(第1関連発明)
続いて、第1関連発明である膨張タンクについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、1は第1関連発明の膨張タンクである。膨張タンク1は、図1に示すように扁平で角形の形状に成形された樹脂製のタンクであり、貯留部2と、貯留部2から溢れ出した液体を放出するための放出通路部3とに大別される。
貯留部2の天面5には、液体を貯留部2内に充填するための充填口6を有する。また、天面5には、3つのの差込口7,8,9が設けられている。差込口7,8,9は、それぞれ後述する下限液位電極10、上限液位電極11および参照電極12を差し込むために設けられたものである。
下限液位電極10、上限液位電極11および参照電極12は、いずれも棒状の電極である。本実施形態では、市販のビスをこれらの電極10,11,12として使用している。下限液位電極10は、図2に示すように、差込口7から差し込まれ、先端が貯留部2に液体を最低限貯留すべき量だけ貯留した際の液面位置(最低液位L)に到達している。また、上限液位電極11は、差込口8から差し込まれており、その先端が貯留部2に液体を貯留許容量の上限まで貯留した際の液面位置(最高液位H)に到達している。そのため、下限液位電極10および上限液位電極11を用いることにより、貯留部2に貯留されている液体が最低液位Lあるいは最高液位Hに達しているか否かを検知することができる。
参照電極12は、後述する検知電極40(液体検知手段)と組み合わせて使用される電極である。参照電極12は、接地されるなどして一定の電位に維持されている。下限液位電極10や、上限液位電極11は、従来公知のものと同様に、湯水が流れる金属製の配管や、ビスケース、基板等を用いて接地されており、下限液位電極10や、上限液位電極11に繋がれた電気回路(図示せず)における電流の有無を検知することにより、各電極10,11に相当する位置まで液体が到達しているか否かを検知できる。
また、検知電極40は、参照電極12を用いて接地されている。参照電極12は、貯留部2に溜まる液体の液面のゆらぎ等を考慮して、先端が横底面25に相当するレベルよりも若干、下方側に差し込まれている。そのため、検知電極40および参照電極12に繋がれた電気回路(図示せず)における電流の有無を検知することにより、検知電極40が配された位置まで液体が到達しているか否かを検知できる。すなわち、検知電極40に流れる電流を検知することにより、膨張タンク1におけるオーバーフローを検知することができる。
貯留部2の底面13側には、膨張タンク1を配管に接続するための配管接続口15,16が設けられている。
貯留部2の側面17であって、上記した最高液位Hに相当する位置よりも天面5側、すなわち貯留部2に溜まる液体の液位の上昇方向に偏った位置には、放出通路部3が設けられている。放出通路部3は、貯留部2と連通しており、貯留部2内に流入して最高液位Hを越えて溢れ出た液体が通る流路である。
放出通路部3は、横方向放出部20と縦方向放出部21とを有する。横方向放出部20は、貯留部2に連通した部位であり、貯留部2から放出される液体の流れ方向上流側に形成された部位である。横方向放出部20は、貯留部2の側面17から貯留部2の天面5あるいは底面13に沿う方向(略並行方向)に膨出している。換言すれば、横方向放出部20は、膨張タンク1を図2に示すような姿勢で設置した際に、貯留部2に貯留される液体の液面に沿う方向、すなわち図2に示す例では略水平方向に液体を流す部分である。
横方向放出部20は、図3に示すように流路の断面形状が下に「凸」字型の流路である。さらに具体的には、横方向放出部20は、横天面23、横底面25(伝液部)および横側面26,27で囲まれている。横底面25は、横方向放出部20の下方側の壁面であり、貯留部2から少量の液体が溢れ出した際に液体が伝って流れる面である。すなわち、横底面25は、貯留部2から溢れ出した液体が優先的に流れる面である。
横底面25を断面視した際に、横方向放出部20の幅W1方向、すなわち横側面26,27の間隔の略中央に相当する位置には溝30(凸部)が設けられている。溝30は、図3(b)に示すように、貯留部2と横方向放出部20との境界部分から縦方向放出部21の開口領域に向けてまっすぐに伸びている。溝30は、横底面25に対して一段下がった位置にある。そのため、横底面25を伝って流れる液体は、溝30に優先的に集まる。また、横底面25を断面視すると、溝30の幅W2は、上記した幅W1に対して十分小さい。溝30の幅W2は、検知電極40の先端が嵌る程度であればよく、検知電極40の径に対して過度に大きくないことが望ましい。
上記したように、溝30の幅W2は、検知電極40が嵌る程度の大きさとされているため、他の部位の幅W1に対して十分小さい。そのため、溝30に集まった液体は、その流量変化に対する液位の変化が顕著に現れる。すなわち、横方向放出部20は、溝30を設けることにより、液体が優先的に伝って流れる横底面25側に凸の形状となっている。換言すれば、横方向放出部20は、流路の断面形状が横底面25側にすぼんでいる。そのため、溝30に液体が集まると、液体の流量が僅かに変化しただけで、溝30において液位が大幅に変化する。
