JP4704110B2 - 光走査装置の駆動方法および光走査装置 - Google Patents

光走査装置の駆動方法および光走査装置 Download PDF

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Description

本発明は、発光スイッチ素子を複数配列して、光走査する光走査装置の駆動方法および光走査装置に関する。
発光素子としてPNPN構造を有する発光サイリスタを使用し、発光サイリスタによって発光の自己走査を実現することによって、光プリンタヘッドに供するときに、基板への実装が簡便となり、コンパクトに作製することができる発光装置がある(たとえば特許文献1,2,3,4,5参照)。
図30は、自己走査機能を有する第1の従来の技術の発光装置1の基本構造の模式図である。発光装置1では、スタート発光サイリスタT0と、発光サイリスタT1,T2,…,Tn−1,Tnが略直線上に配列され、所定の発光サイリスタが発光すると、この発光サイリスタからの光が配列方向に隣接する発光サイリスタに入射するように構成される。スタート発光サイリスタT0と、発光サイリスタT1,T2,…,Tn−1,Tnとをまとめて、単に発光サイリスタTと記載する場合がある。
発光サイリスタTは、光を受光してそのしきい電圧が低下する特性を有する。このため、発光している発光サイリスタTに距離的に近接する発光サイリスタのしきい電圧が低下する。各発光サイリスタTのアノードには、3本の転送クロックラインCL1,CL2,CL3がそれぞれ3つの発光サイリスタごとに繰返し接続される。各転送クロックラインCL1,CL2,CL3には、それぞれ電流源I、I、Iが接続され、その電流量は発光クロックパルスφEによって制御される。
図31は、発光装置1の動作を説明するための波形図である。図31において、φSは、スタート発光サイリスタT0に与えられるスタートパルスを表し、φ1〜φ3は、転送クロックラインCL1〜CL3に与えられる第1〜第3クロックパルスをそれぞれ表し、L(T0)〜L(Tn)は、それぞれ発光サイリスタTの発光強度を表す。
まず、スタートパルスφSがローレベルからハイレベルに変化し、これによって、スタート発光サイリスタT0がオフ状態からオン状態へ変化する。スタート発光サイリスタT0からの光は、隣接する発光サイリスタT1に入射し、これによって発光サイリスタのしきい電圧は低下する。発光サイリスタT2よりも走査方向下流側の発光サイリスタTは、発光サイリスタT1よりもスタート発光サイリスタT0から離間しているので、スタート発光サイリスタT0からの入射光は弱く、しきい電圧の低下は小さい。スタート発光サイリスタT0から離間するほど入射光は弱まり、しきい電圧の変化も小さくなる。この状態で、次に第1クロックパルスφ1がローレベルからハイレベルに変化すると、発光サイリスタT1のしきい電圧が、スタート発光サイリスタT0からの光を受光することによって低下しているので、発光サイリスタT1がオフ状態からオン状態へ変化する。転送クロックラインCL1に接続される発光サイリスタT4は、スタート発光サイリスタT0から十分離れているので、しきい電圧の低下はほとんどない。よって発光サイリスタT1のみオン状態となる。そしてスタートパルスφSをローレベルとすることによってスタート発光サイリスタT0はオン状態からオフ状態へ変化する。これによってオン状態がスタート発光サイリスタT0から発光サイリスタT1へ転送される。
同様に、図31に示すように転送クロックラインCL1,CL2,CL3に与えられる第1〜第3クロック信号φ1〜φ3が変化すると、発光サイリスタT1から発光サイリスタT2に、発光サイリスタT2から発光サイリスタT3に、時間とともにオン状態が、すなわち発光状態が転送される。ここで、第3クロックパルスφ3のみがハイレベルにあり、発光サイリスタT3がオン状態にあるとき、発光サイリスタT3からの光は、隣接する発光サイリスタT2,T4に最も強く入射し、これによって発光サイリスタT2,T4のしきい電圧が低下する。発光サイリスタT1,T5は、発光サイリスタT2,T4に比べ、発光サイリスタT3から遠方にあるため、発光サイリスタT3から入射する光は弱く、しきい電圧はあまり低下しない。
このような発光サイリスタTの電圧−電流特性を図32に示す。図32は、発光サイリスタのアノード端子−カソード端子間の順方向電圧−電流特性を模式的に示す線図であり、横軸はアノード電圧を、縦軸はアノード電流を表わしており、同図の特性曲線で示すように、この発光サイリスタは、通常のサイリスタと同様のS字形負性抵抗を有している。この発光サイリスタは、ゲート端子に印加する電圧もしくは電流によって、あるいは半導体層に光照射を行うことによって、発光のしきい電圧もしくはしきい電流を低下させることができ、これによって同図の負荷線上に示す点b(オフ状態)から点a(オン状態)へ移り、発光サイリスタがスイッチとして機能することが知られている。
図32において、VB0は初期の発光サイリスタのしきい電圧、Vはゲート印加電圧もしくは電流によって、あるいは光照射により最もしきい電圧の低下した状態の発光サイリスタのしきい電圧、Vは、しきい電圧がVとなった発光サイリスタと同じクロックラインに接続されている発光サイリスタのうち、2番目にしきい電圧の変化が大きい(低下した)発光サイリスタのしきい電圧をそれぞれ表す。このVは、ゲート印加電圧もしくは電流によって、あるいは光照射によりわずかにしきい電圧の低下低下した状態の発光サイリスタ、もしくはターン−オフ時、すなわちいったんオン状態となった後、初期状態に回復しつつある発光サイリスタのしきい電圧である(たとえば、非特許文献1参照)。
発光サイリスタT3がオン状態で発光しているときに、第1クロックパルスφ1がハイレベルに変化すると、発光サイリスタT4のしきい電圧VTH(T4)は、図32に示すVに等しく、発光サイリスタT1のしきい電圧VTH(T1)である図32に示すVに比べて、より低下しているので、クロックパルスのハイレベル電圧Vを、VTH(T4)<V<VTH(T1)と設定する、すなわちV<V<Vとすることによって、発光サイリスタT4のみがオン状態となり、発光サイリスタT1はオフ状態を維持する。そして第3クロックパルスφ3をローレベルにすることによって、発光サイリスタT3はオフ状態になり、オン状態は発光サイリスタT3から発光サイリスタT4へ転送される。
このように第1〜第3クロックパルスφ1,φ2,φ3のハイレベルを、互いに少しずつ重なるように設定することによって、発光サイリスタTのオン状態は、発光サイリスタTの配列方向に沿って順次転送されていく。たとえば発光サイリスタT3を強く発光させる場合、発光サイリスタT3が発光するタイミングに合わせて、発光クロックパルスφEをハイレベルにする。これによってオン状態の発光サイリスタT3のみ電流量が増加するので、発光サイリスタT3の発光強度を大きくすることができる。
図33は、自己走査機能を有する第2の従来の技術の発光装置2の基本構造の概略的な回路構成を示す回路図である。発光装置2は、スイッチ用のサイリスタT1,T2,…,Tn−1,Tnが略直線状に配列されたスイッチサイリスタアレイと、発光用のサイリスタL1,L2,…,Ln−1,Lnが略直線状に配列された発光サイリスタアレイとを有する。スイッチサイリスタT1,T2,…,Tn−1,Tnを総称する場合は、単にスイッチサイリスタTと記載し、発光サイリスタL1,L2,…,Ln−1,Lnを総称する場合は、単に発光サイリスタLと記載する場合がある。
発光装置8では、スイッチサイリスタT1,T2,…,Tn−1,Tnおよび発光サイリスタL1,L2,…,Ln−1,Lnのうち、それぞれの対応したスイッチサイリスタTのゲートと、発光サイリスタLのゲートとが接続される。たとえば、走査方向の上流側からn番目に配置されるスイッチサイリスタTnと、同じく走査方向上流側からn番目に配置される発光サイリスタLnのゲートとが接続される。スイッチサイリスタT1のゲートは、第1信号入力ラインSに接続される。また、各々のスイッチサイリスタTのゲートは、負荷抵抗Rを介して制御用電源VGKに接続され、アノード電極には、2本のクロックラインCL1,CL2がそれぞれ2つのスイッチサイリスタごとに繰り返し接続される。たとえばスイッチサイリスタT1,T3は、転送クロックラインCL2に接続され、たとえばスイッチサイリスタT2,T4は、転送クロックラインCL1に接続される。
またスイッチサイリスタT2のゲートと、スイッチサイリスタT1のゲートと、転送方向指定ダイオードDを介して接続され、以後、同様に隣接するスイッチサイリスタTのゲートは、転送方向指定ダイオードDを介して接続される。転送方向指定ダイオードDは、アノードが転送方向下流側のスイッチサイリスタのゲートと接続される。発光サイリスタLのアノードは、第2信号入力ラインEに接続され、カソードは、接地される。
図34は、発光装置2の動作を説明するための波形図である。図34において、φSは、第1信号入力ラインSに与えられるスタートパルスを表し、φ1およびφ2は、転送クロックラインCL1,CL2にそれぞれ与えられる第1、第2クロックパルスをそれぞれ表し、φEは、第2信号入力ラインEに与えられる発光クロックパルスを表し、Lは、発光サイリスタT1の発光強度を表す。
転送のスタートは、スタートパルスφSがハイレベルからローレベルに変化することによって始まる。これによって、電気的にスイッチサイリスタT1のしきい電圧が低下げられる。このとき第2クロックパルスφ2をローレベルからハイレベルにすることによって、スイッチサイリスタT1がオン状態になる。スイッチサイリスタT2の走査方向下流側のスイッチサイリスタTは、転送方向指定ダイオードDによって、スイッチサイリスタT1から離れるほどダイオードDの順方向電圧降下分、スイッチサイリスタTのゲートにかかる電圧が上昇する。このため、同じ転送クロックラインCL2が接続されているスイッチサイリスタT3のゲートは、ダイオードDを2つ介してスイッチサイリスタT1のゲートと接続されるので、スイッチサイリスタT3のしきい電圧は、第1スイッチサイリスタT1のゲートよりもダイオードDの2つ分の電圧だけしきい電圧が上昇しており、第2クロックパルスφ2のハイレベルがスイッチサイリスタT3のしきい電圧以下となるようなスタートパルスを与えることによって、スイッチサイリスタT1のみがオン状態になる。
この状態で発光クロックパルスφEをローレベルからハイレベルにすると、ゲートがスイッチサイリスタT1のゲートに接続されている発光サイリスタL1のオン条件は、第1スイッチサイリスタのオン条件と同じになるため、発光サイリスタL1が点灯することになる。発光クロックパルスφEをハイレベルからローレベルに戻すことによって、発光サイリスタL1はオフ状態になり消灯する。
次にスイッチサイリスタT1からスイッチサイリスタT2へのオン状態の転送について説明する。発光サイリスタL1がオフ状態になっても第2クロックパルスφ2がハイレベルのままであれば、スイッチサイリスタT1のオン状態は保持される。このとき、スイッチサイリスタT2では、発光サイリスタT1に比べダイオード1つ分だけゲートに印加される電圧が高くなり、同じ転送クロックラインCL1が接続されているスイッチサイリスタT4は、それよりもさらにダイオード2つ分だけゲートに印加される電圧が高くなる。この状態で第1クロックパルスφ1を、ローレベルからハイレベルに変化させたとき、スイッチサイリスタT2のしきい電圧と、スイッチサイリスタT4のしきい電圧の間となるように、第1クロックパルスφ1のハイレベルを選べば、スイッチサイリスタT2のみがオン状態になる。
スイッチサイリスタT2がオン状態となった後、第2クロックパルスφ2をハイレベルからローレベルに変化させることによって、スイッチサイリスタT1は発光サイリスタL1がオフ状態となるのと同様にオフ状態になる。このときスタートパルスφSがローレベルからハイレベルに変化しているので、転送方向指定ダイオードDによって、スイッチサイリスタT1のゲートに印加される電圧は、ほぼ制御用電源VGKの電圧に等しくなり、全てのスイッチサイリスタTのうちスイッチサイリスタT2のしきい電圧が、最も低くなる。このようにして、スイッチサイリスタTのオン状態は、スイッチサイリスタT1からスイッチサイリスタT2に移る。このとき、発光クロックパルスφEをローレベルからハイレベルにすると、発光サイリスタL2がオン状態となり、発光する。
前記の動作を、スイッチサイリスタT1,T2,…,Tn−1,Tnにおいて、順次繰り返すことによってスイッチサイリスタTのオン状態が、2本の転送クロックラインCL1,CL2のみで順次転送される(たとえば、特許文献2,3,4,5参照)。
スイッチサイリスタTの特性は、前述した図32で表される電圧−電流特性を有し、発光装置2においても、スイッチサイリスタTの転送方向指定ダイオードDの順方向電圧降下分の差において、もしくはターン-オフ状態のスイッチサイリスタにおいてオフ状態を保つために、各クロックラインに印加されるクロックパルスのハイレベル電圧の範囲が、図32におけるV<V<Vとしている。
また第3の従来の技術として、受光によってしきい電圧が変化する2つのサイリスタを、負荷抵抗を介して並列に接続し、負荷抵抗を介して2つのサイリスタに電圧を印加したときに、2つのサイリスタのうち、受光によって励起状態となりしきい電圧が低くなったサイリスタのみがオン状態となるフリップフロップがある(たとえば、非特許文献2参照)。
特開昭49−124992号公報 特許第2577034号公報 特許第2577089号公報 特許第2683781号公報 特開2003−243696号公報 Appl.Phys.lett.,Vol.64,No.16,PP2073-2075,April 1994 Opt.lett.,Vol.15,No.13,PP749-751,July 1990
前述の発光装置1では、発光サイリスタが発光する光を隣接する発光サイリスタが受光して光励起する構成であり、光励起した発光サイリスタのしきい電圧は十分に低下している必要がある。すなわち、発光サイリスタの受光感度が高いことが要求される。また発光装置1においては、発光サイリスタの発光の転送、および未励起状態の発光サイリスタにおいて確実にオフ状態を保つために、各転送クロックラインに印加されるクロックパルスのハイレベル電圧の範囲が、図32におけるV<V<Vに制限される。また第2の従来の技術の発光装置においても、スイッチサイリスタの転送方向指定ダイオードDの順方向電圧降下分の差において、もしくはターン-オフ状態のスイッチサイリスタにおいてオフ状態を保つために、各クロックラインに印加されるクロックパルスのハイレベル電圧の範囲が、図32におけるV<V<Vに制限されるという問題がある。したがって、従来の技術の発光装置1,2においては、前記Vの範囲を確保するために、高い受光感度を有するか、あるいは高い初期しきい電圧または高い初期しきい電流を有するサイリスタを用いる必要があるが、このようなサイリスタを形成することが困難であるという問題がある。また第3の従来の技術のフリップフロップでは、光走査することができない。
したがって本発明の目的は、装置の構造を複雑にすることなく、可及的に少ない信号伝送路によって、配列される発光スイッチ素子が高い受光感度、あるいは高い初期しきい電圧または高い初期しきい電流を有さなくても、この発光スイッチ素子を順番に発光させることができる光走査装置の駆動方法および光走査装置を提供することである。
本発明は、受光によって走査信号の電圧または電流よりもしきい電圧またはしきい電流が低下し、かつ前記走査信号が与えられたとき発光する発光スイッチ素子を複数有し、複数の前記発光スイッチ素子が隣接する発光スイッチ素子からの光を受光するように相互に間隔をあけて配列された発光スイッチ素子アレイと、
各発光スイッチ素子に接続され、配列方向に隣接する発光スイッチ素子毎に、異なるタイミングで与えられる前記走査信号を伝送する複数の走査信号伝送路と、
各走査信号伝送路に各発光スイッチ素子と直列となるように接続される抵抗素子とを含む光走査装置の駆動方法であって、
隣接する発光スイッチ素子からの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子が接続される前記走査信号伝送路に、この走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の最低値よりも高い電圧または電流の走査信号を与えることを特徴とする光走査装置の駆動方法である。
また本発明は、隣接する前記発光スイッチ素子からの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下した前記発光スイッチ素子が接続される前記走査信号伝送路に、この走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の平均値よりも高い電圧または電流の走査信号を与えることを特徴とする。
また本発明は、発光状態の前記発光スイッチ素子が接続された前記走査信号伝送路への電圧または電流の供給を停止した後、予め定める時間をあけて発光状態にあった前記発光スイッチ素子の配列方向に隣接する前記発光スイッチ素子が接続された前記走査信号伝送路への電圧または電流の供給を開始することを特徴とする。
また本発明は、前記予め定める時間は、発光状態の前記発光スイッチ素子が接続された前記走査信号伝送路への電圧または電流の供給を停止した時刻から、発光状態にあった前記発光スイッチ素子に隣接する前記発光スイッチ素子の低下したしきい電圧またはしきい電流が、この発光スイッチ素子と同じ前記走査信号伝送路に接続された他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の最低値と等しくなる時刻に達するまでの時間よりも短く選ばれることを特徴とする。
また本発明は、受光によって走査信号の電圧または電流よりもしきい電圧またはしきい電流が低下し、かつ前記走査信号が与えられたとき発光する発光スイッチ素子を複数有し、複数の前記発光スイッチ素子が隣接する発光スイッチ素子からの光を受光するように相互に間隔をあけて配列された発光スイッチ素子アレイと、
各発光スイッチ素子に接続され、配列方向一方側に隣接する発光スイッチ素子とは、異なるタイミングで各発光スイッチ素子に伝送する前記走査信号が与えられる複数の走査信号伝送路と、
前記各走査信号伝送路に各発光スイッチ素子と直列となるように接続される抵抗素子と、
隣接する発光スイッチ素子からの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子が接続される前記走査信号伝送路に、この走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の最低値よりも高い電圧または電流の走査信号を供給する駆動手段とを含むことを特徴とする光走査装置である。
本発明によれば、発光スイッチ素子アレイの配列する複数の発光スイッチ素子のうち、1つの発光スイッチ素子が発光したときに、この発光した発光スイッチ素子の光は、配列方向一方側に相互に間隔をあけて隣接する発光スイッチ素子に受光される。受光した発光スイッチ素子は、しきい電圧またはしきい電流が低下し、このしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子に接続された走査信号伝送路を介して走査信号を与えられることによって、発光スイッチ素子を発光させることができる。複数の走査信号伝送路によって伝送される走査信号は、配列方向に隣接する2つの発光スイッチ素子において異なるタイミングで与えられ、発光スイッチ素子を配列方向に順番に発光させることができる。
隣接する発光スイッチ素子からの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子が接続される前記走査信号伝送路に、この走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の最低値よりも高い電圧または電流の走査信号を与えると、走査信号は抵抗素子を介して、走査信号伝送路に与えられ、発光スイッチ素子には、抵抗素子によって分圧された電圧が与えられる。各発光スイッチ素子には、抵抗素子によって分圧された電圧が徐々に印加されることとなり、同じ走査信号伝送路に接続される複数の発光スイッチ素子のうち、隣接している発光スイッチ素子からの光を受光した発光スイッチ素子に与えられる電圧または電流が、最も早くこの発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流よりも大きくなる。これによって、しきい電圧またはしきい電流が最も低い発光スイッチ素子のみが発光し、他の発光スイッチ素子は、発光しない。
従来の技術の発光装置では、走査信号伝送路によって伝送される走査信号の電圧または電流の範囲を大きくとるために、各発光スイッチ素子は、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光したときのしきい電圧またはしきい電流を、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光していない状態におけるしきい電圧またはしきい電流の20%以下まで下げることが必要であるが、本発明では各発光スイッチ素子は、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光したときのしきい電圧またはしきい電流を、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光していない状態におけるしきい電圧またはしきい電流の80%程度まで下げることができれば、受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子を選択的に発光させることができるので、発光スイッチ素子が高い受光感度を有さなくても、発光スイッチ素子を配列方向に沿って、順番に発光させることができる。
したがって、発光スイッチ素子の受光感度に影響されず、発光スイッチ素子の発光状態を、発光スイッチ素子の配列方向に沿って順番に遷移させることができ、走査の信頼性の高い光走査装置を実現することができる。
また本発明によれば、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下した前記発光スイッチ素子が接続される前記走査信号伝送路に供給する走査信号の電圧または電流が、同じ走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の平均値よりも高ければ、前記走査信号の電圧または電流は、同じ走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の最低値よりも必ず高くなるので、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下した前記発光スイッチ素子のみを確実に発光させることができる。
また本発明によれば、走査駆動手段が複数の走査信号伝送路に電圧または電流を供給するとき、隣接する2つの発光スイッチ素子において、一方の発光スイッチ素子への電圧または電流の供給を停止した後、予め定める時間をあけて他方の発光スイッチ素子への電圧または電流の供給が開始するので、隣接する2つの発光スイッチ素子に同時に電圧および電流を供給することがない。したがって、発光スイッチ素子における電力の消費量を低減することができる。
また本発明によれば、発光状態の発光スイッチ素子に隣接する発光スイッチ素子では、受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下し、前記発光状態の発光スイッチ素子が発光状態から非発光状態となると、隣接する発光スイッチ素子では、受光しないので低下したしきい電圧またはしきい電流が、上昇する。予め定める時間を、前述した時間よりも短く選ぶことによって、発光状態にあった発光スイッチ素子に隣接する発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流が上昇し、同じ走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の最低値と等しくなる前に、この受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子に、走査信号を与えて発光させることができる。
また本発明によれば、発光スイッチ素子アレイの配列する複数の発光スイッチ素子のうち、1つの発光スイッチ素子が発光したときに、この発光した発光スイッチ素子の光は、配列方向一方側に相互に間隔をあけて隣接する発光スイッチ素子に受光される。受光した発光スイッチ素子は、しきい電圧またはしきい電流が低下し、このしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子に接続された走査信号伝送路を介して走査信号を与えられることによって、発光スイッチ素子を発光させることができる。複数の走査信号伝送路によって伝送される走査信号は、配列方向に隣接する2つの発光スイッチ素子において異なるタイミングで与えられ、発光スイッチ素子を配列方向に順番に発光させることができる。
駆動手段によって供給され、発光スイッチ素子を発光させるために各走査信号伝送路によって伝送される走査信号の電圧または電流は、隣接する発光スイッチ素子から光が入射することによって低下したしきい電圧またはしきい電流よりも大きく、各走査信号伝送路によって伝送される走査信号の電圧または電流を、複数の発光スイッチ素子のうち発光していない発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流よりも大きく設定される。これによって、同じ走査信号伝送路に接続される発光スイッチ素子のうち、抵抗素子を介して、受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下している発光スイッチ素子のしきい電圧以上の電圧を印加したとき、同じ走査信号伝送路に接続されている発光スイッチ素子のうち、しきい電圧またはしきい電流が最も低い発光スイッチ素子のみが発光し、他の発光スイッチ素子は、発光しない。
すなわち走査信号伝送路によって伝送される走査信号の電圧または電流、受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流が、同じ走査信号伝送路に接続される発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の中で最も小さいので、受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子のみが選択的に発光する。
従来の技術の発光装置では、走査信号伝送路によって伝送される走査信号の電圧または電流の範囲を大きくとるために、各発光スイッチ素子は、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光したときのしきい電圧またはしきい電流を、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光していない状態におけるしきい電圧またはしきい電流の20%以下まで下げることが必要であるが、本発明では各発光スイッチ素子は、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光したときのしきい電圧またはしきい電流を、隣接する発光スイッチ素子からの光を受光していない状態におけるしきい電圧またはしきい電流の80%程度まで下げることができれば、受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子を選択的に発光させることができるので、発光スイッチ素子が高い受光感度を有さなくても、発光スイッチ素子を配列方向に沿って、順番に発光させることができる。
したがって、発光スイッチ素子の受光感度に影響されず、発光スイッチ素子の発光状態を、発光スイッチ素子の配列方向に沿って順番に遷移させることができ、走査の信頼性の高い光走査装置を実現することができる。
各発光スイッチ素子は、隣接する発光スイッチ素子から発する光を受光することによって、そのしきい電圧またはしきい電流を低下させることができ、各発光スイッチ素子の予め定める部位に、転送方向指定のためのダイオードおよび電源との間に接続される負荷抵抗などを接続する必要がない。したがって発光スイッチ素子アレイ構造が簡便となり、従来の技術と比較して製造工程を少なくすることができ、生産性が向上される。
図1は、本発明の第1の実施の一形態の発光装置10の基本的構成を示す一部の平面図である。なお、同図は、各発光素子Lの光の出射方向を紙面に垂直手前側として配置された発光装置10の平面を示し、発光信号伝送路12、走査信号伝送路15、スタート信号伝送路16、発光素子のゲート19、スイッチ素子のゲート24、走査スタート用スイッチ素子のゲート26、接続手段14、発光素子遮光部23および表面電極25は図解を容易にするため、斜線を付して示されている。
発光装置10は、発光素子アレイ11と、発光信号伝送路12と、スイッチ素子アレイ13と、接続手段14と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、走査スタート用スイッチ素子T0と、スタート信号伝送路16と、絶縁層17と、遮光層18と、発光素子遮光部23とを含んで構成される。スイッチ素子アレイ13と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、駆動手段73とを含んで光走査装置が構成される。
発光素子アレイ11は、複数の発光素子L1,L2,…,Li−1,Li(記号iは、2以上の正の整数)を含んで構成され、各発光素子L1,L2,…,Li−1,Liが、相互に間隔W1をあけて配列される。以後、各発光素子L1,L2,…,Li−1,Liを総称する場合、および発光素子L1,L2,…,Li−1,Liのうち不特定のものを示す場合、単に発光素子Lと記載する場合がある。発光素子Lは、露光用の発光素子である。本実施の形態では、各発光素子Lは、等間隔に配列され、かつ直線状に配列される。各発光素子Lの配列方向Xは、図1において左右方向である。以後、各発光素子Lの配列方向Xを、単に配列方向Xと記載する場合がある。各発光素子Lの光の出射方向に沿う方向を厚み方向Zとし、前記配列方向Xおよび厚み方向Zに垂直な方向を幅方向Yとする。発光素子Lは、600nm〜800nmの波長の光を発光可能に形成される。
発光素子Lは、P型半導体層とN型半導体層とが交互に積層されて構成されるPNPN構造を有する発光サイリスタによって実現される。発光素子Lは、逆阻止3端子サイリスタと同様な負性抵抗特性を有する。発光素子Lは、予め定める部位であるゲート19に、トリガ信号を与えることによって発光信号φEの電圧よりもしきい電圧が低下し、かつ前記発光信号φEが与えられたとき、または発光信号φEの電流よりもしきい電流が低下し、かつ前記発光信号φEが与えられたとき発光する。発光信号φEの電圧とは、発光信号φEが与えられることによって、発光素子Lのアノードおよびカソード間に印加される電圧であり、発光信号φEの電流とは、発光信号φEが与えられることによって発光素子Lに与えられる電流である。
配列方向Xの各発光素子Lの間隔W1と、発光素子Lの配列方向Xの長さW2とは、発光装置10が搭載される後述する画像形成装置87において形成すべき画像の解像度によって決定され、たとえば画像の解像度が600ドットパーインチ(dpi)の場合、前記間隔W1は、約24μm(マイクロメートル)に選ばれ、前記長さW2は、約18μmに選ばれる。また前記長さW2は、隣接する発光素子Lの間に、発光素子遮光部23を形成可能に選ばれる。発光素子Lの配列方向Xの寸法は、発光素子Lの幅方向Yの寸法よりも小さく選ばれる。これによって、各発光素子Lを配列方向Xに近接させて、集積密度を高めたときに、発光素子Lの光量が不足してしまうことが防止される。
発光信号伝送路12は、各発光素子Lに接続され、各発光素子Lに発光信号φEを伝送する。発光信号伝送路12は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって、発光素子Lが発する波長の光を反射するように形成される。具体的には発光信号伝送路12は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
発光信号伝送路12は、各発光素子Lの幅方向Yに隣接して、発光素子アレイ11に沿って延びる信号路延在部21と、前記配列方向Xに相互に間隔をあけて信号路延在部21から幅方向一方Y1に突出して、各発光素子Lの厚み方向一端部に接続される素子接続部22を有する。
発光スイッチ素子アレイであるスイッチ素子アレイ13は、複数の発光スイッチ素子であるスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tj(記号jは、2以上の正の整数)を含んで構成され、各スイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjが、隣接するスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjからの光を受光するように相互に間隔W3をあけて配列される。以後、各スイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjを総称する場合、およびスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjのうち不特定のものを示す場合、単にスイッチ素子Tと記載する場合がある。スイッチ素子Tは、スイッチ用の発光素子である。本実施の形態では、各スイッチ素子Tは、等間隔に配置される。各スイッチ素子Tは、発光素子アレイ11の幅方向Yに隣接し、この発光素子アレイ11に沿って、複数の発光素子Lに対向した状態で直線状に配列される。したがって、各スイッチ素子の配列方向は、前記各発光素子Lの配列方向Xと同じである。スイッチ素子Tの配列方向Xの寸法は、スイッチ素子Tの幅方向Yの寸法よりも小さく選ばれる。これによって、各スイッチ素子Tを配列方向Xに近接させて、集積密度を高めたときに、スイッチ素子Tの光量が不足してしまうことが防止される。
スイッチ素子Tは、P型半導体層とN型半導体層とが交互に積層されて構成されるPNPN構造を有する発光サイリスタによって実現される。スイッチ素子Tは、逆阻止3端子サイリスタと同様な負性抵抗特性を有する。スイッチ素子Tは、受光によって予め定める部位であるゲート24にトリガ信号を発生して、走査信号伝送路15を介して与えられる走査信号φの電圧よりもしきい電圧が低下し、かつ前記走査信号φが与えられたとき、または走査信号φの電流よりもしきい電流が低下し、かつ前記走査信号φが与えられたとき発光する。走査信号φの電圧とは、走査信号φが与えられることによって、スイッチ素子Tのアノードおよびカソード間に印加される電圧であり、走査信号φの電流とは、走査信号φが与えられることによってスイッチ素子Tに与えられる電流である。
本実施の形態では、発光素子Lとスイッチ素子Tとの数は等しく、すなわち前記iと記号jとは等しい数に選ばれる。
配列方向Xの各スイッチ素子Tの間隔W3は、製造工程における制限を受けるので、スイッチ素子Tの厚み方向Zの高さの2倍以上に形成されるが、20μm未満に選ばれ、好ましくは10μm以下に選ばれる。本実施の形態では、スイッチ素子Tの高さを約4μmとしており、この場合には間隔W3は8μm程度になる。前記間隔W3が20μm以上になると、伝送効率が大きく低下してしまう。
