JP4703969B2 - 被覆血管内器具の改造型送達システム - Google Patents

被覆血管内器具の改造型送達システム Download PDF

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Description

本発明は、血管疾患の予防及び治療のための薬剤/組合せ薬剤の局所投与に関し、特に、損傷によって引き起こされる血管疾患の予防及び治療のための薬剤/組合せ薬剤の局所到達のための管内医用器具並びに薬剤/組合せ薬剤を管内医用器具に付着状態に維持すると共に医用器具の損傷を阻止する方法及び器具に関する。本発明は又、疾患を阻止し、生体に対する医用器具の導入に対する生体の反応を最小限に抑え又は実質的に無くす薬剤、治療薬又は製剤を付着させた医用器具に関し、かかる医用器具としては、ステント、グラフト、吻合器具、血管周囲ラップ、縫合糸及びステープルが挙げられる。加うるに、薬剤、治療薬及び(又は)製剤は、治癒を促進するよう利用できる。
多くの人は、心臓及び他の主要な器官を灌流する血管の進行性閉塞により引き起こされる循環器系の疾患に苦しんでいる。かかる個人の血管の一層重症の閉塞は、高血圧症、虚血による障害、脳卒中又は心筋梗塞の原因となる場合が多い。冠動静脈の血液の流れを制限し又は遮断するアテローマ硬化病変部は、虚血による心臓病の主因である。経皮経管的冠動脈形成術は、動脈を通る血液の流れを増加させる目的を持つ医療手技である。経皮経管的冠動脈形成術は、冠動静脈の狭窄の主たる治療法である。この手技は、成功率が比較的高く、しかも冠動脈バイパス手術と比べて侵襲性が低いので利用が次第に増加している。経皮経管的冠動脈形成術に関連した欠点は、血管が手技直後に突然閉塞すること及び再狭窄が手技後次第に生じるということにある。加うるに、再狭窄は、伏在静脈バイパス移植手術を受けた患者の慢性的な問題である。急性閉塞のメカニズムは、幾つかの要因が係わっているようであり、血管反跳に起因する場合があり、その結果、動脈の閉塞及び(又は)新たに開いた血管の損傷した長さ部分に沿って血小板及びフィブリンが付着することになる。
経皮経管的冠動脈形成術後の再狭窄は、血管の損傷により開始される進行がゆるやかなプロセスである。血栓症、炎症、成長(増殖)因子及びサイトカイン放出、細胞増殖、細胞移動及び細胞外マトリックス合成を含む多くのプロセスがそれぞれ、再狭窄プロセスの一因となる。
再狭窄の正確なメカニズムは完全には解明されてはいないが、再狭窄プロセスの一般的な特徴は分かっている。通常の動脈壁内では、平滑筋細胞は、ゆっくりとした速度、即ち、1日当たり約0.1%以下の速度で増殖する。血管壁内の平滑筋細胞は、収縮器械で占められる細胞質体積の80〜90%を占めるという特徴をもつ収縮表現型で存在する。小胞体、ゴルジ及び自由リボソームは数が少なく、核周囲領域に存在している。細胞外マトリックスは、平滑筋細胞を取り囲んでおり、ヘパリン様グリコシルアミノグリカンが豊富であり、このグリコシルアミノグリカンは、平滑筋細胞を収縮表現状態に維持する働きを持つと考えられている(キャンベル・アンド・キャンベル(Campbell and Campbell)1985)。
形成術中に冠動脈内バルーンカテーテルの圧力による拡張時、血管壁内の平滑筋細胞は、損傷状態になり、血栓及び炎症反応を開始させる。細胞から取り出された成長因子、例えば、血小板から取り出された成長因子、基本線維芽細胞成長因子、表皮成長因子、血小板から放出され、又は平滑筋細胞から直接放出されたトロンビン等、侵入性マクロファージ及び(又は)白血球は、内側平滑筋細胞中に増殖及び移動反応を誘発させる。これら細胞は、収縮表現型から、ほんの僅かな数の収縮フィラメント束、大幅に粗い小胞体、ゴルジ及び自由リボソームを含むという特徴を持つ合成表現型への変化を生じる。増殖/移動は通常、損傷後一両日以内に始まり、その後数日でピークを迎える(キャンベル・アンド・キャンベル1987、クローズ・アンド・シュワルツ(Clowes and Schwarts)1985)。
娘細胞は、動脈平滑筋の内膜層まで移動し、そして増殖しながら相当な量の細胞外マトリックス蛋白質を分泌し続ける。増殖、移動及び細胞外マトリックス合成は、損傷を受けた内皮層が修復されるまで続き、この修復時点において、増殖は内膜内で通常は損傷後7日〜14日以内でゆっくりと進む。新たに形成された組織は、新内膜と呼ばれる。次の3ヶ月〜6ヶ月にわたって生じる血管のそれ以上の狭窄は、主として、負(negative)又は狭窄性のリモデリングに起因している。
局所狭窄及び移動と同時に、炎症性細胞が、血管損傷部位に付着する。損傷後3日〜7日以内に、炎症性細胞は、血管壁のより深い層まで移動する。バルーンによる損傷又はステント植込みを用いる動物モデルでは、炎症性細胞は、少なくとも30日間血管損傷部位のところに付着し続ける場合がある(タナカ(Tanaka)他1993、エデルマン(Edelman)他1998)。したがって、炎症性細胞が存在し、これが原因となって再狭窄の急性段階と慢性段階の両方が生じる場合がある。
非常に多くの治療薬が、再狭窄の際の推測される抗増殖作用があるかどうかについて吟味され、実験動物モデルにおいて或る程度の活性を示した。動物モデルにおいて内膜増殖の程度を首尾良く軽減することが判明した治療薬の幾つかとしては、ヘパリン及びヘパリンフラグメント(クローズ(Clowes)A.W.及びカーノブスキー(Karnovsky )M.の論文、「ネーチャー(Nature)265」:25−26、1977、ギュイトン(Guyton)J.R.他の論文、「サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.)46」:625−634、1980、クローズA.W.及びクローズ(Clowes)M.M.の論文、「ラボラトリー・インベスティゲーション(Lab. Invest.)52」:611−616、1985、クローズA.W.及びクローズM.M.の論文、「サーキュレーション・リサーチ58」:839−845、1986、マジェスキー(Majesky)他の論文、「サーキュレーション・リサーチ61」:296−300、1987、スノー(Snow)他の論文、「アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー(Am. J. Pathol.)137」:313−330、1990、オカダ(Okada )T.他の論文、「ニューロサージェリー(Neurosurgery)25」:92−98、1989)、コルヒチン(クーリエ(Currier )J.W.他の論文、「サーキュレーション(Circ. )80」:11−66、1989)、タクソール(ソロット(Sollot)S.J.他の論文、「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J. Clin. Invest.)95」:1869−1876、1995)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(パウエル(Powell)J.S.他の論文、「サイエンス(Science )245」:186−188、1989)、アンジオペプチン(ランダーガン(Lundergan)C.F.他の論文、「アメリカン・ジャーナル・オブ・カーディオロジー(Am. J. Cardiol.)17」(補遺B):132B−136B、1991)、シクロスポリンA(ジョナッソン(Jonasson)L.他の論文、「プロシーディング・ナショナル(Proc. Natl. );アカデミカル・サイエンス(Acad. Sci.)85」:2303、1988)、ヤギ−アンチ−ラビットPDGF抗体(ファーンズ(Ferns )G.A.A.他の論文、「サイエンス253」:1129−1132、1991)、テルビナフィン(ネメセック(Nemecek )G.M.他の論文、「ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・エクスペリメンタル・セラピー(J. Pharmacol. Exp. Thera. )248」:1167−1174、1989)、トラピジル(リュー(Liu )M.W.他の論文、「サーキュレーション81」:1089−1093、1990)、トラニラスト(フクヤマ(Fukuyama)J.他の論文、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur. J. Parmacol. )318」:327−332、1996)、インターフェロン−ガンマ(ハンソン(Hansson )G.K.及びホルム(Holm)J.の論文、「サーキュレーション84」:1266−1272、1991)、ラパマイシン(マークス(Marx)S.O.他の論文、「サーキュレーション・リサーチ76」:412−417、1995)、ステロイド(コルバーン(Colburn )M.D.他の論文、「ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー(J. Vasc. Surg.)15」:510−518、1992、これについてはバーク(Berk)B.C.他の論文、「ジャーナル・オブ・アメリカン・コル・カーディオロジー(J. Am. Coll. Cardiol. )、17:111B−117B、1991をも参照されたい)、電離放射線(ウエインバーガー(Weinberger)J.他の論文、「インターナショナル・ジャーナル・オブ・ラディオロジカル・オンコロジカル・バイオロジカル・フィジオロジー(Int. J. Rad. Onc. Biol. Phys. )36」:767−775、1996)、融合トキシン(ファーブ(Farb)A.他の論文、「サーキュレーション・リサーチ80」:542−550、1997)、アンチセンスオリジオヌクレオタイド(シモンズ(Simons)M.他の論文、「ネーチャー359」:67−70、1992)及び遺伝子ベクター(チャン(Chang )M.W.他の論文、「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション96」:2260−2268、1995)が挙げられる。実験管内における平滑筋細胞に対する抗増殖作用は、これら治療薬の多くについて示されており、かかる治療薬としては、ヘパリン、ヘパリン共役物質、タクソール、トラニラスト、コルヒチン、ACE阻害薬、融合トキシン、アンチセンスオリジオヌクレオタイド(オリゴヌクレオチド)、ラパマイシン、電離放射線が挙げられる。かくして、平滑筋細胞阻害の種々のメカニズムを呈する治療薬は、内膜増殖を軽減させるうえで治療上有用な場合がある。
しかしながら、動物モデルとは対照的に、全身性の薬理学的手段により再狭窄を防止する血管形成術対象の人間としての患者における試みはこれまで成功していない。アスピリン−ジピリダモール、チクロピジン、抗血液凝固剤治療、急性ヘパリン、慢性ワルファリン、ヒルジン、ヒルログ、トロンボキサン受容体拮抗、ステロイド、再狭窄、血小板抑制剤は何れも、血管形成術後における急性再狭窄を防止するのに効果が無かった(マック・アンド・トポル(Mak and Topol)1997、ラング(Lang)他1991、ポップマ(Popma)他1991)。血小板GPIIb /IIIa 受容体、拮抗薬、Reopro(登録商標)は、依然として研究中であり、Reopro(登録商標)は、血管形成術及びステント留置術の実施後における再狭窄の軽減に関して明白な結果を示さなかった。これ又再狭窄の防止に成功しなかった他の治療薬としては、カルシウムチャネル拮抗薬、プロスタサイクリンミメティック、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、セロトニン受容体拮抗薬、抗増殖剤が挙げられる。しかしながら、これら治療薬は全身性として与えられなければならないので、治療上有効な用量を達成することが可能でない場合があり、抗増殖(又は、抗再狭窄性)濃度は、これら治療薬の既知の毒性濃度を越えて平滑筋阻害を生じさせるのに十分なレベルには達しないようになる場合がある(マック・アンド・トポル1997、ラング他1991、ポップマ他1991)。
食用魚油サプルメント又はコレステロール低下剤を利用して再狭窄を防止する有効性を吟味する臨床上の試行が別途行われたが、血管形成術後の再狭窄を防止するのに臨床上役に立つ薬理学的治療薬が無いという競合する又は負の結果が得られた(マック・アンド・トポル1997、フランクリン・アンド・ファクソン(Franklin and Faxon)1993、セリュイズ(Serruys)P.W.他1993)。最近の観察結果の示唆するところによれば、抗脂質剤/酸化防止剤、プロブコールが再狭窄の防止に有効であるが、この作用は確認の必要がある(タリディフ(Tardif)他1997、ヨコイ(Yokoi)他1997)。プロブコールは、米国では現在のところ使用が認可されておらず、緊急血管形成術の際、30日間の治療前期間これを使用することができない。さらに、電離放射線の印加は、ステントを利用した場合の患者では血管形成術後の再狭窄を軽減し又は防止するうえでかなり期待できることを示した(テアステイン(Teirstein)他1997)。しかしながら、現在、再狭窄の最も有効な治療は、血管形成術、アテレクトミー又は冠動脈バイパス移植術を繰り返すことである。というのは、血管形成術後再狭窄の防止に使用できるものとして食品医薬品局によって認可されている治療薬が現在存在しないからである。
全身性の薬理学的療法とは異なり、ステントは、再狭窄をかなり軽減するのに有用であることが判明している。典型的には、ステントは、バルーンにより拡張可能なスロット付きの金属管(通常は、ステンレス鋼には限定されない)であり、これらは、血管形成術が施された冠動脈の管腔内で拡張されると、動脈壁に対するしっかりとした支承構造により構造的な支持体となる。この支持体は、血管管腔を開存状態に維持するのに役に立つ。2回の無作為に行われた臨床上の試行において、ステントは、最小管腔直径を増大させて再狭窄の6ヶ月発生率をゼロにしたわけではないが、減少させることにより、経皮経管的冠動脈形成術後における血管造影的成功を高くした(セリュイズ(Serruys)他1994、フィッシュマン(Fixchman)他1994)。
加うるに、ステントのヘパリン被膜は、ステント植込み後における亜急性の血栓症を減少させるという追加の利点を有するように思われる(セリュイズ他1996)。かくして、ステントによる狭窄冠動脈の機械的な拡張の持続は、再狭窄の防止の多少なりとも尺度となることが判明しており、ヘパリンによるステントの被覆は、薬剤を損傷した組織の部位のところに局所的に送るうえでの実行可能性と臨床上の有用性の両方を立証した。
上述のように、ヘパリンを被覆したステントを用いることは、局所薬剤投与の実行可能性及び臨床上の有用性を立証するが、特定の薬剤又は組合せ薬剤を局所送達器具に取り付ける方法は、この種の治療の効能に一役果たすことになる。例えば、薬剤/組合せ薬剤を局所送達器具に取り付けるのに用いられる方法及び材料は、薬剤/組合せ薬剤の作用を妨害してはならない。加うるに、利用される方法及び材料は、生体適合性があって、送達中及び所与の期間にわたって、薬剤/組合せ薬剤を局所送達器具に付着状態に維持するものでなければならない。例えば、局所送達器具の送達中に薬剤/組合せ薬剤の脱落は、潜在的に局所送達器具の破損を生じさせる恐れがある。
したがって、生物学的に誘発される内膜肥厚化、例えば、大動脈硬化、或いは、例えば経皮経管的冠動脈形成術により機械的に誘発される内膜肥厚化を生じさせる血管損傷部の防止及び治療のための薬剤/組合せ薬剤及び関連の局所送達器具が要望されている。加うるに、薬剤/組合せ薬剤を送達及び位置決め中、局所送達器具に付着状態に維持すると共に薬剤/組合せ薬剤が所与の期間にわたって治療に適した用量を放出されるようにすることが要望されている。
内膜肥厚化を引き起こす損傷部の防止及び治療のための種々のステント被膜及び製剤が提案された。被膜はそれ自体、ステントが損傷した管腔壁に与える刺激を減少させることができ、かくして、血栓症又は再狭窄への傾向を低下させるのがよい。変形例として、被膜は、平滑筋組織の増殖又は再狭窄を減少させる医薬品/治療薬又は薬剤を管腔に送達するものであってもよい。薬剤の送達のメカニズムは、バルクポリマー又はポリマー構造中に形成された細孔を通る薬剤の拡散又は生分解性被膜の浸食によるものである。
ステント用の被膜として生吸収性且つ生安定性の製剤が報告されている。これら製剤は一般に、医薬品/治療薬又は薬剤、例えば、ラパマイシン、タクソール等を包み込み又はかかる治療薬を表面、例えば、ヘパリン被覆ステントに結合するポリマー被膜であった。これら被膜は、多くの方法でステントに被着され、かかる方法としては、浸漬法、吹き付け法又はスピンコート法が挙げられるが、これらには限定されない。
ステント用被膜として報告された生安定性材料の一クラスは、ポリフルオロホモポリマーである。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ホモポリマーは、長年にわたってインプラントとして用いられている。これらホモポリマーは、ほどほどの温度ではどの溶剤中にでも溶解せず、したがって、局所送達器具の重要な構造的特徴(例えば、ステントのスロット)を維持しながら小形医用器具への被覆が困難である。
ポリビニリデンフルオリドホモポリマーから作られていて、医薬品/治療薬又は薬剤を放出のために含む被膜付きステントが提案された。しかしながら、大抵の結晶質ポリフルオロホモポリマーと同様、これら被膜は、これらにポリマーの融点に一致した比較的高い温度を加えないかぎり表面上に高品質のフィルムとして被着させるのは困難である。
米国特許第5,924,997号明細書 米国特許第6,245,026号明細書 キャンベル・アンド・キャンベル(Campbell and Campbell)1985 キャンベル・アンド・キャンベル(Campbell and Campbell)1987 クローズ・アンド・シュワルツ(Clowes and Schwarts)1985 タナカ(Tanaka)他1993 エデルマン(Edelman)他1998 クローズ(Clowes)A.W.及びカーノブスキー(Karnovsky)M.の論文、「ネーチャー(Nature)265」:25−26、1977 ギュイトン(Guyton)J.R.他の論文、「サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.)46」:625−634、1980 クローズA.W.及びクローズ(Clowes)M.M.の論文、「ラボラトリー・インベスティゲーション(Lab. Invest.)52」:611−616、1985 クローズA.W.及びクローズM.M.の論文、「サーキュレーション・リサーチ58」:839−845、1986 マジェスキー(Majesky)他の論文、「サーキュレーション・リサーチ61」:296−300、1987 スノー(Snow)他の論文、「アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー(Am. J. Pathol.)137」:313−330、1990 オカダ(Okada )T.他の論文、「ニューロサージェリー(Neurosurgery)25」:92−98、1989 クーリエ(Currier )J.W.他の論文、「サーキュレーション(Circ. )80」:11−66、1989 ソロット(Sollot)S.J.他の論文、「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J. Clin. Invest.)95」:1869−1876、1995 パウエル(Powell)J.S.他の論文、「サイエンス(Science)245」:186−188、1989 ランダーガン(Lundergan)C.F.他の論文、「アメリカン・ジャーナル・オブ・カーディオロジー(Am. J. Cardiol.)17」(補遺B):132B−136B、1991 ジョナッソン(Jonasson)L.他の論文、「プロシーディング・ナショナル(Proc. Natl. );アカデミカル・サイエンス(Acad. Sci.)85」:2303、1988 ファーンズ(Ferns )G.A.A.他の論文、「サイエンス253」:1129−1132、1991 ネメセック(Nemecek)G.M.他の論文、「ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・エクスペリメンタル・セラピー(J. Pharmacol. Exp. Thera. )248」:1167−1174、1989 リュー(Liu )M.W.他の論文、「サーキュレーション81」:1089−1093、1990 フクヤマ(Fukuyama)J.他の論文、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur. J. Parmacol.)318」:327−332、1996 ハンソン(Hansson)G.K.及びホルム(Holm)J.の論文、「サーキュレーション84」:1266−1272、1991 マークス(Marx)S.O.他の論文、「サーキュレーション・リサーチ76」:412−417、1995 コルバーン(Colburn )M.D.他の論文、「ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー(J. Vasc. Surg.)15」:510−518、1992 バーク(Berk)B.C.他の論文、「ジャーナル・オブ・アメリカン・コル・カーディオロジー(J. Am. Coll. Cardiol.)、17:111B−117B、1991 ウエインバーガー(Weinberger)J.他の論文、「インターナショナル・ジャーナル・オブ・ラディオロジカル・オンコロジカル・バイオロジカル・フィジオロジー(Int. J. Rad. Onc. Biol. Phys.)36」:767−775、1996 ファーブ(Farb)A.他の論文、「サーキュレーション・リサーチ80」:542−550、1997 シモンズ(Simons)M.他の論文、「ネーチャー359」:67−70、1992 チャン(Chang )M.W.他の論文、「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション96」:2260−2268、1995 マック・アンド・トポル(Mak and Topol)1997 ラング(Lang)他1991 ポップマ(Popma)他1991 マック・アンド・トポル1997 ラング他1991 ポップマ他1991 マック・アンド・トポル1997 フランクリン・アンド・ファクソン(Franklin and Faxon)1993 セリュイズ(Serruys)P.W.他1993 ターディフ(Tardif)他1997 ヨコイ(Yokoi )他1997 ティアステイン(Teirstein)他1997 セリュイズ(Serruys)他1994 フィッシュマン(Fischman)他1994 セリュイズ他1996
血栓症、再狭窄又は他の有害反応を軽減し、かかる作用を達成するのに医薬品又は治療薬、或いは薬剤を使用するが、それを使用しなければならないということはなく、かかる被覆(コーテッド)器具が比較的低い最高温度を受けても、かかる器具内で用いるのに有効な物理的及び機械的性質を備えた植込み可能な医用器具用の被膜を開発することが有利である。また、疾患を治療し、医用器具の植込みに対する生体の反応を最小限に抑え又は実質的に無くす種々の薬剤、治療薬及び(又は)製剤と組み合わせた状態の植込み可能な医用器具を開発すると有利である。場合によっては、創傷の治癒を促進する種々の薬剤、治療薬及び(又は)製剤と組み合わせた状態の植込み可能な医用器具を開発すると有利である。
また、被膜又は医用器具それ自体に悪影響を及ぼさないで被覆植え込み可能医用器具の送達を可能にする送達器械を開発すれば有利である。加うるに、かかる送達器械は、医用器具を標的領域に容易且つ正確に位置決めする手段を外科医に提供するはずである。
本発明の薬剤/組合せ薬剤による治療、薬剤/組合せ薬剤のキャリヤ及び関連の局所投与器具は、大まかに上述したように、現在利用されている方法及び器具と関連した課題を解決する手段となる。加うるに、薬剤/組合せ薬剤及び薬剤/組合せ薬剤用キャリヤを局所投与器具に取り付けた状態に維持する送達器械及び方法により、薬剤/組合せ薬剤による治療法が標的部位に到達するようになる。
本発明は、一特徴によれば、自己拡張型ステントの送達システムに関する。自己拡張型ステントの送達システムは、実質的に管状のシャフト及び実質的に管状のシースを有する。実質的に管状のシャフトは、近位端部、遠位端部、近位端部と遠位端部との間に延びるガイドワイヤルーメン及び遠位端部の近くに設けられていて、自己拡張型ステントが載せられるステントベッド領域を有する。ステントベッド領域は、シャフトに沿うステントの長手方向運動を阻止する模様付き表面を有する。実質的に管状のシースは、内容積部を備え、管状シャフト及びステント上に同軸状に取り付けられている。
本発明は、別の特徴によれば、被覆医用器具の送達システムに関する。被覆医用器具の送達システムは、実質的に管状のシャフト及び実質的に管状のシースを有する。実質的に管状のシャフトは、近位端部、遠位端部、近位端部と遠位端部との間に延びるガイドワイヤルーメン及び遠位端部の近くに設けられていて、被覆自己拡張型ステントが載せられるステントベッド領域を有する。ステントベッド領域は、シャフトに沿う被覆自己拡張型ステントの長手方向運動を阻止する模様付き表面を有する。実質的に管状のシースは、内容積部を備え、管状シャフト及び被覆自己拡張型ステント上に同軸状に取り付けられている。
本発明は、一特徴によれば、生物学的組織を生物学的組織に固定し、生物学的組織を合成材料に固定する医用器具に関する。この医用器具は、締結要素と、締結要素の少なくとも一部に放出可能に付着していて、締結要素の近くの生物学的組織中での新内膜過形成を阻止する治療用量のラパマイシンとを有する。
本発明の医用器具、薬剤被膜並びに薬剤被膜又はビークルを医用器具に付着させたままにする送達器械及び方法は、疾患及び医用器具を疾患又は他の症状の治療のために植え込むことに起因して生体により生じる反応結果を治療する物質の組合せを利用している。薬剤、治療薬又は製剤の局所投与は、一般に、効能を高めながら全身的に投与される手法と比較して、薬剤、治療薬又は製剤の潜在的な毒性を実質的に制限する。
薬剤、治療薬又は製剤を、種々の疾患の治療のために多くの医用器具に付着させることができる。また、薬剤、治療薬又は製剤を別の症状の治療に利用される医用器具の導入に対する生物学的な生体の反応を最小限に抑え又は実質的に無くすよう付着させることができる。例えば、ステントを導入して冠状動脈又は他の体内管腔、例えば胆管を開くことができる。これらステントの導入により、平滑筋細胞の増殖硬化及び炎症が生じる。したがって、これら反応を抑制する薬剤、治療薬又は製剤でステントを被覆するのがよい。或る特定のタイプの手術では決まって利用される吻合器具も又、平滑筋細胞の増殖硬化及び炎症を生じさせる場合がある。ステント−グラフト及びステント−グラフトを利用するシステム、例えば、動脈瘤バイパスシステムを、これら器具の導入による引き起こされる悪影響を阻止すると共に治癒及び組込みを促進する薬剤、治療薬又は製剤で被覆するのがよい。したがって、これら反応を抑制する薬剤、治療薬又は製剤でこれら器具を被覆するのがよい。加うるに、例えば動脈瘤バイパスシステムのような器具を、創傷による治癒を促進する薬剤、治療薬又は製剤で被覆し、それにより体内漏れ(endoleak)又は他のこれに類似した現象の発生の恐れを減少させる。
薬剤、治療薬又は製剤は、医用器具のタイプ、医用器具の導入に対する反応のタイプ及び(又は)治療が求められる疾患のタイプに応じて様々であろう。薬剤、治療薬又は製剤を医用器具に対して固定化するのに利用される被膜又はビークルの種類も又、多くの要因に応じて様々であり、かかる要因としては、医用器具の種類、薬剤、治療薬又は製剤の種類及びその放出速度が挙げられる。
薬剤、治療薬又は製剤は、効果的であるために、好ましくは送達及び植込み中、医用器具に付着したままでなければならない。したがって、薬剤、治療薬又は製剤相互間に強固な結合を生じさせる種々の被覆法を利用するのがよい。加うるに、表面改質手段として種々の物質を利用して薬剤、治療薬又は製剤が時期尚早に離脱するのを阻止するのがよい。
変形例として、被覆植え込み可能医用器具の送達器械は、被膜又は医用器具それ自体への損傷の潜在的な恐れを最小限に抑えるよう改造できる。例えば、自己拡張型ステントの配備又は展開と関連した摩擦力を減少させるためにステント送達器械に対し種々の改造を施すことができる。具体的に説明すると、送達器械は、種々の物質で被覆するのがよく、又は被覆ステントの特定の領域に作用する力を減少させる構造的特徴部を有してもよい。