横天面23には、検知電極40を差し込むための差込口31が設けられている。差込口31は、横方向放出部20の幅W1方向の略中央部に設けられている。検知電極40は、差込口31からまっすぐ下方に向けて差し込まれており、先端が溝30内に収容された状態で固定されている。そのため、検知電極40は、貯留部2から液体が溢れ、横底面25に設けられた溝30を伝って流れる液体を検知することができる。すなわち、検知電極40は、溝30を伝って流れる液体を検知可能な位置に設置されている。
縦方向放出部21は、上記した横方向放出部20の末端(横方向放出部20を流れる液体の流れ方向下流端)に連通しており、貯留部2における液面の下降方向に向けて突出した円筒状の部位である。縦方向放出部21には、膨張タンク1からオーバーフローした液体を排出するためのホースや配管(図示せず)を接続可能な構成とされている。
上記したように、膨張タンク1は、貯留部2からオーバーフローする液体が流れる横方向放出部20に検知電極40が設置され、横方向放出部20に隣接する位置に参照電極12が設置された構造となっている。すなわち、膨張タンク1は、検知電極40と参照電極12とが近接した位置に設置されている。そのため、貯留部2から液体がオーバーフローし、この液体によって参照電極12と検知電極40が導通した際に、これらの電極12,40間に存在する液体による電気抵抗が小さい。そのため、膨張タンク1を採用すれば、液体の漏出量が僅かであっても、参照電極12と検知電極40との間に電流が流れる。従って、膨張タンク1によれば、参照電極12と検知電極40との電流値を計測することにより、オーバーフローの有無を精度良く検出することができる。
膨張タンク1は、参照電極12と検知電極40との間隔が狭いほど、これらの間に存在する液体による電気抵抗が小さい。すなわち、参照電極12と検知電極40とを用いてオーバーフローを検知する場合、参照電極12と検知電極40との間に存在する液体が抵抗となるため、オーバーフローを精度良く検知するためには、参照電極12と検知電極40とがショートしない程度に近接して配されていることが望ましい。
一方、参照電極12と検知電極40との間隔を最小限にすべく、検知電極40を貯留部2に近い位置に設置すると、一旦貯留部2から液体がオーバーフローした後、液体の流れが停止しているにもかかわらず、液体の表面張力等の影響により参照電極12と検知電極40とが導通した状態になり、オーバーフローが継続しているものと誤検知することが懸念される。そのため、検知電極40は、液体の表面張力の影響により参照電極12と導通しないような形態で設置されることが望ましい。かかる知見に基づき、上記した膨張タンク1では、参照電極12と検知電極40との位置関係を最適化している。すなわち、参照電極12は、貯留部2と横方向放出部20との境界部分近傍であって、貯留部2内の液位が横方向放出部20の横底面25のレベルまで達した時点で液体に漬かる位置に設置されている。一方、検知電極40は、貯留部2と横方向放出部20との境界部分から、所定の距離だけ離れた液体の表面張力の影響が及ばない位置に設置されている。従って、膨張タンク1を採用することにより、貯留部2からのオーバーフローの有無を正確に把握することができる。
上記したように、膨張タンク1では、横方向放出部20に溝30を設けた構成であるため、貯留部2からオーバーフローした液体が溝30に集まる。また、溝30の幅W2は、他の部位の幅W1に比べて十分狭いため、僅かな液体が流れるだけで大きな液位変化となって現れる。従って、第1関連発明の膨張タンク1によれば、僅かな量のオーバーフローであっても精度良く検知することができる。
上記関連発明では、横方向放出部20の横底面25に溝30を設けた構成を例示したが、溝30を設けない構成としてもよい。かかる構成とする場合は、溝30を設ける場合に比べて液体のオーバーフロー量に対して横方向放出部20における液位の上昇率が低くなる。そのため、溝30を設けない場合、検知電極40は、先端が横底面25にほぼ接した状態、あるいは、先端が横底面25から僅かに離れた状態とすることが望ましい。
また、上記関連発明において、横方向放出部20を構成する横底面25は、膨張タンク1の設置状態において傾きが殆どなく平坦なものであったが、横底面25に溝30側に向かう下り勾配を付けたものであってもよい。かかる構成とすれば、貯留部2からオーバーフローした液体が溝30に集まりやすくなり、検知電極40による液体の検知精度がより一層向上する。
上記関連発明において、溝30は、図3(b)に示すように貯留部2側からまっすぐに伸びる細長い形状のものであったが、例えば図3(c)に示すように、溝30の貯留部2側に末広がりの部位を設けたり、溝30の貯留部2側の部位に、溝30に向けて液体を誘導する壁面等の誘導手段を設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合、貯留部2側から溢れてくる液体を確実に溝30に誘導することができ、検知電極40による液体の検知精度をより一層向上させることができる。
また、上記関連発明では、断面形状が略矩形の溝30を設けた構成を例示したが、半円形や三角形のものであってもよい。
