JP4703912B2 - 流量計測機能付きマスターバルブ - Google Patents

流量計測機能付きマスターバルブ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械などの空気圧機器を制御するためのマスターバルブに関するものであり、更に詳しくは、上記空気圧機器の稼動時に消費されるエアの消費流量と、非稼動時に消費されるエアの微小な漏れ流量とを測定するための機能を備えたマスターバルブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工作機械のような比較的エアの消費流量が大きい空気圧機器の制御には、マスターバルブが使用される。
一方、上述した空気圧機器で消費されるエアの消費流量や微小な漏れ流量等を測定するための方法として、従来より、差圧流量式や、超音波式、タービン式、オリフィス式などの各種方法が知られている。この中の差圧流量方式を利用する技術として、例えば特開2000−249579号公報には、絞り機構を利用して流体の圧力変化量及び流速を求め、流体の流量を算出する差圧式流量計について開示されている。これは、管路を流れる流体の圧力損失によって生じる第1の差圧と、絞り機構の入口と絞り部との間の第2の差圧とから、ベルヌーイの定理に従う管路断面積が変化したことのみによる補正圧力変化量を算出し、この補正圧力変化量を利用して流速を求め、その流速と管路断面積とから流体の流量を算出するものである。
【0003】
しかしながら、上述した公知の測定技術は、流量が定量的に消費されていて流量変動の少ない状態においては効果的であるが、消費流量が増大したときには、絞りが圧力損失となって測定精度が低下するという欠点がある。また、漏れ流量のような配管内を僅かに流れる微小流量の測定には不向きである。さらに、管路中にマスターバルブとは別に専用の測定装置を接続しなければならないため、配管が複雑になり易いという問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の技術的課題は、空気圧機器で消費されるエアの消費流量と微小な漏れ流量とを、差圧流量法を用いて精度良く測定することができ、また、管路中への接続も容易な、流量測定のための手段を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明によれば、圧力エア源に接続するための第1ポートと空気圧機器に接続するための第2ポートとを結ぶ流路中に直列に接続され、個別の切換手段により切換操作される第1バルブ及び第2バルブと、上記第1ポートと第1バルブとを結ぶ一次側流路、及び第2バルブと第2ポートとを結ぶ二次側流路にそれぞれ接続され、これらの流路中のエア圧力を測定して演算装置に出力する圧力センサーとを有する流量計測機能付きマスターバルブが提供される。上記第1バルブは、上記一次側流路を該第1バルブと上記第2バルブとを結ぶ中間流路に連通させる第1切換位置と、上記一次側流路を遮断しかつ上記中間流路を外部に開放する第2切換位置とに切換可能であり、上記第2バルブは、上記中間流路と二次側流路とを全開放状態で連通させる第1切換位置と制限開放状態で連通させる第2切換位置とに切換可能であり、上記第1バルブ及び第2バルブが何れも第1切換位置にあるとき、上記圧力センサで測定されるエア圧力に基づいて演算装置で空気圧機器におけるエアの消費量が算出され、上記第1バルブが第1切換位置にありかつ上記第2バルブが第2切換位置にあるとき、上記圧力センサで測定されるエア圧力に基づいて演算装置で空気圧機器におけるエアの漏れ流量が算出されるように構成される。
【0006】
