JP4704524B2 - 手術用切開ドレープ - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、手術用切開ドレープの分野に関する。さらに詳しく述べるなら、本発明は、施用時にこうしたドレープに張力を与えるライナーを有する手術用切開ドレープに関する。
発明の背景
現在の多くの手術手順では、手術用切開ドレープを使用する。切開用材料は、一般に、片面に接着剤を含んで剥離ライナーで被覆された透明なポリマーフィルムである。切開用材料の2つのメーカーは、ミネソタ州、セントポールのMinnesota Mining and Manufacturing Company、およびT.J.Smith and Nephew Ltd.である。手術用切開ドレープ材料の例は、米国特許第4,310,509号、第4,323,557号、第4,452,845号、関連特許第31,886号および第31,887号に記載されている。
一般に、切開用材料は、手術領域をできる限り清潔かつ無菌状態に保って感染の危険を少なくするために、タオルまたは手術用切開ドレープと組み合わせて使用される。患者の手術領域を清潔にして抗菌薬で処理した後、手術部位は、切開を意図する寸法より大きい寸法の開窓、つまり特に形成された形状および開口部を有する無菌タオルおよび手術用切開ドレープを使用して方形に仕切る。次に、切開用材料を使用して、タオルまたは手術用切開ドレープもしくはメインシート内の開窓で露出した患者の皮膚の全体または一部分を覆う。
切開用材料を使用する1つの目的は、病原菌や細菌が切開部位に移行するのを減少させることである。こうした減少が必要なのは、皮膚を清潔にしても、毛孔はなおその他の病原菌や細菌を含んでおり、これらは、手術処置の経過中に皮膚を動かして処置するときに、その表面に移行する可能性がある。切開用材料で皮膚を覆うことにより、手術部位が汚染される可能性が低くなる。
一般的な慣習は、無菌手術用切開ドレープをポリエチレンなどから製造された使い捨て式保護バッグから取り出し、その他の保護カバーを取り除き、感染しない方法で無菌領域に供給することである。たとえば、保護カバーは、ドレープ周囲を取り巻くペーパーラップなどの材料で良く、梱包過程においてドレープが裂けたり皺になったりすることなくドレープを使い捨て式保護バッグに挿入することを可能にするものである。多くの保護カバーを使用すると、手術領域における廃棄物が増える結果になる。
手術切開ドレープは一般に、小さいものは13×18cm(5×7in)で提供されるが、40×30cm(16×12in)〜90×120cm(36×48in)以上の場合もある。従来の手術用切開ドレープは、フィルムと同じ寸法の1ピースの塗布紙剥離ライナーで被覆されて接着剤が保護された接着剤塗布切開用材料から一般に構成される。
代表的な慣習は、各々が無菌領域内にいて無菌手袋をした二人が手術台の反対側に立つことである。一人はドレープのハンドル部分(接着剤のない10〜15cmのフィルム余白部分)を掴み、他の人がペーパーライナーを持って下側から引っ張り、接着剤を露出させる。次に、ドレープを患者の手術部位に当てて平らにして、無菌タオルで患者の上に押し付ける。ドレープが比較的大きい場合、この作業には3人以上必要かも知れない。
現在の手術用切開ドレープは一般に大きく、作業中に皺がよったり、ドレープがドレープ自体に付着したりしないように患者に当てがうのは厄介である。上記のとおり、ドレープを当てがうには、2〜3人が一般に必要であるため、手術室の要員に無駄が生じ、病院経費が増加する原因になる。従来の手術用切開ドレープを当てがうことは、こうしたドレープの施用に従事する人にとっても煩わしいことである可能性がある。ドレープは、皮膚の輪郭に良く馴染むように薄く、皮膚に付着させるために強力感圧接着剤を含む。この2つの特性は、多くの手術用切開ドレープの大きい寸法とあいまって、皺がよったドレープを当てがう結果になることが多い。
手術用切開ドレープを正しく機能させるには、手術用切開ドレープを当てがった後に、外科医が清潔な手術切開を行うことができるように、特に切開部位において手術用切開ドレープに皺がないことが重要である。ドレープに皺が生じると、外科医は皮膚を見にくくなる(透明性および可視性が重要である)。さらに、手術用切開ドレープに皺がある場合、手術用切開ドレープは皮膚上の細菌が創傷に侵入するのを防ぐことができない。切開部位の表面を無菌状態に保つことは、手術の創傷の感染を防ぐのに役立つ。さらに、手術用切開ドレープは、できる限り少ないステップで容易に当てがうことができ、手術用切開ドレープの使用から生じる無駄を最小限にすることが重要である。
発明の開示
本発明は、皺が生じない状態で患者に効果的かつ効率的に当てがうことができて、感染の可能性を最小限にし、ドレープを患者に当てがうときにフィルムを通した可視性を改善し、ドレープの使用から生じる廃棄物の量を減少させることができる手術用切開ドレープを提供する。
本発明による手術用切開ドレープは、主部分に接着剤を塗布された可撓性フィルムを備える。可撓性フィルムは、前縁および後縁を有する。ドレープはさらに、可撓性フィルムの前縁にフィルムハンドルを備え、このフィルムハンドルは可撓性フィルムよりも硬い。さらに、ドレープは、可撓性フィルムの前縁および後縁に対応する前縁および後縁を有するライナーを備える。ライナーは、前縁にライナーハンドルを備え、接着剤を塗布された可撓性フィルムの主部分を実質的に覆う。ライナーハンドルまたはフィルムハンドルは、ドレープを折りたたんだときにドレープの少なくとも一部分の周囲を取り巻く寸法を有する。
ドレープの一実施例では、ライナーハンドルまたはフィルムハンドルは、ドレープを折りたたんだときに、ドレープの外周全体を取り巻く寸法を有する。ドレープのもう1つの実施例では、ドレープはさらに、ライナーハンドルまたはフィルムハンドルに付着して、ドレープを折りたたんだときにドレープの他方の部分に取り付けるように延在する閉鎖要素を備える。ドレープのさらにもう1つの実施例では、折りたたまれたドレープは平らになり、ドレープの個々の対向領域に折り目を有する。
ドレープのもう1つの実施例では、ライナーは可撓性フィルムに比べて比較的硬いので、ライナーおよびフィルムハンドルは、ライナーが可撓性フィルムの主部分から取り外されたときに、可撓性フィルムを皺のない状態に保つ。たとえば、ライナーは、厚さが少なくとも約50μm、好ましくは少なくとも約75μmのポリオレフィンライナーで良い。さらに、たとえば、ライナーは、中密度または高密度ポリエチレンライナーなどのポリエチレンライナーで良い。
ドレープのもう1つの実施例では、ライナーは、ライナーの前縁から離れた位置に少なくとも1つの緊張ストリップを備え、ライナーを可撓性フィルムの主部分から取り外すときに、フィルムハンドルと1つまたは複数の緊張ストリップとの間に存在する可撓性フィルムの少なくとも一部分を皺のない状態に保つ。たとえば、緊張ストリップは、ライナーの後縁に存在するか、および/またはライナーの前縁と後縁との間の任意の位置に存在して良い。
ドレープのもう1つの実施例では、可撓性フィルムの主部分に塗布される接着剤は、可撓性フィルムの前縁付近の第1接着剤領域と、可撓性フィルムの後縁位置または後縁付近の第2接着剤領域とを備える。ライナーを第2接着剤領域から取り外すには、ライナーを第1接着剤領域から取り外す場合に比べて、より大きい力が必要である。
本発明によるもう1つの手術用切開ドレープは、主部分に接着剤を塗布された可撓性フィルムを備える。可撓性フィルムは、前縁および後縁を有する。フィルムハンドルは、可撓性フィルムの前縁に含まれる。ドレープは、可撓性フィルムの前縁および後縁に対応する前縁および後縁を有するライナーをさらに備える。ライナーは、接着剤を塗布された可撓性フィルムの主部分を実質的に覆う。さらに、ライナーは、ライナーの前縁から離れた位置に少なくとも1つの緊張ストリップを備え、ライナーを可撓性フィルムの主部分から取り外すときに、フィルムハンドルと緊張ストリップとの間に存在する可撓性フィルムの少なくとも一部分を皺のない状態に保つ。緊張ストリップは、ライナーより硬い。
