JP4704905B2 - インピーダンス整合装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波電源と負荷との間に設置されるインピーダンス整合装置に関するものである。
高周波電源を電源に用いる装置として、例えば、エッチング、スパッタリングあるいは薄膜形成等の半導体製造工程で用いられるプラズマ処理装置がある。このプラズマ処理装置に効率良く電力を供給するには、高周波電源と負荷に相当するプラズマ処理装置との間でインピーダンスの整合をとることが重要である。そこで、高周波電源と負荷との間にインピーダンス整合装置を設置している。
一般的なインピーダンス整合装置は、高周波電源と負荷との間に設置されるインピーダンス整合器と、高周波電源の出力インピーダンスや供給電力の電圧と電流との位相差を検出するセンサと、センサで検出した検出値に基づいて整合器を制御するコントローラとを備えている(特許文献1参照)。これらのうち整合器は、可変コンデンサや可変インダクタなどの可変インピーダンス素子が組み込まれた整合回路を備えている。そして、各可変インピーダンス素子は、コンデンサ容量値やインダクタンス値を調節するための調節機構を備えており、調節機構でこれらの値を調節することでインピーダンス整合を行うことができるようになっている。コントローラは、センサで検出した検出値に基づいて、可変インピーダンス素子の調節機構を制御し、インピーダンス整合を行うようになっている。
特許第3007435号公報
ところで、近年の半導体製造では、プラズマ処理工程をこれまでに比べて短時間で行う場合がある。このようなことから、インピーダンス整合装置としては、より短時間でインピーダンス整合を行うことができるものが必要になってきている。また、従来のインピーダンス整合装置では、可変インピーダンス素子の調節機構を動作させてインピーダンス整合を行っているときに、インピーダンス整合を行おうとしているにもかかわらず、インピーダンス整合の状態を一時的に悪くしてしまうことがあった。具体的には、高周波電源からの入射波の電圧と負荷側からの反射波の電圧との比である反射係数が大きくなって給電効率が低下していくようなことが生じることがあった。一時的とはいえ、インピーダンス整合動作中に、インピーダンス整合の状態が悪化することは好ましくない。特に、インピーダンス整合の悪化がインピーダンス整合動作の初期段階で生ずると、反射係数が1(全反射)になって負荷側の装置に悪影響を及ぼすおそれがあり好ましくない。例えば、負荷側の装置がプラズマ処理装置である場合に、インピーダンス整合の状態が悪化して全反射の状態になると、プラズマ処理の途中でプラズマ処理装置が停止するという不具合が生ずる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、より迅速にインピーダンス整合を行うことができるインピーダンス整合装置を提供することを課題とする。
以上のような目的を達成するために、本発明は、以下のようなものを提供する。
すなわち、請求項1に記載の本発明は、高周波電源と負荷との間に設置されており、複数の可変インピーダンス素子を含む整合回路を備えたインピーダンス整合器と、前記高周波電源が接続される前記インピーダンス整合器の入力端の高周波電流および高周波電圧を検出する電流電圧検出手段と、検出された高周波電流および高周波電圧を低周波電流および低周波電圧に変換する低周波変換手段と、前記低周波変換手段により変換された低周波電流および低周波電圧を基づいて、前記高周波電流と高周波電圧との位相差を求める位相差演算手段と、前記低周波変換手段により変換された低周波電流および低周波電圧に基づいて、入力端から負荷側の回路の入力インピーダンスを求め、さらに当該入力インピーダンスと前記位相差演算手段により求めた位相差とに基づき、前記入力インピーダンスの抵抗成分の値およびリアクタンス成分の値とを求める入力インピーダンス演算手段と、前記可変インピーダンス素子のインピーダンスの調節に用いられる調節部の現在位置を検出する位置検出手段と、前記入力インピーダンスの抵抗成分の値およびリアクタンス成分の値と、前記複数の可変インピーダンス素子それぞれの前記調節部の現在位置とに基づいて、当該複数の調節部のそれぞれについて目標調節位置を演算する目標調節位置演算手段と、前記複数の調節部ごとに備えられており、前記調節部を現在位置から目標調節位置に到達させる調節動作を行う駆動手段とを有することを特徴とするインピーダンス整合装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインピーダンス整合装置であって、各可変インピーダンス素子の調節部について行われる前記調節動作が同時に行われるように各駆動手段を動作させる駆動制御手段を備え、前記駆動制御手段は、各駆動手段による前記調節動作が全て同時に開始して同時に終了するように各駆動手段を動作させるものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のインピーダンス整合装置であって、前記低周波変換手段は、前記低周波電流および低周波電圧について2乗値を求める乗算手段を備えるものであり、前記入力インピーダンス演算手段は、得られた2乗値を用いて前記入力インピーダンスを求めるものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のインピーダンス整合装置であって、全ての可変インピーダンス素子の調節部について、現在位置から目標調節位置に到達させたときに各可変インピーダンス素子に印加される電流値および電圧値を、前記調節動作が行われる前にあらかじめ算出する電流電圧演算手段と、前記電流値および電圧値を用いて、各可変インピーダンス素子における電流および電圧が定格電流または定格電圧以下になるように前記高周波電源の出力を制御する電源出力制御手段と、を備えているものである。
