JP4707196B2 - 液体受け容器の製造方法 - Google Patents
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そして、この種の液体受け容器は、発泡樹脂により成型されており、その成型方法として、例えば特開平9−39018号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。図35は、係る特許公報において従来技術として記載された発泡樹脂成型機の模式図である。以下、その発泡樹脂成型機を用いた発泡樹脂成型品の成型工程について説明する。
また、液体受け容器の圧縮強度、曲げ強度および引張強度などの機械的強度が低下するという問題もある。
さらに、液体受け容器において水漏れが懸念される部分に手作業でシール処理を施さなければならないため、製造効率が低下するという問題もある。
無機繊維としては、金属繊維、ガラス繊維、岩石繊維、鉱滓繊維、炭素繊維などを用いることができる。
電気伝導性フィラーとしては、金、銀、銅、ニッケル、パラヂウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛などの金属を粒子状にしたもの、それら金属の合金を粒子状にしたもの、酸化錫などの金属酸化物を粒子状にしたもの、カーボンなどの導電性炭素同素体を粒子状にしたも、ガラス、カーボン、マイカ、プラスチックなどの粒子の表面に導電の金属をコートしたものなどを用いることができる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態において使用する符号と対応するものである。
液体受け容器の母材の一の面のうち、所定の領域が、硬化したエポキシ樹脂製の膜により被覆されるため、上記所定の領域における連通孔に浸透した液体が漏れるおそれのない液体受け容器を実現することができる。
特に、連通孔が、硬化したエポキシ樹脂によって閉塞されるため、エポキシ樹脂製の膜が破損した場合であっても、その破損箇所から連通孔を通じて液体が漏れるおそれがない。
従って、ピンホールの発生し難い液体受け容器を製造することができる。
しかし、本願の請求項1ないし請求項11に係る発明では、エポキシ樹脂を使用するため、乾燥に長時間を要しない。また、乾燥しても体積が大幅に減少しないため、連通孔の閉塞状態を維持することができる。さらに、エポキシ樹脂は、界面活性剤効果を持つ補助剤を含まないため、連通孔を閉塞する効果が阻害されることもない。
つまり、機械的強度を高めたい所望の領域にエポキシ樹脂を浸透させることにより、軽量でありながら、液体漏れが発生せず、圧縮強度、曲げ強度および引張強度などの機械的強度が高い液体受け容器を製造することができる。さらに、エポキシ樹脂は、耐油性、耐熱性に優れるため、液体受け容器の耐油性および耐熱性を高めることもできる。
例えば、母材に貫通形成された排水口にソケットを挿入する構造の場合、排水口の周囲もエポキシ樹脂で覆っておくことにより、排水溝の周囲にもエポキシ樹脂が浸透し、自動的にシール処理が施されるため、別工程でシール材を用いて排水口の周囲にシール処理を施す作業を省くことができる。
従って、液体受け容器の製造効率を高めることができる。
従って、液体受け容器の製造効率を高めることができる。
加圧装置により、母材の一の面側に形成された容器内部の空間のうち、前記所定の領域に対応する空間内の圧力を上昇させるとともに、減圧装置により、母材の他の面側に形成された容器内部の空間のうち、前記所定の領域に対応する空間内を減圧するため、加圧装置単独または減圧装置単独の場合よりも、前記所定の領域を覆うエポキシ樹脂を連通孔に効率良く浸透させることができる。
従って、液体受け容器の製造効率を高めることができる。
母材の一の面に設定された各所定の領域毎にエポキシ樹脂の浸透量を異ならせることができる。
従って、特定の領域におけるエポキシ樹脂の浸透量を他の領域よりも増やすことにより、特定の領域におけるシール効果を高めたり、強度を高めたりすることができる。
従って、液体受け容器の製造コストを低減することができる。
加圧装置によって各加圧室の内部圧力をそれぞれ異なる大きさに上昇させるとともに、減圧装置によって各減圧室をそれぞれ異なる大きさで減圧するため、加圧装置単独または減圧装置単独の場合よりも、各所定の領域にエポキシ樹脂を効率良く浸透させることができる。
従って、液体受け容器の製造効率を高めることができる。
母材の一の面がフィルムによって覆われた状態にすることにより、所定の領域における圧力差、または、所定の領域にかかる圧力を均等にすることができるので、エポキシ樹脂を所定の領域に均等に浸透させることができる。
また、局部的に大きなピンホールが発生している母材の場合は、減圧または加圧時あるいは減圧および加圧時に、ピンホール中に浸入した空気によってピンホール中のエポキシ樹脂が押し出され、そのままピンホールが残ってしまうおそれがあるが、フィルムによって空気の浸入が阻止されるため、ピンホールが発生するおそれがない。
さらに、フィルムの表面に所望の印刷を施すことにより、液体受け容器の意匠性を向上させることもできる。
エポキシ樹脂は、揮発性有機溶剤を含まないものであるため、液体受け容器を常温常圧下で使用中に液体受け容器から有機化学物質(VOC(Volatile Organic Compounds))が大気中に揮発するおそれがない。
