このとき、コンテンツを視聴する使用者は、バッファ内に記憶されているコンテンツに対応するデータを、例えばハードディスク等の恒久的な記憶媒体に保存(一般のインターネット放送で言えば「購入」ということになる)するか否かを自由に選択することができる。そして、当該コンテンツに対応するデータがバッファ内に記憶されている時間が、上記使用者にとってはそのデータを保存(購入)するか否かを考える(判断する)ことができる時間に相当することになる。
ここで、上記バッファは、一般的にはFIFO(First In First Out)方式のいわゆるリングバッファとして構成されており、その記憶可能容量以下の情報量を有するコンテンツに対応するデータを記憶する場合は、その受信順に各コンテンツに対応するデータが記憶され、その受信順に上記復号処理等に供されて行く。これに対し、当該記憶可能容量を越えるコンテンツについては、最も古くからバッファ内に記憶されているコンテンツに対応するデータに対して最新に受信したコンテンツに対応するデータを上書き記憶することを繰り返しつつ、受信された各コンテンツに対応するデータがバッファ内に順次記憶される。
他方、放送されているコンテンツ自体は、上述したようにバッファにはそのデータが一時的に記憶されるものの、全てのコンテンツに対応するデータをハードディスク等に転送して保存(購入)できるとは限らない。より具体的には、例えば、コンテンツを提供している提供者が著作権法上の理由等により当該保存を認めない場合や、そのコンテンツ自体の視聴に対して年齢制限があるものもある。
しかしながら、上述した従来の受信装置の構成では、放送されて来るコンテンツに対応するデータがその内容や属性に拘らず順次バッファに蓄積・記憶されていくこととなるため、保存(購入)することが不可能なコンテンツも他のコンテンツと同程度の時間バッファの中に記憶され続けることとなっていた。これにより、保存不可コンテンツより前にバッファ内に記憶されていた当該保存可能なコンテンツに対応するデータが、後から受信された他のコンテンツに対応するデータによって早期に上書きされてしまい、使用者がそのコンテンツに対応するデータを保存するか否かを選択できる時間が短くなってしまうという問題点があった。
このように、ハードディスク等へ保存されたコンテンツの視聴を希望する使用者からしてみれば、当該保存が認められていないコンテンツに対応するデータがバッファ内に他のコンテンツと同等の時間だけ記憶されていても全く意味を成さないものになる。
そこで、本発明は上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その目的は、ハードディスク等に保存することが認められているコンテンツの活用を選択するための期間を長くとることが可能な受信装置及び受信方法並びに当該受信に用いられる受信用プログラム及び当該受信装置を含む放送システムを提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、順次放送されて来る複数の放送情報を受信する受信手段と、前記放送情報が一時的に記憶される記憶領域を含む一時記憶手段と、前記記憶領域における書き込みアドレスを示すアドレス情報が示すアドレスが前記記憶領域のアドレスの範囲内を循環するように前記アドレス情報を更新しながら、前記アドレス情報が示すアドレスで、受信された前記放送情報を前記記憶領域に順次書き込む書き込み手段と、受信された前記放送情報の最後の部分が書き込まれたかを判定する第1判定手段と、最後の部分が書き込まれたと判定された前記放送情報が、前記記憶領域にのみ記憶されるべき前記放送情報である一時記憶放送情報であるかを判定する第2判定手段と、前記一時記憶放送情報であると判定された前記放送情報の最後の部分が書き込まれたとき、前記アドレス情報に、前記一時記憶放送情報であると判定された前記放送情報の先頭部分が書き込まれたアドレスを設定する設定手段と、を備える。
よって、一時記憶放送情報の最後の部分が記憶領域に書き込まれたとき、アドレス情報に、一時記憶放送情報の先頭部分が書き込まれたアドレスが設定されるので、一時記憶放送情報以外の放送情報(すなわち、他の記憶手段等に転送して記憶することが可能な放送情報)が一時記憶手段内に記憶されている期間を結果的に長くすることができる。
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の受信装置において、前記受信手段は、前記一時記憶放送情報である旨を示す識別情報が予め付加された前記一時記憶放送情報を受信し、前記判定手段は、前記識別情報が付加されている前記放送情報を前記一時記憶放送情報であると判定するように構成される。