本発明による手術用切開ドレープを使用する方法についても説明する。この方法は、実質的に平らな手術用切開ドレープを提供することを含む。ドレープは、主部分に接着剤を塗布された可撓性フィルムを備える。可撓性フィルムは前縁および後縁を有し、可撓性フィルムの前縁にはフィルムハンドルが設けられている。さらに、ドレープは、可撓性フィルムの前縁および後縁に対応する前縁および後縁を有するライナーを備える。ライナーは、接着剤を塗布された可撓性フィルムの主部分を実質的に覆う。この方法は、ドレープを後縁から前縁へと折りたたみ、フィルムハンドルとライナーハンドルの一方を折りたたんだドレープの少なくとも一部分の周囲に巻き付けることをさらに含む。
これらの手術用切開ドレープを使用する方法についても説明する。一般に、この方法は、ドレープを提供し、ドレープのフィルムハンドルを掴んでライナーを引っ張り、ライナーの少なくとも一部分を取り外して、可撓性フィルムの主部分を覆う接着剤の少なくとも一部分を露出させ、接着剤の少なくとも一部分が患者に接触する位置に手術用切開ドレープを保持し、残りのライナー部分を取り外すことを含む。
本発明のさらにもう1つの態様では、手術用切開ドレープは、主部分に接着剤を塗布されたエラストマーフィルムを一般に含む。可撓性フィルムは、前縁、後縁および対向側縁を有する。ハンドルは、可撓性フィルムの前縁に形成される。ハンドルは、エラストマーフィルムよりも硬いシート材料から形成される。エラストマーフィルムには、前縁にほぼ隣接して前縁とほぼ平行に延在する引裂線が形成されるので、フィルムの引裂を引裂線に沿って伝搬させて、ハンドルをエラストマーフィルムから分離することが容易になる。この引裂線は、その対向端部がフィルムの対向側縁から離間配置される。
引裂線は穿孔群の線から構成され、引裂線の対向端部は、エラストマーフィルムの対向側縁から少なくとも0.5cmだけ離間配置されることが好ましい。さらに好ましくは、引裂線の対向端部は、エラストマーフィルムの対向側縁から少なくとも1cm離間配置し、最も好ましくは2cmあるいは2.5cm離間配置すると良い。
また、エラストマーフィルムの厚さは75μm以下であることが好ましく、52μm以下であれば最も好ましい。
あるいは、引裂線は、エラストマーフィルムに刻み目を付けるか、またはエラストマーフィルムを引裂線に沿ってより薄くすることから構成すると、引裂線に沿って引裂を概して容易に伝搬することができる。
本発明のさらにもう1つの態様では、手術用切開ドレープは、主部分に接着剤を塗布されたエラストマーフィルムから一般に構成される。可撓性フィルムは、前縁、後縁および対向側縁を有する。ハンドルは、可撓性フィルムの前縁に隣接して形成され、長形のストリップは、フィルムの前縁に沿ってフィルムおよびハンドルを接続する。このストリップは、エラストマーフィルムより引裂抵抗性である。このストリップは、ハンドルをエラストマーフィルムから分離するために、引裂線に沿ってストリップの引裂を伝搬しやくする1本または複数本の引裂線を有する。
引裂線は、穿孔群の線から構成することが好ましい。また、ハンドルは、エラストマーフィルムよりも硬いシート材料から形成することが好ましい。
長形のストリップは、引裂線に沿った部分以外のフィルムまたはハンドルより引裂抵抗性の補強テープから構成することが好ましい。この補強テープは、片面に接着剤を塗布されたフィルムテープであることが好ましく、接着剤は感圧接着剤であれば最も好ましい。たとえば、フィルムテープは、低密度ポリエチレンフィルムテープから構成し、接着剤はアクリレート接着剤から構成することができる。
【図面の簡単な説明】
図1A〜1Eは、本発明による手術用切開ドレープの、患者に手術用切開ドレープを当てがう方法における様々な位置の断面図である。
図2は、図1に示す手術用切開ドレープの上部フィルム側平面図である。
図3は、図1に示す手術用切開ドレープの底部ライナー側平面図である。
図4A〜図4Eは、代替手術用切開ドレープ構成のフィルムハンドル部分およびライナーハンドル部分の断面図である。
図5A〜図5Fは、代替手術用切開ドレープ構成の緊張ストリップ部分の断面図である。
図6は、手術付属品、たとえばポケットを有する代替手術用切開ドレープ構成の底部ライナー側平面図である。
図7は、ライナーに関連して緊張ストリップを使用するのではなく、ライナー自体が緊張を与える代替手術用切開ドレープの断面図である。
図8A〜図8Cは、折りたたまれて、ドレープが自重で解けるのを防ぐのに十分な折り目を有する代替手術用切開ドレープの断面図である。
図9は、ハンドルが引裂線を含む手術用切開ドレープのさらにもう1つの実施例の底面図である。
図10は、ハンドルが穿孔テープにより所定の位置に保持された手術用切開ドレープのさらにもう1つの実施例の底面図である。
好適な実施例の詳細な説明
本発明は、手術用切開ドレープ、およびこうしたドレープを患者に対し皺が生じないように効果的かつ効率的に当てがい、感染の可能性を最小限にし、手術用切開ドレープを患者に当てがう際の可視性を改善する方法を提供する。上記のとおり、手術用切開ドレープは、清潔に外科的切開を行い、病原菌による汚染の可能性を少なくするため、当てがった後、特に切開部位に直接当てがった後に皺がないことが重要である。さらに、手術用切開ドレープは、できる限り少ないステップで容易に当てがうことができ、こうした施用から生じる廃棄物が最小限であることが重要である。
図1〜図3を参照すると、本発明による手術用切開ドレープ10が示されている。さらに、特に図1A〜図1Eを参照すると、手術用切開ドレープ10を患者に当てがう方法が示されている。他の図面4〜10は、こうした手術用切開ドレープの代替ドレープ構成を示す。
図1〜図3に示すとおり、手術用切開ドレープ10は、ほぼ矩形の構成であるが、手術用切開ドレープが以下に詳しく記載する利点を提供する限り、どの寸法でもどの形状でも適している。たとえば、ドレープ10は、幅(W)約10cm〜約150cm、長さ(L)約10〜約150cmで良い。手術用切開ドレープ10は、透明な可撓性フィルムなどのフィルム12を備える。可撓性フィルム12は、可撓性フィルム12の前縁31から可撓性フィルム12の後縁32まで延在する上面13および下面15を備える。
手術用切開ドレープの可撓性フィルム12は、透明または半透明のポリマー材料から形成される。この材料は、長時間の手術の間にフィルムを通して水分が蒸発できることが好ましい。適切な材料としては、ポリオレフィン、たとえば低密度ポリエチレン、特にDow Chemicalが市販するEngageTMポリエチレンなどのメタロセンポリエチレン、ポリエステルまたはポリエーテルポリウレタンなどのポリウレタン(たとえば、オハイオ州、クリーブランドのB.F.Goodrichが市販する「EstaneTM熱可塑性ポリウレタン」)、ポリエーテルポリエステルなどのポリエステル(たとえば、デラウェア州、ウィルミントンのDu Pont Co.が市販する「HytrelTMポリエステルエラストマー」、ポリエーテルポリアミドなどのポリアミド(たとえば、ペンシルバニア州、フィラデルフィアのELF Atochem,North America,Inc.が市販する「PebaxTM樹脂」)がある。
さらに、フィルム12は可撓性であり、患者に当てがうときの馴染みやすさを改善するために多少弾性であることが好ましい。これらの理由から、好適なフィルムはポリウレタン、ポリエーテルポリエステルおよびポリエーテルポリアミドである。フィルム12の厚さは、一般に約200μm未満、好ましくは約6μm〜約130μm、最も好ましくは約13μm〜約52μmである。
可撓性フィルム12の下面15の少なくとも主部分には、感圧接着剤14が塗布されている。図1は、可撓性フィルム12の全長に接着剤14が塗布されていることを示すが、手術用切開ドレープがその有用な機能を果すように任意の主部分に塗布しても良く、たとえば、接着剤はドレープの幅または長さ全体を覆う必要はない。たとえば、可撓性フィルムの任意の縁部に非塗布部分が含まれていると、ドレープを患者から取り外すときに役立つか、またはハンドルをフィルムに取り付けるのに役立つ。
可撓性フィルム12を覆う接着剤14は、皮膚に強力に付着する体温の粘着性感圧接着剤であることが好ましい。皮膚表面に均一に取り付けると、無菌の手術領域を維持するのに役立つ。強力接着剤は、創傷の収縮の結果として手術の際にフィルム12に加わる応力、暖かく湿った環境、外科医の手および器具が創傷の内外で移動するときにフィルム12に生じる摩擦の点で好ましい。