スイッチ素子Tの配列方向Xの長さW4は、前記配列方向Xの各発光素子Lの間隔W1と、発光素子Lの配列方向Xの長さW2と、配列方向Xの各スイッチ素子Tの間隔W3とによって決定される。すなわち配列方向Xの各発光素子Lの間隔W1と、発光素子Lの配列方向Xの長さW2とを加算した長さと、配列方向Xの各スイッチ素子Tの間隔W3とスイッチ素子Tの配列方向Xの長さW4とを加算した長さとが、等しく選ばれる。
接続手段14は、各発光素子Lの前記予め定める部位であるゲート19と、各発光素子Lに対応する各スイッチ素子Tの前記予め定める部位であるゲート24とを、電気的に接続する。接続手段14は、具体的には発光素子L1のゲート19と、スイッチ素子T1のゲート24とを電気的に接続し、発光素子L2のゲート19と、スイッチ素子T2のゲート24とを電気的に接続し、…、発光素子Li−1のゲート19と、スイッチ素子Tj−1のゲート24とを電気的に接続し、発光素子Liのゲート19と、スイッチ素子Tjのゲート24とを電気的に個別に接続する。
接続手段14は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される導電路によって実現される。具体的には接続手段14は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
第1,第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cは、各スイッチ素子Tに接続され、配列方向Xに隣接するスイッチ素子T毎に、異なるタイミングで与えられる前記第1〜第3走査信号φ1〜φ3を伝送する。本実施の形態において、第1走査信号伝送路15aは、第1走査信号φ1を伝送し、第2走査信号伝送路15bは、第2走査信号φ2を伝送し、第3走査信号伝送路15cは、第3走査信号φ3を伝送する。第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cを総称する場合、および第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cのうち不特定のものを示す場合、単に走査信号伝送路15と記載し、第1〜第3走査信号φ1,φ2,φ3を総称する場合、および第1〜第3走査信号φ1,φ2,φ3のうち不特定のものを示す場合、単に走査信号φと記載する場合がある。走査信号伝送路15は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cは、各スイッチ素子Tの厚み方向一方Z1で絶縁層17を介して各スイッチ素子Tに重なって形成され、配列方向Xに沿って延びる。第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cは、幅方向Yに予め定める間隔W5をあけて配置される。予め定める間隔W5は、第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15c間で短絡が発生しない距離に選ばれ、たとえば10μmに選ばれる。
前記各スイッチ素子Tは、厚み方向一方Z1の端部、すなわち図1の紙面に垂直な方向手前側に、表面電極25を有する。第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cは、各スイッチ素子Tの前記表面電極25に順次1つずつ接続され、配列されるスイッチ素子Tに沿って、それぞれが3つおきにスイッチ素子Tに接続される。すなわち、第1走査信号伝送路15aは、スイッチ素子T1,T4,…,Tj−2に接続され(記号jは、整数かつ3×mであり、記号mは自然数)、第2走査信号伝送路15bは、スイッチ素子T2,T5,…,Tj−1に接続され、第3走査信号伝送路15cは、スイッチ素子T3,T6,…,Tjに接続される。したがって、スイッチ素子Tのうち、配列方向Xのn番目(記号nは、2以上j以下となる正の整数)に配置されるスイッチ素子Tnと、このスイッチ素子Tnの配列方向一方X1側に隣接するスイッチ素子Tn−1と、スイッチ素子Tnの配列方向他方X2側に隣接するスイッチ素子Tn+1とは、それぞれ異なる走査信号伝送路15に接続される。
走査スタート用スイッチ素子T0は、P型半導体層とN型半導体層とが交互に積層されて構成されるPNPN構造を有する発光サイリスタによって実現される。走査スタート用スイッチ素子T0は、逆阻止3端子サイリスタと同様な負性抵抗特性を有する。走査スタート用スイッチ素子T0は、予め定める部位であるゲート26にトリガ信号を与えることによって走査信号φの電圧よりもしきい電圧が低下し、かつ前記走査信号φが与えられたとき、または走査信号φの電流よりもしきい電流が低下し、かつ前記走査信号φが与えられたとき発光する。
走査スタート用スイッチ素子T0は、スイッチ素子アレイ13の前記配列方向Xの端部に配置されるスイッチ素子Tに光を照射するように配置される。本実施の形態では、走査スタート用スイッチ素子T0は、スイッチ素子T1に光を照射するように配置される。したがって、走査スタート用スイッチ素子T0が配置される配列方向一方X1が、光走査装置における光の走査方向の上流側となる。
スタート信号伝送路16は、走査スタート用スイッチ素子T0のゲート26に接続され、走査スタート用スイッチ素子T0にトリガ信号となるスタート信号φSを伝送する。スタート信号伝送路16は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される。具体的にはスタート信号伝送路16は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
前述した発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0は、絶縁層17によって覆われる。
遮光層18は、各スイッチ素子Tの厚み方向Zの一方側、すなわち各スイッチ素子Tの図1の紙面に垂直手前側から、各スイッチ素子Tを覆い、発光素子Lが発する光に、スイッチ素子Tが発する光が干渉しないように、スイッチ素子Tが発する光を遮光する。
発光素子遮光部23は、各発光素子Lの間と、発光素子アレイ11の配列方向Xの両端部の発光素子Lの配列方向Xの外方とに設けられ、発光素子Lから配列方向Xに向かう光を遮光する。発光素子遮光部23は、発光信号伝送路12から離間して設けられ、発光信号伝送路12とは、絶縁層17によって電気的に絶縁される。
前述した発光素子L、発光信号伝送路12、スイッチ素子T、接続手段14、走査信号伝送路15、走査スタート用スイッチ素子T0、スタート信号伝送路16、絶縁層17、遮光層18および発光素子遮光部23は、1つの基板31に集積されて形成される。
以下、発光装置10の各構成について、さらに具体的に説明する。
図2は、図1の切断面線A1−A1から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。発光素子Lは、基板31の厚み方向Zの一表面31a上に形成される第1の一方導電型半導体層32、第1の他方導電型半導体層33、第2の一方導電型半導体層34および第2の他方導電型半導体層35を含む。
基板31は、本実施の形態では、一方導電型の半導体基板である。基板31の厚み方向Zの他表面31b上には、裏面電極36が形成される。裏面電極36は、基板31の厚み方向Zの他表面31bの全面にわたって形成される。裏面電極36は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される。具体的には裏面電極36は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)および金と亜鉛との合金(AuZn)などによって形成される。基板31の厚み方向Zの一表面31aは、平面に形成される。
発光素子Lは、基板31の厚み方向Zの一表面31aに、第1の一方導電型半導体層32が積層され、第1の一方導電型半導体層32の厚み方向Zの一表面32a上に第1の他方導電型半導体層33が積層され、第1の他方導電型半導体層33の厚み方向Zの一表面33a上に第2の一方導電型半導体層34が積層され、第2の一方導電型半導体層34の厚み方向Zの一表面34a上に第2の他方導電型半導体層35が積層され、第2の他方導電型半導体層35の厚み方向Zの一表面35a上にオーミックコンタクト層37が積層されて構成される。
さらに具体的には、基板1は、III−V族化合物半導体層およびII−VI族化合物半導体層などの結晶成長が可能な半導体基板であり、たとえば、ガリウム砒素(GaAs)、インジウムリン(InP)、ガリウムリン(GaP)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの半導体材料によって形成される。
第1の一方導電型半導体層32は、ガリウム砒素(GaAs)、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびインジウムガリウムリン(InGaP)などの半導体材料によって形成される。第1の一方導電型半導体層32のキャリア密度は、1×1018cm−3程度のものが望ましい。
第1の他方導電型半導体層33は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第1の他方導電型半導体層33を形成する半導体材料には、第1の一方導電型半導体層32を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の一方導電型半導体層32を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが小さいものが選ばれる。第1の他方導電型半導体層33のキャリア密度は1×1017cm−3程度のものが望ましい。
第2の一方導電型半導体層34は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第2の一方導電型半導体層34を形成する半導体材料には、第1の他方導電型半導体層33を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の他方導電型半導体層33を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが小さいものが選ばれる。第2の一方導電型半導体層34のキャリア密度は、第1の一方導電型半導体層32、第1の他方導電型半導体層33、第2の一方導電型半導体層34および第2の他方導電型半導体層35の全層の中で最も小さく1×1016cm−3〜1×1017cm−3程度のものであることが望ましい。第2の一方導電型半導体層34は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成することによって、高い内部量子効率を得ることができる。
第2の他方導電型半導体層35は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第2の他方導電型半導体層35を形成する半導体材料には、第1の他方導電型半導体層33および第2の一方導電型半導体層34を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の他方導電型半導体層33および第2の一方導電型半導体層34を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが大きいものが選ばれる。第2の他方導電型半導体層35のキャリア密度は、1×1018cm−3程度のものであることが望ましい。
オーミックコンタクト層37は、ガリウム砒素(GaAs)およびインジウムガリウムリン(InGaP)などの半導体材料によって形成される他方導電型の半導体層であり、発光信号伝送路12とのオーミック接合を行うためのものである。オーミックコンタクト層37のキャリア密度は1×1019cm−3以上のものが望ましい。
第1の一方導電型半導体層32、第1の他方導電型半導体層33、第2の一方導電型半導体層34、第2の他方導電型半導体層35およびオーミックコンタクト層37が積層された積層体は、略直方体形状を有する。第1の一方導電型半導体層32、第1の他方導電型半導体層33、第2の一方導電型半導体層34、第2の他方導電型半導体層35およびオーミックコンタクト層37は、絶縁層17によって覆われる。絶縁層17は、電気絶縁性および透光性ならびに平坦性を有する樹脂材料によって形成される。絶縁層17は、ポリイミドおよびベンゾシクロブテン(BCB)などによって形成される。
絶縁層17のうち、隣接する発光素子Lの間の部分には、幅方向Yに垂直な仮想一平面において、V字形状となり、基板31の一表面31aまで達する溝部38が形成され、この溝部38に前記発光素子遮光部23が形成される。発光素子遮光部23は、溝部38の表面に沿って形成され、基板31の一表面31aからオーミックコンタクト層37の配列方向Xの側方にわたって設けられる。発光素子遮光部23は、発光素子Lの幅方向Yの一端部および他端部間にわたって形成され、発光素子Lの幅方向Yの端部よりも発光素子Lの幅方向一方Y1および幅方向他方Y2まで延びる。このような発光素子遮光部23を形成することによって、隣接する発光素子Lが発光したときにこの光を受光することが防止され、隣接する発光素子Lが発光しても、この発光に伴って発光素子Lのしきい電圧またはしきい電流が変化してしまうことがないので、発光素子Lを選択的に安定して発光させることができる。
オーミックコンタクト層37の厚み方向Zの一表面37aには、発光信号伝送路12の素子接続部22が接続される。絶縁層17のうち、オーミックコンタクト層37の厚み方向Zの一表面37a上に形成される部分には、貫通孔39が形成され、この貫通孔39に前記素子接続部22の一部が形成されて、素子接続部22がオーミックコンタクト層37に接触している。前記貫通孔39は、発光素子Lの配列方向Xの中央で、かつ発光素子Lの幅方向Yの中央が絶縁層17から露出するように形成されており、発光信号伝送路12からの電流を、発光素子Lの中央部に効率的に供給して、発光させることができる。発光素子Lでは、主に第2の一方導電型半導体層34と、第2の他方導電型半導体層35との界面付近で、第2の一方導電型半導体層導電34寄りの領域において光が発生する。
発光信号伝送路12の素子接続部22の配列方向Xの長さW6は、発光素子Lの配列方向Xの長さW2の1/3以下に形成される。素子接続部22は、発光素子Lの光の出射方向の一部を覆うが、長さW6を前述したように選ぶことによって、発光素子Lから発せられ、厚み方向一方Z1に向かう光を、遮ってしまうことを可及的に防止する。また発光素子Lから発せられ、厚み方向一方Z1に向かい、発光信号伝送路12によって反射された光の一部は、発光素子遮光部23および基板31などによって反射されることによって、厚み方向Zの一方へと向かう。
図3は、図1の切断面線A2−A2から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。スイッチ素子Tは、基板31の一表面31a上に形成される第1の一方導電型半導体層42、第1の他方導電型半導体層43、第2の一方導電型半導体層44および第2の他方導電型半導体層45を含む。
スイッチ素子Tは、基板31の厚み方向Zの一表面31a上に、第1の一方導電型半導体層42が積層され、第1の一方導電型半導体層42の厚み方向Zの一表面42a上に第1の他方導電型半導体層43が積層され、第1の他方導電型半導体層43の厚み方向Zの一表面43a上に第2の一方導電型半導体層44が積層され、第2の一方導電型半導体層44の厚み方向Zの一表面44a上に第2の他方導電型半導体層45が積層され、第2の他方導電型半導体層45の厚み方向Zの一表面45a上にオーミックコンタクト層47が積層され、オーミックコンタクト層47の厚み方向Zの一表面47a上に表面電極25が積層されて構成される。第1の一方導電型半導体層42、第1の他方導電型半導体層43、第2の一方導電型半導体層44、第2の他方導電型半導体層45、オーミックコンタクト層47および表面電極25の積層体は、略直方体形状を有する。
スイッチ素子Tの、一方導電型半導体層42、第1の他方導電型半導体層43、第2の一方導電型半導体層44、第2の他方導電型半導体層45およびオーミックコンタクト層47の各半導体層を構成する半導体材料のエネルギーギャップおよびキャリア密度は、スイッチ素子Tの受光感度、および外部への光の取り出し効率、ならびに発光効率を高めるように設計することが好ましい。
第1の一方導電型半導体層42は、ガリウム砒素(GaAs)、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびインジウムガリウムリン(InGaP)などの半導体材料によって形成される。第1の一方導電型半導体層42のキャリア密度は、1×1018cm−3程度のものが望ましい。
第1の他方導電型半導体層43は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第1の他方導電型半導体層43を形成する半導体材料には、第1の一方導電型半導体層42を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の一方導電型半導体層42を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが小さいものが選ばれる。第1の他方導電型半導体層43のキャリア密度は1×1017cm−3程度のものが望ましい。
第2の一方導電型半導体層44は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第2の一方導電型半導体層44を形成する半導体材料には、第1の他方導電型半導体層43を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の他方導電型半導体層43を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが小さいものが選ばれる。第2の一方導電型半導体層44のキャリア密度は、第1の一方導電型半導体層42、第1の他方導電型半導体層43、第2の一方導電型半導体層44および第2の他方導電型半導体層45の全層の中で最も小さく1×1016cm−3〜1×1017cm−3程度のものであることが望ましい。第2の一方導電型半導体層44は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成することによって、高い内部量子効率を得ることができる。
第2の他方導電型半導体層45は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第2の他方導電型半導体層45を形成する半導体材料には、第1の他方導電型半導体層43および第2の一方導電型半導体層44を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の他方導電型半導体層43および第2の一方導電型半導体層44を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが大きいものが選ばれる。第2の他方導電型半導体層45のキャリア密度は、1×1018cm−3程度のものであることが望ましい。
オーミックコンタクト層47は、ガリウム砒素(GaAs)およびインジウムガリウムリン(InGaP)などの半導体材料によって形成される他方導電型の半導体層であり、表面電極25とのオーミック接合を行うためのものである。オーミックコンタクト層47のキャリア密度は1×1019cm−3以上のものが望ましい。
スイッチ素子Tの第1の一方導電型半導体層42と、発光素子Lの第1の一方導電型半導体層32とは、同じ半導体材料によって形成され、厚みが等しく形成される。またスイッチ素子Tの第1の他方導電型半導体層43と、発光素子Lの第1の他方導電型半導体層33とは、同じ半導体材料によって形成され、厚みが等しく形成される。またスイッチ素子Tの第2の一方導電型半導体層44と、発光素子Lの第2の一方導電型半導体層34とは、同じ半導体材料によって形成され、厚みが等しく形成される。またスイッチ素子Tの第2の他方導電型半導体層45と、発光素子Lの第2の他方導電型半導体層35とは、同じ半導体材料によって形成され、厚みが等しく形成される。またスイッチ素子Tのオーミックコンタクト層47と、発光素子Lのオーミックコンタクト層37とは、同じ半導体材料によって形成され、厚みが等しく形成される。
スイッチ素子Tでは、第2の一方導電型半導体層44および第2の他方導電型半導体層45によって主として光を発生する発光部が形成され、第1の一方導電型半導体層42と第1の他方導電型半導体層43と第2の一方導電型半導体層44とによって主として受光する受光部、言い換えればフォトトランジスタ部が形成される。
スイッチ素子Tの第1の他方導電型半導体層43の厚みは、50Å〜1000Åに選ばれる。このように第1の他方導電型半導体層43の厚みを選ぶことによって、第1の一方導電型半導体層42と第1の他方導電型半導体層43と第2の一方導電型半導体層34とによって形成されるフォトトランジスタ部の電流増幅率が大きくなり、効率よく外部からの光を受光することができる。
オーミックコンタクト層47の厚み方向Zの一表面47a上には、表面電極25がオーミック接合されて設けられる。表面電極25は、オーミックコンタクト層47の厚み方向Zの一表面47aの周縁部を除き、走査方向の下流側寄り、言い換えれば配列方向他方X2寄りに、一表面47aの面積の約半分の領域に形成される。このように表面電極25を形成することによってスイッチ素子Tの各半導体層への電界を可及的に均一化することができ、スイッチ素子Tから放射される光の発光強度を増加させることができるとともに、配列方向一方X1に隣接するスイッチ素子Tから出射され、遮光層18によって反射されて厚み方向一方Z1から到来する光を、各半導体層により多く入射させることができる。したがって、スイッチ素子Tの走査方向の下流側である配列方向他方X2では、表面電極25によって光を反射することによって、配列方向他方X2のスイッチ素子Tにより強い光を与えることができ、スイッチ素子Tの走査方向の上流側である配列方向一方では、表面電極25が形成されていないので、走査信号伝送路15または遮光層18によって反射して、厚み方向一方Z1から到来する光を効率よく受光することができる。表面電極25は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される。具体的には表面電極25は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)および金と亜鉛との合金(AuZn)などによって形成される。
第1の一方導電型半導体層42、第1の他方導電型半導体層43、第2の一方導電型半導体層44、第2の他方導電型半導体層45、オーミックコンタクト層47および表面電極25は、絶縁層17によって覆われ、隣接するスイッチ素子Tと電気的に絶縁される。前述したように絶縁層17は、透光性を有するので、スイッチ素子Tが発光すると、この光は絶縁層17を透過して、配列方向Xに隣接するスイッチ素子Tに入射する。絶縁層17は、スイッチ素子Tが発する波長の光の95%以上を透過する樹脂材料によって形成される。
図3の矢符で示すように、スイッチ素子Tは、第2の一方導電型半導体層44および第2の他方導電型半導体層45の界面付近で、第2の一方導電型半導体層44寄りの領域から主に発光する。また第1の一方導電型半導体層42および第1の他方導電型半導体層43の界面付近でもわずかに発光する。スイッチ素子Tは、光を全方向に放射する。
絶縁層17を平坦性を有する樹脂材料によって形成することによって、絶縁層17を形成するときに、各スイッチ素子Tの間にも樹脂材料を充填して、絶縁層17を各スイッチ素子Tの間に確実に形成することができる。絶縁層17は、樹脂材料を塗付し、この樹脂材料を硬化させて形成される。樹脂材料が硬化時に収縮することによって、各スイッチ素子Tの間に形成される絶縁層17の厚み方向一方Z1の表面部には、幅方向Yに延びる凹所48が形成される。
絶縁層17を、ポリイミドおよびベンゾシクロブテン(BCB)などによって形成することによって、各スイッチ素子Tの間隔W3を前述のように選んでも、この空隙に絶縁層17を確実に形成することができ、また第1の一方導電型半導体層42、第1の他方導電型半導体層43、第2の一方導電型半導体層44、第2の他方導電型半導体層45、オーミックコンタクト層47、表面電極25および基板31に絶縁層17を密着して形成することができる。絶縁層17が、スイッチ素子Tの表面から剥離してしまうと、この剥離した部分の界面によって、光が反射されてしまい、隣接するスイッチ素子Tからの光の受光量が低下してしまうおそれがあるが、このような問題が発生しない。
表面電極25の厚み方向Zの一表面25aには、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cのうちの、いずれか1つが接続される。絶縁層17のうち、表面電極25の厚み方向Zの一表面25a上に形成される部分には、貫通孔49が形成され、この貫通孔49を介して第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cのうちの、いずれか1つが接続され、スイッチ素子Tと第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cのうちの他の2つの走査信号伝送路15とは、絶縁層17によって電気的に絶縁される。スイッチ素子Tは絶縁層17によって覆われているので、スイッチ素子Tの厚み方向一方Z1側に、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cを積層することができる。
本実施の形態では、一方導電型はN型であり、他方導電型はP型である。発光素子Lおよびスイッチ素子Tにおいて、一方導電型をN型とし、他方導電型をP型とすると、発光信号伝送路12および走査信号伝送路15が、各素子のアノードに接続される構成となり、カソード電位を0ボルト(V)にすると、発光素子Lおよびスイッチ素子Tに電圧または電流を印加する電源に、正電源を用いることができるので好ましい。本実施の形態では、発光素子Lにおいては発光信号伝送路12がアノード端子として機能し、裏面電極36がカソード端子として機能する。またスイッチ素子Tにおいては、表面電極25が走査信号伝送路15とともにアノード端子として機能し、裏面電極36がカソード端子として機能する。
各スイッチ素子Tの厚み方向Zの一方側において、絶縁層17および走査信号伝送路15は遮光層18によって覆われる。遮光層18の材料としては、電気絶縁性を有し、スイッチ素子Tから発せられる波長の光を、2μm〜3μm程度の厚みでほぼ完全に吸収するようなものであれば種々ものが使用可能である。本実施の形態では遮光層18は、緑色のポリイミドによって形成される。遮光層18の厚みは、5μm〜10μm程度に選ばれる。
スイッチ素子Tから発せられ、厚み方向一方Z1へ向かう光は、絶縁層17と走査信号伝送路15と界面、走査信号伝送路15、絶縁層17と遮光層18との界面などによって反射されるか、遮光層18によって吸収される。各走査信号伝送路15および絶縁層17によって反射手段が形成される。これによって、スイッチ素子Tからの光が、発光素子Lから厚み方向一方Z1に出射される光に干渉してしまうことが防止される。したがって発光装置10を、後述する画像形成装置87の露光装置として用いた場合に、スイッチ素子Tからの漏れ光によって、画像の劣化が発生せず、優れた品質の画像を形成することができる。
図4は、図1の切断面線A3−A3から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。発光素子Lと、スイッチ素子Tとは、幅方向Yに隣接して配置される。発光素子Lの第1の一方導電型半導体層32と、第1の他方導電型半導体層33と、第2の一方導電型半導体層34とのスイッチ素子T寄りの端部は、第2の他方導電型半導体層35と、オーミックコンタクト層37とのスイッチ素子T寄りの端部よりも、スイッチ素子Tに向かって突出し、発光素子接続部51を構成する。発光素子接続部51の配列方向Xの長さは、前述した長さW2よりもわずかに小さい。
またスイッチ素子Tの、第1の一方導電型半導体層42と、第1の他方導電型半導体層43と、第2の一方導電型半導体層44との発光素子L寄りの端部は、第2の他方導電型半導体層45と、オーミックコンタクト層47との発光素子L寄りの端部よりも、発光素子Lに向かって突出し、スイッチ素子接続部52を構成する。スイッチ素子接続部52の配列方向Xの長さは、発光素子接続部51の配列方向の長さと等しく選ばれる。
発光素子Lの第2の一方導電型半導体層34のうち、発光素子接続部51を構成する部分34Aは、第2の他方導電型半導体層35が積層される部分34Bよりも厚みが小さく形成される。また発光素子スイッチTの第2の一方導電型半導体層44のうち、スイッチ素子接続部52を構成する部分44Aは、第2の他方導電型半導体層45が積層される部分44Bよりも厚みが小さく形成される。
絶縁層17は、発光素子Lおよびスイッチ素子Tの表面に沿って形成されており、発光素子Lとスイッチ素子Tと間にも形成され、発光素子Lとスイッチ素子Tとが絶縁層17によって電気的に絶縁される。発光素子Lとスイッチ素子Tと間に設けられる絶縁層17の厚みは、基板31から発光素子接続部51およびスイッチ素子接続部52の厚みとほぼ等しい。絶縁層17のうち、発光素子Lとスイッチ素子Tと間に設けられる部分には、基板31側が底部となり、配列方向Xに沿って延びる凹部53が形成される。絶縁層17のうち、前記発光素子接続部51の第2の一方導電型半導体層34の厚み方向Zの一表面34aに積層されている部分には貫通孔54が形成され、前記スイッチ素子接続部52の第2の一方導電型半導体層44の厚み方向Zの一表面44aに積層される部分には貫通孔55がそれぞれ形成される。
発光素子Lのゲート19と、この発光素子Lに対応するスイッチ素子Tのゲート24とを接続する接続手段14は、発光素子接続部51とスイッチ素子接続部52とにわたって、発光素子Lとスイッチ素子Tとの間で、絶縁層17に積層して設けられる。接続手段14は、前記貫通孔54,55に接続手段14の一部が形成され、発光素子接続部51の第2の一方導電型半導体層34の厚み方向Zの一表面34aと、前記スイッチ素子接続部52の第2の一方導電型半導体層44の厚み方向Zの一表面44aとに接続される。接続手段14の抵抗値は、1kΩ(オーム)以下に選ばれる。抵抗値が高すぎると、スイッチ素子Tから発光素子Lへのトリガ信号が減衰されてしまうが、接続手段14の抵抗値を前記範囲に選ぶことによって、スイッチ素子Tから発光素子Lへのトリガ信号が減衰することなく伝達される。
発光素子Lの第2の一方導電型半導体層34は、発光素子Lのゲート19であり、スイッチ素子Tの第2の一方導電型半導体層44は、スイッチ素子Tのゲート24である。したがって、接続手段14は、発光素子Lとスイッチ素子Tのゲート同士を電気的に接続している。
発光素子Lの第2の他方導電型半導体層35およびオーミックコンタクト層37のスイッチ素子T寄りの端部は、絶縁層17を介して前述した発光信号伝送路12によって覆われる。これによって、発光素子Lから、スイッチ素子Tに向かう光を遮光することができる。発光信号伝送路12の信号路延在部21は、第2の他方導電型半導体層35およびオーミックコンタクト層37のスイッチ素子Tに対向する側部に臨んで設けられ、また発光素子接続部51の第2の他方導電型半導体層35寄りの端部を覆う。
またスイッチ素子Tの第2の他方導電型半導体層45およびオーミックコンタクト層47の発光素子L寄りの端部は、絶縁層17に積層される遮光層18によって覆われる。これによって、スイッチ素子Tから、発光素子Lに向かう光を遮光することができる。またスイッチ素子Tの、発光素子Lとは反対側の端部は、絶縁層17を介して遮光層18によって覆われる。遮光層18は、スイッチ素子接続部52の厚み方向Zの一方を覆い、前記発光素子Lとスイッチ素子Tとの間に形成される凹所53付近まで延びる。
図5は、図1の切断面線A4−A4から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。走査スタート用スイッチ素子T0と、スイッチ素子Tとは、同じ構成であるので、同様の部分には、同様の参照符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
走査スタート用スイッチ素子T0は、基板31の厚み方向Zの一表面31a上に、第1の一方導電型半導体層62が積層され、第1の一方導電型半導体層62の厚み方向Zの一表面62a上に第1の他方導電型半導体層63が積層され、第1の他方導電型半導体層63の厚み方向Zの一表面63a上に第2の一方導電型半導体層64が積層され、第2の一方導電型半導体層64の厚み方向Zの一表面64a上に第2の他方導電型半導体層65が積層され、第2の他方導電型半導体層65の厚み方向Zの一表面65a上にオーミックコンタクト層67が積層され、オーミックコンタクト層67の厚み方向Zの一表面67a上に表面電極25が形成されて構成される。走査スタート用スイッチ素子T0の表面電極25は、オーミックコンタクト層61の一表面61aの周縁部を除く全領域に形成される。第1の一方導電型半導体層62、第1の他方導電型半導体層63、第2の一方導電型半導体層64、第2の他方導電型半導体層65、オーミックコンタクト層67および表面電極25の積層体は、略直方体形状を有する。
走査スタート用スイッチ素子T0の第1の一方導電型半導体層62とスイッチ素子Tの第1の一方導電型半導体層42とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。走査スタート用スイッチ素子T0の第1の他方導電型半導体層63とスイッチ素子Tの第1の他方導電型半導体層43とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。走査スタート用スイッチ素子T0の第2の一方導電型半導体層64とスイッチ素子Tの第2の一方導電型半導体層44とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。走査スタート用スイッチ素子T0の第2の他方導電型半導体層65とスイッチ素子Tの第2の他方導電型半導体層45とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。走査スタート用スイッチ素子T0のオーミックコンタクト層67と、スイッチ素子Tのオーミックコンタクト層47とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。
また走査スタート用スイッチ素子T0の、第1の一方導電型半導体層62と、第1の他方導電型半導体層63と、第2の一方導電型半導体層64との発光素子L寄りの端部は、第2の他方導電型半導体層65と、オーミックコンタクト層67との発光素子L寄りの端部よりも、発光素子アレイ11側に向かって突出し、走査スタート用スイッチ素子接続部68を構成する。
走査スタート用スイッチ素子T0は、絶縁層17および遮光層18に覆われる。走査スタート用スイッチ素子T0の厚み方向一方に積層される絶縁層17に積層して走査信号伝送路15が形成され、絶縁層17のうち走査スタート用スイッチ素子T0の厚み方向一方に積層される部分に形成される貫通孔69に第3走査信号伝送路15cの一部が形成されて、貫通孔69を介して第3走査信号伝送路15cが走査スタート用スイッチ素子T0の表面電極25に接続される。また絶縁層17のうち、走査スタート用スイッチ素子接続部68の積層される部分には、貫通孔71が形成され、この貫通孔71にスタート信号伝送路16の一部が形成され、貫通孔71を介して、絶縁層17に積層して形成されるスタート信号伝送路16が接続される。走査スタート用スイッチ素子T0、走査信号伝送路15およびスタート信号伝送路16とは、遮光層18によって覆われる。
