JP4702177B2 - 駅構内用案内システム - Google Patents

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Description

本発明は、列車利用者を、当該利用者が所持する携帯端末を利用して列車乗車位置や改札出口まで誘導するようにした駅構内用案内システムに関する。
例えば、種々の交通機関と複雑に結び付いた形態の総合駅では、乗り入れ路線が多いため列車乗車位置までの経路が複雑であり、しかも、輸送能力を高めるために列車ダイヤが過密になる傾向にあるため、その利用者が少なからず戸惑うという事情がある。つまり、総合駅に不慣れな利用者にとっては勿論のこと、通勤や通学などで総合駅を常時利用している利用者にとっても、いつもとは違う列車を利用する場合には不案内なことが多いため、目的の列車乗車位置までの経路などについて戸惑う可能性が高いという事情がある。一般的に、このような利用者が列車に乗降する際には、駅内の掲示や案内放送などで、行き先、発車時刻、乗降対象の列車名、ホーム番号、乗換えがある場合の乗換駅などを確認することになる。このような確認を容易に行い得るようにするために、最近では、行き先などの掲示の方法や案内放送の内容が分かり易いように種々工夫することが行われているが、実際には、このような工夫にもかかわらず列車利用者が戸惑うことが多く、特に、時間に余裕がない場合などにおいて、目的の列車に乗り遅れるケース、或いは、誤って目的外の列車に乗車してしまうケースが発生する可能性が高くなる。
従来では、このような問題点に対処するために、駅構内に、利用者が挿入した乗車券のデータを読み取って、当該乗車券に係る列車の発車ホームなどを画面上で報知するという列車案内を行う列車案内装置を設置する手段(特許文献1参照)や、発券機にて乗車券及び座席指定券を発券する際に、列車内での座席位置、乗車ホーム、当該乗車ホーム上での乗車位置を印刷した乗車案内券を発券するようにした手段(特許文献2参照)などが提供されている。
また、従来では、携帯端末に駅構内地図を表示して、その地図画面上に、目的とする列車の乗車位置と現在位置とを表示するようにした案内システムも提供されている(例えば、特許文献3参照)。
実開平7−5165号公報 特開2003−281574号公報 特開平10−320597号公報
特許文献1及び2に記載された手段では、利用者が目的とする列車乗車位置などを、画面や印刷物により確認できるから、誤乗車を防止する上である程度の効果を期待できる。しかしながら、構内のレイアウトが複雑なことが多い総合駅の場合には、列車乗車位置が分かっていたとしても、当該乗車位置までの移動経路が判然としないケースが多々生ずると考えられる。このため、実際には、上記のように列車乗車位置を確認できただけでは、その乗車位置まで順調に辿り着くことが困難になる恐れがあり、場合によっては目的の列車に乗り遅れる事態を招くことがあるなど、十分な解決策とはいえないものであった。
また、特許文献3に記載された手段では、利用者が目的とする列車乗車位置と利用者の現在位置との関係を、携帯端末に表示された地図画面上で把握可能になる利点がある。しかしながら、このような地図画面だけでは、自分が向いている方向(進行方向)と目的地(列車乗車位置)との関係を把握し辛く、このため、正しい進行方向を認識するまでに多くの時間を費やす可能性があって、目的の列車乗車位置まで短時間で辿りつくことが困難になる恐れがあり、特に、方向感覚に劣る利用者の場合には、正しい進行方向の認識に多大な時間を浪費する可能性が大きくなるものであり、非常に不便になってしまう。
尚、以上のような問題点は、列車乗車位置までの移動時に限らず、列車利用者が列車から下車した後における改札出口(特には、列車利用者にとって好都合な改札出口)までの移動時においても同様に発生するという事情がある。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、列車利用者が目的とする列車乗車位置までの経路案内、或いは列車から下車した後における改札出口までの経路案内を、列車利用者側の簡単な操作により確実に行い得るようになる駅構内用案内システムを提供することにある。
請求項1記載の手段によれば、列車から下車した列車利用者が、その下車位置から改札出口までの経路案内を希望する場合には、まず、携帯端末の改札出口情報記憶手段に対して、列車利用者が目的とする改札出口の位置を示す改札出口情報を記憶させる。尚、このように改札出口情報を記憶させるための手段は種々考えられるが、例えば、列車利用者の乗車駅、下車駅或いは列車内に設置された情報提供サーバから複数の改札出口及び当該改札出口の周辺施設に係る情報を無線通信手段などにより取得し、その情報の中から改札出口の選択操作を行うことにより記憶させる構成、或いは下車ホームに設けた駅周辺案内地図看板上に位置を表示した改札出口と対応付けた状態で、その改札出口情報を含む2次元コードを表示し、この2次元コードを携帯端末に設けた2次元コードリーダにより読み取るのに応じて改札出口情報を得る構成などを採用できる。