適切な接着剤としては、アクリル接着剤、KratonTMまたはKratonTMポリマー(テキサス州、ヒューストンのShell Chemical Company)ベースの接着剤、天然ゴムベースのものなど、ゴムベースの接着剤、ポリイソブチレン、ブチレンゴムなど、ポリウレタンタイプの接着剤およびポリビニルエチルエーテル、並びにこれらのコポリマーまたは配合物がある。接着剤はさらに、抗菌剤、たとえばヨウ素、三ヨウ化物錯体、ポビドン-ヨードなどのラクタム-三ヨウ化物錯体、クロルヘキシジングルコネートおよびクロルヘキシジンアセテートなどのクロルヘキシジン塩、ポリマービグアニド、ヘキサクロロフェン、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、トリクロサン、フェノール、ラウリシジン(グリセロールモノラウレート)などの脂肪酸モノエステル、四成分界面活性剤、銀、塩化銀、酸化銀および銀などの銀塩、過酸化水素などを含むことが好ましい。
接着剤14は、米国特許第4,323,557号、第4,931,282号、第4,701,509号、第4,732,808号、第5,156,911号、第5,017,625号および第5,204,110号に記載されている接着剤であることが好ましい。さらに、接着剤14は、連続コーティングであるか、または米国特許第4,798,201号および第5,290,615号に記載されているようにパターン塗布することができる。これらの接着剤のタイプは、各種の化学的変性剤、たとえば粘着付与剤、架橋剤、安定剤、開始剤などをさらに含み、安定性、粘性、付着性などの物理的特性を改善することができる。
感圧接着剤14は、剥離ライナー16で覆われる。剥離ライナー16は、感圧接着剤14に接触する上面17を備える。上面17および下面19は、ライナー16の前縁35と後縁34との間に延在する。ライナー16の前縁35は、フィルム12の前縁31にほぼ対応し、ライナー16の後縁34は、フィルム12の後縁32にほぼ対応する。縁部35、31および縁部34、32は重なる必要はない、つまりライナー16はフィルム12より小さくても大きくても良いが、ライナー16は接着剤14を完全に覆わなければならない。
剥離ライナー16は、紙、プラスチック塗布紙、プラスチックフィルム、織物、不織布または編織布、およびフィルム織布積層物など、各種材料から製造することができる。ライナー16は、親水性で液体を吸収しても、または疎水性で吸湿性がなくても良い。好適な剥離ライナー材料としては、以下に詳しく記載するようにフィルム12を患者に当てがうときに、臨床家が患者を見てフィルム12を正確に配置することができるように透明ポリマーライナーを備える。好適な透明ポリマーライナーとしては、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、またはポリエステルライナー、並びにポリオレフィン塗布ポリエステルなどの積層物がある。ガンマ殺菌に使用する製品の場合、紙、ポリエチレン、ポリエステルまたはポリエチレン塗布ポリエステルライナーを使用することが好ましい。
手術用切開ドレープを製造する1つの方法は、ライナー上に接着剤溶剤溶液を塗布し、溶剤を炉内で除去した後、この接着剤塗布ライナーをフィルム裏材に積層することを含む。溶剤は、炉内において一般に高温で除去されるので、低密度または中密度ポリエチレンから製造したものなど、特定の低融点熱可塑性ポリマーライナーには悪影響がある。また、ポリエステル層などの比較的高融点の熱可塑性ポリマーから成るライナーは、乾燥時に高温に耐えることができるが、あまり可撓性ではなく、当てがう際に非常に雑音が生じる可能性がある。好適な方法は、高融点ポリマーと低融点ポリマーとを積層してフィルムライナーを形成することである。
好適な積層フィルムに望ましい高融点ポリマーの特徴は、融解温度が約175℃を超えることであるが、約190℃を超えれば好ましい(1989年にMcGraw Hillが発行したModern Plastics Encyclopedia、第66巻、11号に記載されている)。この層に有用なポリマーとしては、ポリエステル(たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアミド(たとえば、ナイロン6,6、ナイロン6)、セルロースアセテートなどがあるが、これらだけに限らない。高融点ポリマー層は、全体の厚さ(つまり、すべての層合計)が少なくとも約6μm、好ましくは少なくとも12μm、および最も好ましくは少なくとも約25μmで積層物中に全体として存在するべきである。
好適な積層フィルムに望ましい低融点ポリマーの特徴は、融解温度が約175℃未満、好ましくは約150℃未満であることである。この層に有用なポリマーとしては、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン、ポロプロピレン、ポリブチレン、エチレン/ビニルアセテート、エチレンメチルアクリレートなど)があるが、これらだけに限らない。低融点ポリマー層は、合計の厚さ(つまり、すべての層の合計)が少なくとも約12μm、好ましくは少なくとも25μm、最も好ましくは少なくとも約50μmで積層物中に全体に存在するべきである。
好適な積層フィルムライナーは、2つ以上の熱可塑性ポリマー層から構成されるが、必要なら1つの層が熱硬化性であっても良い。たとえば、高融点ポリマー層には、低融点ポリマーを片面または両面に積層することができる。この方法では、高融点ポリマー層は、乾燥炉内に加わる応力を支持することができるとともに、低融点ポリマー層は可撓性を提供する。ポリマー層のほかに、低粘着性バックサイズ(LAB)コーティングを多層積層フィルムの一方または両方の主面に塗布することができる。
これらの積層フィルムは、鋳造または吹込押出しなど、任意の適切な方法で成形された予備製造フィルムを積層して形成する。あるいは、この積層物は、同時押出しまたは押出し積層技術により形成することができる。
シリコーン、フルオロ-ケミカル含有材料、長鎖アルキル含有材料の剥離コーティング、またはその他の低表面エネルギーコーティングをライナー16の上面17に塗布する。このコーティングにより、ライナー16を接着剤14から、1分当たり225cmの速度、25℃および相対湿度50%における180℃剥離で測定して約120g/cm未満、好ましくは80g/cm未満、さらに好ましくは40g/cm未満、および最も好ましくは25g/cm未満の力で剥離することができる。好適な剥離コーティングは、ニューヨーク州、ウォーターフォードのGeneral Electric Companyが市販する「GE シリコーン SS4331低温高速硬化紙プレミアム剥離コーティング」である。剥離コーティングの量は、接着剤14の付着性のレベルおよび塗布厚さによって異なる。好適なポリエチレン剥離ライナーは、ミネソタ州、イーガンのRexam Releaseがグレード 10521 54 mil NT LDP A16/000として市販している。好適なポリプロピレンライナーは、Rexam Releaseがグレード 15529D 2 mil CLBOP Exp/000として市販している。
可撓性フィルム12には、フィルム12の前縁31にフィルムハンドル18が形成される。フィルムハンドル18は、可撓性フィルム12に比べて比較的硬い材料から形成することが好ましい。ASTM試験方法D4032-92(円形曲げ手順による織物の硬さに関する標準試験方法)に従って試験した場合、可撓性フィルムの平均硬さは、一般に約1.1N未満、好ましくは約0.5N未満である。フィルムハンドル18の硬さは一般に約2Nを超えるが、約4Nを超えれば好ましく、約8Nを超えればさらに好ましく、約20Nを超えれば最も好ましい。
図1Aに示すように、フィルムハンドル18は、可撓性フィルム12の前縁31の上面13に取り付けられ、図2および図3に示すようにフィルム12の幅(W)全体に沿って取り付けられる。あるいは、フィルムハンドルは、図4Dに示して以下に記載するように、可撓性フィルムを覆う接着剤を使用して可撓性フィルムの下側に取り付けることができる。さらに、あるいは、各種の接着剤を使用して、フィルムハンドルを可撓性フィルムに取り付けることができる。
フィルムハンドル18は、紙、厚紙、プラスチックまたはプラスチック塗布紙から形成することができる。好適な紙の坪量は約80g/m2〜約400g/m2だが、約100g/m2〜約300g/m2であればさらに好ましく、約150g/m2〜約225g/m2であれば最も好ましい。プラスチックフィルムは、厚さが約52μm〜約250μm、好ましくは約75μm〜約225μm、最も好ましくは約100μm〜約200μmのポリエステルまたは高密度ポリエチレンであることが好ましい。