よって、一時記憶放送情報である旨を示す識別情報が予め付加されて放送され、当該識別情報を用いて一時記憶放送情報であるか否かが判定されるので、簡易且つ確実な方法で一時記憶放送情報と他の放送情報とを区分することができる。
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の受信装置において、前記受信手段は、先頭部分にヘッダ情報が設定された前記放送情報を受信し、前記第2判定手段は、最後の部分が書き込まれたと判定された前記放送情報の前記ヘッダ情報が前記記憶領域に書き込まれていない前記放送情報を前記一時記憶放送情報であると判定するように構成される。
よって、ヘッダ情報が記憶領域に書き込まれておらず、その一部のみが受信されている放送情報を一時記憶放送情報と判定するので、全体を再生することができない(換言すれば途中から又は途中までしか再生することができない)放送情報を上書きすることで、全体を受信済みの放送情報を長く一時記憶手段内
に記憶させることができる。
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の受信装置において、前記一時記憶手段に記憶されている各前記放送情報を受信順に当該一時記憶手段から読み出して再生するデコーダ等の再生手段を更に備える。
よって、一時記憶放送情報を含めた放送情報を再生することで、受信した放送情報を視聴することができる。
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の受信装置において、前記一時記憶放送情報を除く他の前記放送情報を前記一時記憶手段から読み出して蓄積するハードディスク等の蓄積手段を更に備える。
よって、一時記憶放送情報以外の放送情報を蓄積してそれを後ほど再生することができる。
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の受信装置と、前記放送情報を放送する放送装置と、を備える。
よって、一時記憶放送情報以外の放送情報を一時記憶手段内に長く記憶させつつ放送情報を受信することができる。
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、順次放送されて来る複数の放送情報を受信する受信工程と、前記放送情報が一時的に記憶される記憶領域を含む一時記憶手段に含まれる前記記憶領域における書き込みアドレスを示すアドレス情報が示すアドレスが前記記憶領域のアドレスの範囲内を循環するように前記アドレス情報を更新しながら、前記アドレス情報が示すアドレスで、受信された前記放送情報を前記記憶領域に順次書き込む書き込み工程と、受信された前記放送情報の最後の部分が書き込まれたかを判定する第1判定工程と、最後の部分が書き込まれたと判定された前記放送情報が、前記記憶領域にのみ記憶されるべき前記放送情報である一時記憶放送情報であるかを判定する第2判定工程と、前記一時記憶放送情報であると判定された前記放送情報の最後の部分が書き込まれたとき、前記アドレス情報に、前記一時記憶放送情報であると判定された前記放送情報の先頭部分が書き込まれたアドレスを設定する設定工程と、を含む。
よって、一時記憶放送情報の最後の部分が記憶領域に書き込まれたとき、アドレス情報に、一時記憶放送情報の先頭部分が書き込まれたアドレスが設定されるので、一時記憶放送情報以外の放送情報(すなわち、他の記憶手段等に転送して記憶することが可能な放送情報)が一時記憶手段内に記憶されている期間を結果的に長くすることができる。
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、受信装置に含まれるコンピュータに、順次放送されて来る複数の放送情報を受信する受信ステップと、前記放送情報が一時的に記憶される記憶領域を含む一時記憶手段に含まれる前記記憶領域における書き込みアドレスを示すアドレス情報が示すアドレスが前記記憶領域のアドレスの範囲内を循環するように前記アドレス情報を更新しながら、前記アドレス情報が示すアドレスで、受信された前記放送情報を前記記憶領域に順次書き込む書き込みステップと、受信された前記放送情報の最後の部分が書き込まれたかを判定する第1判定ステップと、最後の部分が書き込まれたと判定された前記放送情報が、前記記憶領域にのみ記憶されるべき前記放送情報である一時記憶放送情報であるかを判定する第2判定ステップと、前記一時記憶放送情報であると判定された前記放送情報の最後の部分が書き込まれたとき、前記アドレス情報に、前記一時記憶放送情報であると判定された前記放送情報の先頭部分が書き込まれたアドレスを設定する設定ステップと、を実行させる。
