは24% 程度、AA6111Al合
金が強度 (σB ) で80% 程度、伸びでは19% 程度といず
れも著しく低くなる。
接点が連続する、アークなどの熱源を用いる溶融溶接方
法、即ち、ティグ(TIG) 、ミグ(MIG) などの高速アーク
溶接や、レーザー溶接、電子ビーム溶接、抵抗シーム溶
接などで、溶接して継手を形成する際に顕著となる。
ば、この傾向は、溶接接合部が比較的高温にならない接
合方法である、摩擦攪拌接合(FSW) 方法においても生じ
る。他の6000系や5000系のAl合金の場合には、摩擦攪拌
接合方法では、前記溶接継手効率の著しい低下は生じな
い。
11-104860 号公報などに、また、テーラードブランク材
の接合は特開平10-249553 号や特開2000-167676 号公報
などに、各々開示されており、従来から、溶融溶接方法
でのAl合金溶接継手の溶接部の軟化や割れに対する対策
の決めてとして提案されているものである。
00系Al合金溶接継手の強度 (σB ) の低下と、特に伸び
の低下が生じた場合、溶接継手を曲げ加工やプレス成形
などの成形加工した場合には、接合部等で破断し、成形
および製品化ができないという深刻な問題が生じる。
善以外にも、Al合金溶接継手の溶接部の軟化や割れに対
しては、アーク溶接方法の側からも溶接施工条件などの
改善が行なわれてきた。 例えば、特開平11-104860 号公報などに例示される通
り、極力低入熱で溶接する、あるいは冷却しながら溶接
接合する方法。 溶接後の継手を焼き入れ焼き戻し処理する、あるいは
特開平5-222498号公報などのように、時効硬化処理前の
材料(T1 、T4材) を溶接後、時効硬化処理する、などの
熱処理によって軟化を回復させる方法。
た溶接継手の場合、前記した通り、摩擦攪拌接合などの
低温溶接方法であっても、溶接継手効率は、強度、伸び
共にいずれも著しく低くなる特異な傾向がある。このた
め、前記摩擦攪拌接合方法よりも高温となる、前記の
低入熱乃至冷却アーク溶接方法では、Si過剰型の6000系
Al合金材の溶接継手の場合には、必然的に溶接継手効率
は、強度、伸び共にいずれも著しく低くなる。
き戻し処理する、あるいは、時効硬化処理前の材料(T1
、T4材) を溶接後、時効硬化処理する、などの熱処理
によって軟化を回復させる方法では、他のAl合金系材溶
接継手や、過剰Si型ではないSi含有量の低い他の6000系
Al合金材溶接継手で効果が認められる。
9 の397 〜405 頁には、過剰Mg型のA6061-T6Al合金材の
レーザー溶接継手にT6の時効処理(170〜180 ℃×8 時
間) に相当する448K(175℃) ×28.8ksの時効処理を行っ
た場合、母材並みの強度回復効果が認められることが記
載されている。
れば、過剰Si型6000系Al合金材の溶接継手では、このよ
うなT6の時効処理に相当する時効処理乃至熱処理を行っ
た場合でも、溶接継手効率の強度、そして特に伸びを共
に回復させて、成形性を満足するまでには回復できなか
った。
金であるAA6022Al合金材(T4)同士のテーラードブランク
材接合部のT6、T7時効処理後のビッカース硬度(HV)分布
を示す。図3 から分かる通り、接合部の軟化部におい
て、黒四角印の溶接後の硬度に対し、T6時効処理 (黒丸
印) 、T7時効処理 (白丸印) 後の硬度は著しく回復して
いる。しかし、これらT6、T7時効処理後のテーラードブ
ランク材をプレス成形した場合には破断が著しく生じ、
成形できなかった。従い、この結果から、成形性を回復
させるためには、軟化部硬度の回復のみでは不可で、硬
度回復以外の条件も必要であることが分かる。
ものであって、その目的は、成形性に優れた成形用過剰
Si型6000系Al合金溶接継手を提供しようとするものであ
る。
に、本発明成形用アルミニウム合金溶接継手の請求項1
の要旨は、アルミニウム合金材同士が溶接接合されてい
