JP4704701B2 - フロロカーボン被膜の製造方法、それを用いた工業材料又は工業製品並びに、その工業材料を用いた装置 - Google Patents

フロロカーボン被膜の製造方法、それを用いた工業材料又は工業製品並びに、その工業材料を用いた装置 Download PDF

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Description

本発明は、基材の表面にフロロカーボン層を形成する方法および形成された材料、製品、例えば、流体に接触する部位である接流体部を備えた製品に関する。
さらに、本発明は、基材の表面にフッ素を含有しないモノマーを付着後、簡易な重合方法を採用することによって、基材の表面にフッ素を含有しないポリマーを得、さらにこのポリマーとフッ素系のガスとを反応させることによって、重合フロロカーボン層を形成する方法に関するものである。
さらに、本発明は、重合フロロカーボン層が形成された材料、製品、例えば、流体に接触する部位である接流体部を備えた製品に関する。
従来、超純水や薬品等の供給やこれらを使用する化学反応、洗浄等の処理を行う装置は、四フッ化エチレン重合体(テフロン(登録商標))等の耐薬品性を有する樹脂材料が一般的に用いられている。
しかしながら、四フッ化エチレン重合体等の樹脂材料は薬品蒸気を透過させてしまう為、例えば、半導体製造工場内部の薬品供給配管に使用すると、薬品蒸気が工場建物内に揮散し、半導体デバイスに悪影響を与えたり、製造装置を腐蝕してトラブルを引き起こすという問題がある。
また、薬液を使用した場合においても、四フッ化エチレン重合体等の樹脂材料からなる配管製品は、一般に機械的強度が弱いために、例えば、配管の破損等で薬液が漏洩することも懸念されている。
上記樹脂製品の欠点を補うために、半導体製造工場等では、樹脂製配管を二重にして蒸気の揮散や万一の破損に備えている。
しかしながら、構造上、二重配管にできない箇所等はそのまま使用しているのが実状である。
一方、金属表面に耐食性を付与する方法としてフロロカーボン被膜を形成する方法がある(例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3、参照)。この特許文献1に開示された方法は、金属表面のニッケルリンめっきを施した後、フッ化ニッケル層を形成しその表面にカーボン層を形成した後、フッ化ガスによりカーボン層をフッ素化し、フロロカーボン被膜を形成する方法である。
しかしながら、特許文献1による技術において、ニッケルリンめっきは微細な構造体には施すことができない。さらに、フッ化ニッケル層、カーボン層、フロロカーボン層を形成するために非常に高温に加熱する必要がある。
また、特許文献1においては、カーボン処理時に室温〜400℃(好ましくは200〜370℃)で処理を行っている。このような高温で工場内を数キロメートルにわたって施工された配管内部を処理することなどは現実的に不可能であり、処理可能な形状に制約が生じる。
また、特許文献2による方法は、金属配管内表面に直接フッ素樹脂を堆積させる方法であり、このフッ素樹脂の平滑表面を得るために、フッ素樹脂を堆積した後、加熱処理し、ローラ等でフッ素樹脂表面を押しつぶして平滑な表面を形成している。
しかしながら、特許文献2の技術によれば、例えば曲げ加工が施された配管や、微細な配管等には適用できないことが明らかである。即ち、中空物体であって、その壁面が入口から目視できない部分に成膜することができない。
更に、特許文献3には、基盤金属材料の表面にフッ化不動態膜を有し、このフッ化不動態膜の表面に静電粉体塗装によりフッ素樹脂膜を形成する技術が開示されている。このフッ素樹脂を備えた材料は、フッ素樹脂膜で腐食性ガスや腐食性液体からの浸食を抑制し、さらに、フッ素樹脂を透過してくる腐蝕性ガス成分があった場合においても、フッ化不動態膜で浸食を抑制する技術である。
この特許文献3に開示された静電粉体塗装技術は、塗装面に微細なフロロカーボン粉末を吹き付けて吸着させた後、400℃近辺まで加熱してフロロカーボン粉末を溶融させて被膜を形成する技術である。しかし、特許文献3による静電粉体塗装技術では、塗装可能な形状に制約がある。
また、金属製品(部品、部材などを含む)において、耐摩耗性、耐食性の改善などのため、表面を改質する方法は多数存在している。その中で、表面処理皮膜にフッ素系の樹脂膜を施すことが提案されている。
たとえば、金属表面に静電粉体塗装によって、ポリテトラフルオロエチレンのごときフッ素炭素樹脂を被膜する方法がある。しかしながらこの方法では、腐食が生じたり、膜の剥離等の不具合が生じる問題があり、薄い表面処理皮膜に強固なフッ素系の樹脂膜を施すことは困難とされている(特許文献4、参照)。
そこで、特許文献4においては、フルオロカーボン鎖を有するフッ素系モノマーを含浸させ、次いでこの表面処理説に低エネルギー電子線を照射することによりフッ素の重合体薄膜を成膜する方法が記載されている。しかしながらこの方法では、高価な電子線照射装置が必要であり、この電子線照射装置は、真空チャンバーにあるリニアフィラメントに高圧電流を通すことにより熱電子を放出させ、この電子を電子加速器により加速して、カーテン状の高速の電子ビームにし、被処理物の含浸面にカーテン状に照射するものであるため、簡易な方法とは言い難い。さらに、この方法では、カーボン鎖を有するフッ素系モノマーとして、パーフルオロアルキルエチルメタクリレート(ペルフルオロアルキルエチルメタクリレートとも称される)を使用する。しかしながら、このようなパーフルオロアルキルエチルメタクリレートモノマーの製造は非常に困難である為、パーフルオロアルキルエチルメタクリレートモノマー自体の入手が困難で、かつ非常に高価なものであり、実用的であるとは言い難い。
一方、特許文献5によれば、フッ素を含有しないモノマーを付着後に、不活性ガスとフッ素含有ガスとの混合ガスの雰囲気中に置き、大気圧近傍の圧力下で、該基材表面金属電極間に電圧を印加して発生した放電プラズマを接触させ基材表面にフッ素を含む層を形成する方法が提案されている。しかしながらこの方法によれば、フッ素含有ガスとの反応時に電圧を印加して発生した放電プラズマを使用するため、非常に危険を伴う。さらに、この反応を行うためには、高価な放電プラズマ放電装置が必要である。
また、金属表面にフロロカーボン被膜を形成する方法は上記以外にも様々提案されているが、従来の技術では、大きさにも制限がある。つまり、上記のような過酷な条件(高温・プラズマ等)で非常に大きな装置にフロロカーボン被膜をコーティングすることは設備(反応炉)的に困難である。また、反応炉を使用しない場合、例えば、エ場内を数キロメートルにわたって施工された配管内部にフロロカーボン被膜処理することなどは現実的に不可能であり、処理可能な形状に制約が生じる。更に、曲げ加工が施された配管や、微細な配管等には適用できないことが明らかである。即ち、中空物体であって、その壁面が入口から目視できない部分に成膜することができない。
ところで、上記以外にも、フロロカーボン被膜の新たな用途として半導体装置の配線間の絶縁膜、層間絶縁膜としての利用が提案されている。例えば、特許文献6には、パーフルオロカーボン蒸気と他のガスを混合して真空チャンバーに導入し、高周波電圧を印加しフロロカーボン被膜を形成する技術が開示されている。
さらに、特許文献6記載の方法によれば、高周波電圧を印加して真空放電を発生させなければフッ素樹脂膜は形成されない。
特開平8−127881号公報 特開平9−85888号公報 特開平11−165375号公報 特開平11−342371号公報(本文) 特開平8−188663号公報 特開2000−357685号公報 Yoshihide Wakayama、Takeshi Ohkawa、Osamu Nakamura、Sadao Kobayashi、Shigetoshi Sugawa、Herzl Aharoni、Tadahiro Ohmi:"The Effect of Organic Compounds Contamination on the Electrical Characteristics of Ultra-thin Gate Oxide Films"、 Extended abstracts of the International Conference on Solid StateDevice and Material、Sendai、2000、p.p.550-551.