従って、揮発した有機化学物質が人体に悪影響を及ぼすなど、環境汚染が発生するおそれがない。
エポキシ樹脂に無機フィラーを混合してなる流動体は、エポキシ樹脂単独よりも粘度および強度などの物理的性質を変性させることができるため、エポキシ樹脂単独よりも、強度の高い液体受け容器を製造することができる。
また、母材の連通孔の径よりも長いカット長または繊維径を有する無機繊維をエポキシ樹脂に混合した場合は、流動体中のエポキシ樹脂のみを母材に浸透させ、無機繊維が混合した流動体を母材の所定の領域に残留させることができる。
従って、母材の所定の領域に残留した流動体を硬化させることにより、母材の所定の領域における強度をエポキシ樹脂単独を用いた場合よりも高めることができる。
また、流動体中のエポキシ樹脂のみが上記所定の領域における連通孔に浸透するため、液体漏れ防止などの効果を奏することができる。
さらに、無機材料を選択することにより、その選択した無機材料の性質を上記流動体に持たせることができる。例えば、銅をエポキシ樹脂に混合することにより、抗菌効果を有するドレンパンを製造することができる。さらに、無機物質であるため、揮発によって環境汚染が発生するおそれもない。さらに、流動体は、エポキシ樹脂単独よりも粘度が高いため、塗布時のタレなどを改良することができる。
エポキシ樹脂に天然または合成の短繊維を5重量%混合してなる流動体は、エポキシ樹脂単独よりも粘度および強度などの物理的性質を変性させることができるため、エポキシ樹脂単独よりも、強度の高い液体受け容器を製造することができる。
また、カット長または繊維径が母材の連通孔よりも長く、連通孔に浸透し難い短繊維をエポキシ樹脂に混合した場合は、流動体中のエポキシ樹脂のみを母材に浸透させ、短繊維が混合した流動体を母材の所定の領域に残留させることができる。
従って、母材の所定の領域に残留した流動体を硬化させることにより、母材の所定の領域における強度をエポキシ樹脂単独を用いた場合よりも高めることができる。
また、流動体中のエポキシ樹脂のみが上記所定の領域における連通孔に浸透するため、液体漏れ防止などの効果を奏することができる。
さらに、流動体は、エポキシ樹脂単独よりも粘度が高いため、塗布時のタレなどを改良することができる。
この発明の第1実施形態について図を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、この発明に係る液体受け容器の製造方法としてドレンパンの製造方法を代表に説明する。また、ドレンパンとして、天井埋め込みタイプの空気調和装置に用いるものを説明する。
ドレンパンの母材の構造について図を参照しながら説明する。図1は、ドレンパンの母材の説明図であり、(a)は、母材の平面図、(b)は、(a)のB−B矢視断面図、(c)は、(a)のA−A矢視断面図である。図2は、図1の一部を拡大した部分拡大図であり、(a)は、図1(b)に示す水受け部6の拡大図、(b)は、図1(c)に示す排水口8に嵌合されるソケットを示す拡大図、(c)は、ソケットが嵌合された状態を示す拡大図である。
次に、エポキシ樹脂の塗布範囲について説明する。図3は、エポキシ樹脂の塗布範囲を示す説明図であり、(a)は、図2(a)に対する塗布範囲の説明図、(b)は、図2(b)に対する塗布範囲の説明図である。
また、エポキシ樹脂Eは、反応性希釈剤および硬化剤を混合して成り、発泡セルを溶解しない性質を有し、かつ、粘度が2000mPa・s未満であり、さらに、硬化前と硬化後の重量減少率が20%未満である。
次に、母材1にエポキシ樹脂を浸透させるためのエポキシ樹脂浸透装置について図を参照して説明する。図4は、エポキシ樹脂浸透装置に母材1がセットされた状態の断面図である。
次に、ドレンパンの製造方法について図を参照して説明する。図5は、浸透したエポキシ樹脂が硬化し、硬化したエポキシ樹脂製の膜により塗布面が被覆された状態を示す断面図であり、(a)は図3(a)に対応する図、(b)は図3(b)に対応する図である。
つまり、水受け部6を構成する側壁面3b,6bおよび底面6cと、排水溝9を構成する側壁面9a,9bおよび底面9cとから内部にエポキシ樹脂Eが浸透する。このとき、エポキシ樹脂Eは、加圧装置30による圧力および毛管現象により、母材1の表面から裏面には連通していないが表面だけに連通する空隙にも浸透する。
エポキシ樹脂Eの塗布量と、加圧装置30による加圧時間と、減圧装置40による減圧時間と、エポキシ樹脂Eの膜厚との関係は、予め試験により求めておき、実際の製造現場では、加圧装置30の加圧時間および減圧装置40の減圧時間を制御することにより、所望の膜厚となるようにする。
また、水受け部6および排水溝9の各面には、硬化したエポキシ樹脂膜Fがそれぞれ形成される。
(1)上記実施形態に係るドレンパンの製造方法によれば、水受け部6および排水溝9の各面には、硬化したエポキシ樹脂膜Fがそれぞれ形成されるため、水受け部6および排水溝9から水がドレンパン外部へ漏れるおそれがない。
従って、ピンホールの発生し難いドレンパンを製造することができる。
また、エポキシ樹脂の硬化前と硬化後の重量減少率が20%未満であるため、乾燥しても体積が大幅に減少しないので、連通孔の閉塞状態を維持することができる。
さらに、エポキシ樹脂は、エマルジョンのように界面活性剤効果を持つ補助剤を含まないため、巻き込んだ空気などの気体が減圧下で大きな泡となって連通孔を閉塞するおそれもない。