請求項1に記載の発明では、インピーダンス整合を行うために、高周波電流および高周波電圧を変換して得られた低周波電流および低周波電圧に基づいて、入力端から負荷側の回路の入力インピーダンスと、高周波電流と高周波電圧との位相差とを求める。このように求めた入力インピーダンスと位相差とに基づき、入力インピーダンスの抵抗成分の値およびリアクタンス成分の値とを求める。そして、入力インピーダンスの抵抗成分の値およびリアクタンス成分の値と、複数の可変インピーダンス素子それぞれの調節部の現在位置とに基づいて、各可変インピーダンス素子の調節部の目標調節位置を予め目標調節位置演算手段で求め、求めた目標調節位置に各可変インピーダンス素子の調節部を移動させるようになっているので、迅速にインピーダンス整合を行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、各可変インピーダンス素子の調節部を目標調節位置に移動させるとき、各調節部の調節動作を同時に行うようになっている。このように、各調節部の調節動作を同時に行うと、調節動作中にインピーダンス整合の状態が悪化することを防止できる。インピーダンス整合の状態の悪化が防止されれば、負荷側の装置に悪影響が及ぶことが防止され、装置停止などが防止される。また、全ての調節部についての調節動作が同時に開始して同時に終了する。このように動作させると、調節動作中、インピーダンス整合の状態を、漸次、インピーダンス整合がとれた状態に近づけることができる。各調節部の調節動作が個別に行われる時間があっても、この時間が短ければ、負荷側の装置に悪影響が及ぶことは防止される。ただし、短時間であっても各調節部の調節動作を個別に行うと、一時的にインピーダンス整合の状態が悪くなって反射係数が大きくなることがある。この点、本発明のように、調節動作を同時に開始し同時に終了させるようにすれば、インピーダンス整合の状態が悪化することがより確実に防止される。また、全ての調節動作が同時に終了するので、調節動作終了と同時に、インピーダンス整合が行われた状態が得られる。
請求項3に記載の発明では、乗算手段によって低周波電流および低周波電圧の2乗値を求め、求めた2乗値を用いて入力インピーダンスを求める。このように、インピーダンス整合を行うための演算に用いられる電流信号や電圧信号として、2乗値信号を用いるようにすると、2乗値信号を求めるときに電流信号や電圧信号が増幅される。また、2乗値信号を用いると、絶対値を示す信号を用いる場合と比べて、信号のS/N比が高くなるという利点が得られる。したがって、このような信号の値を用いると、目標調節位置などを高い精度で求めることができ、高い精度で目標インピーダンス整合を行うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、電流電圧演算手段によって、各可変インピーダンスにおける電流値および電圧値を予め求めることができる。そして、求めた電流値や電圧値が各可変インピーダンス素子の定格電流または定格電圧以下になるように、高周波電源の出力を制御できる。このような制御を行うと、各可変インピーダンス素子に過剰な電流が流れたり、過剰な電圧が印加されたりすることが防止され、インピーダンス整合装置に故障などの不具合が生ずることが防止される。
以下、本発明の実施形態であるインピーダンス整合装置について図面を用いて詳細に説明する。各図面に付した符号は、同一の機能を有するものは同一とした。
図1に示されるように、インピーダンス整合装置10は、高周波電源Aと負荷(本実施形態ではプラズマ処理装置)Bとの間に設置されるものであり、高周波電源Aを接続する入力端10aと、負荷Bを接続する出力端10bを備えている。そして、インピーダンス整合装置10は、その入力端10aと出力端10bとの間に位置するインピーダンス整合器11と、高周波電源Aの電流Iおよび電圧Vを検出する電流電圧センサ12と、検出された高周波の電流Iや電圧Vを示す高周波信号を低周波信号に変換して出力すると共に位相差φ(°)を示す位相差検出信号φa,φbを出力するミキサ低周波変換器(低周波変換手段、以下、単にミキサ)13a,13bと、ミキサ13a,13bからの信号に基づいてインピーダンス整合器11を制御するオートマッチングコントローラ(以下、コントローラ)14とを備えている。
インピーダンス整合器11は、高周波電源Aの出力インピーダンスZoutとインピーダンス整合器11の入力インピーダンスZinとのインピーダンス整合を行うものであり、インピーダンス整合回路20と、整合回路20に備わる各可変コンデンサ(可変インピーダンス素子)21,22の静電容量を調節する駆動部30とを備えている。なお、入力インピーダンスZinとは、図1を使って説明すると、インピーダンス整合回路20の入力端10aより負荷側の回路全体のインピーダンスのことである。
インピーダンス整合回路20は、いわゆる逆L型の回路であり、第1可変コンデンサ21および第2可変コンデンサ22と、所定のインダクタンスを有するコイル23とを有している。両可変コンデンサ21,22は、それぞれ、静電容量調整用の調節軸21a,22aを備えており、調節軸21a,22aを回転させることによって各可変コンデンサ21,22の静電容量を調節できるようになっている。そして、静電容量を調節することでインピーダンス整合を行うようになっている。