よって、コンピュータを請求項1に記載の受信装置として機能させる場合には、一時記憶放送情報の最後の部分が記憶領域に書き込まれたとき、アドレス情報に、一時記憶放送情報の先頭部分が書き込まれたアドレスが設定されるので、一時記憶放送情報以外の放送情報(すなわち、他の記憶手段等に転送して記憶することが可能な放送情報)が一時記憶手段としての当該コンピュータ内に記憶されている期間を結果的に長くすることができる。
また、コンピュータを請求項2に記載の受信装置として機能させる場合には、当該コンピュータを請求項1に記載の受信装置として機能させる場合に加えて、一時記憶放送情報である旨を示す識別情報が予め付加されて放送され、当該識別情報を用いて一時記憶放送情報であるか否かが判定されるように当該コンピュータが機能するので、簡易且つ確実な方法で一時記憶放送情報と他の放送情報とを区分することができる。
更に、コンピュータを請求項3に記載の受信装置として機能させる場合には、当該コンピュータを請求項1に記載の受信装置として機能させる場合に加えて、ヘッダ情報が記憶領域に書き込まれておらず、その一部のみが受信されている放送情報を一時記憶放送情報と判定するように当該コンピュータが機能するので、全体を再生することができない(換言すれば途中から又は途中までしか再生することができない)放送情報を上書きすることで、全体を受信済みの放送情報を長く一時記憶手段内に記憶させることができる。
更にまた、コンピュータを請求項4に記載の受信装置として機能させる場合には、当該コンピュータを請求項1から3のいずれか一項に記載の受信装置として機能させる場合に加えて、一時記憶放送情報を含めた放送情報を再生するようにコンピュータが機能することで、受信した放送情報を視聴することができる。
また、コンピュータを請求項5に記載の受信装置として機能させる場合には、当該コンピュータを請求項4に記載の受信装置として機能させる場合に加えて、一時記憶放送情報以外の放送情報を蓄積してそれを後ほど再生することができる。
請求項1に記載の発明によれば、一時記憶放送情報の最後の部分が記憶領域に書き込まれたとき、アドレス情報に、一時記憶放送情報の先頭部分が書き込まれたアドレスが設定されるので、一時記憶放送情報以外の放送情報(すなわち、他の記憶手段等に転送して記憶することが可能な放送情報)が一時記憶手段内に記憶されている期間を結果的に長くすることができる。
従って、一時記憶放送情報以外の放送情報の活用を選択するための期間を長くとることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、一時記憶放送情報である旨を示す識別情報が予め付加されて放送され、当該識別情報を用いて一時記憶放送情報であるか否かが判定されるので、簡易且つ確実な方法で一時記憶放送情報と他の放送情報とを区分することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、ヘッダ情報が記憶領域に書き込まれておらず、その一部のみが受信されている放送情報を一時記憶放送情報と判定するので、全体を再生することができない(換言すれば途中から又は途中までしか再生することができない)放送情報を上書きすることで、全体を受信済みの放送情報を長く一時記憶手段内に記憶させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、一時記憶放送情報を含めた放送情報を再生することで、受信した放送情報を視聴することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、一時記憶放送情報以外の放送情報を蓄積してそれを後ほど再生することができる。
請求項6に記載の発明によれば、一時記憶放送情報以外の放送情報を一時記憶手段内に長く記憶させつつ放送情報を受信することができる。
従って、一時記憶放送情報以外の放送情報の活用を選択するための期間を長くとることができる。
請求項7に記載の発明によれば、一時記憶放送情報の最後の部分が記憶領域に書き込まれたとき、アドレス情報に、一時記憶放送情報の先頭部分が書き込まれたアドレスが設定されるので、一時記憶放送情報以外の放送情報(すなわち、他の記憶手段等に転送して記憶することが可能な放送情報)が一時記憶手段内に記憶されている期間を結果的に長くすることができる。
従って、当該一時放送情報以外の放送情報の活用を選択するための期間を長くとることができる。
請求項8に記載の発明によれば、コンピュータを請求項1に記載の受信装置として機能させる場合には、一時記憶放送情報の最後の部分が記憶領域に書き込まれたとき、アドレス情報に、一時記憶放送情報の先頭部分が書き込まれたアドレスが設定されるので、一時記憶放送情報以外の放送情報(すなわち、他の記憶手段等に転送して記憶することが可能な放送情報)が一時記憶手段としての当該コンピュータ内に記憶されている期間を結果的に長くすることができる。