上記構成を有する本発明のマスターバルブは、空気圧機器稼動時のエア供給状態及び消費流量測定状態と、非稼動時の漏れ流量測定状態と、稼動時又は非稼動時の残圧排気状態とに切り換えることができる。すなわち、空気圧機器の稼動時には、切換手段によって上記第1バルブを給気状態に切り換えると共に、第2バルブを流路の断面積が大きくなるように切り換えることにより、このマスターバルブはエア供給状態となる。そしてこのとき、一次側流路と二次側流路とにおけるエア圧力を圧力センサーでそれぞれ測定することにより、それらの差圧から差圧流量法に基づいて定常の消費流量を算出することができる。また、空気圧機器の非稼動時における漏れ流量測定状態では、上記第1バルブは給気状態のまま、第2バルブで流路の断面積を小さく絞ることにより、圧力エアはこの第2バルブを通じて制限的に空気圧機器に供給される。そして、このときの一次側流路と二次側流路とにおけるエア圧力を圧力センサーでそれぞれ測定することにより、それらの差圧から差圧流量法に基づいて空気圧機器からの微小な漏れ流量を算出することができる。さらに、空気圧機器の稼動時又は非稼動時における残圧排気状態では、上記第1バルブを排気状態に切り換えると共に、第2バルブを流路の断面積が大きくなるように切り換えることにより、空気圧機器からのエアを第1バルブを通じて急速排気することができる。
【0007】
かくして本発明によれば、空気圧機器の制御に用いられるマスターバルブを使用して、稼動時のエアの消費流量と非稼動時の微小な漏れ流量とを、差圧流量法を利用して2段階で測定することができ、また、専用の測定装置をマスターバルブとは別に管路中へ接続する必要がないため、管路の構成も簡単になる。
【0009】
本発明の好ましい具体的な実施態様によれば、上記第1バルブ及び第2バルブがそれぞれ、パイロットエアにより操作されるパイロット操作形バルブであり、また、上記第1バルブを切換操作するための切換手段が電磁パイロット弁であって、第2バルブを切換操作するための切換手段が手動操作弁である。
【0010】
本発明の他の具体的な実施態様によれば、上記第1バルブが3ポートバルブであって、上記第1ポートに通じる入力口と、上記第2バルブの入力口に通じる出力口と、排気口と、これらの開口を結ぶ流路を切り換えるための弁手段とを有しており、また、一方の上記第2バルブは2ポートバルブであって、上記第1バルブの出力口に通じる上記入力口と、上記第2ポートに通じる出力口と、これらの入力口と出力口との間を結ぶ流路を開閉するための弁手段とを有し、該第2バルブの弁手段に、第2切換位置において上記入力口と出力口とを制限的に連通させるためのオリフィスが設けられている。
【0011】
本発明のマスターバルブにおいては、上記第1バルブと第2バルブとが、上記各ポートと流路とを備えた一つのケーシング内に一体に組み込まれると共に、該ケーシングに上記切換手段及び圧力センサーが組み付けられている。
【0012】
本発明においては更に、上記マスターバルブと、上記圧力センサーにより測定されたエア圧力に基づいて計算式から空気圧機器におけるエアの消費流量と漏れ流量とを算出する演算装置とを有する流量計測装置が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態を記号によって示すもので、図中1は工作機械などの空気圧機器を制御するためのマスターバルブ、2はこのマスターバルブ1に接続された演算装置を示しており、これらのマスターバルブ1と演算装置2とによって流量計測装置が構成されている。
【0014】
上記マスターバルブ1は、圧力エア源7に接続するための第1ポートP と、空気圧機器8に接続するための第2ポートP と、排気用の第3ポートP とを有していて、上記第1ポートP と第2ポートP とを結ぶ流路9中に、個別の切換手段5,6によって切換操作される第1バルブ3と第2バルブ4とが直列に接続されている。
【0015】
上記第1バルブ3は、上記流路9を給気状態と排気状態とに切り換えるためのもので、パイロット操作形の3ポートバルブとして構成されている。即ちこの第1バルブ3は、上記第1ポートP に一次側流路9aを通じて連通する入力口10と、上記第2バルブ4の入力口20に中間流路9bを通じて連通する出力口11と、上記第3ポートP に通じる排気口12と、これらの各開口間を結ぶ流路を切り換えるための弁手段13とを有している。そして、この弁手段13に作用する復帰用のばね14と、切換手段5により供給されるパイロットエアとによって、上記一次側流路9aと中間流路9bとを連通させる第1切換位置と、一次側流路9aを遮断しかつ中間流路9bを外部に開放する第2切換位置とに切換可能となっている。
【0016】
