JP4707038B2 - 同軸ケーブルの供試体構造 - Google Patents

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Description

この発明は、同軸ケーブルの遮蔽性能を試験する際に用いられる同軸ケーブルの供試体構造に関する。
同軸ケーブルは各種の信号を流すためのものであり、その構造は内部導体と絶縁体と外部導体とシースから成っている。内部導体は銅などでできた芯線であり、絶縁体は、内部導体を絶縁するために、内部導体を包む絶縁層である。また、外部導体は網状の銅などでできたシールド層であり、シースは外部導体を包む保護被覆層である。こうした同軸ケーブルは、例えばアンテナで受信した信号を受信機に送るために用いられる。同軸ケーブルに信号を流すと、外部導体の状態によって、例えば外部導体を形成する銅線の網目の大きさによって、信号の漏れが同軸ケーブルに発生する。
同軸ケーブルの遮蔽性能は、同軸ケーブルに信号を流した場合に、同軸ケーブルからの漏れを評価するものであり、トリアクシャル(Triaxial)法などで測定される。トリアクシャル法による測定では、図14に示すように、測定対象である同軸ケーブル110を、導電性の筒体、例えば銅筒のような金属製パイプ120に入れて、内部同軸と外部同軸とから成る、内外二つの同軸構造を持つ供試体を形成する。この後、同軸ケーブル110と金属製パイプ120とから成る供試体に対して発振器130と受信器140を接続し、測定回路を構成する。この測定回路では、発振器130からの高周波の入力電圧U1を外部同軸に加え、同軸ケーブルの遮蔽性能に応じて内部同軸に発生する高周波の出力電圧U2を受信器140で受信し、受信器140が受信した出力電圧U2のレベルを測定器150で測定する。この後、入力電圧U1と出力電圧U2とを基にして、同軸ケーブル110の遮蔽性能を評価する(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−302507号公報
ところで、同軸ケーブル110の遮蔽効果を測定する測定回路で内外二つの同軸構造を形成するときに、発振側では、特性インピーダンスが値Zの同軸ケーブル110に対して、値がR(=Z)の終端抵抗161を接続してシールドするという終端処理を行う。つまり、図15に示すように、同軸ケーブル110の内部導体111に終端抵抗161を接続して、熱収縮チューブ162で同軸ケーブル110の絶縁体112と終端抵抗161を包み、終端抵抗161を絶縁する。この後、銅製の金属筒163を熱収縮チューブ162に被せ、同軸ケーブル110の外部導体113で金属筒163を包むと共に終端抵抗161のリード線161Aと外部導体113とを電気的に接続する。この後、導電性粘着銅テープ164で同軸ケーブル110のシース114と外部導体113を覆って、外部導体113を金属筒163に密着させる。
こうして、終端抵抗161をシールドするが、このとき、例えば外部導体113によるシールドが疎になり、シールドが十分でないと、測定回路による測定結果に影響を及ぼす。
また、同軸ケーブル110の受信側では、同軸ケーブル110の外部導体113を金属製パイプ120に接触させるために短絡処理を行う。つまり、図16に示すように同軸ケーブル110のシース114を一部剥ぎ取り、外部導体113をむき出しにする。この後、金属性の固定具210を用いて、同軸ケーブル110を金属製パイプ120に固定する。固定具210は半割り構造になっていて、一方の半割り部211と他方の半割り部212の中心に形成されている半円形の溝で同軸ケーブル110の外部導体113を挟む。この後、図17に示すように、固定具210を金属製パイプ120に挿入するが、固定具210の側面がテーパ状に加工されているので、金属製パイプ120に向けて圧力Pを加えると、固定具210は金属製パイプ120に固定される。圧力Pを加えるために、バネ等を具備する冶具(図示を省略)を用いる。さらに、金属製パイプ120に固定具210が固定されたときに、固定具210の半割り部211と半割り部212との間に形成された隙間G1や、同軸ケーブル110と固定具210との間の隙間G2から信号が漏洩するので、銅テープを用いてこれらの隙間G1、G2を塞いでいる。
こうして、同軸ケーブル110を金属製パイプ120に固定すると共に、同軸ケーブル110の外部導体113を金属製パイプ120に対して電気的に接続するが、このとき、隙間G1、G2を銅テープで確実に塞がないと、測定結果に影響を及ぼす。特に信号がGHz以上の高周波となると、測定結果への影響が大きくなり、乱れやすくなる。また、固定具210を金属製パイプ120に挿入する際の圧力Pが強すぎると、金属製パイプ120や固定具210を再使用するために、固定具210を金属製パイプ120から外すことが困難になってしまう。