上記した横方向放出部20は、略矩形の流路の底側(横底面25側)に溝30を設けた構成であったが、底側に凸の形状、すなわち底側に向けてすぼんだ形状とすることも可能である。さらに具体的には、横方向放出部20は、例えば図4に示すように、流路断面が略矩形や三角形等の多角形であって、当該流路断面の頂部が底側、すなわち貯留部2から液体が溢れ出した際に、液体が優先的に流れる側に向く姿勢としたものであってもよい。すなわち、図4に示す横方向放出部50のように、流路断面の形状を矩形とし、頂部51(凸部)を下方に向けると共に、頂部51に向けて検知電極40を差し込んだ構成としてもよい。
また、図5に示す横方向放出部60のように、流路断面の形状が略楕円形であって、長軸の方向が液位の増減方向(図5では上下方向)に向いた構成としてもよい。すなわち、横方向放出部60のように、長軸の端部61(凸部)が下方を向くような構成としてもよい。また、図6に示す横方向放出部70〜73のように、流路70a〜73aの下方側の部位を構成する壁面70b〜73b(伝液部)に下り勾配を付け、谷状部70c〜73c(凸部)を設けた構成としてもよい。図6(a)〜(d)に示すように谷状部70c〜73cを設けた構成とした場合は、上記した溝30のような流路を別途設けなくても、液体が谷状部70c〜73cに集まり、僅かな液体がオーバーフローするだけで液位が顕著に変化する。そのため、膨張タンク1を図6に示すような構成とした場合であっても、検知電極40によって貯留部2から溢れ出す液体を確実に検知することができる。
(第2関連発明)
上記第1関連発明では、横方向放出部20に検知電極40を配した構成を例示したが、例えば図7に示す膨張タンク80のように縦方向放出部21に検知電極40を配した構成としてもよい。以下、膨張タンク80の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、膨張タンク80は、上記した膨張タンク1と大部分が同一であるため、同一の部分には同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
図7に示すように、膨張タンク80は、検知電極40を放出通路部3のうち、縦方向放出部21に設けた点に特徴を有する。膨張タンク80において、検知電極40は、図8に示すように縦方向放出部21を構成する壁面21aのうち、貯留部2側に存在する伝液部21b(図8(a)において太線で示された部位)に沿って流れる液体を検知可能なように取り付けられている。
さらに詳細に説明すると、膨張タンク80に流入した貯留部2から放出通路部3に溢れ出すと、図7(b)や図8(a)にハッチングで示すように、液体は横方向放出部20の横底面25を伝って、縦方向放出部21に向けて流れる。縦方向放出部21に流れ込んだ液体は、貯留部2側に存在し、横底面25に連続した伝液部21bを伝って下方に向けて流れる。すなわち、貯留部2からオーバーフローした液体は、伝液部21bを優先的に伝って流れる。そして、液体の流量が増加すると、これに伴って貯留部2側から離れる方向に液位が増える。すなわち、縦方向放出部21では、液体の流量が増加するに連れて、図8(a)に矢印Uで示すように伝液部21bから離れる方向に液位が増加する。そのため、検知電極40は、先端が伝液部21bにほぼ接触する位置、あるいは、伝液部21bから僅かに離れた位置に先端が来るように配されている。そのため、膨張タンク80を採用すれば、例え貯留部2からオーバーフローする液体が少量であっても確実に検知することができる。
また、上記した膨張タンク80は、縦方向放出部21に検知電極40を設けたたものであるため、液体の表面張力に起因する誤検知が起こらない。さらに詳細には、貯留部2から液体がオーバーフローすると、液体の一部が横方向放出部20に残存することがある。オーバーフロー後に横方向放出部20に残存した液体は、表面張力等の影響で、貯留部2内の液体と導通した状態になる可能性がある。そのため、横方向放出部20に検知電極40を配する場合、オーバーフローの誤検知を防止するためには、上記実施形態の膨張タンク1のように、検知電極40を貯留部2からある程度離れた位置に設置する必要がある。しかし、本実施形態の膨張タンク80のように、縦方向放出部21に検知電極40を配した場合、オーバーフローが完了した時点で液体が縦方向放出部21に付着していたとしても、この液体は重力の影響を受けて落下するため、検知電極40は上記したような誤検知を起こさない。
上記したように、縦方向放出部21の断面形状は略円形である。そのため、膨張タンク80において貯留部2からオーバーフローした液体の量が少ないと、縦方向放出部21の伝液部21bを伝って流れる液体の液位の変化が少なく、検知電極40によって検知できない可能性がある。そこで、膨張タンク80のように検知電極40を縦方向放出部21に設ける場合は、図8(b)に示すように上記した膨張タンク1における横方向放出部20と同様に伝液部21b側に溝81(凸部)を設けた構成とし、この溝81内に検知電極40の先端が来る構成とすることも可能である。かかる構成とした場合、貯留部2から溢れ出した液体が優先的に溝81に流れ込み、僅かな量の液体が流れるだけで大きな液位変化が起こる。そのため、図8(b)のように溝81を設けた構成とすることにより、検知電極40によるオーバーフローの検知精度を向上させることができる。