また、上記第1バルブ3を切換操作するための切換手段5は、電磁力によって操作される3ポート式の電磁パイロット弁であって、パイロット流路16a,16bを通じて上記一次側流路9aと第1バルブ3とに接続され、この一次側流路9aからパイロットエアを上記第1バルブ3に供給するようになっている。
【0017】
一方、上記第2バルブ4は、上記流路9が給気状態及び排気状態にあるときは該流路の断面積を大きく保ち、空気圧機器8におけるエアの漏れ流量の測定時には上記流路9の断面積を小さく絞るためのもので、パイロット操作形の2ポートバルブとして構成されている。即ちこの第2バルブ4は、上記第1バルブ3の出力口11に通じる上記入力口20と、第2ポートP に通じる出力口21と、これらの各開口間を結ぶ流路を切り換えるための弁手段23とを有している。そして、この弁手段23に作用する復帰用のばね24と、切換手段6により供給されるパイロットエアとによって、上記中間流路9bと二次側流路9cとを全開放状態で連通させる第1切換位置と、オリフィス25を通じて制限開放状態で連通させる第2切換位置とに切換可能なるように構成されている。
【0018】
また、上記第2バルブ4を切換操作するための切換手段6は、手動により切換操作される3ポート式の手動操作弁であって、パイロット流路26a,26bを通じて上記一次側流路9aと第2バルブ4とに接続され、この一次側流路9aからパイロットエアを上記第2バルブ4に供給するものである。
【0019】
さらに、上記マスターバルブ1における一次側流路9a及び二次側流路9cにはそれぞれ、これらの流路中のエア圧力を測定するための圧力センサー28a,28bが接続され、これらの圧力センサー28a,28bが上記演算装置2に接続されている。
【0020】
この演算装置2には、差圧流量法による流量測定のための計算式が入力されていて、上記圧力センサー28a,28bで測定されたエア圧力がこの演算装置2に入力されると、上記計算式によってエアの瞬時流量と単位時間当りの積算流量とが算出され、それらが必要に応じてマスターバルブ1やその他の場所に設置された表示手段に表示されるようになっている。
【0021】
上記計算式は、下記に示すように、エアの消費流量と漏れ流量とをそれぞれ音速域について算出するための計算式1と、亜音速域について算出するための計算式2とに分かれている。
【0022】
(a)音速域
【数3】
Figure 0004703912
但し、 Qmax: 音速域での流量 l/min(標準状態)
C : 流体コンダクタンス l/( min・MPa abs )
PH : 一次側圧力 MPa abs
To : 絶対温度 273℃
T : 常温 ℃
【0023】
(b)亜音速域
【数4】
Figure 0004703912
但し、 Qn : 亜音速域での流量 l/min(標準状態)
C : 流体コンダクタンス l/( min・MPa abs )
b : 臨界圧力比
PH : 一次側圧力 MPa abs
PL : 二次側圧力 MPa abs
To : 絶対温度 273℃
T : 常温 ℃
【0024】
上記計算式中の流体コンダクタンスCと臨界圧力比bとは、マスターバルブ1の固有値であって、消費流量の測定時と漏れ流量の測定時とで数値が異なるものである。従って、使用するマスターバルブ1が決定されると、事前に、このマスターバルブ1が消費流量測定のための切換状態にあるときと、漏れ流量測定のための切換状態にあるときとの、それぞれの場合について上記流体コンダクタンスCと臨界圧力比bとが求められ、それらの数値が上記各式に組み込まれることによって計算が行われる。
【0025】
上記構成を有するマスターバルブ1は、圧力エア源7と空気圧機器8との間に接続され、該空気圧機器8の制御と、該空気圧機器8の稼動時におけるエアの消費流量の測定と、非稼動時における漏れ流量の測定とに使用される。すなわち、図1に示すように、空気圧機器8の稼動時には、上記第1バルブ3及び第2バルブ4が切換手段5,6によって共に第1切換位置に切り換えられることにより、このマスターバルブ1はエア供給状態となる。そしてこのとき、一次側流路9aと二次側流路9cとにおけるエア圧力を圧力センサー28a,28bでそれぞれ測定して演算装置2に入力することにより、この演算装置2において、差圧流量法に基づく上記計算式1及び計算式2によって稼動時のエア消費流量が算出される。