従って、一時記憶放送情報以外の放送情報の活用を選択するための期間を長くとることができる。
また、コンピュータを請求項2に記載の受信装置として機能させる場合には、当該コンピュータを請求項1に記載の受信装置として機能させる場合に加えて、一時記憶放送情報である旨を示す識別情報が予め付加されて放送され、当該識別情報を用いて一時記憶放送情報であるか否かが判定されるように当該コンピュータが機能するので、簡易且つ確実な方法で一時記憶放送情報と他の放送情報とを区分することができる。
更に、コンピュータを請求項3に記載の受信装置として機能させる場合には、当該コンピュータを請求項1に記載の受信装置として機能させる場合に加えて、ヘッダ情報が記憶領域に書き込まれておらず、その一部のみが受信されている放送情報を一時記憶放送情報と判定するように当該コンピュータが機能するので、全体を再生することができない(換言すれば途中から又は途中までしか再生することができない)放送情報を上書きすることで、全体を受信済みの放送情報を長く一時記憶手段内に記憶させることができる。
更にまた、コンピュータを請求項4に記載の受信装置として機能させる場合には、当該コンピュータを請求項1から3のいずれか一項に記載の受信装置として機能させる場合に加えて、一時記憶放送情報を含めた放送情報を再生するようにコンピュータが機能することで、受信した放送情報を視聴することができる。
また、コンピュータを請求項5に記載の受信装置として機能させる場合には、当該コンピュータを請求項4に記載の受信装置として機能させる場合に加えて、一時記憶放送情報以外の放送情報を蓄積してそれを後ほど再生することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図1乃至図6を用いて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、インターネット等のネットワークを介して放送局からコンテンツを放送する放送システムに含まれる端末装置であって、当該放送されるコンテンツに対応するデータを受信し、その受信したデータを再生することで当該コンテンツを視聴させる受信装置としての端末装置に対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
また、図1は実施形態に係る放送システムの概要構成を示すブロック図であり、図2は当該放送システムに含まれる端末装置の概要構成を示すブロック図であり、図3は当該放送システムにおいて放送されるコンテンツの内容を例示する図であり、図4及び図5は当該端末装置におけるリングバッファの動作を示す図であり、図6は当該端末装置における実施形態に係る動作を纏めて示すフローチャートである。
図1(a)に示すように、実施形態に係る放送システムSは、放送装置としての放送局Bを頂点として各端末装置Tがツリー状に回線Lを介して接続された構成となっている。そして、予め定められた番組予定表等に則り、放送局Bから各コンテンツのデータDが各端末装置Tに配信(放送)される。このとき、放送システムSにおいて放送局Bから見て末端に接続されている端末装置T以外の端末装置Tは、当該末端の端末装置TへのデータDの中継機能を兼ね備えていることになる。
なお、上述したコンテンツの具体例としては、例えば、曲、映像、番組、コマーシャル等が挙げられる。
一方、当該コンテンツ毎の当該データDは、図1(b)に例示するように、そのデータDに対応するコンテンツの属性等が記述されたヘッダHを先頭として、コンテンツ本体としての動画像情報や音声情報或いは文字情報等からなる配信データBDが含まれた構造となっている。
このとき、当該ヘッダHには、上記属性の一つとして、配信データBDとして含まれているコンテンツが後述する端末装置T内のリングバッファ内にのみ記憶されるべきものであって、同じく後述するハードディスクへは記憶されるべきでない(すなわち保存(購入)されるべきでない)ものであるか否かを示す保存許可フラグが含まれている。そして、当該保存許可フラグが「保存不可」とされる理由としては、上述したように著作権法上の理由やコンテンツの内容に応じた年齢制限上の理由等がある。
次に、各端末装置Tの構成及び全体動作について、図2を用いて説明する。なお、図1に示す各端末装置T夫々の構成は、基本的に全て同一とされている。
図2に示すように、実施形態に係る端末装置Tは、外部インターフェース1と、判定手段及び記憶制御手段としてのCPU2と、再生手段としてのデコーダ3と、フレームバッファ4と、スーパーインポーズ部5と、液晶ディスプレイ等よりなるディスプレイ6と、RAM(Random Access Memory)7と、蓄積手段としてのハードディスク8と、ROM(Read Only Memory)9と、音声復号用の音声デコーダ及び増幅器等を含むスピーカ10と、により構成されている。そして、上記外部インターフェース1、CPU2、デコーダ3、フレームバッファ4、スーパーインポーズ部5、ディスプレイ6、RAM7、ハードディスク8、ROM9及びスピーカ10は内部バス11を介して相互に情報の授受が可能に接続されている。また、RAM7内の揮発性領域には一時記憶手段としての上述したリングバッファ7Aが形成されている。