そこで、本発明の第1の技術的課題は、壁面が入口から目視できない部分においても成膜可能であり、この方法によって得られたフロロカーボン被膜は、半導体装置の製造に用いられる薬品に対する耐性や耐熱性や機械的強度も優れているフロロカーボン被膜の製造方法とそれを用いた工業材料とを提供することにある。
また、本発明の第2の技術的課題は、薬液蒸気の揮散を防ぎ、また特殊ガス等の腐蝕性ガス並びに薬品に対して充分な耐食性を有するフロロカーボン被膜を備えた材料及び製品とフロロカーボン被膜の製造方法と、その材料を用いた薬液用装置、ガス用装置等の装置を提供することにある。
本発明の第3の技術的課題は、基材の複雑な表面に(フッ素を含有しない)モノマーを付着後、簡易な重合方法を採用することによって、基材の複雑な表面に(フッ素を含有しない)ポリマーを得、さらにこのポリマーとフッ素系のガスとを反応させることによって、重合フロロカーボン被膜を形成する方法を提供することにある。
本発明の第4の技術的課題は、この方法を利用することによって、壁面が入口から目視できない部分においても、重合フロロカーボン被膜を成膜することが可能なフロロカーボン被膜の製造方法と、その材料を用いた薬液用装置、ガス用装置等の装置を提供することにある。
また、本発明の第5の技術的課題は、重合フロロカーボン被膜は、重合させていないものと比べても、耐性・耐熱性に優れた材料が得られるフロロカーボン被膜の製造方法と、その材料を用いた薬液用装置、ガス用装置等の装置を提供することにある。
さらに、本発明の第6の技術的課題は、フロロカーボン被膜を備えた接流体材料を用いた接流体製品を提供することにある。ここで、本発明において、接流体製品とは、気体、液体等の少なくとも一方を含む液体に接触しながら使用される製品であって、化学薬品や溶剤の流雛となる配管、化学薬品や溶剤を一時貯蔵する容器に限らず、これらの配管、容器等の接流体部分を備えたポンプ、排気装置等の流体機械等を呼ぶ。
また、本発明の第の技術的課題は、基材の複雑な表面、例えば、管の屈曲した内面のように中空物体の壁面であって、入口から目視できない部品内面にも重合フロロカーボン被膜を成膜することができるフロロカーボン被膜の製造方法を提供することにある。
また、本発明の第の技術的課題は、特定の方向から眺めて隠れる部分を備えた3次元構造物のその隠れた部位にも均一に重合フロロカーボン被膜を均一に形成できる重合フロロカーボン被膜の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、基材表面に第1の有機物を付着させた後、フッ化ガスを流して前記第1の有機物をフッ化することで、前記基材表面にフロロカーボン被膜を形成することを含み、前記第1の有機物が炭化水素であり、前記第1の有機物は、前記基材表面にフッ素を含有しない有機物モノマーをガス状および/又はミスト状で付着させ、付着させたフッ素を含有しない有機物モノマーをラジカル重合させて、フッ素を含有しない重合した有機物ポリマーからなり、前記フロロカーボン被膜は、重合フロロカーボン被膜からなることを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記フロロカーボン被膜の製造方法において、前記フロロカーボン被膜の形成後に、形成されたフロロカーボン上に第2の有機物を吸着させてフッ化ガスを流すことを一回行うか、または2回以上繰り返すことにより基材表面にフロロカーボン被膜を形成することを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのフロロカーボン被膜の製造方法において、前記第2の有機物が炭化水素であることを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのフロロカーボン被膜の製造方法において、前記フッ化ガスが、フッ素ガスであることを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記フロロカーボン被膜の製造方法において、前記モノマーとしてラジカル重合性の高い有機物モノマーを使用する場合は、開始剤を付着させること無しにラジカル重合を行うことを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのフロロカーボン被膜の製造方法において、前記基材が中空状の物体であり、前記表面が中空内の壁面であって、中空の入口から目視して見えない部分を含むことを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つに記載のフロロカーボン被膜の製造方法によって作製された前記フロロカーボン被膜を薬液貯蔵用装置、薬液配送用装置、又は薬液反応用装置である薬液用装置の接液部の一部に備えていることを特徴とする薬液用装置が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのフロロカーボン品の製造方法によって作製された前記フロロカーボン被膜をガス貯蔵用装置、ガス配送用装置、又はガス反応用装置であるガス用装置の接ガス部の一部に備えていることを特徴とするガス用装置が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのフロロカーボン被膜の製造方法によって作製された前記フロロカーボン被膜を備えていることを特徴とする半導体装置が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのフロロカーボン被膜の製造方法によって製造された前記フロロカーボン被膜を備えていることを特徴とするガス透過膜が得られる。
また、本発明によれば、前記ガス透過膜を使用した脱気モジュールまたはガス添加モジュールからなることを特徴とする気体操作用モジュールが得られる。
また、本発明によれば、気体及び液体の少なくとも一方を含む流体に接触して使用される接流体材料において、基材と、前記基材表面に形成された炭化水素からなる有機物層と、前記有機物層の少なくとも表面に設けられたフロロカーボン層とを備え、前記フロロカーボン層は前記有機物層の表面をフッ化することによって形成され、前記有機物層は、重合炭化水素層からなり、前記フロロカーボン層は、重合フロロカーボン層からなり、前記有機物層は分子量が120から430(C原子数が10−30)の脂肪族炭化水素を含むことを特徴とする接流体材料が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの接流体材料において、前記有機物層は、重合炭化水素層からなり、前記フロロカーボン層は、重合フロロカーボン層からなることを特徴とする接流体材料が得られる。
また、本発明によれば、基材表面の接流体部の少なくとも一部にフロロカーボン被膜を形成してなり、前記フロロカーボン被膜は、前記基材表面にフッ素を含有しない有機物モノマー及び有機物ポリマーの少なくとも一方からなる有機物を吸着させた後、その表面にフッ化ガスを流して前記有機物をフッ化して形成され、
前記有機物は、前記基材表面にフッ素を含有しない有機物モノマーをガス状および/又はミスト状で付着させ、付着させたフッ素を含有しない有機物モノマーをラジカル重合させて、フッ素を含有しない重合した有機物ポリマーからなることを特徴とする接流体材料が得られる。
また、本発明によれば、前記接流体材料において、前記基材表面に形成された前記フロロカーボン被膜の膜厚が1nm以上であることを特徴とする接流体材料が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの接流体材料において、前記フロロカーボン被膜は、重合フロロカーボン被膜からなることを特徴とする接流体材料が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの接流体材料において、前記基材が中空状の物体であり、前記表面が中空内の壁面であって、中空の入口から目視して見えない部分を含むことを特徴とする接流体材料が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの接流体材料を用いたことを特徴とする接流体製品が得られる。
また、本発明によれば、薬液貯蔵用装置、薬液配送用装置、又は薬液反応用装置である薬液用装置の接液部の少なくとも一部に前記いずれか一つの接流体材料を使用したことを特徴とする薬液用装置が得られる。
また、本発明によれば、ガス貯蔵用装置、ガス配送用装置、又はガス反応用装置であるガス用装置の接ガス部の少なくとも一部に前記いずれか一つの接流体材料を使用したことを特徴とするガス用装置が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの接流体材料を使用したことを特徴とする半導体装置が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つに記載の接流体材料を使用したことを特徴とするガス透過膜が得られる。
また、本発明によれば、前記ガス透過膜を備えた脱気モジュールまたはガス添加モジュールからなることを特徴とする気体操作用モジュールが得られる。
また、本発明によれば、前記気体操作用モジュールにおいて、脱気あるいはガスを添加する溶液に純水、水素を含有する純水、オゾンを含有する純水、酸、アルカリもしくは有機物のうち少なくとも一種類を使用することを特徴とする気体操作用モジュールが得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの気体操作用モジュールにおいて、前記気体操作用モジュールは脱気モジュールであり、ガスを脱気する溶液がフッ酸系反応液であることを特徴とする気体操作用モジュールが得られる。
さらに、本発明によれば、前記いずれか一つの気体操作用モジュールにおいて、脱気する溶液の表面張力が72mN/m以下であることを特徴とする気体操作用モジュールが得られる。
本発明によれば、壁面が入口から目視できない部分においても成膜可能であり、この方法によって得られたフロロカーボン被膜は、半導体装置の製造に用いられる薬品に対する耐性や耐熱性や機械的強度も優れているフロロカーボン被膜の製造方法とそれを用いた工業材料とを提供することができる。