第2関連発明では、縦方向放出部21は、円筒形であったが、例えば図9(a)〜(f)に示す縦方向放出部85〜90のように断面形状を略矩形や楕円形、多角形等、適宜の形状のものとすることができる。かかる構成とする場合についても、図9(a)〜(f)のように、横方向放出部20の底側の面(第2関連発明では横底面25)に連続し、貯留部2側の部位(伝液部85a〜90a)をすぼめた構成とすることが望ましい。換言すれば、横方向放出部20の流路断面形状は、伝液部85a〜90a側に凸の形状であることが望ましい。また、縦方向放出部85〜90のように、伝液部85a〜90a側に向けて傾いた形状であることが望ましい。かかる構成によれば、縦方向放出部85〜90に流れ込んだ液体が伝液部85a〜90a側を優先的に流れるように誘導することができる。また、前記したような構成とすれば、僅かな量の液体が流れるだけで伝液部85a〜90aにおいて大きな液位変化が起こる。そのため、伝液部85a〜90aを伝って流れる液体を検知可能なように検知電極40を配することにより、検知電極40により、僅かなオーバーフローであっても正確に検知することができる。
膨張タンク80において、横方向放出部20によって構成される流路の断面形状は、上記第1関連発明の膨張タンク1と同様に略矩形であっても、円形や楕円形、多角形等、適宜の形状とすることができる。また、横方向放出部20は、底側(横底面25側)に溝30を設けたり、図4〜図6に示す横方向放出部50,60,70〜73のように底側に向けて凸で、すぼんだ形状になっていてもよい。また、溝30を設ける場合は、例えば図3(c)に示すように、溝30の貯留部2側に末広がりの部位を設けるなどしてもよい。かかる構成とした場合は、貯留部2から溢れ出した液体が横方向放出部20,50,60,70〜73の底側に集まるため、当該底側の面に連続した縦方向放出部21の伝液部21bや縦方向放出部85〜90の伝液部85a〜90aに液体が優先的に流れやすくなる。そのため、膨張タンク80においても、上記第1関連発明の横方向放出部20,50,60,70〜73のような構成とすることにより、検知電極40による液体の検知精度を向上させることができる。
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態にかかる膨張タンク100について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態の膨張タンク100は、上記した膨張タンク1,80と大部分の構造が共通するため、共通部分には同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
図10において、100は本実施形態の膨張タンクである。膨張タンク100は、上記した膨張タンク1,80と同様に、貯留部2からオーバーフローした液体を外部に放出するための放出通路部101を有する。放出通路部101は、上記した放出通路部3と同様に、貯留部2に溜まる液体の液面に沿う方向に液体を流す横方向放出部102と、貯留部2に溜まる液体の液面の昇降方向に沿う方向に液体を流す縦方向放出部103とを有する。放出通路部101は、横方向放出部102と縦方向放出部103との中間に傾斜通路部105を有する点が、上記した放出通路部3と異なる。
傾斜通路部105は、横方向放出部102の下流端と、縦方向放出部103の上流端とを繋ぐ通路である。図11に示すように、傾斜通路部105の底面(傾斜伝液面106)は、横方向放出部102の底面(伝液面107)および縦方向放出部103を構成する貯留部2側の面(伝液面108)と連続しており、図10(b)や図11にハッチングで示すように貯留部2からオーバーフローした液体が優先的に伝って流れる部分である。傾斜伝液面106は、伝液面107よりも下方に向けて傾斜している。すなわち、傾斜伝液面106は、下り勾配が付けられた面である。
検知電極40は、図10や図11に示すように、傾斜伝液面106と縦方向放出部103の伝液面108との境界部分Rあるいはこの近傍に先端が来るように差し込まれている。すなわち、検知電極40は、先端が傾斜伝液面106の下流端近傍にくるように設置されている。検知電極40は、先端が傾斜伝液面106に当接する程度、あるいは、傾斜伝液面106との間に僅かな隙間が開く程度まで差し込まれている。そのため、膨張タンク100は、図11にハッチングで示すように、ごく僅かな液体が傾斜伝液面106を伝って流れる場合であっても、これを精度よく検知することができる。
上記したように、傾斜伝液面106には下り勾配が付けられているため、貯留部2から液体がオーバーフローする際に傾斜伝液面106を伝って流れる液体は、オーバーフローが完了すると傾斜伝液面106に沿って流れ落ち、貯留部2内に存在する液体から縁切りされた状態になる。そのため、膨張タンク100は、液体の表面張力等の影響により、検知電極40が貯留部2内に設置された参照電極12と導通状態となるような不具合が起こらず、検知電極40によるオーバーフローの誤検知が起こらない。
(第4関連発明)
続いて、本発明の第4関連発明にかかる膨張タンク120について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、膨張タンク120は、上記実施形態の膨張タンク1等と大部分が同一の構成であるため、同一の部分には同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