フィルムハンドル18は、以下に詳しく説明する剥離可能な接着剤を使用するなど、様々な方法の1つでフィルム12の前縁31に取り付けることができる。たとえば、ハンドル18をフィルム12に取り付けるには、熱接合もしくは超音波溶接により、または両面塗付感圧接着剤、感圧接着剤テープ、硬化性感圧接着剤などの感圧接着剤、皮膚に良好に付着させるために使われる感圧接着剤14を含む溶剤ベースもしくは水性接着剤の使用により行うことができる。
剥離ライナー16には、ライナー16の前縁35にライナーハンドル22が形成される。ハンドル22は、可撓性フィルム12に比べて比較的硬い材料から形成することが好ましい。ハンドル22の好適な硬さ範囲は、ハンドル18の範囲と実質的に同じである。しかし、ハンドル22は、本発明の使用による利点を得る上で、ライナー16よりも硬い必要はない。図1Aに示すように、ハンドル22は、ライナー16の下面19の前縁35に取り付けられるが、図3に示すようにライナー16の幅(W)全体に沿って取り付けることが好ましい。
ライナーハンドル22は、ハンドル18の材料に類似するかまたは同じ材料から形成するか、あるいはライナー16と同じ材料から形成し、ライナー16の突出縁部35をライナー自体の上に折りたたんで形成される複数層のライナー16を含むことができる。ライナーハンドル22は、フィルム12を覆う接着剤14を超えて延在するライナー16自体の一体部分とするなど、様々な方法の1つでライナー16の前縁35に取り付けることができる。たとえば、ライナーハンドル22は、ハンドル18をフィルム12に取り付けるために使用する場合に類似するかまたは同じ方法および材料でライナー16に取り付けることができる。
ハンドル18および22の幅(W’、W”)は、手袋を付けた施用者が掴みやすいように、少なくとも約2.5cmであることが好ましく、少なくとも約3.5cmであればさらに好ましく、約5cm以上であれば最も好ましい。ハンドルの少なくとも一方は、図8A〜図8Cの代替ドレープ構成に関して以下に詳しく説明するように、ドレープを巻くかまたは折りたたんだ後にドレープを保護するために使用するのに適する寸法を有することが好ましい。図1Aに示すように、フィルムハンドル18は、この機能を果すためにライナーハンドル22より長い。しかし、ライナーハンドルがフィルムハンドルより長くても、同じ機能を果すことができることは容易に分かる。
図4A〜図4Eは、代替手術用切開ドレープ構成のフィルムハンドルおよびライナーハンドル部分の詳細図である。図4Aの代替ドレープ構成40に示すように、フィルムハンドル47およびライナーハンドル45は、感圧接着剤により可撓性フィルム42および剥離ライナー46の各々の前縁に取り付けられる。ライナーハンドル45は、感圧接着剤49により剥離ライナー46に取り付けられる。フィルムハンドル47は、感圧接着剤44を塗布された可撓性フィルム42に感圧接着剤48により取り付けられる。可撓性フィルム42の前縁またはハンドル自体に塗布された感圧接着剤48により、フィルム42を患者に当てがった後、ハンドル47の全体または部分を取り外すことができる。剥離ライナー46の前縁に塗布された接着剤49により、ライナー46をフィルム42から完全に取り外した後、接着剤49を使用してライナー46を様々な位置に配置して、以下に詳しく記載する追加のドレープとして機能するように、ライナーハンドル45を取り外すことができる。
図4Bの代替ドレープ構成50に示すように、フィルムハンドル54は、感圧接着剤56により可撓性フィルム51に剥離自在に取り付けられるので、ハンドル54は、可撓性フィルム51を患者に当てがった後に取り外すことができる。接着剤56は、ハンドル54に沿って取り外すことが好ましい。これは、接着剤56が塗布される少なくとも縁部が低表面エネルギー材料のコーティングフィルム51などのフィルム51に永久的には付着しない接着剤56を使用して行うことができる。こうした低表面エネルギー材料は、低粘着性バックサイズと一般に呼ばれており、ポリシロキサン、フルオロ-ケミカルまたは炭化水素ベースの材料、およびこれらの配合物または混合物で良い。
フィルム51上に塗布される感圧接着剤に貼付される剥離ライナー53には、剥離ライナー53と一体であり、可撓性フィルム51の表面に塗布される接着剤52を超えて延在するライナーハンドル55が形成される。ライナーハンドル55を掴むと、以下に一般的に記載するように可撓性フィルム51を当てがうことができる。
図4Cの代替ドレープ構成60に示すように、フィルムハンドル64は、穿孔群66を使用して可撓性フィルム61に着脱自在に取り付けられる。図示のとおり、ハンドル64は、フィルム61の前縁67においてフィルム61に永久的に取り付けられ、穿孔群66は、フィルム61の前縁67を越えて延在するハンドルの一部分を患者に当てがった後に取り外すことができるように形成される。ドレープ構成60では、ライナーハンドル65は、熱接合、超音波溶接など、公知の接合技術により、フィルム61上に塗布された接着剤62を覆う剥離ライナー63に永久的に取り付けられる。
あるいは、図4Eに示すように、穿孔群または刻み目77を可撓性フィルム78に形成すると良い。この穿孔群は、図示のようにフィルムの非接着剤塗布部分に配置することが好ましく、容易に引き裂いてフィルムハンドルを取り外すことができる。
また、図4Cに示すように、ライナーハンドル65は、フィルムハンドル64より前縁67からさらに遠くに延在する、つまりライナーハンドル65はフィルムハンドル64より長い。ライナーハンドル65の長さが延在することにより、ドレープを当てがうときのハンドルの配置が容易になる。あるいは、フィルムハンドル64の長さはハンドル65を越えて延在し、一方のハンドルは明瞭な色、形態であるか、または一方のハンドルを他方のハンドルと区別する特性を示すその他の何らかの特徴を有すると良い。さらに、ライナーハンドル65の延在した長さは、図8A〜図8Cに関して以下に詳しく説明するように、ドレープを巻くかまたは折りたたんだ後にドレープの保護に使用するのに適することが好ましい。
図4Dの代替ドレープ構成70に示すように、フィルムハンドル76は、感圧接着剤72により可撓性フィルム71の下側に剥離自在に取り付けられるので、ハンドル76は、可撓性フィルム71を患者に当てがった後に取り外すことができる。フィルム71上に塗布された感圧接着剤72に貼付される剥離ライナー73には、ハンドル76を越えて延在し、上記の何れかの方法で貼付されるライナーハンドル75が形成される。
さらに図1を参照すると、手術用切開ドレープ10の剥離ライナー16には、ライナー16の後縁34に緊張ストリップ20がさらに形成される。緊張ストリップ20は、可撓性フィルム12に比べて比較的硬い材料から構成される。この緊張ストリップは、ASTM D4032-92に従って試験した場合、概して約2Nを超える硬さを有するが、約4Nを超えれば好ましく、約8Nを超えればさらに好ましく、約20Nを超えれば最も好ましい。図1Aに示すように、緊張ストリップ20は、ライナー16の下面19の後縁34に取り付けられ、図3に示すようにライナー16の幅(W)に沿って取り付けることが好ましい。
緊張ストリップの使用は、ライナーが比較的可撓性である、つまりライナーの硬さが約20N未満である場合に特に有利であり、ライナーの硬さが約10N未満である場合きわめて有利である。しかし、図7に関して記載したように、緊張ストリップは、本発明により任意に含まれる。特に、緊張ストリップは、ライナーが、患者にフィルムを当てがうときに可撓性フィルムを適切に緊張させるのに十分に硬い場合は不要である。しかし、ライナーの硬さに関係なく、1つまたは複数の緊張ストリップを使用できる。
緊張ストリップ20は、ハンドル18および22を形成する材料に類似するかまたは同じ材料から形成できる。緊張ストリップ20の幅は8mmであることが好ましく、16mmであればさらに好ましく、24mmであれば最も好ましい。緊張ストリップ20は、ライナー16の後縁34、またはライナー16の前縁35と後縁34との間の位置に様々な方法の1つで取り付ける。たとえば、緊張ストリップ20は、感圧接着剤もしくは上記の類似の感圧材料を使用するか、または剥離可能な熱積層物によりライナー16に着脱自在に取り付けることができる。さらに、たとえば、緊張ストリップは、ハンドル18、22を取り付ける場合に類似の方法および材料を使用してライナー16に永久的に取り付けることができる。