また、本発明によれば、薬液蒸気の揮散を防ぎ、また特殊ガス等の腐蝕性ガス並びに薬品に対して充分な耐食性を有するフロロカーボン被膜を備えた材料及び製品とフロロカーボン被膜の製造方法と、その材料を用いた薬液用装置、ガス用装置等の装置を提供することができる。
また、本発明によれば、基材の複雑な表面に(フッ素を含有しない)モノマーを付着後、簡易な重合方法を採用することによって、基材の複雑な表面に(フッ素を含有しない)ポリマーを得、さらにこのポリマーとフッ素系のガスとを反応させることによって、重合フロロカーボン被膜を形成する方法を提供することができる。
また、本発明によれば、本発明の上記方法を利用することによって、壁面が入口から目視できない部分においても、重合フロロカーボン被膜を成膜することが可能なフロロカーボン被膜の製造方法と、その材料を用いた薬液用装置、ガス用装置等の装置を提供することができる。
また、本発明によれば、重合フロロカーボン被膜は、重合させていないものと比べても、耐性・耐熱性に優れた材料が得られるフロロカーボン被膜の製造方法と、その材料を用いた薬液用装置、ガス用装置等の装置を提供することができる。
また、本発明によれば、フロロカーボン被膜を備えた接流体材料を用いた接流体製品を提供することができる。
また、本発明によれば、基材の複雑な表面、例えば、管の屈曲した内面のように中空物体の壁面であって、入口から目視できない部品内面にも重合フロロカーボン被膜を成膜することができるフロロカーボン被膜の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、特定の方向から眺めて隠れる部分を備えた3次元構造物のその隠れた部位にも均一に重合フロロカーボン被膜を均一に形成できる重合フロロカーボン被膜の製造方法を提供することができる。
まず、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明に係るフロロカーボン被膜を備えた材料は、基材の表面に有機物を含むガスを流して、基材表面に脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素等の有機物を吸着させた後、この吸着した有機物の表面にフッ化ガスを流して、有機物と反応させフロロカーボン被膜に転換する方法である。ここで、本発明に使用される基材は特に限定されないが、例えば、金属、セラミック、樹脂等が好適に使用される。
また、本発明では、有機物が炭化水素であることが好ましく、また、フッ化ガスは、フッ素を含有するガスが用いられるが、フッ素ガス等のフッ化作用のあるガスならば、特に限定されない。
また、本発明のフロロカーボン被膜の製造方法では、特定の方向から眺めて隠れる部分を備えた3次元構造物のの隠れた部位にも均一にフロロカーボン被膜を均に形成できるという利点を備えている。
また、本発明の反応ガス等の気体、エッチング液、洗浄液、有機溶剤等の液体等の少なくとも.一方を含む流体に接触する材料(以下、接流体材料と呼ぶ)は、前記フロロカーボン被膜を基材の流体に接触する部分である接流体部の一部に形成したものである。
本発明において、フロロカーボン被膜を備えた接流体材料の用途は、薬液貯蔵用装置、薬液転送用装置、又は、薬液反応用装置、ガス貯蔵用装置、ガス配送用装置、ガス反応用装置、脱気モジュール等があげられる。また、詳しくは、固体表面処理装置、プロセス処理装置、薬液供給装置、ガス供給装置、並びに部品等も挙げることができる。
また、本発明のその他の用途としては、半導体装置等があげられる。
さらに、本発明のフロロカーボン被膜を備えた接流体材料は、スクリューポンプ等のロータとステータなどの流体に接触する流体機械にも適用することができる。
次に、本発明のフロロカーボン被膜を備えた材料または製品の製造方法について、更に、具体的に説明する。
図1は本発明によるフロロカーボン被膜の製造方法を実施するための装置の一例を示す図である。図2は炭化水素の分子量と吸着量との関係を示す図である。
図1を参照すると、装置10において、有機物を充填する容器2は密閉構造となっており、内部にハイドロカーボン膜を成膜するための原料である有機物312を充填している。充填する有機物3は、脂肪族炭化水素、環状炭化水素等が挙げられるが、有機物3の吸着後に行われるフッ化ガスによるフロロカーボンヘの転換ができるものであれば良く、特に限定されない。
また、充填容器2は室温で使用してもよいが、加温または冷却して使用してもよい。充填容器2にはガス導入配管1とガス排出配管4が設けられており、ガス導入配管1からは、ヘリウム、アルゴン等、有機物3と反応しないガスを導入する。ガス導入配管1から導入されたガスは容器2中で有機物3の蒸気を含んで有機物含有ガス導入配管4からフロロカーボン被膜を形成する装置である反応容器6に導入される。反応容器6に導入された蒸気状有機物は直ちに反応容器6内の基材7表面に吸着される。この際、有機物を蒸気化させる際の温度として10〜300℃、好ましくは25℃〜200℃であり、導入する有機物蒸気の濃度は1PPb〜50%、好ましくは5ppb〜30%、より好ましくは10ppb〜10%である。所定の濃度の有機物蒸気を含むガスを反応容器6に流して、基材7の表面にハイドロカーボン膜を形成させる。この際、所定濃度の有機物蒸気雰囲気下での有機物飽和吸着量まで、吸着させると基材7の表面に均一な厚さの有機物層が形成できる。飽和吸着量まで吸着させることで、全面に均一に有機物層を形成できるばかりではなく、反応容器6を加熱または冷却し、飽和吸着量を制御することで吸着させる有機物暦の厚さをある程度制御することが可能となる。
有機物層を吸着させた後、有機物蒸気の導入を停止し、次いでフッ化ガス導入配管5からフッ化ガスを反応容器6に導入する。フッ化ガスは、有機物と反応してフッ化物を生成するガスであり、例えば、F、NF、CF、SF等が使用できる。また、これらのフッ化ガスが窒素や不活性ガスで希釈されたものであっても良い。また、フッ化ガスは、常圧で流してもよいが、加圧封入してもよい。
また、導入するフッ化ガスは室温でもよいが、加熱してもよい。加熱温度として30〜400、好ましくは、50〜200℃である。処理対象物を加熱してフッ化ガスと有機物層との反応を促進させることもできる。このように加熱させて反応を行うことにより、残存C−H結合が減少し、耐食性に優れたフロローボン膜を得ることが可能となる。さらに導入するフッ化ガス流量・濃度は、反応系の大きさにも影響するが、特に限定されない。但しフッ化ガスと有機物との反応が特に初期段階で一気に起こるため、反応初期は、フッ化ガスの流量・濃度を低く設定することが重要である。その後、時間に応じて、流量・濃度を上昇および/又は下降させても構わない。勿論温度も低から徐々に温度を上げても構わない。一定時間フッ化ガスを有機物層と接触反応させた後、フッ化ガスを不活性ガス等でパージしてフロロカーボン被膜が形成される。このままでも充分なフロロカーボン被膜が形成されるが、厚膜なフロロカーボン被膜を形成するには図2に示すように基材に対する有機物の吸着量は有機物によって異なることから、吸着量が多い有機物を選定してフロロカーボン被膜を形成したり、さらに厚膜なフロロカーボン被膜を形成するには、上記操作を繰り返して、厚い被膜を得ることもできる。さらに有機物を吸着させる時間を延ばすことでも、厚い被膜を得ることが可能となる。
なお、接触流体製品としての配管内面にフロロカーボン被膜を形成させるには、図1の装置の反応容器6の代わりに配管を直接接続すればよい。この場合に、基材7は必要としない。反応容器6としての配管自体が基材となるからである。
図2に示すように、アルカンは、分子量140〜430の間において、吸着されるが、好ましくは分子量200〜400であり、最も好ましいのは、分子量220〜310である。
図3は本発明の実施の形態によるフロロカーボン被膜を備えた多孔質膜を有する脱気モジュールの原理の説明に供せられる部分概略断面図、図4は比較のための、多孔質膜を備えた脱気モジュールの説明に供せられる部分概略断面図である。また、図5は比較のための多孔質膜を備えた脱気モジュールの界面活性剤による影響の説明に供せられる部分概略断面図である。
図3を参照すると、半導体製造等に用いられるエッチング液などの脱気モジュールにおいて、溶存しているO、N等を含む脱気されるべき界面活性剤入りのHF水溶液53と、真空排気される排気室54との境界部に多孔質膜51を配置し、その表面にフロロカーボン被膜11を形成しておくことによって、濡れ性の高いHF水溶液でも真空排気側へHFが漏れるのを防ぐことができる。
これに対して,図4に示すフロロカーボン被膜が形成されていない多孔質膜51のみを境界部に備えた脱気モジュールにおいては、HF溶液等が界面活性剤を含まない場合では、O、N溶溶存ガス成分52のみが、多孔質膜51を通って真空排気窓側へと移動して脱気される。しかし、図5に示すように、HF溶液に界面活性剤を添加すると、多孔質膜51の濡れ性が向上するために、O、N等溶存ガス成分とともにHF水溶液56の成分も多孔質膜51を透過し、真空排気窓側へと、HFが漏れて、一緒に排気されてしまう。
このように、図3に示すフロロカーボン被膜を備えた多孔質膜を有する脱気モジュールは、濡れ性の高いHF水溶液でも真空排気側へHFが漏れるのを防ぐことができる。
図6及び図7は有機物層としてアルカンの代表例であるエイコサン(C2042)をフッ化したフロロカーボン被膜の耐薬品性の―例の説明に供せられる図で、図6はフロロカーボン被膜のフッ酸溶液への浸潰前、図7は希フッ酸溶液への浸漬24時間後のフロロカーボン被膜の夫々のX線光電子分析装置(XPS)の分析結果を示している。図6及び図7に示すように、24時間後にも変化がなく、本発明のフロロカーボン被膜は、耐フッ酸性を備えていることがわかる。
図7においては、耐薬品性として、希フッ酸性を示したが、本発明のフロロカーボン被膜では、強酸にしては、硫酸、塩酸、硝酸等に関しても耐性があるとともに、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の強アルカリに対しても耐性があり、その他に、有機溶剤、クロロホルム、アセトン、アルコール、エーテルに関しても耐性を有することが判明した。また、フロロカーボン被膜では、その他の半導体装置の製造に用いられる薬品に対する耐性や耐熱性や機械的強度も優れていることは勿論である。