従って、液体受け容器の製造効率を高めることができる。
また、強度を高めたり領域が存在する場合も、上記第1工程のときに、その領域にエポキシ樹脂Eを塗布しておけば、その領域の強度が自動的高まるため、別工程で補強作業を行う必要がない。
従って、ドレンパンの製造効率を高めることができる。
従って、ドレンパンの製造効率を高めることができる。
次に、この発明の第2実施形態について図を参照して説明する。
図6は、この実施形態の製造方法において用いるエポキシ樹脂浸透装置の説明図である。図7は、図6に示すエポキシ樹脂浸透装置の説明図であり、(a)は蓋を閉めた状態の説明図、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。
この実施形態の製造方法は、母材1の領域によってエポキシ樹脂Eの浸透量を異ならせることができることを特徴とする。
図6に示すように、母材60は、上面開口の箱状(トレイ形状)に形成されている。なお、母材60は、簡略化して描かれている。エポキシ樹脂浸透装置50は、容器本体51と、蓋52と、減圧装置40,41とを備える。容器本体51は箱状に形成されており、上面が開口している。容器本体51の上面には、枠状のパッキン51aが設けられている。容器本体51の底面55には、母材60を載置するための載置台56が配置されている。容器本体51は、載置台56に載置された母材60の周囲に空間が形成される大きさに形成されている。
図7(b)に示すように、蓋52によって容器本体51を密閉すると、載置台56に載置された母材60の周囲には、減圧室C1が形成される。減圧室C1は、容器本体51の側壁に貫通形成された排気口59に連通している。排気口59は、図示しないホースを介して減圧装置40と接続されている。
この実施形態では、母材60の内側面62よりも底面63の方のシール効果を高くするため、内側面62よりも底面63に形成されたエポキシ樹脂膜の膜厚を厚くする。
(1)図6に示すように、母材60の内側面62および底面63にエポキシ樹脂Eを塗布する。このとき、塗布されたエポキシ樹脂Eの層厚が内側面62よりも底面63の方が厚くなるようにエポキシ樹脂Eを塗布する(第1工程)。
(3)次に、図6に示すように、第1工程を終えた母材60を容器本体51の載置台56の上に載置し、容器本体51を蓋52で密閉する(第3工程)。
このとき、エポキシ樹脂Eを塗布した領域には、上記所定の厚さのエポキシ樹脂層が未硬化の状態で形成される。
エポキシ樹脂Eの塗布量と、減圧装置40,41による各減圧時間と、エポキシ樹脂Eの膜厚との関係は、予め試験により求めておき、実際の製造現場では、減圧装置40,41の各減圧時間を制御することにより、所望の膜厚となるようにする。
(1)上記第2実施形態に係るドレンパンの製造方法は、エポキシ樹脂浸透装置が加圧装置を備えず、2つの減圧室を有する以外は、第1実施形態に係るドレンパンの製造方法と同じであるため、第1実施形態と同じ効果(1)〜(7)および(9)〜(12)を奏することができる。
従って、特定の領域におけるエポキシ樹脂Eの浸透量を他の領域よりも増やすことにより、特定の領域におけるシール効果を高めたり、強度を高めたりすることができる。
次に、この発明の第3実施形態に係るドレンパンの製造方法について図を参照して説明する。
図10は、この実施形態において使用するエポキシ樹脂浸透装置の説明図である。
この実施形態では、ドレンパンの表面のうち、中央領域には、水滴を受ける領域が形成されており、周縁領域には、中央領域にて受けた水の貯留領域と、ドレンパンを空気調和装置に取付けるための金具の取付領域とが形成されているとする。このため、母材60の周縁領域64および中央領域65には、エポキシ樹脂Eを浸透させることにより、シール処理を施し、特に、周縁領域64は、中央領域65よりもエポキシ樹脂Eの浸透量を増加して強度を高める。
この実施形態は、第1および第2実施形態と同じ特徴を備えるため、第1および第2実施形態と同じ効果を奏することができる。
特に、母材60の各領域に対応する複数の減圧室に加えて複数の加圧室をも備えており、各加圧室内の圧力を、対応する減圧室に合わせて異ならせることができるため、領域毎にエポキシ樹脂Eの浸透量を異ならせることができ、かつ、エポキシ樹脂Eの浸透速度を速めて製造効率を高めることができる。
この発明の第1変更例について図を参照して説明する。図11は、第1変更例におけるエポキシ樹脂浸透装置の説明図である。
この第1変更例は、第2実施形態と同じ特徴を備えるため、第2実施形態と同じ効果を奏することができる。エポキシ樹脂Eの浸透に際して加圧力が作用しないため、第3実施形態の製造方法よりもエポキシ樹脂Eの浸透速度は遅くなるが、エポキシ樹脂Eを浸透させる領域の肉厚が比較的薄い場合、第3実施形態と比較して製造効率の点で遜色がない。また、加圧装置が不要であるため、その分、装置のコストを抑制することができる。
この発明の第2変更例について図を参照して説明する。図12は、第2変更例におけるエポキシ樹脂浸透装置の説明図である。
この第2変更例は、減圧に代えて加圧によってエポキシ樹脂Eを母材60に浸透させる部分以外は、第2実施形態と同じ特徴を備えるため、第2実施形態と同じ効果を奏することができる。エポキシ樹脂Eの浸透に際して真空引きによる吸引作用が発生しないため、第3実施形態の製造方法よりもエポキシ樹脂Eの浸透速度は遅くなるが、エポキシ樹脂Eを浸透させる領域の肉厚が比較的薄い場合は、それほど製造効率が低下するおそれはない。また、減圧装置が不要であるため、その分、装置のコストを抑制することができる。