駆動部30は、2台のパルスモータ(以下、単にモータと称する)31,32を備えている。第1モータ31は、第1可変コンデンサ21の調整軸21aに接続されており、第2モータ32は第2可変コンデンサ22の調整軸22aに接続されている。各モータ31,32のドライバ31a,32bはコントローラ14に接続されており、コントローラ14からドライバ31a,32aに制御信号を送って各モータ31,32を作動させるようになっている。そして、モータ31,32を作動させて調節軸21a,22aの回転位置を所望位置に位置させることで、各可変コンデンサ21,22の静電容量を調整できるようになっている。また、各モータ31,32にはモータ31,32の回転位置を検出するエンコーダ31b,32bが備えられており、このエンコーダ31b,32bによって、各調節軸21a,22aの現在位置を検出できるようになっている。なお、各調節軸21a,22aに直接エンコーダを設置して各調節軸21a,22aの現在位置を直接検出するようにしても良い。
電流電圧センサ12は、インピーダンス整合装置10の入力端10aにおいて高周波電源Aから供給される高周波の電流IHおよび電圧VHを検出する。検出された高周波電流IHを示す信号および高周波電圧VHを示す信号は電流電圧センサ12からミキサ13a,13bに入力される。
図2に示されるように、ミキサ13aは、電流電圧センサ12で検出された高周波の電流IHの信号が入力される低周波変換器(Wideband Multiplier)41と、低周波変換器41から出力された電流信号や電圧信号から低周波の電流ILの信号を取り出す第1ローパスフィルタ42と、第1ローパスフィルタ42から出力された低周波の電流ILの信号に基づいて位相差検出信号φaを生成して出力するゼロクロスディテクタ43と、第1ローパスフィルタ42から出力された低周波の電流ILの信号に基づいて、これらの2乗値ILを示す信号を生成し出力する乗算器(Multiplier)44と、乗算器44から出力された電流および電圧の2乗値ILを示す信号を平滑化する第2ローパスフィルタ45と、を有する。
低周波変換器41では、高周波電流IHの信号を低周波電流ILの信号に変換する。そして、最終的には、電流の2乗値ILを示す信号を平滑化した信号がミキサ13aからコントローラ14に入力される。
低周波変換器41には、高周波電流IHの信号や高周波電圧VHの信号の他に、低周波変換の際に用いられるローカル信号Lsがローカル信号発信器40aから入力される。低周波変換器41は、高周波電流IHについて処理する場合は、電流電圧センサ12で検出された電流IHを示す信号およびローカル信号Lsに基づいて、高周波電流IHの周波数(13.56MHz)とローカル信号Lsの周波数(13.57MHz)との差に等しい周波数(具体的には10kHz)の電流ILの信号を第1ローパスフィルタ42に向けて出力する。また、高周波電圧VHについて処理する場合は、高周波電圧VHの信号およびローカル信号Lsとに基づいて、高周波電圧VHの周波数とローカル信号Lsの周波数との差に等しい周波数の電圧VLの信号を第1ローパスフィルタ42に向けて出力する。
第1ローパスフィルタ42は、入力された信号のうち、周波数の低い方の電流および電圧、すなわち低周波電流ILの信号と低周波電圧VLの信号を取り出してゼロクロスディテクタ43に出力する。ゼロクロスディテクタ43は、入力された低周波電流ILの信号および低周波電圧VLの信号を基に位相差φを検出するためのパルス信号すなわち位相差検出信号φaを生成しコントローラ14に出力する。また、第1ローパスフィルタ42は、取り出した低周波電流ILの信号を乗算器44に向けて出力する。
乗算器44は、第1ローパスフィルタ42から低周波電流ILの信号が入力されると、低周波電流の2乗値ILを示す電流2乗値信号を求め、この信号を第2ローパスフィルタ45に出力する。また、低周波電圧VLを示す信号が入力されると、低周波電圧の2乗値VLを示す電圧2乗値信号を求め、この信号を第2ローパスフィルタ45に出力する。
第2ローパスフィルタ45は、電流2乗値ILを示す信号を平滑化してコントローラ14に出力する。
また、図2に示されるミキサ13bは、電流電圧センサ12で検出された高周波の電圧VHの信号が入力されるものである。ミキサ13bの回路はミキサ13aの回路とは別個のものであるが、回路構成はミキサ13aと同様である。つまり図示していないが、ミキサ13bは、ミキサ13a同様、低周波変換器と、低周波変換器から出力された電圧信号から低周波の電圧VLの信号を取り出す第1ローパスフィルタと、低周波の電流VLの信号に基づいて位相差検出信号φbを生成して出力するゼロクロスディテクタと、低周波の電流VLの信号に基づいて、これらの2乗値VLを示す信号を生成し出力する乗算器と、乗算器から出力された電流および電圧の2乗値VLを示す信号を平滑化する第2ローパスフィルタとを有するものである。なお、ミキサ13bの動作については、ミキサ13aの動作と同様であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
なお、各2乗値IL,VLを示す信号はいずれも常に0以上の値をとるものであり平滑化可能な信号である。電流信号や電圧信号について平滑化信号を求める方法としては、本実施形態のように2乗値信号を用いる方法以外に、たとえば、電流信号や電圧信号の値の絶対値を示す信号を用い、これを平滑化する方法が考えられる。ただし、この方法を用いるよりも、2乗値信号を用いる方法の方が、信号のS/N比が高くなるという利点が得られる。したがって、このような信号の値を用いると、目標調節位置などを高い精度で求めることができ、高い精度で目標インピーダンス整合を行うことができる。なお、これは2乗値信号を用いる場合だけでなく、偶数乗して得られる偶数乗値信号を用いる場合にもあてはまる。
図3に示されるように、コントローラ14は、入力インピーダンスZin(Ω)の抵抗成分Rin(Ω)およびリアクタンス成分Xin(Ω)を算出する入力インピーダンス演算部50と、ゼロクロスディテクタ43から入力された位相差検出信号φa,φbに基づいて求められる位相差φを算出する位相差演算部(位相差演算手段)51と、抵抗成分Rinおよびリアクタンス成分Xinの値と、各調節軸21a,22aの現在位置とに基づいて、各調節軸21a,22aの目標調節位置Pt1,Pt2を求める目標調節位置演算部52とを有する。そして、各可変コンデンサ21,22の調節軸21a,22aの位置を、目標調節位置演算部52で算出された目標調節位置Pt1,Pt2に位置させることでインピーダンス整合を行うようになっている。