この発明の目的は、前記の課題を解決し、同軸ケーブルの終端部分を確実にシールドし、また、同軸ケーブルの外部導体と金属製パイプとの接触を確実にすると共に、取り外しが容易な同軸ケーブルの供試体構造を提供することにある。
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、信号の発生装置と該信号の検出装置との間に接続される供試体であり、同軸ケーブルを導電性筒体内に保持して形成される供試体の一端側に設けられ、前記発生装置側の同軸コネクタに接続される遮蔽部を備える同軸ケーブルの供試体構造であって、前記遮蔽部は、前記同軸コネクタの外部導体に一端側が接続され、前記供試体の導電性筒体の端部に他端側が接続される筒状の第1の外側導体部と、前記同軸コネクタの内部導体に一端側が接続され、他端側に筒状の収納体が形成され、該一端側と該他端側との間に第1の抵抗が介在し、前記第1の外側導体部に絶縁されて収納されている第1の内側導体部と、一端が前記収納体の内側で電気的に接続され、絶縁されて該収納体に収納されている終端用の第2の抵抗と、前記第2の抵抗の他端に一端側が接続され、他端側に接合部が形成され、絶縁されて前記収納体に収納されている第2の内側導体部と、から成り、前記同軸ケーブルの外部導体が前記第1の内側導体部の収納体に接合され、該同軸ケーブルの内部導体が前記第2の内側導体部の接合部に接合されることを特徴とする同軸ケーブルの供試体構造である。
請求項1の発明では、発生装置側の同軸コネクタの内部導体は、第1の抵抗を介在する第1の内側導体部、供試体の同軸ケーブルの外部導体、短絡部、導電性筒体、第1の外側導体部を経て、同軸コネクタの外部導体に至っている。これにより、発生装置からの信号は、同軸コネクタから、内外二つの同軸構造を持つ供試体の外部同軸に加えられる。さらに、発生装置側の同軸ケーブルの外部導体が第1の内側導体部の収納体に接合され、該同軸ケーブルの内部導体が第2の内側導体部の接合部に接合される。かつ、終端用の第2の抵抗と第2の内側導体部とは絶縁されて、収納体に収納されている。つまり、内外二つの同軸構造を持つ供試体の内部同軸の端部において、第2の抵抗はシールドされると共に、第2の抵抗および第2の内側導体部と、収納体とは同軸構造を形成する。
請求項2の発明は、請求項1に記載の同軸ケーブルの供試体構造において、前記遮蔽部は、前記供試体の一端側にある同軸ケーブルに設けられるコンタクトを備え、前記コンタクトは、前記供試体の一端側にある同軸ケーブルの外部導体に接続される筒状の第2の外側導体部と、前記供試体の一端側にある同軸ケーブルの内部導体に接続され、絶縁されて前記第2の外側導体部に保持され、かつ、該第2の外側導体部から突出して該第2の外側導体部に絶縁されて保持される第3の内側導体部と、から成るコンタクトを備え、前記コンタクトの第3の内側導体部が前記遮蔽部の第2の内側導体部に接合され、前記コンタクトの第2の外側導体部が前記遮蔽部の収納体に接合されることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の同軸ケーブルの供試体構造において、前記コンタクトの第2の外側導体部と前記遮蔽部の収納体との接合を、導電性の円筒体を用いて行うことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の同軸ケーブルの供試体構造において、前記第2の抵抗は、円筒状の絶縁体に抵抗皮膜を設けた円柱状抵抗であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の同軸ケーブルの供試体構造において、前記供試体の他端側に設けられ、前記同軸ケーブルの外部導体と前記導電性筒体とを短絡する短絡部を備え、前記短絡部は、前記導電性筒体の前記検出装置側の端部に接合され、該端部にある前記同軸ケーブルを通す貫通穴が底部に開けられている筒状の外部接合部と、前記外部接合部の底部を貫通した前記同軸ケーブルの外部導体を挟んだ状態で、前記外部接合部の底部に接合される短絡金具と、から成ることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、発生装置側の同軸ケーブルには、終端用の第2の抵抗が収納体に収納され、かつ、同軸ケーブルの内部導体が第2の抵抗に接続され、同軸ケーブルの外部導体が収納体に接続される構造になっているので、同軸ケーブルの終端部分を確実にシールドすることができる。したがって、発生装置側の同軸コネクタの内部導体と外部導体との間に信号を加えて行うトリアクシャル法において、ラジオ等の低周波のみに限らず、それ以上の高周波でも、同軸ケーブルの性能試験を正確に行うことができる。また、終端用の第2の抵抗および第2の内側導体部と、収納体とは同軸構造を形成するので、同軸ケーブルから終端用の第2の抵抗に至るまでの経路で、信号が反射することを防ぐことができ、同軸ケーブルの性能試験を正確に行うことができる。