図12において、120は第4関連発明の膨張タンクである。膨張タンク120は、貯留部2からオーバーフローした液体を外部に放出するための放出通路部121に特徴を有する。放出通路部121は、上記した膨張タンク1の放出通路部3と同様に、横方向放出部122と縦方向放出部123とを有する。横方向放出部122は、膨張タンク1の横方向放出部20と同様に、貯留部2と連通しており、貯留部2からオーバーフローする液体を、当該液体の液面に沿う方向に放出するための流路である。また、縦方向放出部123は、横方向放出部122に連続する流路であり、貯留部2に貯留される液体の液面の下降方向に沿って延びる流路である。
膨張タンク120は、縦方向放出部123の中途に検知電極130を有する。検知電極130は、図12(d)に示すようにリング型の形状をした電極であり、外径が縦方向放出部123の内径と略同一とされている。検知電極130は、図12(c)に示すように、縦方向放出部123の内壁面の全周に沿うように固定されている。そのため、貯留部2からオーバーフローして縦方向放出部123を伝って流れる液体は、必ず検知電極130を伝って放出される。従って、第4関連発明の膨張タンク120のような構成によれば、貯留部2における液体のオーバーフローを的確に検知することができる。
また、膨張タンク120では、検知電極130が縦方向放出部123の中途に設けられているため、オーバーフローの後に液体の表面張力等の影響により、検知電極130が貯留部2内に設置された参照電極12と導通状態となるような不具合が起こらず、検知電極130によるオーバーフローの誤検知が起こらない。
なお、上記関連発明では、検知電極130を縦方向放出部123に設けた構成を例示したが、例えば図13(a)に示すように、横方向放出部122の中途に検知電極130が設けられていてもよい。かかる構成とする場合は、上記した液体の表面張力等に伴うオーバーフローの誤検知を防止すべく、検知電極130を貯留部2からなるべく離した構成とすることが望ましい。
また、第4関連発明の膨張タンク120は、放出通路部121が横方向放出部122と縦方向放出部123とで構成されているものであったが、図13(b)に示す放出通路部125のように、上記第3実施形態の膨張タンク100の傾斜通路部105と同様の傾斜通路部126を設けた構成とすることも可能である。かかる構成とする場合は、上記第3実施形態で説明したのと同様の理由により、傾斜通路部126と縦方向放出部123との境界部分R、あるいは、この近傍に検知電極130を配した構成とすることが望ましい。
また、第4関連発明において採用されている検知電極130は、外周面全体が放出通路部121の内周面全体に沿う形状のものであったが、例えば図14に示す検知電極131のように、外周面が放出通路部121の内周面の一部に沿う形状のものであってもよい。この場合、検知電極131は、図14(b)に示すように、貯留部2からオーバーフローした液体が優先的に伝って流れる部位、すなわち横方向放出部122の底側の面に連続する部位(伝液面127)に沿って固定されることが望ましい。
検知電極130は、内周面の断面形状と、外周面の断面形状とが相似形であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば内周面の断面形状を三角形や四角形等の多角形としたり、楕円形等の形状としてもよい。また、膨張タンク120は、検知電極130に代わって図15に示す検知電極132のように、内周面の断面形状を波形等の形状としたり、襞状の形状とすることも可能である。かかる構成によれば、検知電極130のように内周面の断面形状を円形とした場合に比べて、内周面の表面積を拡大することができ、液体の検知精度をより一層向上させることができる。
また、検知電極130は、放出通路部121の内壁面にぴったりと接触するように装着されるものであったが、例えば図17(a)に示す検知電極140や、図17(b)に示す検知電極141のように、放出通路部121の伝液面127との間に多少の隙間143,145が開くものであってもよい。すなわち、検知電極140,141のように、放出通路部121の内壁面にぴったりと接触しないものであっても、内壁面(伝液面127)に沿って配されるものであればよい。
上記実施形態や関連発明では、棒状の検知電極40を差し込んだり、リング状の検知電極130を放出通路部121の内壁面に装着した構成を例示したが、例えば図17(c)に示すように放出通路部121を構成する横方向放出部122や縦方向放出部123、傾斜通路部126等の壁面に穴146を設け、この穴146を検知電極147で閉塞した構成としてもよい。かかる構成とした場合は、穴146を埋める検知電極147が放出通路部121の内側に露出し、液体の有無を検知することができる。
また、上記した検知電極130は、放出通路部121の縦方向放出部123の中途に固定されたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図16に示すように、縦方向放出部123と、これに接続されるホース等の配管Tとの接続部分に検知電極130を配した構成としたり、検知電極130によって縦方向放出部123と配管Tとを接続した構成であってもよい。