次に、各構成部材の概要動作を説明する。
先ず、外部インターフェース1は、放送システムS内の上記回線Lに接続されており、当該回線Lを介して上記データDの授受を行う。
そして、外部インターフェース1を介して受信された各コンテンツ毎のデータDは、CPU2の制御の下、バス11を介してRAM7内のリングバッファ7Aに受信順にコンテンツ毎に記憶される。このとき、当該リングバッファ7Aにおいては、上述したように、その記憶可能容量以下の情報量を有するデータDを記憶する場合は、その受信順に各データDが記憶され、その受信順にバス11を介してデコーダ3に出力されるのに対し、当該記憶可能容量を越えるデータDについては、最も古くからリングバッファ7A内に記憶されているコンテンツに対応するデータDに対して最新に受信したコンテンツに対応するデータDを上書き記憶することを繰り返しつつ、受信された各コンテンツに対応するデータDが順次記憶される。なお、図2に示すリングバッファ7Aにおける実施形態に係る記憶制御動作については、後ほど詳述する。
一方、上記リングバッファ7A内に一時的に記憶されたデータDは、CPU1の制御の下、各コンテンツ毎に予め設定されたタイミングで当該リングバッファ7Aから読み出され、バス11を介してデコーダ3へ出力される。
そして、デコーダ3は、当該データDに対して予め設定された復号方式に則った復号処理を施し、スーパーインポーズ部5へ出力する。
これと並行して、フレームバッファ4は、後述するスーパーインポーズ部5におけるメニュー画面等の重畳処理に供させるべく、上記データDの一部を一時的に記憶し、予め設定されているタイミングでスーパーインポーズ部5へ出力する。
これらにより、スーパーインポーズ部5においては、デコーダ3から出力されて来る復号後の画像情報に対して上記メニュー画面等を必要に応じて重畳し、ディスプレイ6における表示用の出力信号として当該ディスプレイ6に出力する。
そして、ディスプレイ6は、当該出力信号に対応した動画像又は静止画像を表示する。
他方、スピーカ10は、データDに含まれている音声情報をバス11を介して受け取り、これを復号・増幅して対応する音を放音する。
また、ハードディスク8は、CPU2の制御の下、各コンテンツに対応するデコーダDのうち当該ハードディスク8に保存可能なデータDを取得し、これを磁気的に且つ不揮発性に記憶する。
上記した各構成部材における動作を実現すべく、CPU2は、ROM9に予め記憶されている当該動作制御用のプログラム等を当該ROM9から読み出し、当該プログラム等に基づいて上記各構成部材を統括制御すると共に、実施形態に係るリングバッファ7Aにおける記憶制御を行う。
次に、上述した構成を備える端末装置Tにおける、実施形態に係るリングバッファ7Aの記憶制御動作について、具体的に図3乃至図6を用いて説明する。
(I)記憶制御動作の第一の態様について
最初に、当該記憶制御動作の第一の態様について、図3及び図4を用いて説明する。
先ず、以下の実施形態の説明では、図3に示す放送予定リスト(番組表)に則り、名称「AAA」なるコンテンツから名称「EEE」なるコンテンツまでの五つのコンテンツが連続して放送局Bから放送されるものとする。ここで、以下の説明では、一般に、名称「AAA」なるコンテンツを「コンテンツAAA」のように示すこととする。
そして、この五つのコンテンツのうち、コンテンツCCCのみがハードディスク8への保存が不可とされているとする。すなわち、コンテンツCCC以外の四つのコンテンツAAA、BBB、DDD及びEEE夫々のデータDにおけるヘッダHには「保存許可」を示す保存許可フラグが含まれており、コンテンツCCCのデータDCCCにおけるヘッダHには「保存不可」を示す保存許可フラグが含まれている。
この前提において、以下の第一の態様では、放送局Bから各コンテンツの放送が(コンテンツAAAから)開始されると、それを受信した端末装置Tのリングバッファ7Aには、図4(a)に示すように、当該コンテンツAAAのデータDAAAが、受信順に蓄積されていくと共に、デコーダ3に対してその蓄積順に出力される(図4(a)破線矢印参照)。