【0026】
また、空気圧機器8の非稼動時における漏れ流量の測定時には、図2に示すように、上記第1バルブ3が第1切換位置にあり且つ第2バルブ4が第2切換位置にあるようにマスターバルブ1が制御されることにより、圧力エアはこの第2バルブ4のオリフィス25を通じて制限的に空気圧機器8に供給される。そして、このときの一次側流路9aと二次側流路9cとにおけるエア圧力を圧力センサー28a,28bでそれぞれ測定することにより、上記計算式1及び計算式2により非稼動時のエアの漏れ流量が算出される。
【0027】
更に、空気圧機器8の残圧排気時には、図3に示すように、上記第1バルブ3が第2切換位置にあり且つ第2バルブ4が第1切換位置にあるようにマスターバルブ1が制御されることにより、空気圧機器8からのエアが第3ポートP を通じて急速排気される。
【0028】
図4〜図6は、図1に記号で示されているマスターバルブ1の具体的な実施形態を例示するもので、このマスターバルブ1は、上記第1ポートP と第2ポートP 及び第3ポートP を備えた一つのケーシング30を有していて、このケーシング30に上記第1バルブ3と第2バルブ4とを並べて内蔵すると共に、上記パイロット弁5と手動操作弁6及び圧力センサー28a,28bとを組み付けることにより、全体を一体に形成したものである。
【0029】
上記第1バルブ3は、上記入力口10と出力口11との間の供給弁座31と、出力口11と排気口12との間の排気弁座32と、これらの弁座31,32を開閉する上記弁手段13とを有している。この弁手段13は、弁孔33内に摺動自在に収容されたピストン34と、このピストン34から延びるバルブステム35と、このバルブステム35の先端に取り付けられて上記弁座31,32をポペット式に開閉する弁体36と、上記ピストン34とケーシング30との間に介設した復帰ばね14とを含んでいて、上記ピストン34の受圧面側に区画形成された圧力室38にパイロット弁5でパイロットエアを供給することにより、このパイロットエアと上記復帰ばね14との共同作用によって第1切換位置と第2切換位置とに切り換えられ、上記弁座31,32を交互に開閉するものである。
【0030】
上記パイロット弁5は、上記ケーシング30の上面に取り付けられ、該ケーシング30の内部に設けられたパイロット流路を通じて上記一次側流路9aと圧力室38とに接続されている。
【0031】
また、上記第2バルブ4は、上記入力口20と出力口21との間に形成された弁座41と、この弁座41を開閉する上記弁手段23とを有している。この弁手段23は、弁孔42内に摺動自在に収容されたピストン43と、このピストン43から延びるバルブステム44と、このバルブステム44の先端に取り付けられて上記弁座41をポペット式に開閉する弁体45と、上記ピストン43とケーシング30との間に介設された復帰ばね24とを含んでいて、上記ピストン43の受圧面側に形成された圧力室47に手動操作弁6でパイロットエアを供給することにより、このパイロットエアと上記復帰ばね24との共同作用によって第1切換位置と第2切換位置とに切り換えられ、上記弁座41を開閉する。そして、上記弁体45及びバルブステム44には、上記第2切換位置において上記入力口20と出力口21とを制限的に連通させるための小断面積の流路を形成する上記オリフィス25が設けられている。
【0032】
上記手動操作弁6は、上記ケーシング30の前面に取り付けられていて、該ケーシング30の内部に設けられたパイロット流路を通じて上記一次側流路9aと圧力室47とに接続され、ハンドル6aを回すことによって上記圧力室47にパイロットエアを供給できるように構成されている。
【0033】
また、上記ケーシング30の前面には、上記圧力センサー28a,28bで検出したエア圧力や、測定した消費流量及び漏れ流量等を選択的に表示するための表示部49が設けられると共に、その表示内容を選択するための切換スイッチ50が設けられている。