請求項2の発明によれば、コンタクトの第3の内側導体部を遮蔽部の第2の内側導体部の挿入孔に挿入し、コンタクトの第2の外側導体部を遮蔽部の収納体に接合して、供試体を遮蔽部に接続するので、確実な接続を可能にすると共に接続作業を容易にすることができる。
請求項3の発明によれば、コンタクトの第2の外側導体部と遮蔽部の収納体との接合を、円筒体を用いて行うので、第2の外側導体部と遮蔽部の収納体との接合作業を容易にすることができる。
請求項4の発明によれば、終端用の第2の抵抗として円柱状抵抗を用いたので、発生装置からの信号の周波数が高い領域、例えばGHz帯の領域でも同軸ケーブルの性能試験を、より正確に行うことができる。
請求項5の発明によれば、供試体の他端に対する短絡処理を行う場合に、外部接合部と短絡金具とで構成される短絡部を用いるので、同軸ケーブルの外部導体と導電性筒体との接触を確実にし、かつ、隙間の発生を防ぐと共に、短絡処理の作業を容易にすることができる。さらに、請求項5の発明によれば、導電性筒体に外部接合部を嵌合し、外部接合部の底部に短絡金具を接合する構造により、圧力を加えて短絡部を押し込むことを不要にしているので、短絡部の取り付けと取り外しの作業を容易にすることができる。
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。この発明は、トリアクシャル法により同軸ケーブルの遮蔽性能を試験する際に用いられる。
(実施の形態1)
この発明の実施の形態1による同軸ケーブルの供試体構造を図1に示す。この同軸ケーブルの供試体構造は、遮蔽部10と短絡部20とで構成されている。遮蔽部10は発振器の出力側に用意されている同軸コネクタ(図示を省略)に接続される部分であり、短絡部20は受信器の入力側に接続される部分である。つまり、遮蔽部10は、同軸ケーブル110が挿入された金属製パイプ120の一端に取り付けられ、短絡部20は金属製パイプ120の他端に取り付けられる。
まず、遮蔽部10について説明する。
遮蔽部10は、図2に示すように三分割可能な構造であり、第1の部分である遮蔽部本体11と、第2の部分であるカップリング部12と、第3の部分であるコンタクト13とに分割される。遮蔽部本体11は、一端部が発振器の出力側に用意されている同軸コネクタ(図示を省略)に接続され、他端部がカップリング部12を介在してコンタクト13に接続され、かつ、金属製パイプ120に接続される。遮蔽部本体11は、二分割が可能な構造であり、一方の分割部分である第1の接合部11Aと、他方の分割部分である第2の接合部11Bとに分かれる。
以下では、遮蔽部10の遮蔽部本体11について説明する。
遮蔽部本体11の一方の分割部分である第1の接合部11Aは、図3に示すように、接合部本体11A10を備えている。接合部本体11A10は、導電性の材料として例えば金属で作られた円筒体であり、一端部の外壁面にオスネジ11A11が設けられ、他端部の内壁面にメスネジ11A12が設けられている。オスネジ11A11は、発振器の入力側の同軸コネクタ(図示を省略)と接続するためのものであり、メスネジ11A12は第2の接合部11Bと接続するためのものである。
また、遮蔽部本体11の一方の分割部分である第1の接合部11Aは、絶縁部11A20と第1のコンタクト11A30と抵抗11A40と第2のコンタクト11A50を備えている。
絶縁部11A20は、絶縁体で作られた円筒体である。絶縁部11A20は接合部本体11A10に収納される。絶縁部11A20の内壁面には、メスネジが設けられている。絶縁部11A20は、第1のコンタクト11A30、抵抗11A40および第2のコンタクト11A50を、接合部本体11A10から絶縁するためのものである。
第1のコンタクト11A30は、導電性の材料として例えば金属で作られた円柱体であり、一端部にはオスネジが設けられている。オスネジは絶縁部11A20のメスネジと螺合して、第1のコンタクト11A30が絶縁部11A20に取り付けられる。第1のコンタクト11A30の他端は、発振器の出力側に用意されている同軸コネクタ(図示を省略)の内部導体に接続される。
抵抗11A40は、絶縁性の円柱体に抵抗皮膜を設けた円柱状抵抗である。これにより、抵抗11A40は、良好な高周波特性を持ち、電圧レベルなどの整合用として用いられる。抵抗11A40は絶縁部11A20の内部に収納される。