緊張ストリップ20は、適切な感圧接着剤を使用して剥離ライナー16に取り付けられる追加の剥離ライナーであり、この追加の剥離ライナーを取り外すと、接着ストリップが現われるようにしても良い。接着ストリップを使用すると、以下に詳細に説明するように、ライナー16を可撓性フィルム12から取り外した後、手術時にドレープを必要とする他の位置または器具に取り付けることができる。
図5A〜図5Fは、代替手術用切開ドレープ構成の緊張ストリップ位置の詳細図である。図5Aの代替ドレープ構成80に示すように、緊張ストリップ84は、剥離ライナー83の上面87に永久的に取り付けられる。さらに、緊張ストリップ84は、フィルム81を覆う接着剤82がフィルム81の後縁まで延在しないため、可撓性フィルム81に永久的または剥離自在に取り付けることができる。緊張ストリップ84を可撓性フィルム81に永久的に取り付ける場合、可撓性フィルム81の部分85の後縁は、可撓性フィルム81の他の部分を患者に当てがった後、緊張ストリップ84を使って取り外すことができる。こうした取外しは、たとえばはさみで切断する、フィルム81の穿孔群89に沿って引き裂く、またはその他の公知の取外し技術により行うことができる。
緊張ストリップ84を感圧接着剤の使用などにより剥離自在に取り付ける場合、緊張ストリップ84を含むライナー83は、ライナー83および緊張ストリップ84をフィルム81から剥離して取り外すことができる。フィルムハンドル86は、フィルム81に永久的に取り付けられており、ライナーハンドル88は剥離ライナー83と一体であるように示されているが、本明細書に記載するこうしたハンドルには任意の構成を使用して良い。
図5Bの代替ドレープ構成90に示すように、緊張ストリップ98は、剥離ライナー94の下面97の後縁に永久的に取り付けられる。ライナー94は、可撓性フィルム91の下面95を覆う感圧接着剤92を覆う。フィルムハンドルおよびライナーハンドルは、図5Aに同様に示す。図5Aに関して記載したように、任意のハンドル構成を使用して良い。
さらに、図5Bに示すように、可撓性フィルム91上の接着剤92は、接着剤領域93および接着剤領域99を含む2つの接着剤領域を備える。この2つの接着剤領域93、99は、剥離ライナー94をこれらの領域から剥離するために特異な力を必要とする。たとえば、接着剤領域93とライナー94との組合せは、ライナー94が、1分当たり225cmの速度で180°剥離で測定したときに約120g/cm未満、好ましくは約80g/cm未満、さらに好ましくは約40g/cm、最も好ましくは25g/cm未満の力で接着剤領域93から剥離する組合せである。一方、剥離ライナー94を接着剤領域99から剥離するのに要する力は、ユーザが、この力と剥離ライナー94を接着剤領域93から剥離するのに必要な力とを区別できる力である。たとえば、ライナー94を接着剤領域99から取り外すのに要する力は、ライナー94を接着剤領域93から剥離するのに必要な力より少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、最も好ましくは少なくとも約30%大きくて良い。
特異な接着剤領域93、99は、ユーザが、以下に詳しく記載する方法でライナー94を接着剤92から剥離するのを停止し、接着剤領域93およびフィルム91を患者に当てがうのを開始する際に、ドレープのユーザまたは施用者に対する指標になる。こうした特異な力の技法は、単独で使用しても良いし、過程においてこの位置を示すその他のマーカー、たとえば図2に示すマーカー26と組み合わせて使用しても良い。ライナー94を接着剤領域93、99から取り外すのに要する力は、接着剤領域93、99の特性を変更するか、またはライナー94の特性を変更することにより変えることができる。たとえば、接着剤特性は、接着剤の化学作用を変えるか、塗布重量を変えるか、または接着剤を加熱してライナーを良く湿潤させて変えることができる。さらに、たとえば、ライナーの特性は、コロナ放電および火炎処理などの方法、またはコーティングの塗布などにより表面を酸化させて変えることができる。
図5Bの代替ドレープ構成である図5Cに示すように、力がより強度の剥離領域99はフィルム91の後縁まで延在する必要はなく、特異な力の機能が得られる限りどのような形態でも良い。たとえば、より強度な剥離領域99は、図5Cに示すように、2つのより低度な力領域93の間のストリップの形態を取ることができる。さらに、より強度な力領域は、ドレープの幅(W)全体に沿って延在する必要はない。
領域93、99の特異な力は、異なる剥離コーティングを接着剤またはライナーに塗布した1つの接着剤を使用し、特異な接着特性を達成するか、異なる接着特性を有する2つの異なる接着剤を使用するか、または領域99を熱的に圧延またはエンボス加工して、この領域の剥離力を増加することにより得られる。しかし、本発明は、いかなる点でも上記の技法に限定されることはなく、特異な接着特性を2つの領域に与える公知のどの方法でも使用することができる。さらに、2つ以上の特異な接着領域を使用して、ユーザがある時点で迅速に剥離を停止するべきであるという中間の指標をユーザに与えることができる。
もう1つの好適な実施例では、緊張領域またはストリップには、ライナーの除去を停止してドレープを当てがうための追加の指標を施用者に与える適切な情報または記号を印刷する。この緊張領域またはストリップは、ドレープに皺が生じたり、ドレープが曲がったりするのを減少するのに役立つ。
図5Dの代替ドレープ構成120に示すように、緊張ストリップ128は、感圧接着剤126によりライナー125に着脱自在に取り付けられる。したがって、緊張ストリップ128を取り外すと、接着剤126を露出させることができる。接着剤126を使用してライナー125を別の位置に配置すると、ドレープは、可撓性フィルム122を覆う接着剤124からライナー125を完全に取り外した後に機能を果すことができる。同様に、図4Aに関して上記に記載したとおり、ライナーハンドル45は、ライナーハンドル45を取り外したときに接着剤49が露出するように、ライナー46に塗布された感圧接着剤49を使用してさらに、あるいは代わりに着脱自在に取り付けることができる。ライナー46は、接着剤49を使用して別の位置にドレープを配置するために使用することができる。たとえば、ライナー46は、患者の別の部位、手術台または器具に移動させることができるので、こうした目的で現在使われている別のドレープが必要なくなる。
さらに、あるいは、図5Eのドレープ構成103に示すように、緊張ストリップ104は、ドレープを患者に施用する前に接着剤コーティング92全体を露出できるように、ライナー94およびフィルム91の両方に付着させることができる。ライナー94は、いったん当てがった後、緊張ストリップ104をフィルム91に付着するために塗布される剥離可能な接着剤コーティングを使用して、引き裂くかまたは除去することにより取り外すことができる。たとえば、緊張ストリップ104を紙から構成する場合、単に裂くだけで引き裂くこともできる。
さらに図5Fの代替ドレープ構成160では、1つまたは複数の緊張ストリップをドレープの後縁以外の位置に配置する。図5Fに示すように、緊張ストリップ168は、剥離ライナー166の下面165の剥離ライナー166の前縁と後縁との間に取り付けられる。緊張ストリップ168は、前縁より後縁に近く配置し、ドレープの幅全体に沿って延在することが好ましい。ライナー166は、可撓性フィルム162の下面を覆う感圧接着剤163を覆う。フィルムハンドルおよびライナーハンドルは、図5Aと同じように示す。図5Aに関して説明したように、任意のハンドル構成を使用することができる。図5Bおよび図5Cに示す実施例では、緊張ストリップ168は、接着剤部分93が部分99に会合する位置に配置すると有利である。
あるいは、緊張ストリップ168がライナー166に対して十分に硬い場合、ライナー166を接着剤163の緊張ストリップ168に対応する部分から取り外すには、より大きい剥離力が必要である。こうしたより大きい剥離力は、ライナー166を取り外すときに比較的硬い緊張ストリップが後方に屈曲して生じる非常に大きい曲率半径から生じる剥離角度の著しい変化によると考えられる。この方法では、緊張ストリップ168は、ドレープを比較的平らで皺のない状態に保つ役割を果すとともに、可撓性フィルム162の十分な接着剤塗布領域が露出して、ドレープを患者に当てがってから、ライナー166を完全に取り外すことができることを臨床家に知らせる役割、たとえばライナー166を可撓性フィルム162から剥離するのを停止するべきであることを知らせるマーカーの役割も果す。