るとともに、少なくともいずれかのアルミニウム合金材
がAA乃至JIS 規格に規定される過剰Si型6000系アルミニ
ウム合金である成形用溶接継手であって、前記溶接接合
後に180 ℃以下の温度で時効処理され、前記過剰Si型60
00系アルミニウム合金材接合部の継手強度が母材比効率
で70% 以上回復されるとともに、継手伸びが母材比効率
で50% 以上回復されたことである。
合金の、溶接継手としての強度 (σ B ) の低下の他、溶
接継手としての伸びの低下も著しいという特異な傾向に
対し、前記従来の時効処理による溶接継手接合部の軟化
部分の硬度回復方法について再検討した。
接合継手においては、前記時効処理(熱処理)条件を、
従来のようなT6の時効処理に相当する高温や長時間(170
〜180 ℃×8 時間) の処理条件ではなく、より低温化や
短時間化することによって、過剰Si型6000系Al合金材溶
接継手の強度と伸びの両者が、成形性を向上させ得るま
でに回復することを知見した。
0 ℃以下の温度と10〜50分程度の短時間の最適条件を選
択し、過剰Si型6000系Al合金材溶接継手の強度 (σB )
を母材比効率で70% 以上 (好ましくは90% 以上) 、溶接
継手の伸びを母材比効率で50% 以上 (好ましくは70% 以
上) 回復すれば、成形性を向上させ得る。
理に相当する高温や長時間処理条件では、過剰Si型6000
系Al合金材溶接継手の場合、強度は母材並程度に回復す
るものの、逆に溶接継手の伸びは、溶接後よりも更に低
下してしまうという特異な現象を示す。
温度や時間の処理条件だけではなく、請求項2 に記載の
ように、前記継手の溶接接合の際に、前記過剰Si型6000
系Al合金材接合部に外部などからMgが供給されることに
よって、摩擦攪拌接合方法などの低温溶接方法は勿論、
アークなどの高温の熱源を用いる溶融溶接方法であって
も、続く時効処理の際に、前記時効処理温度や時間の処
理条件と相まって、過剰Si型6000系Al合金材溶接継手の
強度と伸びの両者が、母材並みの継手成形性が得られる
までに、確実に回復させ得ることを知見した。
のように、継手溶接の際にAA乃至JIS 規格に規定される
5000系Al合金溶加材を用いることで、前記接合部分にMg
を確実に、かつ簡便に供給できる点で好ましい。
請求項4 に記載の通り、特に成形性の問題が大きい (成
形性が要求される) テーラードブランク材に適用される
ことが好ましい。
いる母材Al合金は、Si/Mg が1 以上の、Mg含有量に対し
Siが過剰に含有されている、AA乃至JIS 規格に規定され
る6N01、6016、6111、6022などの、Si過剰型の6000系(A
l-Mg-Si 系) Al合金が対象となる。言い換えると、Al合
金溶接継手としての強度 (σB ) の低下の他、溶接継手
としての伸びの低下も著しいという特異な傾向を示さな
い、他の6000系Al合金は対象外となる。
れ処理 (質別記号T4) やその後の時効処理 (質別記号T
6) 、過時効処理 (質別記号T7) されて、溶接継手とし
ての母材として用いられる。
成として、前記溶接構造用としての必要強度などの要求
特性を満足するためには、Mg:0.2〜1.0% (質量% 、以下
同じ) 、Si:0.6〜1.6%の範囲から、Siが過剰となるよう
に選択することが好ましい。
i、V などのその他の合金元素は、基本的には不純物元
素である。しかし、6000系合金のリサイクルの観点か
ら、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系
合金や、その他のAl合金スクラップ材、低純度Al地金な
どを溶解材として使用する場合を含む。このため、これ
ら元素が、本発明の目的とする諸特性向上効果を阻害し
ない範囲で、JIS 乃至AA規格内で含有されることを許容
する。
鋳造、均質化熱処理、熱間加工 (圧延、押出、鍛造) 、
必要により中間焼鈍、冷間加工 (圧延、鍛造) 圧延等の