第2のコンタクト11A50は、導電性の材料として例えば金属で作られたものである。第2のコンタクト11A50は円筒形の収納体11A51を備えている。収納体11A51の一端は開口であり、他端は塞がれている。他端には、段差を持つ円柱形のコンタクト部分11A52が設けられている。コンタクト部分11A52の一端部分は収納体11A51の他端に設けられ、他端部分にはオスネジが設けられている。このオスネジは絶縁部11A20のメスネジと螺合して、第2のコンタクト11A50のコンタクト部分11A52が絶縁部11A20に取り付けられる。
これにより、抵抗11A40は、第1のコンタクト11A30と、第2のコンタクト11A50のコンタクト部分11A52とで挟まれる。かつ、抵抗11A40は、第1のコンタクト11A30およびコンタクト部分11A52に設けられたオスネジと、絶縁部11A20に設けられたメスネジとによって、第1のコンタクト11A30およびコンタクト部分11A52に確実に電気的に接触する。
また、遮蔽部本体11の一方の分割部分である第1の接合部11Aは、絶縁部11A60と第3のコンタクト11A70と終端抵抗11A80を備えている。
絶縁部11A60は、絶縁体で作られた円筒体である。絶縁部11A60の内部には段差が設けられている。これにより、内径の異なる二つの絶縁部分11A61、11A62が形成されている。絶縁部11A60は、第3のコンタクト11A70および終端抵抗11A80を、第2のコンタクト11A50から絶縁するものである。
第3のコンタクト11A70は、導電性の材料として例えば金属で作られた円柱体である。第3のコンタクト11A70には段差が設けられている。これにより、第3のコンタクト11A70は外径の異なる二つのコンタクト部分から成る。コンタクト部分の一端は終端抵抗11A80が接触する部分である。コンタクト部分の一端から他端に向かって挿入孔11A71が設けられている。挿入孔11A71は、コンタクト13と接触するためのものである。
終端抵抗11A80は、抵抗11A40と同様であり、絶縁性の円柱体に抵抗皮膜を設けた円柱状抵抗である。これにより、終端抵抗11A80は良好な高周波特性を持つ。終端抵抗11A80の値は、同軸ケーブル110の特性インピーダンスの値Zと同じである。
こうした絶縁部11A60、第3のコンタクト11A70および終端抵抗11A80によれば、第3のコンタクト11A70が絶縁部11A60に差し込まれて、第3のコンタクト11A70が絶縁部11A60の絶縁部分11A62に挿入され、コンタクト部分が絶縁部分11A61に挿入される。さらに、終端抵抗11A80が絶縁部11A60の絶縁部分11A61に挿入されて、終端抵抗11A80が第3のコンタクト11A70に接触した状態で絶縁部11A60に収納される。第3のコンタクト11A70と終端抵抗11A80とが収納された絶縁部11A60は、第2のコンタクト11A50の収納体11A51に収納される。
つまり、終端抵抗11A80および第3のコンタクト11A70は、絶縁部11A60により絶縁されて、第2のコンタクト11A50の収納体11A51に収納される。これにより、第3のコンタクト11A70と終端抵抗11A80は、収納体11A51および絶縁部11A60と共に第1の同軸構造を形成する。
遮蔽部本体11の一方の分割部分である第1の接合部11Aは、当て金11A90を備えている。当て金11A90は、図4に示すように、導電性の材料として例えば金属で作られた円筒体である。当て金11A90の外径は、接合部本体11A10に挿入可能な大きさであり、当て金11A90の内径は、絶縁部11A20を挿入可能な大きさである。当て金11A90の一方の端部の外壁面には、環状の外部突起11A91が設けられている。また、当て金11A90の一方の端部の内壁面には、環状の内部突起11A92が設けられている。
こうした当て金11A90は、接合部本体11A10に挿入される。当て金11A90には環状の内部突起11A92が設けられているので、当て金11A90は、接合部本体11A10に挿入されている絶縁部11A20を、接合部本体11A10の段差に押し付ける。
次に、遮蔽部本体11の他方の分割部分である第2の接合部11Bについて説明する。第2の接合部11Bは、導電性の材料として例えば金属で作られた円筒体であり、第2の接合部11Bには段差が設けられている。これにより、第2の接合部11Bは、外径および内径の異なる二つの接合部分11B10、11B20から成る。接合部分11B10の一方の端部側には、オスネジが設けられ、他端が接合部分11B20の一端に連結されている。接合部分11B20の他端は開口となっている。開口の径は金属製パイプ120が挿入可能な大きさである。また、接合部分11B20には、互いに平行に、かつ、接合部分11B10に向かってスリット11B21が設けられている。