以下、本発明の第1の実施の形態による具体例について、図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
(例1)
吸着させる有機物として、シクロオクタン(C16)を用いて、図1に示す装置10を用いてフロロカーボン被膜を形成した。反応容器6としての配管には評価用としてステンレス板の基材7を配置した。
配管1より窒素ガスを充填容器2内の有機物(シクロオクタン)3内を通して、排出配管4から窒素ガスとともに供給し、反応容器6のステンレス板の基材7に有機物3を吸着させた。その後、フッ化ガス導入配管5から反応容器6に、フッ化ガスとして0.95%Fを供給し、3432hPa(3.5kgf/cm)、室温で8時開封止を3回行なうことで、反応容器6内のステンレス板の基材7に吸着させた有機物3のフッ化を行なった。その後、フッ化ガス導入配管5から、窒素ガスを500ml/min.供給し、室温で6時間パージを行なった。
上記のようにして、ステンレス板の表面に1nm程度の厚さのフロロカーボン被膜を形成した後、基材7のステンレス板(サンプル1)を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)により分析を行なった。分析の結果、フロロカーボン被膜のC原子に関して,C−F及びC−F結合が確認されSiO換算で1nm程度のフロロカーボン被膜であることが確認された。
また、その際のフロロカーボン被膜を形成する前のステンレス板、および取り出されたサンプル1の表面のSEM写真を図8及び図9に示す。
図8の被膜形成前のステンレス板と、図9のステンレス板表面の有機物のフッ化を行なったサンプル1の表面のSEMによる観察結果から、図9のサンプル1表面にフロロカーボン被膜が形成されていることが確認された。なお、サンプル1の水に対する接触角を測定した結果、フロロカーボン被膜形成前では90度であった接触角が123度になり、フロロカーボン被膜による撥水性が確認された。
(例2)
吸着させる有機物としてテトラデカン(C1430)を用いて、図1に示す装置10を用いてフロロカーボン被膜を形成した。反応容器6には評価用の基材7としてステンレス板を配置した。
配管3より窒素ガスを容器2内の有機物(テトラデカン)を介して供給し、反応容器6のフッ化不動態処理を行なったステンレス板の基材7に有機物を吸着させた.その後ヽフッ化ガス導入配管5から反応容器6に0.95%Fを供給し、3432hPa(3.5kgf/cm)、60℃で24時開封止を5回行なうことで、反応容器6のフッ化不動態処理を行なったステンレス板の基材7に吸着させた有機物のフッ化を行なった。その後、フッ化ガス導入配管5から、パージ用の窒素ガスを500ml/min.供給し、60℃で6時間パージを行なった。
上記のようにして、1nm程度の厚さのフロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基材(サンプル2)7を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)17により分析を行なった。X徨光電子分析装置(XPS)の分析結果を図10に示す。
図10に示すように、分析の結果、フロロカーボン被膜のC原子に関してC−C、C−H結合の他、C−F,C−F及びC−F結合が確認され、SiO換算で1nm程度のフロロカーボン被膜が確認された。
また、フロロカーボン被膜を形成する前のフッ化処理されたステンレス板、および有機物吸着の後、フッ化を行なって、フロロカーボン被膜を形成したステンレス板(サンプル2)の表面のSEM写真を図11及び図12に示す。なお、サンプル2の水に対する接触角を測定した結果、フロロカーボン被膜形成前では5度以下であった接触角が90度になり、フロロカーボン被膜による撥水性が確認された。
(例3)
吸着させる有機物としてn−エイコサン(n−C2042)を用いて、図1に示す装置10を用いてフロロカーボン皮膜を形成した。反応容器6には評使用の基材7としてステンレス板を配置した。
配管3を150℃に加熱し、窒素ガスを容器2内の有機物(n−エコイサン)を介して供給し、50℃に保持した反応容器6のステンレス板の蕊材に有機物を一時間吸着させた。その後、フッ化ガス導入配管5から反応容器6に10%Fを200ml/minで供給し、10℃/minで80℃まで昇温して、80℃にて45分間反応を行うことで、反応容器6のステンレス板の基材7に吸着させた有機物のフッ化を行った。その後、フッ化ガス導入配管から、パージ用の窒素ガスを500ml/minで供給し、パージを行った。
上記のようにして、フロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基材7を取り出し、X線光電子分扮装置(XPS)により分析を行った。X縁光電子分析詰責(XPS)の分析結果を図13に示す。図13に示すように、図13に示したものと比べ、C−F,C−H,C−Cはかなり減少しており、C−Fのピークが主となっていることがわかる。このフロロカーボン被膜の膜厚は、SiO換算で5Å(0.5nm)であった。
(例4)
吸着させる有機物としてn−トアコンタン(n−C3062)を用いて、図1に示す装置10を用いてフロロカーボン皮膜を形成した。反応容器6には評価用の基材7としてステンレス板を配管した。
配管3を200℃に加熱し、窒素ガスを容器2内の有機物(n−トリアコンタン)を介して供給し、70℃に保持した反応容器6のステンレス板の基材に有機物を一時間吸着させた。その後、フッ化ガス導入配管5から反応容器6に10%Fを200m1/minで供給し、10℃/minで80℃まで昇温して、80℃にて45分間反応を行うことで、反応容器6のステンレス板の基材7に吸着させた有機物のフッ化を行った。その後、フツ化ガス導入配管から、パージ用の窒素ガスを500ml/minで供給し、パージを行った。
上記のようにして、フロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基材7を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)により分析を行った。X線光電子分析装置(XPS)の分析結果を図14に示す。図13同様、C−F2のピークが主となっていることがわかる。このフロロカーボン被膜の膜厚は、SiO換算で3Å(0.3nm)であった。
(例5)
吸着させる有機物としてn−テトラデカン(n−C1430)を用いて、図1に示す装置10を用いてフロロカーボン皮膜を形成した。反応容器6には評価用の基材7としてステンレス板を配置した。
配管3を110℃に加熱し、窒素ガスを容器2内の有機物(n−テトラデカン)を介して供給し、反応容器6のステンレス板の互材に有機物を一時間吸着させた。
その後、フッガス導入配管5から反応容器6に10%Fを200ml/minで供給し、10℃/minで80℃まで昇温して、140℃にて45分間反応を行うことで、反応容器6のステンレス板の基材7に吸着させた有機物のフッ化を行った。その後、フッ化ガス潜入配管から、パージ用の窒素ガスを500ml/minで供給し、パージを行った。
上記のようにして、フロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基材7を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)により分析を行った。X線光電子分析装置(XPS)の分析結果を図15に示す。図13同様、C−Fのピークが主となっていることがわかる。このフロロカーボン被膜の膜厚は、SiO換算で22Å(2.2nm)であった。
また得られたフロロカーボン被膜を、0.5wt%フッ酸−過酸化水素水に24時間、浸漬させ、浸漬前後の膜厚を比較した。その結果を図16に示す。この結果から、湯漬前後で膜厚に変化は認められないことから、フッ酸−過酸化水素水に対しても、耐食性があることを示している。
(例6)
吸着させる有機物としてn−テトラデカン(n−C1430)を用いて、図1に示す装置10を用いてフロロカーボン皮膜を形成した。反応容器6には評価用の基材7としてニッケル板を配置した。
配管3を110℃に加熟し、窒素ガスを容器2内の有機物(nテトラデカンを介して供給し、反応容器6のニッケル板の基材に有機物を二時間吸着させた。
その後、フッ化ガス導入配管5から反応容器6に10%Fを200ml/minで供給し、10℃/minで80℃まで昇温して、140℃にて45分間反応を行うことで、反応容器6のステンレス板の基材7に吸着させた有機物のフッ化を行った。その後、フッ化ガス導入配管から、パージ用の窒素ガスを500ml/minで供給し、パージを行った。
上記のようにして、フロロカーボン被膜を形成した後、ニッケル板の基材7を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)により分析を行った。X線光電子分析装置(XPS)の分析結果を図17に示したが、やはりC−Fのピークが主となっていることがわかる。このフロロカーボン被膜の座席は、SiO換算で115Å(11.5nm)であった。
(例7)
吸着させる有機物としてn−テトラデカン(n−C1430)を用いて、図1に示す装置10を用いてフロロカーボン皮膜を形成した。反応容器6には評価用の基材7としてステンレス板を配置した。
配管3を120℃に加熱し、窒素ガスを容器2内の有機物(n−テトラデカン)を介して供給し、反応容器6のステンレス板の基材に有機物を一時間吸着させた。
その後、フッ化ガス導入配管5から反応容器6に3%Fを200ml/minで供給し、10℃/minで40℃まで昇温して20分間反応させた。さらに、5%にF濃度を上げ20分間供給した後、10%までF濃度を上げ、140℃にて20分間反応を行うことで、反応容器6のステンレス板の器材7に吸着させた有機物のフッ化を行った。その後、フッ化ガス導入配管から、パージ用の窒素ガスを500ml/minで供給し、バージを行った。