常法工程により、板材や形材 (中空断面など断面形状が
長さ方向のどの位置でも本質的に同一である形材) 、鍛
造材として製造される。
る溶接接合方法は、過剰Si型6000系Al合金材溶接継手の
強度と伸びの低下が著しい、溶接線が長い、アークなど
の熱源を用いる溶融溶接方法である、ティグ(TIG) 、ミ
グ(MIG) などの高速アーク溶接やレーザー溶接、電子ビ
ーム溶接、抵抗シーム溶接などの溶接方法、あるいは摩
擦攪拌接合(FSW) 方法を対象とする。したがって、過剰
Si型6000系Al合金材溶接継手の強度と伸びの低下が生じ
ないような溶接方法は対象としない。
件は常法の範囲で行う。但し、5356などの5000系Al合金
溶加材 (棒) は、溶接継手接合部の特性低下が著しく生
じる、溶融溶接には適用することが好ましい。この点、
より低温の摩擦攪拌接合方法では、5000系Al合金溶加材
の適用は、要求成形性や継手の形状条件に応じて、適用
しないことも可能である。
は、継手の溶接接合の際に、過剰Si型6000系Al合金材接
合部に外部からMgが供給され、続く時効処理の際に、溶
接方法によらず、過剰Si型6000系Al合金材溶接継手の強
度と伸びの両者が、母材並みの継手成形性が得られるま
でに回復させ得る。
ーラードブランク材(CO2レーザー突き合わせ溶接) 接合
部の170 ℃での時効処理条件における、テーラードブラ
ンク材の接合部から幅方向 (図の右方向) へのビッカー
ス硬度(HV)分布を示す。図2(a)は溶接時に5356溶加材添
加、図2(b)は溶接時に溶加材無添加、図2(c)は溶接時に
4047溶加材添加の場合である。なお、各図中で、黒四角
印は溶接後の硬度分布、丸印は溶接後170 ℃×10分での
時効処理後の硬度分布、三角印は溶接後170 ℃×20分で
の時効処理後の硬度分布を示す。
り、溶接時に溶加材を添加した図2(a)(c) は、図2(b)の
溶加材無添加に比して、軟化部の硬度が回復している。
しかし、図2(a)の溶接時に5356溶加材添加したものは、
最も硬度が回復している。従って、5000系Al合金溶加材
の使用の好ましさが裏付けられる。
6000系Al合金材同士でなくとも、通常のAl合金継手と同
様に、あるいは目的に応じて、3000系、5000系、6000
系、7000系など成分や合金系の違うAl合金材同士を接合
しても良い。例えば、5000系Al合金材を相手側の接合材
に選択した場合、5356などの5000系Al合金溶加材を用い
るのと同等の、過剰Si型6000系Al合金材接合部に外部か
らMgを供給する効果があり、5000系Al合金溶加材が不要
となる効果もある。
ば、必ずしも板同士の組み合わせでなくとも、形材同士
の組み合わせや形材と板との組み合わせなどが適宜選択
される。
の時効処理 (熱処理) は、過剰Si型6000系アルミニウム
合金材接合部の継手強度が母材比効率で70% 以上 (好ま
しくは90% 以上) 回復されるとともに、継手伸びが母材
比効率で50% 以上 (好ましくは70% 以上) 回復させ、続
く、金型を用いたプレス成形や曲げ加工などの成形性を
向上させるために重要となる。
の、時効効果が発揮されるできるだけ低温の温度条件を
選択する必要がある。また、時効処理時間は、10〜50分
程度の時効効果が発揮されるできるだけ短時間の最適条
件を選択することが好ましい。
た場合、時効処理時間が前記10〜50分程度の短時間であ
っても、また、5356などの5000系Al合金溶加材を用いて
接合部に外部からMgを供給したとしても、過剰Si型6000
系Al合金材溶接継手では、強度 (σB ) は時間の経過と
ともに回復するものの、逆に伸び (δ) は溶接ままの継
手よりも著しく低下する。
も、時効処理時間が前記50分を越えて長時間となった場
合、同じく、強度 (σB ) は時間の経過とともに回復す
るものの、逆に伸び (δ) は溶接ままの継手よりも低下