まず、入力インピーダンス演算部50について説明する。
入力インピーダンス演算部50では、まず、ミキサ13a,13bから入力された電流の2乗値ILを示す信号および電圧の2乗値VLを示す信号を基に、次の式1を用いて入力インピーダンスZinを求める。ここで、入力インピーダンスZinは、インピーダンス整合回路20の入力端10aより負荷側の回路全体についてのインピーダンスのことである。
Figure 0004704905
そして、算出したインピーダンスZinおよび位相差演算部51で算出される位相差φ(=|φa―φb|)に基づいて、次の式2および式3より、入力インピーダンスZinの抵抗成分Rin(Ω)およびリアクタンス成分Xin(Ω)を求める。求められた抵抗成分Rinおよびリアクタンス成分Xinは目標調節位置演算部52に入力される。
Figure 0004704905
次に、目標調節位置演算部52について説明する。
ここでは、インピーダンス整合回路20の入力端10aから負荷B側の回路まで含んだ回路(以下、対象回路)と、その等価回路を考える。対象回路としては、図4(A)に示されるように、第2コイル24および第3コイル25を有するものを考える。このように、回路中の寄生成分を考慮すると、インピーダンス整合精度をより高めることができる。
目標調節位置演算部52は、各調節軸21a,22aの現在位置Pr1,Pr2を示す信号をエンコーダ31b,32bから受信する。そして、第1可変コンデンサ21の調節軸21aの現在位置Pr1に基づいて、第3コイル25の現在のリアクタンス成分XL3と、第1可変コンデンサ21全体の現在のリアクタンス成分X(L1+C1)を求め、第2可変コンデンサ22の調節軸22aの現在位置Pr2に基づいて、第2可変コンデンサ22の現在の静電容量C2を求める。
調節軸21aの現在位置に基づいて第3コイル25のリアクタンスXL3を求める方法としては、種々の方法が考えられる。本実施形態では、予め作成しておいたXL3テーブルを参照してリアクタンスXL3を求める方法を用いた。ここでいう第3コイル25のリアクタンスXL3とは、インピーダンス整合回路20の第2可変コンデンサ22およびこれより負荷B側の回路を全て切り離した状態で測定されるインピーダンスのことである。なお、XL3テーブルは、コントローラ14の図示されていないメモリに記憶されており随時参照できるようになっている。
XL3テーブルは例えば次のように作成される。まず、インピーダンス整合回路20を用意し、この回路から第2可変コンデンサ22およびこれより負荷B側の回路を全て切り離す。この状態で、第1可変コンデンサ21の調節軸21aのポジションを全可動範囲について5%刻みで移動させ、ポジションごとに、インピーダンスアナライザなどを用いてインダクタンスなどの値を測定する。そして、測定した値を基にリアクタンスXL3を算出してXL3テーブルを作成する。調節軸21aのポジションの刻みは5%に限られるものではなく10%以下であれば良い。5%以下にすることで、より正確にリアクタンスXL3を求められるようにしても良い。
第1可変コンデンサ21全体のリアクタンス成分X(L1+C1)についても、リアクタンスXL3と同様、予め作成してメモリに記憶させておいたX(L1+C1)テーブルを参照してリアクタンスX(L1+C1)を求める方法を用いた。
X(L1+C1)テーブルは例えば次のように作成される。まず、インピーダンス整合回路20において、第2可変コンデンサ22およびこれより負荷B側の回路を全て切り離す。この状態で、第1可変コンデンサ21の調節軸21aの位置だけを全可動範囲について5%刻みで移動させ、ポジションごとに、インピーダンスアナライザなどを用いてインダクタンスなどの値を測定する。そして、測定した値を基にリアクタンスXL1およびXC1を算出し、これらの値からリアクタンス成分X(L1+C1)を算出してX(L1+C1)テーブルを作成する。なお、リアクタンスXC1は、第1可変コンデンサ21のリアクタンス成分のことであり、リアクタンスXL1は、第1可変コンデンサ21に寄生するリアクタンス成分のことである。
第2可変コンデンサ22の静電容量C2についても、リアクタンスXL2と同様、予め作成してメモリに記憶させておいたC2テーブルを参照して静電容量C2を求める方法を用いた。
C2テーブルは例えば次のように作成する。まず、インピーダンス整合回路20において、第2可変コンデンサ22のみを残し、その他を切り離す。この状態で第2可変コンデンサ22の調節軸22aのポジションのみを全可動範囲について5%刻みで移動させ、ポジションごとに、インピーダンスアナライザなどを用いてリアクタンスなどの値を測定する。そして、測定した値を基に静電容量C2を算出してC2テーブルを作成する。なお、各値を求めるときに用いられる上記各テーブルの作成方法は、上記方法に限られず、インピーダンス整合装置の制御に用いることができるテーブルを作成できる方法であればよい。また、各値を求める方法は、テーブルを用いる方法に限られず、計算による方法など、種々の方法を用いることができる。
そして、算出した第2可変コンデンサ22の静電容量C2を基に、下記の式4を用いて、第2可変コンデンサ22のリアクタンスXC2を求める。
Figure 0004704905