本発明の自己拡張型ステント送達システムは、熱分解炭素又はこれに類似した物質の層で被覆されたシースを有する。熱分解炭素の層をステントの領域又はステントの長さ全体に沿ってシースの内側ルーメンに被着させるのがよい。熱分解炭素は、自己拡張型ステントがこれより軟質のポリマーシースにめり込むようになるのを阻止するほど十分硬い。加うるに、熱分解炭素は、減摩性材料である。これら2つの性質により、配備中におけるステントに対する損傷の恐れが減少し、ステント配備に必要な力が減少し、それにより外科医が配置を達成するのが容易になり、しかもより正確なステント配備が可能になる。
熱分解炭素をシースの内側ルーメン又は次にシースの内側ルーメンに取り付けられる基材に直接取り付けるのがよい。製造法において種々の公知の技術を利用することができる。熱分解炭素は、生体適合性があり、現在多くの植え込み可能な医用器具で利用されている。熱分解炭素層は、上述の構造的特徴部をもたらすのに十分厚く、しかも送達システムのプロフィール全体及び可撓性を維持するほど薄い。
熱分解炭素が減摩性であることは、薬剤被覆ステントに関し特に有利である。薬剤入り被膜及び薬剤、治療薬又は製剤を含有したポリマーは好ましくは、最善の結果が得られるようステントに付着したままであることが必要である。シースに施された減摩性被膜は、薬剤又はポリマーが送達中に擦れ落ちる恐れを実質的に減少させる。
本発明の自己拡張型ステント送達システムは、改造型シャフトを更に有するのがよい。改造型シャフトは、ステント要素相互間の間隙にシャフトから突き出た複数の要素を有するのがよい。これら要素は、ステントの圧縮を阻止し又は実質的に減少させることにより配備中にステントに作用する力を大幅に小さくすることができる。これら複数の要素が無ければ、ステントは、動いて、送達システムの内側シャフトに設けられたストップに当たって縮む場合がある。ステントの縮みにより、配備力が高くなる。したがって、複数の要素を有するシャフトは、ステントの長手方向運動を阻止し又は実質的に減少させ、それにより縮みを無くし又は実質的に減少させる。加うるに、突出要素は、ステントに加わる力全体を複数の要素に分布させてステント及びこれに施されたどの被膜にも加わる局所応力が小さくなるようにする。
上述したように、本発明の自己拡張型ステントの送達システムの構成によれば、ステントベッド領域がシャフトに沿う被覆自己拡張型ステントの長手方向運動を阻止する模様付き表面を有しているので、医用器具を標的領域に容易且つ正確に位置決めするできる。また、自己拡張型ステントの配備又は展開と関連した摩擦力を減少させるためにステント送達器械に対し種々の改造を施すことができ、例えば、本発明のシースを熱分解炭素又はこれに類似した物質の層で被覆することができ、熱分解炭素は、自己拡張型ステントがこれより軟質のポリマーシースにめり込むようになるのを阻止するほど十分硬く、しかも減摩性材料なので、配備中におけるステントに対する損傷の恐れが減少すると共にステント配備に必要な力が減少し、それにより外科医が配置を達成するのが容易になり、しかもより正確なステント配備が可能になる。また、熱分解炭素が減摩性であることは、薬剤被覆ステントに関し特に有利である。減摩性被膜をシースに施すことにより、薬剤又はポリマーが送達中に擦れ落ちる恐れが実質的に減少する。
本発明の上記特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付の図面に示す本発明の好ましい実施形態についての以下の具体的な説明から明らかになろう。
本発明の薬剤/組合せ薬剤及び投与又は送達器具を用いると、血管疾患、特に、損傷により引き起こされる血管疾患を効果的に防止すると共に治療することができる。血管疾患の治療に利用される種々の医用治療器具は最終的に、合併症を更に誘発する場合がある。例えば、バルーン血管形成術は、動脈を通る血液の流れを増加させるのに用いられる手技であり、冠動静脈の狭窄の主な治療法である。しかしながら、上述したように、この手技は、典型的には、血管壁に或る程度の損傷をもたらし、潜在的に、後の時点で問題を悪化させる。他の手技及び疾患はこれと同様な損傷を生じさせる場合があるが、本発明の例示の実施形態を経皮経管的冠動脈血管形成術及びこれに類似した他の動脈/静脈手技(かかる手技としては、動脈、静脈及び他の流体運搬導管の接合が挙げられる)に続く再狭窄及び関連の合併症の治療と関連して説明する。加うるに、被覆医用器具の効果的な送達のための種々の方法及び器械について説明する。
本発明の例示の実施形態を経皮経管的冠動脈血管形成術及びこれに類似した他の動脈/静脈手技に続く再狭窄及び関連の合併症の治療と関連して説明するが、薬剤/組合せ薬剤の局所投与を利用すると、多くの医用器具を利用して多種多様な症状を治療し、又は、器具の機能及び(又は)寿命を高めたり延ばすことができるということに注目することは重要である。例えば、白内障手術後の視力の回復のために配置される眼内レンズは、二次白内障の発生により性能が損なわれる場合が多い。後者は、レンズ表面上への細胞の過剰成長の結果としてである場合が多く、これは、一又は複数の薬剤と器具を組み合わせることにより潜在的に最小限に抑えることができる。医用器具内、医用器具上及び医用器具の周りでの組織内方成長又は蛋白質様物質の堆積に起因して故障する場合の多い他の医用器具、例えば、水頭症用のシャント、透析グラフト、結腸瘻バッグ取付け器具、耳ドレナージ管、ペースメーカ及び植込み可能な除細動器用のリード線も又、器具−薬剤の組合せ方式から利益を得る場合がある。組織又は器官の構造及び機能を向上させるのに役立つ器具も又、適当な一又は複数の治療薬と組み合わされると利点を奏する場合がある。例えば、植え込まれた器具の安定性を向上させる整形外科用器具の骨一体化の度合いの向上は、これと治療薬、例えば、骨−形態形成蛋白質と組み合わせることによって潜在的に達成できる。これと同様な他の外科用器具、縫合糸、ステープル、吻合器具、椎骨ディスク、骨ピン、縫合糸アンカー、止血用バリヤ、クランプ、スクリュー、プレート、クリップ、血管インプラント、組織接着剤及びシーラント、組織支承構造体、種々のタイプの包帯、骨代替物、管内器具、及び血管支持体も又、この薬剤−器具の組合せ方式を用いて患者の利益を向上させることができる。本質的に、任意のタイプの医用器具を器具又は薬剤の1回の使用にわたり治療を向上させる薬剤又は組合せ薬剤で或る仕方により被覆することができる。
種々の医用器具に加え、これら器具に被着される被膜は、治療薬及び薬剤を投与するのに用いることができ、かかる治療薬及び薬剤としては、抗増殖/抗有糸分裂剤(かかる抗増殖/抗有糸分裂剤は、天然の産物、例えば、ビンカアルカロイド類(即ち、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン)、パクリタキセル、エピジポドフィルロトキシン(即ち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン)、アントラシクリン、ミトザントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びマイトマイシン、酵素(L−アスパラギンを全身的に代謝し、それ自体のアスパラギンを合成する機能をもたない細胞を奪うL−アスパラギナーゼ)を含む)、抗血小板剤、例えば、G(GP)IIb III
a 抑制剤及びビトロネクチン受容体拮抗薬、抗増殖/抗有糸分裂アルキル化薬、例えば、窒素マスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、スルホン酸アルキル類ブスルファン、ニトロソ尿素類(カルムスチン(BCNU)及びアナログ、ストレプトゾシン)、トラゼン(trazenes)−ダカルバジン(DTIC)、抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗薬、例えば、葉酸アナログ(メトトレキサート)、ピリミジンアナログ(フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリンアナログ及び関連阻止剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2−クロロデオキシアデノシン{クラドリビン}、白金コーディネーション錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトーテン、アミノグルテチミド、ホルモン(即ち、エストロゲン)、抗血液凝固剤(例えば、ヘパリン、合成ヘパリン塩類及び他のトロンビン阻止剤)、フィブリン溶解剤(薬)(例えば、組織プラスミノゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキマブ、抗遊走薬(antimigratory)、抗分泌薬(ブレベルジン)、抗炎症薬、例えば、副腎皮質ステロイド(コルチソル、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン)、非ステロイド系薬(サリチル酸誘導体、即ち、アスピリン、パラアミノフェノール誘導体、即ち、アセトミノフェン、インドール及びインデン酢酸(インドメタシン、スリンダク、エトダラック)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク及びケトロラク)、アリールプロピオン酸(イブプロフェン及び誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸及びメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(オーラノフィン、金チオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム)、免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル)、血管形成剤、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、アンギオテンシン受容体ブロッカー、NO供与体、アンチセンスオリジオヌクレオタイド(オリゴヌクレオチド)及びその組合せ、細胞周期阻害薬(cell cycle inhibitors)、mTOR阻害薬及び成長因子シグナル伝達キナーゼ阻害薬、レテノイド(retenoid)、シクリン/CDK阻害薬、HMG補酵素レダクターゼ阻害薬(スタチン)、及びプロテアーゼ阻害薬が挙げられる。
上述したように、バルーン血管形成術と関連した冠動静脈用ステントの植込みは、急性血管閉塞の治療に非常に有効であり、再狭窄の恐れを減少させることができる。血管内超音波に関する研究(ミンツ(Mintz)他,1996)の示唆するところによれば、冠動静脈ステント留置術は、血管の狭窄を効果的に防止し、更に、ステント植込み後における後発管腔喪失の大部分が恐らくは新内膜肥厚化と関連した血小板成長に起因している。冠動静脈ステント留置後の後発管腔喪失の度合いは、従来型バルーン血管形成術後に観察される度合いの約2倍である。かくして、ステントは再狭窄プロセスの少なくとも一部を防止するので、平滑筋細胞の増殖を阻止し、炎症を軽減させると共に凝固を軽減させ、或いは、多くのメカニズムにより平滑筋細胞の増殖を阻止し、ステントと関連した炎症及び凝固を軽減させる薬剤、治療薬又は製剤の組合せは、血管形成術後の再狭窄の最も効能のある治療法を提供することができる。同種又は異種の薬剤/組合せ薬剤の局所投与と組み合わせて、治療薬又は製剤を全身的に用いることによっても有利な治療上のオプションが得られる場合がある。
ステントからの薬剤/組合せ薬剤の局所投与は、以下の利点、即ち、血管反跳及びステントの支承作用によるリモデリングの防止という利点及び新内膜肥厚化又は再狭窄の多くの成分の防止並びに炎症及び血栓症の軽減という利点を持っている。ステント留置済みの冠動脈への薬剤、治療薬又は製剤のこの局所投与は又、更に別の治療上の利点を有している。例えば、全身投与ではなく局所投与を利用して薬剤、治療薬又は製剤の高い組織内濃度を達成できる。加うるに、全身投与ではなく局所投与を利用して、高い組織内濃度を維持しながら、全身の毒性の軽減を達成することができる。また、全身投与ではなく、ステントからの局所投与を利用する際、1回の手技で十分であり、患者のコンプライアンスが良好である。組合せ薬剤、治療薬及び(又は)製剤による治療の追加の利点は、治療用の薬剤、治療薬又は製剤の各々の用量を減少させ、それにより、再狭窄、炎症及び血栓症の軽減を依然として達成しながらこれらの毒性を制限することができるということにある。したがって、ステントを用いる局所治療法は、抗再狭窄、抗炎症、抗血栓薬剤、治療薬又は製剤の治癒比(効能/毒性)を向上させる手段である。
経皮経管的冠動脈形成術後に利用できるステントには多種多様なものがある。多くのステントを本発明に従って利用することができるが、分かりやすくするために、限定された数のステントを本発明の例示の実施形態において説明する。当業者であれば、多くのステントを本発明と関連して利用できることは理解されよう。加うるに、上述したように、他の医用器具を利用することができる。
ステントは、障害の度合いを緩和するために管路の管腔内に留置される管状構造として用いられるのが通例である。一般に、ステントを、非拡張形態で管腔内に挿入し、次に、自律的に又は現場で第2の器具の助けを借りて拡張させる。代表的な拡張法は、カテーテルが取り付けられた血管形成術バルーンを狭窄の生じている血管又は体内通路内で膨らませて血管の壁成分と関連した障害部を剪断して分裂させたり拡張状態の管腔を得ることによって行われる。
図1は、本発明の例示の実施形態に従って利用できる例示のステント100を示している。拡張可能な円筒形ステント100は、血管、管路又は管腔内に配置されて血管、管路又は管腔を開存状態に保つため、特に、動脈の一部を血管形成術後の再狭窄から保護するための有窓構造から成っている。ステント100を、円周方向に拡張させて、円周方向又は半径方向に剛性の拡張形態に維持することができる。ステント100は、軸方向に可撓性であり、バンドのところで撓むと、ステント100には外部に突き出る部品部分が無い。
ステント100は一般に、第1及び第2の端部を有し、これら端部相互間には中間部分が設けられている。ステント100は、長手方向軸線を有し、複数の長手方向に配列されたバンド102を有し、各バンド102は、長手方向軸線に平行な線分に沿って全体として連続した波形を構成する。複数の円周方向に配列されたリンク104が、バンドを実質的に管状構造に維持する。本質的には、長手方向に配置された各バンド102は、複数の周期的な位置のところで短い円周方向に配置されたリンク104によって隣のバンド102に連結されている。バンド102の各々と関連した波形部は、中間部分においてほぼ同一の基本空間周波数を有し、バンド102は、これらと関連した波形部が互いに全体として位相が合うように全体として整列するように配列されている。図示のように、長手方向に配列された各バンド102は、隣のバンド102へのリンクがあるまでほぼ2サイクル起伏している。
ステント100を多くの方法を利用して製作することができる。例えば、ステント100を、レーザ、放電フライス加工、化学的エッチング又は他の手段を用いて機械加工できる中空又は成型ステンレス鋼管から製作することができる。ステント100を体内に挿入し、非拡張形態で所望の部位に配置する。例示の一実施形態では、拡張は、バルーンカテーテルにより血管内で行うことができ、この場合、ステント100の最終直径は、用いられるバルーンカテーテルの直径の関数である。
本発明のステント100を形状記憶材料で具体化することができ、かかる形状記憶材料としては、例えば、ニッケルとチタンの適当な合金又はステンレス鋼が挙げられることは理解されるべきである。ステンレス鋼から形成された構造体は、例えばステンレス鋼を編組形態にねじることによりステンレス鋼を所定の方法で形作ることにより自動拡張状態に作ることができる。この実施形態では、ステント100を形成した後、このステントを圧縮して挿入手段により、血管又は他の組織内へのその挿入が可能となるのに十分狭い空間を占めるようにするのがよく、この場合、挿入手段は、適当なカテーテル又は可撓性ロッドを含む。カテーテルから出ると、ステント100を拡張が自動的に起こり又は圧力、温度又は電気的刺激の変化によりトリガされる所望の形態に拡張するよう構成することができる。
図2は、図1に示すステント100を利用する本発明の例示の実施形態を示している。図示のように、ステント100は、1以上のリザーバ106を有するよう改造されたものであるのよい。リザーバ106は各々、所望に応じて開閉できる。これらリザーバ106は特に、送達されるべき薬剤/組合せ薬剤を保持するよう設計されたものであるのがよい。ステント100の設計とは無関係に、薬剤/組合せ薬剤の用量を病変領域中に有効な用量が施されるのに十分な特異性及び十分な濃度で施すことが好ましい。この点に関し、バンド102内のリザーバのサイズは好ましくは、薬剤/組合せ薬剤の用量を所望の場所に且つ所望の量で正しく塗布するよう寸法決めされている。
例示の変形実施形態では、ステント100の内面と外面の全体を治療に適した用量の薬剤/組合せ薬剤で被覆してもよい。再狭窄を治療する薬剤及び例示の被覆法についての詳細な説明を以下に行う。しかしながら、被覆法は、薬剤/組合せ薬剤に応じて様々であってよいことは注目されるべきである。また、被覆法は、ステント又は他の管内医用器具を構成する材料に応じて様々であってよい。
ラパマイシンは、米国特許第3,929,992号明細書に開示されているようにストレプトミセス属ハイグロスコピカスによって作られた大環状トリエン抗生物質である。ラパマイシンはとりわけ、生体内血管平滑筋細胞の増殖を阻止することが判明している。したがって、ラパマイシンを、特に、生物学的に又は機械的に媒介された血管損傷に続き、或いは、哺乳動物がかかる血管損傷にかかりやすくなる条件下において、哺乳動物の内膜平滑筋細胞を肥厚化、再狭窄及び血管閉塞の治療に利用することができる。ラパマイシンは、平滑筋細胞の増殖を阻止するよう働き、血管壁の再内皮化を妨害しない。
ラパマイシンは、血管形成術により引き起こされる損傷中に放出されるマイトジェン信号に応答して平滑筋増殖に拮抗することにより血管肥厚を軽減する。細胞サイクルの最後のG1段階での成長因子及びサイトカインにより媒介される平滑筋増殖の抑止は、ラパマイシンの作用の主要なメカニズムであると考えられる。しかしながら、ラパマイシンは又、全身的に投与されたとき、T細胞増殖及び分化を阻止することが知られている。これは、ラパマイシンが免疫抑制性を持っていること及びグラフト拒絶を阻止できる根拠である。
本発明で用いられるラパマイシンとしては、FKBP12及び他の免疫促進剤を見出すラパマイシン及びその全てのアナログ(類似物)、誘導体及び同種物が挙げられ、これらは、TORの阻害薬を含むラパマイシンと同一の薬理学的性質を備えている。
ラパマイシンの抗増殖効果を、全身使用により達成することができるが、優れた結果は、製剤の局所投与により達成できる。本質的には、ラパマイシンは、製剤に近接して位置する組織内で働き、投与器具からの距離が増大するにつれて効果が減少する。この効果を利用するため、ラパマイシンを管腔壁と直接接した状態にすることが所望される。したがって、好ましい実施形態では、ラパマイシンをステント又はその幾つかの部分の表面上に付着させる。本質的には、ラパマイシンは好ましくは、図1に示すステント100内に組み込まれ、図1では、ステント100は、管腔壁と接触している。
ラパマイシンを多くの方法でステントに付着させることができる。例示の実施形態では、ラパマイシンは、ポリマーマトリックス中に直接混ぜ込まれてステントの外面上に吹き付けられる。ラパマイシンは、ポリマーマトリックスから時間の経過につれて溶け出て、周囲の組織に入り込む。ラパマイシンは好ましくは、少なくとも3日間、最高約6ヶ月間、より好ましくは7日〜30日の間ステントに付着したままである。
多くの非浸食性ポリマーをラパマイシンと関連して利用することができる。一実施形態では、ラパマイシン又は他の治療薬を、フィルム形成ポリフルオロコポリマー中に混ぜ込むことができ、このフィルム形成ポリフルオロコポリマーは、重合ビニリデンフルオリド及び重合テトロフルオロエチレンから成る群から選択された或る量の第1の成分及び第1の成分とは異なり、第1の成分と共重合され、それによりポリフルオロコポリマーを生じさせる第2の成分を有し、第2の成分は、ポリフルオロコポリマーに靱性又はゴム状弾性を与えることができ、第1の成分と第2の成分の相対量は、これから製造される被膜及びフィルムに、植込み可能な医用器具を処理する際に用いるのに有効な性質を与えるのに効果的である。
本発明は、ポリフルオロコポリマーから成るポリマー被膜及び植込み可能な医用器具、例えばステントを提供し、かかるステントは、例えば血管形成術の際に用いられると、血栓及び(又は)再狭窄を減少させるのに十分な量のポリマーで被覆されている。本明細書で用いるポリフルオロコポリマーは、重合ビニリデンフルオリド及び重合テトロフルオロエチレンから成る群から選択された或る量の第1の成分及び第1の成分とは異なり、第1の成分と共重合され、それによりポリフルオロコポリマーを生じさせる第2の成分を有するコポリマーを意味し、第2の成分は、ポリフルオロコポリマーに靱性又はゴム状弾性を与えることができ、第1の成分と第2の成分の相対量は、これから製造される被膜及びフィルムに、植込み可能な医用器具を処理する際に用いるのに有効な性質を与えるのに効果的である。
被膜は、再狭窄、炎症及び(又は)血栓を軽減させる薬剤又は治療薬から成るのがよく、かかる被膜が被着されたステントは、これら薬剤を持続して放出することができる。本発明の或る特定のポリフルオロコポリマー被膜から調製されたフィルムは、医用器具被膜及びフィルムがさらされる最高温度が比較的低い温度に制限されている場合であっても、従来型被覆(コーテッド)医用器具について必要な物理的及び機械的性質をもたらす。これは、被膜/フィルムを用いて熱に弱い薬剤/治療薬又は薬剤を送る場合、又は、被膜を感温性器具、例えばカテーテルに被着させる場合に特に重要である。最高暴露温度が問題にならない場合、例えば、熱安定性治療薬、例えば、イトラコナゾール(itraconazole)が被膜中に混ぜ込まれている場合、融点の高い熱可塑性ポリフルオロコポリマーを用いることができ、非常に高い伸び率及び付着力が必要な場合、エラストマーを用いることができる。望ましい場合、又は必要な場合、ポリフルオロエラストマーを、J.シャイヤーズ(J. Shires )著、「モダーン・フルオノポリマーズ(Modern Fluoropolymers)」、(米国)ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク( New York)、1997年、p.77−87に記載された標準方法により架橋することができる。
本発明は、医用器具用の改良型生体適合性被膜又はビークルをもたらすポリフルオロコポリマーを提供する。これら被膜は、再狭窄又は血栓、或いは他の望ましくない反応を軽減させるのに十分哺乳動物、例えば人間の身体組織と接触する不活性の生体適合性表面を備える。ポリフルオロホモポリマーから作られた多くの報告されている被膜は、不溶性であると共に(或いは)植込み可能な器具、例えばステントに被着して用いられる適当な物理的及び機械的性質を備えたフィルムを得るために高い熱、例えば、約125℃以上の温度を必要とし、又は特に靱性又はゴム弾性が高くはないが、本発明のポリフルオロコポリマーから調製されたフィルムは、医用器具上に被着されると、適当な付着性、靱性又は弾性及び耐亀裂性をもたらす。或る特定の例示の実施形態では、これは、医用器具が比較的低い最高温度を受ける場合にそうである。
本発明の被膜に用いられるポリフルオロコポリマーは好ましくは、蝋状又は粘着性ではないのに足るほど分子量の大きなフィルム形成ポリマーである。ポリマー及びこれらポリマーから作られたフィルムは好ましくは、ステントには付着するが、血流学的応力により変位できないようステントに被着された後は容易には変形しないものであることが必要である。ポリマー分子量は好ましくは、ポリマーから成るフィルムがステントの取扱い又は配備中に擦り剥けないほど十分な靱性を備えるのに足るほど高いことが必要である。或る例示の実施形態では、被膜は、ステント又は他の医用器具の膨張が生じても亀裂を生じないであろう。
本発明の被膜は、上述したようなポリフルオロコポリマーから成っている。ポリフルオロコポリマーを調製するのに第1の成分と重合される第2の成分は、本明細書の特許請求の範囲に記載された医用器具に被着して用いられるのに十分なエラストマーフィルム性質を維持しながら、哺乳動物内に植え込むのに適した生体適合性ポリマーを提供する重合生体適合性モノマーから選択できる。かかるモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロアセトン及びヘキサフルオロイソブチレンが挙げられるが、これらには限定されない。
本発明に用いられるポリフルオロコポリマーは代表的には、約50〜約92重量%のビニリジンフルオリドと約50〜約8重量%のHFP(ヘキサフルオロプロピレン)の範囲の重量比でビニリジンフルオリドをヘキサフルオロプロピレンと重合させたものである。好ましくは、本発明で用いられるポリフルオロコポリマーは、約50〜約85重量%のポリビニリジンフルオリドを約50〜約15重量%のHFPと重合させたものである。より好ましくは、ポリフルオロコポリマーは、約55〜約70重量%のポリビニリジンフルオリドを約55〜約30重量%のHFPと重合させたものである。さらにより好ましくは、ポリフルオロコポリマーは、約55〜65重量%のポリビニリジンフルオリドを約45〜約35%のHFPと重合させたものである。かかるポリフルオロコポリマーは、溶剤、例えば、ジメチルアセタミド(DMAc)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルマミド、ジメチルスルホキシド及びn−メチルピロリドン中で様々な度合いで可溶性である。ポリフルオロコポリマーの中には、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メタノール及び被膜を従来型の植込み可能な医用器具に被着させるのに通常用いられる他の溶剤中で可溶性のものがある。
従来型ポリフルオロホモポリマーは結晶質であり、被膜にポリマーの溶融温度(Tm)に一致する比較的高い温度にさらさないで高品質のフィルムを金属表面に被着させることが困難である。高い温度は、好ましくは被覆医用器具の伸縮時にフィルムの割れに抵抗するのに十分な可撓性を維持しながら医用器具に対するフィルムの十分な接着性を示すかかるPVDFホモポリマー被膜から調製されたフィルムをもたらすのに役立つ。本発明の或る特定のフィルム及び被膜は、これら被膜及びフィルムがさらされる最高温度がほぼ所定の最高温度よりも低い場合であっても、同じ物理的及び機械的性質又は本質的に同じ性質をもたらす。これは、被膜/フィルムが熱に弱い、例えば、化学的又は物理的劣化或いは他の熱によって引き起こされるマイナスの効果を生じる医薬又は治療薬、即ち薬剤を含む場合、又は例えば熱により引き起こされる組成上又は構造上の劣化を受ける医用器具の熱に弱い物質を被覆する場合に特に重要である。
本発明の被膜及びフィルムが被着される特定の器具及びこの器具について必要な特定の用途/結果に応じて、かかる器具を調製するのに用いられるポリフルオロコポリマーは、結晶質であっても、半結晶質であっても、或いは非晶質であってもよい。
高温への暴露に対して制約又は制限の無い器具の場合、結晶質ポリフルオロコポリマーを用いることができる。結晶質ポリフルオロコポリマーは、これらのガラス転移(Tg)温度よりも高い温度にさらされても、加えられた応力又は重力下において流動傾向に抵抗する傾向がある。結晶質ポリフルオロコポリマーは、これらの完全な非晶質のものよりも靱性の高い被膜及びフィルムをもたらす。加うるに、結晶質ポリマーは、減摩性であり又はつるつるとしており、しかも自己拡張性ポリマー、例えばニチノールステントの取付けのために用いられる圧着及び移送プロセスの際容易に取り扱われる。
半結晶質及び非晶質ポリフルオロコポリマーは、高い温度にさらされることが問題である場合、例えば、熱に弱い薬剤及び治療薬が被膜又はフィルムに混ぜ込まれている場合、或いは、器具の設計、構造及び(又は)用途のためにかかる高い温度にさらされることが禁じられている場合に有利である。比較的高いレベル、例えば約30〜約45重量%の第2の成分、例えばHFPと第1の成分、例えばVDFを重合させたものとしての半結晶質ポリフルオロコポリマーエラストマーは、非晶質ポリフルオロコポリマーエラストマーに対してセルフブロッキング性が低いという利点を有している。かかる性質は、かかるポリフルオロコポリマーで被覆された医用器具を加工し、包装し及び送達する場合に相当有利な場合がある。加うるに、第2の成分の含有量が上記のように比較的高いかかるポリフルオロコポリマーエラストマーは、ポリマー中における或る特定の治療薬、例えば、ラパマイシンの溶解性を制御するのに役立つので、マトリックスを通る治療薬の透過性を制御する。