走査スタート用スイッチ素子T0の第2の一方導電型半導体層64は、走査スタート用スイッチ素子T0のゲート26である。
各発光素子L、各スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0は、基板31の一表面31aに、第1の一方導電型半導体層32,42,62、第1の他方導電型半導体層33,43,63、第2の一方導電型半導体層34,44,64、第2の他方導電型半導体層35,45,65、オーミックコンタクト層37,47,67を、それぞれ形成するための半導体材料を、エピタキシャル成長および化学気相成長(CVD)法などによって順次積層した後、フォトリソグラフィによってパターニングおよびエッチングして形成される。したがって、一連の製造プロセスにおいて、発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0を同時に形成することができるので、製造コストを低減することができる。各半導体層を形成した後、導電体層を蒸着法などによって形成し、フォトリソグラフィによってパターニングおよびエッチングして、表面電極25を形成する。
絶縁層17は、表面電極25を形成した後、前述したポリイミドなどの樹脂材料をスピンコーティングした後、塗付した樹脂材料を硬化させ、発光信号伝送路12と、接続手段14と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、スタート信号伝送路16と、発光素子L、スイッチ素子Tまたは走査スタート用スイッチ素子T0との接続に必要な各貫通孔39,49,54,55,69,71をフォトリソグラフィによってパターニングおよびエッチングして形成される。
発光信号伝送路12と、接続手段14と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、スタート信号伝送路16と、発光素子遮光部23とは、絶縁層17を形成した後、発光信号伝送路12と、接続手段14と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、スタート信号伝送路16と、蒸着法などによって導電性材料を絶縁層17の表面に積層した後、フォトリソグラフィによってパターニングおよびエッチングして、同時に形成される。したがって、発光信号伝送路12と、接続手段14と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、スタート信号伝送路16と、発光素子遮光部23との厚みは、ほぼ等しく形成される。
図6は、発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0の、アノード電圧とアノード電流との関係である順方向電圧−電流特性を示すグラフである。なお、図6では、横軸をアノード電圧とし、縦軸をアノード電流として示されている。また図6には、負荷線72も示されている。発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0は、電圧電流特性を表す特性曲線と、負荷線72とが交わるオフ状態のb点と、特性曲線と負荷線72とが交わるオン状態のa点とを遷移する。アノード電圧は、カソードの電位を0(零)ボルト(V)としたときのアノードの電位を表し、アノード電流は、アノードに流れる電流を表す。
発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0の初期のしきい電圧(ブレークオーバ電圧)をVBOとする。初期のしきい電圧とは、発光素子Lでは、ゲート19にトリガ信号が与えられていない状態のしきい電圧であり、スイッチ素子Tでは受光していない状態のしきい電圧であり、走査スタート用スイッチ素子T0では、ゲート26にトリガ信号が与えられていない状態のしきい電圧である。
発光素子Lおよび走査スタート用スイッチ素子T0では、ゲート19,26にトリガ信号を与えることによって、しきい電圧がVBOから、図6の矢符P1で示すように、このVBOよりも小さな電圧であるVTHへとしきい電圧が低下し、スイッチ素子Tでは、受光することによって、しきい電圧が、VBOから、図6の矢符P1で示すように、このVBOよりも小さな電圧であるVTHへと低下する。
図7は、図1に示される発光装置10の基本的構成を示す一部の等価回路を示す回路図である。発光装置10は、駆動手段73をさらに含む。駆動手段73は、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、発光信号伝送路12と、スタート信号伝送路16とに接続され、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cに走査信号φを与え、スタート信号伝送路16にスタート信号φSを与え、発光信号伝送路12に発光信号φEをそれぞれ与える。駆動手段73は、駆動用ドライバーIC(Integrated Circuit)によって実現される。
駆動手段73は、外部から基準となるクロックパルス信号を入力して、このクロックパルス信号に基づいて、第1〜第3走査信号φ1〜φ3およびスタート信号φSを同期して出力し、走査信号伝送路15およびスタート信号伝送路16にそれぞれ与える。前記クロックパルス信号は、後述する画像形成装置87の制御手段96から与えられる。クロックパルス信号のクロック周期は、後述する画像形成装置87の制御手段96における制御周期よりも長く選ばれる。また駆動手段73は、クロックパルス信号とともに与えられる画像情報に基づいて、発光信号φEを出力して、発光信号伝送路12に与える。
第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cには、各スイッチ素子Tと直列に接続される抵抗素子Rφがそれぞれ接続され、駆動手段73は、抵抗素子Rφを介して第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cに接続される。抵抗素子Rφは、駆動手段73から走査信号伝送路15に過電流が流れてしまうことを防止するとともに、各スイッチ素子Tに印加される電圧を分圧する分圧抵抗としての機能を有する。
また発光信号伝送路12にも、各発光素子Lと直列に接続される抵抗素子Rφがそれぞれ接続され、駆動手段73は、抵抗素子Rφを介して発光信号伝送路12に接続される。抵抗素子Rφは、駆動手段73から発光信号伝送路12に過電流が流れてしまうことを防止するとともに、各発光素子Lに印加される電圧を分圧する分圧抵抗としての機能を有する。
図8は、駆動手段73が、スタート信号伝送路16に与えるスタート信号φS、第1走査信号伝送路15aに与える第1走査信号φ1、第2走査信号伝送路15bに与える第2走査信号φ2、第3走査信号伝送路15cに与える第3走査信号φ3および発光信号伝送路12に与える発光信号φEと、発光素子L1の発光強度と、走査スタート用スイッチ素子T0およびスイッチ素子T1〜T4の発光強度とを示す波形図である。発光素子L1および走査スタート用スイッチ素子T0ならびにスイッチ素子T1〜T4の発光強度は、ハイ(H)レベルのとき発光していることを表し、ロー(L)レベルのとき発光していないことを表す。図8において、横軸は時間であって、基準時刻からの経過時間を表す。
またスタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEについて、縦軸は、信号レベルを表す。信号レベルは、電圧または電流の大きさを表し、スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEがハイ(H)レベルのとき、高電圧または高電流が信号伝送路に供給され、スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEがロー(L)レベルのとき、低電圧または低電流が信号伝送路に供給される。スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEがLレベルのとき、伝送路に供給される電圧または電流は、各素子のしきい電圧またはしきい電流よりも小さい。電圧の場合では、ハイレベルは、たとえば3ボルト(V)〜10ボルト(V)である。電圧の場合では、ローレベルは、たとえば0(零)ボルト(V)である。
本実施の形態では、Hレベルのときのスタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEの電圧をたとえば5ボルト(V)とし、Lレベルのスタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEの電圧をたとえば0ボルト(V)とする。第1〜第3走査信号φ1〜φ3の波形は同じであり、それぞれ位相が異なる。
発光装置10では、発光させるべき発光素子Lのしきい電圧またはしきい電流を低下させるために、スイッチ素子Tの発光状態を、配列方向Xに沿って転送する。
以後、駆動手段73の動作について説明する。まず時刻t0で、駆動手段73は、スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEをローレベルとする。スタート信号φSをローレベルにしておくことによって、走査スタート用スイッチ素子T0のしきい電圧またはしきい電流は、第3走査信号φのハイレベルよりも小さくなる。駆動手段73は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをローレベルからハイレベルにすると、次に信号レベルをハイレベルからローレベルにするまで、信号レベルをハイレベルとなるように維持する。また駆動手段73は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをハイレベルからローレベルにすると、次に信号レベルをローレベルからハイレベルにするまで、信号レベルをローレベルとなるように維持する。
時刻t1で、駆動手段73は、第3走査信号φ3のみをローレベルからハイレベルに変化させる。時刻t1において、スタート信号φS、第1,第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEは、ローレベルである。これによって、走査スタート用スイッチ素子T0が、オン状態になり、すなわちターンオンし、発光する。
走査スタート用スイッチ素子T0の光は、隣接するスイッチ素子アレイ13の配列方向Xの端部に配置されるスイッチ素子T1に最も強く入射する。スイッチ素子アレイ13の他のスイッチ素子Tでは、配列方向Xに走査スタート用スイッチ素子T0から離間した位置に配置されるスイッチ素子Tほど、走査スタート用スイッチ素子T0から照射される光の強度が小さくなる。スイッチ素子Tでは、受光すると光励起によって各半導体層に、受光強度に応じたキャリアが生成される。キャリアの生成によって、第2の一方導電型半導体層44に蓄積される電子が、第2の一方導電型半導体層44のフェルミ準位を下げ、これによって第1の他方導電型半導体層43と第2の一方導電型半導体層44との接合部分において、なだれ現象が発生しやすくなる。このため、スイッチ素子Tは、光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下し、また受光する光強度が大きくなるほど、しきい電圧またはしきい電流の降下が大きくなるという特性を有する。
次に走査スタート用スイッチ素子T0からスイッチ素子T1への発光状態の転送について説明する。走査スタート用スイッチ素子T0が発光すると、この光をスイッチ素子T1が受光し、スイッチ素子T1のしきい電圧が低下する。
時刻t2において、スイッチ素子T1のしきい電圧はVTH(T1)となっている。第1走査信号伝送路15aには、スイッチ素子T1,T4,…,Tj−2が接続されているが、スイッチ素子T4,…,Tj−2は、走査スタート用スイッチ素子T0から十分に離れているので、走査スタート用スイッチ素子T0からの光を受光しても、その光は微弱であるので、しきい電圧はほとんど変化しない。
時刻t2で、駆動手段73は、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにする。時刻t2において、スタート信号φS、第2走査信号φ2、発光信号φEはローレベルであり、第3走査信号φ3は、ハイレベルである。第1走査信号φ1のハイレベルは、第1走査信号伝送路15aに接続されるスイッチ素子T1を除く他のスイッチ素子T4,…,Tj−2のしきい電圧またはしきい電流うちの最低値よりも、高い電圧または高い電流に選ばれる。
隣接するスイッチ素子Tからの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tが接続される前記走査信号伝送路15に、この走査信号伝送路15に接続される他のスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流の最低値よりも高い電圧または電流の走査信号φを与えると、走査信号φは抵抗素子Rφを介して、走査信号伝送路15に与えられ、スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が与えられる。各スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が徐々に印加されることとなり、同じ走査信号伝送路15に接続される複数のスイッチ素子Tのうち、隣接しているスイッチ素子Tからの光を受光したスイッチ素子Tに与えられる電圧または電流が、最も早くこのスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流よりも大きくなる。これによって、しきい電圧またはしきい電流が最も低いスイッチ素子Tのみが発光し、他のスイッチ素子Tは、発光しない。
これによって、時刻t2で、スイッチ素子T1がオン状態となり、すなわちターンオンし、発光する。
スイッチ素子T1がオン状態となった後、時刻t3で、駆動手段73は、第3走査信号φ3をローレベルにする。これによって、走査スタート用スイッチ素子T0は、オフ状態、すなわちターンオフして、消灯する。
このようにして、走査スタート用スイッチ素子T0から、スイッチ素子T1へと発光状態が遷移する。また時刻t3において、駆動手段73は、スタート信号φSをローレベルからハイレベルにし、以後、ハイレベルを維持させることによって、時刻t3以降に、第3走査信号φ3をローレベルからハイレベルにしても、走査スタート用スイッチ素子T0はオフ状態を維持する。
時刻t2と時刻t3との間の時間は、第1走査信号φ1がハイレベルとなる時間の1/10程度に選ばれる。このように、隣接するスイッチ素子Tにおいて与えられる走査信号φがハイレベルとなる時間が重なるように駆動手段73が走査信号φを与えることによって、隣接するスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流が確実に低下している間に、走査信号φをハイレベルとすることができ、光走査を確実に行うことができる。
本実施の形態では、第1〜第3走査信号φ1〜φ3がハイレベルとなる時間は、1μ秒(μsecond)程度に選ばれる。したがって、時刻t2と時刻t3との間の時間は、0.1μ秒(μsecond)程度に選ばれる。
スイッチ素子T1は、受光によってゲート24にトリガ信号を発生し、時刻t2においてオン状態となると、ハイレベルとされた走査信号φがローレベルになるまでは、オン状態を維持する。オン状態となると、スイッチ素子T1のゲート24の電圧は、ほぼ0(零)ボルト(V)になる。ここで前記スイッチ素子T1のゲート24の電圧とは、このゲート24と接地される裏面電極36との電位差である。スイッチ素子T1のゲート24は、発光素子L1のゲート19に接続されているので、スイッチ素子T1のゲート24の電圧は、発光素子L1のゲート19の電圧と等しくなる。このようにスイッチ素子T1は、発光素子L1のゲート19と裏面電極36とに印加される電圧を変化させることができる。
発光素子L1を発光させる場合、駆動手段73は、第3走査信号φ3をハイレベルからローレベルにした時刻t3が経過した後、時刻t4で、発光信号φEをローレベルからハイレベルにする。
発光素子L1は、スイッチ素子T1がオン状態であるので、前述したように発光素子L1のゲート19は、ほぼ0(零)ボルト(V)となる。このときスイッチ素子T2,…,Tj−1,Tjは、オフ状態であり、時刻t4における発光素子L1のしきい電圧をVTH(L1)とし、時刻t4における発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧をそれぞれVTH(L2),…,VTH(Li−1),VTH(Li)とすると、発光信号φEのハイレベルVを、発光素子Lのしきい電圧以上であって、発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧のうち、最低値のものよりも小さな値に選ぶことによって、発光素子L1のみを選択的にオン状態として、発光させることができる。
時刻t5において、駆動手段73が発光信号φEをローレベルにすると、発光素子L1は、オフ状態となり、消灯する。後述する感光体ドラム90への露光量は、発光素子Lの発光強度は一定として、発光素子Lの発光する時間によって調整される。すなわち、発光信号φEがハイレベルとなる時刻t4から時刻t5までの間の時間を決定することによって、露光量が決定される。発光素子Lの発光強度によって露光量を変更する場合、発光素子L1に与える電圧または電流を細かく制御する必要があるので困難であるが、発光時間によって露光量を変更することによって、発光信号φEがハイレベルとなる時間を調整するだけでよいので、露光量の制御がしやすく、また定電圧または定電流が発光素子Lに与えられるので、発光素子L1を安定して発光させることができる。発光素子Lが発光する時間、言い換えれば発光信号φEがハイレベルとなる時間は、走査信号φがハイレベルとなる時間の80%以下に選ばれる。
時刻t5が経過した後、駆動手段73は、時刻t6で第2走査信号φ2をハイレベルにすると、スイッチ素子T2が発光し、時刻t6が経過した後、時刻t7で、第1走査信号φ1をローレベルにすると、スイッチ素子T1が消灯する。これによって、スイッチ素子T1からスイッチ素子T2へと発光状態が移る。
時刻t7が経過した後、駆動手段73は、時刻t8で第3走査信号φ3をハイレベルにすると、スイッチ素子T3が発光し、時刻t8が経過した後、時刻t9で、第2走査信号φ2をローレベルにすると、スイッチ素子T2が消灯する。これによって、スイッチ素子T2からスイッチ素子T3へと発光状態が移る。
時刻t9が経過した後、駆動手段73は、時刻t10で再び第1走査信号φ1をハイレベルにすると、スイッチ素子T4が発光する。
時刻t6と時刻t7との間の時間は、第2走査信号φ2がハイレベルとなる時間の1/10程度に選ばれ、時刻t8と時刻t9との間の時間は、第3走査信号φ3がハイレベルとなる時間の1/10程度に選ばれる。
このように駆動手段73が、第1〜第3走査信号φ1〜φ3を繰り返して与えることによって、スイッチ素子T4,…,Tj−1,Tjにおいても、オン状態が配列方向Xに沿って順次転送される。スイッチ素子Tが発光しているとき、発光信号伝送路12の発光信号φEをローレベルからハイレベルにすることによって、この発光しているスイッチ素子Tに対応する、すなわち発光しているスイッチ素子Tに接続されている発光素子Lのみを選択的に発光させることができる。
発光しているスイッチ素子Tの配列方向Xの両側に位置するスイッチ素子Tは、いずれも励起状態となってしまうが、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cによって、前述したように第1〜第3走査信号φ1〜φ3を伝送させて、各スイッチ素子Tに第1〜第3走査信号φ1〜φ3を与えることによって、配列方向Xの一方から他方へと、スイッチ素子Tの発光状態の転送を行うことができ、言い換えれば光走査することができる。
図9は、第1走査信号伝送路15aに接続されるスイッチ素子T1,T4,T7のしきい電圧の変化を表す波形図である。図9において、横軸は時間であって、基準時刻からの経過時間を表す。なお同図には、スタート信号φSおよび第1〜第3走査信号φ1〜φ3も示している。同図に示す時刻t1,t2,t7,t8,t10は、前述した図8に示す時刻t1,t2,t7,t8,t10にそれぞれ対応する。各スイッチ素子T1,T4,T7の初期のしきい電圧をVBOとし、隣接するスイッチ素子Tまたは走査スタート用スイッチ素子T0からの受光することによって低下したしきい電圧をVとする。
時刻t1で走査スタート用スイッチ素子T0が発光するので、走査スタート用スイッチ素子T0の光を受光することによって、スイッチ素子T1のしきい電圧が徐々に低下し、時刻taでスイッチ素子T1のしきい電圧は、Vになる。走査スタート用スイッチ素子T0の発光状態が維持される時刻t3まで、スイッチ素子T1のしきい電圧はVに維持される。
時刻t2で、第1走査信号φ1がローレベルからハイレベルになることによって、スイッチ素子T1が発光し、スイッチ素子T1のしきい電圧は、さらに低下して時刻tbで、Vとなる。時刻tbにおいて、スイッチ素子T4,T7のしきい電圧は、VBOである。
時刻t7で、第1走査信号φ1がハイレベルからローレベルになると、スイッチ素子T1のしきい電圧は、時間の経過にともなって、Vから徐々に上昇する。
時刻t8でスイッチ素子T3が発光するので、スイッチ素子T3の光を受光することによって、スイッチ素子T4のしきい電圧が徐々に低下し、時刻tcでスイッチ素子T3のしきい電圧は、Vになる。
時刻t10では、スイッチ素子T4のしきい電圧は、Vであり、スイッチ素子T1のしきい電圧は、Vよりも高くVBOよりも低いVであり、スイッチ素子T7のしきい電圧は、VBOである。
時刻t10で、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにするが、このハイレベルの電圧を、第1走査信号伝送路15aに接続されているスイッチ素子Tのうち、隣接するスイッチ素子Tからの光の受光していないスイッチ素子Tのうちで、最もしきい電圧の低いスイッチ素子T1のしきい電圧Vよりも高くすることによって、スイッチ素子T4のみを発光させることができる。スイッチ素子T4は、発光するとしきい電圧がさらに低下して時刻tdで、Vとなる。
時刻t11で、第1走査信号φ1がハイレベルからローレベルになると、スイッチ素子T4のしきい電圧は、時間の経過にともなって、Vから徐々に上昇する。
図10は、スイッチ素子Tの順方向電圧−電流特性と、各走査信号伝送路15に供給される第1〜第3走査信号φ1〜φ3のハイレベルの電圧Vの範囲とを示すグラフである。なお、図10では、横軸をアノード電圧とし、縦軸をアノード電流として示されている。同図の特性曲線によって示されるように、スイッチ素子Tは、一般的なサイリスタと同様のS字形負性抵抗を有している。スイッチ素子Tは、このスイッチ素子Tを構成する半導体層に光を照射することによって、しきい電圧またはしきい電流を低下させることできる。これによって前述したように、スイッチ素子Tは、特性曲線と負荷線72とが交わるオフ状態のb点から、特性曲線と負荷線72とが交わるオン状態のa点に遷移するので、スイッチとして機能する。
スイッチ素子Tの初期のしきい電圧をVB0とし、スイッチ素子Tに光を照射することによって最もしきい電圧が低下した状態のしきい電圧をVとし、同じ走査信号伝送路15に接続されているスイッチ素子Tのうち、2番目にしきい電圧が低いスイッチ素子Tのしきい電圧をVとする。このVは、光を受光することによって、わずかにしきい電圧が低下した状態のスイッチ素子T、またはターンオフ時、すなわちいったんオン状態となった後、初期状態に回復しつつあるスイッチ素子Tのしきい電圧である。
スイッチ素子Tに接続される各走査信号伝送路15に供給される第1〜第3走査信号φ1〜φ3のハイレベルの電圧Vは、図10の符号P2で示す範囲、すなわち前記電圧Vよりも高く設定される。また電圧Vは、前記スイッチ素子Tの定格電圧よりも低く選ばれる。たとえば電圧Vを高くすると、スイッチ素子Tのオフ状態からオン状態へのスイッチング速度を高くすることができ、これによってスイッチ素子Tにおける発光状態の遷移を高速化することができるので、光走査を高速化することができる。たとえば5ミリアンペア(mA)で、1メガヘルツ(MHz)のクロック信号で動作させる場合、前記電圧Vは10V程度に選ばれ、抵抗素子Rφの抵抗値は、1.6kΩに選ばれる。走査信号φの電圧は、高くなるほど、スイッチ素子Tに流入する電流を制限する必要があるので、抵抗素子Rφの抵抗値を大きくする必要がある。このため抵抗素子Rφの抵抗値は、光走査の速度をより高速化する必要がある場合、抵抗素子Rφの抵抗値と光スイッチ素子Tの容量値とによって決定される時定数を考慮して決定される。
本実施の形態では、前述のように走査信号φのハイレベルの電圧を設定するので、スイッチ素子Tが受光して光励起した状態のときのしきい電圧もしくはしきい電流が、初期のしきい電圧またはしきい電流の80%程度にしかならない場合であっても、スイッチ素子Tによって発光状態の転送を実現することができる。したがって、スイッチ素子Tは、高い受光感度を備えていなくても、発光状態の転送を行うことができる。スイッチ素子Tは、発光素子Lと同じ半導体材料によって形成され、同様な構造を有する。発光素子Lでは、高い発光効率を求められるので、発光効率を高めるように発光素子Lを設計すると、発光素子Lと同じ構成によって実現されるスイッチ素子Tでの受光感度が低下してしまう。逆に、スイッチ素子Tの受光感度を高めるようにスイッチ素子Tを設計すると、スイッチ素子Tと同じ構成によって実現される発光素子Lの発光効率が低下してしまう。本発明では、スイッチ素子Tは、高い受光感度を備えていなくてもよいので、発光素子Lの発光効率を高めるための設計の自由度が向上し、より小さな電力で発光素子Lを効率よく発光させて、発光装置10の消費電力を低減することができる。
図11は、図1の発光装置10を構成する発光体チップ75の構成を示す平面図である。なお、図1に示される発光装置10の基本的構成を示す一部は、同図においてa1,a2,a3,a4,a5およびa6によって外囲される部分である。また図11では、各発光素子Lの光の出射方向を紙面に垂直手前側として配置された発光体チップ75の平面を示し、発光素子L、スイッチ素子T、接続手段14および信号伝送路接続部76は図解を容易にするため、斜線を付して示されている。
発光体チップ75は、第1発光体チップ部77と第2発光体チップ部78と、信号伝送路接続部76とを有する。第1発光体チップ部77は、前述した図1に示す部分であり、a1,a2,a3,a4,a5およびa6によって外囲される部分である。第2発光体チップ部78は、第1発光体チップ部77と同様な構成であって、第1発光体チップ部77を紙面に垂直なZ方向に延びる軸線周りに180度角変位させた形状を有する。第1発光体チップ部77と第2発光体チップ部78との発光素子アレイ11は、発光体チップ75の幅方向Yの中央で、直線状に配列されている。したがって発光体チップ75の各スイッチ素子Tは、各発光素子Lの配列方向Xおよびこの配列方向Xに垂直な幅方向Yに、発光素子アレイ11の一方側および他方側に分割して配置されている。発光体チップ75は、図1に示す発光装置10の基本的構成を示す一部と、この基本的構成を示す一部を紙面に垂直なZ方向に延びる軸線周りに180度角変位させて、発光素子アレイ11を直線状に配列させた形状を有する。
発光素子アレイ11の幅方向Yの他方側に配置される第1発光体チップ部77のスイッチ素子アレイ13を、第1スイッチ素子アレイ13aと記載し、発光素子アレイ11の幅方向の一方側に配置される第2発光体チップ部78のスイッチ素子アレイ13を第2スイッチ素子アレイ13bと記載する。本実施の形態では、第1および第2スイッチ素子アレイ13a,13bのスイッチ素子Tの数は等しく選ばれる。第1スイッチ素子アレイ13aは、発光体チップ75の配列方向Xの他端部75bから、配列方向Xの中央部75cまで延びる。第2スイッチ素子アレイ13bは、発光体チップ75の配列方向Xの一端部75aから、配列方向Xの中央部75cまで延びる。
第1スイッチ素子アレイ13aの配列方向Xの一方に第1走査スタート用スイッチ素子T0が設けられ、第2スイッチ素子アレイ13bの配列方向Xの他方に第2走査スタート用スイッチ素子T0が設けられる。第1スイッチ素子アレイ13aでは、配列方向Xの一端部から他端部に向かってスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjがこの順番で配列され、第2スイッチ素子アレイ13bでは、配列方向Xの他端部から一端部に向かってT1,T2,…,Tj−1,Tjがこの順番で配列される。
発光体チップ75は、略直方体形状を有し、厚み方向Zの一表面部79に、信号伝送路接続部76が設けられる。
第1および第2発光体チップ部77,78の発光素子アレイ11が配列されて成る発光素子アレイ11は、配列方向Xにおいて発光体チップ75の一端部75aおよび他端部75b間にわたって、形成される。配列方向Xにおける発光体チップ75の一端から配列方向Xの一端の発光素子Lまでの距離と、配列方向Xにおける発光体チップ75の他端から配列方向Xの他端の発光素子Lまでの距離とは、距離W7に選ばれ、かつ隣接する発光素子Lの間の距離W1よりも小さく選ばれ、好ましくは距離W1の1/2程度に選ばれる。
幅方向Yにおいて、第1および第2発光体チップ部77,78の各スイッチ素子Tの発光素子Lとは反対側の端部から、発光体チップ75の幅方向Yの一端までの距離W8は、スイッチ素子Tの発光素子Lとは反対側の端部を覆う前記絶縁層17および前記遮光層18を設けることができるように選ばれる。
第1および第2スイッチ素子アレイ13a,13bの配列方向Xに沿ってそれぞれ隣接した領域80A,80Bには、信号伝送路接続部76が第1および第2発光素子アレイ11に沿って設けられる。信号伝送路接続部76は、走査信号伝送路15、発光信号伝送路12およびスタート信号伝送路16と外部からの信号伝送路であるボンディングワイヤとをそれぞれ接続する部分であり、ワイヤボンディングに用いられるボンディングパッドである。
信号伝送路接続部76は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成され、具体的には、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)および金と亜鉛との合金(AuZn)などによって形成される。
信号伝送路接続部76は、第1および第2スタート信号伝送路接続部81a,81bと、第1および第2走査信号伝送路接続部82a,82bと、第1および第2発光信号伝送路接続部83a,83bとを含んで構成される。第1および第2スタート信号伝送路接続部81a,81bと、第1および第2走査信号伝送路接続部82a,82bと、第1および第2発光信号伝送路接続部83a,83bとは、厚み方向Zの一方側から見て矩形状に形成され、それぞれ等しい大きさに形成される。
第1スイッチ素子アレイ13aの配列方向一方X1に隣接する領域80Aには、第1スタート信号伝送路接続部81aと、第1走査信号伝送路接続部82aと、第2発光信号伝送路接続部83bとが設けられる。第1スイッチ素子アレイ13の配列方向一方X1には、走査スタート用スイッチ素子T0の配列方向一端から配列方向Xに距離W9離間して、第1スタート信号伝送路接続部81aが設けられる。第1スタート信号伝送路接続部81aの配列方向一方X1に第1走査信号伝送路接続部82aが設けられる。第1走査信号伝送路接続部82aは、第1〜第3伝送路接続部84a,84b,84cを含んで構成される。第1スタート信号伝送路接続部81a、および第1〜第3伝送路接続部84a,84b,84cは、配列方向Xに相互に間隔をあけて設けられ、等間隔に設けられる。
本実施の形態では、配列方向一方X1から配列方向他方X2に向かって第1伝送路接続部84a、第2伝送路接続部84bおよび第3伝送路接続部84cがこの順番で配列される。第1発光体チップ部77のスタート信号伝送路16は、第1スタート信号伝送路接続部81aに接続され、第1発光体チップ部77の第1走査信号伝送路15aは、第1伝送路接続部84aに接続され、第1発光体チップ部77の第2走査信号伝送路15bは、第2伝送路接続部84bに接続され、第1発光体チップ部77の第3走査信号伝送路15cは、第3伝送路接続部84cに接続される。このように接続することによって、各伝送路接続部84a,84b,84cから各スイッチ素子Tまでの伝送路の長さのばらつきを抑えることができる。
また第1走査信号伝送路接続部82aの配列方向Xの一方で、発光体チップ75の配列方向Xの一端部75aには、第2発光信号伝送路接続部83bが設けられる。第2発光信号伝送路接続部83bは、第2発光体チップ部78の発光信号伝送路12に接続される。第2発光信号伝送路接続部83bは、発光体チップ75の配列方向Xの一端から距離W10離間して設けられる。前記距離W10は、前記距離W7よりも大きく選ばれる。
第1スタート信号伝送路接続部81a、第1走査信号伝送路接続部82aおよび第2発光信号伝送路接続部83bは、発光素子Lが設けられる領域外に設けられており、発光素子アレイ11から幅方向Yに距離W11離間して設けられている。距離W11は、発光素子Lが発光したときに、この光が信号伝送路接続部76によって遮光されてしまい、光量が低下してしまわないように選ばれる。
第2スイッチ素子アレイ13bの配列方向他方X2に隣接する領域80Bには、第2スタート信号伝送路接続部81bと、第2走査信号伝送路接続部82bと、第1発光信号伝送路接続部83aとが設けられる。第2スイッチ素子アレイ13bの配列方向他方X2には、走査スタート用スイッチ素子T0の配列方向Xの一端から配列方向Xに距離W9離間して、第2スタート信号伝送路接続部81bが設けられる。第2スタート信号伝送路接続部81bの配列方向他方X2に第2走査信号伝送路接続部82bが設けられる。第2走査信号伝送路接続部82bは、第4〜第6伝送路接続部85a,85b,85cを含んで構成される。第2スタート信号伝送路接続部82bおよび第4〜第6伝送路接続部85a,85b,85cは、配列方向Xに相互に間隔をあけて設けられ、ここでは等間隔に設けられる。
本実施の形態では、配列方向他方X2から配列方向一方X1に向かって第4伝送路接続部85a、第5伝送路接続部85bおよび第6伝送路接続部85cがこの順番で配列される。第2発光体チップ部78のスタート信号伝送路16は、第2スタート信号伝送路接続部81bに接続され、第2発光体チップ部78の第1走査信号伝送路15aは、第4伝送路接続部85aに接続され、第2発光体チップ部78の第2走査信号伝送路15bは、第5伝送路接続部85bに接続され、第2発光体チップ部78の第3走査信号伝送路15cは、第6伝送路接続部85cに接続される。このように接続することによって、各信号伝送路接続部76から各スイッチ素子Tまでの伝送路の長さのばらつきを抑えることができる。
また第2走査信号伝送路接続部82bの配列方向他方X2で、発光体チップ75の配列方向Xの他端部75bには、第1発光信号伝送路接続部83aが設けられる。第1発光信号伝送路接続部83aは、第1発光体チップ部77の発光信号伝送路12に接続される。第1発光信号伝送路接続部83aは、発光体チップ75の配列方向他端から距離W10離間して設けられる。