エポキシ樹脂Eとして、揮発性有機溶剤を含まないものを用いることが望ましい。例えば、エポキシ樹脂、反応希釈剤および硬化剤のみで構成されるエポキシ樹脂組成物、あるいは、低分子量ポリブデンなどの微粒子の高分子弾性物を上記のエポキシ樹脂組成物に配合したものを用いることが望ましい。揮発性有機溶剤を含まないエポキシ樹脂Eを使用すれば、ドレンパンの使用中にドレンパンから有機化学物質(VOC(Volatile Organic Compounds))が大気中に揮発するおそれがない。
従って、揮発した有機化学物質が人体に悪影響を及ぼすなど、環境汚染が発生するおそれがない。
エポキシ樹脂に無機フィラーを混合してなる流動体をエポキシ樹脂Eに代えて用いることもできる。この流動体は、エポキシ樹脂E単独よりも、粘度、強度などが高いため、流動体を塗布した部分の強度をエポキシ樹脂単独を用いた場合よりも高めることができる。
この場合、無機フィラーとして、母材の連通孔の径よりも長いカット長または繊維径を有する無機繊維を使用することにより、流動体中のエポキシ樹脂のみを母材に浸透させ、無機繊維が混合した流動体を母材表面に残留させることができる。
電気伝導性フィラーとしては、金、銀、銅、ニッケル、パラヂウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛などの金属を粒子状にしたもの、それら金属の合金を粒子状にしたもの、酸化錫などの金属酸化物を粒子状にしたもの、カーボンなどの導電性炭素同素体を粒子状にしたも、ガラス、カーボン、マイカ、プラスチックなどの粒子の表面に導電の金属をコートしたものなどを用いることができる。
エポキシ樹脂に天然または合成の短繊維を5重量%混合してなる流動体をエポキシ樹脂Eに代えて用いることもできる。この流動体は、エポキシ樹脂単独よりも粘度および強度などの物理的性質を変性させることができるため、流動体を塗布した部分の強度をエポキシ樹脂単独を用いた場合よりも高めることができる。
また、カット長または繊維径が母材の連通孔よりも長く、連通孔に浸透し難い短繊維をエポキシ樹脂に混合した場合は、流動体中のエポキシ樹脂のみを母材に浸透させ、短繊維が混合した流動体を母材の所定の領域に残留させることができる。
また、流動体中のエポキシ樹脂のみが上記所定の領域における連通孔に浸透するため、液体漏れ防止などの効果を奏することができる。
さらに、流動体は、エポキシ樹脂単独よりも粘度が高いため、塗布時のタレなどを改良することができる。なお、この変更例における流動体を用いた試験の内容は、後述の試験7において説明する。
次に、本願発明者らが行った試験について図を参照して説明する。
[試験1:真空圧および粘度の相関関係]
本願発明者らは、母材に液体を浸透させるために必要な減圧室における真空圧と、液体の粘度との相関関係について調べた。図13は、この試験で使用した試験装置の模式図である。図14は、真空圧と粘度の相関試験結果を示す図表である。
図13に示すように、この試験1で使用した試験装置400は、容器401と、減圧装置41とを備える。容器401の上面は開口しており、内部は中仕切り402によって上下二つの空間に分かれている。上部空間405は、発泡樹脂成型体1aを収容する空間に形成されており、下部空間406は、減圧室C2になっている。中仕切り402には、減圧室C2に連通する通気口403が複数箇所に貫通形成されている。減圧室C2は、容器401の側壁に貫通形成された排気口404に連通しており、排気口404は、図示しないホースを介して減圧装置41と接続されている。
上記の試験1により、着色溶液Wの粘度が高いほど、発泡樹脂成型体1aに浸透するための時間がかかり、かつ、高い真空圧を必要とすることが分かった。また、着色溶液Wの粘度が2000mPa・sになると、発泡樹脂成型体1aに浸透することは、製造効率の点から困難であることが分かった。
従って、空隙率が3%の母材に浸透させることのできる液体の最高粘度は2000mPa・s未満であることが望ましいという結論を得た。
次に、本願発明者らは、上記の試験1の結果をエポキシ樹脂に適用できるかを調べた。
ここでは、エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン株式会社製のjER811NおよびjERキュアFL240を混合したものを使用した(jERおよびjERキュアは、ジャパンエポキシレジン株式会社の登録商標)。jER811Nの一般名は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂および反応性希釈剤の混合物であり、それぞれを85%、15%の重量比で混合したものである。また、jERキュアFL240の一般名は、変性脂肪族ポリアミンであり、ビスフェノールAおよび変性脂肪族ポリアミンをそれぞれ20%、80%の重量比で混合したものである。
上記の試験2により、粘度475mPa・sのエポキシ樹脂が、空隙率3%の発泡樹脂成型体1aに浸透することが分かった。
次に、本願発明者らは、加圧装置および減圧装置を用いた浸透方法により、エポキシ樹脂が母材に浸透する深さについて試験を行った。図31は、この試験で使用した試験装置の模式図である。図32は、エポキシ樹脂の浸透深さに関する試験の説明図であり、(a)は試験結果をまとめた図表、(b)は計測箇所の説明図である。