こうした第2の接合部11Bでは、オスネジが接合部本体11A10のメスネジ11A12と螺合する。当て金11A90には環状の外部突起11A91が設けられているので、第2の接合部11Bは当て金11A90を絶縁部11A20に押し付ける。これにより、当て金11A90が絶縁部11A20を接合部本体11A10に固定すると共に、第2の接合部11Bが当て金11A90を押し付けて、当て金11A90を接合部本体11A10に固定する。
また、第2の外側接合部11Bに金属製パイプ120を挿入した後、この実施の形態では、第2の外側接合部11Bはホースバンド200などにより金属製パイプ120に固定される。このとき、接合部分11B20のスリット11B21の間隔が狭まって、金属製パイプ120に対する固定が確実に行われる。
こうした構造の第1の外側接合部11Aの第2のコンタクト11A50に対して、カップリング部12が接続される。次に遮蔽部10の第2の部分であるカップリング部12について説明する。
遮蔽部10のカップリング部12は、図5に示すように、導電性の材料として例えば金属で作られた円筒体であり、カップリング部12には段差が設けられている。これにより、カップリング部12は、外径および内径の異なる二つのカップリング部分12A、12Bから成る。カップリング部分12A、12Bには、スリット12A10、12B10が、カップリング部12の両端からカップリング部12の長手方向に沿って設けられている。カップリング部分12Aは第2のコンタクト11A50と嵌合し、カップリング部分12Bはコンタクト13と嵌合する。このとき、スリット12A10、12B10により接続が容易になる。カップリング部12は、第2のコンタクト11A50とコンタクト13とを電気的に接続すると共に、第2のコンタクト11A50とコンタクト13との接続を確実なものにする。
第1の外側接合部11Aの第3のコンタクト11A70に対してコンタクト13が接続される。次に、遮蔽部10の第3の部分であるコンタクト13について説明する。
コンタクト13は、同軸ケーブル110の先端に取り付けられるものである。コンタクト13は、図6に示すように、外側コンタクト13Aと絶縁部13Bと内側コンタクト13Cとを備えている。
コンタクト13の外側コンタクト13Aは、導電性の材料として例えば金属で作られた円筒体である。外側コンタクト13Aの内径は、同軸ケーブル110の絶縁体112が挿入可能な大きさである。外側コンタクト13Aの一端部がくさび形に加工されて、挿入部分が形成されている。挿入部分の近傍が切り欠かれて、溝部分が形成されている。外側コンタクト13Aの他端部には段差が設けられて、段差部分が形成されている。
こうしたコンタクト13では、同軸ケーブル110の絶縁体112を包み込むように外側コンタクト13Aが同軸ケーブル110に差し込まれる。これにより、コンタクト13の外側コンタクト13Aは、同軸ケーブル110の外部導体113と電気的な接触を保ち、かつ、同軸ケーブル110の外部導体113に取って代わることになるので、同軸ケーブル110の特性インピーダンスと同じインピーダンスを形成する。つまり、同軸ケーブル110の内部導体111および絶縁体112と、外側コンタクト13Aとにより、第2の同軸構造が形成される。
外側コンタクト13Aが同軸ケーブル110に挿入された後、同軸ケーブル110の端部と外側コンタクト13Aの挿入部分とを覆うように熱収縮チューブ110Aを被せて加熱する。熱収縮チューブ110Aは、同軸ケーブル110の外部導体113と外側コンタクト13Aの挿入部分との電気的な接続を確実にすると共に、外側コンタクト13Aが同軸ケーブル110から外れないようにする。また、熱収縮チューブ110Aの端部が溝部分に入り、コンタクト13を絶縁部11A60に挿入する際に、熱収縮チューブ110Aが邪魔にならないようにしている。
コンタクト13の絶縁部13Bは、絶縁体で作られた円筒であり、内径は同軸ケーブル110の内部導体111を通すことができる大きさである。絶縁部13Bの外部および内部には段差が設けられている。外部の段差は外側コンタクト13Aの段差部分と嵌合し、内部の段差は内側コンタクト13Cと嵌合する。
コンタクト13の内側コンタクト13Cは、図7に示すように、金属で作られた円柱体である。内側コンタクト13Cの一端側には挿入孔13C10が設けられている。挿入孔13C10は、同軸ケーブル110の内部導体111を通して半田付けするためのものである。内側コンタクト13Cの一端側の表面には、絶縁部13Bの表面に接触する外部突起13C20が設けられている。内側コンタクト13Cの他端側は円錐形に加工されて、接触部分が形成されている。接触部分は、第3のコンタクト11A70の挿入孔11A71に差し込まれて、同軸ケーブル110の内部導体111を第3のコンタクト11A70に電気的に接続する。同時に、第3のコンタクト11A70に挿入された内側コンタクト13Cは、収納体11A51および絶縁部11A60と共に第3の同軸構造を形成する。