第2スタート信号伝送路接続部81b、第2走査信号伝送路接続部82bおよび第1発光信号伝送路接続部83aは、発光素子Lが設けられる領域外に設けられており、発光素子アレイ11から幅方向に距離W11離間して設けられる。
信号伝送路接続部76が形成される領域80A,80Bにおいて、各発光信号伝送路12と、各第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、各スタート信号伝送路16とである各信号伝送路は、それぞれ電気絶縁性を有する絶縁膜によって相互に絶縁される。信号伝送路接続部76と各信号伝送路とは、絶縁膜に形成される貫通孔を介して接続される。
このように本実施の形態の発光装置10における発光体チップ75の各スイッチ素子アレイ13は、発光素子アレイ11の配列方向Xおよびこの配列方向Xに垂直な幅方向Yに、発光素子アレイ11の一方側および他方側に分割して配置され、各スイッチ素子アレイ13の前記配列方向Xに沿って隣接した領域80A,80Bに、発光素子アレイ11に沿って信号伝送路接続部76が設けられるので、発光素子アレイ11の配列方向Xの端部を、発光体チップ75の端部に配置することができるとともに、前記幅方向Yに発光素子アレイ11の一方側および他方側に信号伝送路接続部76を設ける構成としたときに、配列方向Xに垂直な方向の発光体チップ75の大きさを、可及的に小さくする形成することができる。
発光素子アレイ11を発光体チップ75の幅方向Yの一端部に形成すると、発光体チップ75を、このウエハから切り出すときに、発光素子Lの配列方向Xである長辺部の形状を、発光素子Lにダメージが与えられないように、精密にかつチッピングが生じないようにダイシングするか、あるいは切り出し後にラッピングを行うなどの工程を追加する必要がある。本実施の形態では、発光素子アレイ11は、発光体チップ75の幅方向Yの中央部に形成されるので、ウエハからの切り出しの際に、発光素子Lがダメージを受けにくいので、ダイシングが容易となり、また歩留まりを向上させることができるとともに、製造工程を増加させることがない。
図12は、発光体チップ75を複数有する発光体チップ組立体86の基本的構成を示す一部の平面図である。なお、同図は、各発光素子Lの光の出射方向を紙面に垂直手前側として配置された発光体チップ組立体86の平面を示し、発光素子アレイ11、第1および第2スイッチ素子アレイ13a,13bおよび信号伝送路接続部76は図解を容易にするため、斜線を付して示されている。
発光体チップ組立体86は、前記図11に示される発光体チップ75を複数有し、各発光体チップ75の各発光素子Lを直線状に配列して構成される。発光体チップ組立体86は、プリント配線基板などの回路基板に、発光体チップ75の裏面電極36を臨ませて、各発光体チップ75の各発光素子Lを直線状に並べて実装される。
複数の発光体チップ75では、配列方向Xの一端部75aおよび他端部75bに発光素子Lが配置されるので、発光素子アレイ11を配列方向Xに沿って並べたときに、隣接する発光体チップ75の配列方向Xの端部の発光素子Lを可及的に近づけることができ、発光体チップ75を1列に並べても、隣接する発光体チップ75の発光素子Lの間の距離W12を所定の範囲内とすることができるので、発光体チップ75を千鳥状に配列する必要がなく、発光体チップ75を回路基板上に配列する工程を簡便化できる。距離W12は、前記間隔W1程度に選ばれ、正確には、隣接する発光体チップ75の端同士の発光素子Lの間隔が、光軸間距離で42.3μm(600dpiの場合)になるように配置される。したがって、W12=W1−W7−W7に選ばれる。
また発光体チップ75を配列して後述する画像形成装置87の露光装置として用いるときに、各発光体チップ75の発光素子Lを1列に並べることができるので、レンズアレイ88を介した感光体ドラム90への露光では、発光体チップ75ごとに光軸ズレが生じない。これによって複数の発光体チップ75の感光体ドラム90への露光特性を揃えることができるので、形成される画像の画質を向上させることができる。さらに、感光体ドラム90を露光するときに配列方向に沿って、複数の発光体チップ75は同じラインのデータを読み込めばよいので、発光装置10に複数のラインデータを記憶するためのメモリ機能が必要なく、装置の構成を簡素化することができる。
発光体チップ組立体86は、電子写真方式の画像形成装置用の光プリンタヘッドなどのラインヘッドとしての露光装置に用いられる。発光体チップ組立体86の配列方向Xの幅W13は、画像形成装置87において形成する画像の幅によって決定される。
各発光体チップ75の信号伝送路接続部76は、外部信号伝送路であるボンディングワイヤによって、回路基板の接続すべき部分に電気的に接続される。回路基板には、前述した駆動手段73が実装される。駆動手段73は、ボンディングワイヤを介して、各信号伝送路接続部76に信号を与える。駆動手段73を、発光体チップ75が実装される回路基板に設けることによって、駆動手段73から各発光素子L、各スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0までの信号伝送路の距離を短くして、駆動手段73から信号伝送路接続部76までの信号伝送路によって伝送される信号にノイズが重畳されてしまうことを抑制することができる。
図13は、発光装置10を有する画像形成装置87の基本的構成を示す側面図である。画像形成装置87は、電子写真方式の画像形成装置であり、発光装置10を、感光体ドラム90への露光装置に使用している。発光装置10は、発光体チップ組立体86および駆動手段73を含んで構成される。発光体チップ組立体86および駆動手段73は、回路基板に実装される。
画像形成装置87は、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のカラー画像を形成するタンデム方式を採用した装置であり、大略的に、4つの発光装置10Y,10M,10C,10K、集光手段であるレンズアレイ88C,88M,88Y,88K、前記発光体チップ組立体86および駆動手段73が実装された回路基板31およびレンズアレイ88を保持する第1ホルダ89C,89M,89Y,89K、4つの感光体ドラム90C,90M,90Y,90K、4つの現像剤供給手段91C,91M,91Y,91K、転写手段である転写ベルト92、4つのクリーナ93C,93M,93Y,93K、4つの帯電器94C,94M,94Y,94K、定着手段95および制御手段96を含んで構成される。
各発光体チップ組立体86は、駆動手段73によって各色のカラー画像情報に基づいて駆動される。たとえば、4つの発光体チップ組立体86の配列方向Xの長さW11は、たとえば200mm〜400mmに選ばれる。
各発光体チップ組立体86の発光素子Lからの光は、レンズアレイ88を介して各感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kに集光して照射される。レンズアレイ88は、たとえば発光素子Lの光軸上にそれぞれ配置される複数のレンズを含み、これらのレンズを一体的に形成して構成される。
発光体チップ組立体86が実装される回路基板およびレンズアレイ88は、第1ホルダ89によって保持される。ホルダ89によって、発光素子Lの光照射方向と、レンズアレイ88のレンズの光軸方向とがほぼ一致するようにして位置合わせされる。
各感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kは、たとえば円筒状の基体表面に感光体層を被着して成り、その外周面には各発光装置10Y,10M,10C,10Kからの光を受けて静電潜像が形成される静電潜像形成位置が設定される。
各感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kの周辺部には、各静電潜像形成位置を基準として回転方向下流側に向かって順番に、露光された感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kに現像剤を供給する現像剤供給手段91C,91M,91Y,91K、転写ベルト92、クリーナ93C,93M,93Y,93K、および帯電器94C,94M,94Y,94Kがそれぞれ配置される。感光体ドラム90に現像剤によって形成された画像を記録シートに転写する転写ベルト92は、4つの感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kに対して共通に設けられる。
前記感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kは、第2ホルダによって保持され、この第2ホルダと第1ホルダ89とは、相対的に固定される。各感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kの回転軸方向と、各発光体チップ組立体86の前記配列方向Xとがほぼ一致するようにして位置合わせされる。
転写ベルト92によって、記録シートを搬送し、現像剤によって画像が形成された記録シートは、定着手段95に搬送される。定着手段95は、記録シートに転写された現像剤を定着させる。感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kは、回転駆動手段によって回転される。
制御手段96は、前述した駆動手段73にクロック信号および画像情報を与えるとともに、感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kを回転駆動する回転駆動手段、現像剤供給手段91C,91M,91Y,91K、転写手段92、帯電手段94C,94M,94Y,94Kおよび定着手段95の各部を制御する。
このような構成の画像形成装置87では、露光装置として使用される発光装置10からバイアス光および漏れ光が発生しないので、高画質の画像を形成することができる。また発光サイリスタによるスイッチ素子Tおよび発光素子Lを集積化した発光装置10を露光装置に用いているので、このような露光装置は、安価に製造することができ、これによって画像形成装置87の製造コストを低減することができる。
以上のように発光装置10によれば、各スイッチ素子Tは、隣接するスイッチ素子Tから発する光を受光することによって、そのしきい電圧またはしきい電流を低下させることができ、各スイッチ素子Tのゲート24に、転送方向指定のためのダイオードおよび電源との間に接続される負荷抵抗などを接続する必要がない。したがって発光装置10の構造を複雑にすることなく、可及的に少ない信号伝送路によって、複数配列される発光素子Lのうち所定の発光素子Lのみを選択的に発光させることができる。
また走査スタート用スイッチ素子T0は、走査信号伝送路15に接続され、走査信号伝送路15を介して走査信号φが与えられることによって発光するので、スイッチ素子Tの発光に必要な電力を供給する伝送路と、走査スタート用スイッチ素子T0が発光するために必要な電力を供給する伝送路を共通化することができ、走査スタート用スイッチ素子T0に必要な電力を供給する伝送路を特別に設ける必要がない。
走査スタート用スイッチ素子T0は、スイッチ素子Tに接続される走査信号伝送路15からの走査信号φに基づいて発光するので、駆動手段73は、スイッチ素子アレイ13のスイッチ素子Tと発光のタイミングを同期させやすい。また走査スタート用スイッチ素子T0は、予め定める部位にトリガ信号を与え、さらに走査信号φを与えなければ発光しないので、不所望にトリガ信号が与えられたとしても、発光してしまうことが防止される。
またP型半導体とN型半導体とが交互に積層される単純な構成で、スイッチ素子Tおよび発光素子Lならびにスタート用スイッチ素子T0を実現することによって、発光装置10の作製が容易である。スイッチ素子Tと発光素子Lとスタート用スイッチ素子T0とを基板31上に同一の製造プロセスによって形成することができ、発光装置10の製造工程を可及的に少なくすることができる。
さらに、同一の基板31上にスイッチ素子Tおよび発光素子Lならびにスタート用スイッチ素子T0が集積されて構成されるので、各素子を高密度に形成することができ、スイッチ素子アレイ13では配列方向Xに隣接するスイッチ素子T同士を密接させることができる。これによって各スイッチ素子Tは、隣接するスイッチ素子Tからの光を効率的に受光することができ、隣接するスイッチ素子Tの発光強度が小さい場合であっても、発光したスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流を低下させることができる。したがって、スイッチ素子Tを発光させるために必要な電力を小さくすることができ、より消費電力の小さな発光装置10を実現することができる。また発光素子Lにおいても、配列方向に隣接する発光素子L同士を密接させることができるので、画像形成装置87に用いて画像の解像度を向上させることができる。
また各スイッチ素子Tは、配列方向Xに沿って順番に発光するので、この光を遮光層18によって遮光し、発光素子Lが発する光に干渉しないようにすることによって、発光素子Lが発光しているときには、発光素子Lの光量が小さくなったり大きくなったりしてしまうことが防止され、安定した光量を得ることができる。また遮光層18によって、バイアス光が漏れることが防止されるので、画像形成装置87では、画像の品位を低下させることがなく、良好な品質の画像を形成することができる。
また絶縁層17は、各発光素子Lおよび各スイッチ素子Tと各走査信号伝送路15および発光信号伝送路12との間に設けられ、各発光素子Lおよび各スイッチ素子Tと各走査信号伝送路15および発光信号伝送路12が短絡してしまうことが防止される。
各走査信号伝送路15および絶縁層17によって反射手段が形成されるので、反射手段を作製するために特別に反射層などを形成する必要がなく、既存の構成を利用して形成することができる。したがって、発光装置10の作製工程が増加することなく、反射手段を形成することができる。
また発光装置10では、隣接するスイッチ素子Tからの光を受光したときのしきい電圧またはしきい電流を、隣接するスイッチ素子Tからの光を受光していない状態におけるしきい電圧またはしきい電流の80%程度まで下げることができれば、受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tを選択的に発光させることができるので、スイッチ素子が高い受光感度を有さなくても、スイッチ素子Tを配列方向に沿って、順番に発光させることができる。したがって、スイッチ素子Tの受光感度に影響されず、スイッチ素子Tの発光状態を、スイッチ素子Tの配列方向に沿って順番に遷移させることができ、光走査の信頼性が向上される。
図14は、本発明の第2の実施の形態の発光装置において駆動手段73がスタート信号伝送路16に与えるスタート信号φS、および走査信号伝送路15に与える第1〜第3走査信号φ1,φ2,φ3、発光信号伝送路12に与える発光信号φEと、発光素子L1の発光強度と、走査スタート用スイッチ素子T0およびスイッチ素子T1〜T4の発光強度とを示す波形図である。発光素子L1および走査スタート用スイッチ素子T0ならびにスイッチ素子T1〜T4の発光強度は、ハイ(H)レベルのとき発光していることを表し、ロー(L)レベルのとき発光していないことを表す。図14において、横軸は時間であって、基準時刻からの経過時間を表す。
本実施の形態の発光装置と、図1に示される前述の第1の実施の形態の発光装置10とは、装置の駆動方法が異なるのみ、すなわち駆動手段73から出力される各信号のタイミングが異なるのみであって、その他の構成は、発光装置10と同様であるので、同様な構成については説明を省略する。
またスタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEについて、縦軸は、信号レベルを表す。信号レベルは、電圧または電流の大きさを表し、スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEがハイ(H)レベルのとき、高電圧または高電流が信号伝送路に供給され、スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEがロー(L)レベルのとき、低電圧または低電流が信号伝送路に供給される。スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEがLレベルのとき、伝送路に供給される電圧または電流は、各素子のしきい電圧またはしきい電流よりも小さい。電圧の場合では、ハイレベルは、たとえば3V〜10Vである。電圧の場合では、ローレベルは、たとえば0Vである。
本実施の形態では、Hレベルのときのスタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEの電圧をたとえば5ボルト(V)とし、Lレベルのスタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEの電圧をたとえば0(零)ボルト(V)とする。第1〜第3走査信号φ1〜φ3の波形は同じであって、それぞれ位相が異なる。
本実施の形態では、駆動手段73は、第1〜第3走査信号φ1〜φ3のハイレベルとなる部分が重ならないように第1〜第3走査信号φ1〜φ3を、走査信号伝送路15に与える。すなわち、第1走査信号φ1がハイレベルのとき、第2および第3走査信号φ2,φ3は、ローレベルであり、第2走査信号φ2がハイレベルのとき、第1および第3走査信号φ1,φ3は、ローレベルであり、第3走査信号φ3がハイレベルのとき、第1および第2走査信号φ1,φ2は、ローレベルとなるように駆動手段73は各信号を出力する。
以後、駆動手段73の動作について説明する。まず時刻t0で、駆動手段73は、スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEをローレベルとする。スタート信号φSをローレベルにしておくことによって、走査スタート用スイッチ素子T0のしきい電圧またはしきい電流は、第3走査信号φ3のハイレベルよりも小さくなる。駆動手段73は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをローレベルからハイレベルにすると、次に信号レベルをハイレベルからローレベルにするまで、信号レベルをハイレベルとなるように維持する。また駆動手段73は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをハイレベルからローレベルにすると、次に信号レベルをローレベルからハイレベルにするまで、信号レベルをローレベルとなるように維持する。
時刻t1で、駆動手段73は、第3走査信号φ3のみをローレベルからハイレベルに変化させる。これによって、走査スタート用スイッチ素子T0が、オン状態になり、すなわちターンオンし、発光する。
走査スタート用スイッチ素子T0の光は、隣接するスイッチ素子アレイ13の配列方向Xの端部に配置されるスイッチ素子T1に最も強く入射する。スイッチ素子アレイ13の他のスイッチ素子Tでは、配列方向Xに走査スタート用スイッチ素子T0から離間した位置に配置されるスイッチ素子Tほど、走査スタート用スイッチ素子T0から照射される光の強度が小さくなる。スイッチ素子Tでは、受光すると光励起によって各半導体層に、受光強度に応じたキャリアが生成される。キャリアの生成によって、第2の一方導電型半導体層44に蓄積される電子が、第2の一方導電型半導体層44のフェルミ準位を下げ、これによって第1の他方導電型半導体層43と第2の一方導電型半導体層44との接合部分において、なだれ現象が発生しやすくなる。このため、スイッチ素子Tは、光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下し、また受光する光強度が大きくなるほど、しきい電圧またはしきい電流の降下が大きくなるという特性を有する。
次に走査スタート用スイッチ素子T0からスイッチ素子T1への発光状態の転送について説明する。走査スタート用スイッチ素子T0が発光すると、この光をスイッチ素子T1が受光し、スイッチ素子T1のしきい電圧が低下する。
時刻t2において、スイッチ素子T1のしきい電圧はVTH(T1)となっている。第1走査信号伝送路15aには、スイッチ素子T1,T4,…,Tj−2が接続されているが、スイッチ素子T4,…,Tj−2は、走査スタート用スイッチ素子T0から十分に離れているので、走査スタート用スイッチ素子T0からの光を受光することによって、しきい電圧は、ほとんど変化しない。
時刻t2において、第3走査信号φ3をハイレベルからローレベルにする。これによって時刻t2で、走査スタート用スイッチ素子T0がオフ状態となり、すなわちターンオフし、消灯する。
時刻t2が経過した後、時刻t3で、駆動手段73は、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにする。走査スタート用スイッチ素子T0は消灯しているが、スイッチ素子T1の受光によって低下したしきい電圧は、時刻t2から時刻の経過とともに徐々に上昇する。発光状態のスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tでは、受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下し、発光状態のスイッチ素子Tが発光状態から非発光状態となると、隣接するスイッチ素子Tでは、受光しないので低下したしきい電圧またはしきい電流が、徐々に上昇する。時刻t2から時刻t3までの予め定める時間を、発光状態にあったスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流が上昇し、同じ走査信号伝送路15に接続される他のスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流の最低値と等しくなる時刻までの時間よりも短く選ぶことによって、隣接するスイッチ素子Tからの光によってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tに、走査信号φを与えて発光させることができる。
第1走査信号φ1のハイレベルは、前述の実施の形態と同様に、第1走査信号伝送路15aに接続されるスイッチ素子T1を除く他のスイッチ素子T4,…,Tj−2のしきい電圧またはしきい電流うちの最低値よりも、高い電圧または高い電流に選ばれる。
このようにして、走査スタート用スイッチ素子T0から、スイッチ素子T1へと発光状態が遷移する。また時刻t3において、駆動手段73は、スタート信号φSをローレベルからハイレベルにし、以後、ハイレベルを維持させることによって、時刻t3以降に、第3走査信号φ3をローレベルからハイレベルにしても、走査スタート用スイッチ素子T0はオフ状態を維持する。
スイッチ素子T1は、受光によってゲート24にトリガ信号を発生し、時刻t3においてオン状態となると、ハイレベルとされた走査信号φがローレベルになるまでは、オン状態を維持する。オン状態となると、スイッチ素子T1のゲート24の電圧は、ほぼ0ボルト(V)になる。ここで前記ゲート24の電圧とは、ゲート24と接地される裏面電極36との電位差である。スイッチ素子T1のゲート24は、発光素子L1のゲート19に接続されているので、スイッチ素子T1のゲート24の電圧は、発光素子L1のゲート19の電圧と等しくなる。このようにスイッチ素子T1は、発光素子L1のゲート19と裏面電極36とに印加される電圧を変化させる。
発光素子L1を発光させる場合、駆動手段73は、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにした時刻t3が経過した後、時刻t4で、発光信号φEをローレベルからハイレベルにする。
発光素子L1は、スイッチ素子T1がオン状態であるので、前述したように発光素子L1のゲート19はほぼ0(零)ボルト(V)となる。このときスイッチ素子T2,…,Tj−1,Tjは、オフ状態であり、時刻t4における発光素子L1のしきい電圧をVTH(L1)とし、時刻t4における発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧をそれぞれVTH(L2),…,VTH(Li−1),VTH(Li)とすると、発光信号φEのハイレベルVを、発光素子L1のしきい電圧よりも大きく、発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧のうち、最低値のものよりも小さな値に選ぶことによって、発光素子L1のみを選択的にオン状態として、発光させることができる。
時刻t5において、駆動手段73が発光信号φEをローレベルにすると、発光素子L1は、オフ状態となり、消灯する。感光体ドラム90への露光量は、発光素子L1の発光強度は一定として、発光素子L1の発光する時間によって調整される。すなわち、発光信号φEがハイレベルとなる時刻t4から時刻t5までの間の時間を決定することによって、露光量が決定される。発光素子L1の発光強度によって露光量を変更する場合、発光素子L1に与える電圧または電流を細かく制御する必要があるので困難であるが、発光時間によって露光量を変更することによって、発光信号φEがハイレベルとなる時間を調整するだけでよいので、露光量の制御がしやすく、また定電圧または定電流が発光素子Lに与えられるので、発光素子L1を安定して発光させることができる。発光素子Lが発光する時間、言い換れば発光信号φEがハイレベルとなる時間は、走査信号φがハイレベルとなる時間の80%以下に選ばれる。
時刻t5が経過した後、駆動手段73は、時刻t6で第1走査信号φ1をローレベルにすると、スイッチ素子T1が消灯し、時刻t6が経過した後、時刻t7で、第2走査信号φ2をハイレベルにすると、スイッチ素子T2が点灯する。これによって、スイッチ素子T1からスイッチ素子T2へと発光状態が移る。
時刻t7が経過した後、駆動手段73は、時刻t8で第2走査信号φ2をローレベルにすると、スイッチ素子T2が消灯し、時刻t8が経過した後、時刻t9で、第3走査信号φ3をハイレベルにすると、スイッチ素子T3が点灯する。これによって、スイッチ素子T2からスイッチ素子T3へと発光状態が移る。
時刻t9が経過した後、駆動手段73は、時刻t10で第3走査信号φ3をローレベルにすると、スイッチ素子T3が消灯し、時刻t10が経過した後、時刻t11で再び第1走査信号φ1をハイレベルにすると、スイッチ素子T4が発光する。
第1〜第3走査信号φ1〜φ3がハイレベルとなる時間は、たとえば1μ秒に選ばれる。
時刻t6と時刻t7との間の時間、時刻t8と時刻t9との間の時間、および時刻t10と時刻t11との間の時間は、前述した時刻t2と時刻t3との間の時間と等しく選ばれ、たとえば0.1μ秒〜1μ秒程度に選ばれる。
このように駆動手段73が、第1〜第3走査信号φ1〜φ3を繰り返して与えることによって、スイッチ素子T4,…,Tj−1,Tjにおいても、オン状態が配列方向Xに沿って順次転送される。スイッチ素子Tが発光しているとき、発光信号伝送路12の発光信号φEをローレベルからハイレベルにすることによって、この発光しているスイッチ素子Tに対応する、すなわち発光しているスイッチ素子Tに接続されている発光素子Lのみを選択的に発光させることができる。
発光しているスイッチ素子Tの配列方向Xの両側に位置するスイッチ素子Tは、いずれも励起状態となってしまうが、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cによって、前述したように第1〜第3走査信号φ1〜φ3を伝送させて、各スイッチ素子Tに第1〜第3走査信号φ1〜φ3を与えることによって、配列方向Xの一方から他方へと、スイッチ素子Tの発光状態の転送を行うことができる。
図15および図16は、第1および第2走査信号伝送路15a,15bに第1および第2走査信号φ1,φ2をそれぞれ与えたときに、隣接する2つのスイッチ素子Tに与えられる電圧を測定した実験結果を示す波形図である。図15は、駆動手段73が走査信号伝送路15に出力する第1および第2走査信号φ1,φ2の波形を示す。図15に示すように、第1走査信号伝送路15aには、予め定める第1の周期Taでハイレベルとローレベルとを繰り返す第1走査信号φ1を与え、第2走査信号伝送路15bには、予め定める第2の周期Tbでハイレベルとローレベルとを繰り返す第2走査信号φ2を与える。ここでは実験のため、予め定める第1周期Taおよび予め定める第2周期Tbとは異なる間隔にしており、第1走査信号φ1のハイレベルの電圧Vaは、スイッチ素子Tのしきい電圧よりも高く設定され、第2走査信号φ2のハイレベルの電圧Vbは、スイッチ素子Tの初期のしきい電圧よりも低く設定される。予め定める第1周期Taは、5μ秒とし、予め定める第2周期Tbは、2.5μ秒としている。第1および第2走査信号φ1,φ2がハイレベルとなる時間は、1μ秒としている。
図16は、図15に示す第1走査信号φ1と、第2走査信号φ2とを相対的に変位させ、すなわち位相を変えて各走査信号伝送路15に与えたときに、走査信号伝送路15において測定した第1走査信号φ1および第2走査信号φ2の波形を表す。
時刻t1で、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルとすると、時刻t2で第1走査信号φ1が与えられているスイッチ素子Tが点灯し、時刻t3で第1走査信号φ1をハイレベルからローレベルとすると、第1走査信号φ1が与えられているスイッチ素子Tは消灯する。
第2走査信号φ2をローレベルからハイレベルにし、スイッチ素子Tが点灯したときに測定される第2走査信号φ2の電圧はVcとなり、第2走査信号φ2がローレベルからハイレベルにしたときに、スイッチ素子Tが消灯したままのときに測定される第2走査信号φ2の電圧はVdとなる。
時刻t2と時刻t3との間で、第2走査信号φ2をハイレベルにすると、第2走査信号φ2が与えられるスイッチ素子Tは、点灯し、測定される第2走査信号φ2の電圧は、Vcであった。これは時刻t3までは、第1走査信号φ1が与えられるスイッチ素子Tが点灯しているので、当然の結果である。
しかしながら、時刻t3が経過した後の、時刻t4で第2走査信号φ2をローレベルからハイレベルにしても、第2走査信号φ2が与えられるスイッチ素子Tは、点灯し、測定される第2走査信号φ2の電圧は、Vcとなった。
時刻t3以降、時刻t4までの間は、第1走査信号φ1が与えられたスイッチ素子Tは、消灯している。しかしながら、時刻t4においても、第2走査信号φ2が与えられるスイッチ素子Tは、点灯した。
したがって、時刻t3から、時刻t4までの間では、受光していないにもかかわらず、第2走査信号φ2が与えられるスイッチ素子Tのしきい電圧は、第2走査信号φ2の電圧よりも低下していることがわかる。
したがって、第1走査信号φ1および第2走査信号φ2のハイレベルを重ねず、すなわち、第1走査信号φ1の電圧をハイレベルからローレベルにした後、第2走査信号φ2の電圧をローレベルからハイレベルにしても、スイッチ素子Tの発光状態は、転送される。
前記時刻t3から、時刻t4までの間の時間Tdは、1μ秒程度である。
本実施の形態の発光装置は、前述の実施の形態の発光装置10と同様な効果を達成することができる。さらに本実施の形態の発光装置によれば、駆動手段73は、複数の走査信号伝送路15に電圧または電流を供給するとき、隣接する2つのスイッチ素子Tにおいて、一方のスイッチ素子Tへの電圧または電流の供給を停止した後、予め定める時間をあけて他方のスイッチ素子Tへの電圧または電流の供給を開始するので、隣接する2つのスイッチ素子Tに同時に電圧および電流を供給することがない。したがって、スイッチ素子Tにおける電力の消費量を低減することができ、装置の消費電力を低減することができる。
図17は、本発明の第3の実施の形態の発光装置210の基本的構成を示す一部の平面図である。なお、同図は、各発光素子Lの光の出射方向を紙面に垂直手前側として配置された発光装置210の平面を示し、発光信号伝送路212、走査信号伝送路215、スタート信号伝送路216、発光素子のゲート219、発光スイッチ素子であるスイッチ素子Tのゲート224、接続手段214、発光素子発光素子遮光部223および表面電極225は図解を容易にするため、斜線を付して示されている。
発光装置210は、発光素子アレイ211と、発光信号伝送路212と、スイッチ素子アレイ213と、接続手段214と、第1および第2走査信号伝送路215a,215bと、走査スタート用スイッチ素子T0と、スタート信号伝送路216と、絶縁層217と、遮光層218と、発光素子発光素子遮光部223とを含んで構成される。スイッチ素子アレイ213と、第1および第2走査信号伝送路215a,215bと、後述する駆動手段273とを含んで光走査装置が構成される。
発光素子アレイ211は、複数の発光素子L1,L2,…,Li−1,Li(記号iは、2以上の正の整数)を含んで構成され、各発光素子L1,L2,…,Li−1,Liが、相互に間隔W21をあけて配列される。以後、各発光素子L1,L2,…,Li−1,Liを総称する場合、および発光素子L1,L2,…,Li−1,Liのうち不特定のものを示す場合、単に発光素子Lと記載する場合がある。発光素子Lは、露光用の発光素子である。本実施の形態では、各発光素子Lは、等間隔に配列され、かつ直線状に配列される。各発光素子Lの配列方向Xは、図17において左右方向である。以後、各発光素子Lの配列方向Xを、単に配列方向Xと記載する場合がある。各発光素子Lの光の出射方向に沿う方向を厚み方向Zとし、前記配列方向Xおよび厚み方向Zに垂直な方向を幅方向Yとする。発光素子Lは、600nm〜800nmの波長の光を発光可能に形成される。
発光素子Lは、P型半導体層とN型半導体層とが交互に積層されて構成されるPNPN構造を有する発光サイリスタによって実現される。発光素子Lは、逆阻止3端子サイリスタと同様な負性抵抗特性を有する。発光素子Lは、予め定める部位であるゲート219に、トリガ信号を与えることによって発光信号φEの電圧よりもしきい電圧が低下し、かつ前記発光信号φEが与えられたとき、または発光信号φEの電流よりもしきい電流が低下し、かつ前記発光信号φEが与えられたとき発光する。発光信号φEの電圧とは、発光信号φEが与えられることによって、発光素子Lのアノードおよびカソード間に印加される電圧であり、発光信号φEの電流とは、発光信号φEが与えられることによって発光素子Lに与えられる電流である。
配列方向Xの各発光素子Lの間隔W21と、発光素子Lの配列方向Xの長さW22とは、発光装置210が搭載される画像形成装置において形成すべき画像の解像度によって決定され、たとえば画像の解像度が300ドットパーインチ(dpi)の場合、前記間隔W21は、約45μm(マイクロメートル)に選ばれ、前記長さW22は、約40μmに選ばれる。また前記長さW22は、隣接する発光素子Lの間に、後述する発光素子発光素子遮光部223を形成可能に選ばれる。発光素子Lの配列方向Xの寸法は、発光素子Lの幅方向Yの寸法よりも小さく選ばれる。これによって、各発光素子Lを配列方向Xに近接させて、集積密度を高めたときに、発光素子Lの光量が不足してしまうことが防止される。
発光信号伝送路212は、各発光素子Lに接続され、各発光素子Lに発光信号φEを伝送する。発光信号伝送路212は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって、発光素子Lが発する波長の光を反射するように形成される。具体的には発光信号伝送路212は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