つまり、エポキシ樹脂の浸透深さは、減圧および加圧による浸透方法が最も深く、減圧のみによる浸透方法および加圧のみによる浸透方法では、殆ど差がなかった。
上記の試験3により、減圧のみによる浸透方法、加圧のみによる浸透方法、減圧および加圧による浸透方法の3種類の浸透方法のいずれを用いても、粘度475mPa・sのエポキシ樹脂を空隙率2%の発泡樹脂成型体1aに浸透させることができることが分かった。また、減圧および加圧による浸透方法が、エポキシ樹脂を母材に最も深く浸透させることができることが分かった。
次に、本願発明者らは、本願発明に係る製造方法によって製造されたドレンパンの緩衝能力について試験を行った。
この試験は、日本工業規格(JIS)のJIS Z 0235に規定されている静的緩衝係数を測定する装置を使用して行った。また、重錘には、Gセンサを取付け、重錘を1個の試験片に対して5箇所に落下させ、G値を測定した。
その結果、図20に示すように、空隙率2〜5%の試験片が良好な緩衝能力を有し、空隙率6%の試験片が若干緩衝能力に劣るものの実用面では問題がなく、空隙率9%の試験片は、緩衝能力が無く実用的でないという評価になった。
従って、安全率の観点からは、46.9Gから25%増加の範囲内に収まっている空隙率2%のエポキシ樹脂浸透体が好ましいと考えられる。
また、今回の試験で使用したエポキシ樹脂よりも軟性の高いエポキシ樹脂などを母材に収容することにより、G値の増加を抑制できるものと推定される。
試験3で作成した各試験片を使用して圧縮試験を行い、試験片の母材の空隙率と圧縮強度と静的緩衝係数との関係を調べた。圧縮強度の測定は、日本工業規格に定められているJIS K 7220に従って行った。
従って、ドレンパンの肉厚を変更することなく、衝撃を受ける受け面積を減らすことができる。ただし、エポキシ樹脂を浸透させていない試験片の圧縮応力よりも3倍以上の圧縮応力を有する空隙率6%以上の試験片は、その分、受け面積が極端に減るため、実用性が低い。
空隙率の小さい試験片に対するエポキシ樹脂の浸透性について試験を行った。この試験は、図13に示した試験装置400を使用して行った。また、表面にエポキシ樹脂を塗布した試験片を容器401の上部空間405に固定し、減圧装置41によって真空引きを所定時間行い、エポキシ樹脂の浸透を観察した。試験片は、発泡倍率30倍の発泡樹脂成型体を使用した。
また、空隙率1.5%の試験片では、浸透時間は5分以上であった。さらに、空隙率3%の試験片では、浸透時間は30秒程度であり、空隙率5%および9%では、浸透時間は一瞬であった。そこで、図26に示すように、浸透時間が5分以上必要な空隙率0.5%および1.5%以下の試験片に対して、やや劣る(△)と評価し、浸透時間が30秒程度以下である空隙率3%、5%および9%の試験片に対して良好(○)と評価した。
エポキシ樹脂の粘度および浸透深さの相関関係を求める試験を行った。この試験では、発泡倍率45倍で空隙率約2%の試験片を使用した。また、前述の試験5における浸透性試験と同じ装置を使用し、粘度1000,950,900mPa・sの3種類のエポキシ樹脂を使用した。試験片の表面にエポキシ樹脂を塗布し、真空圧-0.08MPaの状態を60秒間維持し、エポキシ樹脂の浸透した深さを試験片を表面から計測した。
つまり、真空度および真空引きの時間が一定の場合、エポキシ樹脂の粘度が低いほど、浸透深さが深くなることが分かった。
試験片にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた試験片の防水効果について試験を行った。
図13に示した試験装置を利用し、上部空間405に収容した試験片の表面に水を充填し、減圧装置41を作動させ、所定の真空度になってから所定時間経過後に試験片の下面から水が漏れるかどうかを観察した。この試験で使用した水は、真水と、界面活性剤を0.1%混合した水と、界面活性剤を1.0%混合した水の3種類である。また、真空ボックス内の真空度を-10kPaおおび-40kPaの2つの値に制御し、制御開始から5分後および15分後に水漏れを観察した。試験片として、エポキシ樹脂を浸透させていない発泡倍率38倍の試験片と、エポキシ樹脂を浸透させた試験片とを使用した。
つまり、エポキシ樹脂を浸透させた試験片は、防水効果が100%であることが分かった。
エポキシ樹脂単独に代えて、エポキシ樹脂に合成の短繊維を混合してなる流動体を用いて分散性、スプレー塗布性および浸透性について試験を行った。この試験の目的は、エポキシ樹脂のみを母材に浸透させ、流動体の層を母材表面に形成することにより、エポキシ樹脂のみを浸透させただけのドレンパンよりもさらに強度の高いドレンパンを実現することにある。
この試験では、上記の流動体をホモディスパー(高速均一分散機)によって撹拌分散し、分散性を評価した。その結果、各試験の評価をまとめた図33に示すように、ビニロンの投入量が0.5、1.0(wt%)の場合は、いずれも分散した(評価○)。また、ビニロンの投入量が5.0(wt%)の場合は、大部分は分散したが、所々でビニロン同士が絡み合い、不均一な分散部分が発生した(評価△)。しかし、ビニロンの投入量が10.0(wt%)に増加すると、エポキシ樹脂に対するビニロンの混合量が過多のため、分散しなかった(評価×)。