上記のようにして、フロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基材7を取り出し、X線光電子分扮装置(XPS)により分析を行った。X線光電子分析装置(XPS)によるフロロカーボン被膜疲表面の分析結果を図18に示す。
図18に示すように、分析の結果、最表面はC−F結合とCF結合のみが観測された。比較として図19に四フッ化エチレン重合体(PTFE)の表面分析結果を示す。また、デプスプロファイル(図20)においては、一部C−C,C−H,C−F結合は認められるものの、深さ方向においても、C−F結合とC−F結合を主,とするフロロカーボン被膜を得ることが出来た。このフロロカーボン被膜の膜厚は、SiO換算で105Å(10.5nm)であった。
さらに、得られたフロロカーボン被膜の断面をSEMにて観察した。結果を図21に示す。その結果、絶対膜厚は2.051μmの膜厚であることが判明した。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、基材に吸着させる有機物の供給、またその有機物をフッ化させるフッ化作用を有する物質の供給が全てガス(気相)で行なわれる。その結果、非常に複雑な形状のものでも、例えば、一方向から眺めた際に隠れる部分を備えた3次元構造物内面においても、フロロカーボン被膜を形成できる。
また、本発明の第1の実施の形態によれば、室温でも基材に吸着させた有機物のフッ化が可能であることから、半導体製造工場などで使用されている非常に長い配管内面へのフロロカーボン被膜の形成が配管施工後に行なえることも十分可能である。
次の本発明の第2の実施の形態について説明する。
本発明の処理方法は、基材の複雑な表面にモノマーを付着させる第1の工程と、付着させたモノマーを簡易に重合させる第2の工程と、重合したポリマーをフッ化させ基材表面にフロロカーボン被膜を形成する第3の工程からなる。さらに、前記構成に加えて、熱処理を施す第4の工程を加えても構わない。これらの工程によって、基材の複雑な表面においても、耐性・耐熱性に優れたフロロカーボン被膜の形成が可能である。
上記基材としては、ステンレス鋼(SUS)を用いることができるが、その他の金属材料(例えばニッケルニッケルリン、Al部材等)、セラミックス(例えばアルミナ等)、ガラス、樹脂材料(例えば、ポリエチレン、アクリル樹脂、ボリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム又はプレート等)も用途に応じて適宜用いることができる。勿論、基材は、複雑な表面で効果をより発揮するが、通常の平滑な表面でも構わない。さらに基材自体が事前に不動態化処理を施されているものを使用しても構わない。
図22は本発明の第2の実施の形態による重合によるフロロカーボン被膜の製造方法を実施するための装置の一例を示す図である。図22を参照すると、反応装置20において、有機物モノマーを充填する容器2は、密閉構造となっており、内部にハイドロカーボン膜を成膜するための原料である有機物モノマー3aを充填している。さらに、開始剤3bを充填する容器2も密閉構造となっており、内部に重合時に使用する原料となる開始剤3bを充填している。図22に示す装置20は、モノマー3a及び開始剤3bを夫々充填した反応容器2を夫々備えている点で、図1に示す装置10とは異なっている。
本発明の第2の実施の形態による第1の工程では、上記基材7の表面にモノマーを付着させる。上記モノマーとしては、ラジカル重合性の骨格を分子内に有するものであれば特に制限はなく、例えば、2重結合や3重結合等の不飽和結合を含有するモノマーが好ましい。
このようなモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、アリルアルコール、酢酸アリル、メタクリル酸メチル等が挙げられ、これらは単独で使用しても二種以上が併用されてもよい。さらに、これらに側鎖が付いたもの(例えば、メタクリル酸メチルの側鎖のメチル基が、n−ブチル基に変わった、メタクリル酸−n−ブテルや、メタクリル酸メチルの側鎖のメチル基が、エチルヘキシルや、n−ドデシル基に変わった、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸n−ドデシル)を使用しても構わない。
また、ベンゼン環のオルト位および/又はバラ位および/又はメタ位に置換基がついていても構わない。
また、使用する開始剤として、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブテルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過酸化ラウロイル等の使用が可能であるが、開始効率あるいは、連鎖移動等を考慮した場合、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。しかし、過酸化物は発熱が大きいので、アゾビスイソブチロニトリルが特に好ましい。
上記、モノマーあるいは開始剤は、そのまま用いても良いし、溶剤に溶かして用いてもよい。溶剤としては、溶解性が高く、連鎖移動定数の小さな有機溶剤、例えば、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、エチルベンゼン、クロロホルム等を用いることができる。
また、充填容器2は、室温で使用してもよいが、加温または冷却して使用してもよい。充填容器2には、夫々ガス導入配管1,1とガス排出配管4,4が設けられており、夫々のガス導入配管1からは、ヘリウム、アルゴン、窒素等、有機物モノマー3と反応しないガスを導入する。さらにこれらは単独で使用しても二種以上が併用されてもよい。
ガス導入配管1から導入されたガスは容器2中で有機物モノマー3の蒸気を含んで有機物モノマー含有ガス導入配管7から、重合被膜を形成する装置(重合後のフロロカーボン膜を形成する装置も兼ねる)である反応容器6に導入される。
上記モノマーあるいは開始剤を基材に付着させる方法としては、モノマー単独、開始剤単独、あるいはモノマーを溶媒に溶かしたもの、開始剤を溶媒に溶かしたものを、ガス状あるいはミスト状で基材表面に付着させる方法を用いる。方法としては、蒸気圧分を不活性ガスで付着させる方法、加熱により蒸気圧を上げて付着させる方法、有機物モノマー、開始剤、あるいはこれらを溶解させた液体に不活性ガスをバブリングさせこれらを基材表面に付着させる方法、有機物モノマー、開始剤、あるいはこれらを溶解させた液体をミスト状にして噴霧する方法を使用することが可能である。勿論混合された状態でも構わない。
その中で蒸気圧分を不活性ガスで付着させる方法について説明すると、重合被膜を形成する装置(重合後のフロロカーボン膜を形成する装置も兼ねる)である反応容器6に導入された蒸気状有機物モノマーは直ちに反応容器6内の基材7表面に吸着される。この際、有機物モノマーを蒸気化させる際の温度として10〜300℃、好ましくは25℃〜200℃である。また、導入する有機物モノマー蒸気の濃度は1ppb〜50%、好ましくは5ppb〜30%、より好ましくは10ppb〜10%である。所定の濃度の有機物モノマー蒸気を含むガスを反応容器6に流して、基材7の表面にハイドロカーボン膜を形成させる。この際、所定濃度の有機物モノマー蒸気雰囲気下での有機物飽和吸着まで、吸着させると器材7の表面に均一な厚さの有機物モノマー層が形成できる。飽和吸着まで吸着させることで、全面に均一に有機物モノマー層を形成できるばかりではなく、反応容器6を加熱または冷却し、飽和吸着量を制御することで吸着させる有機物モノマー層の厚さをある程度制御することが可能となる。
同様に、充填容器5にはガス導入配管4とガス排出配管8が設けられており、ガス導入配管4からは、ヘリウム、アルゴン、窒素等、開始剤3bと反応しないガスを導入する。さらにこれらは単独で使用しても二極以上が併用されてもよい。
ガス導入配管4から導入されたガスは容器2中で開始剤3bの蒸気を含んで開剤含有ガス導入配管8から、重合被膜を形成する装置(重合後のフロロカーボン膜を形成する装置も兼ねる)である反応容器6に導入される。
また、充填容器2は、室温で使用してもよいが、加温または冷却して使用してもよい。
重合被膜を形成する装(重合後のフロロカーボン膜を形成する装置も兼ねる)である反応容器6に導入された蒸気状開始剤は直ちに反応容器6内の基材7表面に吸着される。この際、開始剤を蒸気化させる際の温度として10〜200℃、好ましくは25℃〜100°Cであり、導入する有機物蒸気の濃度は1ppb〜50%、好ましくは5ppb〜30%、より好ましくは10ppb〜10%である。
有機物モノマーと開始剤との付着は、同時に行っても良い。さらに、どちらか一方を先に行い、一方の付着が終了した後で、もう一方を付着させても構わない。またどちらか一方を先に行い、後でもう一方を追加して付着を開始しても構わない。
このままでも充分な重合ハイドロカーボン被膜が形成されるが、厚膜である重合ハイドロカーボン被膜を形成するには、付着量が多い有機物モノマーを選定する、あるいは、発生量を増加させるために発生温度を上げる、付着時間を延ばす等の方法がとられる。また、上記操作を繰り返して、厚い被膜を得ることもできる。
さらに、ラジカル重合性の高い有機物モノマーを使用する場合は、開始剤を付着させること無しに、重合が進行するため、開始剤の付着工程を必ずしも行う必要は無い。
一定時間、有機物モノマーおよび開始剤を付着させた後、有機物モノマーおよび開始剤の導入を停止し、重合被膜を形成する装置である反応容器6を密閉状態とする。
密閉した反応容器6に熱を掛けて重合を開始させる。この時の温度として、室温〜200℃、特に好ましくは35〜100℃である。また重合時間は、1時間〜1000時間、特に好ましくは、24時間〜392時間である。一定時間重合を行った後に、冷却させ、大気を導入することによって、重合を停止させる。
重合停止後、反応容器6に不活性ガスをフローさせ、反応容器6内を完全に置換させる。次いでフッ化ガス導入配管5からフッ化ガスを反応容器6に導入する。