発光信号伝送路212は、各発光素子Lの幅方向Yに隣接して、発光素子アレイ211に沿って延びる信号路延在部221と、前記配列方向Xに相互に間隔をあけて信号路延在部221から幅方向一方Y1に突出して、各発光素子Lの厚み方向一端部に接続される素子接続部222とを有する。
スイッチ素子アレイ213は、複数のスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tj(記号jは、2以上の正の整数)を含んで構成され、各スイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjが、隣接するスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjからの光を受光するように相互に間隔W23をあけて配列される。以後、各スイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjを総称する場合、およびスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjのうち不特定のものを示す場合、単にスイッチ素子Tと記載する場合がある。本実施の形態では、各スイッチ素子Tは、等間隔に配置される。本実施の形態では、発光素子Lとスイッチ素子Tとの数は等しく、すなわち前記iと記号jとは等しい数に選ばれる。スイッチ素子Tの配列方向Xの中央と、発光素子Lの配列方向の中央とは、配列方向Xに垂直な同一の仮想一平面上に設けられる。
発光スイッチ素子である各スイッチ素子Tは、発光素子アレイ211の幅方向Yに隣接し、この発光素子アレイ211に沿って、複数の発光素子Lに対向した状態で直線状に配列される。したがって、各スイッチ素子Tの配列方向は、前記各発光素子Lの配列方向Xと同じである。
各スイッチ素子Tは、発光部Tsと、受光部Trと、接続部Tcとをそれぞれ含んで構成される。各スイッチ素子Tの発光部Tsを個別に示す場合、スイッチ素子Tの参照符号に添え字「s」を付して記載し、各スイッチ素子Tの受光部Trを個別に示す場合、スイッチ素子Tの参照符号に添え字「r」を付して記載し、各スイッチ素子Tの接続部rを個別に示す場合、スイッチ素子Tの参照符号に添え字「c」を付して記載する。たとえばスイッチ素子T1は、発光部Ts1、受光部Tr1および接続部Tc1を有する。
各スイッチ素子Tにおいて、発光部Tsと受光部Trとは、配列方向Xに隣接して設けられる。複数のスイッチ素子Tは、一方側に隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsに受光部Trを臨ませ、他方側に隣接するスイッチ素子Tの受光部Trに発光部Tsを臨ませて配列される。つまりスイッチ素子T1の発光部Ts1は、スイッチ素子T2の受光部Tr2に臨み、スイッチ素子T2の発光部Ts2は、スイッチ素子T3の受光部Tr3に臨む。
発光部Tsの予め定める部位である発光部Tsのゲート227と、受光部Trの予め定める部位である受光部Trのゲート228とは、接続部Tcによって電気的に接続される。
各スイッチ素子Tの発光部Tsおよび受光部Trは、P型半導体層とN型半導体層とが交互に積層されて構成されるPNPN構造を有する発光サイリスタによって実現される。スイッチ素子Tの発光部Tsおよび受光部Trは、逆阻止3端子サイリスタと同様な負性抵抗特性を有する。スイッチ素子Tの受光部Trは、受光によって予め定める部位である受光部Trのゲート228にトリガ信号を発生する。受光部Trのゲート228に生成されたトリガ信号は、接続部Tcを介して発光部Tsのゲート227に与えられる。発光部Tsのゲート227にトリガ信号が与えられることによって、発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流が低下する。発光部Tsは、走査信号伝送路215に接続され、走査信号伝送路215を介して与えられる走査信号φの電圧よりもしきい電圧が低下し、かつ前記走査信号φが与えられたとき、または走査信号φの電流よりもしきい電流が低下し、かつ前記走査信号φが与えられたとき発光する。走査信号φの電圧とは、走査信号φが与えられることによって、スイッチ素子Tの発光部Tsのアノードおよびカソード間に印加される電圧であり、走査信号φの電流とは、走査信号φが与えられることによってスイッチ素子Tの発光部Tsに与えられる電流である。
本実施の形態では、スイッチ素子Tのゲート224は、発光部のゲート227と受光部のゲート228とを含む。
配列方向Xの各スイッチ素子Tの間隔W23は、製造工程における制限を受けるので、スイッチ素子Tの厚み方向Zの高さの2倍以上に形成されるが、20μm未満に選ばれ、好ましくは10μm以下に選ばれる。本実施の形態では、スイッチ素子Tの高さを約4μmとしており、この場合には間隔W23は8μm程度になる。前記間隔W23が20μm以上になると、伝送効率が大きく低下してしまう。
スイッチ素子Tの配列方向Xの寸法は、スイッチ素子Tの幅方向Yの寸法よりも小さく選ばれる。これによって、各スイッチ素子Tを配列方向Xに近接させて、集積密度を高めたときに、スイッチ素子Tの発光部Tsの光量が不足してしまうこと、および受光部Trの受光量が不足してしまうことが防止される。
スイッチ素子Tの配列方向Xの長さW24は、前記配列方向Xの各発光素子Lの間隔W21と、発光素子Lの配列方向Xの長さW22と、配列方向Xの各スイッチ素子Tの間隔W23とによって決定される。すなわち配列方向Xの各発光素子Lの間隔W21と、発光素子Lの配列方向Xの長さW22とを加算した長さと、配列方向Xの各スイッチ素子Tの間隔W23とスイッチ素子Tの配列方向Xの長さW24とを加算した長さとが、等しく選ばれる。
接続手段214は、各発光素子Lの前記予め定める部位であるゲート219と、各発光素子Lに対応する各スイッチ素子Tの前記予め定める部位であるゲート224とを、電気的に接続する。接続手段214は、具体的には発光素子L1のゲート219と、スイッチ素子T1のゲート224とを電気的に接続し、発光素子L2のゲート219と、スイッチ素子T2のゲート224とを電気的に接続し、発光素子Li−1のゲート219と、スイッチ素子Tj−1のゲート224とを電気的に接続し、発光素子Liのゲート219と、スイッチ素子Tjのゲート224とを電気的に個別に接続する。
第1および第2走査信号伝送路215a,215bは、各スイッチ素子Tに接続され、配列方向Xに隣接するスイッチ素子T毎に、異なるタイミングで与えられる前記第1および第2走査信号φ1,φ2を伝送する。本実施の形態において、第1走査信号伝送路215aは、第1走査信号φ1を伝送し、第2走査信号伝送路215bは、第2走査信号φ2を伝送する。第1および第2走査信号伝送路215a,215bを総称する場合、および第1および第2走査信号伝送路215a,215bのうち不特定のものを示す場合、単に走査信号伝送路215と記載し、第1および第2走査信号φ1,φ2を総称する場合、および第1および第2走査信号φ1,φ2のうち不特定のものを示す場合、単に走査信号φと記載する場合がある。走査信号伝送路215は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
第1および第2走査信号伝送路215a,215bは、各スイッチ素子Tの厚み方向一方Z1で絶縁層217を介して各スイッチ素子Tに重なって形成され、配列方向Xに沿って延びる。第1および第2走査信号伝送路215a,215bは、幅方向Yに予め定める間隔W25をあけて配置される。予め定める間隔W25は、第1および第2走査信号伝送路215a,215b間で短絡が発生しない距離に選ばれ、たとえば10μmに選ばれる。第1および第2走査信号伝送路215a,215bは、厚み方向一方Z1側から見て、幅方向Yにおいて、スイッチ素子Tの発光部Taおよび受光部Tbの幅方向Yの両端部を除く中間部分にわたって形成される。
各スイッチ素子Tの発光部Tsは、厚み方向一方Z1の端部、すなわち図17の紙面に垂直な方向手前側に、表面電極225を有する。第1および第2走査信号伝送路215a,215bは、各スイッチ素子Tの前記表面電極225に順次1つずつ接続され、配列されるスイッチ素子Tに沿って、それぞれが2つおきにスイッチ素子Tに接続される。すなわち、第1走査信号伝送路215aは、スイッチ素子T1,T3,…,Tj−1に接続され(記号jは、整数かつ2×mであり、記号mは自然数)、第2走査信号伝送路215bは、スイッチ素子T2,T4,…,Tjに接続される。したがって、スイッチ素子Tのうち、配列方向Xのn番目(記号nは、2以上j以下となる正の整数)に配置されるスイッチ素子Tnと、このスイッチ素子Tnの配列方向Xに隣接するスイッチ素子Tn+1,Tn−1とは、それぞれ異なる走査信号伝送路215に接続される。
走査スタート用スイッチ素子T0は、P型半導体層とN型半導体層とが交互に積層されて構成されるPNPN構造を有する発光サイリスタによって実現される。走査スタート用スイッチ素子T0は、逆阻止3端子サイリスタと同様な負性抵抗特性を有する。走査スタート用スイッチ素子T0は、アノードカソード間に、しきい電圧以上の電圧またはしきい電流以上の電流が与えられることによって発光する。走査スタート用スイッチ素子T0は、しきい電圧以上の電圧レベルまたはしきい電流以上の電流レベルの発光信号φが与えられたとき、発光する。
走査スタート用スイッチ素子T0は、スイッチ素子アレイ213の配列方向Xの端部に配置されるスイッチ素子Tの受光部Trに光を照射するように配置される。本実施の形態では、走査スタート用スイッチ素子T0は、スイッチ素子T1の受光部Tr1に光を照射するように配置される。走査スタート用スイッチ素子T0が配置される配列方向一方X1が、光走査装置における光の走査方向の上流側である。スタート用スイッチ素子T0の幅方向他方Y2の端と、スイッチ素子アレイ213の各スイッチ素子Tの幅方向他方Y2の端と、配列方向Xに揃えて配置される。
走査スタート用スイッチ素子T0は、厚み方向一方Z1の端部、すなわち図1の紙面に垂直な方向手前側に、表面電極225を有する。スタート信号伝送路216は、走査スタート用スイッチ素子T0の表面電極225に接続され、走査スタート用スイッチ素子T0にスタート信号φSを伝送する。
スタート信号伝送路216は、幅方向Yにおいて走査信号伝送路215のスイッチ素子アレイ211側に設けられる。スタート信号伝送路216は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される。具体的にはスタート信号伝送路216は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
前述した発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0は、絶縁層217によって覆われる。
遮光手段である遮光層218は、各スイッチ素子Tの厚み方向Zの一方側、すなわち各スイッチ素子Tの図17の紙面に垂直手前側から、各スイッチ素子Tを覆い、発光素子Lが発する光に、スイッチ素子Tが発する光が干渉しないように、スイッチ素子Tが発する光を遮光する。
発光素子発光素子遮光部223は、各発光素子Lの間と、発光素子アレイ211の配列方向Xの両端部の発光素子Lの配列方向Xの外方とに設けられ、発光素子Lから配列方向Xに向かう光を遮光する。発光素子発光素子遮光部223は、発光信号伝送路212から離間して設けられ、発光信号伝送路212とは、絶縁層217によって電気的に絶縁される。
前述した発光素子L、発光信号伝送路212、スイッチ素子T、接続手段214、走査信号伝送路215、走査スタート用スイッチ素子T0、スタート信号伝送路216、絶縁層217、遮光層218および発光素子発光素子遮光部223は、1つの基板231に集積されて形成される。
以下、発光装置210の各構成について、さらに具体的に説明する。
図18は、図17の切断面線B1−B1から見た発光装置210の基本的構成を示す一部の断面図である。発光素子Lは、基板231の厚み方向Zの一表面231a上に形成される第1の一方導電型半導体層232、第1の他方導電型半導体層233、第2の一方導電型半導体層234および第2の他方導電型半導体層235を含む。
基板231は、本実施の形態では、一方導電型の半導体基板である。基板231の厚み方向Zの他表面231b上には、裏面電極236が形成される。裏面電極236は、基板231の厚み方向Zの他表面231bの全面にわたって形成される。裏面電極236は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される。具体的には裏面電極236は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)および金と亜鉛との合金(AuZn)などによって形成される。基板231の厚み方向Zの一表面231aは、平面に形成される。
発光素子Lは、基板231の厚み方向Zの一表面231aに、第1の一方導電型半導体層232が積層され、第1の一方導電型半導体層232の厚み方向Zの一表面232a上に第1の他方導電型半導体層233が積層され、第1の他方導電型半導体層233の厚み方向Zの一表面233a上に第2の一方導電型半導体層234が積層され、第2の一方導電型半導体層234の厚み方向Zの一表面234a上に第2の他方導電型半導体層235が積層され、第2の他方導電型半導体層235の厚み方向Zの一表面235a上にオーミックコンタクト層237が積層されて構成される。
さらに具体的には、基板231は、III−V族化合物半導体およびII−VI族化合物半導体などの結晶成長が可能な半導体基板であり、たとえば、ガリウム砒素(GaAs)、インジウムリン(InP)、ガリウムリン(GaP)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの半導体材料によって形成される。
第1の一方導電型半導体層232は、ガリウム砒素(GaAs)、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびインジウムガリウムリン(InGaP)などの半導体材料によって形成される。第1の一方導電型半導体層232のキャリア密度は、1×1018cm−3程度のものが望ましい。
第1の他方導電型半導体層233は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第1の他方導電型半導体層233を形成する半導体材料には、第1の一方導電型半導体層232を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の一方導電型半導体層232を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが小さいものが選ばれる。第1の他方導電型半導体層233のキャリア密度は1×1017cm−3程度のものが望ましい。
第2の一方導電型半導体層234は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第2の一方導電型半導体層234を形成する半導体材料には、第1の他方導電型半導体層233を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の他方導電型半導体層233を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが小さいものが選ばれる。第2の一方導電型半導体層234のキャリア密度は、第1の一方導電型半導体層232、第1の他方導電型半導体層233、第2の一方導電型半導体層234および第2の他方導電型半導体層235の全層の中で最も小さく1×1016cm−3〜1×1017cm−3程度のものであることが望ましい。第2の一方導電型半導体層234は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成することによって、高い内部量子効率を得ることができる。
第2の他方導電型半導体層235は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第2の他方導電型半導体層235を形成する半導体材料には、第1の他方導電型半導体層233および第2の一方導電型半導体層234を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、第1の他方導電型半導体層233および第2の一方導電型半導体層234を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが大きいものが選ばれる。第2の他方導電型半導体層235のキャリア密度は、1×1018cm−3程度のものであることが望ましい。
オーミックコンタクト層237は、ガリウム砒素(GaAs)およびインジウムガリウムリン(InGaP)などの半導体材料によって形成される他方導電型の半導体層であり、発光信号伝送路212とのオーミック接合を行うためのものである。オーミックコンタクト層237のキャリア密度は1×1019cm−3以上のものが望ましい。
第1の一方導電型半導体層232、第1の他方導電型半導体層233、第2の一方導電型半導体層234、第2の他方導電型半導体層235およびオーミックコンタクト層237が積層された積層体は、略直方体形状を有する。第1の一方導電型半導体層232、第1の他方導電型半導体層233、第2の一方導電型半導体層234、第2の他方導電型半導体層235およびオーミックコンタクト層237は、絶縁層217によって覆われる。
絶縁層217は、電気絶縁性および透光性ならびに平坦性を有する樹脂材料によって形成される。絶縁層217は、ポリイミドおよびベンゾシクロブテン(BCB)などによって形成される。
絶縁層217のうち、隣接する発光素子Lの間の部分には、幅方向Yに垂直な仮想一平面において、V字形状となり、基板231の一表面231aまで達する溝部238が形成され、この溝部238に前記発光素子遮光部223が形成される。発光素子遮光部223は、溝部238の表面に沿って形成され、基板231の一表面231aからオーミックコンタクト層237の配列方向Xの側方にわたって設けられる。発光素子遮光部223は、発光素子Lの幅方向Yの一端部および他端部間にわたって形成され、発光素子Lの幅方向Yの端部よりも発光素子Lの幅方向一方Y1および幅方向他方Y2まで延びる。このような発光素子遮光部223を形成することによって、隣接する発光素子Lが発光したときにこの光を受光することが防止され、隣接する発光素子Lが発光しても、この発光に伴って発光素子Lのしきい電圧またはしきい電流が変化してしまうことがないので、発光素子Lを選択的に安定して発光させることができる。
オーミックコンタクト層237の厚み方向Zの一表面237aには、発光信号伝送路212の素子接続部222が接続される。絶縁層217のうち、オーミックコンタクト層237の厚み方向Zの一表面237a上に形成される部分には、貫通孔239が形成され、この貫通孔239に前記素子接続部222の一部が形成されて、素子接続部222がオーミックコンタクト層237に接触している。前記貫通孔239は、発光素子Lの配列方向Xの中央で、かつ発光素子Lの幅方向Yの中央が絶縁層217から露出するように形成されており、発光信号伝送路212からの電流を、発光素子Lの中央部に効率的に供給して、発光素子Lを発光させることができる。発光素子Lでは、主に第2の一方導電型半導体層234と、第2の他方導電型半導体層235との界面付近で、第2の一方導電型半導体層導電234寄りの領域において光が発生する。
発光信号伝送路212の素子接続部222の配列方向Xの長さW26は、発光素子Lの配列方向Xの長さW22の1/3以下に形成される。素子接続部222は、発光素子Lの光の出射方向の一部を覆うが、長さW26を前述したように選ぶことによって、発光素子Lから発せられ、厚み方向一方Z1に向かう光を、遮ってしまうことを可及的に防止する。また発光素子Lから発せられ、厚み方向一方Z1に向かい、発光信号伝送路212によって反射された光の一部は、発光素子発光素子遮光部223および基板231などによって反射されることによって、厚み方向一方Zへと向かう。
図19は、図17の切断面線B2−B2から見た発光装置210の基本的構成を示す一部の断面図である。スイッチ素子Tは、基板231の上に順次積層される第1の一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243、第2の一方導電型半導体層244および第2の他方導電型半導体層245s,245rを有する。基板231の一表面231aに第1の一方導電型半導体層242が積層され、第1の一方導電型半導体層242の厚み方向一表面242aに第1の他方導電型半導体層243が積層され、第1の他方導電型半導体層243の厚み方向一表面に第2の一方導電型半導体層244が積層される。第1の一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243および第2の一方導電型半導体層244の積層体は、略直方体形状に形成される。
第2の一方導電型半導体層244は、配列方向Xの一端部239rおよび他端部239sの厚みW27が、配列方向の中央部239cの厚みW28よりも厚く形成される。前記厚みW28は、厚みW27の50%〜90%程度に選ばれる。このような厚みとすることによって、受光部Trで発生したトリガ信号をより確実に発光部Tsに伝達することができる。発光は基本的に表面電極25の下でしか起こらない。したがって、このW8の厚みに対する機能は、発光部と受光部の接続部としての役割となり、小さすぎると抵抗値が増し、トリガ信号が減衰されてしまう。上限の90%については、プロセス上の制限で、積層される第2の他方導電型半導体層245s,245rをエッチングによって形成するときに、若干第2の一方導電型半導体層244をエッチングすることになるためである。
第2の一方導電型半導体層244の配列方向Xの一端部239rで、厚みW27を有する部分の配列方向Xの長さW29と、第2の他方導電型半導体層244の他端部239sで、厚みW27を有する部分の配列方向Xの長さW30とは、等しく選ばれる。第2の他方導電型半導体層244の中央部239cで、厚みW28を有する部分の配列方向Xの長さW31は、10マイクロメートル(μm)程度に選ばれる。
第2の一方導電型半導体層244の配列方向Xの一端部239rで、厚みW27を有する部分には、厚み方向一表面244a上に第2の他方導電型半導体層245rが積層され、第2の他方導電型半導体層245rの厚み方向Zの一表面上には、遮光部形成層246が積層される。第2の他方導電型半導体層245rおよび遮光部形成層246の積層体は、略直方体形状を有する。
第2の一方導電型半導体層244の配列方向Xの他端部239sで、厚みW27を有する部分には、厚み方向一表面244a上に第2の他方導電型半導体層245sが積層され、第2の他方導電型半導体層245sの厚み方向Zの一表面上には、オーミックコンタクト層247が積層される。第2の他方導電型半導体層245sおよびオーミックコンタクト層247の積層体は、略直方体形状を有する。スイッチ素子Tは、幅方向に垂直な仮想一平面における断面が厚み方向Zの一方に開口する略コ字状となる。
第1の一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243および第2の一方導電型半導体層244は、発光部Tsおよび受光部Trにおいて共用される。発光部Tsは、第1の一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243および第2の一方導電型半導体層244と、第2の他方導電型半導体層245sおよびオーミックコンタクト層247とを含んで形成され、受光部Trは、第1の一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243および第2の一方導電型半導体層244と、第2の他方導電型半導体層245rおよび遮光部形成層246とを含んで形成される。発光部Tsおよび受光部TrのZ方向の厚みは、等しく選ばれ、幅方向Yにおいて受光部Trは、発光部Tsの一端部および他端部間にわたって延びる。
1つのスイッチ素子Tが有する発光部Tsの受光部Trとにおいて、配列方向Xで、発光部Tsの受光部Trに臨む面と、受光部Trの発光部Tsに臨む面との距離は、前述した長さW31となる。
発光部Tsの第2の他方導電型半導体層245sの厚みと、受光部Trの第2の他方導電型半導体層245rの厚みとは等しく選ばれ、オーミックコンタクト層247の厚みと遮光部形成層246の厚みとは等しく選ばれる。また発光部Tsの第2の他方導電型半導体層245sの幅方向Yの長さと、受光部Trの第2の他方導電型半導体層245rの幅方向Yの長さとは等しく選ばれ、オーミックコンタクト層247の幅方向Yの長さと遮光部形成層246の幅方向Yの寸法とは等しく選ばれる。また発光部Tsの幅方向Yの長さは、受光部Trの幅方向Yの寸法と等しく選ばれる。
本実施の形態では、スイッチ素子Tの発光部Tsおよび受光部Trは、配列方向Xに垂直な仮想一平面に関して面対称となるように形成される。
スイッチ素子Tの、一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243、第2の一方導電型半導体層244、第2の他方導電型半導体層245s,245rおよびオーミックコンタクト層247の各半導体層を構成する半導体材料のエネルギーギャップおよびキャリア密度は、スイッチ素子Tの受光部Trにおける受光感度と、発光部Tsにおける外部への光の取り出し効率および発光効率を高めるように設計することが好ましい。具体的には、第1の他方導電型半導体層243および第2の一方導電型半導体層244を形成する半導体材料のエネルギーギャップに比べ、第1の一方導電型半導体層242および第2の他方導電型半導体層245を構成する半導体材料のエネルギーギャップを大きくすればよい。このようなエネルギーギャップとすることによって、第2の他方導電型半導体層245と第2の一方導電型半導体層244との界面付近で発生した光が、第1の一方導電型半導体層242および第2の他方導電型半導体層245に吸収されることなく隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsに照射されるため、光取り出し効率を向上させることができる。
第1の一方導電型半導体層242は、ガリウム砒素(GaAs)、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびインジウムガリウムリン(InGaP)などの半導体材料によって形成される。第1の一方導電型半導体層242のキャリア密度は、1×1018cm−3程度のものが望ましい。
第1の他方導電型半導体層243は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第1の他方導電型半導体層243を形成する半導体材料には、第1の一方導電型半導体層242を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の一方導電型半導体層242を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが小さいものが選ばれる。第1の他方導電型半導体層243のキャリア密度は1×1017cm−3程度のものが望ましい。
第2の一方導電型半導体層244は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。第2の一方導電型半導体層244を形成する半導体材料には、第1の他方導電型半導体層243を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、もしくは第1の他方導電型半導体層243を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが小さいものが選ばれる。第2の一方導電型半導体層244のキャリア密度は、第1の一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243、第2の一方導電型半導体層244および第2の他方導電型半導体層245sの全層の中で最も小さく1×1016cm−3〜1×1017cm−3程度のものであることが望ましい。第2の一方導電型半導体層244は、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成することによって、高い内部量子効率を得ることができる。
第2の他方導電型半導体層245s,245rは、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)およびガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料によって形成される。特に第2の他方導電型半導体層245sを形成する半導体材料には、第1の他方導電型半導体層243および第2の一方導電型半導体層244を形成する半導体材料のエネルギーギャップと同じ、第1の他方導電型半導体層243および第2の一方導電型半導体層244を形成する半導体材料のエネルギーギャップよりもエネルギーギャップが大きいものが選ばれる。第2の他方導電型半導体層245sのキャリア密度は、1×1018cm−3程度のものであることが望ましい。
遮光部形成層246は、ガリウム砒素(GaAs)およびインジウムガリウムリン(InGaP)などの半導体材料によって形成される他方導電型の半導体層であり、第2の一方導電型半導体層244の配列方向Xの一端部239r、第2の他方導電型半導体層245rとともに、発光部Tsから到来する光を遮る遮光部として機能する。
オーミックコンタクト層247は、ガリウム砒素(GaAs)およびインジウムガリウムリン(InGaP)などの半導体材料によって形成される他方導電型の半導体層であり、表面電極225とのオーミック接合を行うためのものである。オーミックコンタクト層247のキャリア密度は1×1019cm−3以上のものが望ましい。
スイッチ素子Tの第1の一方導電型半導体層242と、発光素子Lの第1の一方導電型半導体層232とは、同じ半導体材料によって形成され、厚みが等しく形成される。またスイッチ素子Tの第1の他方導電型半導体層243と、発光素子Lの第1の他方導電型半導体層233とは、同じ半導体材料によって形成され、また層みが等しく形成される。またスイッチ素子Tの第2の一方導電型半導体層244と、発光素子Lの第2の一方導電型半導体層234とは、同じ半導体材料によって形成され、厚みが等しく形成される。またスイッチ素子Tの第2の他方導電型半導体層245s,245rと、発光素子Lの第2の他方導電型半導体層235とは、同じ半導体材料によって形成され、厚みが等しく形成される。またスイッチ素子Tの発光部Tsのオーミックコンタクト層247および受光部Trの遮光部形成層246と、発光素子Lのオーミックコンタクト層237とは、同じ半導体材料によって形成され、厚みが等しく形成される。
スイッチ素子Tの発光部Tsでは、第2の一方導電型半導体層244および第2の他方導電型半導体層245sによって主として光を発生する発光領域が形成され、受光部Trでは、第1の一方導電型半導体層242と第1の他方導電型半導体層243と第2の一方導電型半導体層239rとによって主として受光する受光領域、言い換えればフォトトランジスタ部が形成される。
スイッチ素子Tの第1の他方導電型半導体層243の厚みは、50Å〜1000Åに選ばれる。このように第1の他方導電型半導体層243の厚みを選ぶことによって、第1の一方導電型半導体層242と第1の他方導電型半導体層243と第2の一方導電型半導体層244とによって形成されるフォトトランジスタ部の電流増幅率が大きくなり、効率よく外部からの光を受光することができる。
オーミックコンタクト層247の厚み方向Zの一表面247a上には、表面電極225がオーミック接合されて設けられる。表面電極225は、オーミックコンタクト層247の厚み方向Zの一表面247aの周縁部を除く全領域にわたって形成される。これによってスイッチ素子Tの各半導体層への電界を均一化することができ、スイッチ素子Tから放射される光の発光強度を増加させることができる。表面電極225は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される。具体的には裏面電極236は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)および金と亜鉛との合金(AuZn)などによって形成される。また表面電極225は、光を反射することによって、スイッチ素子Tの厚み方向一方Z1へ向かう光を遮光する。
第1の一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243、第2の一方導電型半導体層244、第2の他方導電型半導体層245、オーミックコンタクト層247および表面電極225は、絶縁層217によって覆われ、隣接するスイッチ素子Tと電気的に絶縁される。前記発光部Tsには、隣接するスイッチ素子Tの受光部Trが臨んで配置されて、前述したように絶縁層217は、透光性を有するので、スイッチ素子Tの発光部Tsが発光すると、この光は絶縁層217を透過して、配列方向Xの他方に隣接するスイッチ素子Tの受光部Trに入射する。絶縁層217は、スイッチ素子Tが発する波長の光の95%以上を透過する樹脂材料によって形成される。所定のスイッチ素子Tの受光部Trの、隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsに臨む面と、前記所定のスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tの受光部Tsの、前記所定のスイッチ素子Tの発光部Tsに臨む面との間の距離は、前述した間隔W23である。
図19の矢符で示すように、スイッチ素子Tの発光部Tsは、第2の一方導電型半導体層244および第2の他方導電型半導体層245sの界面付近で、第2の一方導電型半導体層244寄りの領域から主に発光する。また第1の一方導電型半導体層242および第1の他方導電型半導体層243の界面付近でもわずかに発光する。発光部Tsの第2の一方導電型半導体層244および第2の他方導電型半導体層245sの界面付近からは、光が全方向に放射される。
発光部Tsの第2の一方導電型半導体層244および第2の他方導電型半導体層245sの界面付近から、この発光部Tsを有するスイッチ素子Tの受光部Trに向かう方向、すなわち配列方向一方X1に向かう光は、受光部Trを構成する第2の一方導電型半導体層244の配列方向Xの一端部239r、第2の他方導電型半導体層245rおよび遮光部形成層246によって遮光される。
第2の一方導電型半導体層244の配列方向Xの一端部239r、第2の他方導電型半導体層245rおよび遮光部形成層246の、配列方向の長さW29は、20μm以上に選ばれ、好ましくは30μm以上に選ばれ、スイッチ素子Tの幅方向Yの長さW24の1/2未満に選ばれる。前記寸法W29が、20μm未満であると、第2の一方導電型半導体層244の配列方向Xの一端部239r、第2の他方導電型半導体層245rおよび遮光部形成層246を、光が透過してしまうおそれがあり、スイッチ素子Tの幅方向Yの長さW24の1/2以上となると、スイッチ素子Tに占める発光部Tsの体積が小さくなり、発光部Tsが発光したときに十分な光量を得がたくなるおそれがある。したがって、配列方向の長さW29を、20μm以上、好ましくは30μm以上、スイッチ素子Tの幅方向Yの長さW24の1/2未満に選ぶことによって、発光部Tsから到来する光を透過することなく、確実に遮光することができ、また発光部Tsのスイッチ素子Tに占める体積を大きくすることができる。また発光部Tsのスイッチ素子Tに占める体積を大きくすれば、発光部Tsが発光したときの光量を向上させることができる。