このとき、当該リングバッファ7Aにおいては、上記FIFO方式でデータDAAAの入出力を行うべく、蓄積された(換言すれば受信された)データDAAAが記憶されたリングバッファ7A内の番地(すなわち、蓄積されるデータDAAAの先頭)を常に示す書込みポインタPWの値が、当該受信に伴って(図4(a)に示す場合では)時計回りにインクリメントされていくと共に、デコーダ3へ出力したデータDAAAのリングバッファ7A内の番地を示す読み出しポインタPRの値が、当該出力に伴って上記書込みポインタPWを追いかけるように時計回りにインクリメントされていく。そして、CPU2では、この書込みポインタPWの値及び読み出しポインタPRの値を夫々認識することで、当該リングバッファ7Aにおける第一の態様としての記憶制御動作を実行する。
ここで、書込みポインタPWと読み出しポインタPRの差に相当するリングバッファ7Aの領域は、デコーダ3に定期的に安定してコンテンツのデータを供給できるようにするためのバッファとして機能する。すなわち、このバッファとして機能する領域の存在により、外部インターフェース1からのデータ到着周期に一時的な遅れがあった場合でも、デコーダ3に供給するデータが途絶えることがないのである。
このとき、当該読み出しポインタPRの進む速度は、デコーダ3のデータ消費速度に依存して決定され、更に書込みポインタPWの速度は、放送局Bにおけるデータ送出速度に依存して決定されるものであるが、放送局Bは二つの速度が一致するように当該データ送出速度を調整する。そして、コンテンツの視聴開始時において、CPU2が、書込みポインタPWとの読み出しポインタPRの差が既定値を超えたところで、デコーダ3における復号処理等を開始することで、各ポインタの差がほぼ一定に開いた状態を維持しつつ、コンテンツ再生等の動作が実行されることとなる。
上述したリングバッファ7AへのデータDの蓄積動作がコンテンツAAAからコンテンツBBBを経てコンテンツCCCまで完了すると、リングバッファ7Aにおいては、図4(b)に示す状態で書込みポインタPW及び読み出しポインタPRが進行している。
そして、第一の態様に係るリングバッファ7Aにおける記憶制御動作では、ハードディスク8への保存が不可とされているコンテンツCCCのデータDCCCの次に当該リングバッファ7Aに記憶されるべきデータDDDDは、従来のようにデータDCCCが記憶されているリングバッファ7Aの領域に続く領域ではなく、当該データDCCCが記憶されているリングバッファ7Aの領域自体に上書き記憶される。よって、当該データDDDDの記憶が完了した後のリングバッファ7Aは、図4(c)に示すように、元のデータDCCCが記憶されていた領域に当該データDDDDが記憶されており、これによりハードディスク8への保存が不可とされているデータDCCCはリングバッファ7A上から消失する。
これ以降は、当該データDDDDが記憶されたリングバッファ7A上の領域に続けて(換言すれば、データDDDDに対して上書きされることなく)、ハードディスク8への保存が認められているコンテンツEEEのデータDEEEが受信順に順次記憶され、デコーダ3に出力されていくことになる。このとき、読み出しポインタPRは書込みポインタPWの後を追って、書込みポインタPWと同様に、データDCCCの末尾まで進行したところで、データDDDDの先頭位置まで戻って、再び進行することになる。
(II)記憶制御動作の第二の態様について
次に、実施形態に係る記憶制御動作の第二の態様について、図5を用いて説明する。なお、以下の説明では、上記図3において示した各コンテンツAAA乃至EEEが順次放送されているものとする。また、以下に説明する第二の態様は、各コンテンツAAA乃至EEEのうちいずれか一つのコンテンツの途中から受信を開始した場合のリングバッファ7Aにおける記憶制御動作を説明するものである。
すなわち、図5(a)に示すように、端末装置Tにおいて、コンテンツAAAの放送開始後においてその途中から受信を開始した場合、当該受信を開始した以降のコンテンツAAAのデータDAAAが受信順に蓄積されていくと共に、デコーダ3に対してその蓄積順に出力される(図5(a)破線矢印参照)。
このとき、当該リングバッファ7Aにおいては、図4で示した場合と同様にして書込みポインタPWの値が時計回りにインクリメントされていくと共に、読み出しポインタPRの値も、当該出力に伴って上記書込みポインタPWを追いかけるように時計回りにインクリメントされていく。
そして、上述したリングバッファ7AへのデータDの蓄積動作がコンテンツAAAの受信開始以降について完了すると、次に受信されるコンテンツBBBのデータDBBBは、先に(途中から)記憶されたデータDAAAが記憶されているリングバッファ7Aの領域に上書き記憶される。よって、当該データDBBBの記憶が完了した後のリングバッファ7Aは、図5(b)に示すように、元のデータDAAAが記憶されていた領域に当該データDBBBが記憶されており、これによりその全てが記憶されたのではないデータDAAAはリングバッファ7A上から消失する。