本発明で利用されるポリフルオロコポリマーは、種々の公知の重合法で調製できる。例えば、アジロルジ(Ajroldi)他著、「フルオロエラストマーズ−ディペンデンス・オブ・リラクゼーション・フェノメナ・オン・コンポジションズ(Fluoroelastomers-dependence of relaxation phenomena on compositions)」(「ポリマー(POLYMER )30,2180」所収)、1989年に開示されているような高圧フリーラジカル半連続乳化重合法を用いると、非晶質ポリフルオロコポリマーを調製することができ、これらのうち幾分かはエラストマーであるのがよい。加うるに、この文献に開示されているフリーラジカルバッチ乳化重合法は、比較的高いレベルの第2の成分が含まれている場合、半結晶質であるポリマーを得るのに用いることができる。
上述のように、ステントは、多種多様な物質及び多種多様な幾何学的形状のものであってよい。ステントを生体適合性材料で作ることができ、かかる生体適合性材料としては、生安定性及び生吸収性材料が挙げられる。適当な生体適合性材料としては、ステンレス鋼、タンタル、チタン合金(ニチノールを含む)及びコバルト合金(コバルト−チタン−ニッケル合金を含む)が挙げられるが、これらには限定されない。適当な非金属性生体適合性材料としては、ポリアミド、ポリオレフィン(即ち、ポリプロピレン、ポリエチレン等)、非吸収性ポリエステル(即ち、ポリエチレンテレフタレート)、生体吸収性脂肪族ポリエステル(即ち、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、パラジオキサノン、トリエチレンカーボネート、ε−カプロラクトン及びこれらのブレンドのホモポリマー及びコポリマー)が挙げられるが、これらには限定されない。
フィルム形成生体適合性ポリマー被膜は一般にステントを通る血液の流れの局所乱流を減少させると共に組織有害反応を減少させるためにステントに被着される。被膜及び被膜から形成されるフィルムも又、薬学的治療薬をステント留置部位に投与するために使用できる。一般に、ステントに被着されるポリマー被膜の量は、考えられるパラメータのうちとりわけ、被膜を調製するのに用いられる特定のポリフルオロポリマー、ステント設計及び被膜の所望の効果に応じて様々であろう。一般に、被覆ステントは、約0.1〜15重量%、好ましくは約0.4〜約10重量%の被膜を含むことになる。ポリフルオロコポリマー被膜を被着されるべきポリフルオロコポリマーの量に応じて1以上の被覆段階で被着させるのがよい。互いに異なるポリフルオロコポリマーを、ステント被覆の際に互いに異なる層として用いることができる。事実、或る特定の例示の実施形態では、薬理学的治療薬を含む場合のある次に被着されるポリフルオロコポリマー被膜層の付着性を促進するためにプライマーとしてポリフルオロコポリマーを含む第1の稀釈被覆溶液を用いることが非常に有利である。個々の被膜を、互いに異なるポリフルオロコポリマーから調製することができる。
加うるに、トップ被膜を薬剤の放出を遅くするために被着させるのがよく、或いは、被膜を異なる薬理学的治療薬の投与のためにマトリックスとして用いてもよい。被膜の層状化を用いて薬剤の放出を段階的に行い又は互いに異なる層中に配置された互いに異なる治療薬の放出を制御するのがよい。
また、ポリフルオロコポリマーのブレンドを用いて互いに異なる治療薬の放出速度を制御し、又は、被膜特性、即ち、弾性、靱性等及び薬剤投与特性、例えば、放出プロフィールの望ましいバランスを取るのがよい。溶剤中での互いに異なる溶解度を持つポリフルオロコポリマーを用いると、互いに異なる薬剤を送り出し又は薬剤の放出プロフィールを制御するのに用いることができる互いに異なるポリマー層を形成することができる。例えば、85.5/14.5(wt/wt)のポリ(ビニリジンフルオリド/HFP)から成るポリフルオロコポリマーと60.6/39.4(wt/wt)のポリ(ビニリジンフルオリド/HFP)から成るポリフルオロコポリマーは、共にDMAc中で溶ける。しかしながら、60.6/39.4PVDFポリフルオロコポリマーは、メタノール中でしか溶けない。したがって、薬剤を含む80.5/14.5PVDFポリフルオロコポリマーの第1の層を、メタノール溶剤で作られた60.6/39.4PVDFポリフルオロコポリマーのトップコートで被覆してもよい。このトップ被膜を用いると、第1の層中に含まれた薬剤の送出しを遅らせることができる。変形例として、第2の層は、連続的に薬剤を投与することができるよう別の薬剤を含んでいてもよい。互いに異なる薬剤の多くの層を、第1のポリフルオロコポリマーの層と別のポリフルオロコポリマーの層を交互に配置することによって形成してもよい。当業者には容易に理解されるように、多くの層状化方式を用いて所望の薬剤投与を行うことができる。
1以上の治療薬と被膜ポリフルオロコポリマーを被膜混合物中で混合することにより被膜を配合することができる。治療薬は、液体、細かく粉砕された固体又は任意他の適当な物理的形態として存在してよい。被膜混合物は、1以上の添加剤、例えば、非毒性補助物質、例えば、稀釈剤、キャリヤ、賦形剤、安定剤等を含むのがよいが、このようにするかどうかは任意である。他の適当な添加剤を、ポリマー及び薬学的治療薬又は製剤と配合することができる。例えば、親水性ポリマーを生体適合性疎水性被膜に付け足して放出プロフィールを変更してもよく、或いは、疎水性ポリマーを親水性被膜に付け足して放出プロフィールを変更してもよい。一例としては、酸化ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボキシルメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロースから成る群から選択された親水性ポリマーをポリフルオロコポリマー被膜に付け足して放出プロフィールを変更することが挙げられる。これらの適当な相対量を、治療薬について試験管内(in vitro)及び(又は)生体内(in vivo )放出プロフィールをモニタすることにより決定することができる。
被膜用途にとって最も良い条件は、ポリフルオロコポリマーと薬剤が共通の溶剤を有している場合である。これにより、真の意味での溶液である湿潤被膜が得られる。薬剤を溶剤に溶かしたポリマーの溶液中に固形分散体として含む被膜は、望ましさの度合いが低いが、依然として使用可能である。分散条件下において、分散薬剤粉末の粒度又は粒径、即ち、その凝集体と凝集物の主粉末度が、不規則な被膜表面を生じさせたり本質的に被膜の無い状態にすることが必要なステントのスロットを詰まらせないほど小さいものであるように注意をする必要がある。分散体をステントに被着し、被膜フィルム表面の滑らかさが改善を必要とし、又は、薬剤の全ての粒子が完全にポリマー中に包み込まれるようにすることが必要な場合、或いは、薬剤の放出速度を遅くしようとする場合、薬剤の持続した放出を可能にするのに用いられる同一のポリフルオロコポリマー又は被膜からの薬剤の拡散を一段と制限する別のポリフルオロコポリマーの透明な(ポリフルオロコポリマーだけの)トップコートを被着させるのがよい。トップコートを被着させるには、マンドレルを用いる浸漬被覆によりスロットを通過させるのがよい。この方法は、米国特許第6,153,252号明細書に開示されている。トップコートを被着させる他の方法としては、スピンコート法及び吹き付け被覆法が挙げられる。トップコートの浸漬被覆法は、薬剤が被覆溶剤中で非常に溶けやすく、それによりポリフルオロコポリマーを膨潤させ、透明な被覆溶液がゼロ濃度シンクとして働いて先に被着された溶剤を再び溶かしてしまう場合には問題となる場合がある。浸漬浴中に漬けておく時間は、薬剤が薬剤の無い浴中へ引き出されないように制限される必要がある。乾燥を迅速に行って先に被着した薬剤がトップコート中へ完全には拡散しないようにする必要がある。
治療薬の量は、用いられる特定の薬剤及び治療対象の医学的条件に依存することになろう。代表的には、薬剤の量が、被膜全重量の約0.001%〜約70%、より代表的には、被膜全重量の約0.001%〜約60%を占める。薬剤の占める量は、被膜全重量の0.0001%という少ない量であってもよい。
薬剤を含む被膜フィルム中に採用されるポリフルオロコポリマーの量及び種類は、所望の放出プロフィール及び用いられる薬剤の量に応じて様々であろう。生成物は、所望の放出プロフィール又は所与の配合に対する一貫性をもたらすよう互いに異なる分子量を持つ同種又は異種のポリフルオロコポリマーのブレンドを含むのがよい。
ポリフルオロコポリマーは、拡散により分散状態の薬剤を放出することができる。この結果、薬剤の有効量(0.001μg/cm2 −分〜1000μg/cm2 −分)の長い投与(例えば、約1000〜2000時間以上、好ましくは、200〜800時間以上)を行うことができる。投薬量は、治療を受けている患者、病気の重症度、処方医の判断等に合わせて自由に設定できる。
所望の薬剤放出プロフィールを達成するため、薬剤及びポリフルオロコポリマーの個々の製剤を適当な試験管内及び(又は)生体内モデルで試験することができる。例えば、薬剤をポリフルオロコポリマー又はポリフルオロコポリマーのブレンドと調合し、ステント上に被覆し、そして攪拌した又は循環している流体系、例えば、25%エタノール水溶液中に置く。循環流体のサンプルを採取して放出プロフィールを求めるのがよい(例えば、HPLC、UV分析法又は放射線タグ付け分子の使用により)。ステント被膜から管腔の内壁中への調合薬の放出は、適当な動物システムでモデル化できる。次に、薬剤放出プロフィールを、適当な手段、例えば、サンプルを特定の時点で採取し、サンプルを薬剤濃度に付き検定する(HPLCを用いて薬剤濃度を検出する)によってモニタすることができる。血栓形成を、ハンソン(Hanson)及びヘーカー(Harker)の論文、「プロシーディング・ナショナル・アカデミカル・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)85」:3184−3188(1988年)に記載されている血小板内イメージング法を用いて動物モデルでモデル化することができる。この手順又は類似した手順に続き、当業者であれば、種々のステント被膜製剤を調合することができよう。
本発明の要件ではないが、被覆及びフィルムを医用器具にいったん被着させると架橋するのがよい。架橋に、公知の架橋機構のうち任意のもの、例えば、化学薬品、熱又は光によって影響を与えることができる。架橋開始剤及び促進剤を、適用可能であって適していれば用いてもよい。薬剤を含む架橋フィルムを利用したこれら例示の実施形態では、硬化後、被膜からの薬剤の拡散速度に影響を及ぼす場合がある。本発明の架橋ポリフルオロコポリマーフィルム及び被膜を薬剤無しで用いて植込み可能な医用器具の表面を改質させることもできる。
実験例
実験例1:
ポリ(ビニリデンフルオリド/HFP)のPVDFホモポリマー(テキサス州ヒュートン所在のソルベイ・アドバンスト・ポリマーズ社から入手できるSolef(登録商標)1008、Tmは約175℃)及びポリフルオロコポリマー、それぞれF19NMRによって定められた92/8及び91/9重量%のビニリデンフルオリド/HFP(例えば、それぞれ、テキサス州ヒュートン所在のソルベイ・アドバンスト・ポリマーズ社から入手できるSolef(登録商標)11010及び11008、Tmは、約159℃及び160℃)をステント用に考えられる被膜として試験した。これらポリマーは、溶剤、例えば、DMAc、N,N−ジメチルホルマミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、テドラヒドロフラン(THF)及びアセトン(これらには限定されない)中で溶ける。ポリマー被覆の調製にあたりポリマーをアセトン中でプライマーとして5重量%で溶解し、又は、ポリマーを50/50DMAc/アセトン中でトップコートとして30重量%で溶解させた。浸漬により被膜をステントに被着させ、60℃で空中において数時間かけて乾燥させ、次に、60℃で3時間かけて<100mmHg真空中で乾燥させ、その結果、白いフォーム状のフィルムが得られた。被着直後において、これらフィルムは、ステントへのくっつきが貧弱であり、剥落し、これらが脆弱すぎることが示された。このように被覆したステントを175℃を超える温度、即ち、ポリマーの融点を超える温度に加熱すると、透明で付着性のフィルムが形成された。高品質のフィルムを得るためには、被膜は、高い温度を、例えば、ポリマーの融点を超える温度を必要とするからである。上述したように、高温熱処理は、大部分の薬剤については熱に弱いので受け入れることができない。
実験例2:
F19NMRで決定した85.5重量%のビニリデンフルオリドを14.5重量%のHFPと重合させて形成したポリフルオロコポリマー(Solef(登録商標)21508)を評価した。このポリマーは、実験例1に記載したポリフルオロホモポリマー及びコポリマーよりも結晶性が低い。これは、約133℃であると報告された低い融点を有している。再度、約20重量%のポリフルオロコポリマーから成る被膜を50/50DMAc/MEK中のポリマー溶液から被着させた。60℃で数時間かけて乾燥させ(空中で)、次に60℃で3時間かけて<100ミリトルHg真空中で乾燥させた後、透明な付着性のフィルムが得られた。これにより、高品質のフィルムを達成する高温熱処理が不要になった。被膜は、実験例1の被膜よりも滑らかであり且つ付着性が高かった。膨張を行った被覆ステントの中には、フィルムが金属から離れると或る程度の付着性の低下と「テント状化(tenting )」を示すものがある。必要ならば、かかるコポリマーを含む被膜の改質を、例えば、可塑剤等を被膜製剤に追加することによって行ってもよい。かかる被膜から調製されたフィルムを用いて、特にステント又は他の医用器具がステントの程度までは膨張を受けにくい場合、ステント又は他の医用器具を被覆することができる。
上述の被覆段階を繰り返すと、今度は被膜固形物の総重量を基準として85.5/14.6(wt/wt)(ビニリデンフルオリド/HFP)及び約30重量%のラパマイシン(ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のウエイス−イヤースト・ラボラトリーズ)を含む被膜が得られた。場合によっては被覆ステントの膨張時に割れを生じ又は剥がれる透明なフィルムが結果として得られた。可塑剤等を被覆製剤中に含ませることにより、その結果、ステント及び他の医用器具上に用いることができ、かかる割れ及び剥れを生じにくい被膜及びフィルムが得られることが考えられる。
実験例3:
高いHFP含有量のポリフルオロコポリマーを試験した。この系列のポリマーは、半結晶質ではなく、エラストマーとして市販されている。かかるコポリマーの1つは、Fluorel(商標)FC2261Q(ミネソタ州オークデール所在のダイニオン、3M−ホエストエンタープライズ)、即ち、ビニリデンフルオリド/HFPの60.6/39.4(wt/wt)コポリマーである。このコポリマーのTgは室温よりも相当低いが(Tgは約−20℃)、これは室温又は60℃でもねばつかない。このポリマーは、これを示差走査熱量計(DSC)又は広角X線回折法により測定すると、検出可能なほどの結晶質を持たない。上述したようにステント上に形成されるフィルムは、ねばついておらず、透明であってしかも、ステントを拡張させると何事もなく膨張する。
上述の被覆段階を繰り返すと、今度は被膜固形物の総重量を基準として60.6/39.4(wt/wt)(ビニリデンフルオリド/HFP)及び約9、30及び50重量%のラパマイシン(ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のウエイス−イヤースト・ラボラトリーズ)を含む被膜が得られた。約9及び30重量%のラパマイシンを含む被膜は、ステント上で何事もなく拡張した白色で付着性があり強靱なフィルムを生じさせた。同様に、50%の薬剤を混入すると、その結果、膨張時に付着性が或る程度失われた。
ポリフルオロコポリマーのコモノマー製剤中の変化も又、いったん乾燥させると、固体状態の被膜の性質に影響を及ぼす場合がある。例えば、85.5重量%のビニリデンフルオリドを14.5重量%のHFPと重合させたものを含む半結晶質コポリマー、Solef(登録商標)21508は、DMAc及び50/50DMAc/MEK中で約30%のラパマイシン(総固体重量、例えば、薬剤+コポリマーにより割り算された薬剤重量)を備えた均質溶液を形成する。フィルムを乾燥させると(60℃で16時間かけ、次に、60℃で100mmHgの真空中で3時間かけて乾燥させた)、ポリマー中の薬剤の固溶体を示す透明な被膜が得られる。これとは逆に、60.6/39.5(wt/wt)のPDVF/HFPの非晶質コポリマーで、例えばFluorel(商標)FC2261Qは、DMAc/MEK中のラパマイシンの同様な30%溶液を形成し、同様に乾燥させると、薬剤及びポリマーの相分離を示す白色フィルムが得られる。この第2の薬剤を含むフィルムは、結晶質Solef(登録商標)21508の先の透明なフィルムの場合よりも試験管内25%エタノールの試験水溶液中へ薬剤を放出するのが非常に遅い。両方のフィルムのX線による分析の示すところによれば、薬剤は、非結晶質形態で存在している。高HFP含有コポリマー中での薬剤の溶解度が不良であり、又は非常に低いので、その結果として、薄い被膜フィルムを通る薬剤の透過は遅い。透過性は、フィルム(コポリマー)を通る核種(この場合、薬剤)の拡散速度とフィルム中の薬剤の溶解度の積である。
実験例4:被覆からのラパマイシンの試験管内放出結果
図3は、85.5/14.5ビニリデンフルオリド/HFPポリフルオロコポリマーに関するデータをプロットしたグラフ図であり、トップコートが無い場合においての時間の関数として放出される薬剤の画分、図4は、トップコートが被着されている同一のポリフルオロコポリマーについてのデータをプロットしたグラフ図であり、放出速度に対する最も大きな影響が透明なトップコートを備えた場合に生じていることを示している。図示のように、TC150は、トップコートが150μgを含む器具を示し、TC235は、トップコートが235μgを示しており、その他は図示の通りである。トップコート被着前のステントは、30%ラパマイシンを含む平均750μgの被膜を有していた。図5は、60.6/39.4ビニリデンフルオリド/HFPポリフルオロコポリマーについてのデータをプロットしたグラフ図であり、時間の関数としての薬剤の放出画分を示し、トップコートを用いない場合の被膜からの放出速度の相当高い制御の度合いを示している。放出は、薬剤をフィルム中に入れることにより制御される。
実験例5:ポリ(VDF/HFP)からのラパマイシンの生体内ステント放出速度条件
通常の食事をした9匹のニュージーランド白うさぎ(2.5〜3.0kg)に手術前24時間にアスピリンを与え、手術の直前及び研究の残部について再び与えた。手術時、動物にアセプロマジン(0.1〜0.2mg/kg)をあらかじめ投薬しケタミン/キシラジン混合物(それぞれ40mg/kg及び5mg/kg)で麻酔をかけた。動物に、ヘパリンの1回分の手技内用量(150IU/kg,i.v.)を与えた。
右総頸動脈の動脈切除を行い、5F(フレンチ)カテーテル導入器(コーディス・インコーポレイテッド)を血管内に配置し結紮糸で固定した。ヨウ素造影剤を注入して、右総頸動脈、腕頭動脈及び大動脈弓を視覚化した。操向可能なガイドワイヤ(0.014インチ/180cm、コーディス・インコーポレイテッド)を導入器を介して挿入し、順次各腸骨動脈内へ、腸骨動脈が先に行った血管造影的マッピング法を用いて2mmに最も近い直径を持つ場所まで前進させた。30%ラパマイシンを含むポリ/VDF/HFP):(60.6/39.4)で作られたフィルムを被覆した2つのステントを実行可能な場合、3.0mmバルーンを用いて各動物内の各腸動脈中に1つずつ配備し、30秒間の8〜10ATMへの膨らましを行い、1分の時間間隔をあけて、30秒間の8〜10ATMへの2回目の膨らましを行った。両方の腸骨動脈を視覚化する事後点検血管造影図を得てステントの正確な配備位置を確認する。
手技の終わりに、総頸動脈を結紮し、皮膚を一層中断クロージャを用いて3/0ビクリル縫合糸で閉じる。動物にブトロパノール(0.4mg/kg,s.c.)及びゲンタマイシン(4mg/kg,i.m.)を与えた。回復後、動物を檻に戻し、自由に食物及び水に接近させた。
初期の死亡及び外科的困難さに起因して、2匹の動物をこの分析では用いなかった。ステント留置された血管を以下の時点で残りの7匹の動物から抜去した。すなわち、移植後、10分で1本の血管(1匹の動物)、移植後40分〜2時間(平均1.2時間)で6本の血管(3匹の動物)、移植後3日で2本の血管(2匹の動物)、移植後7日で2本の血管(1匹の動物)を抜去した。2時間の時点で1匹の動物では、ステントを腸骨動脈ではなく、大動脈から回収した。抜去時、動脈を注意深くステントの近位端部と遠位端部の両方でトリミングした。次に、血管を注意深くステントから切断して離し、洗浄して残留血液を除去し、ステントと血管の両方をすぐに凍結し、別々に箔で包み、ラベルを貼ってマイナス80℃で凍結状態に維持した。サンプルを全て集めると、血管及びステントを凍結し、輸送し、そして次に、組織中のラパマイシンについて分析を行い、結果は図4に示されている。
実験例6:ポリマーの浄化
Fluorel(商標)FC2261Qコポリマーを約10重量%でMEK中で溶解させ、14:1のエタノール/水とMEK溶液の比でエタノール/水の50/50混合物中で洗浄した。ポリマーは沈澱し、遠心作用により溶剤相から分離した。ポリマーを再び、MEK中で溶解させ、洗浄作業を繰り返し行った。ポリマーを各洗浄段階の実施後、一晩真空オーブン(<200ミリトル)内で60℃で乾燥させた。
実験例7:ブタの冠動脈中での被覆ステントの生体内試験
CrossFlex(登録商標)ステント(コーディス、ジョンソン・アンド・ジョンソン・カンパニイから入手できる)を「受け入れたまま」でFluorel(商標)FC2261QPVDFコポリマー及び実験例6の浄化ポリフルオロコポリマーで浸漬及び拭き取り方式を用いて被覆した。被覆ステントを酸化エチレン及び標準サイクルを用いて滅菌した。被覆ステント及び裸の金属ステント(コントロール(対照))をブタの冠動脈中に植え込み、ここで28日間そのままにした。血管造影を植込みの際及び28日後にブタに対して行った。血管造影法の示すところによれば、コントロールの非被覆ステントは、約21%の再狭窄を示した。ポリフルオロコポリマーは「受け取ったままの状態」では約26%の再狭窄(コントロールと同等)を示し、洗浄したコポリマーは、約12.5%の再狭窄を示した。
組織学的結果の報告によれば、裸金属コントロール、非浄化コポリマー及び浄化コポリマーについてそれぞれ、28日後における新内膜領域は2.89±0.2、3.57±0.4、2.75±0.3であった。
ラパマイシンは、周囲の組織に入ることによって作用するので、これを一組織と接触しているステントの表面にだけ取り付けることが好ましい。代表的には、ステントの外面だけが組織と接触している。したがって、例示の一実施形態では、ステントの外面だけをラパマイシンで被覆する。
循環器系は通常の条件下では、自己密封性でなければならず、さもなければ、損傷に起因する血液の損失が続くとこれは生命を脅かすことになる。代表的には、大抵の破局的な出血を除く全ては、止血と呼ばれているプロセスにより迅速に止まる。止血は、一連のステップを介して行われる。流量が多い場合、止血は、血小板凝集とフィブリン形成を伴う出来事の組合せである。血小板凝集により、細胞による栓の形成に起因して血液の流れが減少し、他方、カスケード状態の生物学的ステップにより、フィブリンの凝塊が生じる。
フィブリン凝塊は上述のように、損傷に応答して生じる。血液の凝固又は特定領域内での凝固が健康上の危害をもたらす場合のある或る特定の環境が存在する。例えば、経皮経管的冠動脈血管形成術の実施中、動脈壁の内皮細胞が典型的には損傷を受け、それにより、小内皮細胞を露出させる。血小板は、これら露出細胞にくっつく。凝集した血小板及び損傷を受けた組織は、次の生化学的プロセスを開始し、その結果、血液の凝固が生じる。血小板及びフィブリン血餅は、重要な領域への血液の通常の流れを阻止する。したがって、血液の凝固を種々の医療手技で制御する必要がある。血液が凝固しないようにする調合物は、抗凝固剤と呼ばれている。本質的には、抗凝固剤は、血栓生成又は機能の阻止剤である。これら調合物としては、薬剤、例えば、ヘパリン及びヒルジンを含む。本明細書で用いるヘパリンとしては、血栓又はファクター(Faxtor)Xaの直接的又は間接的な全ての阻止剤を含む。
有効な抗凝固剤であることに加えて、ヘパリンは又、生体内における平滑筋細胞の成長を阻止することが立証されている。かくして、ヘパリンは、血管疾患の治療の際に、ラパマイシンと関連して効果的に利用される場合がある。本質的に、ラパマイシンとヘパリンの組合せは、ヘパリンが抗凝固剤として働くことに加えて、2つの互いに異なるメカニズムを介して平滑筋細胞の成長を阻止することができる。
ヘパリンは、その化学的性質が多官能価であるために多くの方法でステントに対して固定化でき又はこれに取り付けることができる。例えば、ヘパリンは、種々の方法で種々の表面上に固定化でき、かかる方法としては、ガイア氏等に付与された米国特許第3,959,078号明細書及び第4,722,906号明細書及びカハラン氏等に付与された米国特許第5,229,172号明細書、第5,308,641号明細書、第5,350,800号明細書及び第5,415,938号明細書に記載されたフォトリンク法が挙げられる。ヘパリンを付着した表面は又、ディング氏等に付与された米国特許第5,837,313号明細書、第6,099,562号明細書及び第6,120,536号明細書に記載されているようなポリマーマトリックス、例えば、シリコーンゴムからの制御された放出によって達成される。
ラパマイシンとは異なり、ヘパリンは、血液中の循環蛋白質に対して働き、ヘパリンは、血液と接触しさえすれば有効である。したがって、医用器具、例えば、ステントと関連して用いられる場合、血液と接触するのは片側だけであることが好ましい。例えば、ヘパリンをステントを介して投与しようとする場合、ヘパリンは、有効であるためにはステントの内面上に存在していることが必要なだけである。
本発明の例示の実施形態では、血管疾患の治療のために、ステントをラパマイシン及びヘパリンと組み合わせて利用するのがよい。この例示の実施形態では、ヘパリンをステントの内面に固定化して、これが血液と接触状態にあると共にヘパリンをステントの外面に固定化してこれが周囲の組織と接触状態にあるようにする。図7は、図1に示すステント100のバンド102の断面を示している。図示のように、バンド102は、その内面110がヘパリン108で被覆され、その外面114がラパマイシン112で被覆されている。
別の例示の実施形態では、ステントは、その内面に固定化されたヘパリン層及びその外面に固定化されたラパマイシン及びヘパリンを有してもよい。現行の被覆法を利用すると、ヘパリンは、ラパマイシンの場合よりも、これが固定化される表面とより強固な結合部を形成する傾向がある。したがって、まず最初にラパマイシンをステントの外面に固定化し、次に、ヘパリンの層をラパマイシン層に固定化するのがよいことが考えられる。この実施形態では、ラパマイシンをそのポリマーマトリックスからヘパリンを通って周囲の組織中へ依然として有効に溶け出ながらステントにしっかりと取り付けられるのがよい。図8は、図1に示すステント100のバンド102の断面を示している。図示のように、バンド102は、その内面110がヘパリン108で被覆され、その外面114がラパマイシン112で被覆されている。
ヘパリン層をラパマイシン層に固定化する、即ち、取り込み又は腐食可能な結合部との共有結合を行う多くの方法があると考えられる。例えば、ヘパリンをポリマーマトリックスの最上部層に導入することができる。他の実施形態では、ヘパリンの種々の形態を例えば図9に示すようにポリマーマトリックスのトップコート上に直接固定化してもよい。図示のように、疎水性ヘパリン層116をラパマイシン層112のトップコート層118上に固定化することができる。ヘパリンの疎水性の形態が利用される。というのは、ラパマイシンの被膜とヘパリンの被膜は、互いに不適合な被膜被着法だからである。ラパマイシンは、有機系溶剤を主成分とする被膜であり、ヘパリンは、その自然な形態では、水性被膜である。
上述のように、ラパマイシン被膜を、浸漬法、スプレー法又はスピンコート法及び(又は)これら方法の任意の組合せによってステントに被着させることができる。種々のポリマーを利用できる。例えば、上述したように、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)及びポリブチルメタクリレートブレンドを利用することができる。他のポリマーも利用でき、かかるポリマーとしては例えば、ポリビニリデンフルオリド−コ−ヘキサフルオロプロピレン及びポリエチルブチルメタクリレート−コ−ヘキシルメタクリレートが挙げられるが、これらには限定されない。また、上述したように、バリヤ又は最上部被膜を、ポリマーマトリックスからのラパマイシンの溶解の調節のために被着させるのがよい。上述した例示の実施形態では、ヘパリンの薄い層がポリマーマトリックスの表面に被着される。これらポリマー系は疎水性であり、親水性ヘパリンと不適合なので、適当な表面の改質が必要な場合がある。