受光部Trの特に、第2の一方導電型半導体層244の一端部239rで、中央部239cよりも厚み方向一方Z1に突出する部分と、第2の他方導電型半導体層245rと、遮光部形成層246とが、発光部Tsから到来する光を遮光することによって、発光部Tsが発光したとき、この発光した発光部Tsを有するスイッチ素子Tの配列方向Xの一方に隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsにおいて、受光される光量を低減し、受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下してしまうことを抑制することができる。
本実施の形態では、発光部Tsおよび受光部Trにおいて、第1の一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243および第2の一方導電型半導体層244が共通に用いられており、接続部Tcは、第2の一方導電型半導体層244の中央部239cを含んで形成される。発光部Tsおよび受光部Trの第1の一方導電型半導体層242と、第1の他方導電型半導体層243と、第2の一方導電型半導体層244とは、一体形成されるので、発光部Tsおよび受光部Trの構成がさらに簡素化され、発光部Tsおよび受光部Trの作製がさらに容易となる。第2の一方導電型半導体層244の中央部239cが接続部Tcとして機能するので、接続部Tcを別途形成する必要がなく、スイッチ素子Tの構成をさらに簡素化することができ、これによって製造工程を可及的に少なくすることができ、生産性を向上させることができる。
スイッチ素子Tでは、配列方向一方X1に隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsが発光すると、この光を受光部Trによって受光する。受光部Trが受光すると光励起によって受光部Trの各半導体層に、受光強度に応じたキャリアが生成される。受光部Trのゲート228、発光部Tsのゲート227および接続部Tcは、ともに第2の一方導電型半導体層244によって一体的に形成されているので、受光部Trにおいて光励起によって、受光部Trのゲート228にトリガ信号としてのキャリアが生成されると、このトリガ信号は、接続部Tcを介して発光部Tsのゲート227に与えられ、発光部Tsにおいてもキャリアが生成される。キャリアの生成によって、第2の一方導電型半導体層244に蓄積される電子が、第2の一方導電型半導体層244のフェルミ準位を下げ、これによって第1の他方導電型半導体層243と第2の一方導電型半導体層244との接合部分において、なだれ現象が発生しやすくなり、発光部Tsにおけるしきい電圧またはしきい電流を低下させることができる。
絶縁層217を平坦性を有する樹脂材料によって形成することによって、絶縁層217を形成するときに、各スイッチ素子Tの間にも樹脂材料を充填して、絶縁層217を各スイッチ素子Tの間に確実に形成することができる。絶縁層217は、樹脂材料を塗付し、この樹脂材料を硬化させて形成される。絶縁層217を、ポリイミドおよびベンゾシクロブテン(BCB)などによって形成することによって、各スイッチ素子Tの間隔W23を前述のように選んでも、この空隙に絶縁層217を確実に形成することができ、また第1の一方導電型半導体層242、第1の他方導電型半導体層243、第2の一方導電型半導体層244、第2の他方導電型半導体層245s,245r、遮光部形成層246、オーミックコンタクト層247、表面電極225および基板231に絶縁層217を密着して形成することができる。絶縁層217が、スイッチ素子Tの表面から剥離してしまうと、この剥離した部分の界面によって、光が反射されてしまい、隣接するスイッチ素子Tからの光の受光量が低下してしまうおそれがあるが、このような問題が発生しない。
表面電極225の厚み方向Zの一表面225aには、第1および第2走査信号伝送路215a,215bのうちの1つが接続される。絶縁層217のうち、表面電極225の厚み方向Zの一表面225a上に形成される部分には、貫通孔249が形成され、この貫通孔249を介して第1,第2走査信号伝送路215a,215bのうちの1つが接続され、スイッチ素子Tと第1,第2走査信号伝送路215a,215bのうちの他の走査信号伝送路215とは、絶縁層217によって電気的に絶縁される。スイッチ素子Tは絶縁層217によって覆われているので、スイッチ素子Tの厚み方向一方Z1側に、第1および第2走査信号伝送路215a,215bを積層することができる。
本実施の形態では、一方導電型はN型であり、他方導電型はP型である。発光素子Lおよびスイッチ素子Tにおいて、一方導電型をN型とし、他方導電型をP型とすると、発光信号伝送路212および走査信号伝送路215が、各発光素子Lおよび各スイッチ素子Tのアノードに接続される構成となり、カソード電位を0ボルト(V)にすると、各発光素子Lおよび各スイッチ素子Tに電圧または電流を印加する電源に、正電源を用いることができるので好ましい。本実施の形態では、発光素子Lにおいては発光信号伝送路212がアノード端子として機能し、裏面電極236がカソード端子として機能する。またスイッチ素子Tにおいては、オーミックコンタクト層247,表面電極225がアノード端子として機能し、裏面電極236がカソード端子として機能する。第2の他方導電型半導体層245sを走査信号伝送路215と直接接続しないで、オーミックコンタクト層247および表面電極225を含むアノード端子を介して接続することによって、発光部Tsと走査信号伝送路215との接続部分において接触抵抗を可及的に低減することができ、スイッチ素子Tの発光部Tsにおける発熱を抑制し、また消費電力を抑制することができる。
各スイッチ素子Tの厚み方向Zの一方側において、絶縁層217および走査信号伝送路215は遮光層218によって覆われる。遮光層218の材料としては、電気絶縁性を有し、スイッチ素子Tから発せられる波長の光を、2μm〜3μm程度の厚みでほぼ完全に吸収するようなものであれば種々ものが使用可能である。本実施の形態では遮光層218は、緑色のポリイミドによって形成される。遮光層218の厚みは、5μm〜10μm程度に選ばれる。
スイッチ素子Tの発光部Tsから発せられ、厚み方向一方Z1へ向かう光は、絶縁層217と走査信号伝送路215と界面、走査信号伝送路215、絶縁層217と遮光層218との界面などによって反射されるか、遮光層218によって吸収される。各走査信号伝送路215および絶縁層217によって反射手段が形成される。これによって、スイッチ素子Tからの光が、発光素子Lから厚み方向一方Z1に出射される光に干渉してしまうことが防止される。したがって発光装置210を、画像形成装置の露光装置として用いた場合に、スイッチ素子Tからの漏れ光によって、画像の劣化が発生せず、優れた品質の画像を形成することができる。
絶縁層217と走査信号伝送路215とは、前述したように反射手段として機能し、スイッチ素子Tの発光部Tsから発せられた光を、発光部Tsに臨む受光部Trに反射することができる。これによって1つのスイッチ素子Tの発光部Tsから、この発光部Tsに受光部Trを臨ませて配置される配列方向Xに隣接するスイッチ素子Tの受光部Trに伝達する光の伝達効率を向上させることができる。これによって、発光したスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tの受光部Trにトリガ信号を確実に発生させることができ、発光したスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流を、確実に低下させることができ、スイッチ素子Tの光走査をより安定して行うことができる。また、発光した発光部Tsを有するスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧およびしきい電流を迅速に低下させることができるので、スイッチ素子Tの発光部Tsを配列方向に順番に発光させるスイッチ素子Tの発光部Tsの走査速度を向上させることができる。またスイッチ素子Tの発光部Tsが発する光量を小さくても、隣接するスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流を下げることができるので、スイッチ素子Tの発光に必要な電力を可及的に抑制して光走査を行うことができ、装置の消費電力を抑制することができる。このような反射手段を作製するために特別に反射層などを形成する必要がなく、既存の構成である絶縁層217および走査信号伝送路215を利用して形成することができる。したがって、発光装置210の作製工程が増加することなく、反射手段を形成することができる。
図20は、図17の切断面線B3−B3から見た発光装置210の基本的構成を示す一部の断面図である。発光素子Lと、スイッチ素子Tとは、幅方向Yに隣接して配置される。発光素子Lの第1の一方導電型半導体層232と、第1の他方導電型半導体層233と、第2の一方導電型半導体層234とのスイッチ素子T寄りの端部は、第2の他方導電型半導体層235と、オーミックコンタクト層237とのスイッチ素子T寄りの端部よりも、スイッチ素子Tに向かって突出し、発光素子接続部251を構成する。またスイッチ素子Tの、第1の一方導電型半導体層242と、第1の他方導電型半導体層243と、第2の一方導電型半導体層244との発光素子L寄りの端部は、第2の他方導電型半導体層245s,245rと、遮光部形成層246およびオーミックコンタクト層237との発光素子Lよりの端部よりも、スイッチ素子Tに向かって突出し、スイッチ素子接続部252を構成する。
発光素子Lの第2の一方導電型半導体層234のうち、発光素子接続部251を構成する部分234Aは、第2の他方導電型半導体層235が積層される部分234Bよりも厚みが小さく形成される。また発光素子スイッチTの第2の一方導電型半導体層244のうち、スイッチ素子接続部252を構成する部分244Aは、第2の他方導電型半導体層245が積層される部分244Bよりも厚みが小さく形成される。
発光素子Lの発光素子接続部251と、この発光素子Lに対応するスイッチ素子Tのスイッチ素子接続部252とは一体的に形成される。すなわち、発光素子Lの第1の一方導電型半導体層232と、スイッチ素子Tの第1の一方導電型半導体層242とが一体形成されており、発光素子Lの第1の他方導電型半導体層243と、スイッチ素子Tの第1の他方導電型半導体層233とが一体形成されており、発光素子Lの第2の一方導電型半導体層234と、スイッチ素子Tの第2の一方導電型半導体層244とが一体形成されている。
発光素子Lの第2の一方導電型半導体層234は、発光素子Lのゲート219であり、スイッチ素子Tの第2の一方導電型半導体層244は、スイッチ素子Tのゲート224である。スイッチ素子Tのゲート224は、発光部Tsのゲート227および受光部Trのゲート228でもある。接続手段214は、第2の一方導電型半導体層234の発光素子接続部251における部分および第2の一方導電型半導体層244のスイッチ素子接続部252における部分を含んで構成される。したがって接続手段214は、発光素子Lとスイッチ素子Tの発光部Tsのゲート同士を電気的に接続している。このように接続手段214を構成することによって、製造工程をより少なくすることができ、また発光素子Lとスイッチ素子Tとを幅方向Yにより近接させることができるので、発光装置210を小型化することができる。
接続手段214の抵抗値は、1kΩ(オーム)以下に選ばれる。抵抗値が高すぎると、スイッチ素子Tから発光素子Lへのトリガ信号が減衰されてしまうが、接続手段214の抵抗値を前記範囲に選ぶことによって、スイッチ素子Tから発光素子Lへのトリガ信号が減衰することなく伝達される。接続手段214の幅方向Yの長さ、言い換えれば発光素子接続部251とスイッチ素子接続部252とを含む部分の幅方向Yの長さWcは、基本的には抵抗値によって決定されるが、大きすぎるとチップが大きくなるので、10μm〜100μm程度に選ばれる。
発光素子Lとスイッチ素子Tとの間の領域には、接続手段214に積層して、絶縁層217が形成される。絶縁層217のうち、接続手段214に積層される部分の厚みは、厚み方向Zで接続手段214の一表面から、オーミックコンタクト層234,244の一表面234a,244aまでの距離よりもわずかに大きく形成される。この絶縁層217のうち、接続手段214に積層される部分の厚み方向Zの一表面は、発光素子Lおよびスイッチ素子Tの厚み方向Zに積層される部分の一表面よりも基板231側に退避し、基板231の一表面231aに平行な平面部分217aを有する。この平面部分217aは、発光素子Lとスイッチ素子Tとの間の領域で、発光素子L寄りの端部から、スイッチ素子T寄りの端部にわたって形成される。
発光信号伝送路212の信号路延在部221は、幅方向Yにおいて、前記平面部分217aのうち、幅方向Yにおいて平面部分217aの中央よりも発光素子L寄りの端部上に積層して形成される。遮光層218は、絶縁層217の表面に沿って、発光素子L側に延び、前記信号路延在部221のスイッチ素子T側の端部を覆う。
またスイッチ素子Tの第2の他方導電型半導体層245およびオーミックコンタクト層247の発光素子L寄りの端部は、絶縁層217に積層される遮光層218によって覆われる。これによって、スイッチ素子Tの発光部Tsが発光したときに、発光素子Lの発光方向に進む光を遮光することができる。各スイッチ素子Tの発光部Tsは、配列方向に沿って順番に発光するので、この光を遮光手段である遮光層218によって遮光し、発光素子Lが発する光に干渉しないようにすることによって、発光素子Lが発光しているときには、発光素子Lの光量が小さくなったり大きくなったりしてしまうことが防止され、安定した光量を得ることができる。またスイッチ素子Tの、発光素子Lとは反対側の端部は、絶縁層217を介して遮光層218によって覆われる。
図21は、図17の切断面線B4−B4から見た発光装置210の基本的構成を示す一部の断面図である。走査スタート用スイッチ素子T0と、スイッチ素子Tとは、同様な構成であるので、同様の部分には、同様の参照符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
走査スタート用スイッチ素子T0は、基板231の厚み方向Zの一表面231a上に、第1の一方導電型半導体層262が積層され、第1の一方導電型半導体層262の厚み方向Zの一表面262a上に第1の他方導電型半導体層263が積層され、第1の他方導電型半導体層263の厚み方向Zの一表面263a上に第2の一方導電型半導体層264が積層され、第2の一方導電型半導体層264の厚み方向Zの一表面264a上に第2の他方導電型半導体層265が積層され、第2の他方導電型半導体層265の厚み方向Zの一表面265a上にオーミックコンタクト層267が積層され、オーミックコンタクト層267の厚み方向Zの一表面267a上に表面電極225が積層されて構成される。第1の一方導電型半導体層262、第1の他方導電型半導体層263、第2の一方導電型半導体層264、第2の他方導電型半導体層265、オーミックコンタクト層267および表面電極225の積層体は、略直方体形状を有する。また走査スタート用スイッチ素子T0の幅方向Yの寸法は、スイッチ素子Tの幅方向の寸法よりも大きく形成される。走査スタート用スイッチ素子T0の幅方向Yの他端は、スイッチ素子Tの幅方向Yの他端と揃えて配列される。
走査スタート用スイッチ素子T0の第1の一方導電型半導体層262とスイッチ素子Tの第1の一方導電型半導体層242とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。走査スタート用スイッチ素子T0の第1の他方導電型半導体層263とスイッチ素子Tの第1の他方導電型半導体層243とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。走査スタート用スイッチ素子T0の第2の一方導電型半導体層264とスイッチ素子Tの第2の一方導電型半導体層244とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。走査スタート用スイッチ素子T0の第2の他方導電型半導体層265とスイッチ素子Tの第2の他方導電型半導体層245とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。走査スタート用スイッチ素子T0のオーミックコンタクト層267は、スイッチ素子Tのオーミックコンタクト層247とは、同じ半導体材料によって形成され、同じ厚みに形成される。
走査スタート用スイッチ素子T0は、絶縁層217および遮光層218に覆われる。走査スタート用スイッチ素子T0の厚み方向一方Z1に積層される絶縁層217に積層して走査信号伝送路215およびスタート信号伝送路216が形成される。スタート信号伝送路216は、第1走査信号伝送路215aの発光素子L寄りの領域に、間隔をあけて設けられる。絶縁層217のうち走査スタート用スイッチ素子T0の厚み方向一方に積層され、スタート信号伝送路216が積層される部分には、貫通孔269が形成され、この貫通孔269にスタート信号伝送路216の一部が形成されて、貫通孔269を介してスタート信号伝送路216が走査スタート用スイッチ素子T0の表面電極225に接続される。走査スタート用スイッチ素子T0、走査信号伝送路215およびスタート信号伝送路216とは、遮光層218によって覆われる。
各発光素子L、各スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0は、基板231の一表面231aに、第1の一方導電型半導体層232,242,262と、第1の他方導電型半導体層233,243,263と、第2の一方導電型半導体層234,244,264と、第2の他方導電型半導体層235,245s,245r,265、遮光層形成部246およびオーミックコンタクト層237,247,267とを、それぞれ形成するための半導体材料を、エピタキシャル成長および化学気相成長(CVD)法などによって順次積層した後、フォトリソグラフィによってパターニングおよびエッチングして形成される。したがって、一連の製造プロセスにおいて、発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0を同時に形成することができるので、製造コストを低減することができる。各半導体層を形成した後、導電体層を蒸着法などによって形成し、フォトリソグラフィによってパターニングおよびエッチングして、表面電極225を形成する。
絶縁層217は、表面電極225を形成した後、前述したポリイミドなどの樹脂材料をスピンコーティングした後、塗付した樹脂材料を硬化させ、発光信号伝送路212と、第1および第2走査信号伝送路215a,215bと、スタート信号伝送路216と、発光素子L、スイッチ素子Tまたは走査スタート用スイッチ素子T0との接続に必要な各貫通孔239,249,269をフォトリソグラフィによってパターニングおよびエッチングして形成される。
発光信号伝送路212と、第1および第2走査信号伝送路215a,215bと、スタート信号伝送路216と、発光素子遮光部223とは、絶縁層17を形成した後、蒸着法などによって導電性材料を絶縁層217の表面に積層した後、フォトリソグラフィによってパターニングおよびエッチングして、同時に形成される。したがって、発光信号伝送路212と、第1および第2走査信号伝送路215a,215bと、スタート信号伝送路216と、発光素子遮光部223との厚みは、ほぼ等しく形成される。
発光素子L、スイッチ素子Tの発光部Ts、受光部Tsおよび走査スタート用スイッチ素子T0の、アノード電圧とアノード電流との関係である順方向電圧−電流特性は、前述した実施の形態の図6に示すグラフと同様である。発光素子L、スイッチ素子Tの発光部Ts、受光部Trおよび走査スタート用スイッチ素子T0は、電圧電流特性を表す特性曲線と、負荷線72とが交わるオフ状態のb点と、特性曲線と負荷線72とが交わるオン状態のa点とを遷移する。
発光素子Lおよびスイッチ素子Tの発光部Tsおよび受光部Trの初期のしきい電圧(ブレークオーバ電圧)、および走査スタート用スイッチ素子T0のしきい電圧をVBOとする。初期のしきい電圧とは、発光素子Lでは、ゲート219にトリガ信号が与えられていない状態のしきい電圧であり、スイッチ素子Tの発光部Tsでは発光部Tsのゲート227にトリガ信号が与えられていない状態のしきい電圧であり、スイッチ素子Tの受光部Trでは、受光していない状態のしきい電圧である。
発光素子Lおよび発光部Tsでは、ゲート192,227にトリガ信号を与えることによって、また受光部Trでは、受光することによって、しきい電圧がVBOから、図6の矢符P1で示すように、このVBOよりも小さな電圧であるVTHへとしきい電圧が低下する。
図22は、図17に示される発光装置210の基本的構成を示す一部の等価回路を示す回路図である。発光装置210は、駆動手段273をさらに含む。駆動手段273は、第1および第2走査信号伝送路215a,215bと、発光信号伝送路212と、スタート信号伝送路216とに接続され、第1および第2走査信号伝送路215a,215bに走査信号φを与え、スタート信号伝送路216にスタート信号φSを与え、発光信号伝送路212に発光信号φEをそれぞれ与える。駆動手段73は、駆動用ドライバーIC(
Integrated Circuit)によって実現される。
駆動手段273は、外部から基準となるクロックパルス信号を入力して、このクロックパルス信号に基づいて、第1および第2走査信号φ1,φ2およびスタート信号φSを同期して出力し、走査信号伝送路215およびスタート信号伝送路216にそれぞれ与える。前記クロックパルス信号は、画像形成装置の制御手段から与えられる。クロックパルス信号のクロック周期は、画像形成装置の制御手段における制御周期よりも長く選ばれる。また駆動手段273は、クロックパルス信号とともに与えられる画像情報に基づいて、発光信号φEを出力して、発光信号伝送路212に与える。
第1および第2走査信号伝送路215a,215bには、各スイッチ素子Tと直列に接続される抵抗素子Rφがそれぞれ接続され、駆動手段273は、抵抗素子Rφを介して第1および第2走査信号伝送路215a,215bに接続される。抵抗素子Rφは、駆動手段273から走査信号伝送路215に過電流が流れてしまうことを防止するとともに、各スイッチ素子Tに印加される電圧を分圧する分圧抵抗としての機能を有する。
また発光信号伝送路212にも、各発光素子Lと直列に接続される抵抗素子Rφがそれぞれ接続され、駆動手段273は、抵抗素子Rφを介して発光信号伝送路212に接続される。抵抗素子Rφは、駆動手段273から走査信号伝送路215に過電流が流れてしまうことを防止するとともに、各発光素子Lに印加される電圧を分圧する分圧抵抗としての機能を有する。
またスタート信号伝送路216にも、スタート用スイッチ素子T0と直列になるように抵抗素子Rφが接続され、駆動手段273は、抵抗素子Rφを介してスタート用伝送路216に接続される。
図23は、駆動手段273が、スタート信号伝送路216に与えるスタート信号φS、第1走査信号伝送路215aに与える第1走査信号φ1、第2走査信号伝送路215bに与える第2走査信号φ2、および発光信号伝送路212に与える発光信号φEと、発光素子L1の発光強度と、走査スタート用スイッチ素子T0およびスイッチ素子T1〜T4の発光強度とを示す波形図である。発光素子L1および走査スタート用スイッチ素子T0ならびにスイッチ素子T1〜T4の発光強度は、ハイ(H)レベルのとき発光していることを表し、ロー(L)レベルのとき発光していないことを表す。図23において、横軸は時間であって、基準時刻からの経過時間を表す。
またスタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEについて、縦軸は、信号レベルを表す。信号レベルは、電圧または電流の大きさを表し、スタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEがハイ(H)レベルのとき、高電圧または高電流が信号伝送路に供給され、スタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEがロー(L)レベルのとき、低電圧または低電流が信号伝送路に供給される。スタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEがLレベルのとき、伝送路に供給される電圧または電流は、各素子のしきい電圧またはしきい電流よりも小さい。電圧の場合では、ハイレベルは、たとえば3ボルト(V)〜10ボルト(V)である。電圧の場合では、ローレベルは、たとえば0(零)ボルト(V)である。
本実施の形態では、Hレベルのときのスタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2ならびに発光信号φEの電圧をたとえば5ボルト(V)とし、Lレベルのスタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2ならびに発光信号φEの電圧をたとえば0ボルト(V)とする。第1および第2走査信号φ1,φ2の波形は同じであり、位相が異なる。
発光装置210では、発光させるべき発光素子Lのしきい電圧またはしきい電流を低下させるために、スイッチ素子Tの発光状態を、配列方向Xに沿って転送する。
以後、駆動手段273の動作について説明する。まず時刻t0で、駆動手段273は、スタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2ならびに発光信号φEをローレベルとする。スタート信号φSをローレベルにしておくことによって、走査スタート用スイッチ素子T0は発光しない。駆動手段273は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをローレベルからハイレベルにすると、次に信号レベルをハイレベルからローレベルにするまで、信号レベルをハイレベルとなるように維持する。また駆動手段273は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをハイレベルからローレベルにすると、次に信号レベルをローレベルからハイレベルにするまで、信号レベルをローレベルとなるように維持する。
時刻t1で、駆動手段273は、スタート信号φSのみをローレベルからハイレベルに変化させる。時刻t1において、第1,第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEは、ローレベルである。これによって、走査スタート用スイッチ素子T0が、オン状態になり、すなわちターンオンし、発光する。スタート信号φSのハイレベルの信号は、走査スタート用スイッチ素子T0のしきい電圧またはしきい電流よりも大きい電圧または電流である。
走査スタート用スイッチ素子T0の光は、隣接するスイッチ素子アレイ213の配列方向Xの端部に配置されるスイッチ素子T1の受光部Tr1に最も強く入射する。スイッチ素子アレイ213の他のスイッチ素子Tでは、配列方向Xに走査スタート用スイッチ素子T0から離間した位置に配置されるスイッチ素子Tほど、走査スタート用スイッチ素子T0から照射される光の強度が小さくなる。スイッチ素子Tの受光部Trでは、受光すると光励起によって各半導体層に、受光強度に応じたキャリアが生成される。受光部Trのゲート228、発光部Tsのゲート227および接続部Tcは、ともに第2の一方導電型半導体層244によって一体的に形成されているので、受光部Trにおいて光励起によって、受光部のゲート228にトリガ信号としてのキャリアが生成されると、このトリガ信号は、接続部Tcを介して発光部Tsのゲート227に与えられ、発光部Tsにおいてもキャリアが生成される。キャリアの生成によって、第2の一方導電型半導体層244に蓄積される電子が、第2の一方導電型半導体層244のフェルミ準位を下げ、これによって第1の他方導電型半導体層243と第2の一方導電型半導体層244との接合部分において、なだれ現象が発生しやすくなり、発光部Tsにおけるしきい電圧またはしきい電流を低下させることができる。
このため、スイッチ素子Tの受光部Trが、光を受光することによってこの受光した受光部Trと接続部Tcによって接続される発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流が低下し、また受光部Trによって受光する光強度が大きくなるほど、この受光した受光部Trと接続部Tcによって接続される発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流の降下が大きくなるという特性を有する。
次に走査スタート用スイッチ素子T0からスイッチ素子T1への発光状態の転送について説明する。走査スタート用スイッチ素子T0が発光すると、この光をスイッチ素子T1の受光部Tr1が受光し、前述したようにスイッチ素子T1の発光部Ts1のしきい電圧が低下する。
時刻t1経過した後、時刻t2においてスイッチ素子T1の発光部Ts1のしきい電圧はVTH(T1)となっている。第1走査信号伝送路215aには、スイッチ素子T1,T3,…,Tj−1が接続されているが、スイッチ素子T3,…,Tj−1は、走査スタート用スイッチ素子T0から十分に離れているので、走査スタート用スイッチ素子T0からの光を受光しても、その光は微弱であるので、その発光部Tsのしきい電圧は、ほとんど変化しない。
時刻t2で、駆動手段273は、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにする。時刻t2において、スタート信号φSはハイレベルであり、第2走査信号φ2、発光信号φEはローレベルである。第1走査信号φ1のハイレベルは、第1走査信号伝送路215aに接続されるスイッチ素子T1の発光部Ts1を除く他のスイッチ素子T3,…,Tj−1の発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流うちの最低値よりも、高い電圧または高い電流に選ばれる。
隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsからの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tの発光部Tsが接続される走査信号伝送路215に、この走査信号伝送路215に接続される他のスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流の最低値よりも高い電圧または電流の走査信号φを与えると、走査信号φは抵抗素子Rφを介して、走査信号伝送路215に与えられ、スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が与えられる。各スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が徐々に印加されることとなり、同じ走査信号伝送路215に接続される複数のスイッチ素子Tのうち、隣接しているスイッチ素子Tからの光を受光した受光部Trを有するスイッチ素子Tの発光部Tsに与えられる電圧または電流が、最も早くこのスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流よりも大きくなる。これによって、しきい電圧またはしきい電流が最も低いスイッチ素子Tの発光部Tsのみが発光し、他のスイッチ素子Tは、発光しない。
これによって、時刻t2で、スイッチ素子T1の発光部Ts1がオン状態となり、すなわちターンオンし、発光する。
スイッチ素子T1の発光部Ts1がオン状態となった後、時刻t3で、駆動手段73は、スタート信号φSをローレベルにする。これによって、走査スタート用スイッチ素子T0は、オフ状態、すなわちターンオフして、消灯する。
このようにして、走査スタート用スイッチ素子T0から、スイッチ素子T1へと発光状態が遷移する。また時刻t3において、駆動手段273は、スタート信号φSをハイレベルからローレベルにし、以後、スイッチ素子Tjの発光が終了するまでローレベルを維持する。スタート用スイッチ素子T0を発光させないときには、スタート信号φSをローレベルにしておくことができ、ローレベルの電圧を0(零)ボルト(V)としているので、非発光状態において電力を消費しない。スタート信号φSをハイレベルとする時間は、第1走査信号φ1,φ2をハイレベルとする時間よりも短い時間とする。走査スタート用スイッチ素子T0は、スイッチ素子T1の発光部Ts1のしきい電圧またはしきい電流が低下させるためだけに用いられるので、スタート信号φSがハイレベルとする時間を短くして、電力の消費を抑制することができる。
時刻t2と時刻t3との間の時間は、第1走査信号φ1がハイレベルとなる時間の1/10程度に選ばれる。このように、隣接するスイッチ素子Tにおいて与えられる走査信号φがハイレベルとなる時間が重なるように駆動手段273が走査信号φを与えることによって、隣接するスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流が確実に低下している間に、走査信号φをハイレベルとすることができ、光走査を確実に行うことができる。
本実施の形態では、第1および第2走査信号φ1,φ2がハイレベルとなる時間は、1μ秒(μsecond)程度に選ばれる。したがって、時刻t2と時刻t3との間の時間は、0.1μ秒(μsecond)程度に選ばれる。
スイッチ素子T1の受光部Tr1は、受光によって受光部Trのゲート228にトリガ信号を発生し、時刻t2においてスイッチ素子T1の発光部Ts1がオン状態となると、ハイレベルとされた第1走査信号φ1がローレベルになるまでは、オン状態を維持する。オン状態となると、スイッチ素子T1のゲート224の電圧は、ほぼ0(零)ボルト(V)になる。ここで前記スイッチ素子T1のゲート224の電圧とは、このゲート224と接地される裏面電極236との電位差である。スイッチ素子T1のゲート224は、発光素子L1のゲート219に接続されているので、スイッチ素子T1のゲート224の電圧は、発光素子L1のゲート219の電圧と等しくなる。このようにスイッチ素子T1は、発光素子L1のゲート219と裏面電極236とに印加される電圧を変化させることができる。
発光素子L1を発光させる場合、駆動手段273は、時刻t3が経過した後、時刻t4で、発光信号φEをローレベルからハイレベルにする。
発光素子L1は、スイッチ素子T1の発光部Ts1がオン状態であるので、前述したように発光素子L1のゲート219が、ほぼ0(零)ボルト(V)となる。このときスイッチ素子T2,…,Tj−1,Tjは、オフ状態であり、時刻t4における発光素子L1のしきい電圧をVTH(L1)とし、時刻t4における発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧をそれぞれVTH(L2),…,VTH(Li−1),VTH(Li)とすると、発光信号φEのハイレベルVを、発光素子L1のしきい電圧よりも大きく、発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧のうち、最低値のものよりも小さな値に選ぶことによって、発光素子L1のみを選択的にオン状態として、発光させることができる。