する可能性が生じる。
同士のテーラードブランク材(CO2レーザーで突き合わせ
溶接) 接合部の時効処理条件による、強度 (σB ) 、耐
力(σ0.2)、伸び (δ) の継手強度の経時変化を示す。
2 レーザー溶接した場合、(b) は5356の5000系Al合金溶
加材を用いてCO2 レーザー溶接した場合、(c) は4047の
4000系Al合金溶加材を用いてCO2 レーザー溶接した場合
である。
0 ℃を越える185 ℃ (三角印) 、200 ℃ (四角印) の高
温となった場合、時効処理時間が10〜50分程度の短時間
であっても、また、5356Al合金溶加材を用いて接合部に
外部からMgを供給したとしても、過剰Si型6000系Al合金
材溶接継手では、強度 (σB ) は時間の経過とともに回
復しているものの、逆に伸び (δ) は溶接ままの継手よ
りも著しく低下している。
印) の場合には、過剰Si型6000系Al合材接合部の継手強
度と継手伸びが共に、継手強度が母材比効率で70% 以
上、継手伸びが母材比効率で50% 以上、著しく回復され
ている。このことから、溶接後の時効処理温度が180 ℃
以下であることの臨界的な意義が分かる。
効処理条件は、過剰Si型6000系Al合金材の組成、製造履
歴、そして溶接接合条件によって異なり、数値範囲とし
て特定しにくい。このため、本発明の請求項では、前記
180 ℃以下の温度規定以外の時効処理条件を、時効処理
後 (回復後) のAl合金材溶接継手の強度と伸びの母材比
効率 (成形性を満足する強度70% 以上、伸び50% 以上)
から規定している意味もある。
すような合金組成の過剰Si型6000系のAl合金と、他の51
82、6061などのAl合金とを用い、表3 に示すように、過
剰Si型6000系Al合金母材と、同じAl合金系の板や他のAl
合金系の板を適宜組み合わせ、前記図4 に示したテーラ
ードブランク材を製作した。テーラードブランク材は、
1mm 厚の過剰Si型6000系Al合金母材 (板) と、2mm 厚の
2 枚の差厚Al合金板とを接合部A(溶接長さ830mm)におい
て、表2 、3 に示す各溶接方法および条件で接合した。
の断面を100 倍の光学顕微鏡により観察し、目視できる
溶接割れの他に、ミクロ的な溶接割れの有無を調査し
た。その結果、発明例、比較例ともに接合部の溶接割れ
は認められなかった。
を、表3 に示す種々の条件で、溶接接合後の時効処理を
施した。そして、溶接継手の試験片を採取し、溶接継手
の引張強度 (σB ) と伸び (δ) をJIS Z 2241に従い測
定した。そして母材(1mm厚側母材) の引張強度と伸びと
から各々の母材比効率 (継手効率) も算出し、溶接継手
の引張強度と伸びの回復状況を調査した。
るか否か検証するため、接合部のMg含有量(%) を測定
し、母材のMg含有量と比較した。これらの結果を表4 に
示す。
ンク材を、フードやドアなどの自動車パネル材に適用す
ることを想定して、プレス成形試験し、成形性を評価し
た。これらの結果も表4 に示す。プレス成形品の条件
は、製品部高さ70mm、長さ1200mm、幅700mm 、隅角部の
曲率R50 〜60mmの矩形形状とし、金型のドロービードや
ダイフェースの長さは前記成形品形状条件に適応させて
設けた。そして、しわ押さえ力12.5kN、使用潤滑油R-30
3 、成形速度20mm/ 分の条件でプレス成形を行った。
いずれの箇所も破断しておらず、良好に成形できた場合
を〇とし、溶接接合部を含めいずれの箇所が破断した場
合を×と評価した。一方、プレス成形品の溶接接合部を
観察し、溶接接合部に割れがない場合をA 、溶接長さの
30% 未満の長さの割れが生じている場合をB 、溶接長さ
の30% 以上の長さの割れが生じている場合をC と評価し
た。
は、時効処理の温度、時間などの条件、あるいは接合時
の溶加材の選択が適切で、継手強度が母材比効率で100