このようにして、第3コイル25のリアクタンス成分XL3と、第1可変コンデンサ21全体のリアクタンス成分X(L1+C1)と、第2可変コンデンサ22の静電容量C2と、第2可変コンデンサ22のリアクタンスXC2とを求めると、図4(A)の回路の等価回路として、図4(B)に示されるような等価回路を考える。図4(B)の等価回路のリアクタンス成分Xinは、コイル23のリアクタンス成分XL3と、これ以外の部分に起因するリアクタンス成分X1との和である。これより次の式5が導かれる。
Figure 0004704905
図4(B)の等価回路における抵抗成分Rinとリアクタンス成分X1について、シリアル・パラレル変換を行うと、パラレル変換後の等価回路は図4(C)に示されるようなものになる。図4(C)の等価回路における抵抗成分Rp、リアクタンス成分Xpは、次の式6および式7から求められる。
Figure 0004704905
ここで、図4(C)の等価回路中のリアクタンス成分Xpは、第1可変コンデンサ21自体のリアクタンス成分XC1と、第1可変コンデンサ21の寄生リアクタンス成分XL1と、これら以外の部分に起因するリアクタンス成分Xp’との和であると考えると、図4(C)の等価回路は図4(D)に示される等価回路になる。図4(D)の等価回路におけるリアクタンス成分Xp’は、次の式8から求められる。
Figure 0004704905
そして、図4(D)の等価回路における抵抗成分Rpとリアクタンス成分Xp’について、パラレル・シリアル変換を行うと、シリアル変換後の等価回路は、図4(E)に示される等価回路になる。図4(E)の等価回路における抵抗成分Rs、リアクタンス成分Xs’は、次の式9および式10から求められる。
Figure 0004704905
ここで、図4(E)の等価回路中のリアクタンス成分Xs’は、第2可変コンデンサ22のリアクタンス成分XC2と、これ以外の部分に起因するリアクタンス成分Xs’’との和であると考えると、図4(E)の等価回路は、図4(F)に示されるような等価回路になる。そして、図4(F)の等価回路におけるXs’’は、次の式11から求められる。
Figure 0004704905
このように、目標調節位置演算部52は、両可変コンデンサ21,22の調節軸21a,22aの現在位置Pr1,Pr2に基づいて、現在の第3コイル25のリアクタンス成分XL3、第1可変コンデンサ21全体のリアクタンス成分X(L1+C1)および第2可変コンデンサ22の静電容量C2を求めると共に、第2可変コンデンサ22のリアクタンスXC2や、各等価回路の所定部分のリアクタンス成分X1,Xp,Xp’,Xs’,Xs’’や抵抗成分Rp,Rsを求める。
これらの値を求めると、続いて以下に説明するように、目標調節位置演算部52は、第2可変コンデンサ22について目標静電容量C2[50]を求め、第1可変コンデンサ21について目標リアクタンス成分X(L1+C1)[50]を求める。なお、高周波電源Aから出力される電力など、高周波では一般に特性インピーダンス50Ωが基準になっているので、ここでも50Ωになるように整合を行う場合について説明する。また、符号「X(L1+C1)[50]」などに付されている「[50]」は、インピーダンス整合が行われた状態での値であることを示すものである。
インピーダンス整合が行われた状態では、図4(B)の等価回路に基づいて考えると、次の式12および式13が成り立つ。
Figure 0004704905
そして、図4(C)に示される等価回路について、インピーダンス整合が行われている状態とは、図5(A)に示される状態である。この図5(A)の等価回路における抵抗成分Rp[50]およびリアクタンス成分Xp[50]は、次の式14および式15から求められる。
Figure 0004704905
また、図4(E)の等価回路について、インピーダンス整合が行われている状態とは、図5(B)に示される状態である。そして、図5(B)の等価回路の抵抗成分Rsおよびリアクタンス成分Xs’[50]について、シリアル・パラレル変換を行うと、パラレル変換後の等価回路は、図5(C)に示される等価回路になる。そして、図5(C)の等価回路については、次の式16が成り立つ。この式16からXs’[50]の値を求めることができる。
Figure 0004704905
この式16で求めたリアクタンス成分Xs’[50]の値を、式11に適用する。式11ではリアクタンス成分Xs’’の値が求められているので、次の式17と式18が得られる。そして、式17から、インピーダンス整合条件として、第2可変コンデンサ22のリアクタンス成分XC2[50]の値が求められる。他方、式18からは、第2可変コンデンサ22の目標静電容量C2[50]が求められる。
Figure 0004704905
また、図5(B)の等価回路では、次の式19および式20が成り立つ。
Figure 0004704905
そして、式19から求められるリアクタンス成分Xp’[50]を式20に適用することで、インピーダンス整合条件として、第1可変コンデンサ21のリアクタンス成分X(L1+C1)[50]が求められる。
このようにして、インピーダンス整合条件を求めると、目標調節位置演算部52は、リアクタンス成分X(L1+C1) [50]の値に関して、X(L1+C1)テーブルを参照することで、第1可変コンデンサ21の調節軸21aの目標調節位置Pt1を求める。また、式18で求めた目標静電容量C2[50]の値に関してC2テーブルを参照することで、第2可変コンデンサ22の調節軸22aの目標調節位置Pt2を求める。
このように、本実施形態のインピーダンス整合装置10では、各調節軸21a,22aの目標調節位置Pt1,Pt2を予め求め、求めた目標調節位置Pt1,Pt2に調節軸21a,22aを移動させるようになっているので迅速にインピーダンス整合を行うことができる。