これ以降は、当該データDBBBが記憶されたリングバッファ7A上の領域に続けて(換言すれば、データDBBBに対して上書きされることなく)、コンテンツCCC以降の各コンテンツに対応するデータDが受信順にリングバッファ7A内に順次記憶され、デコーダ3に出力されていくことになる。
次に、上記図3乃至図5を用いて説明した実施形態に係るリングバッファ7Aにおける記憶制御を実現すべく、CPU2を中心として実行される動作について、上記第一の態様及び第2の態様に夫々相当する分を纏めて図6を用いて説明する。
実施形態に係る端末装置Tが放送局Bに接続されると、図6に示すように、RAM7内のリングバッファ7A以外の揮発性領域に設定されている判定フラグを初期化(すなわち、その値を「0」)とする。
ここで、当該判定フラグとは、以下に説明する動作において、あるコンテンツのデータDをハードディスク8に転送して保存させることが可能か否かの判定を行ったか否かを示すフラグであり、その値が「1」であるときはその時に保存判定対象となっていたデータDに対して保存するか否かの判定が既に行われたことを示し、その値が「0」であるときは当該判定が未だ行われていないことを示している。
判定フラグの初期化が完了したら、次にリングバッファ7Aにおける空き領域の先頭部分に先頭アドレスマーカを設定し(ステップS2)、外部インターフェース1を介してデータDを受信し(ステップS3)、その受信したデータDをリングバッファ7Aにおける上記先頭アドレスマーカ以降の領域に順次記憶させる(ステップS4)。
次に、当該データDの受信中においては、当該データDにより構成されるコンテンツにおける最終データを受信してリングバッファ7Aに記憶させたか否かが常に監視されている(ステップS5)。そして、当該ステップS5の判定において最終データの受信及び記憶が未だ完了していないときは(ステップS5;N)、データDの受信及び記憶を継続しつつその記憶されたデータDを記憶順にリングバッファ7Aからデコーダ3へ転送する(ステップS8)。
そして、当該データDの転送中においては、上記最終データまでデコーダ3に転送したか否かが常に監視されており(ステップS9)、最終データの転送が未だ完了していないときは(ステップS9;N)、次に、当該転送中のデータDが、データDにおけるヘッダHとしてのデータであるか、或いは配信データBDとしてのデータであるかを確認する(ステップS12)。
これにより、転送中のデータDがヘッダHとしてのデータであるときは(ステップS12;ヘッダ)、その内容(特に保存許可フラグの内容)を確認し(ステップS13)、上記判定フラグの値を「1」とした上で(ステップS14)、上記ステップS13の確認において確認された保存許可フラグの内容が「保存可能」であるか「保存不可」であるかを判定する(ステップS15)。これにより、当該保存許可フラグの内容が「保存可能」であるときは(ステップS15;可)、現在そのデータDを転送中のコンテンツの属性が「保存可能」である旨を図示しないRAM7内のリングバッファ7A以外の揮発性領域に記憶させ(ステップS16)、後述するステップS22に移行する。
一方、ステップS15の判定において、判定(ステップS15)した保存許可フラグの内容が「保存不可」であったときは(ステップS15;不可)、現在そのデータDを転送中のコンテンツの属性が「保存不可」である旨を上記RAM7内のリングバッファ7A以外の揮発性領域に記憶させ(ステップS17)、後記ステップS22に移行する。
他方、ステップS12の判定において、転送中のデータDが配信データBDとしてのデータであるときは(ステップS12;コンテンツデータ)、上記判定フラグの現在の値を確認する(ステップS18)。そして、その値が「0」、すなわち、現在転送中のデータDに対応するコンテンツについてハードディスク8への保存が可能であるか否かの判定を未だ行っていないときは(ステップS18;Y)、コンテンツを途中から受信したことを示しているので、上記ステップS17の処理と同様にして「保存不可」である旨を上記揮発性領域に記憶させ(ステップS19)、その後当該判定フラグの値を「1」として(ステップS20)後述するステップS21に移行する。
更に、ステップS18の判定において、判定フラグの現在の値が「1」、すなわち、現在転送中のデータDに対応するコンテンツについてハードディスク8への保存が可能であるか否かの判定が完了しているときは(ステップS18;N)、そのままその転送中のコンテンツに対応するデータDを復号して再生する(ステップS21)。