図中51a,51bは圧力測定用のポートであって、これらの各ポートにそれぞれ上記圧力センサー28a,28bが取り付けられている。
【0034】
図4〜図6に示す構成のマスターバルブを試作して試験的に使用し、その時の一次側圧力と二次側圧力とから上記計算式によりエアの消費流量と漏れ流量とを求めると共に、それらの圧力に対応する実測流量を求め、それらを比較した。
Figure 0004703912
【0035】
(2)消費流量の比較
上記マスターバルブが消費流量測定のための切換状態にあるときの流体コンダクタンス(C)、臨界圧力比(b)、有効断面積(S=計算値)は下記の通りである。
流体コンダクタンス(C): 5721.8/min・bar
臨界圧力比(b) : 0.184
有効断面積(S) : 67mm
上述した数値をそれぞれ上記計算式1,2に代入すると、音速域での消費流量の計算式は、
【数5】
Figure 0004703912
となり、亜音速域での消費流量の計算式は、
【数6】
Figure 0004703912
となり、これらの計算式から消費流量が算出される。
【0036】
また、このマスターバルブの実測による消費流量特性は図7の線図に示す通りである。この線図における各曲線は、一次側圧力に対する二次側圧力とエア流量との変化の関係を表すもので、例えば曲線Xは、一次側圧力が0.6Mpaである場合の二次側圧力とエア流量との変化を表していて、この曲線X上の点Yは、一次側圧力が0.6Mpaであるとき二次側圧力が0.53Mpaであって、そのときのエア流量が1500l/minであるということを表している。
【0037】
上記計算式1a,2aを用いて算出した消費流量の、実測流量に対する比を表1に示す。
【表1】
Figure 0004703912
この表から分かるように、上記構成のマスターバルブを使用し、その固有値である流体コンダクタンスと臨界圧力比とを組み入れた計算式から算出した消費流量は、実測流量に対し、音速域においても亜音速域においても±5%以内の精度を有する。
【0038】
(3)漏れ流量の比較
上記マスターバルブが漏れ流量測定のための切換状態にあるときの流体コンダクタンス(C)、臨界圧力比(b)、有効断面積(S=計算値)は下記の通りである。
流体コンダクタンス(C): 535.0/min・bar
臨界圧力比(b) : 0.216
有効断面積(S) : 40mm
【0039】
上述した数値をそれぞれ上記計算式1,2に代入すると、音速域での漏れ流量の計算式は、
【数7】
Figure 0004703912
となり、亜音速域での漏れ流量の計算式は、
【数8】
Figure 0004703912
となり、これらの計算式から漏れ流量が算出される。
【0040】
また、このマスターバルブの実測による漏れ流量特性は図8の線図に示す通りである。この線図における各曲線は、一次側圧力に対する二次側圧力とエアの漏れ流量との変化の関係を表すもので、その見方は図7の場合と同じである。
上記計算式1b,2bから算出した漏れ流量の、実測流量に対する比を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0004703912
この表から分かるように、上記マスターバルブを使用し、その固有値である流体コンダクタンスと臨界圧力比とを組み入れた計算式から算出した漏れ流量は、実測流量に対し、音速域においても亜音速域においても±5%以内の精度を有する。
【0042】
【発明の効果】
以上に詳述したように本発明によれば、エアの定常消費流量と微小な漏れ流量とを差圧流量法を利用して2段階で精度良く測定することができ、また、専用の測定装置を用意してマスターバルブとは別に管路中へ接続する必要がないため、管路の構成も簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を記号によって示す構成図である。
【図2】図1の装置の他の動作状態を示す構成図である。
【図3】図1の装置の更に他の動作状態を示す構成図である。
【図4】マスターバルブの一実施形態を示す正面図である。
【図5】図4のマスターバルブの側面図である。
【図6】図4のマスターバルブの断面図である。
【図7】マスターバルブの実測したエアの消費流量特性を示す線図である。