また、本実施形態では、一方の可変コンデンサについて、まず目標静電容量を求め、これに基づいて調節軸の目標調節位置を求める。続いて、他方の可変コンデンサについて、目標となるリアクタンス成分に基づいて調節軸の目標調節位置が求める。具体的に説明すると、まず第2可変コンデンサ22の調節軸22aの目標調節位置Pt2を、目標静電容量C2[50]に基づいて求め、続いて第1可変コンデンサ21の調節軸21aの目標位置を、目標となるリアクタンス成分X(L1+C1)[50]の値に基づいて求めている。このようにすれば、正確な目標調節位置をより確実に求めることができる。
また、図3に示されるように、コントローラ14は、各調節軸21a,22aの目標調節位置Pt1,Pt2までの回転角度を算出する調節量演算部53と、各調節軸21a,22aの調節速度S1,S2を算出する調節速度演算部54と、算出した調節速度S1,S2に基づいて各パルスモータ31,32のドライバ31a,32aに向けて出力するパルス信号を生成するパルス信号生成部55と、を有する。
調節量演算部53は、両可変コンデンサ21,22の調節軸21a,22aの現在位置Pr1,Pr2を示す現在位置信号をエンコーダ31b,32bから受信すると共に、両可変コンデンサ21,22の調節軸21a,22aの目標調節位置Pt1,Pt2を示す目標調節位置信号を目標調節位置演算部52から受信する。そして、各調節軸21a,22aの現在位置Pr1,Pr2と目標調節位置Pt1,Pt2との差から各調節軸21a,22aの調節量すなわち調節回転角度D1,D2を求め、求めた調節回転角度D1,D2を示す調節量信号を調節速度演算部54に出力する。
調節速度演算部54は、各可変コンデンサ21,22の調節軸21a,22aの回転速度S1,S2を求めるものである。
調節速度演算部54は、まず、各調節軸21a,22aの調節回転角度D1,D2を示す調節量信号を調節量演算部53から受信する。そして、各調節軸21a,22aの調節回転角度D1,D2の大小を比較する。
ここで、両調節軸21a,22aについて、調節回転角度D1,D2が等しい(D1=D2)場合は、両調節軸21a,22aの調節時の回転速度S1,S2を同じにする(S1=S2)。なお、調節回転角度D1,D2を回転速度S1,S2で割った値が調節所要時間T1,T2であるので、この場合、調節所要時間T1,T2が同じになる(T1=T2)。また、インピーダンス整合をより迅速に行うためには、できるだけ高速が好ましいので、本実施形態では、調節軸21a,22aの回転に用いるモータ31,32の最高速度を利用できる回転角速度としている。
他方、調節回転角度D1,D2が異なる場合は、いずれか一方の調節軸の回転角速度を先に決定し、決定した一方の調節軸の回転角速度に基づいて、残る調節軸の回転角速度を決定する。
例えば、調節回転角度D1がD2より大きい場合であれば、まず、第1可変コンデンサ21の調節軸21aについて調節時の回転角速度S1を決定する。回転角速度S1としては任意の速度を決定できるが、できるだけ高速が好ましいので、本実施形態では、モータ31の最高速度を利用する回転角速度としている。
次に、調節回転角度D1および回転角速度S1に基づいて、回転角速度S1で調節軸21aを回転させた場合の調節所要時間T1を求める。そして、調節軸21aの調節所要時間T1と、他方の調節軸22aの調節所要時間T2が同じになるように、調節所要時間T1(=T2)および調節回転角度D2に基づいて、調節軸22aにおける調節時の回転角速度S2を決定する。このようにすれば、両調節軸21a,22aの調節動作を同時に開始させたとき、調節回転角度D1,D2が同じであると否とに拘わらず、常に両調節軸21a,22aによる調節動作を同時に終了させることができる。
パルス信号生成部55は、両調節軸21a,22aについて求められた調節時の回転角速度S1,S2を示す回転角速度信号を、調節速度演算部54から受信する。そして、各調節軸21a,22aを先に求めた回転角速度S1,S2で回転できるように、各モータ31,32のドライバ31a,32aに出力するためのパルス信号を生成し、このパルス信号を各モータ31,32のドライバ31a,32aに出力する。このとき、両モータ31,32の動作開始時期が同時になるように、パルス信号の出力開始時期を同時にする。
さらに、コントローラ14は、整合度を判定する整合度判定部56と、電流電圧演算部57と、高周波電源出力演算部58とを有する。
整合度判定部56では、高周波電源Aからの出力インピーダンスZoutと、インピーダンス整合装置10の入力端10aにおける入力インピーダンスZinとの整合の程度を判定する。整合度を判定する方法としては、種々の方法が考えられるが、本実施形態では、入力インピーダンスZinの抵抗成分Rinおよびアクタンス成分Xinの値に基づいて、インピーダンス整合度を判定している。つまり、インピーダンス整合が行われた状態では「Rin=50(Ω)」および「Xin=0(Ω)」が成り立つので、整合度判定部56は、この条件を利用してインピーダンス整合度を判定している。判定をする場合、「Rin=50」および「Xin=0」が成り立つ場合のみ、インピーダンス整合が行われていると判定しても良いが、所定の範囲内の値であればインピーダンス整合が行われていると判定してもよい。例えば、「48<Rin<52」および「−2<Xin<2」の条件を満たせばインピーダンス整合が行われていると判定することができる。
なお、反射波の電圧と高周波電源Aからの入射波の電圧との比である反射係数を用いてインピーダンス整合度を判定してもよい。この場合、反射波を検出する機器を設置するか、高周波電源に備わるパワーディテクタなどの電力検出器で測定した反射波を検出することになるので装置構成が複雑化する。この点、上述したような判定方法を用いれば、反射波を検出する必要がなく、インピーダンス整合装置の装置構成の簡略化が可能である。
電流電圧演算部57は、各可変コンデンサ21,22について、インピーダンス整合が行われた状態における整合時電流I1,I2,I3および整合時電圧Vc1,Vc2を、次の式21および式22を用いて求める(図4(A)参照)。