さらに、図5Fに示すように、緊張ストリップ168をライナー166の前縁と後縁との間のどこかに配置する場合、ライナー166の後縁にもう1つの緊張ストリップ169を使用しても良い。こうした追加の緊張ストリップ169は、本明細書に記載する方法で取り付けて配置することができる。本発明により、ライナーの様々な位置に任意の数の緊張ストリップを使用でき、本発明は、いかなる点でも特定のライナー位置における特定数の緊張ストリップに限定されないことは容易に分かる。
ドレープの後縁ではなくドレープの中間に1つまたは複数の緊張ストリップを配置するか、および/または後縁の緊張ストリップのほかに配置することは、様々な状況において特定の利点がある。本明細書に記載するように、ドレープは一般に、巻くかまたは折りたたんだ状態でユーザに提供される。たとえば、ドレープを巻くかまたは折りたたんだ構成を図8A〜図8Cに示す。多くの施用技術では、ハンドルを掴んで接着剤を露出させ、フィルムを覆う接着剤からライナーの一部分を剥離する。次に、接着剤を皮膚に当ててから、ドレープを完全に巻き出す。ドレープの中間に緊張ストリップがある場合、皺を防ぐために、施用過程の早期に緊張を与える。こうした施用技術は、ドレープを手足に当てがうときに一般的である。図5Fに示すように緊張ストリップ168をドレープの内部に配置すると、ドレープの中心に硬さを与え、フィルム162上の前縁ハンドルは、ドレープの前縁に硬さを与え、残りの巻かれたドレープおよび追加の後縁緊張ストリップ169は、ドレープの後の部分に硬さを与える。
図6に示す代替手術用切開ドレープ構成の場合、ライナーハンドル116を有するドレープ110のライナー112は、一般に付属品117で示される1つまたは複数の付属品を備える。付属品117としては、パウチ、管類収納部分、焼灼器ケース、器具保持部、液体収集パウチなどがある。この付属品は、たとえば一片のプラスチックフィルム、紙または織布をライナー112の表面に封止して形成することができる。
当業者には、本明細書に記載する構成またはその部分、並びにフィルムハンドル、ライナーハンドル、特異な接着剤領域および緊張ストリップは、本発明により任意の数の組合せで使用できることが明白であろう。たとえば、あるドレープ構成は、穿孔群により取り外し可能なフィルムハンドル、ライナーと一体のライナーハンドル、およびライナーに永久的に取り付けられる緊張ストリップを使用し、別のドレープ構成は、剥離可能な接着剤を使用して取外し可能なフィルムハンドル、剥離可能な接着剤を使用して取外し可能なライナーハンドル、および剥離可能な接着剤を使用してライナーから取外し可能なライナーハンドルを使用する。別のドレープ構成は、取外し可能なフィルムハンドル、永久的に取り付けられるライナーハンドル、および永久的に取り付けられる緊張ストリップを使用する。
こうした組合せは多種多様であり、本発明は、添付の請求の範囲によってのみ限定される。さらに、本明細書に記載するこうした構成またはその部分は、図7に関して以下に記載する代替構成に示すドレープ130の部分の代わりに、あるいはこれと組み合わせて使用することができる。
図7のドレープ130の場合、緊張機能はライナー自体により与えられ、別個の緊張ストリップは不要である。つまり、ライナーが緊張ストリップとして作用する、すなわち取外しおよび施用過程全体で緊張機能を果す。しかし、1つまたは複数の緊張ストリップを様々な位置に使用して、追加の緊張効果を得ることができる。ドレープ130は、表面に接着剤132を塗布された可撓性フィルム131を当てがうときに皺になるのを防ぐことができるように十分に硬いライナー134を備える。ライナー134は、少なくとも約50μm、さらに好ましくは少なくとも約75μmの厚さを有するポリオレフィンである。たとえば、ライナー134は、厚さが少なくとも約75μm、さらに好ましくは少なくとも約100μmのポリプロピレンライナー、好ましくは二軸延伸ポリプロピレンライナーで良い。さらに、ライナー134は、厚さが少なくとも約75μm、好ましくは少なくとも約100μmの低密度もしくは中密度ポリエチレンライナーであるか、または厚さが少なくとも約50μm、好ましくは約75μmの高密度ポリエチレンライナーで良い。こうしたライナーの平均硬さは、ASTM D4032-92で測定して少なくとも約2N、好ましくは少なくとも約3N、さらに好ましくは約4Nである。
ドレープ130は、ドレープの前縁139を越えてライナーハンドル137よりさらに延在するフィルムハンドル135をさらに備える、つまり、フィルムハンドル135はライナーハンドル137より長い。したがって、フィルムハンドル135を使用して、ドレープを巻くかまたは折りたたんだ後にドレープを保護することができる。この点については図1Aに示すフィルムハンドル18に関して上記で説明したが、図8A〜図8Cに関して以下でさらに詳しく説明する。ドレープを巻くかまたは折りたたんだときにドレープを保護するハンドルは、こうした保護を行うのに適する任意のサイズまたは構成で良い。たとえば、こうしたハンドルの形状は矩形である必要はないが、ドレープの形状に合せる点で矩形であることが好ましい。
上記の手術用切開ドレープはどれも、折りたたむかまたは巻いて任意の方法で梱包した状態で引き渡される。以後、および添付の請求の範囲で使用する場合、ドレープに関連して使用する「折りたたむ/折りたたまれた」という語句は、ドレープを巻くことまたは巻かれたドレープ構成を含む。たとえば、折りたたまれたドレープは、コア周囲に巻かれたドレープ、コアがない状態で巻かれたドレープ、および2〜3回折りたたまれたドレープなどを意味する。具体的な折りたたみ構成の1つを図8Aに示し、図8Aに関して以下に詳しく記載する。
図8Aに示す折りたたまれたドレープ構成140は、ドレープ130の後縁133で開始して前縁に移動して何回も折りたたまれた図7のドレープ130を含む。ドレープ130は、可撓性フィルム131を外側にして折りたたむ。フィルムハンドル135は、折りたたまれたドレープの外周全体の周囲に延在してドレープ130を保護するのに十分な寸法を有する。
閉鎖タブ141は、フィルムハンドル135およびドレープ130の部分に取り付けられ、フィルムハンドル135を所定の位置に保持するために形成される。図8Aに示すように、閉鎖タブ141は、フィルムハンドル135の2箇所に取り付けられる。閉鎖タブ141は、ドレープから剥離可能だが、折りたたまれたドレープの外周部周囲の所定の位置にフィルムハンドル135を保持して、折りたたまれたドレープを保護するのに十分な要素で良い。フィルムハンドル135は、ドレープを患者に当てがった後にハンドル135を取り外すことができる穿孔群145を備えるが、上記のようにその他の任意のハンドル除去技法を使用することができる。
ライナーのフィルムハンドルまたはライナーハンドルは、折りたたまれたドレープを保護する寸法で構成することができる。ドレープ130は、任意の緊張ストリップ148が配置されるドレープ130の後縁133から折りたたむ。当然のことながら、緊張ストリップは、ドレープ130の前縁139から離れた位置に配置しても良い。こうした任意の緊張ストリップ148は、ドレープを巻いた後に「コア」として機能する。さらに、ドレープ130は、ライナー134と可撓性フィルム131のどちらを外側にして折りたたんでも良い。
折りたたまれたドレープ構成140は、個々の領域の折り目151および153が形成され、ドレープがほぼ平らに折りたたまれた形状140になるように、ドレープを巻いた後、巻かれたドレープ130を実質的に平らにして達成される。紙ライナーを使用する場合、製品を巻いて平らに圧縮した後、耐久性のある折り目は、製品が殺菌されていない表面たとえば患者の皮膚の上に落ちるなど、早期に解けるのを防ぐのに役立つ。ドレープがその自重で解けないように、ライナーは十分に硬さであり、折り目も十分に形成されることが好ましい。