そして、上記最終データの受信及びリングバッファ7Aへの記憶が完了したか否かを確認し(ステップS22)、その受信及び記憶が完了していないときは(ステップS22;N)、上記ステップS3に戻って現在受信中のデータDの受信を継続し、その受信及び記憶が完了しているときは(ステップS22;Y)、次の新たなコンテンツを受信すべく、上記ステップS1に戻って上述してきた動作を当該新たなコンテンツ(のデータD)に対して繰り返す。
一方、上記ステップS5の判定において、当該最終データの受信及び記憶が完了したときは(ステップS5;Y)、その受信完了したコンテンツに対応するデータDが「保存可能」であるか「保存不可」であるかを、上記揮発性領域において確認する(ステップS6)。これにより、当該データDが「保存可能」であるときは(ステップS6;可)ステップS8に移行し、一方、「保存不可」であるときは(ステップS6;不可)、現在の書込みポインタPwの値を、上記ステップS2において設定したアドレスマーカにより示される値まで戻し(ステップS7。図4(b)及び同(c)参照)、上記ステップS8に移行する。
他方、上記ステップS9の判定において、当該最終データの転送が完了したときは(ステップS9;Y)、上記ステップS6と同様にしてその転送完了したコンテンツに対応するデータDが「保存可能」であるか「保存不可」であるか確認する(ステップS10)。これにより、当該データDが「保存可能」であるときは(ステップS10;可)ステップS12に移行し、一方、「保存不可」であるときは(ステップS10;不可)、現在の読み出しポインタPRの値を、上記ステップS2において設定したアドレスマーカにより示される値まで戻し(ステップS11。図4(b)及び同(c)参照)、上記ステップS12に移行する。
そして、上述したステップS13乃至S17の処理又はステップS18乃至S21の処理のいずれかを実行した後、再度上記最終データの受信及びリングバッファ7Aへの記憶が完了したか否かを確認し(ステップS22)、その受信及び記憶が完了していないときは(ステップS22;N)、上記ステップS3に戻って現在受信中のデータDの受信を継続し、その受信及び記憶が完了しているときは(ステップS22;Y)、次の新たなコンテンツを受信すべく、上記ステップS1に戻って上述してきた動作を当該新たなコンテンツ(のデータD)に対して繰り返す。
以上図6に示した一連の処理が連続して受信される各コンテンツを対象として夫々繰り返して実行されることで、図4及び図5で示した各形態の記憶制御が実現される。
なお、図6のフローチャートにより示される処理は、使用者が現在視聴している放送チャネルを他の放送チャンネルに変更した場合、又は端末装置T自体の電源をオフとした場合に終了する。
以上、夫々説明したように、実施形態に係る端末装置T及びこれを含む放送システムSの動作によれば、ハードディスク8への保存が不可とされているコンテンツ(以下、単に不可コンテンツと称する)の次に受信したコンテンツのデータDを、リングバッファ7Aにおいて当該不可コンテンツが記憶されている領域上に上書き記憶されるので、結果的に当該不可コンテンツがリングバッファ7A内から消失することで当該不可コンテンツがリングバッファ7A以外に記憶されることを防止できると共に、不可コンテンツ以外のコンテンツ(すなわち、ハードディスク8に転送して保存することが可能なコンテンツ)がリングバッファ7A内に記憶されている期間を結果的に長くすることができる。
従って、不可コンテンツ以外のコンテンツの活用を選択するための期間を長くとることができる。
また、不可コンテンツである旨を示す保存許可フラグが予め付加されて放送され、当該保存許可フラグを用いて不可コンテンツであるか否かが判定されるので、簡易且つ確実な方法で不可コンテンツと他のコンテンツとを区分することができる。
更に、その一部のみが受信されているコンテンツを上記不可コンテンツと同様に判定するので、全体を再生することができない(換言すれば途中から又は途中までしか再生することができない)コンテンツを上書きすることで、全体を受信済みのコンテンツを長くリングバッファ7A内に記憶させることができる。
更にまた、全てのコンテンツを再生することで、受信したコンテンツを逐次受信順に視聴することができる。
また、不可コンテンツ以外のコンテンツをハードディスク8内に蓄積してそれを後ほど再生することができる。
なお、上述した実施形態では、ツリー型のネットワークにより構成される放送システムSに対して本発明を適用した場合について説明したが、これ以外に、本発明は、他の形態のネットワーク(例えば、いわゆるピア・ツー・ピア型のネットワーク)を用いて放送されるコンテンツを、そのネットワークに属する端末装置Tにおいて受信する場合に広く適用することができる。
更に、上述した図6に示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを実施形態に係るCPU2として機能させることも可能である。