フッ化ガスは、有機物重合体と反応してフッ化物を生成するガスであり、例えば、F、NF、CF、SF等が使用できる。また、これらのフッ化ガスが窒素や不活性ガスで希釈されたものであっても良い。また、フッ化ガスは、常圧で流してもよいが、加圧封入又は大気圧封入してもよい。
また、導入するフッ化ガスは室温でもよいが、加熱してもよい。加熱温度として30〜400℃、好ましくは、50〜200℃である。処理対象物を加熱してフッ化ガスと有機物層との反応を促進させることもできる。このように加熱させて反応を行うことにより、残存C−H結合が減少し、耐食性に優れた重合フロロカーボン膜を得ることが可能となる。さらに導入するフッ化ガス流量・濃度は、反応系、の大きさにも影響するが、特に限定されない。但しフッ化ガスと重合体との反応が特に初期段階で一気に起こるため、反応初期は、フッ化ガスの流量濃度、さらに、フッ化温度を低く設定することが重要である。その後時間に応じて、流量・濃度を上昇および/又は下降させても構わない。勿論温度も低温から徐々に温度を上げても構わない。一定時間フッ化ガスを有機物層と接触反応させた後、フッ化ガスを不活性ガス等でパージして重合フロロカーボン被膜が形成される。また、上記操作を繰り返して、厚い被膜を得ることも可能である。さらに第一の重合フロロカーボン被膜の形成後に、第二の有機物モノマーおよび/又は開始剤を付着させてフッ化ガスを流すことを一回行うか、または二回以上繰り返しても構わない。
本来、有機物モノマーと開始剤との付着を行い、一旦重合させた後にフッ素系ガスとの反応させ、重合フロロカーボン被膜を得ることが出来るが、有機物モノマーと開始剤との付着と同時にフッ素系ガスを流した後に、重合を行っても構わない。
なお、接触流体用(接流体)製品としての配管内面に重合フロロカーボン被膜を形成させるには、図22の装置において反応容器6の代わりに配管を直接接続すればよい。この場合に、基材7は必要としない。反応容器6としての配管自体が基材となるからである。
また、本発明の第2の実施の形態によれば、接流体材料において、基材表面に形成された重合フロロカーボン被膜の膜厚が1nm以上である接流体材料が得られる。耐食性を考慮すると重合フロロカーボン被膜の膜厚は、5μm以上であることが好ましい。
本発明によれば、基材の複雑な表面、例えば、管の屈曲した内面のように中空物体の壁面であって、入口から目視できない部品内面にも重合フロロカーボン被膜を成膜することができる。つまり、前記重合フロロカーボン被膜の製造方法では、特定の方向から眺めて隠れる部分を備えた3次元構造物のその隠れた部位にも均一に里合フロロカーボン被膜を均一に形成できるという利点を備えている。
また、本発明では、前記いずれか一つのフロロカーボン被膜の製造方法によって作製された前記重合フロロカーボン被膜を有する材料は、薬液貯蔵用装置、薬液配送用装置、又は薬液反応用装置である薬液用装置の接液部の少なくとも一部に備えることで、薬液用装置を提供することもできる。
また、本発明では、前記いずれか一つのフロロカーボン被膜の製造方法によって作製された重合フロロカーボン被膜を有する材料は、ガス貯蔵用装置、ガス配送用装置、又はガス反応用装置であるガス用装置の接ガス部の少なくとも一部に備えることで、ガス用装置を提供することができる。
また、本発明では、前記いずれか一つのフロロカーボン被膜の製造方法によって作製された重合フロロカーボン被膜を有する半導体装置を提供することができる。
さらに、本発明のフロロカーボン被膜を備えた接流体材料は、スクリューポンプ等のロータとステータなどの流体に接触する流体機械にも適用することができる。
また、本発明の反応ガス等の気体、エッチング液、洗浄液、有機溶剤等の液体等の少なくとも一方を含む接流体材料は、前記重合フロロカーボン被膜を基材の流体に接触する部分である接流体部の一部に形成したものである。
また、本発明においては、前記いずれか一つのフロロカーボン被膜の製造方法によって作製された重合フロロカーボン被膜を有する工業材料は、ガス透過膜に用いることができる。
また、本発明では、前記ガス透過膜は、脱気モジュールまたはガス添加モジュールからなる気体操作用モジュールにも使用することができる。
また、本発明では、気体及び液体の少なくとも一方を含む流体に接触して使用される接流体材料において、基材と、前記基材表面に形成されたポリマー層と、前記ポリマー層の少なくとも表面に設けられた重合フロロカーボン層とを備え、前記重合フロロカーボン層は前記ポリマー層の表面をフッ化することによって形成された接流体材料を提供することができる。
また、前記気体操作用モジュールにおいて、脱気あるいはガスを添加する溶液に純粋、水素を含有する純水、オゾンを含有する純水、酸、アルカリもしくは有機物のうち少なくとも一種類を使用する気体操作用モジユールを提供することができる。
また、前記いずれか一つの気体操作用モジユールにおいて、前記気体操作用モジュールは脱気モジュールであり、ガスを脱気する溶液がフッ酸系反応液である気体操作用モジュールを提供することができる。
また、本発明の前記いずれか一つの気体操作用モジュールにおいて、脱気する溶液の表面張力が72mN/m以下であることが好ましい。
図23は本発明の第2の実施の形態によるフロロカーボン被膜を備えた多孔質膜を有する脱気モジュールの原理の説明に供せられる部分概略断面図、図24は比較のための、多孔質膜を備えた脱気モジュールの説明に供せられる部分概略断面図である。また、図25は比較のための多孔質膜を備えた脱気モジュールの界面活性剤による影響の説明に供せられる部分概略断面図である。
図23を参照すると、半導体製造等に用いられるエッチング液などの脱気モジュールにおいて、溶存しているO、N等を含む脱気されるべき界面活性剤入りのHF水溶液53と、真空排気される排気室54との境界部に多孔質膜51を配置し、その表面に重合フロロカーボン被膜21を形成しておくことによって、濡れ性の良いHF水溶液でも真空排気側へHFが漏れるのを防ぐことができる。
これに対して、図24に示す重合フロロカーボン被膜が形成されていない多孔質膜51のみを境界部に備えた脱気モジュールにおいては、HF溶液等が界面活性剤を含まない場合では、O、N等溶存ガス成分52のみが、多孔質膜51を通って真空排気室側へと移動して脱気される。しかし、図25に示すように、HF溶液に界面活性剤を添加すると、多孔質膜51の濡れ性が向上するために、O、N等溶存ガス成分とともにHF水溶液56の成分も多孔質膜51を透過し、真空排気側へと、HFが漏れて、一緒に排気されてしまう。
このように、図23に示す重合フロロカーボン被膜を備えた多孔質膜を有する脱気モジュールは、濡れ性の高いHF水溶液でも真空排気側へHFが濡れるのを防ぐことができる。さらに重合させていないフロロカーボン被膜に比べても耐食性を有している。
耐薬品性として、本発明の重合フロロカーボン被膜は、酸に開しては、フッ酸、硫酸、塩酸、硝酸、過酸化水素等、あるいはこれらの混酸に関しても耐性があるとともに、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の強アルカリに対しても耐性があり、その他に、有機溶剤、クロロホルム、アセトン、アルコール、エーテルに関しても耐性を有する。また、重合フロロカーボン被膜では、その他の半導体装置の製造に用いられる薬品に対する耐性や耐熱性や機械的強度も優れていることは勿論である。
以下、本発明の第2の実施の形態の具体例について、図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
(例8)
付着させる有機物モノマーとしてエチルヘキシルメタクリレート(以下HEMAと略す)を、開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略す)を用いて、図22に示す装置20を用いてフロロカーボン被膜を形成した。ステンレス配管の反応容器6の中には、評価用サンプルであるステンレス板の基材7を配置した。
配管1より120℃に加熱した充填容器2内の有機物モノマー(HEMA)3内に窒素ガスを通す。また同時に配管4より70℃に加熱した充填容器2内の開始剤(AIBN)3b内に窒素ガスを通す。このようにして有機物モノマーガスと、開始剤ガスを同時に反応容器6のステンレス板の基材71に30℃で3時間付着させた。その後、反応容器6を密閉状態にした。さらに。反応容器6の温度を70℃に加温して、168時間、重合を行った。
168時間経過後、室温まで冷却させ、反応容器6に大気を導入し、重合を停止させた。
さらに、その後、反応容器内を、窒素ガスに置換し、フッ素系ガス導入配管9から反応容器10に10%Fを200ml/minで供給し、10℃/minで140℃まで昇温して、140℃にて45分間反応を行うことで、反応容器6のステンレス板の基材7に付着後重合させた有機物ポリマーのフッ素化を行った。その後、フッ素系ガス導入配管5から、パージ用の窒素ガスを500ml/minで供給し、パージを行った。
上記のようにして、重合フロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基材7を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)により分析を行った。
図26はX線光電子分析装置(XPS)の分析結果を示す図である。
分析の結果、フロロカーボン被膜のC原子に関して、C−F及びC−F結合が確認された。また、SiO換算で5Å(0.5nm)程度の重合フロロカーボン被膜であることが確認された。
図6はさらに示差熱天秤分析(Tg−DTA)によって分析測定した結果を示す図である。この図6から、モノマーであるHEMAは150℃ですべて蒸発してしまうため、得られたフロロカーボン被膜はポリマーとなっていることが分かる。
以上の結果から、得られた膜は、重合フロロカーボン膜であることが分かった。
また、その際の重合フロロカーボン被膜を形成する前のステンレス板、および例1の実験にて得られたサンプルの表面のSEM写真を図28及び図29に示す。
図28の被膜形成前のステンレス板と、図29の表面のSEMによる観察結果から、図8のサンプル表面に重合フロロカーボン被膜が形成されていることが確認された。なお、このサンプルの水に対する接触角を測定した結果、重合フロロカーボン被膜形成前では90度、20度〜50度であった接触角が118度になり、重合フロロカーボン被膜による撥水性が確認された。