ポリオレフィンライナーなどのようなポリマーライナーを使用する場合、ライナーは、こうした折り目を保つとともに折り目の永続性を避けるのに十分な厚さがあり、材料の曲げ弾性率は十分に高いことが好ましい。こうした永続的な折り目は、紙ライナーを使用して、折りたたまれるかおよび/または平らにしてから引き渡されるものなど、従来の手術用切開ドレープには一般的である。こうした永続的な折り目は、ドレープを当てがう前かまたは当てがう際にドレープを解くときに、不規則に「当たる」原因になり、必要な力が突然変わる結果になる。この一貫しない供給は、皺の原因になる可能性がある。こうした深い永続的な折り目を避けるため、ポリマーライナーは、患者に供給される可撓性フィルムを備えて、こうした問題を回避する。
永続的で安定した折り目が生じないライナーの場合、ドレープは、特定の施用技術では、早期に解ける傾向がある。この場合、ドレープの縁部に沿って、あるいはドレープ内部に感圧接着剤を塗布すると有利である。たとえば、少量の感圧接着剤をドレープの縁部で露出させるか、またはドレープの縁部に故意に塗布すると、巻かれるかまたは折りたたまれた形状でドレープを軽く付着させることができる。
あるいは、感圧接着剤をフィルム上面の狭い範囲に塗布して、ドレープを当てがうときにドレープが部分的または完全に早期に解けるのを防ぐために考えた位置に、巻かれたかまたは折りたたまれたドレープを付着させる。この目的に特に好適な接着剤は、3M 9415高粘着性/低粘着性両面塗付テープである。
もう1つの代替例では、熱、たとえば加熱したアイロンまたは温風を使用してドレープの縁部に軽く付着させて、ドレープが早期に解けないが、当てがう際に容易に巻き出すことができるようにする。この方法は、ポリマーライナーを含む製品に特に有利である。
さらに、ポリオレフィンライナーなどのポリマーライナーを使用すると(ポリエチレンライナーが好ましい)、手術用切開ドレープ140を容器および引き出しに適合するように折りたたむことができ、しかも接着剤塗布可撓性フィルムを患者に当てがうときにライナーが裂けることがない。一方、紙ライナーは、ライナーの折りたたみと永続的な折り目により影響を受け、引裂の開始と伝搬の原因になる傾向がある。さらに、ポリマーライナーの場合、ユーザは、多層のドレープを所望の寸法および形状に切断することができる。これは、重い紙ライナーを使用する場合は行うことが難しい。さらに、ドレープを解いた後、プラスチックライナーを使用するドレープは、圧力および/または熱で平らにして、十分な折り目を形成することができる。
あるいは、図8Bのドレープ構成170に示すように、ハンドル172は、ハンドル172がドレープ171の外周部周囲全体を巻かないセイズでも良い。閉鎖タブ175は、ドレープ171が折りたたまれた形状を保つ所定の位置にハンドル172を保持するように配置する。あるいは、閉鎖用のその他の手段を使用して、ドレープを折りたたまれた形状に保つこともできる。たとえば、紙またはプラスチックシートをオーバラップとして、折りたたまれたドレープ周囲に巻いても良い。さらに、図8Cのドレープ構成180に示すように、延長ハンドル182は、ドレープ181の一部分に取り付けて、ドレープ181が折りたたまれた形状を保つ所定の位置にハンドル182を保持するために、感圧接着剤185を塗布された部分を有する。一般に、こうしたドレープ構成170、180の場合、ハンドルは適切な寸法であり、何らかの技法でドレープの他の部分に取り付けて、ドレープを折りたたまれた形状に保つ。
一般に、ドレープ構成は、本明細書に記載するように、以下のようにライナーを剥離して可撓性フィルムを患者に当てがうときに、可撓性フィルムを皺のない状態に保つ。様々なドレープ構成を多くの方法で患者に当てがうことができる。先ず、図1〜図3に示すドレープ10の施用について説明する。次に、ドレープ130の施用について説明する。図1A並びに図2および図3は、施用手順を開始する前の手術用切開ドレープ10を示す。図1Bは、フィルム12を覆う接着剤14から剥離ライナー16を取り外し始める状態を示す。施用手順を開始するには、一方のユーザがフィルムハンドル18を掴み、他方のユーザが、巻かれたドレープのライナーハンドル22を掴む。巻かれたドレープの具体的な例を図8Aに示す。
ドレープ10を少なくとも部分的に巻き出した後、剥離ライナー16を接着剤14から逆方向にさらに剥離する。図1Cに示すように、剥離ライナー16は、剥離ライナー16の後縁34がフィルム12の後縁32の接着剤14にまだ付着しているように逆方向に剥離する。この時点で、可撓性フィルム12を患者に当てがうことができる状態になる。ユーザには、接着剤14から剥離ライナーを巻き出すのを停止するように多くの方法で知らせることができる。たとえば、図2に示すように、可撓性フィルム12は、ユーザがドレープの巻き出しを停止して、フィルム12を患者に当てがうのを開始する位置をユーザに知らせるマーキング26を有することができる。さらに、たとえば図5Eに関して記載した技法を用いて、巻き出しを停止する指標を形成することができる。あるいは、こうした指標は、図5Bおよび図5Cに関して上記に記載したように特異な接着剤領域を使用して形成することができ、この特異な領域は、剥離ライナー16を取り外す際にある位置で認識可能な特異な力をユーザに提供する、つまり、ライナー16を取り外すのに要する力は、マーク26で変化する。
図1Dに示すように、ユーザは、ライナーを部分的に取り外した手術用切開ドレープ10を保持して、表面に接着剤14を塗布された可撓性フィルム12が実質的「U」つまり「サドル」形構成になるようにすることが好ましい。U形は、患者、たとえば患者の胸または背に最初に接触して付着する、より低い中心粘着性部分37を有する。より低い中心部分37が患者に接触して付着すると、可撓性フィルム12の他の部分、つまりこの中心部分37の各側の可撓性フィルムは、患者の表面上で平らに拡がる。
多くの状況では、U形を使用しないことは明白である。たとえば、ドレープを手足に施用する場合、接着剤14の小部分のみを露出させてから、接着剤を手足に貼付する。その後、接着剤をさらに巻き出して手足に貼付する。
フィルム12を患者の表面上で滑らかにした後、剥離ライナー16の他の部分を可撓性フィルム12および接着剤14から取り外す。したがって、ハンドル18が形成された可撓性フィルム12は、図1Eに示すとおり、実質的に皺のない状態で患者に当てがわれる。さらに、ドレープは、当てがった後、1つのハンドル18のみが残る。このハンドル18は、たとえば剥離可能な接着剤または穿孔群を使用して可撓性フィルム12から取り外す。フィルム12を患者に当てがった後に、ドレープ10に残った1つのハンドル18を取り外すと、ドレープを当てがう過程のステップは、2つのハンドルを使用する技法など、他のドレープ施用技法に比べて少なくなる。
透明なポリマーライナーを使用すると、ドレープ10を施用するユーザは、ドレープ10を当てがう領域をより見やすくなる。透明なポリマーライナーの利点は、図1Dから分かる。ユーザがドレープ10を実質的U形に保持すると、患者にドレープを当てがうときにライナーを見やすくなる点が明らかに有利である。
図8Aは、施用手順を開始する前の手術用切開ドレープ130を示す。手術用切開ドレープ130は、図8Aに示すように、たとえばポリエチレンから製造される使い捨て式の保護バッグ内に一般に収納される。外周部周囲に巻かれるフィルムハンドル135により、ドレープ130を梱包する際に保護バッグ内に容易に挿入することができる。さらに、フィルムハンドル135は、挿入過程でドレープが破損するのを防ぐ。たとえば、保護カバー、たとえば巻かれたフィルムハンドル135または所望の別個の保護カバーがない場合、ドレープの一部分は、保護バッグ内に挿入するときに保護バッグに引っ掛かり、ライナーが裂けたり、フィルムに皺が生じたりなど、ドレープの構成が不具合になる。別個の保護カバーは、別の材料がさらに必要になって無駄が増えるので好ましくない。フィルムハンドル135または延在したライナーハンドルを保護カバーとして使用することにより、別個の廃棄物はなくなる。
ドレープ130を保護バッグ(図示しない)から取り外した後、ユーザは閉鎖タブ141を取り外す。ユーザは次に、フィルムハンドル135を掴み、フィルムハンドル135をドレープ130の他の部分から巻き出してライナーハンドル137を露出させる。次に、別のユーザが、折りたたまれたドレープのライナーハンドル137を掴む。次に、剥離ライナー134を接着剤132から逆に剥離する。ユーザは、所望なだけ遠くにライナー134を逆方向に剥離することができるが、ライナー134の一部分はまだ接着剤132に付着している。ユーザは、図1に関して上記で説明したのと同じ方法で剥離ライナー134を巻き出すのを停止すべきことを知ることができる。