第4関連発明の膨張タンク120や、上記各実施形態又は関連発明の膨張タンク1,80,100は、棒状の参照電極12を貯留部2の天面5側から差し込んだものであるが、これに限定されるものではない。さらに具体的には、例えば膨張タンク120は、図18(a),(b)に示すように、参照電極12を採用する代わりに、上記した検知電極130,131,132と同様の構造の参照電極135を採用し、これを横方向放出部122や縦方向放出部123の内側に取り付けた構成としてもよい。なお、図18(a),(b)のような構成とする場合、検知電極130等と、参照電極135との取り付け位置は、互いに入れ替わってもよい。また、検知電極130等と参照電極135の双方が横方向放出部122に設けられた構成であってもよい。かかる構成とする場合は、オーバーフローの後に横方向放出部122に残存した液体の表面張力によって、検知電極130等と参照電極135とが導通してオーバーフローを誤検知するのを防止すべく、検知電極130等と参照電極135との間隔を十分取ることが望ましい。
上記した各膨張タンク1,80,100,120において、放出通路部3,101,121は、貯留部2と一体成型されたものであったが、別部材として製作し、これらを接続した構成としてもよい。また、貯留部2と放出通路部3とを別々に製造して接続する場合は、上記した検知電極130や参照電極135等を採用し、これらを用いて接続することも可能である。
また、放出通路部3,100,121は、それぞれ横方向放出部20等と縦方向放出部21等とを有するものであったが、例えば図19(a)に示す膨張タンク150のように横方向放出部151のみを持つものや、図19(b)に示す膨張タンク152のように横方向放出部に相当する部位がなく、傾斜通路部153を持つものであってもよい。また、放出通路部3,100,121は、それぞれ横方向放出部20等と縦方向放出部21等とを一体的に成型したものであったが、横方向放出部20等と縦方向放出部21等とを別々に成型し、これらを上記した検知電極130や参照電極135等を介して接続することも可能である。
(参考例1)
続いて、上記関連発明に示した膨張タンク1を採用した加熱装置の一参考例について図面を参照しながら詳細に説明する。図20において、200は本実施形態の加熱装置である。加熱装置200は、大別して熱源202と熱回収部203とを組み合わせて構成されている。
熱源202は、燃料電池やエンジンの動力を利用して発電する発電装置等のような作動に伴って熱を発生する発熱部205と、発熱部205を冷却し、発電の際に発生した排熱を回収するための熱交換器206とを備えている。すなわち、熱源202は、発電手段としての機能と、湯水(液体)を加熱するための熱エネルギー発生手段としての機能とを兼ね備えている。熱源202は、外部に設けられた電力負荷Eに対して電力を供給するための電力供給手段としても機能する。
一方、熱回収部203は、湯水を貯留するための貯留タンク210(貯留手段)を中心として構成されており、貯留タンク210の頂部に設けられた頂部接続部211、並びに、底部に設けられた底部接続部212に対して加熱系統K(熱エネルギー回収系統)、給湯系統M、給水系統Cおよび暖房系統Dを構成する配管を接続した構成とされている。
貯留タンク210は、高さ方向、すなわち内部に貯留される湯水の水位上昇方向に複数(本実施形態では4つ)の温度センサ213a〜213dを取り付けた構成とされている。温度センサ213a〜213dは、それぞれ貯留タンク210内の湯水の温度を検知するための温度検知手段として機能すると共に、貯留タンク210内に所定温度あるいは温度範囲の湯水の残留量を検知するための残量検知手段としての役割も果たす。
さらに具体的には、参考例の加熱装置200では、貯留タンク210の底部から取り出された湯水が加熱系統Kを通過する間に加熱され、貯留タンク210の頂部側にゆっくりと戻される構成とされている。ここで、一般的にタンク内に液体を貯留する場合、その液体の温度差が所定の閾値(湯水では約10℃程度)以上であると、液体が温度毎に層状に分かれる。そのため、加熱系統Kを通過して加熱された湯水が貯留タンク210内の湯水の温度に対して前記閾温度以上高温に加熱され、貯留タンク210内の湯水を掻き乱さない程度にゆっくりと戻されると、貯留タンク210内に貯留されている湯水が温度毎に層状に分かれる。従って、貯留タンク210に設置された温度センサ213a〜213dの検知温度を調べることにより、貯留タンク210内に所望の温度範囲に加熱された湯水がどれだけ貯留されているかを検知することができる。
加熱系統Kは、加熱側循環回路220により構成される系統であり、貯留タンク210の底部から取り出された湯水を加熱して貯留タンク210の頂部側に戻すものである。さらに具体的に説明すると、加熱系統Kは、加熱側循環回路220により主要部が構成される系統である。加熱側循環回路220は、貯留タンク210の底部接続部212と発熱部205内の熱交換器206とを繋ぐ加熱往き側流路221と、頂部接続部211と熱交換器206とを繋ぐ加熱戻り側流路222とを有する。また、加熱側循環回路220は、加熱往き側流路221および加熱戻り側流路222の中間部分において両流路をバイパスするバイパス流路223を有する。