(例9)
付着させる有機物モノマーとしてn一ブチルメタクリレート(以下、BMAと略す)を、開始剤としてAIBNを用いて、例8と同様の反応を行った。
配管1より60℃に加熱した充填容器2内の有機物モノマー(BMA)3a内に窒素ガスを通す。また同時に配管4より70℃に加熱した充填容器2内の開始剤(AIBN)3b内に窒素ガスを通す。このようにして有機物モノマーガスと、開始剤ガスを同時に反応容器6のステンレス板の基材7に50℃で18時間付着させた。その後、反応容器6を密閉状態にした。さらに。反応容器10の温度を70℃に加温して、168時間、重合を行った。
168時間経過後、室温まで冷却させ、反応容器6に大気を導入し、重合を停止させた。
さらにその後、反応容器6内を、窒素ガスに置換し、フッ素系ガス導入配管5から反応容器6に10%Fを200ml/minで供給し、10℃/minで140℃まで昇温して、140℃にて45分間反応を行うことで、反応容器6のステンレス板の基材7に付着後室合させた有機物ポリマーのフッ素化を行った。その後、フッ素系ガス導入配管5から、パージ用の窒素ガスを500ml/minで供給し、パージを行った。
上記のようにして、重合フロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基材7を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)により分析を行った。X線光電子分析装置(XPS)の分析結果を図30に示す。
分析の結果、重合フロロカーボン被膜のC原子に関して、C−F及びC−F結合が確認された。
(例10)
付着させる有機物モノマーとしてスチレン(以下、Stと略す)を、開始剤としてAIBNを用いて、例8と同様の反応を行った。
配管1より40℃に加熟した充填容器2内の有機物モノマー(St)3a内に窒素ガスを通す。また同時に配管4より70℃に加熱した充填容器2内の開始剤(A1BN)3b内に窒素ガスを通す。このようにして有機物モノマーガスと、開始剤ガスを同時に反応容器6のステンレス板の基材7に50℃で18時間付着させた。その後、反応容器6を密閉状態にした。さらに。反応容器6の温度を70℃に加温して、168時間、重合を行った。
168時間経過後、室温まで冷却させ、反応容器6に大気を導入し、重合を停止させた。
さらに、その後、反応容器内を、窒素ガスに置換し、フッ素系ガス導入配管5から反応容器6に10%Fを200ml/minで供給し、10℃/minで140℃まで昇温して、140℃にて45分間反応を行うことで、反応容器6のステンレス板の基材71に付着後重合させた有機物ポリマーのフッ素化を行った。その後、フッ素系ガス導入配管5から、パージ用の窒素ガスを500ml/minで供給し、パージを行った。
上記のようにして、重合フロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基7を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)により分析を行った。X線光電子分析装置(XPS)の分析結果を図31に示す。
分析の結果、重合フロロカーボン被膜のC原子に関して、C−F及びC−F結合が確認された。
(例11)
付着させる有機物モノマーとしてHEMAを、開始剤としてAIBNを用いて、例8と同様の反応を行った。
配管1より50℃に加熱した充填容器2内の有機物モノマー(HEMA)3a内に窒素ガスをバブリングさせた。また同時に配管4より80℃に加熟した充填容器2内の開始剤(AIBN)3b内に窒素ガスを通す。このようにして有機物モノマーガスと、開始刑ガスを同時に反応容器6のステンレス板の基材7に30℃で6時間付着させた。その後、反応容器6を密閉状態にした。さらに、反応容器6の温度を90℃に加温して、168時間、重合を行った。
168時間経過後、室温まで冷却させ、反応容器6に大気を導入し、重合を停止させた。
さらにその後、反応容器内を、窒素ガスに置換し、フッ素系ガス導入配管5から反応容器6に20%Fを200ml/minで供給し、10℃/minで200℃まで昇温して45分間反応させた。
上記のようにして、重合フロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基材11を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)により分析を行った。X線光電子分析装置(XPS)の分析結果を図32に示す。
分析の結果、重合フロロカーボン被膜のC原子に関して、C−F及びC−F結合が確認された。また、SiO換算で35Å(3.5nm)程度の重合フロロカーボン被膜であることが確認された。
(例12)
付着させる有機物モノマーとしてHEMAを、開始剤としてA1BNを用いて、例8と同様の反応を行った。
配管1より100℃に加熱した充填容器2内の有機物モノマー(HEMA)3a内に窒素ガスを通した。また同時に配管4より60℃に加熱した充填容器2内の開始剤(AIBN)3a内に窒素ガスを通す。このようにして有機物モノマーガスと、開始剤ガスを同時に反応容器6のステンレス板の基材7に30℃で6時間付着させた。その後、反応容器6を密閉状態にした。さらに。反応容器6の温度を70℃に加温して、168時間、重合を行った。
168時間経過後、室温まで冷却させ、反応容器6に大気を導入し、重合を停止させた。
さらにその後、反応容器内を、窒素ガスに置換し、フッ素系ガス導入配管5から反応容器6に3%Fを200ml/minで供給し、10℃/minで140℃まで昇温して20分間反応させた。さらに5%にF濃度を上げ20分間供給した後、10%までF濃度を上げ、140℃にて20分間反応を行うことで、反応容器6のステンレス板の基材7に付着極重合させた有機物ポリマーのフッ素化を行った。その後、フッ素系ガス導入配管5から、パージ用の窒素ガスを500ml/minで供給し、パージを行った。
上記のようにして、重合フロロカーボン被膜を形成した後、ステンレス板の基材7を取り出し、X線光電子分析装置(XPS)により分析を行った。X線光電子分析装置(XPS)の分析結果を図33に示す。
分析の結果、重合フロロカーボン被膜のC原子に関して、C−F及びC−F結合が確認された。その結果、SiO換算で100A程度の重合フロロカーボン被膜であることが確認された。
さらに、得られた重合フロロカニボン被膜の断面をSEMにて観察した。結果を図34に示す。その結果、絶対膜厚は1.880μmの膜厚であることが判明した。
また得られた重合フロロカーボン被膜を、5wt%フッ酸一過酸化水素水に24時間、浸漬させた。浸漬前後のSEMを図35及び図36に示す。この結果から、浸漬後も変化は認められないことから、フッ酸−過酸化水素水に対しても、耐食性があることを示している。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、基材に付着きせる有機物モノマーの供給、開始剤の供給、またその有機物モノマーを重合後にフッ化させるフッ化作用を有する物質の供給が全てガス状・ミスト状で行われる。その結果、非常に複雑な形状のものでも、例えば、一方向か眺めた際に隠れる部分を備えた3次元構造物内面においても、重合フロロカーボン被膜を形成できる。
また、本発明の第2の実施の形態によれば、基材に付着させた有機物モノマー、開始剤、重合、フッ化が低温でも可能であることから、半導体製造工場などで使用されている非常に長い配管内面への重合フロロカーボン被膜の成が配管施工後に行うことも十分可能である。
本発明に係るフロロカーボン被膜の製造方法によって製造されたフロロカーボン被膜は、耐薬品性を備えていることから、流体に接触する接流体部を備えた機械的部品、材料、製品や半導体製造装置とか、製造過程で薬品に曝される半導体装置等に適用可能である。
本発明のフロロカーボン被膜装置の一例の複式図である。 非特許文献1におけるSiO表面における飽和脂肪族炭化水素の吸着特性を示す図である。 本発明の実施の形態によるフロロカーボン被膜を備えた多孔質膜を有する脱気モジュールの原理の説明に供せられる部分概略断面図である。 比較のための多孔質膜を備えた脱気モジュールの説明に供せられる部分概略断面図である。 比較のための多孔質膜を備えた脱気モジュールの界面活性剤による影響の説明に供せられる部分概略断面図である。 有機物層としてアルカンの代表例であるエイコサンC2043をフッ化したフロロカーボン被膜の耐薬品性の一例の説明に供せられる図で、フロロカーボン被膜のフッ酸溶液への浅漬前の状態のX線光電子分析装置(XPS)による最表面分析結果を示している。 有機物層としてアルカンの代表例であるエイコサンC 20 42 をフッ化したフロロカーボン被膜の耐薬品性の一例の説明に供せられる図で、希フッ酸溶液への浸漬24時間後のフロロカーボン被膜の状態のX線光電子分析装置(XPS)による表面分析結果を示している。 フロロカーボン被膜形成前のサンプル1のステンレス板の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 フロロカーボン被膜形成後のサンプル1のステンレス板の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 フッ化不動態処理したサンプル2のステンレス板のSEM写真である。 本発明のサンプル2のステンレス板にフロロカーボン被膜形成した時のSEM写真である。 本発明のサンプル2のX線光電子分析装置(XPS)の最表面分析結果を示す図である。 本発明の例3のX線光電子分析装置(XPS)の分析結果(デプスプロファイル)を示す図である。 本発明の例4のX線光電子分析装置(XPS)の分析結果(デスプロファイル)を示す図である。 本発明の例5のフロロカーボン被膜のフッ酸一過酸化水素水溶液への浸漬前の状態のX線光電子分析装置(XPS)による分析結果(デプスプロファイル)を示している。 フロロカーボン被膜のフッ酸一過酸化水素水溶液への24時間浸漬後の状態のX腺光電子分析装置(XPS)による分析結果(デプスプロファイル)を示している。 