ポリマーマトリックスの表面へのヘパリンの被着は、種々の方法で、種々の生体適合性材料を利用して行うことができる。例えば、一実施形態では、水中又はアルコール水溶液中では、ラパマイシンを劣化させないように注意しながら(例えば、pH<7、低温)ポリエチレンイミンをステントに被着し、次に、ヘパリン化ナトリウムを水性又はアルコール溶液で被着させる。この表面改質の拡張例として、共有ヘパリンをアミドタイプの化学的性質(カルボンジイミド活性剤、例えば、EDC)又は還元アミノ化学的性質(結合のためのCBAS−ヘパリン及びシアノボロヒドリド化ナトリウムを用いて)を用いてポリエチレンイミンに結合することができる。別の変形実施形態では、ヘパリンを、もしこれが光開始剤成分と共に正しく移植された場合、表面に光結合できる。共有ステント表面上へのこの改質ヘパリン調合物の被着時、光の露出により、架橋が生じてヘパリンが被膜表面上に固定化される。更に別の例示の実施形態では、ヘパリンと疎水性第四級アンモニウム塩の錯体を形成し、分子を有機溶剤(例えば、ヘパリン化ベンザルコニウム、ヘパリン化トロイドレイシルメチルアンモニウム)中で可溶性にする。かかるヘパリンの生成は、疎水性ラパマイシン被膜と適合性があり、これを被膜表面上に直接又はラパマイシン/疎水性ポリマー調合物の状態で被着させることができる。
ステントを上述したように多くの材料から形成することができ、かかる材料としては、種々の金属、ポリマー材料及びセラミック材料が挙げられることに注目することは重要である。したがって、種々の技術を利用すると、種々の薬剤、治療薬、製剤の組合せをステント上に固定化することができる。特に、上述のポリマーマトリックスに加えて、バイオポリマーを用いることができる。バイオポリマーは一般に、天然ポリマーとして分類でき、これに対し、上述のポリマーは、合成ポリマーと称することができる。利用できるバイオポリマーの例示としては、アガロース、アルギネート、ゲラチン、コラーゲン及びエラスチンが挙げられる。加うるに、薬剤、治療薬又は製剤を他の経皮的に送り出される医用器具、例えば、グラフト(移植片)及び灌流バルーンと関連して利用できる。
抗増殖剤及び抗凝固剤の利用に加えて、抗炎症薬も又、これらと組み合わせて利用できる。かかる組合せの一例は、抗増殖剤、例えば、ラパマイシン、クラドリビン、ビンクリスチン、タクソール又は酸化窒素ドナー及び抗凝固剤、例えば、ヘパリンと共に抗炎症コルチコステロイド、例えばデキサメタゾンを添加することである。かかる組合せによる治療の結果として、良好な治療効果が得られることになり、即ち、何れか一方の治療薬だけを利用した場合よりも、増殖の度合い及び炎症、即ち、増殖のための刺激の度合いが軽い。抗増殖剤、抗凝固剤及び抗炎症薬を含むステントを損傷した血管に送達すると、局所平滑筋細胞の増殖の度合いが制限され、増殖のための刺激、即ち、炎症が減少し、凝固の作用が減少し、かくして、ステントの再狭窄制限作用が高められるという追加の治療上の利益が得られる。
本発明の他の例示の実施形態では、成長因子阻害薬又はサイトカイン信号変換阻害薬、例えば、ラス(ras)阻害薬、R115777又はP38キナーゼ阻害薬、RWJ67657又はチロシンキナーゼ阻害薬、例えばチルホシンを抗増殖剤、例えば、タクソール、リンクリセチン又はラパマイシンと組み合わせて平滑筋細胞の増殖を種々のメカニズムで阻止できるようにする。変形例として、抗増殖剤、例えば、タクソール、ビンクリセチン又はラパマイシンを細胞外マトリックス合成物の阻害薬、例えば、ハロフジノンと組み合わせてもよい。上述の場合、種々のメカニズムによって作用する治療薬は、相乗的に作用して平滑筋細胞の増殖及び血管肥厚を減少させることができる。本発明は又、2以上のかかる薬剤又は治療薬の他の組合せを含むものである。上述のように、かかる薬剤、治療薬又は製剤を全身的に投与し、薬剤投与カテーテルを介して局所的に投与し、又は、ステントの表面からの送出しのために調合し、或いは、全身及び局所治療の組合せとして与えることができる。
抗増殖剤、抗炎症薬及び抗凝固剤に加えて、他の薬剤、治療薬又は製剤を医用器具と関連して利用することができる。例えば、免疫抑制剤を単独で、又はこれら他の薬剤、治療薬又は製剤と組み合わせて利用できる。また、遺伝子治療デリバリメカニズム、例えば、変更遺伝子(組換えDNAを含む核酸)をウイルス性ベクター又は非ウイルス性遺伝子ベクター、例えば、プラスミドに入れた状態で医用器具を介して局所的に導入することもできる。加うるに、本発明は、細胞利用治療に利用できる。
上述の薬剤、治療薬、製剤及び変更遺伝子の全てに加えて、通常は治療的又は生物学的に活性ではない化学薬剤も又、本発明と関連して利用できる。プロドラッグ(pro-drug)と通称されているこれら化学薬剤は、生体に導入されると、1以上のメカニズムにより生物学的に活性になる治療薬である。これらメカニズムとしては、生体により供給される製剤の追加又は生体により供給される別の治療薬により引き起こされる治療薬からの製剤の分割が挙げられる。代表的には、プロドラッグは、生体により一層吸収可能である。加うるに、代用物質は又、或る追加の時間放出測度をもたらすことができる。
上述の被膜及び薬剤、治療薬又は製剤を、多くの医用器具、特に、植込み可能な医用器具、例えば、ステント及びステント移植片と組み合わせて利用できる。他の器具、例えば、大静脈フィルタ及び吻合器具を薬剤、治療薬又は製剤が入っている被膜に用いることができる。図1及び図2に示す例示のステントは、バルーンにより拡張可能なステントである。バルーンにより拡張可能なステントを、多くの血管又は導管内に用いることができ、特に、冠動脈内での使用に好適である。他方、自己拡張性ステントは、圧挫回復が例えば頸動脈内で重要な要因である血管内に用いられるのに特に好適である。したがって、薬剤、治療薬又は製剤のうち任意のもの及び上述の被膜を当該技術分野において周知の自己拡張性ステントと組み合わせて利用できることに注目することは重要である。
吻合は、生物学的組織相互間の連係を生じさせる生物学的組織の外科的接合、特に、管状器官の接合である。血管手術では、必要不可欠な組織への血液の流路を作り又は回復するために、血管相互間に吻合部を形成する手技又は血管と血管移植片との間に吻合部を形成する手技が行われる場合が多い。冠動脈バイパス移植術(CABG)は、血液の供給が冠動脈のうち1以上の閉塞又は狭窄により損なわれている虚血性心筋への血液の流れを回復させる外科手技である。CABG手術を行う一方法は、伏在静脈又は他の静脈或いは動脈を体内の別の場所から採取し、又は人工導管、例えば、Dacron(登録商標)又はGoretex(登録商標)管で作られた人工導管を用い、この導管をバイパス移植片として、生存可能な動脈、例えば、大動脈から閉塞又は狭くなっている部分の下流側で冠動脈につなぐ手技を含む。合成グラフトよりも天然グラフトを利用するほうが好ましい。移植片の近位端部及び遠位端部を取り除いた状態の移植片は「自由移植片(free graft)」と呼ばれている。別の方法では、必要不可欠性の低い動脈、例えば、内側乳頭間動脈をその生まれつきの場所から経路を変更して、これが閉塞部の下流側で冠状動脈につなぐことができるようにすることである。移植片血管の近位端部は、その生まれつきの位置に取り付けられたままの状態である。この種のグラフトは、「茎状化移植片(pedicled graft)」と呼ばれている。第1の場合、バイパス移植片は、移植片の近位端部と遠位端部の両方のところで端−側(end-to-side )吻合術によって生まれつきの動脈に取り付けられなければならない。第2の方法では、少なくとも1回の端−側吻合術を、バイパスに用いられる動脈の遠位端部のところで行わなければならない。以下の例示の実施形態の説明は、近位側吻合及び遠位側吻合として自由移植片に対する吻合術について行う。近位吻合術は、血液源、例えば、大動脈に連結された移植片血管の端部について行われる吻合術であり、遠位吻合術は、大動脈を通って流れる血液の行き先、例えば、冠状動脈に連結された移植片血管の端部について行われる吻合術である。吻合術は又、第1の吻合術又は第2の吻合術と呼ばれる場合があり、これは、吻合術が移植片の近位端部又は遠位端部に行われるかどうかにはかかわらず、吻合が行われる順序を示している。
現在のところ、本質的に全ての血管吻合術は、従来型の手による縫合によって行われている。吻合部の縫合は、時間がかかり且つ困難な作業であり、外科医の側での高い技術及び経験を必要とする。各吻合部は、血液のための滑らかで開いた流路をもたらすと共に取付け部が完全に漏れの無いものでないことが重要である。完全に漏れの無いシールは、まさしく1回目の試みで常に達成されるとは限らない。その結果、吻合部を再縫合して検出された漏れを閉じる必要の生じる場合が多い。
手作業によって縫合された吻合は時間がかかるので、これは、幾つかの理由でCABG手術の特に問題とされている。第1に、患者は、外科手技の大抵の部分について心肺バイパス(CPB)上に支持されることが必要である。心臓を全身性循環から隔離(即ち、「クロスクランプ」)しなければならず、しかも心臓を代表的には低温心停止溶液の注入により停止させて心臓上の吻合部位が吻合部の縫合中、依然として血液の無い状態になるようにしなければならない。心肺バイパス、循環隔離及び心停止は本来、非常に外傷性であり、或る幾つかの術後合併症の頻度が心臓の心停止持続時間(「クロスクランプ時間」と呼ばれる場合が多い)と正比例することが判明している。第2に、心臓手術室使用時間のコストが高いので心臓手術が長引くと、これは病院及び患者にとってのバイパス手術のコストが著しく増大する場合がある。かくして、クロスクランプ時間及び手術全体の持続時間を吻合部の品質又は有効性を減少させないで吻合手技を早めることによって短くすることが望ましい。
従来の手による縫合が行われる吻合に必要な既に高い腕前の度合いは、非開胸心又はポートアクセス胸腔鏡下バイパス手術、即ち、標準の開胸心(CABG)手技と比較して、CABG手術の罹病率を減少させるよう設計された新開発の外科手技により一層高められている。非開胸心手技では、心臓への外科的接近は、患者の胸部の肋間隙に作られた狭い接近ポートを介して行われ、この手技は、胸腔鏡による観察下で行われる。患者の胸部は開かれないので、吻合部の縫合は、組織に接近し、吻合を行うのに用いられる針及び縫合糸を保持して操作するための接近ポートを介して位置決めされた細長い器具を用いて或る距離を置いたところで行われなければならない。これには、開胸心CABG手術中に吻合物を縫合する既に十分に難しい手技よりも更に優れた腕前が必要になる。
開胸心CABG手術又は非開胸心CABG手術の実施中、血管吻合部を形成するうえでの困難さを軽減するため、バイパス移植片又は動脈と心臓の大動脈又は生まれつきの血管との間の信頼性の高い端−側吻合を行う迅速な手段を提供することが望ましい。吻合手技を促進すると共に向上させる第1の方法は、ステープル留め技術を用いることであった。ステープル留め技術は、組織の取付けを迅速に且つ高い信頼度で行うために多くの互いに異なる手術領域で首尾良く用いられている。ステープル留め技術における最も大きな進展は、胃腸手術の領域においてであった。種々の外科的ステープル留め器具が、中空又は管状器官、例えば、腸の端−端(end-to-end)、側−側(side-to-side)及び端−側吻合用として開発された。残念ながら、これら器具は、血管吻合部を作る際に容易には利用できない。この理由は1つには、これら器具を細い器官、例えば血管に適したものにするよう小形化するのが困難なことにある。考えられる更に重要な点は、血液のための滑らかで開いた流路を作る必要があるということにある。管状器官の端−側又は端−端吻合用の公知の胃腸ステープル留め器具は、裏返し吻合部、即ち、取り付けられている器官の管腔内へ組織が内方に折り畳まれる吻合部を作るよう設計されている。これは、腸道の外層(漿膜)にほぼ等しくなることが最も重要な胃腸手術では許容可能である。これは、互いに生長して強固で恒久的な連結部を形成する組織である。しかしながら、血管手術ではこの方式は、幾つかの理由で受け入れがたい。第1に、裏返しになった血管壁は、血液の流れの中断部となる。これにより、流れが減少すると共に中断部の下流側で虚血状態が生じる場合があり、更に悪いことには、生じる流れの中断又は渦は、血栓の場所となる場合があり、それにより血栓を流し又は吻合部位のところで血管を閉塞させる場合がある。第2に、腸道とは異なり、血管の外面(外膜)は隣接している場合互いに生長しない。したがって、縫合糸、ステープル又は他の接合器具が、血管吻合部の構造的健全性を維持するために恒久的に必要な場合がある。第3に、永続的な血栓形成を生じない血管を作るためには、最も内側の層(内皮)は、血管全体の連続した飛び出ていない内層が得られるよう互いに生長する必要がある。かくして、外転され、即ち、外側に折り畳まれ又は、裏返しすることなく直接縁−縁接合を作る血管吻合部を生じさせるステープル留め器具を提供することが好ましい。
少なくとも1つのステープル留め器具を応用してCABG手術中、血管吻合を行った。最初にDr. Vasilii I. KolesovによってCABG手術に用いることができるよう改造され、後でDr. Evgenii V. Kolesovによって改造されたこの器具(米国特許第4,350,160号明細書)は、内乳頭間動脈(IMA)又は静脈移植片と冠状動脈のうちの1つ、主として、左前下降冠状動脈(LAD)との間に端−端吻合部を形成するために用いられた。この器具は、端−端吻合を行うことしかできないので、まず最初に、冠状動脈を切断して周囲の心筋層から分離し、露出した端部を取り付けるために外転させなければならない。この技術は、冠状動脈が完全に閉塞している場所へのこの適応を制限し、したがって、冠状動脈を閉塞部の下流側で完全に切断して吻合部を作ることにより血液の流れの損失が生じなかった。その結果、この器具は、冠状動脈が部分的にしか閉塞していない場合には利用できず、バイパス移植片と大動脈との間の近位側−端吻合の実施には全く使えない。
端−側血管吻合のための血管ステープル留め器具を提供する一つの試みが、キャスター氏等に付与された米国特許第5,234,447号明細書(発明の名称:Side-to-end Vascular Anastomotic Staple Apparatus )に記載されている。このキャスター氏等の米国特許明細書は、リング状のステープルを提供し、ステープル脚部は、2本の血管を端−側吻合術で互いに接合するようリングの近位端部及び遠位端部から延びている。しかしながら、キャスター氏等米国特許明細書は、吻合を迅速且つ自動的に行う完全なシステムを開示していない。キャスター氏等米国特許明細書によって開示された吻合ステープルを取り付ける方法は、移植片を取り付けた後であってこれを大動脈壁に作られた開口部内に挿入する前に、手動ツールを用いてステープルの遠位歯を一つずつ変形させてステープルをかなり手で操作する作業を含む。キャスター氏等米国特許明細書に記載されたステープルを取り付けるより困難な操作のうちの1つは、移植血管をステープル脚部の先の尖った端部上に注意深く外転させ、次に、ステープル脚部で血管の平らにされた縁部を穿刺することである。この技術を応用する実験的な試みにより、この方法が、移植血管の操作が困難であり、しかも移植血管壁への損傷の恐れがあるので非常に問題であるということが判明した。迅速さ、信頼性及び便利さのため、吻合を行いながら複雑な操作を行う必要を回避することが好ましい。この場合、別の曲げ作業をステープル脚部に対して行わなければならない。ステープルの遠位歯をいったん変形させると、ステープルを大動脈切除のための開口部を通って挿入することが困難な場合がある。キャスター氏等米国特許明細書に記載された器具の別の欠点は、ステープルの遠位歯が移植血管の壁がステープル上で平らになっている箇所で移植血管の壁を穿刺するということにある。移植血管の壁の穿刺により、吻合部の漏れが潜在的に誘発され、移植血管の壁の構造的健全性が損なわれる場合があり、これが切開又は引裂の場所として働き、これが原因となって破滅的な破損が生じる場合がある。キャスター氏等米国特許明細書のステープル脚部は選択された箇所で吻合部にのみ圧力を及ぼすので、ステープル脚部相互間には漏れの恐れがある。ステープルの遠位歯も又、血栓症の恐れを回避することが最も重要な吻合部位のところで血液の流路にさらされる。また、ステープルが移植血管壁を穿刺する移植血管の中間層の露出が、内膜肥厚の始まりの部位となり、これが、上述したような移植片の長期間開存性を損なうという恐れがある。これら潜在的な欠点のために、移植血管への取付け部を血管壁に対しできるだけ無外傷性のものとして形成すると共に異物、或いは吻合部位又は移植血管管腔内の滑らかで途切れていない内膜層以外の血管層の露出をできるだけ無くすことが望ましい。
吻合手技を促進させると共にこれを改善する別の方法が、血管を互いに接合する吻合継手を用いることである。端−側血管吻合のための血管吻合継手器具を提供する一つの試みは、キャスター氏に付与された米国特許第4,366,819号明細書(発明の名称:Anastomotic Fitting)に記載されている。この器具は、平らにされた移植血管の下に位置する管状部材と、大動脈管腔内から大動脈壁に係合するリングフランジと、大動脈壁の外部に係合する固定リング及び止めリングとを有する4部品構成の吻合継手である。これと類似した別の吻合継手が、これまたキャスター氏に付与された米国特許第4,368,736号明細書に記載されている。この器具は、取付けリングにより大動脈壁に締結されるフランジ付き遠位端部及び移植血管に取付け可能に移植固定カラーを備えた近位端部を有する管状継手である。第1に、上述の吻合継手は、吻合器具の異物を動脈内の血液の流路に露出させる。これは、血液流路内の異物が溶血、血小板堆積及び血栓症を引き起こしがちな場合があるので望ましくない。異物に対する免疫学的反応、例えば、異物の拒絶又は異物の存在によりトリガされる自動免疫反応は、異物が血液の流れにさらされると強くなりがちである。したがって、血液の流路にさらされる吻合継手の内面のうちできるだけ多くを標的血管又は移植血管から血管組織で被覆して滑らかで連続した血液適合性のある内皮層が、血液の流れに与えられるようになる。キャスター氏の米国特許第4,366,819号明細書に記載された吻合継手も又、移植血管を吻合継手上に保持するスパイクが血液の流路に非常に近く位置し、潜在的に血管に外傷を引き起こし、これにより、吻合部に漏れが生じ、又は血管の機械的健全性が損なわれるという潜在的な欠点を持っている。その結果、移植血管に対してできるだけ無外傷性として吻合継手を提供することが望ましい。先の尖った構造的特徴部、例えば、取付けスパイクを、血液の流路及び吻合部位からできるだけ遠くに配置して吻合部の密封性又は血管の構造的健全性が損なわれないようにする必要がある。
端−端吻合用の別の器具、即ち、3Mユニリンク(3M-Unilink)器具が、例えば事故で切断された血管を再び取り付けるために顕微外科で使用されるよう設計されている。この器具は、2つの外転リングを備えた吻合クランプとなり、これらリングは、これらの反対側の面に設けられた一連の突き刺しスパイクにより互いにロックされる。しかしながら、この器具は、端−側吻合に用いるには厄介であり、標的血管を変形させる傾向があるので、現在ではCABG手術には用いられていない。血管を器具内に挿入するのに手際を要するプロセスに起因して、これは又、ポート接近外科には不向きである。
これらの問題及び他の問題を解決するため、血管又は他の中空器官と血管との間で端−側吻合を行う吻合器具を提供することが望ましい。また、吻合を実施しながら血管に対する外傷を最小限に抑え、それにより、血管内の血液流路にさらされる異物の量を最小限に抑えると共に漏れの問題を回避し、しかも、迅速な内皮化(endothelialization)及び治癒を促進する吻合器具を提供することが望ましい。また、本発明が手による操作の量を最小限に抑えた状態で吻合を迅速且つ自動的に行うシステム一式を提供することが望ましい。
生物学的組織を接合し、特に、管状器官を接合して流体チャネルを形成するために吻合器具を利用するのがよい。管状器官又は血管相互間の連結を側−側、端−端及び(又は)端−側方式で行うことができる。代表的には、移植血管及び標的血管がある。標的血管は、動脈、静脈又は任意他の導管又は流体運搬血管、例えば、冠状動脈であるのがよい。移植血管は、剛性材料、自己血管、同種血管又は異種移植片から成る場合がある。吻合器具は、任意適当な生体適合性材料、例えば、金属、ポリマー及びエラストマーから成るのがよい。加うるに、形成されるべき連結部のタイプに応じて吻合器具には多種多様な設計及び形態がある。ステントと同様、吻合器具は、標的血管に対して或る程度の損傷を生じさせ、それにより、身体からの反応を誘発させる。したがって、ステントの場合と同様、平滑筋細胞の増殖により連結部の閉塞が生じる恐れがある。したがって、吻合部位での平滑筋細胞の増殖及び炎症を最小限に抑え、又は実質的に無くす必要がある。ラパマイシン及び(又は)他の薬剤、治療薬又は製剤を上述のステントと類似した方法で利用することができる。換言すると、吻合器具の少なくとも一部をラパマイシン又は他の薬剤、治療薬又は製剤で被覆するのがよい。
図10〜図13は、端−側吻合用の例示の吻合器具200を示している。例示の吻合器具200は、締結フランジ202及びこれに取り付けられたステープル部材204を有している。上述したように、吻合器具は、任意適当な生体適合性材料から成るのがよい。好ましくは、吻合器具200は、変形可能な生体適合性金属、例えば、ステンレス鋼合金、チタン合金又はコバルト合金から成る。また、上述したように、表面被膜又は薬剤、治療薬又は製剤から成る表面被膜を用いて器具の生体適合性又は他の材料特性を向上させると共に体内へのその配置に対する身体の反応を軽減し又は実質的に無くすのがよい。
例示の実施形態では、締結フランジ202は、吻合を完了すると、標的血管壁208の内面206上に位置する。溶血、血栓形成又は異物反応の恐れを実質的に減少させるため、締結フランジ202の全体的な大きさは、標的血管管腔210内の異物の量を減少させるようできるだけ小さいことが好ましい。
締結フランジ202は、内径を備えたワイヤリングの形態をしており、このワイヤリングは、完全に拡張されると、移植血管壁214及び標的血管壁208内に作られた開口部216の外径よりも僅かに大きい。当初、締結フランジ202のワイヤリングは、リングの直径を減少させてこれが標的血管壁208の開口部216中へ容易に嵌まるようさざ波のような形をしている。複数のステープル部材204が、ワイヤリングから近位方向に実質的に直角に延びている。図示の例示の実施形態では、9つのステープル部材204がワイヤリングの締結フランジ202に取り付けられている。吻合器具200の他の変形例は、代表的には、接合されるべき血管のサイズ及び特定用途で必要とされる取付けの確実さに応じて、4〜12個のステープル部材204を有する。ステープル部材204を、ワイヤリング締結フランジ202と一体に形成するのがよく、或いは、ステープル部材204を溶接、ろう付け又は任意他の適当な接合方法により締結フランジ202に取り付けてもよい。ステープル部材204の近位端部218は、標的血管壁208及び移植血管壁214を容易に穿刺するよう先が尖っている。好ましくは、ステープル部材204の近位端部218は、吻合器具200を展開したときに、取付けの確実さを向上させる棘部220を有している。吻合器具200は、器具を取付け器具222の遠位端部に取り付けることにより使用準備状態ができる。締結フランジ202を、取付け器具222の細長いシャフト226の遠位端部に取り付けられているアンビル224に取り付ける。ステープル部材204を、アンビル224の近位側で器具222に取り付けられている円錐形ホルダ228に内方に押し付ける。ステープル部材204をキャップ230によってこの位置に固定し、このキャップは、細長いシャフト226に摺動自在に取り付けられている。キャップ230は、遠位側へ動いてステープル部材204の先の尖った棘付き近位端部218を覆うと共にこれらを円錐形ホルダ228に当接保持する。次に、取付け器具222を移植血管214の管腔232に挿入する。これは、取付け器具222を移植血管214の近位端部から遠位端部に移植血管管腔232を通って挿入することによって行うことができ、或いは、取付け器具222の細長いシャフト226を遠位端部から近位端部へ移植血管管腔232内へ後方に押し込むことによって行うことができ、場合によってはどちらでも最も有利である。吻合器具200が取り付けられている取付け器具222の遠位端部のアンビル224及び円錐形ホルダ228を開口部216を通って標的血管の管腔210内へ伸長させる。
次に、移植血管管腔232を標的血管壁208の開口部216上に心出しした状態で移植血管壁214の遠位端部234を外転させて標的血管壁208の外面236に当てる。キャップ230をステープル部材204の近位端部218から引き抜いてステープル部材204が外方へばね作用で動いてこれらの拡張位置に至るようにする。次に、取付け器具222を近位方向に引っ張ってステープル部材が開口部216の周りの標的血管壁208及び移植血管214の外転状態の遠位端部234を穿刺するようにする。
取付け器具222は、移植血管214の外部を包囲する環状ステープルフォーマ238を有している。穿刺段階中に環状ステープルフォーマ238から外転移植血管壁に加わる僅かな圧力は、ステープル部材204を移植血管壁214に刺し通すのを助ける。手技のこの時点で環状ステープルフォーマ238で大き過ぎる圧力を及ぼさないように注意する必要がある。というのは、ステープル部材204は、血管壁を完全に横切る前に時期尚早に変形している場合があるからである。所望ならば、軟質材料、例えば、エラストマーで作った環状表面を、取付け器具222上に設けてステープル部材204が血管壁を穿刺したときに血管壁を支持するようにするのがよい。
ステープル部材204が標的血管壁208及び移植血管壁214をいったん完全に横切ると、締結フランジ202をアンビル224で支持した状態でステープルフォーマ238を大きな力で下げる。ステープル部材204を外方に変形させて先の尖った棘付きの端部218が外転遠位端部234を通って標的血管壁208内へ後から穿刺して永続的な取付け部を形成する。吻合を完了させるため、アンビル224を移植血管管腔232を通って引き抜く。アンビル224がワイヤリング締結フランジ202を通過しているとき、さざ波部を真っ直ぐにしてワイヤリングフランジ202がその完全拡張直径を呈するようにする。変形例として、ワイヤリング締結フランジ202を、これが標的血管管腔210内に放出されるまで圧縮してさざ波状又は折り畳み位置に保持できるようにし、放出時には、これはその完全拡張直径を呈するようになろう。別の変形構成例では、形状記憶合金で作った吻合器具を移動させて締結フランジを圧縮して標的血管の開口部中に挿入し、その後、吻合器具200を形状記憶合金の転移温度よりも高い温度に加熱することにより、締結フランジがその完全拡張直径に戻るようにする。
上述の例示の実施形態では、ステープル部材204及び(又は)ワイヤリング締結フランジ202を、上述の治療薬、薬剤又は製剤のうち任意のもの、例えば、ラパマイシンで被覆して平滑筋壁の増殖を阻止し又は実質的に減少させるのがよい。
図14は、吻合器具の別の例示の実施形態を示している。図14は、本発明の別の例示の実施形態としての少なくとも2つの解剖学的構造を接合する器具の側面図である。器械300は、第1の端部304及び第2の端部306を備えた縫合糸302を有し、縫合糸302は、以下に説明するような仕方で解剖学的構造を通過することができるような構成になっている。縫合糸302を、多種多様な材料、例えば、形状記憶性が極力小さなモノフィラメント材料から作ることができ、かかる材料としては、ポリプロピレン又はポリアミドが挙げられる。任意適当な直径のサイズ、例えば、8番〜0番を用いることができる。当然のことながら、他の縫合糸のタイプ及びサイズも又用いることができ、これらは本発明の均等範囲に含まれる。
針308が好ましくは湾曲しており、この針は、縫合糸302の第1の端部304のところに設けられている。針308の尖った先端部310により、種々の解剖学的構造の容易な穿通が可能であると共に針308及び縫合糸302がこれらを容易に通過することができる。針308を種々の方法で、例えば、スエージ加工により、好ましくは針308と縫合糸302の外径をできるだけ厳密に実質的にマッチさせることにより、縫合糸302に取り付けるのがよい。
器械300は、縫合糸302の第2の端部302のところに設けられた保持器具312を更に有している。保持器具312は、図示の例示の実施形態によれば第1の肢部314及び第2の肢部316を有し、好ましくは、縫合糸302よりも剛性が高いものである。第1の肢部314を、種々の方法で、例えば、スエージ加工により、好ましくは針308と縫合糸302の外径をできるだけ厳密に実質的にマッチさせることにより、縫合糸302に連結するのがよい。保持器具312は、好ましくは軟質であって圧着すると共に吻合部の外側上にその圧着位置を保持するほど展性のある折り曲げ可能な材料から成るステープル構造部材を有している。かかる材料としては、チタン又はステンレス鋼が挙げられる。保持器具312は、図示の実施形態によればステープルと呼んでもよく、縫合糸302及び針308は、ステープル312の送達システムと呼んでもよい。