Figure 0004704905
インピーダンス整合が行われた状態では、進行波電力Pfは高周波電源Aの出力に一致する。したがって、式21および式22を用いることで、インピーダンス整合が行われた状態における両可変コンデンサ21,22の整合時電流I1,I2および整合時電圧Vc1,Vc2を求めることができる。
高周波電源出力演算部58は、各可変コンデンサ21,22に印加される整合時電圧Vc1,Vc2を示す信号を電流電圧演算部57から受け取ると、まず、整合時電圧Vc1,Vc2が各可変コンデンサ21,22の耐圧以下であるか判断する。その結果、両整合時電圧Vc1,Vc2とも耐圧以下である場合は、高周波電源Aの電圧は調整しない。他方、両整合時電圧Vc1,Vc2のうちの一方または両方が耐圧を超えている場合は、両整合時電圧Vc1,Vc2が耐圧以下になる電源出力を求める。なお、この電源出力は、上記式21および式22の関係を用いることで求められるので、ここではその説明を省略する。
そして、インピーダンスの整合動作を行う前または整合動作と同時に、求めた高周波電源出力を示す信号を高周波電源Aのコントローラ(図示せず)に向けて出力する。高周波電源Aでは、受信した信号に基づいて高周波電源Aの出力を求めた高周波電源出力になるように調節する。なお、高周波電源Aがこのような動作を可能にするコントローラを備えていない場合は、高周波電源Aの出力を制御するためのコントローラを、インピーダンス整合に用いるコントローラ14とは別に備えても良いし、このコントローラ14で高周波電源Aの出力を制御しても良い。
このようなインピーダンス整合装置10では、次のようにしてインピーダンス整合が行われる。
電流電圧センサ12において電流および電圧を検出すると、電流電圧センサ12は、電流値および電圧値を示す電流信号Iおよび電圧信号Vをミキサ13a,13bに出力する(ステップ1)。
ミキサ13a,13bは、受信した電流信号Iおよび電圧信号Vを低周波信号に変換する。そして、電流および電圧の2乗値IL,VLと、位相差φを示す位相差検出信号φa,φbをコントローラ14の入力インピーダンス演算部50に出力する(ステップ2)。
コントローラ14の入力インピーダンス演算部50は、電流の2乗値ILおよび電圧の2乗値VLに基づいて入力インピーダンスZinを求めると共に、位相差φと入力インピーダンスZinに基づいて入力インピーダンスZinの抵抗成分Rinおよびリアクタンス成分Xinを求め、求めた抵抗成分を示す信号Rinおよびリアクタンス成分を示す信号Xinを目標調節位置演算部52に出力する(ステップ3)。
目標調節位置演算部52には、各可変コンデンサ21,22の調節軸21a,22aの現在位置を示す現在位置信号Pr1,Pr2がエンコーダ31b,32bから入力されている。
この目標調節位置演算部52は、まず、両可変コンデンサ21,22の調節軸21a,22aの現在位置Pr1,Pr2に基づいて、XL3テーブル、X(L1+C1)テーブルおよびC2テーブルを参照して、第3コイル25のリアクタンス成分XL3、第1可変コンデンサ21全体のリアクタンス成分X(L1+C1)および第2可変コンデンサ22の静電容量C2を求める。そして、これらの値に基づいて(式4〜式11参照)、第2可変コンデンサ22のリアクタンスXC2や、各等価回路の所定部分のリアクタンス成分X1,Xp,Xp’,Xs’,Xs’’や抵抗成分Rp,Rsを求める。さらに、求めたこれらの値に基づいて(式12〜式20参照)、第2可変コンデンサ22の目標静電容量C2[50]および第1可変コンデンサ21の目標リアクタンス成分X(L1+C1)[50]を求める(ステップ4)。
そして、目標調節位置演算部52は、求めたリアクタンス成分X(L1+C1)[50]の値に関して、X(L1+C1)テーブルを参照することで、第1可変コンデンサ21の調節軸21aの目標調節位置Pt1を求め、目標静電容量C2[50]の値に関して、C2テーブルを参照することで、第2可変コンデンサ22の調節軸22aの目標調節位置Pt2を求める(ステップ5)。
調節量演算部53は、各調節軸21a,22aの現在位置Pr1,Pr2と目標調節位置Pt1,Pt2とに基づいて、各調節軸21a,22aの調節回転角度D1,D2を求める(ステップ6)。
調節速度演算部54は、各調節軸21a,22aの調節回転角度D1,D2に基づいて、両調節軸21a,22aの調節所要時間T1,T2が同じになるように、各調節軸21a,22aの調節時の回転角速度S1,S2を求める(ステップ7)。
また、電流電圧演算部57は、調節動作開始前に、調節動作終了時に各可変コンデンサ21,22に印加される整合時電圧を予測する(ステップ8)。
高周波電源出力演算部58は、調節動作開始前に、各可変コンデンサ21,22の整合時電圧が各可変コンデンサ21,22の耐圧を超える場合、各可変コンデンサ21,22に印加される整合時電圧が各可変コンデンサ21,22の耐圧(定格電圧)以下になる高周波電源出力を求める。そして、求めた高周波電源出力の値を示す信号を、調節動作開始前または調節動作開始時に高周波電源Aに出力する(ステップ9)。これにより、各可変コンデンサ21,22それぞれにおける調節動作後の電流および電圧を定格電流または定格電圧以下に維持することができる。
そして、パルス信号生成部55は、各調節軸21a,22aの回転角速度S1,S2に基づいて、各モータ31,32のドライバ31a,32aに出力する制御用のパルス信号を生成し、生成したパルス信号を各モータ31,32のドライバ31a,32aに出力する(ステップ10)。このとき、両ドライバ31a,32aへのパルス信号の出力開始時期を一致させる。