本発明の例6のX線光電子分析装置(XPS)の分析結果(デプスプロファイル)を示す図である。 本発明の例7のX線光電子分扮装置(XPS)によるフロロカーボン被膜最表面の分析結果を示す図である。 比較として、X線光電子分析装置(XPS)による四フッ化エチレン重合体の鏝表面の分析結果を示す図である。 本発明の例7のX線光電子分析装置(XPS)の分析結果(デプスプロファイル)を示す図である。 本発明の例7のフロロカーボン被膜断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の第2の実施の形態による、重合フロロカーボン被膜装置の模式図の一例である。 本発明の実施の形態による重合フロロカーボン被膜を備えた多孔質膜を有する脱気モジュールの原理の説明に供せられる部分概略断面図である。 比較のための多孔質膜を備えた脱気モジュールの説明に供せられる部分概略断面図である。 比較のための多孔質を備えた脱気モジュールの界面活性剤による影響の説明に供せられる部分概略断面図である。 本発明の例8のX線光電子分析装置(XPS)による重合フロロカーボン被膜最表面の分析結果を示す図である。 本発明の例8の示差熱天秤分析(Tg−DTA)の分析結果を示す図である。 重合フロロカーボン被膜形成前のステンレス板の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の例8の重合フロロカーボン被膜形成後のサンプル(ステンレス板)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の例9のX線光電子分析装置(XPS)による重合フロロカーボン被膜表面の分析結果を示す図である。 本発明の例10のX線光電子分析装置(XPS)による重合フロロカーボン被膜表面の分析結果を示す図である。 本発明の例11のX線光電子分析装置(XPS)の分析結果(デプスプロファイル)を示す図である。 本発明の例12のX線光電子分析装置(XPS)の分析結果(デプスプロファイル)を示す図である。 本発明の例12の重合フロロカーボン被膜断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の例12の重合フロロカーボン被膜のフッ酸過酸化水素水溶液への浸漬前のサンプル(ステンレス板)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の例12の重合フロロカーボン被膜のフッ酸過酸化水素水溶液への浸漬後のサンプル(ステンレス板)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
1 ガス供給配管
2 充填容器
3 有機物
3a 有機モノマー
3b 開始剤
4 ガス排出配管
5 フッ化ガス導入配管又はパージガス供給配管
6 反応容器
7 基材(フッ化不動態処理を行なったステンレス板もしくはステンレス板)
8 排気配管
10 装置
11 フロロカーボン被膜{(−CF−)
12、55 脱気HF(界面活性剤入り)水溶液
21 重合フロロカーボン被膜{(−CF−)
51 多孔質膜
52 溶存ガス成分(O,Nなど)
53 HF溶液側
54 真空排気側の排気管
56 HF(成分)水溶液

Claims (25)

  1. 基材表面に第1の有機物を付着させた後、フッ化ガスを流して前記第1の有機物をフッ化することで、前記基材表面にフロロカーボン被膜を形成することを含み、前記第1の有機物が炭化水素であり、前記第1の有機物は、前記基材表面にフッ素を含有しない有機物モノマーをガス状および/又はミスト状で付着させ、付着させたフッ素を含有しない有機物モノマーをラジカル重合させて、フッ素を含有しない重合した有機物ポリマーからなり、前記フロロカーボン被膜は、重合フロロカーボン被膜からなることを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法。
  2. 請求項1に記載のフロロカーボン被膜の製造方法において、前記フロロカーボン被膜の形成後に、形成されたフロロカーボン上に第2の有機物を吸着させてフッ化ガスを流すことを一回行うか、または2回以上繰り返すことにより基材表面にフロロカーボン被膜を形成することを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法。
  3. 請求項2に記載のフロロカーボン被膜の製造方法において、前記第2の有機物が炭化水素であることを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法。
  4. 請求項1乃至3の内のいずれか一項に記載のフロロカーボン被膜の製造方法において、前記フッ化ガスが、フッ素ガスであることを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法。
  5. 請求項1乃至4の内のいずれか一項に記載のフロロカーボン被膜の製造方法において、前記モノマーとしてラジカル重合性の高い有機物モノマーを使用する場合は、開始剤を付着させること無しにラジカル重合を行うことを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法。
  6. 請求項1乃至の内のいずれか一項に記載のフロロカーボン被膜の製造方法において、前記基材が中空状の物体であり、前記表面が中空内の壁面であって、中空の入口から目視して見えない部分を含むことを特徴とするフロロカーボン被膜の製造方法。
  7. 請求項1乃至の内のいずれか一項に記載のフロロカーボン被膜の製造方法によって作製された前記フロロカーボン被膜を薬液貯蔵用装置、薬液配送用装置、又は薬液反応用装置である薬液用装置の接液部の一部に備えていることを特徴とする薬液用装置。
  8. 請求項1乃至の内のいずれか一項に記載のフロロカーボン品の製造方法によって作製された前記フロロカーボン被膜をガス貯蔵用装置、ガス配送用装置、又はガス反応用装置であるガス用装置の接ガス部の一部に備えていることを特徴とするガス用装置。
  9. 請求項1乃至の内のいずれか一項に記載のフロロカーボン被膜の製造方法によって作製された前記フロロカーボン被膜を備えていることを特徴とする半導体装置。
  10. 請求項1乃至の内のいずれか一項に記載のフロロカーボン被膜の製造方法によって製造された前記フロロカーボン被膜を備えていることを特徴とするガス透過膜。
  11. 請求項10に記載のガス透過膜を使用した脱気モジュールまたはガス添加モジュールからなることを特徴とする気体操作用モジュール。
  12. 気体及び液体の少なくとも一方を含む流体に接触して使用される接流体材料において、基材と、前記基材表面に形成された炭化水素からなる有機物層と、前記有機物層の少なくとも表面に設けられたフロロカーボン層とを備え、前記フロロカーボン層は前記有機物層の表面をフッ化することによって形成され、前記有機物層は、重合炭化水素層からなり、前記フロロカーボン層は、重合フロロカーボン層からなり、前記有機物層は分子量が120から430(C原子数が10−30)の脂肪族炭化水素を含むことを特徴とする接流体材料。
  13. 基材表面の接流体部の少なくとも一部にフロロカーボン被膜を形成してなり、前記フロロカーボン被膜は、前記基材表面にフッ素を含有しない有機物モノマー及び有機物ポリマーの少なくとも一方からなる有機物を吸着させた後、その表面にフッ化ガスを流して前記有機物をフッ化して形成され、前記有機物は、前記基材表面にフッ素を含有しない有機物モノマーをガス状および/又はミスト状で付着させ、付着させたフッ素を含有しない有機物モノマーをラジカル重合させて、フッ素を含有しない重合した有機物ポリマーからなることを特徴とする接流体材料。
  14. 請求項13に記載の接流体材料において、前記基材表面に形成された前記フロロカーボン被膜の膜厚が1nm以上であることを特徴とする接流体材料。
  15. 請求項13又は14に記載の接流体材料において、前記フロロカーボン被膜は、重合フロロカーボン被膜からなることを特徴とする接流体材料。
  16. 請求項12乃至15の内のいずれか一項に記載の接流体材料において、前記基材が中空状の物体であり、前記表面が中空内の壁面であって、中空の入口から目視して見えない部分を含むことを特徴とする接流体材料。
  17. 請求項12乃至16の内のいずれか一項に記載の接流体材料を用いたことを特徴とする接流体製品。
  18. 薬液貯蔵用装置、薬液配送用装置、又は薬液反応用装置である薬液用装置の接液部の少なくとも一部に請求項12乃至16の内のいずれか一項に記載の接流体材料を使用したことを特徴とする薬液用装置。
  19. ガス貯蔵用装置、ガス配送用装置、又はガス反応用装置であるガス用装置の接ガス部の少なくとも一部に請求項12乃至16の内のいずれか一項に記載の接流体材料を使用したことを特徴とするガス用装置。
  20. 請求項12乃至16の内のいずれか一項に記載の接流体材料を使用したことを特徴とする半導体装置。
  21. 請求項12乃至16の内のいずれか一項に記載の接流体材料を使用したことを特徴とするガス透過膜。
  22. 請求項21の記載のガス透過膜を備えた脱気モジュールまたはガス添加モジュールからなることを特徴とする気体操作用モジュール。
  23. 請求項22記載の気体操作用モジュールにおいて、脱気あるいはガスを添加する溶液に純水、水素を含有する純水、オゾンを含有する純水、酸、アルカリもしくは有機物のうち少なくとも一種類を使用することを特徴とする気体操作用モジュール。
  24. 請求項22又は23に記載の気体操作用モジュールにおいて、前記気体操作用モジュールは脱気モジュールであり、ガスを脱気する溶液がフッ酸系反応液であることを特徴とする気体操作用モジュール。
  25. 請求項22乃至24の内のいずれか一項に記載の気体操作用モジュールにおいて、脱気する溶液の表面張力が72mN/m以下であることを特徴とする気体操作用モジュール。
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