一方、駅構内の通路の複数箇所には、その設置場所の特定が可能な位置情報を記録して成る情報記録担体が設置されており、前記列車利用者は、その身近に存在する情報記録担体の近傍位置において、携帯端末の現在位置情報取得手段による情報読取操作を行うことによって、当該情報記録担体に記録された位置情報を列車利用者の現在位置情報として取得する。
このような情報読取操作が行われたときには、携帯端末に備えられた方向決定手段が、その情報読取操作を行った列車利用者が向いている方向を決定するようになる。このような情報読取操作が行われた後には、携帯端末に備えられた誘導方向決定手段が、前記現在位置情報取得手段により取得した現在位置情報により示される列車利用者の現在位置、前記改札出口情報記憶手段に記憶された改札出口情報により示される改札出口の位置及び前記方向決定手段により決定された前記列車利用者が向いている方向に基づいて、当該列車利用者が進むべき誘導方向を決定するようになる。また、携帯端末に備えられた誘導方向報知手段が、このように決定された誘導方向を報知するようになる。
要するに、列車から下車した列車利用者が目的とする改札出口に向かおうとする場合に、駅構内の複数箇所に設置された情報記録担体の近傍位置で携帯端末による情報読取操作を行う毎に、その位置から進行すべき方向(誘導方向)が報知されるという経路案内サービスが行われるものであり、当該情報読取操作を次々と行うことにより目的とする改札出口の位置まで迷うことなく確実に辿り着けることになる。つまり、列車利用者が目的とする改札出口の位置までの経路案内を、列車利用者側の簡単な操作により確実に行い得るようになる。また、方向感覚に劣る列車利用者であっても、駅構内に設置された情報記録担体を見つけるだけで上記のような経路案内サービスを受けることができるから、非常に便利になる。
また、請求項1記載の手段によれば、携帯端末の改札出口情報記憶手段には、列車の乗車券または指定席券から少なくとも下車駅の特定が可能な切符情報を取り込んで記憶される。この場合、列車内には、当該列車が運行する駅に係る改札出口の周辺情報を含む下車駅情報を配信可能な列車内情報提供サーバが設置されており、携帯端末においては、下車駅情報取得通信手段が、改札出口情報記憶手段に記憶されている切符情報により特定される下車駅に係る下車駅情報を列車内情報提供サーバから取得するようになり、また、下車駅情報報知手段が当該下車駅情報取得通信手段を通じて取得した下車駅情報を報知するようになる。列車利用者は、携帯端末の改札出口選択手段を、上記のような下車駅情報報知手段による報知内容に基づいて操作することにより、目的とする改札出口の位置を示す改札出口情報を前記改札出口情報記憶手段に選択的に記憶させることができる。要するに、列車利用者が経路案内対象の改札出口を選択するに当たっては、列車内情報提供サーバに記憶された下車駅情報を参照できるものであるが、このような下車駅情報には駅周辺施設などに関して豊富な情報を盛り込むことが可能であるから、結果的に列車利用者の利便性の向上を図る上で有益になる。
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施例による駅構内案内システムで使用される携帯端末1の電気的構成が機能ブロックの組み合わせにより示されている。この図1において、携帯端末1は、列車利用者が容易に持ち運び可能な形態のものであれば良いものであり、例えば、携帯電話機、PDA、携帯型ゲーム機などを利用して実現することが可能である。また、駅構内用案内システムに専用の携帯端末を用意する構成も可能であり、このような専用携帯端末を用意する場合には、列車利用者に当該専用携帯端末を貸し出し、その後に不要になったとき(例えば、目的の列車乗車位置或いは目的の改札出口まで辿り着いたとき)に返却するというシステム構成を採用することができる。
携帯端末1は、CPUを主体に構成された制御回路部2(方向決定手段、誘導方向決定手段に相当)に対して、画像取り込み部3(現在位置情報取得手段に相当)、キー入力部4(改札出口選択手段に相当)、表示画面部5(誘導方向報知手段、下車駅情報報知手段に相当)、記憶部6(乗車位置情報記憶手段、改札出口情報記憶手段に相当)、通信部7(下車駅情報取得通信手段に相当)、音声出力部8(誘導方向報知手段に相当)、バッテリ部9を接続した構成となっている。
画像取り込み部3は、組み込みカメラとして構成されたもので、CCDイメージセンサ或いはC−MOSイメージセンサなどより成る撮像素子、この撮像素子のセンサ面に撮影対象の画像を結象させるための結象レンズ、撮像素子から読み出した画像信号(アナログ信号)を制御回路部2が取り扱えるようにデジタル信号に変換する信号処理回路などを備えた構成となっている。
キー入力部4は、テンキースイッチ、機能選択スイッチなどを含んで構成されたもので、選択番号や記号或いは文字列の入力機能、項目決定機能、カーソル移動機能などを備えている。尚、キー入力部4は、前記画像取り込み部3による画像取り込み処理(情報読取処理)を開始させるためのトリガスイッチも備えている。