図14は、保持器具312を多くの考えられる当初の形態のうちの1つ、即ち、保持器具312が解剖学的構造を最初に通過したとき及び(又は)その前の或る時点において取る形態を示している。以下に説明するように、保持器具312は、初期形態から、保持器具312が解剖学的構造を互いに保持する保持形態に動くことができる。図示の例示の実施形態によれば、保持器具312は、図19に示すように(以下に詳細に説明する)折り曲げられ又は圧着されたときに保持形態を取る。保持器具312は好ましくは、図示のように実質的にV字形又は実質的にU字形であるが、特定の外科的状況及び(又は)外科医の好みに合うよう多種多様な形状を取ることができる。例えば、肢部314,316のうち一方は真っ直ぐであってよく、他方は湾曲していてもよく、或いは肢部314,316が一線をなしてもよい。保持器具312は好ましくは、針308と同程度に滑らかであって断面が丸い。さらに、針308、縫合糸302及び保持器具312の直径は好ましくは、ステープル312の直径よりも大きな穴を解剖学的構造に開けるのを回避するよう特に針308と保持器具312に関し、実質的に同一である。かかる穴は、出血又は漏れを引き起こしやすい。
器械300を用いる方法が、図15〜図19に示されている。まず最初に、図15に示すように、針308は、解剖学的構造318,320を通過しており、これら解剖学的構造は、例えば、血管構造である。具体的に説明すると、図示の例示の実施形態によれば、針308は、血管構造318,320の縁部322,324を通過している。次に、図16に示すように、針308は、縫合糸302を両方の構造318,320に引き入れてこれらに通している。次に、ステープル312を図17〜図19に示すように構造318,320と所望の近接関係をなすまで引いてステープルが、図示の吻合部及び関連の管腔326の両方の側部に係合するようにする。例示の一実施形態によれば、牽引力を縫合糸302に加えてステープル312を定位置に留める。
図19に示すと共に上述したように、次に、ステープル312をその初期形態から保持又は圧着形態328に動かし、この保持又は圧着形態では、解剖学的構造318,320はこれらの間に吻合が行われるよう互いに接合されている。ステープル312は、圧着部分330が管腔321の外部に位置した状態で、吻合部の縁部のところに実質的に360゜のループを形成する。多種多様なツール及び(又は)メカニズムを用いてステープル312を例えば血管クリップを閉じるやり方で圧着してその保持形態にすることができる。次に、同一のツール又は別のツールを用いてステープル312を例えば切断により縫合糸302から切り離すのがよい。
かくして、ステープル312は、対向した構造を外側だけからしか固定できない多くの従来型ステープルとは異なり、血管構造の内部及び外部から血管構造318,320を互いに保持する。これは、上述したような多くの利点をもたらす。1以上の結び目(ノット)を作るよりも、一層良好な接近結果が得られると共にステープルの圧着が簡単になり、又、組織に対する外傷性も低くなりがちである。ステープルを1回の圧着で閉じることにより、例えば、数回通さなければならない結び目の場合よりも吻合部への張力は小さい。本発明の実施形態は、例えば結び目プッシャを低侵襲方式で小さなポートに通して結び目を作る方法は特にやっかいであって、滑りを防止するためには4回又は5回まで通す必要があるので、低侵襲手術状況では特に有利である。本発明の実施形態の場合のように、ステープルをポートに通してクリンプすることは、遙かに簡単であって困難さが大幅に軽減される。
例示の一実施形態によれば、外科医は、好ましくは限られた数のステープル又は保持器具で血管構造又は他の構造を正確に接近させることができ、次に、生物学的グルー又はレーザ法を用いて吻合部を完全にすることができる。例えば数が2以上の保持器具を用いると、血管構造又は他の構造の向きをそろえ又は一線をなすようにして、かくして吻合の完成を誘導する「パイロット」として用いることができる。
上述の例示の実施形態では、保持器具312を上述の薬剤、治療薬又は製剤のうちの任意のもの、例えば、ラパマイシンで被覆して平滑筋細胞の増殖を阻止し又は実質的に減少させるのがよい。
上述したように、医用器具を介して種々の薬剤、治療薬又は製剤を局所的に投与することができる。例えば、ラパマイシン及びヘパリンをステントによって投与して、再狭窄、炎症及び凝固を軽減させることができる。薬剤、治療薬又は製剤を固定化する種々の方法を上述したが、送達及び位置決めの際、薬剤、治療薬又は製剤を医用器具に付着状態で維持することは、手技又は治療の成功にとって必要不可欠である。例えば、ステントの送達中に、薬剤、治療薬又は製剤の被膜が脱落すると、器具の破損が潜在的に引き起こされる場合がある。自己拡張性ステントの場合、拘束シースの引っ込めにより、薬剤、治療薬又は製剤がステントから擦れ落ちる場合がある。バルーンにより拡張可能なステントの場合、バルーンの拡張により、薬剤、治療薬又は製剤が、バルーンとの接触により又は拡張によりステントから簡単に剥がれ落ちる場合がある。したがって、この潜在的な問題を防止することは、治療が首尾良く行われる医用器具、例えば、ステントを提供するうえで重要である。
上述の懸念を実質的に軽減させるのに利用できる多くの方法がある。例示の一実施形態では、潤滑剤又は離型剤を利用できる。潤滑剤又は離型剤は、任意適当な生体適合性の減摩性の又はつるつるした被膜から成るのがよい。例示の減摩性被膜は、シリコーンから成るのがよい。この例示の実施形態では、シリコーンを主成分とする塗料の溶液をバルーン表面上、ポリマーマトリックス上及び(又は)自己拡張性ステント送達器械のシースの内面上に付着させ、空気で硬化させる。変形例として、シリコーンを主成分とする塗料をポリマーマトリックス中に混ぜ込んでもよい。しかしながら、生体適合性であること、薬剤、治療薬又は製剤の作用/有効性を妨害しないこと及び材料が薬剤、治療薬又は製剤を医用器具上に固定化するのに利用される物質を妨害しないことを基本的な要件として、多くの減摩性材料を利用できることに注目することは重要である。また、上述の方法のうち1以上又は全てを組み合わせて利用できることに注目することも重要である。
次に、図20を参照すると、ステントを現場で拡張させるのに用いることができるバルーンカテーテルのバルーン400が示されている。図示のように、バルーン400は、減摩性被膜402を有している。減摩性被膜402は、バルーン400と医用器具の被膜との間の接着性を最小限に抑え又は実質的に無くすよう働く。上述の例示の実施形態では、減摩性被膜402は、バルーン400とヘパリン又はラパマイシン被膜との間の接着性を最小限に抑え又は実質的に無くす。減摩性被膜402を多くの方法(溶液又はサスペンションからの被膜材料の浸漬法、吹き付け法、はけ塗り法又はスピンコート法)でバルーン400に付着させてその状態に維持し、次に、必要に応じて硬化又は溶剤除去段階を行うのがよい。
これら被膜を調製するのに例えば、合成蝋、例えば、ジエチレングリコールモノステアレート、水素化ヒマシ油、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、エチレンビス(ステアラミド)、天然物、例えば、パラフィン蝋、鯨蝋、カルナバ蝋、アルギン酸ナトリウム、アスコルビン酸及び粉、弗素化化合物、例えば、ペルフロオロアルカン、ペルフロオロ脂肪酸及びアルコール、剛性ポリマー、例えば、シリコーン、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフルオロエーテル、ポリアルキルグリコール、例えば、ポリエチレングリコール蝋、及び無機材料、例えば、タルク、カオリン、マイカ及びシリカのような材料を用いることができる。これら減摩性被膜を調製するために、ペルフルオロアルケン及びペルフルオロアルカンの蒸着重合、例えば、パリレン−C蒸着、又はRF−プラズマ重合も利用することができる。
図21は、図1に示すステント100のバンド102の断面を示している。この例示の実施形態では、減摩性被膜500は、ポリマー被膜の外面上に固定化されている。上述のように、薬剤、治療薬又は製剤をポリマーマトリックス中に混ぜ込むのがよい。図21に示すステントバンド102は、ポリマー及びラパマイシンから成るベースコート502と、これ又ポリマーから成るトップコート504又は拡散層504とを有している。減摩性被膜500を任意適当な手段(トップコートを作るために用いられるポリマーを含む又は含まない溶液又はサスペンションからの被膜材料の吹き付け法、はけ塗り法、浸漬法又はスピンコート法)でトップコート502に付着させ、次に、必要に応じて硬化又は溶剤除去段階を行う。蒸着重合及びRF−プラズマ重合も又、この蒸着法に向いた減摩性被膜材料をトップコートに付着させるのに利用することができる。別の例示の実施形態では、減摩性被膜を直接ポリマーマトリックス中に混ぜ込んでもよい。
自己拡張性ステントを用いる場合、減摩性被膜を拘束シースの内面に付着させてもよい。図22は、送達器械のシース14のルーメン内に設けられた自己拡張性ステント200の部分断面図である。図示のように、減摩性被膜600は、シース14の内面に被着されている。したがって、ステント200の配備時、減摩性被膜600は好ましくは、シース14と薬剤、治療薬又は製剤を被覆したステント200との間の接着性を最小限に抑え又は実質的に無くす。
別法では、物理的及び(又は)化学的架橋法を利用して薬剤、治療薬又は製剤を含むポリマー被膜と医用器具の表面との間又は薬剤、治療薬又は製剤を含むポリマー被膜とプライマーとの間の結合強さを向上させることができる。変形例として、従来の被覆法、例えば、浸漬法、スプレー法又はスピンコート法、或いは、RF−プラズマ重合により被着された他のプライマーを結合強さの向上のために用いることができる。例えば、図23に示すように、まず最初に、プライマー層700、例えば、蒸着重合パリレン−Cを医用器具表面に被着させ、次に、薬剤含有マトリックス704を構成するポリマーのうち1以上と化学成分が類似しているポリマー、例えば、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート又はポリブチルメタクリレートであるが、架橋成分を含むよう改質されたポリマーから成る第2の層702を設けることによって向上させることができる。次に、この第2の層702を紫外光への暴露後、プライマーに架橋させる。注目されるべきこととして、当業者であれば、活性剤を用いて又は用いないで熱により活性化される架橋剤を利用して同様な結果を達成できることは理解されよう。次に、薬剤含有マトリックス704を、第2の層702を部分的又は全体的に膨潤させる溶剤を用いて第2の層702上に積層する。これにより、マトリックスから第2の層702中へのポリマー鎖の同伴及びこれとは逆に第2の層702から薬剤含有マトリックス704へのポリマー鎖の同伴が促進される。被覆後の層からの溶剤の除去の際、ポリマー鎖の相互浸透又は相互に絡み合ったネットワークが、層相互間に形成され、それにより、これらの間の接着強さを増強させる。トップコート706は、上述のように用いられる。
医用器具、例えば、ステントでは関連の問題が生じる。薬剤を被覆したステントの圧着状態では、幾つかのストラットが互いに接触し、ステントを拡張させると、その動きにより、薬剤、治療薬又は製剤から成るポリマー被膜がくっついて伸長する。この作用により、被膜が或る領域でステントから分離する恐れが潜在的に存在する。被膜の自己接着性の主要なメカニズムは、機械的な力に起因していると考えられている。ポリマーがそれ自体と接触すると、その鎖が互いに絡み合って、フックとループから成る締結部、例えば、Velcro(登録商標)に類似した機械的な結合を生じさせることができる。或る特定のポリマー、例えば、フルオロポリマーは、互いには結合しない。しかしながら、他のポリマーに関し、粉末を利用することができる。換言すると、粉末を医用器具の表面上の薬剤、治療薬又は他の製剤を含む1以上のポリマーに付着させて機械的な結合を減少させることができる。薬剤、治療薬又は製剤又は薬剤、治療薬又は製剤を医用器具上に固定化するのに利用される材料を妨害しない任意適当な生体適合性材料を利用してもよい。例えば、水溶性の粉末の粉付けにより、被膜表面の粘着性を軽減させることができ、これにより、ポリマーがそれ自体にくっつくのを阻止し、それにより剥れの恐れを少なくする。粉末は、塞栓の恐れを生じさせないよう水溶性であることが必要である。粉末は、酸化防止剤、例えば、ビタミンCから成るのがよく。或いは、抗凝固剤、例えば、アスピリン又はヘパリンから成っていてもよい。酸化防止剤を利用した場合の利点は、酸化防止剤が長期間にわたって他の薬剤、治療薬又は製剤を保持できるということにある。
結晶性ポリマーは一般にべとつきもせず粘つきもしないということに注目することが重要である。したがって、非晶質ポリマーではなく結晶性ポリマーを利用すると、追加の材料は不要である。また、注目されるべき重要なこととして、薬剤、治療薬及び(又は)製剤を含まないポリマー被膜は、医用器具の動作特性を向上させる場合がある。例えば、医用器具の機械的性質をポリマー被膜によって向上させることができ、この場合、薬剤、治療薬及び(又は)製剤を含んでいてもよく、或いは含まなくてもよい。被覆状態のステントは、可撓性及び耐久性が向上する場合がある。加うるに、ポリマー被膜は、医用器具を構成する異種金属相互間の電食を実質的に減少させ又は無くすことができる。同じことが吻合器具について当てはまる。
上述したように、自己拡張型ステントの場合、拘束シースの引っ込めにより、薬剤、治療薬又は製剤がステントから擦れ落ちる場合がある。したがって、別の例示の実施形態では、ステント送達器械を改造して被膜が擦れ落ちる恐れを減少させるのがよい。これは、長尺ステント、例えば長尺のラパマイシン被覆ステントについて特に重要である。加うるに、送達シースをステント配備中に引っ込めると、ステント自体を損傷させる恐れもある。したがって、ステント送達器械を改造してステントの或る特定の領域に作用する力をステントの一層多くの領域に分布させることによりかかる力を実質的に減少させるのがよい。本明細書において説明するステント及びステント送達システムは、本来的に単なる例示に過ぎず、当業者であれば、開示した設計を多くのステント及びステント送達システムに利用できることは理解されよう。
図35及び図36は、本発明の例示の自己拡張型ステント送達器械5010を示している。器械5010は、内側及び外側の同軸管を有している。内側管をシャフト5012と呼び、外側管をシース5014と呼ぶ。自己拡張型ステント7000が、シース5014内に配置されており、ステント7000は、シース5014と摩擦接触し、シャフト5012は、ステント7000のルーメン内に同軸状に納められている。
シャフト5012は、近位端部5016及び遠位端部5018を有している。シャフト5012の近位端部5016には、ルアー(Luer)ガイドワイヤハブ5020が取り付けられている。図4から最もよく分かるように、シャフト5012の近位端部5016は好ましくは、研削されたステンレス鋼ハイポチューブ(hypotube)である。例示の一実施形態では、ハイポチューブは、ステンレス鋼製であり、その近位端部のところの外径が0.042インチ(1.067mm)であり、遠位端部のところの0.036インチ(0.914mm)の外径までテーパしている。ハイポチューブの内径は、その長さ全体にわたって0.032インチ(0.813mm)である。テーパした外径は、ハイポチューブの剛性をその長さに沿って漸次変化させるのに利用されている。ハイポチューブの剛性のこの変化は、ステント配備中に必要なより剛性の近位端部又は取っ手端部を計算に入れている。近位端部が十分に剛性でなければ、以下に説明するテュオヒーボルスト(Tuohy Borst)弁を越えて延びるハイポチューブ部分が、配備力を伝えているときに座屈する場合がある。ハイポチューブの遠位端部は、これよりも可撓性が高く、曲がりくねった血管内での良好な追従性を見込んでいる。ハイポチューブの遠位端部は又、ハイポチューブと以下に説明するコイル部分との間の移行部を最小限に抑えるよう可撓性である必要がある。
以下に詳細に説明するように、シャフト5012は、本体部分5022を有し、その少なくとも一部は、可撓性のコイル状部材5024から作られており、圧縮又は閉じコイルばねと見掛け上非常によく似ている。シャフト5012は、本体部分5022の遠位側に位置する遠位部分5026を更に有し、この遠位部分は好ましくは、高密度ポリエチレンとナイロン(Nylon:登録商標)の同時押し出しで作られている。2つの部分5022,5026は、当業者に知られている多くの手段によって互いに接合され、かかる手段としては、熱融合、接着、化学的結合又は機械的取付けが挙げられる。
図37から最もよく分かるように、シャフト5012の遠位部分5026には遠位先端部5028が取り付けられている。遠位先端部5028は、当該技術分野において知られている多くの適当な材料から多層又は単層構造として作ることができ、かかる材料としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン及びポリエチレンが挙げられる。遠位先端部5028は、近位端部5030を有し、その直径は、その直ぐ隣りのシース5040の外径と実質的に同一である。遠位先端部5028は、その近位端部5030からその遠位端部5032まで小さな直径までテーパしており、遠位先端部5028の遠位端部5032は、シース5014の内径よりも小さな直径を有している。
ステント送達器械5014は、ステント配備部位へのナビゲーション中、ガイドワイヤ8000(図35に示す)上でこれに沿って滑動する。本明細書で用いる「ガイドワイヤ」は、遠位保護器械が収納された類似の案内器具をも指している。1つの好ましい遠位保護器具が、公開されたPCT出願第98/33443号明細書(国際出願日:1998年2月3日)に開示されている。上述したように、遠位先端部5028が剛性が高過ぎると、ガイドワイヤ経路に打ち勝ってガイドワイヤ8000をルーメン壁に押し付け、或る非常に曲がりくねった状況では、ステント送達器械5010がワイヤを脱出させる場合がある。ワイヤに打ち勝ち、ステント送達器械をルーメン壁に押し付けることにより、医用器具が標的領域に到達するのが阻止される場合がある。というのは、ガイドワイヤは、医用器具をもはや操向させないからである。また、ステント送達器械を前進させてルーメン壁に押し付けると、病変部からのデブリが脱落し、上流側に移動する場合があり、それにより遠位血管ルーメンに合併症が生じる。遠位先端部5028は、極めて可撓性の高い先導縁部及び可撓性の低い部分への漸次移行部を備えるよう設計されている。遠位先端部5028は、中空であるのがよく、多くの適当な材料で作ることができ、かかる材料としては、40Dナイロン(Nylon:登録商標)が挙げられる。その可撓性は、その断面直径の厚さを漸次増大させることにより変えることができ、それにより直径がその遠位端部のところで最も小さく、その近位端部のところで最も大きい。即ち、遠位先端部5028の断面直径及び肉厚は、近位方向に進むにつれて増大する。これにより、遠位先端部5028の遠位端部5032には、遠位先端部5028の直径が大きく、肉厚が大きく且つ可撓性の低い部分がガイドワイヤに打ち勝つ前に、ガイドワイヤによる操向性が与えられる。上述したようにワイヤに打ち勝つのは、ステント送達器械がその剛性に起因してワイヤに追従するのではなく医用器具の方向を決定する時点である。
ガイドワイヤルーメン5034は、ガイドワイヤ8000と遠位先端部5028のガイドワイヤルーメン5034との間に僅かな摩擦係合があるように推奨サイズのガイドワイヤを抱え込むようになった直径を有している。遠位先端部5028は、その遠位部分5032とその近位部分5030との間に丸形部分5036を有している。これは、シース5014が、遠位先端部5028上でこれに沿って遠位側に滑ってシース5014の正方形縁部が血管に露出するのを阻止するのに役立ち、もしそうでなければ、それにより血管が損傷する。これは、医用器具の「プッシャビリティ」を改善する。遠位先端部5028が抵抗に遭遇しても、シース5014がこの上に載ってシース5014の正方形の切り口を露出させることはない。これとは異なり、シース5014は、遠位先端部5028の丸形部分5036に接触し、かくして遠位先端部5028に加えられた力を伝える。遠位先端部5028は、近位側にテーパした部分5038を更に有し、この近位側テーパ部分5038は、ステントをストラット端部又はルーメン内周部の他の凸凹を掴み又は引っ掛かる場合のある鋭い縁部をもたらさないで、遠位先端部5028を配備されたステント7000中に案内するのを助ける。
シャフト5012の遠位部分5026にはストップ5040が取り付けられており、このストップは、遠位先端部5028及びステント7000の近位側に位置している。ストップ5040を、当該技術分野において知られている多くの適当な材料から作ることができ、かかる材料としては、ステンレス鋼が挙げられ、このストップは、更により好ましくは、放射線不透過性の高い材料、例えばプラチナ、金、タンタル又は放射線不透過性物質入りポリマーから作られる。ストップ5040を機械的結合又は接着剤による結合を含む任意適当な手段、又は当業者に知られている任意他の手段によりシャフト5012に取り付けるのがよい。好ましくは、ストップ5040の直径は、シース5014との摩擦接触を生じないで、装填状態のステント7000と十分に接触するほど大きい。後で説明するように、ストップ5040は、ステント7000がステント配備のためにシース5014を引っ込めている間、シース5014内で近位側に移動するのを阻止することにより、配備中ステント7000を「押し」又はその相対位置を維持するのに役立つ。放射線不透過性ストップ5040は又、以下に説明するように血管内への配備中、標的病変野内にステント7000を位置決めするのを助ける。
ステントベッド5042が、遠位先端部5028とストップ5040との間に位置するシャフト5012の部分として構成されている(図36)。ステントベッド5042とステント7000は同軸状であり、ステントベッド5042を有するシャフト5012の遠位部分5026がステント7000のルーメン内に配置されるようになっている。ステントベッド5042は、シャフト5012とシース5014との間にスペースがあるので、ステント7000との接触は最小限である。ステント7000がオーステナイト相変態時の温度を受けると、ステントは、シース5014内で半径方向外方に動くことによりそのプログラムされた形状に戻ろうとする。シース5014は、後で詳細に説明するようにステント7000を拘束する。シャフト5012に取り付けられた装填状態のステント7000の遠位端部の遠位側には、放射線不透過性マーカ5044が設けられており、この放射線不透過性マーカ5044は、プラチナ、イリジウム、被覆プラチナ、金、タンタル、ステンレス鋼、放射線不透過性物質入りポリマー又は当該技術分野において知られた任意他の適当な材料で作られたものであるのがよい。
図36、図37及び図44から分かるように、シャフト5012の本体部分5022は、閉じコイル又は圧縮ばねに類似した可撓性コイル状部材5024から作られている。ステント7000の配備中、ストップ5040からルアーガイドワイヤハブ5020への圧縮力の伝達は、配備精度における重要な因子である。シャフト5012の圧縮性が高いと、その結果として配備の正確さが低下する。というのは、シャフト5012の圧縮は、ステント7000をX線透視イメージング下で視覚化する場合、考慮に入れられていないからである。しかしながら、圧縮性の低いシャフト5012は通常は、可撓性が低いことを意味し、これは器械5010が曲がりくねった血管を通ってナビゲートする能力を損ねる。コイル状組立体により、可撓性と耐圧縮性の両方が得られる。器械5010を動脈を通ってナビゲートしているとき、シャフト5012は、圧縮状態にならず、したがってコイル状部材5024は、送達経路と共に自由に曲がることができる。ステント7000を配備する場合、シース5014を包み込み状態のステント7000上でこれに沿って引っ込めているとき、張力がシース5014に加わる。ステント7000は自己拡張型のものなので、これはシース5014と接触状態にあり、力がステント7000に沿ってシャフト5012のストップ5040に伝えられる。この結果、シャフト5012は圧縮力を受けた状態になる。これが起こると、コイル状部材相互間に間隙が無ければ、可撓性コイル状部材5024は、圧縮力を或る1つのコイルから次のコイルへ伝達する。
可撓性コイル状部材5024は、曲げモードと圧縮モードの両方においてコイル状部材5024の座屈に抵抗するのを助けるよう可撓性コイル状部材5024に被せられた覆い5046を更に有している。覆い5046は、押出しポリマー管であり、この覆いは好ましくは、可撓性コイル状部材5024の曲げに順応するよう僅かに伸びることができるが、コイルが互いに重ならないようにする軟質材料である。覆い5046を多くの適当な材料から作ることができ、かかる材料としては、ナイロン(Nylon:登録商標)と高密度ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等の同時押出し物が挙げられる。この押出し物は、ストップ5040にも取り付けられる。可撓性コイル状部材5024を当該技術分野において知られている多くの材料で作ることができ、かかる材料としては、ステンレス鋼、ニチノール及び硬質ポリマーが挙げられる。例示の一実施形態では、可撓性コイル状部材5024は、厚さ0.003インチ(0.076mm)、幅0.010インチ(0.254mm)のステンレス鋼リボンワイヤから作られる。このワイヤは、丸形であってもよいが、より好ましくは可撓性コイル状部材5024のプロフィールを減少させるよう平らである。
シース5014は好ましくは、ポリマーカテーテルであり、シースハブ5050(図35)のところで終端する遠位端部5048を有している。シース5014は、ステント7000が図36に示すように非配備位置にあるとき、シャフト5012の遠位先端部5028の近位端部5030のところで終端する遠位端部5052を更に有している。シース5014の遠位端部5052は、その外面に沿って設けられた放射線不透過性マーカーバンド5054を有している(図35)。以下に説明するように、ステント7000は、マーカーバンド5054が放射線不透過性ストップ5040の近くに位置したとき、完全に配備又は展開され、かくして送達器械5010を体から抜去しても今や安全であることが外科医に知らされる。
図36に詳細に示されているように、シース5014の遠位端部5052は、拡大部分5056を有している。拡大部分5056は、拡大部分5056の近位側のシース5014の内径及び外径よりも大きな内径及び外径を有している。拡大部分5056は、あらかじめ装填されたステント7000、ストップ5040及びステントベッド5042を収容している。外側シース5014は、拡大部分5056の近位端部のところが小さな寸法の直径まで近位側にテーパしている。この設計は、1999年2月3日に出願された同時係属米国特許出願第09/243,750号明細書により詳しく記載されており、かかる米国特許出願明細書の記載内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。拡大部分5056の近位側のシース5014の外径の寸法が小さいことによる特定の一利点は、送達器械5010と案内カテーテル又はシースとの間に生じ、送達器械5014が通される隙間が増大することにある。X線透視法を用いると、外科医は、送達器械5010が案内カテーテル内に配置された状態で放射線不透過性溶液を案内カテーテル又はシース中に注入することによりステントの配備前後において血管内の標的部位の像を視認することになろう。拡大部分5056の近位側のシース5014の外径をテーパさせ又は減少させることにより、シース5014と案内カテーテルとの間の隙間が増大するので、高い注入速度を達成でき、その結果、外科医にとって標的部位の良好な像が得られる。シース5014をテーパさせることにより、ステントの配備前と後の両方において放射線不透過性流体の高い注入速度が得られる。