こうした内側コンタクト13Cは同軸ケーブル110の内部導体111に差し込まれ、さらに、内側コンタクト13Cの一端が絶縁部13Bに挿入される。この後、半田付けにより、同軸ケーブル110の内部導体111を内側コンタクト13Cに接続する。これにより、外側コンタクト13Aと絶縁部13Bを同軸ケーブル110に固定する。
以上が遮蔽部10の構造である。次に、短絡部20について説明する。
短絡部20は、金属製パイプ120の他端に取り付けられる。短絡部20は、図8に示すように、外部接合部21を備えている。なお、図8では、絶縁材170が同軸ケーブル110を金属製パイプ120内に保持している。外部接合部21は、図9に示すように、導電性の材料として例えば金属で作られた円筒体である。外部接合部21の内径は金属製パイプ120が挿入可能な大きさであり、外部接合部21の一端が金属製パイプ120を差し込む開口である。外部接合部21の他端は板状の底板で塞がれている。底板の周辺部には、対称位置にネジ穴21Aが設けられ、底板の中心には、同軸ケーブル110を通すための貫通穴21Bが空けられている。また、外部接合部21の外壁面には、複数のスリット21Cが互いに平行に、かつ、底板21Bに向かって設けられている。スリット21Cは金属製パイプ120の挿入を容易にするものである。
こうした外部接合部21は、金属製パイプ120に差し込まれる。このとき、外部接合部21はシース114が剥ぎ取られた同軸ケーブル110の位置まで差し込まれる。金属製パイプ120に差し込まれた後、外部接合部21は、ホースバンド200などにより金属製パイプ120に固定される。このとき、外部接合部21のスリット21Cの間隔が狭まって、金属製パイプ120に対する固定が確実に行われる。かつ、発生する隙間は、同軸ケーブル110が通っている貫通穴21Bの部分だけである。
短絡部20は、外部接合部21と共に短絡金具22を備えている。短絡金具22は、導電性の材料として例えば金属で作られた直方体形のものである。短絡金具22は、図10および図11に示すように、二つの分割部分22A、22Bに分割されるが、分割部分22Aと分割部分22Bとは、ほぼ同形である。
分割部分22A、22Bの側面には、これらをネジ止めで接合するための、段差を持つ貫通穴22A10、22B10が対称位置に空けられている。さらに、分割部分22Bの貫通穴22B10には、この段差により形成される貫通穴部分にメスネジが設けられている。
分割部分22A、22Bの正面には、互いに向かい合う位置に半円形の溝22A20、22B20が設けられている。溝22A20、22B20は、貫通穴22A10、22B10と交差しないように、かつ、分割部分22A、22Bの正面端部に設けられている。半円形の溝22A20、22B20は、二つで一組となり、ネジ24を通すための貫通穴を形成する。分割部分22A、22Bの正面中央には、互いに向かい合う位置に半円形の溝22A30、22B30が設けられている。半円形の溝22A30、22B30は、二つで一組となり、シース114が剥ぎ取られた同軸ケーブル110を挟んで、同軸ケーブル110の外部導体113と電気的に接触するためのものである。
こうした分割部分22A、22Bは、半円形の溝22A20、22A30と半円形の溝22B20、22B30とが互いに向かい合うように、かつ、同軸ケーブル110の剥き出しになった外部導体113を挟むように配置され、2本のオスネジ23で止められる。この後、半円形の溝22A20、22B20で形成される貫通穴にオスネジ24がそれぞれ通され、外部接合部21に設けられているネジ穴21Aによって、外部接合部21に接合されて固定されると共に外部接合部21を介在して、短絡金具22が金属製パイプ120に電気的に接続される。つまり、同軸ケーブル110の外部導体113が短絡金具22によって金属製パイプ120と短絡して、同軸ケーブル110の外部導体113が金属製パイプ120に電気的に接続される。かつ、同軸ケーブル110の外部導体113に分割部分22A、22Bが密着され、しかも、分割部分22A、22Bが外部接合部21に接合されるので、外部接合部21により発生した、同軸ケーブル110の通っている貫通穴21Bの隙間を、完全に塞ぐことができる。つまり、短絡処理で隙間が発生することがない。