従って、エポキシ樹脂にビニロンを5重量%以下混合してなる流動体を使用することが望ましいことが分かった。
上記の流動体をスプレー塗布できるかどうか、エポキシスプレー塗布機を使用して試験した。流動体の粘度がエポキシ樹脂よりも高いため、エポキシスプレー塗布機の噴出口の口径を大きくして塗布した。その結果、図33に示すように、ビニロンの投入量が0.5、1.0(wt%)の場合は、いずれもスプレー塗布をすることができた。しかし、ビニロンの投入量が0.5(wt%)を超えると、スプレー塗布をすることができなかった。
従って、スプレー塗布するためには、流動体中のビニロンの混合用を1.0重量%以下にする必要があることが分かった。
この試験は、前述の試験5における浸透性試験と同じ装置により、同じ条件下で行った。使用した試験片は、発泡倍率30倍、空隙率2%、厚さ25mmである。
試験の結果、図33に示すように、ビニロンの投入量が0.5、1.0、5.0(wt%)の場合は、いずれも流動体が試験片の表面に残留し、エポキシ樹脂のみが試験片に浸透した(評価○)。しかし、ビニロンの投入量が10.0(wt%)に増加すると、エポキシ樹脂に対するビニロンの混合量が過多のため、流動体を作成することができなかった(評価×)。
つまり、エポキシ樹脂のみを母材に浸透させた場合も、ドレンパンの強度を高めることができるが、さらに強度を高めたい場合には、上記の流動体を使用すれば良い。このとき、エポキシ樹脂が母材に浸透したときに流動体による層が母材の表面に所定の厚さに形成されるようにし、その後、自然養生させることにより、流動体の層を硬化させる。これにより、水漏れが無く、より一層強度の高いドレンパンを製造することができる。また、上記の流動体は、エポキシ樹脂単独よりも粘度が高いため、塗布時のタレなどを改良することができる。
さらに、ビニロンの短繊維以外に、ビスコスレーヨン繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、金属繊維などの短繊維を用いることができる。さらに、合成の短繊維以外に天然の短繊維を用いることもできる。例えば、綿、麻、ジュートなどの植物繊維、羊毛、絹糸などの動物性繊維、セルロースなどの食物繊維を用いることができる。
図30は、前述の緩衝能力試験、圧縮試験および浸透試験における各空隙率に対する総合評価を示す図表である。この総合評価より、エポキシ樹脂を浸透させることにより、水漏れを完全に防止できるドレンパンを製造するためには、母材1の空隙率が0.2%以上であることが望ましいことが分かった。また、ドレンパンの緩衝能力および圧縮応力を高めるためには、母材1の空隙率が7%を超えないことが望ましいことが分かった。別のパラメータを用いて表現すると、水よりも界面張力の小さい30mN/m以下の界面張力の液体が、0.1MPa以上の差圧を所定の面間に発生させることによって浸透する母材を使用することが望ましい。
そこで、材料側の特性と、装置側の駆動条件との関係を予め求めておき、それをドレンパンを製造する際に利用すれば、材料側の特性が変化した場合でも、求めた関係に基づいて装置側の駆動条件を変更するだけで済むため、製造効率を高めることができる。
ここで、母材1の製造原料について説明する。
母材1を形成するための発泡樹脂原料としては、、特定の発泡温度において発泡するものである限り特に限定されないが、熱可塑性物質を主材とし、気体もしくは液体を発泡剤として含浸させたもの、あるいは、熱分解性の発泡剤を含有するものを好適に用いるが、両者を含有するものでも良い。また、熱可塑性物質は架橋されていても良い。
このような熱分解性発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、アゾジカルボンアミドエステル等のアゾ化合物;ジニトロソベンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;p−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、p,p´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3´−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;4,4´−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホアジド等のアジド化合物;p−トルエンスルホセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモン、亜硝酸アンモン等を挙げることができる。さらに、これらの熱分解性発泡剤は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
均質な発泡セル構造を持つ発泡樹脂複合構造体を得るためには、発泡性ビーズの大きさは、概略揃っているのが望ましい。しかし、厳密に揃っている必要はない。また、あえて発泡性ビーズの大きさに分布を持たせることで、発泡セル膜に特異な3次元構造を持たせることができるので、異なる大きさの発泡性ビーズを混ぜて用いることもある。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、エポキシ化エラストマー、エポキシ化ステアリン酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ変成ポリシロキサン、可撓性エポキシ樹脂、エポキシ化(メタ)アクリル系オリゴマー及びエポキシ基を持つ反応性希釈剤等を用いることができる。