時刻t5において、駆動手段273が発光信号φEをローレベルにすると、発光素子L1は、オフ状態となり、消灯する。感光体ドラムへの露光量は、発光素子Lの発光強度は一定として、発光素子Lの発光する時間によって調整される。すなわち、発光信号φEがハイレベルとなる時刻t4から時刻t5までの間の時間を決定することによって、露光量が決定される。発光素子Lの発光強度によって露光量を変更する場合、発光素子Lに与える電圧または電流を細かく制御する必要があるので困難であるが、発光時間によって露光量を変更することによって、発光信号φEがハイレベルとなる時間を調整するだけでよいので、露光量の制御がしやすく、また定電圧または定電流が発光素子Lに与えられるので、発光素子Lを安定して発光させることができる。発光素子Lが発光する時間、言い換えれば発光信号φEがハイレベルとなる時間は、走査信号φがハイレベルとなる時間の80%以下に選ばれる。
時刻t5が経過した後、駆動手段273は、時刻t6で第2走査信号φ2をハイレベルにすると、スイッチ素子T2の発光部Ts2が発光し、時刻t6が経過した後、時刻t7で、第1走査信号φ1をローレベルにすると、スイッチ素子T1の発光部Ts1が消灯する。これによって、スイッチ素子T1からスイッチ素子T2へと発光状態が移る。
時刻t7が経過した後、駆動手段273は、時刻t8で第1走査信号φ1をハイレベルにすると、スイッチ素子T3の発光部Ts3が発光し、時刻t8が経過した後、時刻t9で、第2走査信号φ2をローレベルにすると、スイッチ素子T2の発光部Ts2が消灯する。これによって、スイッチ素子T2からスイッチ素子T3へと発光状態が移る。
時刻t9が経過した後、駆動手段273は、時刻t10で再び第2走査信号φ2をハイレベルにすると、スイッチ素子T4の発光部Ts4が発光し、時刻t10が経過した後、時刻t11で、第1走査信号φ1をローレベルにすると、スイッチ素子T3の発光部Ts3が消灯する。
時刻t6と時刻t7との間の時間は、第2走査信号φ2がハイレベルとなる時間の1/10程度に選ばれる。
このように駆動手段273が、第1走査信号φ1,φ2を繰り返して与えることによって、スイッチ素子T4,…,Tj−1,Tjにおいても、オン状態が配列方向Xに沿って順次転送される。スイッチ素子Tの発光部Tsが発光しているとき、発光信号伝送路212の発光信号φEをローレベルからハイレベルにすることによって、この発光しているスイッチ素子Tに対応する、すなわち発光している発光部Tsを有するスイッチ素子Tに接続されている発光素子Lのみを選択的に発光させることができる。
図24は、第1走査信号伝送路215aに接続されるスイッチ素子T1,T3,T5のしきい電圧の変化を表す波形図である。図24において、横軸は時間であって、基準時刻からの経過時間を表す。なお同図には、スタート信号φSおよび第1および第2走査信号φ1,φ2も示している。同図に示す時刻t1,t2,t7,t8,t11は、前述した図23に示す時刻t1,t2,t7,t8,t11にそれぞれ対応する。各スイッチ素子T1,T3,T5の初期のしきい電圧をVBOとし、隣接するスイッチ素子Tからの受光によって低下したしきい電圧をVとする。
時刻t1で走査スタート用スイッチ素子T0が発光するので、走査スタート用スイッチ素子T0の光をスイッチ素子T1の受光部Tr1が受光することによって、スイッチ素子T1の発光部Ts1のしきい電圧が徐々に低下し、時刻taでスイッチ素子T1の発光部Ts1のしきい電圧は、Vになる。走査スタート用スイッチ素子T0の発光状態が維持される時刻t2まで、スイッチ素子T1のしきい電圧はVに維持される。
時刻t2で、第1走査信号φ1がローレベルからハイレベルになることによって、スイッチ素子T1が発光し、スイッチ素子T1のしきい電圧は、さらに低下して時刻tbで、Vとなる。時刻tbにおいて、スイッチ素子T3,T5のしきい電圧は、VBOである。
時刻t7で、第1走査信号φ1がハイレベルからローレベルになると、スイッチ素子T1のしきい電圧は、時間の経過にともなって、Vから徐々に上昇し、またスイッチ素子T2の発光部Ts2が発光しているので、スイッチ素子T3の発光部Ts3のしきい電圧が時間の経過にともなってVBOから徐々に低下し、時刻tcでスイッチ素子T3の発光部Ts3のしきい電圧は、Vになる。
時刻t8では、スイッチ素子T3の発光部Ts3のしきい電圧は、Vであり、スイッチ素子T1のしきい電圧は、Vよりも高くVBOよりも低いVであり、スイッチ素子T5のしきい電圧は、VBOである。
時刻t8で、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにするが、このハイレベルの電圧を、第1走査信号伝送路215aに接続されているスイッチ素子Tのうち、隣接する発光素子Lからの光の受光していない発光素子Lのうちで、最もしきい電圧の低い発光素子L1の発光部Ts1のしきい電圧Vよりも高くすることによって、スイッチ素子T3の発光部Ts3のみを発光させることができる。スイッチ素子T3は、発光するとしきい電圧がさらに低下して時刻tdで、Vとなる。
時刻t11で、第1走査信号φ1がハイレベルからローレベルになると、スイッチ素子T3のしきい電圧は、時間の経過にともなって、Vから徐々に上昇する。
図25は、スイッチ素子Tの発光部Tsの順方向電圧−電流特性と、各走査信号伝送路215に供給される第1および第2走査信号φ1,φ2のハイレベルの電圧Vの範囲とを示すグラフである。なお、図25では、横軸をアノード電圧とし、縦軸をアノード電流として示されている。同図の特性曲線によって示されるように、スイッチ素子Tの発光部Tsは、一般的なサイリスタと同様のS字形負性抵抗を有している。スイッチ素子Tは、前述したように受光部Trを構成する半導体層に光を照射することによって、発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流を低下させることできる。これによって前述したように、スイッチ素子Tは、特性曲線と負荷線72とが交わるオフ状態のb点から、特性曲線と負荷線72とが交わるオン状態のa点に遷移するので、スイッチとして機能する。
スイッチ素子Tの発光部Tsの初期のしきい電圧をVB0とし、スイッチ素子Tの受光部Trに光を照射することによって、最もしきい電圧が低下した状態の発光部Tsのしきい電圧をVとし、同じ走査信号伝送路215に接続されているスイッチ素子Tのうち、2番目にしきい電圧が低いスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧をVとする。このVは、光を受光することによって、わずかにしきい電圧が低下した状態のスイッチ素子Tの発光部Ts、またはターンオフ時、すなわちいったんオン状態となった後、初期状態に回復しつつあるスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧である。
スイッチ素子Tの発光部Tsに接続される各走査信号伝送路215に供給される第1および第2走査信号φ1,φ2のハイレベルの電圧Vは、図25の符号P3で示す範囲、すなわち前記電圧Vよりも高く設定される。また電圧Vは、前記スイッチ素子Tの定格電圧よりも低く選ばれる。たとえば電圧Vを高くすると、スイッチ素子Tの発光部Tsのオフ状態からオン状態へのスイッチング速度を高くすることができ、これによってスイッチ素子Tの発光部Tsにおける発光状態の遷移を高速化することができるので、光走査を高速化することができる。たとえば5ミリアンペア(mA)で、1メガヘルツ(MHz)のクロック信号で動作させる場合、前記電圧Vは10V程度に選ばれ、抵抗素子Rφの抵抗値は、1.6kΩに選ばれる。走査信号φの電圧は、高くなるほど、スイッチ素子Tの発光部Tsに流入する電流を制限する必要があるので、抵抗素子Rφの抵抗値を大きくする必要がある。このため抵抗素子Rφの抵抗値は、光走査の速度をより高速化する必要がある場合、抵抗素子Rφの抵抗値と光スイッチ素子Tの容量値とによって決定される時定数を考慮して決定される。
本実施の形態では、前述のように走査信号φのハイレベルの電圧を設定するので、スイッチ素子Tの受光部Trが受光して光励起した状態のときの発光部Tsのしきい電圧もしくはしきい電流が、初期のしきい電圧またはしきい電流の80%程度にしかならない場合であっても、スイッチ素子Tによって発光状態の転送を実現することができる。したがって、スイッチ素子Tの受光部Trは、高い受光感度を備えていなくても、発光状態の転送を行うことができる。スイッチ素子Tの受光部Trは、発光素子Lと同じ半導体材料によって形成され、同様な構造を有する。発光素子Lでは、高い発光効率を求められるので、発光効率を高めるように発光素子Lを設計すると、発光素子Lと同じ構成によって実現されるスイッチ素子Tの受光部Trでの受光感度が低下してしまう。逆に、スイッチ素子Tの受光部Trの受光感度を高めるようにスイッチ素子Tを設計すると、スイッチ素子Tと同じ構成によって実現される発光素子Lの発光効率が低下してしまう。本発明では、スイッチ素子Tは、高い受光感度を備えていなくてもよいので、発光素子Lの発光効率を高めるための設計の自由度が向上し、より小さな電力で発光素子Lを効率よく発光させて、発光装置210の消費電力を低減することができる。
図26は、発光装置210を構成する発光体チップ275の構成を示す概略的に示す平面図である。なお、図1に示される発光装置210の基本的構成を示す一部は、同図においてc1,c2,c3,c4,c5およびc6によって外囲される部分である。また図26では、各発光素子Lの光の出射方向を紙面に垂直手前側として配置された発光体チップ275の平面を示し、発光素子L、スイッチ素子T、接続手段214および信号伝送路接続部276は図解を容易にするため、斜線を付して示されている。
発光体チップ275は、第1発光体チップ部277と第2発光体チップ部278と、信号伝送路接続部276とを有する。第1発光体チップ部277は、前述した図17に示す部分であり、c1,c2,c3,c4,c5およびc6によって外囲される部分である。第2発光体チップ部278は、第1発光体チップ部277と同様な構成であって、第1発光体チップ部277を紙面に垂直なZ方向に延びる軸線周りに180度角変位させた形状を有する。第1発光体チップ部277と第2発光体チップ部278との発光素子アレイ211は、発光体チップ275の幅方向Yの中央で、直線状に配列されている。したがって発光体チップ275の各スイッチ素子Tは、各発光素子Lの配列方向Xおよびこの配列方向Xに垂直な幅方向Yに、発光素子アレイ211の一方側および他方側に分割して配置されている。発光体チップ275は、図17に示す発光装置210の基本的構成を示す一部と、この基本的構成を示す一部を紙面に垂直なZ方向に延びる軸線周りに180度角変位させて、発光素子アレイ211を直線状に配列させた形状を有する。
発光素子アレイ211の幅方向Yの他方側に配置される第1発光体チップ部277のスイッチ素子アレイ213を、第1スイッチ素子アレイ213aと記載し、発光素子アレイ211の幅方向の一方側に配置される第2発光体チップ部278のスイッチ素子アレイ213を第2スイッチ素子アレイ213bと記載する。本実施の形態では、第1および第2スイッチ素子アレイ213a,213bのスイッチ素子Tの数は等しく選ばれる。第1スイッチ素子アレイ213aは、発光体チップ275の配列方向Xの他端部275bから、配列方向Xの中央部275cまで延びる。第2スイッチ素子アレイ213bは、発光体チップ275の配列方向Xの一端部275aから、配列方向Xの中央部275cまで延びる。
第1スイッチ素子アレイ213aの配列方向Xの一方に第1走査スタート用スイッチ素子T0が設けられ、第2スイッチ素子アレイ213bの配列方向Xの他方に第2走査スタート用スイッチ素子T0が設けられる。第1スイッチ素子アレイ213aでは、配列方向Xの一端部から他端部に向かってスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjがこの順番で配列され、第2スイッチ素子アレイ213bでは、配列方向Xの他端部から一端部に向かってT1,T2,…,Tj−1,Tjがこの順番で配列される。
発光体チップ275は、略直方体形状を有し、厚み方向Zの一表面部279に、信号伝送路接続部276が設けられる。
第1および第2発光体チップ部277,278の発光素子アレイ211が配列されて成る発光素子アレイ211は、配列方向Xにおいて発光体チップ275の一端部275aおよび他端部275b間にわたって、形成される。配列方向Xにおける発光体チップ275の一端から配列方向Xの一端の発光素子Lまでの距離と、配列方向Xにおける発光体チップ75の他端から配列方向Xの他端の発光素子Lまでの距離とは、距離W32に選ばれ、かつ隣接する発光素子Lの間の距離W21よりも小さく選ばれ、好ましくは距離W21の1/2程度に選ばれる。
幅方向Yにおいて、第1および第2発光体チップ部277,278の各スイッチ素子Tの発光素子Lとは反対側の端部から、発光体チップ275の幅方向Yの一端までの距離W33は、スイッチ素子Tの発光素子Lとは反対側の端部を覆う前記絶縁層217および前記遮光層218を設けることができるように選ばれる。
第1および第2スイッチ素子アレイ213a,213bの配列方向Xに沿ってそれぞれ隣接した領域280A,280Bには、信号伝送路接続部276が第1および第2発光素子アレイ211に沿って設けられる。信号伝送路接続部276は、走査信号伝送路215、発光信号伝送路212およびスタート信号伝送路216と外部からの信号伝送路であるボンディングワイヤとをそれぞれ接続する部分であり、ワイヤボンディングに用いられるボンディングパッドである。
信号伝送路接続部276は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成され、具体的には、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)および金と亜鉛との合金(AuZn)などによって形成される。
信号伝送路接続部276は、第1および第2スタート信号伝送路接続部281a,281bと、第1および第2走査信号伝送路接続部282a,282bと、第1および第2発光信号伝送路接続部283a,283bとを含んで構成される。第1および第2スタート信号伝送路接続部281a,281bと、第1および第2走査信号伝送路接続部282a,282bと、第1および第2発光信号伝送路接続部283a,283bとは、厚み方向Zの一方側から見て矩形状に形成され、それぞれ等しい大きさに形成される。
第1スイッチ素子アレイ213aの配列方向一方X1に隣接する領域280Aには、第1スタート信号伝送路接続部281aと、第1走査信号伝送路接続部282aと、第2発光信号伝送路接続部283bとが設けられる。第1スイッチ素子アレイ213の配列方向一方X1には、走査スタート用スイッチ素子T0の配列方向一端から配列方向Xに距離W34離間して、第1スタート信号伝送路接続部281aが設けられる。第1スタート信号伝送路接続部281aの配列方向一方X1に第1走査信号伝送路接続部282aが設けられる。第1走査信号伝送路接続部282aは、第1および第2伝送路接続部284a,284bを含んで構成される。第1スタート信号伝送路接続部281a、および第1および第2伝送路接続部284a,284bは、配列方向Xに相互に間隔をあけて設けられ、等間隔に設けられる。
本実施の形態では、配列方向一方X1から配列方向他方X2に向かって第1伝送路接続部284aおよび第2伝送路接続部284bがこの順番で配列される。第1発光体チップ部277のスタート信号伝送路216は、第1スタート信号伝送路接続部281aに接続され、第1発光体チップ部277の第1走査信号伝送路215aは、第1伝送路接続部284aに接続され、第1発光体チップ部277の第2走査信号伝送路215bは、第2伝送路接続部284bに接続される。このように接続することによって、各伝送路接続部284a,284bから各スイッチ素子Tの発光部Tsまでの伝送路の長さのばらつきを抑えることができる。
また第1走査信号伝送路接続部282aの配列方向Xの一方で、発光体チップ275の配列方向Xの一端部275aには、第2発光信号伝送路接続部283bが設けられる。第2発光信号伝送路接続部283bは、第2発光体チップ部278の発光信号伝送路212に接続される。第2発光信号伝送路接続部283bは、発光体チップ275の配列方向Xの一端から距離W35離間して設けられる。前記距離W35は、前記距離W32よりも大きく選ばれる。
第1スタート信号伝送路接続部281a、第1走査信号伝送路接続部282aおよび第2発光信号伝送路接続部283bは、発光素子Lが設けられる領域外に設けられており、発光素子アレイ211から幅方向Yに距離W36離間して設けられている。距離W36は、発光素子Lが発光したときに、この光が信号伝送路接続部276によって遮光されてしまい、光量が低下してしまわないように選ばれる。
第2スイッチ素子アレイ213の配列方向他方X2に隣接する領域280Bには、第2スタート信号伝送路接続部281bと、第2走査信号伝送路接続部282bと、第1発光信号伝送路接続部283aとが設けられる。第2スイッチ素子アレイ213の配列方向他方X2には、走査スタート用スイッチ素子T0の配列方向Xの一端から配列方向Xに距離W34離間して、第2スタート信号伝送路接続部281bが設けられる。第2スタート信号伝送路接続部281bの配列方向他方X2に第2走査信号伝送路接続部282bが設けられる。第2走査信号伝送路接続部282bは、第3および第4伝送路接続部285a,285bを含んで構成される。第2スタート信号伝送路接続部282bおよび第3および第4伝送路接続部285a,285bは、配列方向Xに相互に間隔をあけて設けられ、ここでは等間隔に設けられる。
本実施の形態では、配列方向他方X2から配列方向一方X1に向かって第4伝送路接続部285aおよび第5伝送路接続部285bがこの順番で配列される。第2発光体チップ部278のスタート信号伝送路216は、第2スタート信号伝送路接続部281bに接続され、第2発光体チップ部278の第1走査信号伝送路215aは、第4伝送路接続部285aに接続され、第2発光体チップ部278の第2走査信号伝送路215bは、第5伝送路接続部285bに接続される。このように接続することによって、各信号伝送路接続部276から各スイッチ素子Tの発光部Tsまでの伝送路の長さのばらつきを抑えることができる。
また第2走査信号伝送路接続部282bの配列方向他方X2で、発光体チップ275の配列方向Xの他端部275bには、第1発光信号伝送路接続部283aが設けられる。第1発光信号伝送路接続部283aは、第1発光体チップ部277の発光信号伝送路212に接続される。第1発光信号伝送路接続部283aは、発光体チップ275の配列方向他端から距離W35離間して設けられる。
第2スタート信号伝送路接続部281b、第2走査信号伝送路接続部282bおよび第1発光信号伝送路接続部283aは、発光素子Lが設けられる領域外に設けられており、発光素子アレイ211から幅方向に距離W36離間して設けられる。
信号伝送路接続部276が形成される領域280A,280Bにおいて、各発光信号伝送路212と、第1および第2走査信号伝送路215a,215bと、各スタート信号伝送路216とである各信号伝送路は、それぞれ電気絶縁性を有する絶縁膜によって相互に絶縁される。信号伝送路接続部276と各信号伝送路とは、絶縁膜に形成される貫通孔を介して接続される。
このように本実施の形態の発光装置210における発光体チップ275の各スイッチ素子アレイ213は、各発光素子Lの配列方向Xおよびこの配列方向Xに垂直な幅方向Yに、発光素子アレイ211の一方側および他方側に分割して配置され、各スイッチ素子アレイ213の前記配列方向Xに沿って隣接した領域280A,280Bに、発光素子アレイ211に沿って信号伝送路接続部276が設けられるので、発光素子アレイ211の配列方向Xの端部を、発光体チップ275の端部に配置することができるとともに、前記幅方向Yに発光素子アレイ211の一方側および他方側に信号伝送路接続部276を設ける構成としたときに、配列方向Xに垂直な方向の発光体チップ275の大きさを、可及的に小さくする形成することができる。
発光素子アレイ211を発光体チップ275の幅方向Yの一端部に形成すると、発光体チップ275を、このウエハから切り出すときに、発光素子Lの配列方向Xである長辺部の形状を、発光素子Lにダメージが与えられないように、精密にかつチッピングが生じないようにダイシングするか、あるいは切り出し後にラッピングを行うなどの工程を追加する必要がある。本実施の形態では、発光素子アレイ211は、発光体チップ275の幅方向Yの中央部に形成されるので、ウエハからの切り出しの際に、発光素子Lがダメージを受けにくいので、ダイシングが容易となり、また歩留まりを向上させることができるとともに、製造工程を増加させることがない。
図27は、発光体チップ275を複数有する発光体チップ組立体286の基本的構成を示す一部の平面図である。なお、同図は、各発光素子Lの光の出射方向を紙面に垂直手前側として配置された発光体チップ組立体286の平面を示し、発光素子アレイ211、第1および第2スイッチ素子アレイ213a,213bおよび信号伝送路接続部276は図解を容易にするため、斜線を付して示されている。
発光体チップ組立体286は、前記図26に示される発光体チップ275を複数有し、各発光体チップ275の各発光素子Lを直線状に配列して構成される。発光体チップ組立体286は、プリント配線基板などの回路基板に、発光体チップ275の裏面電極236を臨ませて、各発光体チップ275の各発光素子Lを直線状に並べて実装される。
複数の発光体チップ275では、配列方向Xの一端部275aおよび他端部275bに発光素子Lが配置されるので、発光素子アレイ211を配列方向Xに沿って並べたときに、隣接する発光体チップ275の配列方向Xの端部の発光素子Lを可及的に近づけることができ、発光体チップ275を1列に並べても、隣接する発光体チップ275の発光素子Lの間の距離W37を予め定める範囲内とすることができるので、発光体チップ275を千鳥状に配列する必要がなく、発光体チップ275を回路基板上に配列する工程を簡便化できる。距離W37は、前記間隔W21程度に選ばれる。正確には、W37はW21からW35の2倍を差し引いた距離に選ばれる。こうすることで、発光体チップ275のつなぎ目も発光体チップ275内の発光素子Lと同じピッチ(光軸間距離)となる。
また発光体チップ275を配列して画像形成装置の露光装置として用いるときに、各発光体チップ275の発光素子Lを1列に並べることができるので、レンズアレイを介した感光体ドラムへの露光では、発光体チップ275ごとに光軸ズレが生じない。これによって複数の発光体チップ275の感光体ドラムへの露光特性を揃えることができるので、形成される画像の画質を向上させることができる。さらに、感光体ドラムを露光するときに配列方向に沿って、複数の発光体チップ275は同じラインのデータを読み込めばよいので、発光装置210に複数のラインデータを記憶するためのメモリ機能が必要なく、装置の構成を簡素化することができる。
発光体チップ組立体286は、電子写真方式の画像形成装置用の光プリンタヘッドなどのラインヘッドとしての露光装置に用いられる。発光体チップ組立体286の配列方向Xの幅W38は、画像形成装置287において形成する画像の幅によって決定される。
各発光体チップ275の信号伝送路接続部276は、外部信号伝送路であるボンディングワイヤによって、回路基板の接続すべき部分に電気的に接続される。回路基板には、前述した駆動手段273が実装される。駆動手段273は、ボンディングワイヤを介して、各信号伝送路接続部276に信号を与える。駆動手段273を、発光体チップ275が実装される回路基板に設けることによって、駆動手段273から各発光素子L、各スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0までの信号伝送路の距離を短くして、駆動手段273から信号伝送路接続部276までの信号伝送路によって伝送される信号にノイズが重畳されてしまうことを抑制することができる。
本発明の発光装置210は、前述した画像形成装置87における発光装置10に代えて、露光装置として用いることができる。このような構成の画像形成装置では、露光装置として使用される発光装置210からバイアス光および漏れ光が発生しないので、高画質の画像を形成することができる。また発光サイリスタによるスイッチ素子Tおよび発光素子Lを集積化した発光装置210を露光装置に用いているので、このような露光装置は、安価に製造することができ、これによって画像形成装置の製造コストを低減することができる。
以上のように発光装置210では、スイッチ素子Tの発光部Tsが発光すると、この発光部Tsの光は、発光した発光部Tsを有するスイッチ素子Tの配列方向Xに隣接するスイッチ素子Tに照射される。各スイッチ素子Tの受光部Trは、同じスイッチ素子Tが有する発光部Tsから到来する光を遮光するので、発光した発光部Tsを有するスイッチ素子Tの配列方向の一方側および他方側に隣接するスイッチ素子Tに照射される光量には、明確な差異が生じる。
発光した発光部Tsを有するスイッチ素子Tの配列方向Xの他方側に隣接するスイッチ素子Tの、発光部Tsに臨む受光部Trでは、受光によってゲート228にトリガ信号を発生し、このトリガ信号が接続部Tcを介して、このトリガ信号を発生した受光部Trを有するスイッチ素子Tの発光部Tsのゲート227に与えられる。ゲート227にトリガ信号が与えられると、発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流が低下する。
発光した発光部Tsを有するスイッチ素子Tの配列方向Xの一方側に隣接するスイッチ素子Tでは、発光した発光部Tsの光が、この発光した発光部Tsを有するスイッチ素子Tの受光部Trによって遮光されるので、照射される光量は小さくなり、発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流は、発光した発光部Tsを有するスイッチ素子Tに隣接していても、ほとんど低下しない。
しきい電圧またはしきい電流が低下した発光部Tsに、この発光部Tsが接続された走査信号伝送路215によって伝送される走査信号φが与えられることによって、発光部Tsは発光する。第1および第2走査信号伝送路215a,215bによって伝送される第1および第2走査信号φ1,φ2は、配列方向Xに隣接するスイッチ素子T毎に、異なるタイミングで与えられるので、隣接するスイッチ素子Tの受光部Trが受光することによって、しきい電圧またはしきい電流が低下した発光部Tsを有するスイッチ素子Tに、走査信号を与えることができ、これによってスイッチ素子Tの発光部Tsを配列方向Xの一方から他方に順番に発光させて、配列方向Xの一方から他方へと光走査して、配列されたスイッチ素子Tに順番にスイッチ動作を行わせることができる。
発光している発光部Tsを有するスイッチ素子Tの配列方向Xの一方側および他方側に隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsが、同じ走査信号伝送路215に接続されていても、前述したように、発光している発光部Tsを有するスイッチ素子Tの配列方向Xの他方側に隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流を、配列方向の一方側に隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流よりも大きく低下させることができるので、これによって発光している発光部Tsを有するスイッチ素子Tの配列方向Xの一方側および他方側に隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsに、同じ走査信号を与えたとしても、配列方向Xの他方側に隣接しているスイッチ素子Tの発光部Tsだけを選択的に発光させることができる。これによって走査信号伝送路215を可及的に少なく構成することができ、本実施の形態のように走査信号伝送路215を2本だけ設ける構成としても、配列方向Xの一方から他方へと、光走査することができる。各スイッチ素子Tの発光部Tsが発光すると、配列方向Xに隣接するスイッチ素子Tの受光部Tsのゲート228にはトリガ信号が発生し、光走査によって、配列方向Xに沿って各スイッチ素子Tがトリガ信号を順番に生成することができる。
各スイッチ素子Tは、隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsから発せられる光を受光部Trによって受光することによって、接続部Tcによって接続される発光部Tsしきい電圧またはしきい電流を低下させることができ、各スイッチ素子Tのゲート224に、転送方向指定のためのダイオードおよび電源との間に接続される負荷抵抗などを接続する必要がない。したがって装置の構造を複雑にすることなく、可及的に少ない信号伝送路によって、発光装置210を構成することができる。また従来の技術として前述した図33に示される発光装置2におけるスイッチ素子アレイの構成と比較して、装置の構造が簡素化されるので、製造工程を少なくすることができ、装置の生産性を向上させることができる。
これによって発光装置210の構造を複雑にすることなく、可及的に少ない信号伝送路によって、複数配列される発光素子Lのうち所定の発光素子Lのみを選択的に発光させることができる。
またP型半導体とN型半導体とが交互に積層される単純な構成で、前記スイッチ素子Tおよび前記発光素子Lならびにスタート用スイッチ素子T0を実現することによって、発光装置210の作製が容易である。スイッチ素子Tと発光素子Lとスタート用スイッチ素子T0とを基板231上に同一の製造プロセスによって形成することができ、発光装置210の製造工程を可及的に少なくすることができる。
さらに、同一の基板231上にスイッチ素子Tおよび発光素子Lならびにスタート用スイッチ素子T0が集積されて構成されるので、各素子を高密度に形成することができ、スイッチ素子アレイ213では配列方向Xに隣接するスイッチ素子T同士を密接させることができる。これによって各スイッチ素子Tは、隣接するスイッチ素子Tからの光を効率的に受光することができ、隣接するスイッチ素子Tの発光強度が小さい場合であっても、発光したスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流を低下させることができる。したがって、スイッチ素子Tを発光させるために必要な電力を小さくすることができ、より消費電力の小さな発光装置210を実現することができる。また発光素子Lにおいても、配列方向に隣接する発光素子L同士を密接させることができるので、画像形成装置に用いて画像の解像度を向上させることができる。
また各スイッチ素子Tは、配列方向Xに沿って順番に発光するので、この光を遮光層218によって遮光し、発光素子Lが発する光に干渉しないようにすることによって、発光素子Lが発光しているときには、発光素子Lの光量が小さくなったり大きくなったりしてしまうことが防止され、安定した光量を得ることができる。また遮光層218によって、バイアス光が漏れることが防止されるので、発光装置210を用いた画像形成装置では、画像の品位を低下させることがなく、良好な品質の画像を形成することができる。
また絶縁層217は、各発光素子Lおよび各スイッチ素子Tと各走査信号伝送路215および発光信号伝送路212との間に設けられ、各発光素子Lおよび各スイッチ素子Tと各走査信号伝送路215および発光信号伝送路212が短絡してしまうことが防止される。
また発光装置210では、隣接するスイッチ素子Tからの光を受光したときのしきい電圧またはしきい電流を、隣接するスイッチ素子Tからの光を受光していない状態におけるしきい電圧またはしきい電流の80%程度まで下げることができれば、受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tを選択的に発光させることができるので、スイッチ素子Tが高い受光感度を有さなくても、スイッチ素子Tを配列方向に沿って、順番に発光させることができる。したがって、スイッチ素子Tの受光感度に影響されず、スイッチ素子Tの発光状態を、スイッチ素子Tの配列方向に沿って順番に遷移させることができ、光走査の信頼性が向上される。
図28は、本発明の第4の実施の形態の発光装置において駆動手段273がスタート信号伝送路216に与えるスタート信号φS、および走査信号伝送路215に与える第1および第2走査信号φ1,φ2発光信号伝送路212に与える発光信号φEと、発光素子L1の発光強度と、走査スタート用スイッチ素子T0およびスイッチ素子T1〜T4の発光強度とを示す波形図である。発光素子L1および走査スタート用スイッチ素子T0ならびにスイッチ素子T1〜T4の発光強度は、ハイ(H)レベルのとき発光していることを表し、ロー(L)レベルのとき発光していないことを表す。図28において、横軸は時間であって、基準時刻からの経過時間を表す。
本実施の形態の発光装置と、図17に示される前述の第3の実施の形態の発光装置210とは、装置の駆動方法が異なるのみ、すなわち駆動手段273から出力される各信号のタイミングが異なるのみであって、その他の構成は、発光装置210と同様であるので、同様な構成については説明を省略する。
またスタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEについて、縦軸は、信号レベルを表す。信号レベルは、電圧または電流の大きさを表し、スタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEがハイ(H)レベルのとき、高電圧または高電流が信号伝送路に供給され、スタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEがロー(L)レベルのとき、低電圧または低電流が信号伝送路に供給される。スタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEがLレベルのとき、伝送路に供給される電圧または電流は、各素子のしきい電圧またはしきい電流よりも小さい。電圧の場合では、ハイレベルは、たとえば3V〜10Vである。電圧の場合では、ローレベルは、たとえば0Vである。
本実施の形態では、Hレベルのときのスタート信号φS、第1およびφ2走査信号φ1,φ2および発光信号φEの電圧をたとえば5ボルト(V)とし、Lレベルのスタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2、および発光信号φEの電圧をたとえば0(零)ボルト(V)とする。第1および第2走査信号φ1,φ2の波形は同じであって、それぞれ位相が異なる。
本実施の形態では、駆動手段273は、第1および第2走査信号φ1,φ2のハイレベルとなる部分が重ならないように第1および第2走査信号φ1,φ2を、走査信号伝送路215に与える。すなわち、第1走査信号φ1がハイレベルのとき、第2走査信号φ2は、ローレベルであり、第2走査信号φ2がハイレベルのとき、第1走査信号φ1は、ローレベルとなるように駆動手段273は第1および第2走査信号φ1,φ2を出力する。