この実施の形態による同軸ケーブルの供試体構造は以上の構成である。この同軸ケーブルの供試体構造によれば、図12に示すように、発振器からの高周波の入力電圧U1が、第1のコンタクト11A30と接合部本体11A10との間に加えられると、入力電圧U1による信号は信号経路を流れる。信号経路は、
a.第1のコンタクト11A30
b.抵抗11A40
c.第2のコンタクト11A50
d.カップリング部12
e.外側コンタクト13A
f.同軸ケーブル110の外部導体113
g.短絡金具22
h.外部接合部21
i.金属製パイプ120
j.第2の接合部11B
k.第1の接合部11A
により形成される。こうした第1の経路により、同軸ケーブル110と金属製パイプ120により形成される内外二つの同軸構造の外部同軸に信号が加えられる。
入力電圧U1により信号が加えられたときに、同軸ケーブル110に信号の漏れが発生すると、この漏れにより出力電圧U2が受信器側の同軸ケーブル110に発生する。つまり、同軸ケーブル110と金属製パイプ120により形成される内外二つの同軸構造の内部同軸に出力電圧U2が発生する。
このとき、同軸ケーブル110の終端には、円柱状の終端抵抗11A80が用いられる。かつ、第3のコンタクト11A70と終端抵抗11A80は、収納体11A51および絶縁部11A60と共に第1の同軸構造を形成する。また、外側コンタクト13Aは、同軸ケーブル110の内部導体111および絶縁体112と共に第2の同軸構造を形成する。さらに、第3のコンタクト11A70に挿入された内側コンタクト13Cは、収納体11A51および絶縁部11A60と共に第3の同軸構造を形成する。つまり、同軸ケーブル110の先端から終端抵抗11A80に至るまで、同軸ケーブル110に近似された各同軸構造が形成され、各同軸構造のインピーダンスは、同軸ケーブル110の特性インピーダンスと近い値になる。
こうして、この実施の形態により、終端抵抗11A80が収納体11A51とカップリング部12と外側コンタクト13Aとにより完全にシールドされるので、正確な測定結果を得ることができる。また、この実施の形態により、第1の同軸構造〜第3の同軸構造が形成されるので、同軸ケーブル110で漏洩した信号が、同軸ケーブル110の先端から終端抵抗11A80に至るまでに反射して、受信器に向かうことを防ぐことができる。これにより、漏洩した信号を受信器および測定器150で正確に測定することができる。また、この実施の形態により、遮蔽部10は分割可能な構造であり、遮蔽部10の遮蔽部本体11およびコンタクト13も分割可能な構造であるので、供試体の組み立てや分解を極めて容易に行うことができる。特に、半田付け作業を必要とするのは、コンタクト13の内側コンタクト13Cを同軸ケーブル110の内部導体111に接続するときだけであり、残りの部分はネジ止めを含む各種の固定法によって組み立てと分解とが可能であるので、この点からも、供試体の組み立てや分解が極めて容易になる。また、この実施の形態により、同軸ケーブル110の先端にはコンタクト13が形成されているので、同軸ケーブル110の接続作業を極めて容易に行うことを可能にする。
また、この実施の形態により、短絡部20においては、分割部分22A、22Bが外部接合部21に接合されるので、外部接合部21により発生した隙間、つまり、同軸ケーブル110の通っている貫通穴21Bの隙間を、完全に塞ぐことができる。これにより、短絡処理で隙間が発生することがない。さらに、外部接合部21および短絡金具22の接合はネジを用いて行われるので、短絡部20の取り付け、取り外しが極めて容易である。
(実施の形態2)
この実施の形態では、実施の形態1で用いられたコンタクト13の内側コンタクト13Cの代わりに、図13に示す内側コンタクト13Dを用いる。内側コンタクト13Dでは、内側コンタクト13Cの挿入孔13C10を半分切り欠いて、半割形状の接続溝13D11が形成されている。
こうした内側コンタクト13Dによれば、接続溝13D10内に置かれた同軸ケーブル110の内部導体111を確実に半田付けすることができる。また、半田付けされた同軸ケーブル110の内部導体111の取り外しも容易である。これにより、内側コンタクト13Dの再利用を容易にする。
以上、この発明の各実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は各実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、各実施の形態では、遮蔽部10および短絡部20を構成する導電性の材料として金属を用いたが、この金属としては各種の金属や合金などを用いることができる。