さらに、アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、銀粉、銅粉、酸化チタンなどの金属粉を着色剤として用いても良い。
これらの着色剤によってエポキシ樹脂を着色することにより、ドレンパンの色や模様を変えることができる。
(1)容器に収容した母材1の表面にエポキシ樹脂を注ぎ、母材1の表面のうち、エポキシ樹脂を浸透させたい領域に対応する母材1の裏面の領域を減圧装置によって減圧する方法でも良い。また、母材1をエポキシ樹脂中に浸漬する方法でもよい。これらの方法を採用する場合、前述のように、エポキシ樹脂Eを浸透させたくない領域をフィルムなどで予めマスキングしておいても良い。
1d・・発泡セル、1e・・空隙、1f・・断片、6・・水受け部、8・・排水口、
10・・蓋、11・・加圧室、20・・容器本体、21・・減圧室、
30,31・・加圧装置、40,41・・減圧装置、
70,80,90・・エポキシ樹脂浸透装置、C1,C2・・減圧室、
C3,C4・・加圧室、E・・エポキシ樹脂、F・・エポキシ樹脂膜。
Claims (11)
- 隣接する発泡セル同士が融着することにより独立気泡構造が形成されており、かつ、独立気泡間が連通することにより一の面から他の面に連通した連通孔が存在する発泡樹脂成型体を母材とする液体受け容器の製造方法において、
前記発泡セル間の空隙率が0.2〜7%であり、かつ、30mN/m以下の界面張力を有する液体が、0.1MPa以上の差圧を所定の面間に発生させることによって浸透する母材と、
前記発泡セルを溶解しない性質を有し、かつ、粘度が2000mPa・s未満であり、さらに、硬化前と硬化後の重量減少率が20%未満であるエポキシ樹脂と、
前記母材を収容する容器と、
前記容器の内部を減圧する減圧装置とを用意し、
前記母材が前記容器の中に収容され、前記一の面のうち、所定の領域が前記エポキシ樹脂によって覆われた状態を作る第1工程と、
前記減圧装置により、前記他の面側に形成された容器内部の空間のうち、前記所定の領域に対応する空間内を減圧し、前記所定の領域を覆うエポキシ樹脂を前記連通孔に浸透させ、かつ、前記所定の領域にエポキシ樹脂製の膜が形成された状態にする第2工程と、
前記連通孔に浸透したエポキシ樹脂および前記所定の領域に形成されたエポキシ樹脂製の膜を硬化させる第3工程と、
を実行することにより、前記連通孔が硬化したエポキシ樹脂によって閉塞され、かつ、前記所定の領域が硬化したエポキシ樹脂製の膜により被覆された状態にすることを特徴とする液体受け容器の製造方法。 - 隣接する発泡セル同士が融着することにより独立気泡構造が形成されており、かつ、独立気泡間が連通することにより一の面から他の面に連通した連通孔が存在する発泡樹脂成型体を母材とする液体受け容器の製造方法において、
前記発泡セル間の空隙率が0.2〜7%であり、かつ、30mN/m以下の界面張力を有する液体が0.1MPa以上の上下差圧を所定の面間に発生させることによって浸透する母材と、
前記発泡セルを溶解しない性質を有し、かつ、粘度が2000mPa・s未満であり、さらに、硬化前と硬化後の重量減少率が20%未満であるエポキシ樹脂と、
前記母材を収容する容器と、
前記容器の内部の圧力を高める加圧装置とを用意し、
前記母材が前記容器の中に収容され、前記一の面のうち、所定の領域が前記エポキシ樹脂によって覆われた状態を作る第1工程と、
前記加圧装置により、前記一の面側に形成された容器内部の空間のうち、前記所定の領域に対応する空間内の圧力を上昇させ、前記所定の領域を覆うエポキシ樹脂を前記連通孔に浸透させ、かつ、前記所定の領域にエポキシ樹脂製の膜が形成された状態にする第2工程と、
前記連通孔に浸透したエポキシ樹脂および前記所定の領域に形成されたエポキシ樹脂製の膜を硬化させる第3工程と、
を実行することにより、前記連通孔が硬化したエポキシ樹脂によって閉塞され、かつ、前記所定の領域が硬化したエポキシ樹脂製の膜により被覆された状態にすることを特徴とする液体受け容器の製造方法。 - 隣接する発泡セル同士が融着することにより独立気泡構造が形成されており、かつ、独立気泡間が連通することにより一の面から他の面に連通した連通孔が存在する発泡樹脂成型体を母材とする液体受け容器の製造方法において、
前記発泡セル間の空隙率が0.2〜7%であり、かつ、30mN/m以下の界面張力を有する液体が0.1MPa以上の上下差圧を所定の面間に発生させることによって浸透する母材と、
前記発泡セルを溶解しない性質を有し、かつ、粘度が2000mPa・s未満であり、さらに、硬化前と硬化後の重量減少率が20%未満であるエポキシ樹脂と、
前記母材を収容する容器と、
前記容器の内部の圧力を高める加圧装置と、
前記容器の内部を減圧する減圧装置とを用意し、
前記母材が前記容器の中に収容され、前記一の面のうち、所定の領域が前記エポキシ樹脂によって覆われた状態を作る第1工程と、
前記加圧装置により、前記一の面側に形成された容器内部の空間のうち、前記所定の領域に対応する空間内の圧力を上昇させるとともに、前記減圧装置により、前記他の面側に形成された容器内部の空間のうち、前記所定の領域に対応する空間内を減圧し、前記所定の領域を覆うエポキシ樹脂を前記連通孔に浸透させ、かつ、前記所定の領域にエポキシ樹脂製の膜が形成された状態にする第2工程と、