接着剤132が露出した時点で、接着剤塗布可撓性フィルム131を患者に当てがう準備が整う。接着剤132の主部分が露出して、可撓性フィルム131を患者の上に滑らかに配置した後、剥離ライナー134の他の部分を可撓性フィルム131および接着剤132から取り外す。したがって、ハンドル135を取り付けられた可撓性フィルム131は、実質的に皺のない状態で患者に当てがわれる。さらに、ドレープを当てがった後、ドレープには1つのハンドル135のみが残る。次にハンドル135を可撓性フィルム12から、たとえば穿孔群145を使用して取り外す。
図2および図3に示すように、1つまたは複数のハンドル18、22または緊張ストリップ20には、その表面に印刷情報24を有することができる。たとえば、印刷情報24は、ドレープ10の使用に関する指示またはその他の情報を含む。したがって、ドレープ10に必要な梱包の量を少なくなる。印刷情報24は、フィルム12に取り付けられたハンドル上に配置して、施用過程で長時間にわたって見えており、施用の際にどちら側を「上」にすべきかを示すのに役立つことが好ましい。
さらに、本発明により、フィルム、ライナー、接着剤またはこうした要素の任意の組合せは、ドレープに過度の静電気が生じないように処理することができる。好適なドレープの表面抵抗率は、Keithleyモデル8008抵抗率試験取付具で500Vに設定したKeithleyモデル487ピコメータ電源を使って測定して約1013Ω未満、好ましくは約1012Ω未満、最も好ましくは約1011Ω未満である。これは、塩、グリコール、接着剤自体の親水性極性置換基などの親水性または導電性薬剤を接着剤に添加して達成される(たとえば、アクリレート接着剤の場合、アクリル酸およびその誘導体、アクリルアミドおよびその誘導体、N-ビニルラクタム、ポリエトキシル化ヒドロキシアルキルアクリレートなどを含むヒドロキシアルキルアクリレートおよびその誘導体を含むことができ、ポリウレタン接着剤の場合、接着剤は、ポリエチレングリコール並びに酸化エチレンおよび酸化プロピレンのコポリマーなどの親水性ポリオールを含むことができる)。あるいは、またはさらに、帯電防止剤を可撓性フィルムおよび/またはライナーに添加するか、または含むことができる。適切な帯電防止剤としては、非イオン、陰イオン、陽イオンおよび双性イオン界面活性剤、並びに親水性または導電性ポリマーがある。
図9は、ドレープ200のさらにもう1つの実施例を示す。ドレープ200は、一方の主面に沿って接着剤206を塗布されたフィルム裏材202と、ハンドル204とを備える。引裂線208(たとえば穿孔群の線)は、余白または隙間Gでフィルム裏材202の縁部から離間配置された穿孔群208で形成される。
上記のとおり、可撓性フィルムの裏材202は弾性で薄く、厚さが約75μm未満であることが多いが、約52μm未満であれば好ましい。可撓性フィルム202はこのように薄いので、フィルムの縁部全体に穿孔するか、またはフィルムの縁部に刻み目を配置する場合、施用の際に力が加わることによって、施用時に穿孔群が裂ける場合がある。したがって、ドレープの縁部は、引裂に耐えるが、十分な力を加えたときに裂けて引裂線が容易に伝搬することが望ましい。非穿孔フィルムの部分Gを当てがうときに穿孔部分が不必要に裂けるのを防ぐには、ドレープの余白を残すことが好ましい。この方法の場合、ドレープは丈夫であり、穿孔群は十分な剪断力を加えない限り開始せず、施用者が故意にハンドルを取り外そうとするときに開始する。非穿孔フィルムのフィルム縁部の余白Gは少なくとも0.5cmであることが好ましく、少なくとも1cmであればさらに好ましく、少なくとも2cmであれば最も好ましく、約2.5cmの余白があれば十分に機能するようだった。
あるいは、弾性可撓性フィルムは、縁部まで完全に穿孔しても良いし、引裂可能な一片のテープなどの補強材を縁部に貼付してこの部分(たとえば、図9の「G」に示す領域と同じ領域)を補強しても良い。この補強「テープ」は、一片の接着剤塗布紙、プラスチックであるか、または施用時に応力に耐えるが、臨床家がハンドル204を取り外そうとするときに裂くことができるその他の材料で良い。
図10に示すように、ドレープ300は、ドレープの幅全体に延在する補強テープ302を備える。補強テープ302は、フィルム304とフィルムハンドル306を架橋または接続するために、フィルム304もしくはフィルムハンドル306に付着するか、またはこの両方に付着することが好ましい。補強テープ302は、引裂線を形成する複数の穿孔群308を有することが好ましいが、テープの長さに沿ってテープに刻み目を形成するか、または長手方向に延在する弱い領域を形成するなど、他の適切な手段で形成することができる。
フィルムおよびフィルムハンドルは重なるが、補強テープ302は、フィルム304とフィルムハンドル306とが重ならないように接続するかまたは架橋するように配置することが好ましい。穿孔群308の線は、フィルム304とフィルムハンドル306との間の補強テープ302に配置して、穿孔群308の線が裂けるときに、フィルム304もフィルムハンドル306も裂けることがないようにすることが好ましい。
好適な実施例では、穿孔済み補強テープ302は、アクリレート接着剤を含む穿孔済み低密度ポリエチレンフィルムテープ、たとえばMinnesota Mining and Manufacturingが「3M TransporeTM」テープの商標で市販しているテープであることが好ましい。この好適な「3M TransporeTM」テープは、穿孔群の多数の線を有し、フィルムハンドルをフィルムに重ならないように取り付けるのに使用することができる。この方法では、ハンドルは、穿孔済みテープを介して裂けてきれいに取り外される。
非穿孔余白Gおよび補強テープは、ドレープの縁部に隣接して裂けるのに耐える手段の具体的な実施例を構成する。穿孔線は、引裂線、または線に沿って引裂を伝搬させる手段の一実施例を構成する。この引裂線または線に沿って引裂を伝搬させる手段の代替実施例は、線に沿ってフィルムに刻み目を形成すること、たとえば熱および圧縮を使用するかまたは任意の適切な穿孔構成を与えて、線に沿ってフィルムの厚さを減少させることを含む。
1997年5月16日提出の同時係属米国特許出願第08/857,723号、1996年5月16日提出の第08/648,786号、および1997年5月16日提出の第08/857,724号は、手術用切開ドレープについて開示している。
本発明の様々な変形および変更は、当業者には、請求の範囲に記載する本発明の範囲を逸脱せずに明白であり、本発明は、本明細書に記載する具体的な実施例および方法に不当に限定するべきではないと考えるべきである。

Claims (1)

  1. 手術用切開ドレープ(90)において、
    接着剤(92)を塗布した主部分並びに前縁および後縁を有する可撓性フィルム(91)と、
    前記可撓性フィルムの前記前縁に設けられるフィルムハンドル(86)と、
    前記可撓性フィルムの前記前縁および前記後縁に対応する前縁および後縁を有し、前記接着剤を塗布した前記可撓性フィルムの前記主部分を実質的に覆うライナー(94)と、
    前記ライナーの前記後縁の位置を含む、前記ライナーの前記前縁から離れた位置で前記ライナーに取り付けられる1つ以上の緊張ストリップ(98、168、169)とを具備し、
    前記ライナーには、前記ライナーの前記前縁にライナーハンドル(88)が形成され、
    前記緊張ストリップは、前記ライナーを前記可撓性フィルムの前記主部分から取り外すときに、前記フィルムハンドルと該緊張ストリップとの間に存在する前記可撓性フィルムの少なくとも一部分を皺のない状態に保つようになっており、
    前記緊張ストリップが前記可撓性フィルムよりも硬く、
    前記接着剤は、1つが前記可撓性フィルムの前記前縁まで延びるとともに他の1つが前記可撓性フィルムの前記後縁まで延びる2つの第1接着剤領域と、それら第1接着剤領域の間の第2接着剤領域とを備え、前記ライナーを該第2接着剤領域から取り外すのに要する力が、前記ライナーを該第1接着剤領域から取り外すのに要する力より大きいこと、
    を特徴とする手術用切開ドレープ。
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