この発明の実施の形態1による同軸ケーブルの供試体構造を示す正面図である。 遮蔽部の構成を示す図である。 遮蔽部の遮蔽部本体を示す断面図である。 第1の接合部と第2の接合部とを示す断面図である。 カップリング部を示す断面図である。 コンタクトを示す断面図である。 コンタクトの内側コンタクトの外観を示す斜視図である。 短絡部を示す断面図である。 短絡部の外部接合部を示す斜視図である。 短絡金具を示す斜視図である。 短絡金具を示す正面図である。 信号の経路を説明するための断面図である。 この発明の実施の形態2で用いられる内側コンタクトを示す斜視図である。 測定回路の概略を示す構成図である。 同軸ケーブルの終端抵抗のシールド状態を示す図である。 同軸ケーブルに対する受信側での短絡処理を説明する図である。 隙間を銅テープで塞ぐための様子を説明する図である。
符号の説明
10 遮蔽部
11 遮蔽部本体
11A 第1の接合部
11A10 接合部本体(第1の外側導体部)
11B 第2の接合部(第1の外側導体部)
11A30 第1のコンタクト(第1の内側導体部)
11A40 抵抗(第1の抵抗)
11A50 第2のコンタクト(第1の内側導体部)
11A51 収納体
11A70 第3のコンタクト(第2の内側導体部)
11A80 終端抵抗(第2の抵抗)
12 カップリング部(円筒体)
13 コンタクト
13A 外側コンタクト(第2の外側導体部)
13B 絶縁部
13C 内側コンタクト(第3の内側導体部)
20 短絡部
21 外部接合部
110 同軸ケーブル(供試体)
111 内部導体
112 絶縁体
113 外部導体
120 金属製パイプ(供試体)
130 発振器(発生装置)
140 受信器(検出装置)
150 測定器(検出装置)

Claims (5)

  1. 信号の発生装置と該信号の検出装置との間に接続される供試体であり、同軸ケーブルを導電性筒体内に保持して形成される供試体の一端側に設けられ、前記発生装置側の同軸コネクタに接続される遮蔽部を備える同軸ケーブルの供試体構造であって、
    前記遮蔽部は、
    前記同軸コネクタの外部導体に一端側が接続され、前記供試体の導電性筒体の端部に他端側が接続される筒状の第1の外側導体部と、
    前記同軸コネクタの内部導体に一端側が接続され、他端側に筒状の収納体が形成され、該一端側と該他端側との間に第1の抵抗が介在し、前記第1の外側導体部に絶縁されて収納されている第1の内側導体部と、
    一端が前記収納体の内側で電気的に接続され、絶縁されて該収納体に収納されている終端用の第2の抵抗と、
    前記第2の抵抗の他端に一端側が接続され、他端側に接合部が形成され、絶縁されて前記収納体に収納されている第2の内側導体部と、から成り、
    前記同軸ケーブルの外部導体が前記第1の内側導体部の収納体に接合され、該同軸ケーブルの内部導体が前記第2の内側導体部の接合部に接合されることを特徴とする同軸ケーブルの供試体構造。
  2. 前記遮蔽部は、前記供試体の一端側にある同軸ケーブルに設けられるコンタクトを備え、
    前記コンタクトは、
    前記供試体の一端側にある同軸ケーブルの外部導体に接続される筒状の第2の外側導体部と、
    前記供試体の一端側にある同軸ケーブルの内部導体に接続され、絶縁されて前記第2の外側導体部に保持され、かつ、該第2の外側導体部から突出して該第2の外側導体部に絶縁されて保持される第3の内側導体部と、から成るコンタクトを備え、
    前記コンタクトの第3の内側導体部が前記遮蔽部の第2の内側導体部に接合され、前記コンタクトの第2の外側導体部が前記遮蔽部の収納体に接合されることを特徴とする請求項1に記載の同軸ケーブルの供試体構造。
  3. 前記コンタクトの第2の外側導体部と前記遮蔽部の収納体との接合を、導電性の円筒体を用いて行うことを特徴とする請求項1または2に記載の同軸ケーブルの供試体構造。
  4. 前記第2の抵抗は、円筒状の絶縁体に抵抗皮膜を設けた円柱状抵抗であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の同軸ケーブルの供試体構造。
  5. 前記供試体の他端側に設けられ、前記同軸ケーブルの外部導体と前記導電性筒体とを短絡する短絡部を備え、
    前記短絡部は、
    前記導電性筒体の前記検出装置側の端部に接合され、該端部にある前記同軸ケーブルを通す貫通穴が底部に開けられている筒状の外部接合部と、
    前記外部接合部の底部を貫通した前記同軸ケーブルの外部導体を挟んだ状態で、前記外部接合部の底部に接合される短絡金具と、から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の同軸ケーブルの供試体構造。
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