前記連通孔に浸透したエポキシ樹脂および前記所定の領域に形成されたエポキシ樹脂製の膜を硬化させる第3工程と、
を実行することにより、前記連通孔が硬化したエポキシ樹脂によって閉塞され、かつ、前記所定の領域が硬化したエポキシ樹脂製の膜により被覆された状態にすることを特徴とする液体受け容器の製造方法。 - 前記母材の一の面には、複数の前記所定の領域が設定されており、
前記容器は、前記各所定の領域と対応する前記他の面の各領域と接する複数の減圧室を内部に備えており、
前記減圧装置は、前記各減圧室をそれぞれ異なる大きさで減圧するように構成されており、
前記第1工程は、
前記他の面の各領域がそれぞれ対応する前記各減圧室と接した状態となるように前記母材を前記容器の中に収容し、前記各所定の領域がそれぞれ前記エポキシ樹脂によって覆われた状態を作る工程であり、
前記第2工程は、
前記減圧装置によって前記各減圧室をそれぞれ異なる大きさで減圧し、前記各所定の領域を覆うエポキシ樹脂を前記連通孔に浸透させ、かつ、前記各所定の領域にエポキシ樹脂製の膜が形成された状態にする工程であることを特徴とする請求項1に記載の液体受け容器の製造方法。 - 前記母材の一の面には、複数の前記所定の領域が設定されており、
前記容器は、その内部に前記各所定の領域と対応する複数の加圧室を備えており、
前記加圧装置は、前記各加圧室をそれぞれ異なる大きさで加圧するように構成されており、
前記第1工程は、
前記各所定の領域がそれぞれ対応する前記各加圧室と接した状態となるように前記母材を前記容器の中に収容し、前記各所定の領域がそれぞれ前記エポキシ樹脂によって覆われた状態を作る工程であり、
前記第2工程は、
前記加圧装置によって前記各加圧室の内部圧力をそれぞれ異なる大きさに上昇させ、前記各所定の領域を覆うエポキシ樹脂を前記連通孔に浸透させ、かつ、前記各所定の領域にエポキシ樹脂製の膜が形成された状態にする工程であることを特徴とする請求項2に記載の液体受け容器の製造方法。 - 前記母材の一の面には、複数の前記所定の領域が設定されており、
前記容器は、その内部に前記各所定の領域と対応する複数の加圧室を備えるとともに、前記各所定の領域と対応する前記他の面の各領域と接する複数の減圧室を備えており、
前記加圧装置は、前記各加圧室をそれぞれ異なる大きさで加圧するように構成されており、
前記減圧装置は、前記各減圧室をそれぞれ異なる大きさで減圧するように構成されており、
前記第1工程は、
前記各所定の領域がそれぞれ対応する前記各加圧室と接しており、かつ、前記各所定の領域と対応する前記他の面の各領域がそれぞれ対応する前記各減圧室と接した状態となるように前記母材を前記容器の中に収容し、さらに、前記各所定の領域がそれぞれ前記エポキシ樹脂によって覆われた状態を作る工程であり、
前記第2工程は、
前記加圧装置によって前記各加圧室の内部圧力をそれぞれ異なる大きさに上昇させるとともに、前記減圧装置によって前記各減圧室をそれぞれ異なる大きさで減圧し、前記各所定の領域を覆うエポキシ樹脂をそれぞれ前記連通孔に浸透させ、かつ、前記各所定の領域にそれぞれエポキシ樹脂製の膜が形成された状態にする工程であることを特徴とする請求項3に記載の液体受け容器の製造方法。 - 前記第1工程は、
前記容器の中に収容された前記母材の前記所定の領域を覆った前記エポキシ樹脂の表面にフィルムを配置し、前記母材の一の面が前記フィルムによって覆われた状態にする工程をさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の液体受け容器の製造方法。 - 前記第1工程は、
前記容器の中に収容された前記母材の前記各所定の領域を覆った前記エポキシ樹脂の表面にフィルムを配置し、前記母材の一の面が前記フィルムによって覆われた状態にする工程をさらに有することを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1つに記載の液体受け容器の製造方法。 - 前記エポキシ樹脂は、揮発性有機溶剤を含まないものであることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の液体受け容器の製造方法。
- 前記エポキシ樹脂に無機フィラーを混合してなる流動体を前記エポキシ樹脂に代えて用い、前記流動体中のエポキシ樹脂を前記連通孔に浸透させることにより、前記連通孔が硬化したエポキシ樹脂によって閉塞され、かつ、前記所定の領域が硬化した前記流動体の膜により被覆された状態にすることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の液体受け容器の製造方法。
- 前記エポキシ樹脂に天然または合成の短繊維を5重量%以下混合してなる流動体を前記エポキシ樹脂に代えて用い、前記流動体中のエポキシ樹脂を前記連通孔に浸透させることにより、前記連通孔が硬化したエポキシ樹脂によって閉塞され、かつ、前記所定の領域が硬化した前記流動体の膜により被覆された状態にすることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の液体受け容器の製造方法。
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