初期の自己拡張型ステント送達システムに関する問題は、ステントがこれを収納するシース内にめり込むようになるという問題である。図45を参照すると、ステントがシース内にめり込むようになるのを実質的に阻止するよう効果的に利用できると共に以下に詳細に説明するような他の利点をもたらすシース構造が示されている。図示のように、シース5014は、少なくとも2つの層、好ましくは3つの層の複合構造から成っている。外側層5060を任意適当な生体適合性材料から作るのがよい。好ましくは、外側層5060は、シース5014の挿入及び抜去を容易にする減摩性材料から作られている。好ましい実施形態では、外側層5060は、ポリマー材料、例えばナイロン(Nylon:登録商標)から成っている。内側層5062も又、任意適当な生体適合性材料から作られたものであるのがよい。例えば、内側層5062を多くのポリマーから作ることができ、かかるポリマーとしては、ポリエチレン、ポリアミド又はポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。好ましい実施形態では、内側層5062は、ポリテトラフルオロエチレンから成る。ポリテトラフルオロエチレンも又、ステントの送達を容易にし、ステント7000への損傷を阻止する減摩性材料である。内側層5062も又、ステントの配備を容易にするためにその減摩性を向上させる別の材料で被覆されたものであるのがよい。多くの適当な生体適合性材料を利用することができる。例示の実施形態では、シリコーンを主成分とする被膜を利用するのがよい。本質的には、シリコーンを主成分とする被膜の溶液を送達器械を通して注入し、室温で硬化させるのがよい。利用されるシリコーンを主成分とする被膜の量は、ステント7000への被膜の移着を阻止するよう最小限に抑える必要がある。外側層5060と内側層5062との間には、ワイヤ強化層5064がサンドイッチされている。ワイヤ強化層5064は、多くの形態を取ることができる。例示の実施形態では、ワイヤ強化層5064は、簡単な上下のウィーブ又は編組パターンを有している。ワイヤ強化層5064を形成するのに用いられるワイヤは、任意適当な材料及び任意適当な断面形状のものであってよい。例示の図示の実施形態では、ワイヤ強化層5064を形成するワイヤは、ステンレス鋼から成り、実質的に円形の断面を有している。ワイヤは、以下に詳細に説明するようにその意図した目的を達成するよう機能するため、直径が0.002インチ(0.051mm)である。
シース5014を構成する3つの層5060,5062,5064は、ひとまとまりになってステント配備具合をよくする。外側層5060は、送達器械5010全体の挿入及び抜去を容易にする。内側層5062及びワイヤ強化層5064は、ステント7000がシース5014内にめり込むのを阻止するよう働く。自己拡張型ステント、例えば本発明のステント7000は、所与の温度でプログラムされた直径まで拡張する傾向がある。ステントは拡張を行おうとすると、半径方向外向きの力を及ぼしてシース5014内にめり込むようになる場合があり、それによりステントの拡張が拘束される。したがって、ワイヤ強化層5064は、内側層5062に半径方向又はフープ強度を与え、それによりシース5014内でのステント7000の外向きの半径方向力に対し十分な耐性を生じさせる。内側層5062も又、上述したように、ステント7000を配備するのに必要な力(代表的には、約5〜8ポンド)を減少させるよう摩擦係数の小さな表面を備えている。ワイヤ強化層5064も又、引張強度をシース5014に与える。換言すると、ワイヤ強化層5064は、良好なプッシャビリティ、即ち、外科医によりシース5014の近位側の場所に加えられた力を遠位先端部5028に伝達する能力をシース5014に提供し、このプッシャビリティは、血管系内での堅い狭窄病変部を横切るナビゲーションを助ける。ワイヤ強化層5064は又、ステント配備のためのシース引っ込み中、引張荷重が加わる結果としての伸び及びくびれに対して良好な耐性をシース5014に与える。
シース5014は、その長さ全体に沿って又は例えばステント7000の長さに沿う或る特定の部分にのみ設けられた全部で3つの層から成るのがよい。好ましい実施形態では、シース5014は、その長さ全体に沿って全部3つの層から成る。
従来技術の自己拡張型ステント送達システムは、ワイヤ強化層を利用していなかった。代表的な自己拡張型ステントのサイズは、バルーン拡張型冠動静脈ステントと比較して比較的大きいので、このステントのための送達器械の直径又はプロフィールも大きくしなければならなかった。しかしながら、できるだけ小さい送達システムを用いることは例外無く有利である。これは、送達器械が細い血管内に至ることができ、患者への外傷が少ないので望ましい。しかしながら、上述したように、ステントを送達器械に薄い強化層を用いて得られる利点は、プロフィールが僅かに増大するという欠点よりも勝っている。
送達器械5010のプロフィールに対するワイヤ強化層の影響を最小限に抑えるため、ワイヤ強化層5064の形態を変更するのがよい。例えば、これは、多くの方法で達成でき、かかる方法としては編組のピッチを変えること、ワイヤの形状を変えること、ワイヤの直径を変えること及び(又は)利用されるワイヤの本数を変えることが挙げられる。好ましい実施形態では、ワイヤ強化層を形成するのに利用されるワイヤは、図46に示すように断面が実質的に矩形である。実質的に矩形断面のワイヤを利用する際、ワイヤ強化層5064の強度特徴を、送達器械のプロフィールを僅かに減少させた状態で維持するのがよい。この好ましい実施形態では、矩形断面のワイヤの幅は、0.003インチ(0.076mm)、高さは0.001インチ(0.025mm)である。したがって、ワイヤを図45に類似した方法で編組すると、0.002インチ(0.051mm)径の丸形ワイヤと同一の有利な特徴を維持しながらワイヤ強化層5064の厚さを50%減少する。平らなワイヤは、任意適当な材料から成るのがよく、好ましくはステンレス鋼から成る。
別の例示の実施形態では、送達システムのシースは、その内面に施された内側層又は被膜を有するのがよく、この内側層又は被膜はステントがその減摩性を向上させながらシースにめり込むのを実質的に阻止する。この内側層又は被膜を図45及び図46に示すシースに利用するのがよく、又は別な手段として、ステント配備力を減少させるよう利用してもよい。被膜の薄さが所与の場合、以下に詳細に説明するように、送達システムのプロフィール全体に及ぶ影響はもしあったとしても最小限に抑えられよう。シースの強度を高めると共にこれを一層減摩性にすることに加え、被膜は、極めて生体適合性が高く、これは被膜が少なくとも一時的ではあるが、血液に接触するので重要である。
本質的には、例示の実施形態では、硬質且つ減摩性の被膜が自己拡張型ステント送達システムのシースの内面に被着され又は取り付けられる。この被膜は、現在利用されている自己拡張型ステント送達システムと比較して多くの利点をもたらす。例えば、この被膜は、ステントが半径方向外向きの力を及ぼす硬い表面を提供する。上述したように、自己拡張型ステントは、送達システム内に装填されると、一定の外向きの拡張力をもたらす。この一定の且つ比較的大きな半径方向外向きの力は、送達システムのシースを構成するポリマー材料をクリープさせる場合があり、これによりステントはポリマー表面中に埋め込まれるようになる。直径の大きなステント、したがって半径方向外向きの力の大きなステントプラットホームが開発されたので、この減少の発生頻度は高くなるであろう。その結果、めり込みにより、ステントを配備するのに必要な力が大きくなる。というのは、かかるめり込みにより、送達システム内部でのステントの運動に対する機械的抵抗が引き起こされ、それにより正確な配備が阻止され、ステントに対する潜在的な損傷が生じるからである。加うるに、この被膜は減摩性であり、即ちこの被膜は低い摩擦係数を有している。上述したように、減摩性被膜は、ステントを配備するのに必要な力を一段と減少させるよう働き、それにより外科医によるステントの送達及び配備のしやすさが向上する。これは、新型設計の大径ステント及び(又は)半径方向力が大きく、プロフィールが大きく又は全体的直径が大きな設計の薬剤/ポリマー被覆ステントに関し特に重要である。減摩性被膜は、薬剤/ポリマー被覆ステントに関し特に有利である。したがって、かかる被膜は、ステントが配備前に送達システムのシースにめり込むのを阻止すると共にシースとステントとの間に働く摩擦を減少させるよう働き、これら両方により、配備力が減少することになろう。
種々の薬剤、治療薬又は製剤を医用器具、例えばステントにより局所投与することができる。例えば、ラパマイシン及び(又は)ヘパリンをステントにより投与して再狭窄、炎症及び凝固を減少させることができる。薬剤、治療薬又は製剤をステントに付着固定するための種々の技術が知られているが、薬剤、治療薬又は製剤を送達及び位置決め中、ステントに付着維持することは、手技又は治療が成功するかどうかにとって重要である。例えば、ステントの送達中、薬剤、治療薬又は製剤が除去されると、器具の破損が潜在的に生じる場合がある。自己拡張型ステントの場合、拘束シースを引っ込めると、薬剤、治療薬又は製剤がこすれてステントから脱落する場合がある。したがって、この潜在的な問題の予防は、治療用医用器具、例えばステントが成功裡に終わる上で重要である。
図47は、本発明の例示の実施形態としてのステント送達システムのシャフト及び改造型シースの部分断面図である。図示のように、被膜又は材料層5070が、シース5014の内周部に固定され又は取り付けられている。上述のように、被膜又は材料層5070は、硬く且つ減摩性の物質から成っている。好ましい実施形態では、被膜5070は、熱分解炭素から成る。熱分解炭素は、高い強度と優れた組織及び血液適合性を兼ね備えているので多種多様な植込み可能な医用プロテーゼで利用されると共に心臓弁において最も一般的に利用されている周知の物質である。
植込み可能な医用器具分野における熱分解炭素の有用性は、物理的特性と化学的特性の独特な組合せの結果にあり、かかる物理的及び化学的特性としては、化学的不活性、等方性、軽量、コンパクトさ及び弾性が挙げられる。熱分解炭素は、黒鉛の構造に類似したターボストラティック(turbostratic)炭素の特定の族に属する。黒鉛では、炭素原子は、比較的弱い中間層結合で層の状態に積み重ねられた平らな六角形のアレイの状態に共有結合されている。ターボストラティック炭素では、積み重ねシーケンスは、不規則であり、歪みが層の各々の中に存在する場合がある。層中のこれら構造的な歪みは、熱分解炭素の優れた延性及び耐久性の原因となっている。本質的に、熱分解炭素のミクロ構造は、材料を耐久性があり、強固であり、しかも耐摩耗性があるようにする。加うるに、熱分解炭素は、高い耐血栓形成性があり、血液及び軟組織との固有の細胞的生体適合性を有している。
熱分解炭素層5070をシース5014の長さ全体に沿って又は図36及び図37に示すステントベッド5042の近くにのみ被着させることができる。好ましい実施形態では、熱分解炭素層5070は、ステントベッド5042の付近でシース5014に固定される。熱分解炭素層5070をシース5014を構成するポリマー材料と適合性があり又はこれに使用できる多くの公知の技術を利用して内周部に被着させ又は取り付けることができる。熱分解炭素層5070の厚さは、シース5014の可撓性を減少させず又は自己拡張型ステント送達システムのプロフィールを増大させないでステントがシース5014にめり込むようになる恐れを無くし又は実質的に減少させるよう選択されている。上述のように、シースが体内の曲がりくねった経路をナビゲートするよう可撓性とプッシャビリティの両方があることが重要である。加うるに、経皮的に送達される器具のプロフィールを減少させることは例外なく望ましい。
上述したように、熱分解炭素表面は、特に血液接触用途に関し生体適合性があるものとして認識されている。しかしながら、これは、ステント送達用途の観点からはほんの小さな利点に過ぎない。というのは、シース5014内の熱分解炭素層5070の配置場所は、血液にごく僅かしか露出されず、ステントを送達するのに十分な期間の間、体内に位置するに過ぎないからである。
熱分解炭素層5070を上述したような多くの方法でシースのルーメンに取り付けることができる。例示の一実施形態では、熱分解炭素層5070をシース5014のルーメンに直接取り付けることができる。例示の別の実施形態では、この場合も又多くの公知の技術を利用して熱分解炭素層5070をまず最初に種々の基材に被着させることにより熱分解炭素層をシース5014のルーメンに間接的に被着させることができる。熱分解炭素層5070をシース5014に直接被着させるか又はまず最初に基材に被着させるかどうかとは無関係に、多くの公知の技術、例えば化学気相成長法を利用することができる。化学気相成長法では、炭素材料を約1,000K〜約2,500Kの温度で気体状の炭化水素化合物から適当な下に位置する基材、例えば炭素材料、金属、セラミックス及び他の材料上に被着させる。このような温度では、場合によっては基材を利用することが必要であることは理解されよう。生体適合性があり、耐久性があり、しかも可撓性のある任意適当な基材を利用し、周知の技術、例えば接着剤を利用してシース5014のルーメンに取り付けることができる。上述したように、プロフィール及び可撓性は、重要な設計特性であり、従って選択される基材材料の種類及び(又は)その厚さは検討されるべきである。多様なミクロ構造、例えば等方性ミクロ構造、ラメラー(lamellor)ミクロ構造、基材有核ミクロ構造の形成及び残りの水素の含有量の変化が、ソースガスの温度、種類、濃度及び流量を含む蒸着条件及び下に位置する基材の表面積に応じて熱分解炭素中で生じる場合があることに注目することが重要である。
熱分解炭素層5070をシース5014に直接又は基材に取り付けるのに利用できる他の方法としては、パルスレーザアブレーション蒸着、改造型高周波プラズマ法、物理気相成長法並びに他の公知の技術が挙げられる。熱分解炭素に加えて、類似の特性を与えるのに有用な他の物質としては、ダイヤモンド状炭素被膜、シラン/シリコンガラス状表面及び薄いセラミック被膜、例えばアルミナ、ヒドロキシアパタイト及びチタニアが挙げられる。
別の例示の実施形態では、熱分解炭素被膜を上記において概述したように、制御された有限多孔度を備えた状態で被着してもよい。この制御された有限多孔度は、2つの顕著な利点をもたらす。第1に、多孔度は、ステントが熱分解炭素被膜5070を備えている場合、接触表面積を減少させるのに役立つ場合があり、それによりステントとシース5014の内側ルーメンとの摩擦が減少する。第2に、減摩性材料、例えば生体適合性の油、ワックス及び粉末を被膜の多孔質表面内に注入し又は含浸させ、それにより減摩性材料のリザーバを生じさせ、それにより摩擦係数が一段と減少する。
図35及び図36は、ステント7000をその完全非配備又は非展開位置にあるものとして示している。これは、器械5010を血管系中に挿入し、その遠位端部が標的部位にナビゲートされているときに取るステントの位置である。ステント7000は、ステントベッド5042周りに且つシース5014の遠位端部5052のところに配置されている。シャフト5012の遠位先端部5028は、シース5014の遠位端部5052の遠位側に位置している。ステント7000は、圧縮状態にあり、シース5014の内面と摩擦接触している。
シース5014とシャフト5012は、患者の体内に挿入されているとき、これらの近位端部はテュオヒーボルスト弁5058により互いに係止される。これにより、ステント7000の時期尚早な配備又は部分的配備が結果的にもたらす場合のあるシャフト5012とシース5014との間の摺動運動が阻止される。ステント100がその標的部位に達し、いつでも配備可能な状態になると、テュオヒーボルスト弁5058を開いてシース5014とシャフト5012がもはや互いに係止されないようにする。
図39〜図43を参照することにより、送達器械5010によるステント7000の配備方法を最もよく説明することができる。図39では、送達器械5010は血管9000内に挿入されていて、ステントベッド5042が標的疾患部位に位置している。外科医は、ステント7000の端部を指示するシャフト5012の放射線不透過性マーカーバンド5054及びストップ5040が標的疾患部位のあたりに十分に配置されているといったん判定すると、テュオヒーボルスト弁5058を開く。外科医は次に、シャフト5012のルアーガイドワイヤハブ5020を掴んでシャフト5012を固定位置に保持する。しかる後、外科医は、シース5014の近位側に取り付けられたテュオヒーボルスト弁5058を掴み、そして図40及び図41に示すようにこれをシャフト5012に対し近位側へ摺動させる。ストップ5040は、ステント7000が摺動してシース5014と共に戻るのを阻止し、従ってシース5014を後方に動かしているとき、ステント7000はシース5014の遠位端部5052から効果的に「押し」出され又は標的部位に対して定位置に保持されるようになる。ステント7000を遠位側から近位側の方向に配備して疾患のある血管9000内に塞栓を生じさせる恐れを最小限に抑える。シース5014の放射線不透過性マーカーバンド5054が図42に示すように放射線不透過性ストップ5040の近位側に位置するとステント配備が完了する。器械5010を今やステント7000を通って引っ込め、患者から抜去することができる。
図36及び図43は、本発明と関連して使用できるステント7000の好ましい実施形態を示している。ステント7000は、図36では、配備前のその非拡張圧縮状態で示されている。ステント7000は好ましくは、超弾性合金、例えばニチノールから作られている。最も好ましくは、ステント7000は、約50.5パーセント(本明細書では、これらの割合は原子パーセントを意味している)Ni〜約60パーセントNi、最も好ましくは約55パーセントNiを含み残部が合金Tiである合金から作られる。好ましくは、ステント7000は、体温では超弾性を示し、好ましくは約21℃〜約37℃ではAfを有するようなものである。ステントの超弾性設計により、ステントは圧潰復元性を持つようになり、これは上述したように、種々の用途に関し多くの血管用器具のためのステント又はフレームとして使用できる。
ステント7000は、前方開口端部、後方開口端部及びこれら端部相互間に延びる長手方向軸線を備えた管状部材である。この管状部材は、患者の体内に挿入され、血管を通ってナビゲーションできる第1の小さな直径(図30)及び血管の標的野中に配備可能な第2のこれよりも大きな直径を有している。管状部材は、前方端部と後方端部との間に延びる複数の隣り合うフープ7002から作られている。フープ7002は、複数の長手方向ストラット7004及び隣り合うストラットを連結する複数のループ7006を有し、隣り合うストラットは、実質的にS又はZ形パターンを形成するよう互いに反対側の端部のところで連結されている。ステント7000は、隣り合うフープ7002を互いに連結する複数の湾曲したブリッジ7008を更に有している。ブリッジ7008は、ループの中心からずれたブリッジとループの連結箇所のところで隣り合うストラットを互いに連結している。
上述の幾何学的形状は、歪をステント全体にわたって良好に分布させるのに役立ち、ステントを曲げたときの金属間接触を阻止し、そして構造的特徴部であるストラット、ループ及びブリッジ相互間の開口サイズを最小限に抑える。ストラット、ループ及びブリッジを何個設けるかということ及びどのように設計するかということは、ステントの作業特性及び疲労寿命特性を決定する上での重要な因子である。好ましくは、各フープは、24〜36以上のストラットを有している。好ましくは、ステントは、200よりも大きなフープ1つ当たりのストラットの数とストラット長さ(単位:インチ)の比を有している。ストラットの長さは、ステントの長手方向軸線に平行にその圧縮状態で測定される。
構造的特徴部の受ける最大歪を最小限に抑えようとして、ステントは、歪を他よりも破損を受けにくいステントの領域に分布させる構造的な幾何学的形状を利用している。例えば、ステントの損傷を受け易い一領域は、連結用ループの内側の丸みである。連結ループは、ステントの全ての構造的特徴部の最大変形を生じる。フープの内側丸みは通常、最も高いレベルの歪がステントに加わる領域である。この領域も又、通常ステントの最も小さな丸みなので重要である。応力集中は一般に、可能な限り大きな丸みを維持することにより制御され又は最小限に抑えられる。これと同様に、ブリッジ及びブリッジとループの連結箇所に対する局所歪集中を最小限に抑えることが望ましい。これを達成する一方法は、加えられる力と両立する構造的特徴部の幅を維持しながら可能な限り最も大きな丸みを利用することにある。もう1つ考えられることは、ステントの最大開放領域を最小限に抑えることである。ステントが切断形成される元の管を有効利用することにより、ステントの強度が増大すると共にその塞栓材料捕捉性能が向上する。
上述したように、ポリマーと薬剤、治療薬及び(又は)製剤の組合せで被覆されたステントは、ステント配備中、ステントに作用する力を潜在的に増大させる場合がある。この力の増大は、ステントを損傷させる場合がある。例えば、上述したように、配備中、ステントは、外側シースを後方に摺動させる力に打ち勝つようストップに押し付けられる。長いステント、例えば200mm以上のステントの場合、シース引っ込み中にステントの端部に加わる力は、過剰なほど大きい場合があり、ステントの端部又はステントの他の部分に対する損傷を潜在的に引き起こす場合がある。したがって、かかる力をステントのより広い領域に分布させるステント送達器械が有用である。
図48は、ステント送達部分の改造型シャフト5012を示している。この例示の実施形態では、シャフト5012は、複数の隆起した部分5200を有している。隆起部分5200は、任意適当な寸法及び幾何学的形状のものであってよく、任意適当な方法で形成されたものであってよい。隆起部分5200は、任意適当な材料から成っていてよく、かかる材料としては、シャフト5012の構成材料が挙げられる。隆起部分5200の数も又様々であってよい。本質的に、隆起部分5200は、ステント7000の要素相互間の開放スペースを占めるのがよい。スペースの全てを満たしてもよく、又は選択されたスペースを満たしてもよい。換言すると、隆起部分5200のパターン及び数は好ましくは、ステントの設計によって決まる。図示の実施形態では、隆起部分又は突起5200は、隣り合うフープ7002の隣り合うループ7006相互間及びブリッジ7008相互間に形成されたスペースを占めるよう配置されている。
隆起部分5200を多くの方法で形成することができる。例えば、加熱されたクラムシェル金型又はワッフルアイアン加熱ダイ方式を用いて形成することができる。いずれの方法を利用しても、突起を有する内側シャフトの安価な大量生産が可能である。
隆起部分5200の寸法形状及びパターンを任意のステント設計に適合するよう変更できる。隆起部分5200の各々の高さ寸法は好ましくは、内側シャフト5012と外側シース5014との間に存在する僅かな間隙を補償するのに十分大きい。シャフト5012の隆起部分又は突起5200の高さHは好ましくは、最低でも、シャフト5012の外径IM(r)とシース5014の内径OM(r)との半径の差から医用器具又はステント7000の肉厚WTを引いた値よりも大きいことが必要である。この関係を表す方程式は次式で与えられる。
H>(OM(r)−IM(r))−WT (1)
例えば、シャフト5012の外径が0.08インチ(2.032mm)であり、シース5014の内径が0.1インチ(2.54mm)であり、ステント7000の肉厚が0.008インチ(0.203mm)であれば、隆起部分又は突起5200の高さは次のとおりである。
Figure 0004703969
又は、
H>0.002インチ(0.0508mm) (3)
もし隆起部分又は突起5200が圧縮可能でなければ、隆起部分5200の高さは好ましくは、シースの半径とシャフトの半径の差よりも小さいことに注目することは重要である。
各隆起部分5200は小さいが、隆起部分5200の数は多いのがよく、隆起部分5200は各々、小さな大きさの力をステント7002の種々の部分に加え、それにより力を分布させてステント7000を配備し又は展開すると共にステント7000の特に近位端部の損傷を阻止する。隆起部分5200は又、送達システム中へのステント7000の装填中、ステント7000を保護する。本質的に、配備又は展開中にステント7000に作用する同一の力が装填中、ステント7000に作用する。ステントの長手方向可撓性を得るには、ステントを解除し又は展開して繰返し可能な短く且つ正確な配置を保証する場合、ステントに加わる力ができるだけ小さいことが必要である。本質的に、ステント7000の長手方向運動を配備又は展開中、無くし又は実質的に減少させ、それによりステントの圧縮を無くし又は実質的に減少させることが好ましい。隆起部分5200が設けられていなければ、ステント7000を配備又は展開しているとき、圧縮力が送達システム及びステント7000を圧縮することになろう。この圧縮エネルギは、配備又は展開時に放出され、ステント7000の正確な配置の可能性を低くし、ステント「ジャンピング(jumping )」の恐れの原因となる。隆起部分5200が設けられていれば、ステント7000は動きにくくなり、それにより圧縮が生じず又は実質的に減少する。
別の例示の実施形態では、ステント送達器械のシャフトにいったん取り付けると、シャフトを加熱し、そして外部から加圧して送達システムの内側シャフトに鏡像関係をなす圧痕を形成するのがよい。この圧痕は、シースを引っ込めているときにステントがその位置を維持することができるようにする3次元表面を提供する。3次元圧痕は、熱だけ、圧力だけを用い又は別個の装置で形成することができる。
上述の医用器具のうち任意のものを用いて医用器具それ自体のすぐ周りではなく、他の領域への薬剤、治療薬及び(又は)製剤の局所投与を行うことができる。全身性薬剤投与と関連した潜在的な合併症を回避するため、本発明の医用器具は、治療薬を医用器具に隣接した領域に投与するのに用いることができる。例えば、ラパマイシンを被覆したステントは、ラパマイシンを、ステントの周りの組織及びステントの上流側及びステントの下流側の領域に投与することができる。組織穿通の度合いは、多くの要因で決まり、かかる要因としては、薬剤、治療薬又は製剤、薬剤の濃度及び治療薬の放出速度が挙げられる。同じことが吻合器具について当てはまる。
上述の薬剤、治療薬及び(又は)製剤/キャリヤ又はビークルの組成を多くの方法で調合することができる。例えば、これらの調合に際し、追加の製剤又は成分を利用し、かかる成分としては、種々の賦形剤及び(又は)製造性、被膜一体性、安定性、薬剤安定性及び薬剤放出速度に影響を及ぼす処方上の成分が挙げられる。本発明の例示の実施形態の範囲内において、賦形剤及び(又は)処方上の成分を添加して迅速放出及び持続放出薬剤溶出プロフィールの両方を達成するのがよい。かかる賦形剤としては、塩及び(又は)無機化合物、例えば、酸/塩基又は緩衝成分、酸化防止剤、界面活性剤、ポリペプチド、蛋白質、サクロース、グルコース又はブドウ糖を含む炭水化物、キレート化剤、例えばEDTA、グルタチオン又は他の賦形剤又は治療薬が挙げられる。
上述の医用器具のうちどれでも、薬剤、治療薬又は製剤を含む被膜で被覆してもよく、或いは、薬剤、治療薬又は製剤を含んでいない被膜で被覆してもよいことに注目することは重要である。加うるに、医用器具全体を被覆してもよく、或いは、器具の一部だけを被覆してもよい。被膜は、一様であってもよく、非一様であってもよい。被膜は、不連続であってもよい。
上述したように、多数の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を多数の医用器具を介して局所的に投与することができる。例えば、ステント及び吻合器具は、上記において詳細に説明したように種々の疾患状態及び体による反応を治療する薬剤、治療薬及び(又は)製剤を含む被膜を有するのがよい。治療用量の薬剤、治療薬及び(又は)製剤で被覆でき又はこれらを有することができる他の器具としては、概要を上述したステント−グラフト及びステント−グラフトを利用する器具、例えば、腹大動脈瘤及び他の動脈瘤、例えば、胸大動脈瘤を治療する器具が挙げられる。
ステント−グラフトは、その名称が示唆するように、ステント及びこれに取り付けられたグラフト材料から成る。図24は、例示のステント−グラフト800を示している。ステント−グラフト800は、以下に詳細に説明するように任意タイプのステント及び任意タイプのグラフト材料から成るのがよい。図示の例示の実施形態では、ステント802は、自己拡張器具である。代表的な自己拡張ステントは、互いに連結されたストラットから成る拡張可能な格子又はネットワークから成る。本発明の好ましい実施形態では、格子は、例えば、レーザ切断法により一体管状材料から製作される。
本発明によれば、ステントの形状は種々のものであってよい。例えば、ステントは、幾何学的形状を繰り返したものを形成するストラット等を備えるのがよい。当業者であれば、ステントは、或る特定の特徴を有すると共に(或いは)或る特定の機能を実行するよう構成され又は改造されたものであってよく、別の設計を用いるとその特徴又は機能を促進できることは想到できよう。
図24に示す本発明の例示の実施形態では、ステントのマトリックス又はストラット802を、少なくとも2つのフープ802の状態に形成するのがよく、フープ804は、多数のストラット806を菱形の状態に形成したものであり、約9つの菱形を有する。ステント802は、隣り合うフープを互いに連結するジグザグ状のリング808を更に有するのがよい。ジグザグ状リング808は、多数の交互に位置するストラット810から形成されたものであるのがよく、各リングは、54本のストラットを有している。