〜109%と規定の70% 以上 (あるいは好ましい条件の90%
以上) を優に越え、継手伸びが母材比効率で66〜102%と
規定の50% 以上 (あるいは好ましい条件の70% 以上) を
優に越えて回復されており、プレス成形に優れている。
などの条件、あるいは接合時の溶加材の選択が不適切
で、継手強度の回復率が母材比効率で70% 未満、継手伸
びの回復率が母材比効率で50% 未満の比較例No.9〜15
は、プレス成形品に割れが生じており、プレス成形が劣
っている。
6061Al合金を母材とした場合、本発明の過剰Si型6000系
Al合金母材では最適な時効処理温度、時間の条件では、
逆に、継手強度の回復率が母材比効率で70% 未満、継手
伸びの回復率が母材比効率で50% 未満と低くなり、プレ
ス成形も劣っている。
Al合金材溶接継手の、継手強度の母材比効率や、最重要
な成形性向上のための、本発明条件の臨界的な意義が裏
付けられる。
型6000系Al合金溶接継手を提供することが可能となる。
したがって、特性の優れた過剰Si型6000系Al合金展伸材
の自動車用途などへの拡大を図れる点で、工業的な価値
が大きい。
部の時効処理条件による継手強度の経時変化を示す説明
図である。
るビッカース硬度(HV)分布を示す説明図である。
効処理後のビッカース硬度(HV)分布を示す説明図であ
る。
る。
合金同士のテーラードブランク材接合部のビッカース硬
度(HV)分布を示す説明図である。
率を示す説明図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 アルミニウム合金材同士が溶接接合され
ているとともに、少なくともいずれかのアルミニウム合
金材がAA乃至JIS 規格に規定される過剰Si型6000系アル
ミニウム合金である成形用溶接継手であって、前記溶接
接合後に180℃以下の温度で時効処理され、前記過剰Si
型6000系アルミニウム合金材接合部の継手強度が母材比
効率で70% 以上回復されるとともに、継手伸びが母材比
効率で50% 以上回復されたことを特徴とする成形用アル
ミニウム合金溶接継手。 - 【請求項2】 継手の前記溶接接合の際に、前記過剰Si
型6000系アルミニウム合金材接合部にMgが供給されるよ
うにした請求項1に記載の成形用アルミニウム合金溶接
継手。 - 【請求項3】 前記Mgの供給源がAA乃至JIS 規格に規定
される5000系アルミニウム合金溶加材である請求項1ま
たは2に記載の成形用アルミニウム合金溶接継手。 - 【請求項4】 前記アルミニウム合金継手が厚みの違う
アルミニウム合金材同士が接合されたテーラードブラン
ク材である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の成形
用アルミニウム合金溶接継手。
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JP2001096130A JP2002294381A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 成形用アルミニウム合金溶接継手 |
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JP2001096130A Pending JP2002294381A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 成形用アルミニウム合金溶接継手 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2001
- 2001-03-29 JP JP2001096130A patent/JP2002294381A/ja active Pending
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