【図8】マスターバルブの実測したエアの漏れ流量特性を示す線図である。
【符号の説明】
第1ポート
第2ポート
第3ポート
1 マスターバルブ
2 演算装置
3 第1バルブ
4 第2バルブ
5 切換手段(パイロット弁)
6 切換手段(手動操作弁)
7 圧力エア源
8 空気圧機器
9 流路
9a 一次側流路
9b 中間流路
9c 二次側流路
10,20 入力口
11,21 出力口
12 排気口
13,23 弁手段
14,24 復帰ばね
25 オリフィス
28a,28b 圧力センサー
30 ケーシング

Claims (5)

  1. 圧力エア源に接続するための第1ポートと空気圧機器に接続するための第2ポートとを結ぶ流路中に直列に接続され、個別の切換手段により切換操作される第1バルブ及び第2バルブと、上記第1ポートと第1バルブとを結ぶ一次側流路、及び第2バルブと第2ポートとを結ぶ二次側流路にそれぞれ接続され、これらの流路中のエア圧力を測定して演算装置に出力する圧力センサーとを有し、
    上記第1バルブは、上記一次側流路を該第1バルブと上記第2バルブとを結ぶ中間流路に連通させる第1切換位置と、上記一次側流路を遮断しかつ上記中間流路を外部に開放する第2切換位置とに切換可能であり、
    上記第2バルブは、上記中間流路と二次側流路とを全開放状態で連通させる第1切換位置と制限開放状態で連通させる第2切換位置とに切換可能であり、
    上記第1バルブ及び第2バルブが何れも第1切換位置にあるとき、上記圧力センサで測定されるエア圧力に基づいて演算装置で空気圧機器におけるエアの消費量が算出され、上記第1バルブが第1切換位置にありかつ上記第2バルブが第2切換位置にあるとき、上記圧力センサで測定されるエア圧力に基づいて演算装置で空気圧機器におけるエアの漏れ流量が算出されるように構成された、
    ことを特徴とする流量計測機能付きマスターバルブ。
  2. 請求項に記載のマスターバルブにおいて、上記第1バルブ及び第2バルブがそれぞれ、パイロットエアにより操作されるパイロット操作形のバルブであり、また、上記第1バルブを切換操作するための切換手段が電磁パイロット弁であって、第2バルブを切換操作するための切換手段が手動操作弁であることを特徴とするもの。
  3. 請求項1又は2に記載のマスターバルブにおいて、上記第1バルブが3ポートバルブであって、上記第1ポートに通じる入力口と、上記第2バルブの入力口に通じる出力口と、排気口と、これらの開口を結ぶ流路を切り換えるための弁手段とを有し、一方の上記第2バルブは2ポートバルブであって、上記第1バルブの出力口に通じる上記入力口と、上記第2ポートに通じる出力口と、これらの入力口と出力口との間を結ぶ流路を開閉するための弁手段とを有し、該第2バルブの弁手段に、第2切換位置において上記入力口と出力口とを制限的に連通させるためのオリフィスが設けられていることを特徴とするもの。
  4. 請求項1からまでの何れかに記載のマスターバルブにおいて、上記各ポートと流路とを備えた一つのケーシング内に上記第1バルブと第2バルブとが一体に組み込まれると共に、該ケーシングに上記切換手段及び圧力センサーが組み付けられていることを特徴とするもの。
  5. 請求項1からまでの何れかに記載のマスターバルブと、上記圧力センサーにより測定されたエア圧力に基づいて計算式から空気圧機器におけるエアの消費流量と漏れ流量とを算出する上記演算装置とを有し、上記計算式が、
    Figure 0004703912
    Figure 0004703912
    但し、Qmax: 音速域での流量 l/min(標準状態)
    Qn : 亜音速域での流量 l/min(標準状態)
    C : 流体コンダクタンス l/( min・MPa abs )
    b : 臨界圧力比
    PH : 一次側圧力 MPa abs
    PL : 二次側圧力 MPa abs
    To : 絶対温度 273℃
    T : 常温 ℃
    であることを特徴とする流量計測装置。
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