加熱往き側流路221には、貯留タンク210の底部側から排出される湯水を発熱部205の熱交換器206に供給する流路であり、中途に湯水を循環させるための循環ポンプ225と、湯水の温度を検知するための温度センサ226と、加熱側循環回路220を流れる湯水の給水圧を検知するための圧力センサ224と、放熱手段229とを有する。放熱手段229は、加熱往き側流路221を流れる湯水の放熱を促進し、温度を低下させるものである。
加熱往き側流路221は、上記した放熱手段229よりも湯水の流れ方向上流側に加熱側三方弁228が設けられている。加熱側三方弁228を構成する3つのポートのうちの2つは加熱往き側流路221を構成する配管に接続されており、残りのポートにはバイパス流路223を構成する配管が接続されている。すなわち、バイパス流路223は、加熱側三方弁228を介して加熱往き側流路221に接続されている。
加熱戻り側流路222は、熱交換器206を通過した湯水を貯留タンク210の頂部側に戻す流路である。加熱戻り側流路222は、中途で2流路に分岐され、その下流側で再度合流する構成とされている。さらに具体的には、加熱戻り側流路222は、中途で暖房側分岐路260と、迂回分岐路261とに分岐されている。暖房側分岐路260は、後述する暖房側循環回路270によって構成される暖房系統Dと熱交換器271を介して接続されている。また、迂回分岐路261は、発熱部205側から湯水を熱交換器271を通過させずに貯留タンク210側に戻す流路である。暖房側分岐路260および迂回分岐路261は、それぞれ湯水の流れ方向下流側で加熱戻り側流路222に設けられた暖房側三方弁262に接続され、合流している。そのため、暖房側三方弁262を暖房側分岐路260側に開いた状態にすることにより、熱源202において加熱された湯水を熱交換器271側に送り込むことができる。加熱戻り側流路222の中途であって、前記した暖房側三方弁262よりも湯水の流れ方向下流側の位置には、バイパス流路223が接続されている。
暖房系統Dは、加熱装置200の外部に設置された暖房端末265との間で不凍液等の液体を循環させるための暖房側循環回路270を有する。暖房側循環回路270は、暖房端末265に、液体を介して熱エネルギーを送るための暖房往き側流路266と、暖房端末265において放熱した液体が流れる暖房戻り側流路267とによって構成されている。暖房往き側流路266および暖房戻り側流路267を構成する配管は、それぞれ一端が暖房端末265に接続されると共に、他端が膨張タンク1の配管接続口15,16に接続されている。
暖房往き側流路266の中途には、暖房系統D内において液体を循環させ、暖房端末265に送り込むための循環ポンプ268が設けられている。また、暖房戻り側流路267の中途には、上記した熱交換器271が接続されている。熱交換器271は、いわゆる液−液熱交換器と称されるものであり、暖房系統D内を循環する液体を加熱戻り側流路222の暖房側分岐路260を流れる湯水との熱交換により加熱するために設けられたものである。
給湯系統Mは、貯留タンク210の頂部接続部211に接続された給湯流路230と、この給湯流路230の中途に設けられた給湯装置231とによって主要部が構成される系統である。給湯流路230は、貯留タンク210から給湯装置231を経てカラン234に至る一連の流路を形成している。給湯流路230は、貯留タンク210から給湯装置231に至る流路の中途に貯留タンク210側に向けて湯水が逆流するのを阻止すべく、逆止弁252を有する。また、逆止弁252よりも下流側には、給湯側三方弁232と、入口側温度センサ233とが設けられている。
給湯側三方弁232は、3つのポートのうちの2つが給湯流路230を構成する配管に接続されており、残りのポートが後述する給水系統Cの給湯用給水流路251に接続されている。また、給湯側三方弁232の下流側には、給湯用給水流路251の本流部253から分岐された支流部255が接続されている。
入口側温度センサ233は、後述する給湯用給水流路251の支流部255と給湯流路230との接続部分よりも下流側であって、給湯装置231よりも上流側の位置に設置されている。そのため、入口側温度センサ233は、貯留タンク210から排出された湯水と、給湯用給水流路251の本流部253や支流部255を介して供給される湯水とが混合された後の湯水の温度を検知できる。給湯流路230は、給湯装置231よりも上流側の部位と下流側の部位とをバイパスする給湯バイパス流路235を有する。給湯バイパス流路235は、給湯流路230内を流れる湯水を給湯装置231を通過させずに下流側に送り込む、すなわち給湯流路230をショートカットするための流路であり、中途にバイパス弁236を有する。また、給湯流路230は、給湯装置231よりも下流側に比例弁237、出口側温度センサ238と流水検知センサ240とを有する。
給湯装置231は、従来公知の給湯器と同様にガスや灯油等の燃料を燃焼するためのバーナー241と熱交換器243とを内蔵しており、燃料の燃焼により発生した熱エネルギーを利用して湯水を加熱するものである。給湯装置231は、発熱部205よりも湯水の加熱能力が高い。給湯装置231は、貯留タンク210から排出される湯水の温度が低い等のような特別な場合に限って燃焼動作を行い、給湯流路230内を流れる湯水を加熱するものであり、補助的な熱源として機能する。給湯装置231は、流水検知センサ240により通水が検知されることを作動条件の一つとしている。