ステント802の内面又は外面をグラフト材料で被覆し又はかかる内面又は外面はグラフト材料を支持するのがよい。グラフト材料812は、当業者に知られた多数の材料から作られたものであるのがよく、かかるグラフト材料としては、ポリエステル、Dacron(登録商標)、Teflon(登録商標)、ポリウレタン、多孔質ポリウレタン、シリコーン、ポリエチレン、テレフタレート、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)及び種々の材料のブレンドの織物が挙げられる。
グラフト材料812は、好ましくは、所定の機械的性質を達成するよう種々の形態のものであってよい。例えば、グラフト材料は、単一又は多数の織り目及び(又は)プリーツ(ひだ)加工パターンを有してもよく、或いは、ひだが付けられたものであってもひだが付けられていないものであってもよい。例えば、グラフト材料は、平織、朱子織の状態に構成されていてもよく、長手方向ひだ、中断状態のひだ、環状又は螺旋ひだ、半径方向に差し向けられたひだ又はこれらの組合せから成っていてもよい。変形例として、グラフト材料を編成してもよく、或いは編組してもよい。グラフト材料がひだ付けされた本発明の実施形態では、ひだは、連続であってもよく、不連続であってもよい。また、ひだを長手方向に、円周方向に又はこれらの組合せの方向に差し向けてもよい。
図24に示すように、グラフト材料812は、その表面に沿ってステント−グラフト800の長手方向軸線に全体として平行に延びる複数の長手方向ひだ814を有するのがよい。ひだ814により、ステント−グラフト800は、患者の体内に送り出されたときの場合と同様その中心回りに潰れることができる。これにより、比較的ロープロフィールのデリバリシステムが得られると共にこれから制御され且つ首尾一貫した配備が得られる。この形態により、しわ及び他の幾何学的な凸凹を最小限に抑えると考えられる。次に行われる拡張の際、ステント−グラフト800は、その自然な円筒形の形を取り、プリーツ814は一様且つ対称に開く。
加うるに、ひだ814は、長手方向軸線に平行な方向を示し、これら線に沿うステントとグラフトの取付けを可能にし、それにより、取付け後におけるステントに対するグラフトの偶発的なねじれを阻止するので、ステント−グラフト製造を容易にするのに役立つ。ステント−グラフト800をデリバリシステムから押し出すのに必要な力も又、グラフトのひだ付き縁部だけがデリバリシステムの内面と摩擦接触するので減少させることができる。ひだ814の更にもう1つの利点は、血液がひだ814の溝内で全体として一様に凝固し、グラフト表面上における非対称又は大きな血餅の生成を抑制する傾向があり、それにより塞栓の恐れが減少することにある。
図24に示すように、グラフト材料812は、1以上、好ましくは複数の半径方向に向いたひだ中断部816を更に有するのがよい。ひだ中断部816は代表的には実質的に円形であり、長手方向軸線に垂直に差し向けられている。ひだ中断部816により、グラフト及びステントが選択された箇所で一層良好に曲がることができる。この設計により、良好な圧着性及び向上した耐キンク性を備えたグラフト材料が得られる。
上述のグラフト材料を編成又は製織するのがよく、そしてたて編み又はよこ編みしてもよい。材料をたて編みする場合、材料は、ベロア又はタオル状表面を備えるのがよく、これは、血餅の生成を促進し、それにより、周囲細胞構造中へのステント−グラフト又はステント−グラフトコンポーネントの一体化を促進すると考えられる。
グラフト材料を当業者に知られている多くの構造又は方法により、ステント又は別のグラフト材料に取り付けることができ、かかる構造又は方法としては、接着剤、例えば、ポリウレタングルー、ポリビニリデンフルオリド、ポリプロピレン、Dacron(登録商標)又は任意他の適当な材料の複数の従来型縫合糸、超音波溶接、機械的締り嵌め法及びステープルが挙げられる。
ステント802及び(又は)グラフト材料812を上述の薬剤、治療薬及び(又は)製剤のうちの任意のもので被覆するのがよい。例示の一実施形態では、上述の材料及び方法のうち任意のものを利用してラパマイシンをグラフト材料812の少なくとも一部に付着させるのがよい。別の例示の実施形態では、ラパマイシンをグラフト材料812の少なくとも一部に付着させ、ヘパリン又は他の抗血栓剤をステント802の少なくとも一部に付着させるのがよい。この形態では、ラパマイシン被覆グラフト材料812を用いて平滑筋細胞の過剰増殖を最小限に抑え又は実質的に無くすことができ、ヘパリン被覆ステントは、血栓の恐れを実質的に少なくすることができる。
利用される特定のポリマーは、これが付着される特定の材料で決まる。加うるに、特定の薬剤、治療薬及び(又は)製剤も又、ポリマーの選択に影響を及ぼす場合がある。上述のように、上述のポリマー及び方法を利用してラパマイシンをグラフト材料812の少なくとも一部に付着させるのがよい。別の例示の変形実施形態では、ラパマイシン又は任意他の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を多くの公知の方法を利用してグラフト材料812中に直接含浸させてもよい。
更に別の例示としての変形実施形態では、ステント−グラフトをグラフト材料をサンドイッチした2つのステントから形成してもよい。図25は、内側ステント902、外側ステント904及びこれらの間にサンドイッチされたグラフト材料906から形成されたステント−グラフト900の簡単な例を示している。ステント902,904及びグラフト材料906は、上述したのと同一の材料で作られたものであってよい。上述のように、内側ステント902を抗血栓剤又は抗凝固剤、例えば、ヘパリンで被覆し、外側ステント904を抗増殖剤、例えば、ラパマイシンで被覆するのがよい。変形例として、グラフト材料906を上述した薬剤、治療薬及び(又は)製剤のうちの任意のもの及びこれらの組合せで被覆することができ、或いは、これら3つの要素を全て同一又は互いに異なる薬剤、治療薬及び(又は)製剤で被覆することができる。
更に別の例示としての変形実施形態では、ステント−グラフトの設計を改造して、グラフトカフ又は折返し部を有するようにしてもよい。図26に示すように、グラフト材料906を外側ステント904の周りに折り返して、折返し部908を形成することができる。この例示の実施形態では、折返し部908にラパマイシン及びヘパリンを含む種々の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を装填するのがよい。上述の方法及び材料を利用し、又は他の手段を介して薬剤、治療薬及び(又は)製剤を折返し部908に付着させることができる。例えば、グラフト材料906が薬剤、治療薬及び(又は)製剤を溶出させる拡散バリヤとして働く状態で薬剤、治療薬及び(又は)製剤を折返し部908内に閉じ込めることができる。選択された特定の材料及びその物理的性質は、溶出速度を定める。変形例として、折返し部908を形成するグラフト材料906を1以上のポリマーで被覆して上述したように溶出速度を制御してもよい。
ステント−グラフトは、動脈瘤の治療のために利用できる。動脈瘤は、通常は全身性のコラーゲン合成又は組織的な血管により引き起こされる動脈壁の1又は複数の層の異常拡張である。腹大動脈瘤は、通常は2本の腸骨動脈の一方又は両方の中又はその近く、或いは腎動脈の近くに位置する動脈の腹側部分中の動脈瘤である。この動脈瘤は、例えば腎臓の下の疾患のある大動脈の腎内部分中で生じる場合が多い。胸大動脈瘤は、大動脈の胸側部分内の動脈瘤である。治療しないままにしておくと、動脈瘤は、破裂し、通常は迅速な致命的な出血を引き起こす。
動脈瘤は、これらの位置及びクラスタ内の動脈瘤の数によって分類され又はタイプ分けされる。代表的には、腹大動脈瘤は、5つのタイプに分類される。タイプI動脈瘤は、腎動脈と腸骨動脈との間に位置する単一の拡張である。代表的には、タイプI動脈瘤では、大動脈は、腎動脈と動脈瘤との間及び動脈瘤と腸骨動脈との間では健常である。
タイプIIA動脈瘤は、腎動脈と腸骨動脈との間に位置する単純な拡張である。タイプIIA動脈瘤では、大動脈は、腎動脈と動脈瘤との間は健常であるが、動脈瘤と腸骨動脈との間では健常ではない。換言すると、拡張は、大動脈分岐部まで延びている。タイプIIB動脈瘤は、3つの拡張部から成っている。1つの拡張部は、腎動脈と腸骨動脈との間に位置している。タイプIIA動脈瘤と同様、大動脈は、動脈瘤と腎動脈の間では健常ではあるが、動脈瘤と腸骨動脈との間では健常ではない。他の2つの拡張部は、大動脈分岐部と、外腸骨と内腸骨の分岐部との間で腸骨動脈中に位置している。腸骨動脈は、腸骨分岐部と動脈瘤との間では健常である。タイプIIC動脈瘤も又、3つの拡張部から成っている。しかしながら、タイプIIC動脈瘤では、腸骨動脈中の拡張部は、腸骨分岐部まで延びている。
タイプIII動脈瘤は、腎動脈と腸骨動脈との間に位置する単純な拡張部である。タイプIII動脈瘤では、大動脈は、腎動脈と動脈瘤との間では健常ではない。換言すると、拡張部は、腎動脈まで延びている。
腹大動脈瘤の破裂は、現在、米国において第13番目の死因である。腹大動脈瘤の慣例的な管理は、外科バイパス術であり、患部又は拡張セグメント内へのグラフトの配置を伴う。経腹膜又は腹膜後方式を介する合成グラフトによる切除が標準的な治療法であったが、これは相当な危険性を伴う。例えば、合併症としては、手術時心筋虚血、腎不全、勃起不能、腸虚血、感染、下肢虚血、麻痺を伴う脊髄損傷、大動脈−内臓瘻及び死が挙げられる。腹部大動脈瘤の外科的治療は、無症候性患者では5%、症候性患者では16〜19%という全体的な死亡率を伴い、破裂した腹大動脈瘤のある患者では50%という高い死亡率である。
死亡率の高さに加えて従来手術と関連した欠点として、大きな手術切開部及び腹腔の開放と関連した回復期間が長いこと、グラフトを大動脈に縫合する際の困難さ、グラフトを支持して補強する既存の血栓症状の喪失、腹大動脈瘤のある多くの患者にとって手術が不適当であること及び動脈の破裂後における緊急手術の実施と関連した問題が挙げられる。さらに、代表的な回復期間は、病院内で1〜2週間、家庭においては2〜3ヶ月、合併症が続いて生じた場合にはそれ以上の回復期間である。腹大動脈瘤のある多くの患者は、これら患者のうちの多くは年をとっていることと関連して、他の慢性の病気、例えば、心臓病、肺病、肝臓病及び(又は)腎臓病があるので、手術の候補者としては理想的とは言えない。
動脈瘤の発生は、腹部領域には限定されない。腹大動脈は一般に最もありふれたものであるが、大動脈の他の領域又はその枝部のうちの1つに動脈瘤が生じる場合がある。例えば、動脈瘤は、胸大動脈中に生じる場合がある。腹大動脈瘤の場合と同様、胸大動脈の動脈瘤を治療する広く受け入れられている方法は、手術による再建であり、これには動脈瘤セグメントをプロテーゼ器具で置き換える手技を含む。この手術は、上述したように、高いリスクがつきものであり、相当高い死亡率及び罹病率を伴う大きな計画である。
過去5年間にわたり、動脈瘤、具体的には、腹大動脈の治療のために低侵襲の経皮的な技術、例えば、カテーテルを用いた技術の開発に関心が向けられた多大な研究がなされた。これは、血管ステントの開発によって容易になり、かかる血管ステントは、ステント−グラフト又は体内グラフトを作るため、標準型又は薄肉のグラフト材料と関連して用いることができ、又そのように用いられている。低侵襲治療の潜在的な利点としては、病院及びICUにいる期間が短いことと共に手術による罹病率及び死亡率が低いことが挙げられる。
ステント−グラフト又は体内プロテーゼが今や、FDAにより認可され且つ市販されている。送達手順は一般に、遠隔の動脈、例えば、総大腿又は上腕動脈の外科的切開部を介して得られる血管接近部を介して行われる新血管造影技術を含む。適当なサイズの導入器をガイドワイヤに嵌める。カテーテル及びガイドワイヤを動脈瘤中に通し、適当なサイズの導入器がステント−グラフトを収容した状態で、ステント−グラフトをガイドワイヤに沿って適当な位置まで前進させる。ステント−グラフト器具の典型的な配備には、ステント−グラフトの位置を内側安定化器具で維持した状態で外側シースを抜去する必要がある。大抵のステント−グラフトは、自己拡張性であるが、追加の血管造影手技、例えば、バルーン血管形成術が、ステント−グラフトの位置を固定するために必要な場合がある。ステント−グラフトの配置に続き、標準血管造影図を得ることができる。
上述の器具の直径が大きく、代表的には20フレンチ(3F=1mm)以上なので、動脈切開部の閉鎖には、外科手術による再建が必要である。手技の中には、動脈瘤を正しく治療するため又は両方の下肢への流れを維持するために追加の外科的方法、例えば、下腹動脈塞栓化、血管結紮又は手術によるバイパスが必要なものがある。これと同様に、手技の中には、動脈瘤を首尾良く除くと共に漏れを効果的に無くすために、追加の新カテーテル利用技術、例えば、血管形成術、ステント留置法及び塞栓化が必要なものがある。
上述の体内プロテーゼは、従来の外科的方法と比べて、顕著な技術的進歩をもたらしたが、体内プロテーゼ、これらの使用方法及び種々の生物学的状態への適用性を向上させる必要がある。したがって、腹大動脈瘤及び胸大動脈瘤を含む動脈瘤を治療する安全且つ効果的な別法をもたらすために、現在公知の体内プロテーゼ及びこれらのデリバリシステムと関連した多くの問題を解決する必要がある。体内プロテーゼの使用に関する一問題は、体内漏れ及び脈管構造の通常の流体力学の妨害である。任意の技術を用いる器具は好ましくは、必要に応じて位置決め及び再位置決めが簡単であり、好ましくは、迅速な流体密シールをもたらし、好ましくは、動脈瘤のある血管及び枝血管の両方の通常の血液の流れを妨害しないで、移動を阻止するよう繋留されるべきである。加うるに、この技術を用いる器具は好ましくは、二股になっている血管、曲がりくねった血管、急角度をなす血管、部分的に疾患のある血管、石灰化された血管、異形の血管、短い血管及び長い血管内での繋留、密封及び維持が可能でなければならない。これを達成するため、体内プロテーゼは好ましくは、短期間及び長期間にわたる流体密シール及び繋留位置を維持した状態で伸長可能であり且つ再構成可能でなければならない。
体内プロテーゼは又好ましくは、カテーテル、ガイドワイヤ及び開放外科的インターベンションの必要性を実質的に無くす他の器具を用いて経皮的に送られることができなければならない。したがって、カテーテル内での体内プロテーゼの直径は、重要な要因である。これは、大径の血管、例えば、胸大動脈中の動脈瘤について特に当てはまる。
上述したように、1以上のステント−グラフトを動脈瘤の治療のために利用することができる。これらステント−グラフト又は体内プロテーゼは、多くの材料及び形態から成る場合がある。図27は、腹大動脈瘤を治療する例示のシステムを有している。このシステム1000は、第1のプロテーゼ1002及び2つの第2のプロテーゼ1004,1006を有し、これらプロテーゼは組合せ状態で、動脈瘤1008をバイパスする。例示の図示の実施形態では、システム1000の近位部分を動脈瘤1008の上流側の動脈の部分1010内に位置決めし、システム1000の遠位部分を動脈又は別の動脈、例えば、腸骨動脈1012,1014の下流側部分内に位置決めするのがよい。
本発明のシステムに用いられるプロテーゼは代表的には、開放近位端部及び開放遠位端部を備えた内部空間又はルーメンを備える相互連結状態のストラットで構成された支持体、ステント又は格子を有する。格子は又、内部表面及び外部表面を備えている。格子の内面及び(又は)外面又は格子の一部を、少なくとも1つのガスケット材料又はグラフト材料で被覆し又はこれを支持するのがよい。
本発明の好ましい実施形態では、プロテーゼは、拡張又は膨らまし位置と非拡張又は萎み位置との間及びこれらの間の任意の位置に動くことができる。本発明の幾つかの例示の実施形態では、完全潰し状態から完全拡張状態にのみ動くプロテーゼを提供することが望ましい場合がある。本発明の他の例示の実施形態では、プロテーゼを拡張し、次に、プロテーゼを潰し又は部分的に潰すことが望ましい場合がある。このようにできることは、外科医がプロテーゼを正しく位置決めし又は再位置決めするために都合がよい。本発明によれば、プロテーゼは、自己拡張性であってよく、或いは、膨らまし可能な器具、例えば、バルーン等を用いて拡張可能であってもよい。
図27に戻ってこれを参照すると、システム1000は、腹大動脈の腎内ネック1010内に配備されており、その上流側において、動脈が第1及び第2の総腸骨動脈1012,1014に分かれている。図27は、腎内ネック1010内に位置決めされた第1のプロテーゼ又はステントガスケット1002及び2つの第2のプロテーゼ1004,1006を示しており、これら第2のプロテーゼの近位端部は、ステントガスケット1002の近位部分と嵌合し、これらの遠位端部は、総腸骨動脈1012又は1014内へ延びている。図示のように、各第2のプロテーゼの本体は、動脈瘤1008の場所を通る導管又は流体流れ経路を形成している。本発明の好ましい実施形態では、システム1000のコンポーネントは、動脈瘤のある動脈の部分をバイパスする流体流れ経路を構成している。
第1のプロテーゼは、密封材料又はフォームを支持する支持マトリックス又はステントを有し、その一部は、生物学的流体の流れ経路を横切って、例えば、血液の流れ経路を横切って位置決めされている。本発明の好ましい実施形態では、第1のプロテーゼ、ステント及び密封部材は半径方向に拡張可能であり、これらはプロテーゼの近位部分とプロテーゼの遠位部分との間に中空空間を構成している。第1のプロテーゼは、プロテーゼを動脈内に位置決めして繋留する1以上の構造及び少なくとも1つの第2のプロテーゼ、例えば、バイパスプロテーゼを定位置に係合させて固定する1以上の構造を更に有するのがよい。
第1のプロテーゼの支持マトリックス又はステントを多種多様な材料で作ることができると共に多種多様な形状に構成することができ、これらの形状及び使用法は、当該技術分野では周知である。例示の従来技術のステントは、米国特許第4,733,665号明細書(発明者:パルマズ)、米国特許第4,739,732号明細書(発明者:パルマズ)及び米国特許第4,776,337号明細書(発明者:パルマズ)に開示されており、これら米国特許の各々の記載内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。
本発明の好ましい実施形態では、第1のプロテーゼのステントは、金属又は金属合金、例えば、ニチノール又はステンレス鋼で作られた押潰し可能であって可撓性の自己拡張格子又はマトリックスである。ステンレス鋼で作られた構造体は、ステンレス鋼を所定の方法で構成し、例えば、ステンレス鋼を編組形態にねじることにより自己拡張性であるように作ることができる。より好ましくは、ステントは、密封部材を支持する管状フレームである。本明細書で用いる「管状」という用語は、1又は複数の側壁がこれらの間に延びる中空空間又はルーメンを構成するような任意の形状を意味しており、断面形状は一般に、円筒形、楕円形、長円形、矩形、三角形又は任意他の形状であってよい。さらに、この形状は、ステント又はプロテーゼに圧接できる種々の力の結果として変化し又は変形可能であってよい。
ステントによって支持される密封材料又はガスケット材料を、多種多様な材料で作ることができると共に多種多様な形状に構成することができ、これらの形状及び使用法は、当該技術分野においては周知である。本発明のこの特徴に用いられる例示の材料は、米国特許第4,739,762号明細書(発明者:パルマズ)及び米国特許第4,776,337号明細書(発明者:パルマズ)に開示されており、これら両方の米国特許明細書の記載内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。
密封材料又はガスケット部材は、任意適当な材料から成ってよい。例示の材料としては好ましくは、生体耐久性及び生体適合性がある材料が挙げられ、かかる材料としては、連続気泡フォーム材料及び独立気泡フォーム材料が挙げられるが、これらには限定されない。例示の材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、及び可撓性の構造を提供する任意他の種々のポリマー材料(好ましくは、製織又は編成されている)、例えば、Dacron(登録商標)が挙げられる。圧縮性の高いフォームが、好ましくは、圧着状態のプロフィールを送達を良好にするために薄く保つために特に好ましい。密封材料又はフォームは好ましくは、圧縮状態にあるとき、血液に対して実質的に不透過性である。
密封材料は、ステントの1以上の表面を覆うのがよく、即ち、内壁又は外壁、或いはこれら両方に沿って位置決めされるのがよく、そして好ましくは、ステントの近位端部又は近位部分を横切って延びる。密封材料は、血液が第1のプロテーゼの周り、例えば第1のプロテーゼと動脈壁との間及び1以上のバイパスプロテーゼを第1のプロテーゼのルーメン内に配備した後1以上のバイパスプロテーゼの周りを流れようとするのを妨げるのに役立つ(これについては以下に詳細に説明する)。
本発明の好ましい実施形態では、密封材料は、ステントの近位端部の一部をステントの外壁の少なくとも一部に沿って引き伸ばし又はこれを覆う。
本発明の幾つかの実施形態では、ステントの近位部分を覆っている密封材料の一部がガイドワイヤを位置決めし、システムコンポーネント、例えば、第2のプロテーゼを位置決めすると共に(或いは)1以上のシステムコンポーネント、例えば、第2のプロテーゼに係合し、好ましくはこれと嵌合する1以上の穴、孔、点、スリット、スリーブ、フラップ、弱めスポット、ガイド等を有することが望ましい場合がある。例えば、カバー等として構成され、穴を備えた密封材料は部分的にステントルーメンを閉塞する場合がある。
これら開口部を主としてその用途に適合するよう種々の形にするのがよい。これら構造は、1以上の、好ましくは、複数のプロテーゼを第1のプロテーゼ内に並置状態で正しく配置するのを促進し、本発明の幾つかの実施形態では、密封材料を、完全配備システム又はコンポーネントの或る特定の形状を維持するのに役立つよう構成するのがよい。さらに、これら開口部は、プロテーゼの配備前に存在してもよく、或いは、配備手技の一部としてプロテーゼに形成してもよい。開口部の種々の機能は、以下の説明から明らかになろう。本発明の例示の実施形態では、密封材料は、単一の穴を備えたフォームカバーである。
密封材料を種々のコネクタのうち任意のものを用いてステントに取り付けることができ、かかるコネクタとしては、ポリビニリデンフルオリド、ポリプロピレン、Dacron(登録商標)又は任意他の適当な材料で構成され又はこれらに取り付けられた複数の従来型縫合糸が挙げられる。密封材料をステントに他の方法としては、接着剤、超音波溶接、機械的な締り嵌め法及びステープルが挙げられる。
1以上のマーカをステント内又はステント上に、その近位端部と遠位端部との間で設けるのがよいが、このようにするかどうかは任意である。好ましくは、2以上のマーカが、解剖学的特徴又は別のシステムコンポーネントと関連してプロテーゼ上の位置を突き止めるため、或いは、プロテーゼ又はその一部の位置を突き止めるために寸法決めされると共に(或いは)位置決めされる。
第1のプロテーゼは代表的には、動脈瘤の上流側の動脈通路内に配備され、動脈を開くと共に(或いは)拡張し、システムの種々のコンポーネントを正しく位置決めすると共に(或いは)係留し、そして他のコンポーネントと組み合わせてシステム又はその何箇所かの部分を流体の漏れが生じないよう密封する役目を果たす。例えば、密封プロテーゼを腹大動脈瘤の修復又は再建に役立つよう患者の腹大動脈瘤と腎動脈との間で腎内ネック内に配備するのがよい。
図27〜図29は、本発明の例示の密封プロテーゼを示している。密封プロテーゼ1002は、代表的には複数のストラット1018を相互に連結して形成された円筒形又は長円形の自己拡張格子、支持体又はステント1016を有している。ステント1016は、2つの開口端部、即ち、近位端部1022と遠位端部1024を備えた内部空間又はルーメン1020を構成している。1以上のマーカ1026を、ステント内又はステント上で近位端部1022と遠位端部1024との間に設けるのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
ステント1016は、少なくとも2つ、好ましくは8つ(図28に示す)の互いに間隔を置いた長手方向脚部1028を更に有するのがよい。好ましくは、ストラット1018により形成された菱形の各頂点1030から延びる脚部が設けられている。少なくとも1つの脚部、好ましくは各脚部は、その遠位端部に隣接してフランジ1032を有し、このフランジ1032は、ステント1016をその部分的又はほぼ完全な配備後にそのデリバリ器具内へ引っ込めることができ、これを正しい位置合わせのために回転し又は他の仕方で再位置決めできるようにすることができるようにする。
図29は、ステントガスケット1002の近位端部1022を覆っている密封材料1034を示している。図29に示す例示の実施形態では、密封プロテーゼ1002は、第1の開口部又は穴1036及び第2の開口部又はスリット1038を備えた密封材料1034から成っている。ガスケット材料は、ステントの内部又は外部の少なくとも一部を多い、最も好ましくは、ステントの外部の実質的に全てを覆う。例えば、ガスケット材料1034は、ステント1016を近位端部1022から遠位端部1024まで覆うが、好ましくは長手方向脚部1028は覆わないように構成されたものであるのがよい。
密封材料1034は、バイパスプロテーゼ1004,1006を配備した後(図27に示す)、血液がバイパスプロテーゼ1004,1006の周りを流れると共にステントガスケット1002それ自体の周りを流れようとするのを妨げるのに役立つ。この実施形態の場合、密封材料1034は、ステント1016の外部及びステント1016の内部の少なくとも一部に沿って設けられた圧縮可能な部材又はガスケットである。
第2のプロテーゼ1004,1006は、例えば図24を参照して説明したステント−グラフトから成るのがよく、上述したような薬剤、治療薬及び(又は)製剤のうちの任意のもので被覆するのがよい。換言すると、ステント−グラフト材料を上述のポリマー及び方法のうち任意のものを利用する上述の薬剤、治療薬及び(又は)製剤のうちの任意のもので被覆するのがよい。ステントガスケット1002も又、上述の薬剤、治療薬及び(又は)製剤のうちの任意のもので被覆するのがよい。換言すると、ステント及び(又は)密封部材を上述のポリマー及び方法のうち任意のものを利用する上述の薬剤、治療薬及び(又は)製剤のうちの任意のもので被覆するのがよい。特に、ラパマイシン及びヘパリンは、平滑筋細胞の過剰増殖及び血栓症を防止するうえで重要なものである。他の薬剤、治療薬及び(又は)製剤も利用できる。例えば、再内皮化を促進する薬剤、治療薬及び/又は製剤を利用して生体内へのプロテーゼの組み込みを容易にするのがよい。また、塞栓物質をステント−グラフトに混ぜ込んで内部漏れの恐れを減少させるのがよい。
腹大動脈瘤を再建する上述のシステムは、かかるシステムの一例であることに注目することは重要である。ステント−グラフトを有する多くの動脈瘤再建システムを適当な薬剤、治療薬及び(又は)製剤並びにこれらの組合せで被覆するのがよい。例えば、胸大動脈瘤を同様な方法で再建できる。動脈瘤のタイプ又は生体内でのその位置とは無関係に、再建システムを構成するコンポーネントを、ステント−グラフトと関連して上述したような適当な薬剤、治療薬及び(又は)製剤で被覆するのがよい。
動脈瘤、特に腹大動脈瘤の治療と関連した問題は、体内漏れである。体内漏れは一般的には、ステント−グラフトのルーメンの外部ではあるが、動脈瘤嚢又はステント−グラフトで治療中の隣接血管セグメント内の血流の持続として定義される。本質的に、体内漏れは、2つの主要なメカニズムのうちの一方により引き起こされ、各メカニズムは、多くの考えられる様式を備えている。第1のメカニズムは、動脈瘤嚢又は血管セグメントの不完全な密封又は排除を伴う。第2のメカニズムは、逆行性の流れを伴う。この種の体内漏れでは、動脈瘤嚢中への血液の流れは、開存状態の側副血管、特に腰動脈又は下腸間膜動脈からの血液の逆行に起因して逆になる。この種の体内漏れは、完全な密封かステント−グラフトの周りで達成された後でも生じる場合がある。また、体内漏れは、ステント−グラフトの破損、例えばグラフト織物の引き裂きに起因して生じる場合がある。