ドライバ31a,32aは、パルス信号生成部55からのパルス信号を受けると、各モータ31,32を動作させる。これにより、可変コンデンサ21,22についての調節動作が開始する(ステップ11)。各モータ31,32は、調節動作中、調節速度演算部54で求められた回転角速度S1,S2で回転する。調節所要時間は同じになるように設定されており、両モータ31,32は同時に停止する。つまり、モータ31,32による各可変コンデンサ21,22の調節動作が同時に終了する(ステップ12)。
整合度判定部56は、調節動作終了後、入力インピーダンスZinの抵抗成分Rinおよびリアクタンス成分Xinの値に基づいて、インピーダンス整合度を判定する(ステップ13)。ここでは、「48Ω<Rin<52Ω」および「−2Ω<Xin<2Ω」の条件を満たすとき、インピーダンス整合が行われていると判断する。そして、整合度を判定すると、インピーダンス整合動作を再び最初から実行する。
以上のように、本発明では、各調節軸21a,22aの目標調節位置Pt1,Pt2を予め求めておき、求めた目標調節位置Pt1,Pt2に各調節軸21a,22aを移動させるようにしているので迅速にインピーダンス整合を行うことができる。また、各調節軸21a,22aを目標調節位置Pt1,Pt2に移動させる調節動作を全調節軸21a,22aについて同時に行うと、調節動作中にインピーダンス整合の状態が悪化することを防止できる。インピーダンス整合の状態の悪化を防止できれば、全反射状態になるようなことが防止されるので、例えば負荷側の装置がプラズマ処理装置である場合、プラズマ処理装置による処理中にプラズマ処理装置を停止させてしまうようなことを防止できる。
本実施形態のインピーダンス整合装置を示す構成図である。 図1のインピーダンス整合装置のミキサを示す構成図である。 図1のインピーダンス整合装置のコントローラの機能を示すブロック図である。 コントローラの目標調節位置演算部における処理の説明に用いる回路図である。 コントローラの目標調節位置演算部における処理の説明に用いる回路図である。 図1のインピーダンス整合装置の動作を説明するフローチャートである。
符号の説明
A 高周波電源
10a 入力端
B 負荷
10b 出力端
21,22 可変コンデンサ(可変インピーダンス素子)
20 インピーダンス整合回路
11 インピーダンス整合器
12 電流電圧センサ(電流電圧検出手段)
13a,13b ミキサ低周波変換器(低周波変換手段)
14 コントローラ(駆動制御手段)
50 入力インピーダンス演算部(入力インピーダンス演算手段)
43 ゼロクロスディテクタ(位相差演算手段)
21a,22a 調節軸(調節部)
31b,32b エンコーダ(位置検出手段)
52 目標調節位置演算部(目標調節位置演算手段)
31,32 パルスモータ(駆動手段)
31a,32a ドライバ(駆動制御手段)
44 乗算器(乗算手段)
57 電流電圧演算部(電流電圧演算手段)
58 高周波電源出力演算部(電源出力制御手段)

Claims (4)

  1. 高周波電源と負荷との間に設置されており、複数の可変インピーダンス素子を含む整合回路を備えたインピーダンス整合器と、
    前記高周波電源が接続される前記インピーダンス整合器の入力端の高周波電流および高周波電圧を検出する電流電圧検出手段と、
    検出された高周波電流および高周波電圧を低周波電流および低周波電圧に変換する低周波変換手段と、
    前記低周波変換手段により変換された低周波電流および低周波電圧に基づいて、前記高周波電流と高周波電圧との位相差を求める位相差演算手段と、
    前記低周波変換手段により変換された低周波電流および低周波電圧に基づいて、入力端から負荷側の回路の入力インピーダンスを求め、さらに当該入力インピーダンスと前記位相差演算手段により求めた位相差とに基づき、前記入力インピーダンスの抵抗成分の値およびリアクタンス成分の値とを求める入力インピーダンス演算手段と、
    前記可変インピーダンス素子のインピーダンスの調節に用いられる調節部の現在位置を検出する位置検出手段と、
    前記入力インピーダンスの抵抗成分の値およびリアクタンス成分の値と、前記複数の可変インピーダンス素子それぞれの前記調節部の現在位置とに基づいて、当該複数の調節部のそれぞれについて目標調節位置を演算する目標調節位置演算手段と、
    前記複数の調節部ごとに備えられており、前記調節部を現在位置から目標調節位置に到達させる調節動作を行う駆動手段と
    を有することを特徴とするインピーダンス整合装置。
  2. 前記複数の調節部のそれぞれについて行われる前記調節動作が同時に行われるように、前記複数の調節部ごとに備えられている複数の前記駆動手段を動作させる駆動制御手段を備え、
    前記駆動制御手段は、前記複数の駆動手段のそれぞれによって行われる前記調節動作の全てが同時に開始して同時に終了するように前記複数の駆動手段を動作させるものである、請求項1に記載のインピーダンス整合装置。
  3. 前記低周波変換手段は、前記低周波電流および低周波電圧について2乗値を求める乗算手段を備えるものであり、前記入力インピーダンス演算手段は、得られた2乗値を用いて前記入力インピーダンスを求めるものである、請求項1に記載のインピーダンス整合装置。
  4. 前記複数の調節部の全てを現在位置から目標調節位置に到達させたときに前記複数の可変インピーダンス素子のそれぞれに印加される電流値および電圧値を、前記調節動作が行われる前にあらかじめ算出する電流電圧演算手段と、
    前記電流値および電圧値を用いて、前記複数の可変インピーダンス素子のそれぞれにおける電流および電圧が定格電流または定格電圧以下になるように前記高周波電源の出力を制御する電源出力制御手段と、を備えている請求項1に記載のインピーダンス整合装置。
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