給水系統Cは、コージェネレーション系Sの外部から湯水を供給するためのものであり、貯留タンク210に対して湯水を供給するための貯留用給水流路250と、給湯用給水流路251とを備えている。貯留用給水流路250は、貯留タンク210の底部側に設けられた底部接続部212に接続された配管により構成されている。これにより、加熱装置200は、外部から供給される低温の湯水を貯留タンク210の底部側から導入可能な構成とされている。
給湯用給水流路251の中途には、給湯流路230に合流する湯水の温度を検知するための入水温度センサ256と、給湯流路230側から給水源側に向けて湯水が逆流するのを防止するための逆止弁257とが設けられている。給湯用給水流路251は、逆止弁257よりも下流側において本流部253から支流部255が分岐された構成とされている。支流部255は、給湯側三方弁232よりも給湯流路230の湯水の流れ方向下流側の位置に接続された流路であり、中途に支流弁258が設けられた構成とされている。支流弁258は、非通電時に開いた状態となる弁であり、停電状態になって給湯側三方弁232を開くことができなくなった際に、貯留タンク210内の湯水がそのまま排出され、いわゆる高温出湯が起こるのを防止するために設けられたものである。
加熱装置200は、制御手段280によって動作が制御されている。制御手段280は、従来公知のコージェネレーションシステムが備えているものと同様のものであり、例えばCPUや所定の制御プログラムが内蔵されたメモリなどを備えた構成とすることができる。制御手段280は、コージェネレーション系Sの各部に設けられたセンサ類の検知信号や、メモリに記憶されているデータ等に基づいてコージェネレーション系Sの各部に設けられた弁や発熱部205、給湯装置231等の動作を制御し、加熱装置200の総合エネルギー効率の最適化を図る構成とされている。
参考例の加熱装置200は、上記したように、湯水が流れる加熱側循環回路220と、不凍液等の液体が流れる暖房側循環回路270とが熱交換器271に接続された構成となっている。そのため、暖房側循環回路270に接続され、熱交換器271内に配された配管に穴が開いた場合、加熱側循環回路220を流れる湯水の圧力(給水圧)が低いと、暖房側循環回路270を流れる液体が、加熱側循環回路220を流れる湯水に混入してしまう可能性がある。また逆に、加熱側循環回路220内を流れる湯水の給水圧が高い場合は、熱交換器271に開いた穴を介して、加熱側循環回路220側から暖房側循環回路270に湯水が流入する。そのため、この場合は、加熱側循環回路220を流れる湯水が暖房側循環回路270側に混入して膨張タンク1においてオーバーフローが発生する。そのため、膨張タンク1におけるオーバーフローを検知することにより、熱交換器271の異常を察知することができる。
ここで、通常、熱交換器271に開く穴は、初期段階においてごく微細なピンホールであるため、加熱側循環回路220側から暖房側循環回路270側に湯水が混入したとしても、その量はごく僅かである。そのため、熱交換器271に穴が開いても、膨張タンク1においてオーバーフローする液体の量はごく僅かである。また、膨張タンク1におけるオーバーフローは、前記したような熱交換器271の不良によるものだけでなく、例えば暖房側循環回路270への注液や、いわゆる水崩れと称されるような現象を伴う場合にも突発的に発生する。そのため、熱交換器271の不良を検知するためには、オーバーフローを精度よく検知すると共に、そのオーバーフローが突発的なものであるか否かを判断しなければならない。
そこで、参考例の加熱装置200では、制御手段280が、圧力センサ224によって検知される湯水の給水圧と、膨張タンク1に設置された検知電極40によるオーバーフローの検知結果に基づいて熱交換器271の不良(穴あき)を検知する構成とされている。以下、制御手段280による熱交換器271の不良の検知方法について詳細に説明する。
参考例の加熱装置200では、上記実施形態で説明した膨張タンク1を採用しているため、膨張タンク1における液体のオーバーフローの有無を的確に把握することができる。そのため、本実施例の加熱装置200は、熱交換器271の不良(穴開き)を正確に把握し、給湯に使用される湯水(上水)に不凍液等の液体(雑水)が混入するのを防止するために的確な処置を施すことができる。
上記参考例では、膨張タンク1を採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記実施形態あるいは別の関連発明に示した膨張タンク80,100,120,150,152のような構成のものであってもよい。
また、上記参考例の加熱装置200は、主として燃料電池等によって構成される発熱部205を備えた熱源202において発生した熱エネルギーを利用して湯水や不凍液等の液体を加熱するものであったが、例えば熱源202を備えず、主として給湯装置231のような従来公知の加熱装置によって湯水等の液体を加熱するものであってもよい。