以後、本実施の形態における駆動手段273の動作について説明する。まず時刻t0で、駆動手段273は、スタート信号φS、第1および第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEをローレベルとする。スタート信号φSをローレベルにしておくことによって、走査スタート用スイッチ素子T0は発光しない。駆動手段273は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをローレベルからハイレベルにすると、次に信号レベルをハイレベルからローレベルにするまで、信号レベルをハイレベルとなるように維持する。また駆動手段273は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをハイレベルからローレベルにすると、次に信号レベルをローレベルからハイレベルにするまで、信号レベルをローレベルとなるように維持する。
時刻t1で、駆動手段273は、スタート信号φSのみをローレベルからハイレベルに変化させる。これによって、走査スタート用スイッチ素子T0が、オン状態になり、すなわちターンオンし、発光する。スタート信号φSのハイレベルの信号は、走査スタート用スイッチ素子T0のしきい電圧またはしきい電流よりも大きい電圧または電流である。
走査スタート用スイッチ素子T0の光は、隣接するスイッチ素子アレイ213の配列方向Xの端部に配置されるスイッチ素子T1の受光部Tr1に最も強く入射する。スイッチ素子アレイ213の他のスイッチ素子Tでは、配列方向Xに走査スタート用スイッチ素子T0から離間した位置に配置されるスイッチ素子Tほど、走査スタート用スイッチ素子T0から照射される光の強度が小さくなる。スイッチ素子Tの受光部Tr1では、受光すると光励起によって各半導体層に、受光強度に応じたキャリアが生成される。受光部Tsのゲート228、発光部Tsのゲート227および接続部Tcは、ともに第2の一方導電型半導体層244によって一体的に形成されているので、受光部Trにおいて光励起によって、受光部のゲート228にトリガ信号としてのキャリアが生成されると、このトリガ信号は、接続部Tcを介して発光部のゲート227に与えられ、発光部Tsにおいてもキャリアが生成される。キャリアの生成によって、第2の一方導電型半導体層244に蓄積される電子が、第2の一方導電型半導体層244のフェルミ準位を下げ、これによって第1の他方導電型半導体層243と第2の一方導電型半導体層244との接合部分において、なだれ現象が発生しやすくなり、発光部Tsにおけるしきい電圧またはしきい電流を低下させることができる
このため、スイッチ素子Tの受光部Trが、光を受光することによってこの受光した受光部Trと接続部Tcによって接続される発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流が低下し、また受光部Trによって受光する光強度が大きくなるほど、この受光した受光部Trと接続部Tcによって接続される発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流の降下が大きくなるという特性を有する。
次にスイッチ素子T0からスイッチ素子T1への発光状態の転送について説明する。スイッチ素子T0が発光すると、この光をスイッチ素子T1の受光部Tr1が受光し、前述したようにスイッチ素子T1の発光部Ts1のしきい電圧が低下する。
時刻t1経過した後、時刻t2においてスイッチ素子T1の発光部Ts1のしきい電圧はVTH(T1)となっている。第1走査信号伝送路215aには、スイッチ素子T1,T3,…,Tj−1が接続されているが、スイッチ素子T3,…,Tj−1は、走査スタート用スイッチ素子T0から十分に離れているので、走査スタート用スイッチ素子T0からの光を受光することによって、その発光部Tsしきい電圧は、ほとんど変化しない。
時刻t2において、スタート信号φSをハイレベルからローレベルにする。これによって時刻t2で、走査スタート用スイッチ素子T0がオフ状態となり、すなわちターンオフし、消灯する。
時刻t2が経過した後、時刻t3で、駆動手段273は、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにする。走査スタート用スイッチ素子T0は消灯しているが、スイッチ素子T1では、受光部Trが受光することによって低下した発光部Tsのしきい電圧は、時刻t2から時刻の経過とともに徐々に上昇する。発光状態の発光部Tsを有するスイッチ素子Tの配列方向Xの他方に隣接するスイッチ素子Tでは、受光部Trが受光することによって、発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流が低下し、発光状態の発光部Tsを有するスイッチ素子Tの前記発光部Tsが発光状態から非発光状態となると、隣接するスイッチ素子Tの受光部Trでは、受光しないので低下した発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流が、徐々に上昇する。時刻t2から時刻t3までの予め定める時間を、発光状態にあったスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流が上昇し、同じ走査信号伝送路215に接続される他のスイッチ素子Tの発光部Tsのしきい電圧またはしきい電流の最低値と等しくなる時刻までの時間よりも短く選ぶことによって、この受光によってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tの発光部Tsに、走査信号φを与えて発光させることができる。
第1走査信号φ1のハイレベルは、前述の実施の形態と同様に、第1走査信号伝送路215aに接続されるスイッチ素子T1を除く他のスイッチ素子T3,…,Tj−1のしきい電圧またはしきい電流うちの最低値よりも、高い電圧または高い電流に選ばれる。
これによって、時刻t3で、スイッチ素子T1の発光部Ts1がオン状態となり、すなわちターンオンし、発光する。
このようにして、走査スタート用スイッチ素子T0から、スイッチ素子T1へと発光状態が遷移する。
スイッチ素子T1の発光部Ts1は、時刻t3においてオン状態となると、ハイレベルとされた走査信号φがローレベルになるまでは、オン状態を維持する。オン状態となると、スイッチ素子T1のゲート224の電圧は、ほぼ0(零)ボルト(V)になる。ここで前記ゲート224の電圧とは、ゲート224と接地される裏面電極236との電位差である。スイッチ素子T1のゲート224は、発光素子L1のゲート219に接続されているので、スイッチ素子T1のゲート224の電圧は、発光素子L1のゲート219の電圧と等しくなる。このようにスイッチ素子T1は、発光素子L1のゲート219と裏面電極236とに印加される電圧を変化させる。
発光素子L1を発光させる場合、駆動手段273は、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにした時刻t3が経過した後、時刻t4で、発光信号φEをローレベルからハイレベルにする。
発光素子L1は、スイッチ素子T1の発光部Ts1がオン状態であるので、前述したように発光素子L1のゲート219はほぼ0(零)ボルト(V)となる。このときスイッチ素子T2,…,Tj−1,Tjは、オフ状態であり、時刻t4における発光素子L1のしきい電圧をVTH(L1)とし、時刻t4における発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧をそれぞれVTH(L2),…,VTH(Li−1),VTH(Li)とすると、発光信号φEのハイレベルVを、発光素子L1のしきい電圧よりも大きく、発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧のうち、最低値のものよりも小さい値に選ぶことによって、発光素子L1のみを選択的にオン状態として、発光させることができる。
時刻t5において、駆動手段273が発光信号φEをローレベルにすると、発光素子L1は、オフ状態となり、消灯する。感光体ドラムへの露光量は、発光素子L1の発光強度は一定として、発光素子L1の発光する時間によって調整される。すなわち、発光信号φEがハイレベルとなる時刻t4から時刻t5までの間の時間を決定することによって、露光量が決定される。発光素子L1の発光強度によって露光量を変更する場合、発光素子L1に与える電圧または電流を細かく制御する必要があるので困難であるが、発光時間によって露光量を変更することによって、発光信号φEがハイレベルとなる時間を調整するだけでよいので、露光量の制御がしやすく、また定電圧または定電流が発光素子Lに与えられるので、発光素子L1を安定して発光させることができる。発光素子Lが発光する時間、言い換れば発光信号φEがハイレベルとなる時間は、走査信号φがハイレベルとなる時間の80%以下に選ばれる。
時刻t5が経過した後、駆動手段273は、時刻t6で第1走査信号φ1をローレベルにすると、スイッチ素子T1の発光部Ts1が消灯し、時刻t6が経過した後、時刻t7で、第2走査信号φ2をハイレベルにすると、スイッチ素子T2が点灯する。これによって、スイッチ素子T1からスイッチ素子T2へと発光状態が移る。
時刻t7が経過した後、駆動手段273は、時刻t8で第2走査信号φ2をローレベルにすると、スイッチ素子T2の発光部Ts2が消灯し、時刻t8が経過した後、時刻t9で、第1走査信号φ1をハイレベルにすると、スイッチ素子T3の発光部Ts3が点灯する。これによって、スイッチ素子T2からスイッチ素子T3へと発光状態が移る。
時刻t9が経過した後、駆動手段273は、時刻t10で再び第1走査信号φ1をローレベルにすると、スイッチ素子T3が消灯する。
第1および第2走査信号φ1,φ2がハイレベルとなる時間は、たとえば1μ秒に選ばれる。
時刻t6と時刻t7との間の時間、および時刻t8と時刻t9との間の時間は、前述した時刻t2と時刻t3との間の時間と等しく選ばれ、たとえば0.1μ秒〜1μ秒程度に選ばれる。
このように駆動手段273が、第1および第2走査信号φ1,φ2を繰り返して与えることによって、スイッチ素子T4,…,Tj−1,Tjにおいても、オン状態が配列方向Xに沿って順次転送される。スイッチ素子Tの発光部Tsが発光しているとき、発光信号伝送路12の発光信号φEをローレベルからハイレベルにすることによって、この発光しているスイッチ素子Tに対応する、すなわち発光しているスイッチ素子Tに接続されている発光素子Lのみを選択的に発光させることができる。
図29は、本発明の第5の実施の形態の発光装置410の基本的構成を示す一部の等価回路示す回路図である。本発明の他の実施の形態の発光装置410では、前述した第1の実施の形態の発光装置10において、発光素子Lとスイッチ素子Tとを、接続手段14によって電気的に接続するのではなく、光学的に接続した構成を有する。その他の構成は、発光装置10と同様であるので、同様の構成には同様の参照符号を付して、その説明を省略する。発光装置410では、幅方向Yにおいて発光素子Lに、この発光素子Lに対応するスイッチ素子Tを臨ませて配置し、スイッチ素子Tが発光したときに対応する発光素子Lにスイッチ素子Tからの光が照射されるように、発光素子Lおよびスイッチ素子Tが配列される。発光素子Lは、スイッチ素子Tと同じ構造であり、同じ半導体材料によって構成されるので、受光によってしきい電圧、またはしきい電流が低下させることができる。このためスイッチ素子Tを配列方向に順番に発光させて、スイッチ素子Tに対応する発光素子Lに光を照射することによって、前述の実施の形態と同様に、各発光素子Lのしきい電圧またはしきい電流を配列方向に沿って順番に低下させることができ、前述した発光信号φEを与えることによって、発光素子Lを選択的に発光させることができる。したがって、このような構成であっても、発光装置10と同様の効果を達成することができる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、前記駆動手段73,237が出力する走査信号φのハイレベルは、隣接するスイッチ素子Tからの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tが接続される走査信号伝送路15,215に接続される他のスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流の平均値よりも高い電圧または電流に選ばれる。隣接するスイッチ素子Tからの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tが接続される前記走査信号伝送路15,215に、この走査信号伝送路15,215に接続される他のスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流の平均値よりも高い電圧または電流の走査信号φを与えると、走査信号φは抵抗素子Rφを介して、走査信号伝送路15,215に与えられ、スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が与えられる。各スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が徐々に印加されることとなり、同じ走査信号伝送路15,215に接続される複数のスイッチ素子Tのうち、隣接しているスイッチ素子Tからの光を受光したスイッチ素子Tに与えられる電圧または電流が、最も早くこのスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流よりも大きくなる。これによって、しきい電圧またはしきい電流が最も低いスイッチ素子Tのみが発光し、他のスイッチ素子Tは、発光しない。
さらに本発明の他の実施の形態では、図30に示される発光装置1の発光サイリスタTによって構成される発光サイリスタアレイを、駆動手段73によって駆動する構成であってもよい。この場合、駆動手段73によって、第1走査信号φ1を転送クロックラインCL1に与え、第2走査信号φ2を転送クロックラインCL2に与え、第3走査信号φを転送クロックラインCL3にそれぞれ与える。走査信号φ1は、発光サイリスタT0を発光させるときにだけハイレベルにすればよい。
さらに本発明の他の実施の形態では、前述の各実施の形態の発光装置において、発光素子Lと、スイッチ素子Tとは、前述した図33に示される発光装置1において発光サイリスタLと、スイッチサイリスタTとが接続されるように接続されてもよい。つまり走査スタート用スイッチ素子T0のゲート26,226は、スタート信号伝送路16,216に接続され、各スイッチ素子Tのゲート24,224および走査スタート用スイッチ素子T0のゲート26,226は、負荷抵抗Rを介して制御用電源VGKに接続され、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0の表面電極25,225には、2本の走査信号伝送路φが、配列されるスイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0に1つおきに接続される。またスイッチ素子Tのゲート24,224と走査スタート用スイッチ素子T0のゲート26,226とが、転送方向指定ダイオードDを介して接続され、スイッチ素子Tnのゲート24,224と、スイッチ素子Tn−1のゲート24,224とが、転送方向指定ダイオードDを介して接続され、隣接するスイッチ素子Tのゲート24,224および走査スタート用スイッチ素子T0のゲート26,226は、転送方向指定ダイオードDを介して接続される。転送方向指定ダイオードDは、アノードが走査方向下流側のスイッチ素子Tのゲート24,224と接続される。発光素子Lのアノードは、発光信号伝送路12,212に接続され、カソードは、接地される。このような構成であっても、同様の効果を達成することができる。
図32に示される発光装置2のスイッチサイリスタアレイを、駆動手段73によって駆動する構成であってもよい。この場合、駆動手段273によって、第1走査信号φ1を転送クロックラインCL1に与え、第2走査信号φ2を転送クロックラインCL2に与え、スタート信号φSを第1信号入力ラインSに与え、発光信号φEを第2信号入力ラインEに与えればよい。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、基板31,231と発光素子Lの第1の一方導電型半導体層32,232との間、基板31,231とスイッチ素子Tの第1の一方導電型半導体層42,242との間、基板31,231と走査スタート用スイッチ素子T0の第1の一方導電型半導体層62,262との間に、第1の一方導電型半導体から成るバッファ層を設ける構成としてもよい。このような構成とすることによって、基板31,231上により結晶性の向上された半導体層を形成することができ、発光素子Lおよびスイッチ素子Tならびに走査スタート用スイッチ素子T0の特性をより均一にすることができる。
このバッファ層、もしくは第1の一方導電型半導体層42,242のシート抵抗を、第2の一方導電型半導体層44,242よりも小さくすることによって、スイッチ素子Tの基板31,231と垂直方向に流れる電流を走査信号伝送路15,215の接続された表面電極25,225が存在する領域に集中することができるため、発光効率を高められる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、基板231として、絶縁性を有する基板または半絶縁性を有する基板を用いてもよい。前記基板は、たとえば半絶縁性のガリウム砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、サファイアなどによって形成される。このような基板を用いる場合には、前述した裏面電極36,236を基板31,231の厚み方向Zの他表面に形成しないで、発光素子Lの第1の一方導電型半導体層32,232、スイッチ素子Tの第1の一方導電型半導体層42,242、走査スタート用スイッチ素子T0の第1の一方導電型半導体層62,262に、カソード電極を形成する。このような構成であっても、同様な効果を達成することができる。
本発明のさらに他の実施の形態の発光装置では、前述した各実施の形態の発光装置において、発光信号伝送路12,212と発光素子遮光部23,223とを一体に形成してもよい。この場合、発光素子遮光部23,223と、基板31,231とが接触しないように、発光素子遮光部23,223が形成される溝部23,223の底部を絶縁層17,17の一部によって形成することによって、発光信号伝送路12,212と基板31,231との短絡を防止する。発光素子遮光部23,223は、厚み方向Zにおいて、オーミックコンタクト層37,237から第2の一方導電型半導体層34,234と、第2の他方導電型半導体層35,235とによって形成される発光部よりも基板31,231側まで延びるように形成されれば、同様の効果を達成することができる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、発光素子Lのオーミックコンタクト層37,237に積層して、発光信号伝送路12,212とともにアノード端子として機能する金属層を形成してもよい。このような構成とすると、発光素子Lの各半導体層への電界を均一化することができ、発光素子Lから放射される光の発光強度を増加させることができる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、遮光層18,218を、スイッチ素子Tが発する波長の光の反射率が高く、絶縁層17,217よりも屈折率の低い材料によって形成してもよい。たとえば絶縁層17,217は、ポリイミドによって形成される。絶縁層17,217によって、光が吸収されるのではなく、光が反射されるので、スイッチ素子Tからの光が、スイッチ素子Tから厚み方向一方Z1に出射される光に干渉してしまうことを防止するだけでなく、隣接するスイッチ素子Tに入射される光量がより多くなるので、スイッチ素子Tの受光効率を高めることができる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、一方導電型をP型とし、他方導電型をN型としてもよい。一方導電型をP型とし他方導電型をN型としても、バイアス電圧の極性を、一方導電型をN型とし他方導電型とP型としたときとは反対とすることによって、前述の各実施の形態の発光装置と同様の効果を得ることができる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、前記駆動手段73,273が出力する発光信号φEのハイレベルの電圧または電流は、発光信号伝送路12,212に接続されるスイッチ素子Tによってトリガ信号が与えられた発光素子Lを除く他の発光素子Lのしきい電圧またはしきい電流うちの最低値よりも、高い電圧または高い電流に選ばれてもよい。発光信号伝送路12,212は、抵抗素子Rφを介して接続手段14,214に接続されており、トリガ信号が与えられることによってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光素子Lが接続される発光信号伝送路12,212に、この発光信号伝送路12,212に接続される他の発光素子Lのしきい電圧またはしきい電流の最低値よりも高い電圧または電流の発光信号φEを与えると、発光信号φEは、抵抗素子Rφを介して、発光信号伝送路12,212に与えられ、発光素子Lには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が与えられる。各発光素子Lには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が徐々に印加されることとなり、発光信号伝送路12,212に接続される複数の発光素子Lのうち、トリガ信号が与えられた発光素子Lに与えられる電圧または電流が、最も早くこの発光素子Lのしきい電圧またはしきい電流よりも大きくなる。これによって、しきい電圧またはしきい電流が最も低い発光素子Lのみが発光し、他の発光素子Lは、発光しない。このため駆動手段73,273による発光信号φEの制御が容易となる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、前記駆動手段73,273が出力する走査信号φのハイレベルは、隣接するスイッチ素子Tからの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tが接続される走査信号伝送路15,215に、この走査信号伝送路15,215に接続される他のスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流の平均値よりも高い電圧または電流に選ばれる。隣接するスイッチ素子Tからの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tが接続される前記走査信号伝送路15,215に、この走査信号伝送路15,215に接続される他のスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流の平均値よりも高い電圧または電流の走査信号φを与えると、走査信号φは抵抗素子Rφを介して、走査信号伝送路15,215に与えられ、スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が与えられる。各スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が徐々に印加されることとなり、同じ走査信号伝送路15,215に接続される複数のスイッチ素子Tのうち、隣接しているスイッチ素子Tからの光を受光したスイッチ素子Tに与えられる電圧または電流が、最も早くこのスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流よりも大きくなる。これによって、しきい電圧またはしきい電流が最も低いスイッチ素子Tのみが発光し、他のスイッチ素子Tは、発光しない。
駆動手段73,273が出力する走査信号φのハイレベルを前述のように前記平均値よりも高い電圧または電流にするので、しきい電圧またはしきい電流が低下したスイッチ素子Tに、より高電圧または高電流を与えて、オン状態に移行させることができ、光走査の速度を向上させることができる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、前記駆動手段73,273が出力する走査信号φのハイレベルは、走査信号伝送路15,215に接続される全てのスイッチ素子Tのしきい電圧またはしきい電流よりも高く選ばれてもよい。このような構成であっても、同様の効果を達成することができ、さらに駆動手段73,273によって走査信号φのハイレベルの電圧または電流を、スイッチ素子Tの変動するしきい電圧またはしきい電流に関係なく決定することができるので、駆動手段73,273の設計が容易となる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、駆動手段73,273を発光体チップ75,275が実装される回路基板に設けるのではなく、画像形成装置本体の制御手段96が設けられる回路基板などに設ける構成としてもよい。駆動手段73を発光体チップ75,275が設けられる回路基板とは異なる場所に設けることによって、発光体チップ75,275が設けられる回路基板をより小型化することができ、感光体ドラム90の周囲において配置しやすくなる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態の発光装置において、スイッチ素子Tに複数の発光素子Lを対応させてもよい。すなわち、1つのスイッチ素子Tのゲート24,224または1つのスイッチ素子Tの発光部Tsのゲート28,228と、複数の発光素子Lのゲート19,219とを接続してもよい。このような構成とすることによって、複数の発光素子Lを同時に発光させることができる。
本発明のさらに他の実施の形態では、前述の各実施の形態の発光装置において、各半導体層は、それぞれが多層に形成されてもよい。たとえば、第1の一方導電型半導体層は、一方導電型の半導体層が、複数積層されて構成されてもよく、第1の他方導電型半導体層は、他方導電型の半導体層が、複数積層されて構成されてもよく、第2の一方導電型半導体層は、一方導電型の半導体層が、複数積層されて構成されてもよく、第2の他方導電型半導体層は、他方導電型の半導体層が、複数積層されて構成されてもよい。
なお、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
本発明の第1の実施の一形態の発光装置10の基本的構成を示す一部の平面図である。 図1の切断面線A1−A1から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。 図1の切断面線A2−A2から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。 図1の切断面線A3−A3から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。 図1の切断面線A4−A4から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。 発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0の、アノード電圧とアノード電流との関係である順方向電圧−電流特性を示すグラフである。 図1に示される発光装置10の基本的構成を示す一部の等価回路を示す回路図である。 駆動手段73が、スタート信号伝送路16に与えるスタート信号φS、第1走査信号伝送路15aに与える第1走査信号φ1、第2走査信号伝送路15bに与える第2走査信号φ2、第3走査信号伝送路15に与える第3走査信号φ3および発光信号伝送路12に与える発光信号φEと、発光素子L1の発光強度と、走査スタート用スイッチ素子T0およびスイッチ素子T1〜T4の発光強度とを示す波形図である。 第1走査信号伝送路15aに接続されるスイッチ素子T1,T4,T7のしきい電圧の変化を表す波形図である。 スイッチ素子Tの順方向電圧−電流特性と、各走査信号伝送路15に供給される第1〜第3走査信号φ1〜φ3のハイレベルの電圧Vの範囲とを示すグラフである。 図1の発光装置10を構成する発光体チップ75の構成を示す平面図である。 発光体チップ75を複数有する発光体チップ組立体86の基本的構成を示す一部の平面図である。 発光装置10を有する画像形成装置87の基本的構成を示す側面図である。 本発明の第2の実施の形態の発光装置において駆動手段73がスタート信号伝送路16に与えるスタート信号φS、および走査信号伝送路15に与える第1〜第3走査信号φ1〜φ3、発光信号伝送路12に与える発光信号φEと、発光素子L1の発光強度と、走査スタート用スイッチ素子T0およびスイッチ素子T1〜T4の発光強度とを示す波形図である。 第1および第2走査信号伝送路15a,15bに第1および第2走査信号φ1,φ2をそれぞれ与えたときに、隣接する2つのスイッチ素子Tに与えられる電圧を測定した実験結果を示す波形図である。 第1および第2走査信号伝送路15a,15bに第1および第2走査信号φ1,φ2をそれぞれ与えたときに、隣接する2つのスイッチ素子Tに与えられる電圧を測定した実験結果を示す波形図である。 本発明の第3の実施の形態の発光装置210の基本的構成を示す一部の平面図である。 図17の切断面線B1−B1から見た発光装置210の基本的構成を示す一部の断面図である。 図17の切断面線B2−B2から見た発光装置210の基本的構成を示す一部の断面図である。 図17の切断面線B3−B3から見た発光装置210の基本的構成を示す一部の断面図である。
図17の切断面線B4−B4から見た発光装置210の基本的構成を示す一部の断面図である。 図17に示される発光装置210の基本的構成を示す一部の等価回路を示す回路図である。 駆動手段273が、スタート信号伝送路216に与えるスタート信号φS、第1走査信号伝送路215aに与える第1走査信号φ1、第2走査信号伝送路15bに与える第2走査信号φ2、および発光信号伝送路212に与える発光信号φEと、発光素子L1の発光強度と、走査スタート用スイッチ素子T0およびスイッチ素子T1〜T4の発光強度とを示す波形図である。 第1走査信号伝送路215aに接続されるスイッチ素子T1,T3,T5のしきい電圧の変化を表す波形図である。 スイッチ素子Tの発光部Tsの順方向電圧−電流特性と、各走査信号伝送路15に供給される第1および第2走査信号φ1,φ2のハイレベルの電圧Vの範囲とを示すグラフである。 発光装置210を構成する発光体チップ275の構成を示す概略的に示す平面図である。 発光体チップ275を複数有する発光体チップ組立体286の基本的構成を示す一部の平面図である。 本発明の第4の実施の形態の発光装置において駆動手段273がスタート信号伝送路216に与えるスタート信号φS、および走査信号伝送路215に与える第1および第2走査信号φ1,φ2発光信号伝送路212に与える発光信号φEと、発光素子L1の発光強度と、走査スタート用スイッチ素子T0およびスイッチ素子T1〜T4の発光強度とを示す波形図である。 本発明の第5の実施の形態の発光装置410の基本的構成を示す一部の等価回路を示す回路図である。 自己走査機能を有する第1の従来の技術の発光装置1の基本構造の模式図である。 発光装置1の動作を説明するための波形図である。 発光サイリスタのアノード端子−カソード端子間の順方向電圧−電流特性を模式的に示す線図である。 自己走査機能を有する第2の従来の技術の発光装置2の基本構造の概略的な回路構成を示す回路図である。 発光装置2の動作を説明するための波形図である。
符号の説明
10,210,410 発光装置
11,211 発光素子アレイ
12,212 発光信号伝送路
13,213 スイッチ素子アレイ
14,214 接続手段
15,215 走査信号伝送路
16,216 スタート信号伝送路
17,217 絶縁層
18,218 遮光層
L 発光素子
T スイッチ素子
T0 走査スタート用スイッチ素子
Ts 発光部
Tr 受光部
Tc 接続部

Claims (5)

  1. 受光によって走査信号の電圧または電流よりもしきい電圧またはしきい電流が低下し、かつ前記走査信号が与えられたとき発光する発光スイッチ素子を複数有し、複数の前記発光スイッチ素子が隣接する発光スイッチ素子からの光を受光するように相互に間隔をあけて配列された発光スイッチ素子アレイと、
    各発光スイッチ素子に接続され、配列方向に隣接する発光スイッチ素子毎に、異なるタイミングで与えられる前記走査信号を伝送する複数の走査信号伝送路と、
    各走査信号伝送路に各発光スイッチ素子と直列となるように接続される抵抗素子とを含む光走査装置の駆動方法であって、
    隣接する発光スイッチ素子からの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子が接続される前記走査信号伝送路に、この走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の最低値よりも高い電圧または電流の走査信号を与えることを特徴とする光走査装置の駆動方法。
  2. 隣接する前記発光スイッチ素子からの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下した前記発光スイッチ素子が接続される前記走査信号伝送路に、この走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の平均値よりも高い電圧または電流の走査信号を与えることを特徴とする請求項1記載の光走査装置の駆動方法。
  3. 発光状態の前記発光スイッチ素子が接続された前記走査信号伝送路への電圧または電流の供給を停止した後、予め定める時間をあけて発光状態にあった前記発光スイッチ素子の配列方向に隣接する前記発光スイッチ素子が接続された前記走査信号伝送路への電圧または電流の供給を開始することを特徴とする請求項1または2記載の光走査装置の駆動方法。
  4. 前記予め定める時間は、発光状態の前記発光スイッチ素子が接続された前記走査信号伝送路への電圧または電流の供給を停止した時刻から、発光状態にあった前記発光スイッチ素子に隣接する前記発光スイッチ素子の低下したしきい電圧またはしきい電流が、この発光スイッチ素子と同じ前記走査信号伝送路に接続された他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の最低値と等しくなる時刻に達するまでの時間よりも短く選ばれることを特徴とする請求項3記載の発光走査装置の駆動方法。
  5. 受光によって走査信号の電圧または電流よりもしきい電圧またはしきい電流が低下し、かつ前記走査信号が与えられたとき発光する発光スイッチ素子を複数有し、複数の前記発光スイッチ素子が隣接する発光スイッチ素子からの光を受光するように相互に間隔をあけて配列された発光スイッチ素子アレイと、
    各発光スイッチ素子に接続され、配列方向一方側に隣接する発光スイッチ素子とは、異なるタイミングで各発光スイッチ素子に伝送する前記走査信号が与えられる複数の走査信号伝送路と、
    前記各走査信号伝送路に各発光スイッチ素子と直列となるように接続される抵抗素子と、
    隣接する発光スイッチ素子からの光を受光することによってしきい電圧またはしきい電流が低下した発光スイッチ素子が接続される前記走査信号伝送路に、この走査信号伝送路に接続される他の発光スイッチ素子のしきい電圧またはしきい電流の最低値よりも高い電圧または電流の走査信号を供給する駆動手段とを含むことを特徴とする光走査装置。
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