体内漏れは、タイプ別に分類できる。タイプIの体内漏れは、ステント−グラフトの近位又は遠位取付け部位でのグラフト周りの漏れである。本質的にこの種の体内漏れは、持続的なグラフト周りの血流チャネルがステント−グラフトの端部のところでの非効果的な又は不適切な密封に起因して生じる場合に起こる。タイプIの体内漏れには多くの原因が考えられるが、かかる原因としては、ステント−グラフトの不適切な寸法設定、ステント−グラフトの移動、ステント−グラフトの不完全な拡張、動脈管腔の不規則な形状が挙げられる。タイプIIの体内漏れは、大動脈の開存枝管から動脈瘤嚢内への持続性のある側副血流である。本質的に、動脈瘤嚢内の圧力は、側副枝管よりも低く、それにより逆行性血流を引き起こす。タイプII体内漏れの源としては、副腎動脈、精巣動脈、腰動脈、正中仙骨動脈、下腸間膜動脈、脊髄動脈が挙げられる。タイプIII体内漏れは、腹大動脈瘤修復システム又はそのコンポーネント、例えばステント−グラフトの構造的な破損によって引き起こされる場合がある。タイプIII体内漏れは、モジュール式コンポーネントを用いるシステムの接合部破損によっても引き起こされる場合がある。タイプIII体内漏れの源としては、ステント−グラフトの織物の引き裂き、綻び又は穴、モジュール式コンポーネントの不適当な寸法設定、モジュール式コンポーネントのオーバーラップの欠陥(少ないオーバーラップ)が挙げられる。タイプIV体内漏れは、グラフト材料それ自体を通過する血流である。グラフト材料の細孔又は織物の小さな穴を通る血流は、グラフト材料をステントに取り付けるステープル又は縫合糸によって引き起こされる場合がある。細孔を通る血流は代表的には、多孔度が高いグラフト織物で生じる。タイプV体内漏れ又は体内緊張(endotension)は、放射線又はX線によって検出可能な体内漏れの無い動脈瘤嚢の持続性又は再発性の加圧である。タイプV体内漏れの考えられる原因としては、血栓、多孔度の高いグラフト材料又は隣接大動脈管腔による圧力伝達が挙げられる。
上述の各タイプの体内漏れについては多くの考えられる治療オプションがある。特定の治療オプションは、主として体内漏れの原因で決まるが、オプションは、常に成功するとは限らない。本発明は、体内漏れの発生を無くし又は実質的に減少させることを目的とする既存の血管内腹大動脈瘤修復システム又は器具、例えば本明細書に記載した器具の改造に関する。
この改造例は、腹大動脈瘤修復システムを構成する種々のコンポーネントの少なくとも一部を以下に説明する創傷の治癒を促進する薬剤、治療薬及び(又は)製剤で被覆することである。例えば、図27に示す例示のシステム1000の部分を、創傷治癒プロセスを創傷治癒プロセスを誘発し又は促進、それにより体内漏れの恐れを小さくし又は実質的に小さくする1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤で被覆するのがよい。2つの第2のプロテーゼ1004,1006の端部及び第1のプロテーゼ1002全体を被覆すると特に有利な場合がある。というのは、これらは体内漏れの最も生じやすい領域だからである。しかしながら、ステント−グラフト全体、即ちグラフト材料とステントを被覆することは、体内漏れのタイプに応じて有利な場合があることが判明した。現在利用できる方法を用いて常に体内漏れを止めることはできないので、本発明に従って局所投与される創傷治癒治療薬を用いることは、急性及び慢性体内漏れを効果的に止め又は阻止するのに役立つ場合がある。本発明を任意の腹大動脈瘤修復システム又は漏れが潜在的な問題となる任意他のタイプのグラフトコンポーネントと組み合わせて利用できるということに注目することは重要である。本発明をタイプI、III、IV及びV体内漏れと関連して利用できる。
通常の創傷治癒は本質的に、或る程度のオーバーラップがある3つの段階又はフェーズで起こる。第1フェーズは、細胞の移動及び炎症である。このフェーズは、7日間続く。第2フェーズは、新しいコラーゲン合成が行われる2〜4週間の線維芽細胞の増殖である。第3フェーズは、瘢痕のリモデリングであり、代表的には1ヶ月〜1年間続く。この第3フェーズは、コラーゲンの架橋及び活性コラーゲンターンオーバーを含む。
上述したように、修復システムを介して修復部位に局所的に投与でき、創傷治癒を促進する或る特定の薬剤、治療薬及び(又は)製剤が存在し、かかる創傷治癒の促進により、体内漏れの発生を無くし又は実質的に減少させることができる。例えば、創傷治癒における早期のコラーゲン生成の増大は、創傷強度の増大をもたらす。したがって、コラーゲンを修復システムと組み合わせて創傷強度を増大させ、血小板凝集及びフィブリン生成を促進するのがよい。加うるに、或る幾つかの成長因子を修復システムと組み合わせて血小板の凝集及びフィブリン生成を促進すると共に創傷強度を増大させるのがよい。
血小板によって誘発される成長因子は、有糸分裂を引き起こし、結合組織内に存在する成長のための血清中の主要なマイトジェンである。血小板因子4は、ヘパリンを中性化することにより血液凝固を促進する血小板によって放出されたたんぱく質である。血小板により誘発される成長因子及び血小板因子4は、炎症及び修復において重要である。これらは、人の単核細胞、好中性細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞及び炎症細胞にとって活性である。トランスホーミング成長因子−βは、ポリペプチドホルモン又は成長、分裂及び骨髄による血液細胞の成熟を制御するよう身体によって作られる生物学的因子の錯体族の一部である。トランスホーミング成長因子−βは、組織及び血小板中に見られ、生体内で植込まれる創傷チャンバ内の全たんぱく質、コラーゲン及びDNA内容物を刺激することが知られている。トランスホーミング成長因子−βをコラーゲンと組み合わせることは、創傷治癒において極めて有効であることが示された。
血餅が生じ始める場合にはいつでも一連の反応が体内で起こる。これら反応の主要な開始剤は、組織因子/VIIa錯体と呼ばれる酵素系である。したがって、組織因子/VIIaを利用すると、血餅生成を促進し、かくして創傷治癒を促進することができる。血栓生成を開始させることが知られている他の治療薬としては、トロンビン、フィブリン、プラスミノジン活性化剤開始剤、アデノシンジホスフェート及びコラーゲンが挙げられる。
これら薬剤、治療薬及び(又は)製剤を修復システムの種々のコンポーネントと関連して用いることにより、血餅の生成及び創傷治癒により体内漏れの発生を無くし又は実質的に減少させることができる。
システム1000のコンポーネントを構成するステント及び(又は)グラフト材料を上述の薬剤、治療薬及び(又は)製剤のうち任意のもので被覆するのがよい。上述の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を上述の材料及びプロセスのうち任意のものを利用したコンポーネントの一部又はコンポーネント全てに付着させるのがよい。例えば、薬剤、治療薬及び(又は)製剤をポリマーマトリックス中に混ぜ込んでもよく、或いはシステムのコンポーネントの種々の部分に直接付着させてもよい。
利用される特定のポリマーは、これを付着させる特定の材料で決まる。加うるに、特定の薬剤、治療薬及び(又は)製剤は又、ポリマーの選択に影響を及ぼす場合がある。
上述したように、種々の薬剤、治療薬及び(又は)製剤で被覆可能な他の植込み可能な医用器具としては、外科用ステープル及び縫合糸が挙げられる。これら外科用器具を上述の薬剤、治療薬及び(又は)製剤のうち任意のもので被覆して種々の症状を治療すると共に(或いは)器具の植え込みに対する器官の反応を最小限に抑え又は実質的に無くすことができる。
図30は、未被覆状態又は裸の外科用ステープル3000を示している。ステープル3000を所与の用途について所要の強度要件を有する任意適当な生体適合性材料から作ることができる。一般に、外科用ステープルは、ステンレス鋼から成っている。図31は、多数の貫通穴3002を有する外科用ステープル3000の例示の実施形態を示しており、これら貫通穴3002は好ましくは、上述したような1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を収容している。1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤をポリマー混合物を用いて又は用いないで貫通穴3002内へ注入することができる。例えば、例示の一実施形態では、貫通穴3002は、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を貫通穴内に直接注入し、これらが貫通穴3002の大きさに基づいて特定の速度で溶離するように寸法決めされたものであるのがよい。別の例示の実施形態では、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を、溶離速度を制御する適当なポリマーと混合して貫通穴3002内に注入し又は詰め込んでもよい。さらに別の例示の実施形態では、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を貫通穴3002内に注入し又は詰め込んで溶離速度を制御するポリマーで被覆してもよい。
図32は、例示の実施形態としての外科用ステープル3000を示しており、被膜3004が外科用ステープルの実質的に表面全体を覆っている。この実施形態では、吹き付け又は浸漬を含む任意の数の公知の方法を利用して1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤をステープル3000に直接付着させることができ、或いは1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤をポリマーマトリックスと混ぜ合わせ又はこの中に混ぜ込み、次にステープル3000に付着させることができる。変形例として、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を直接ステープル3000の表面に付着させ、次に拡散バリヤを1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤の層に被着させてもよい。
種々の症状を治療すると共に(或いは)ステープル3000の植え込みに対する器官の反応を最小限に抑え又は実質的に無くすよう任意の数の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を外科用ステープル3000と関連して用いることができるが、好ましい実施形態では、外科用ステープル3000を抗増殖薬で被覆する。かかる器具の利点は、抗増殖薬被膜が、新内膜過形成に対する予防又は防御手段としての役目を果たすということにある。上述したように、新内膜過形成は、身体が傷つけられたと認識する部位、例えば過形成事象の部位であることが多い吻合部位、例えば組織間吻合部位又は組織とインプラントの吻合部位のところで多発する場合がある。抗増殖薬を有するステープルを用いることにより、新内膜過形成の発生頻度を実質的に減少させ又は無くすことができる。
ラパマイシンは、外科用ステープル3000の外部又は内部に利用でき、上述のポリマー材料のうち任意のものに混ぜ込むことができる公知の抗増殖薬である。ラパマイシンを用いた場合の追加の利点は、抗炎症薬としてのその作用にある。二重作用は、新内膜過形成を減少させるよう機能するだけでなく炎症を軽減するよう機能する。
さらに別の例示の実施形態では、外科用ステープル3000を例えば1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を含むポリマー材料のような材料から作ることができる。特定の実施形態とは無関係に、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤の溶離速度を上述したように制御することができる。
次に、図33を参照すると、縫合糸材料400の一部が示されている。縫合糸4000は、吸収性縫合糸と非吸収性縫合糸の両方の製造の際に通常利用される任意適当な材料から成るものでよい。図示のように、縫合糸4000は、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤の被膜402を有している。外科用ステープル3000に被着された被膜の場合と同様、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を、縫合糸4000に直接付着させることができ、又はポリマーマトリックスと混ぜ合わせ又はこの中に混ぜ込み、次に縫合糸4000に付着させることができる。また、上述したように、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を縫合糸4000に付着させ、次に、溶出又は放出速度を制御するために拡散バリア又は頂部被膜を1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤の層に被着させてもよい。
図34は、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤4004を含浸した縫合糸材料4000の一部を示している。1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を直接縫合糸材料4000中に含浸させることができ、或いはポリマーマトリックス中に混ぜ込み、次に縫合糸材料4000中に含浸させることができる。変形例として、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を縫合糸材料4000中に含浸させ、次にポリマー材料でこれを被覆してもよい。
さらに別の例示の実施形態では、縫合糸4000を、例えば1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤を含むポリマー材料のような材料から作ってもよい。例えば、1以上の薬剤、治療薬及び(又は)製剤をポリマーマトリックスと混ぜ合わせ、次に押し出すと共に(或いは)浸漬法により形成して縫合糸材料を形成してもよい。
利用される特定のポリマーは、これが取り付けられる特定の材料で決まる。加うるに、特定の薬剤、治療薬及び(又は)製剤は、ポリマーの選択にも影響を及ぼす場合がある。ラパマイシンは、ポリ(ビニリデンフルオリド)/ヘキサフルオロプロピレンと共に利用するのがよい。
最も実用的で好ましい実施形態と考えられるものを開示したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱しないで開示した特定の設計及び方法の変形例を想到できることは明らかである。本発明は、開示した特定の構成には限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に属する全ての変形例を含むものである。
本発明の具体的な実施形態は、以下の通りである。
(実施形態A)
自己拡張型ステントの送達システムであって、近位端部、遠位端部、近位端部と遠位端部との間に延びるガイドワイヤルーメン及び遠位端部の近くに設けられていて、自己拡張型ステントが載せられるステントベッド領域を有する実質的に管状のシャフトを有し、ステントベッド領域は、シャフトに沿うステントの長手方向運動を阻止する模様付き表面を有し、前記送達システムは、内容積部を備え、管状シャフト及びステント上に同軸状に取り付けられた実質的に管状のシースを更に有していることを特徴とする自己拡張型ステント送達システム。
(1)模様付き表面は、実質的に管状のシャフトから突き出た1以上の隆起要素を有していることを特徴とする実施形態A記載の自己拡張型ステント送達システム。
(2)1以上の隆起要素は、自己拡張型ステントを構成する要素相互間の間隙に一致したパターンで配列されていることを特徴とする実施形態A記載の自己拡張型ステント送達システム。
(3)1以上の隆起要素の高さは、シャフトの外径とシースの内径との半径の差からステントの肉厚を引いたものよりも大きいことを特徴とする上記実施形態(2)記載の自己拡張型ステント送達システム。
(4)1以上の隆起要素は、実質的に管状のシャフトの表面上に形成された隆起した実質的に矩形のこぶ状部から成ることを特徴とする上記実施形態(1)記載の自己拡張型ステント送達システム。
(5)模様付き表面は、自己拡張型ステントを構成する要素相互間の間隙の形状に一致したパターンの隆起要素を有していることを特徴とする実施形態A記載の自己拡張型ステント送達システム。
(6)1以上の隆起要素の高さは、シャフトの外径とシースの内径との半径の差からステントの肉厚を引いたものよりも大きいことを特徴とする上記実施形態(5)記載の自己拡張型ステント送達システム。
(実施形態B)
被覆医用器具の送達システムであって、近位端部、遠位端部、近位端部と遠位端部との間に延びるガイドワイヤルーメン及び遠位端部の近くに設けられていて、被覆自己拡張型ステントが載せられるステントベッド領域を有する実質的に管状のシャフトを有し、ステントベッド領域は、シャフトに沿う被覆自己拡張型ステントの長手方向運動を阻止する模様付き表面を有し、前記送達システムは、内容積部を備え、管状シャフト及び被覆自己拡張型ステント上に同軸状に取り付けられた実質的に管状のシースを更に有していることを特徴とする被覆医用器具送達システム。
(7)模様付き表面は、実質的に管状のシャフトから突き出た1以上の隆起要素を有していることを特徴とする実施形態B記載の被覆医用器具送達システム。
(8)1以上の隆起要素は、被覆自己拡張型ステントを構成する要素相互間の間隙に一致したパターンで配列されていることを特徴とする上記実施形態(7)記載の被覆医用器具送達システム。
(9)1以上の隆起要素の高さは、シャフトの外径とシースの内径との半径の差から被覆自己拡張型ステントの肉厚を引いたものよりも大きいことを特徴とする上記実施形態(8)記載の被覆医用器具送達システム。
(10)1以上の隆起要素は、実質的に管状のシャフトの表面上に形成された隆起した実質的に矩形のこぶ状部から成ることを特徴とする上記実施形態(7)記載の被覆医用器具送達システム。
(11)模様付き表面は、被覆自己拡張型ステントを構成する要素相互間の間隙の形状に一致したパターンの隆起要素を有していることを特徴とする実施形態B記載の被覆医用器具送達システム。
(12)1以上の隆起要素の高さは、シャフトの外径とシースの内径との半径の差から被覆自己拡張型ステントの肉厚を引いたものよりも大きいことを特徴とする上記実施形態 (11)記載の被覆医用器具送達システム。
ステントの外面及び特徴的なバンディングパターンを示す拡張前のステント(両端は示さず)の一部の図である。 本発明のリザーバを有する図1のステントの一部の図である。 トップコートが設けられていない本発明の被膜から時間の関数として放出される薬剤のフラクションを示すグラフ図である。 トップコートが設けられた本発明の被膜から時間の関数として放出される薬剤のフラクションを示すグラフ図である。 トップコートが設けられていない本発明の被膜から時間の関数として放出される薬剤のフラクションを示すグラフ図である。 ポリ(VDF/HFP)からのラパマイシンの生体内ステント放出速度論的条件を示すグラフ図である。 本発明の第1の例示の実施形態に従って薬剤被膜が被着された図1のステントのバンドの断面図である。 本発明の第2の例示の実施形態に従って薬剤被膜が被着された図1のステントのバンドの断面図である。 本発明の第3の例示の実施形態に従って薬剤被膜が被着された図1のステントのバンドの断面図である。 本発明に従って締結用フランジ及び取付け状態のステープル部材を備えた吻合器具の例示の一体形実施形態を示す図である。 本発明に従って締結用フランジ及び取付け状態のステープル部材を備えた吻合器具の例示の一体形実施形態を示す図である。 本発明に従って締結用フランジ及び取付け状態のステープル部材を備えた吻合器具の例示の一体形実施形態を示す図である。 本発明に従って締結用フランジ及び取付け状態のステープル部材を備えた吻合器具の例示の一体形実施形態を示す図である。 本発明の実施形態に従って解剖学的構造を互いに接合する器械の側面図である。 本発明に従って解剖学的構造のエッジを通る図14の器械のニードル部分を示す断面図である。 本発明の実施形態に従って吻合器具を通って引き込まれた図14の器械を示す断面図である。 図14の器械のステープルが本発明の例示の実施形態に従って解剖学的構造に近接して配置された状態を示す断面図である。 図14の器械のステープルが本発明の例示の実施形態に従って吻合器具の両側に係合した状態を示す断面図である。 ステープルが本発明の例示の実施形態に従って解剖学的構造を接合するために圧着された後のステープルを示す断面図である。 本発明に従って減摩性被膜が被着されたバルーンの断面図である。 本発明に従って減摩性被膜が被着された図1のステントのバンドの断面図である。 本発明に従って減摩性被膜が被着された送達器械内の自己拡張性ステントの部分断面図である。 本発明に従って改造型ポリマー被膜が被着された図1のステントのバンドの断面図である。 本発明の例示のステント−グラフトの側面図である。 本発明のステント−グラフトの別の例示の変形実施形態の部分断面図である。 本発明のステント−グラフトの別の例示の変形実施形態の部分断面図である。 本発明の完全配備状態にある大動脈再建システムの側面図である。 分かりやすくするために拡張状態で示す本発明の第1のプロテーゼ用ステントの斜視図である。 本発明のガスケット材料で被覆されたステントを有する第1のプロテーゼの斜視図である。 本発明の未被覆状態の外科用ステープルの略図である。 本発明の多数の貫通穴を備えた外科用ステープルの略図である。 本発明の被膜が外面に施された外科用ステープルの略図である。 本発明の被膜が施された縫合糸材料の一部の略図である。 本発明の被膜を表面中に含浸させた縫合糸材料の一部の略図である。 本発明に従って構成されたステント送達器械の概略立面図である。 図35と類似した図であるが、収納されたステントを示すよう切除された部分を有するステント送達器械の遠位端部の拡大図である。 本発明に従って構成された内側シャフトの遠位端部の概略立面図である。 図37の38−38線矢視断面図である。 本発明の器械の部分断面図であり、血管系内における自己拡張型ステントの配備を順次示す図である。 本発明の器械の部分断面図であり、血管系内における自己拡張型ステントの配備を順次示す図である。 本発明の器械の部分断面図であり、血管系内における自己拡張型ステントの配備を順次示す図である。 本発明の器械の部分断面図であり、血管系内における自己拡張型ステントの配備を順次示す図である。 本発明の器械の部分断面図であり、血管系内における自己拡張型ステントの配備を順次示す図である。 本発明に従って構成されたステント送達器械用のシャフトの概略立面図である。 本発明のステント送達器械のシャフト及びシースの部分断面図である。 本発明のステント送達システムのシャフト及び改造型シースの部分断面図である。 本発明のステント送達システムのシャフト及び改造型シースの部分断面図である。 本発明のステント送達システムの改造型シャフトの部分断面図である。
符号の説明
100 ステント
102 バンド
104 リンク
106 リザーバ
200 吻合器具
302 縫合糸
800 ステント−グラフト
802 ステント
804 フープ
806,810 ストラット
808 リング
812 グラフト材料
814 ひだ
908 折返し部
1002 第1のプロテーゼ又はステントガスケット
1004,1006 第2のプロテーゼ
1034 密封材料
3000 外科用ステープル
3002 貫通穴
3004 被膜
4000 縫合糸
4002 被膜
4004 薬剤、治療薬及び(又は)製剤
5010 自己拡張型ステント送達器械
5012 シャフト
5014 シース
5022 本体部分
5024 可撓性コイル状部材
5028 遠位先端部
5034 ガイドワイヤルーメン
5040 ストップ
5042 ステントベッド
5044 放射線不透過性マーカ
5046 覆い
5054 放射線不透過性バンド
5058 テュオヒーボルスト弁
5070 熱分解炭素層被膜
5200 隆起部分
7000 ステント
7002 フープ
7004 ストラット
7006 ループ
7008 ブリッジ

Claims (12)

  1. 自己拡張型ステントの送達システムであって、近位端部、遠位端部、近位端部と遠位端部との間に延びるガイドワイヤルーメン及び遠位端部の近くに設けられていて、自己拡張型ステントが載せられるステントベッド領域を有する実質的に管状のシャフトを有し、ステントベッド領域は、シャフトに沿うステントの長手方向運動を阻止する模様付き表面を有し、前記送達システムは、内容積部を備え、管状シャフト及びステント上に同軸状に取り付けられた実質的に管状のシースを更に有しており、
    前記自己拡張型ステントは、長手方向に複数設けられた複数のフープ、及び、隣り合うフープを互いに連結し長手方向および円周方向に複数設けられた複数のブリッジから構成される管状部材であって、前記複数のフープの各々は、複数のストラットおよび隣り合うストラットを連結する複数のループを有しており、
    前記模様付き表面は、前記実質的に管状のシャフトに形成され、前記実質的に管状のシャフトから突き出た複数の隆起要素を有しており、前記複数の隆起要素は、長手方向における複数の位置に配置されていて、自己拡張型ステントを構成する前記複数のフープ間の間隙に一致したパターンで配列されており、円周方向において隣り合う前記複数のブリッジ相互間に形成されたスペースに位置するように配置されていることを特徴とする自己拡張型ステント送達システム。
  2. 1以上の隆起要素の高さは、シャフトの外径とシースの内径との半径の差からステントの肉厚を引いたものよりも大きいことを特徴とする請求項1記載の自己拡張型ステント送達システム。
  3. 1以上の隆起要素は、実質的に管状のシャフトの表面上に形成された隆起した実質的に矩形のこぶ状部から成ることを特徴とする請求項1または2記載の自己拡張型ステント送達システム。
  4. 模様付き表面は、自己拡張型ステントを構成する前記複数のフープ間の間隙であって、円周方向において隣り合う前記複数のブリッジ相互間に形成されたスペースの形状に一致したパターンの隆起要素を有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の自己拡張型ステント送達システム。
  5. 1以上の隆起要素の高さは、シャフトの外径とシースの内径との半径の差からステントの肉厚を引いたものよりも大きいことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の自己拡張型ステント送達システム。
  6. 前記1以上の隆起要素の高さは、前記実質的に管状のシースの半径と前記実質的に管状のシャフトの半径の差よりも小さいことを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の自己拡張型ステント送達システム。
  7. 被覆医用器具の送達システムであって、近位端部、遠位端部、近位端部と遠位端部との間に延びるガイドワイヤルーメン及び遠位端部の近くに設けられていて、被覆自己拡張型ステントが載せられるステントベッド領域を有する実質的に管状のシャフトを有し、ステントベッド領域は、シャフトに沿う被覆自己拡張型ステントの長手方向運動を阻止する模様付き表面を有し、前記送達システムは、内容積部を備え、管状シャフト及び被覆自己拡張型ステント上に同軸状に取り付けられた実質的に管状のシースを更に有しており、
    前記自己拡張型ステントは、長手方向に複数設けられた複数のフープ、及び、隣り合うフープを互いに連結し長手方向および円周方向に複数設けられた複数のブリッジから構成される管状部材であって、前記複数のフープの各々は、複数のストラットおよび隣り合うストラットを連結する複数のループを有しており、
    前記模様付き表面は、前記実質的に管状のシャフトに形成され、前記実質的に管状のシャフトから突き出た複数の隆起要素を有しており、前記複数の隆起要素は、長手方向における複数の位置に配置されていて、被覆自己拡張型ステントを構成する複数のフープ間の間隙に一致したパターンで配列されており、円周方向において隣り合う前記複数のブリッジ相互間に形成されたスペースに位置するように配置されていることを特徴とする被覆医用器具送達システム。
  8. 1以上の隆起要素の高さは、シャフトの外径とシースの内径との半径の差から被覆自己拡張型ステントの肉厚を引いたものよりも大きいことを特徴とする請求項7記載の被覆医用器具送達システム。
  9. 1以上の隆起要素は、実質的に管状のシャフトの表面上に形成された隆起した実質的に矩形のこぶ状部から成ることを特徴とする請求項7または8記載の被覆医用器具送達システム。
  10. 模様付き表面は、被覆自己拡張型ステントを構成する前記複数のフープ間の間隙であって、円周方向において隣り合う前記複数のブリッジ相互間に形成されたスペースの形状に一致したパターンの隆起要素を有していることを特徴とする請求項7〜9の何れか1つに記載の被覆医用器具送達システム。
  11. 1以上の隆起要素の高さは、シャフトの外径とシースの内径との半径の差から被覆自己拡張型ステントの肉厚を引いたものよりも大きいことを特徴とする請求項7〜10の何れか1つに記載の被覆医用器具送達システム。
  12. 前記1以上の隆起要素の高さは、前記実質的に管状のシースの半径と前記実質的に管状のシャフトの半径の差よりも小さいことを特徴とする請求項7〜11の何れか1つに記載の被覆医用器具送達システム。
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