表示画面部5は、例えばカラー液晶パネルより成るもので、経路案内に係る画像情報や文字情報を含む種々の情報を表示できるようになっている。
記憶部6は、制御回路部2のための各種プログラムを記憶したROMと、画像取り込み部からの画像信号や、情報提供サーバから取得した駅情報などを一時的に記憶するRAMとを備えた構成となっている。
通信部7は、後述する駅構内情報提供サーバや列車内情報提供サーバとの間で無線を利用したデータ通信を行うためのもので、例えば、無線LANインタフェース、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)インタフェース、DSRC(Dedicated Short Range Communication)インタフェースなどを利用して構成することができる。
音声出力部8は、音声合成回路、アンプ、スピーカなどを備えたもので、制御回路部2からの音声情報に応じた音声出力を発生する構成となっている。
バッテリ部9は、携帯端末1の電源となる二次電池及び充電回路などを備えたものである。
この場合、制御回路部2は、記憶部6に記憶されたプログラム並びにキー入力部4を通じて入力されるコマンドなどに基づいて、画像取り込み部3や表示画面部5などの制御を行うものであるが、特に、キー入力部4の操作に応じて、画像取り込み部3で読み込んだ2次元コードの解析及び認識処理を行うコード読取アプリケーションを備えた構成とされている。
一方、具体的に図示しないが、駅構内の通路に面した複数箇所の柱や壁などの垂直面には、例えばQRコード(登録商標)のような2次元コードを備えた情報コードラベル(情報記録担体に相当)が貼り付けられており、携帯端末1にあっては、上記コード読取アプリケーションにより情報コードラベルに記録された情報を読み取り得るように構成されている。この場合、当該情報コードラベルの2次元コードには、その設置場所の特定が可能な位置情報並びに2次元コードの読み取り方向(コード表示面と直行した方向)の特定が可能な方向情報が記録されている。
ここで、前記駅構内情報提供サーバは、例えば、駅構内に設置された改札入口用の自動改札装置とデータ通信可能に設置されたものであり、また、前記列車内情報提供サーバは、列車内の適宜場所に設置されたものであり、各情報提供サーバは、以下<1>、<2>のような機能を備えた構成となっている。
<1>駅構内情報提供サーバは、自身が設置された駅における全部の列車乗車位置を示す乗車位置情報、並びに当該駅を発着する全列車についての発着ホーム、到着時刻、発車時刻、車両編成などを含んだ発着列車情報を蓄積した乗車駅情報データベースにアクセス可能な構成とされており、また、携帯端末1の通信部7との間でのデータ通信を、自動改札装置に設置された改札用通信装置を介して実行可能に構成されている。尚、この改札用通信装置は、例えば、自動改札装置における列車利用者の通過エリアのみを通信領域としたものであり、当該通過エリアを通過する列車利用者が所持する携帯端末1との間で近距離無線通信を行うように構成されている。
<2>列車内情報提供サーバは、その列車の運行対象となる全部の駅に係る改札出口の周辺情報を含む改札出口情報、並びに当該列車の車両編成、各下車駅での発着ホーム、到着時刻、発車時刻などに係る列車運行情報を蓄積した下車駅情報データベースにアクセス可能な構成とされており、また、携帯端末1の通信部7との間でのデータ通信を、列車の各車両内に設けられた車両内通信装置を介して実行可能に構成されている。
ここで、本実施例では、列車の乗車券(自由席乗車券)及び指定席券を磁気カードとしたシステムを対象としており、それら乗車券及び指定席券には、乗車駅名、下車駅名、日付、列車番号、搭乗号車番号(指定席券のみ)、座席番号(指定席券のみ)などを含んだ切符情報が記録されている。そして、前記自動改札装置は、上記切符情報を乗車券或いは指定席券の改札時に読み取ったときに、読み取った切符情報を対応する駅構内情報提供サーバへリアルタイムで転送する構成となっている。
さて、図2〜図4には、本実施例による駅構内案内システムによる経路案内機能の流れが、(1)改札入口から乗車まで、(2)列車乗車後から下車まで、(3)列車下車後から改札出口まで、に3区分した状態で示されており、以下においては、これらの流れについて、関連した構成及び作用・効果と共に説明する。
(1)改札入口から乗車までの流れ(図2)
改札入口用の自動改札装置で改札が行われたときには、前述したように、改札された乗車券或いは指定席券に記録されている切符情報が駅構内情報提供サーバへリアルタイムで転送されるものであり、上記駅構内情報提供サーバは、自動改札装置から転送されてきた切符情報に基づいて、乗車駅情報データベースを検索することにより、当該切符情報に対応した列車乗車位置を特定すると共に、その列車乗車位置と前記情報コードラベルの設置場所との位置関係を定義した乗車駅情報を取得し、それら切符情報及び乗車駅情報を、前記改札用通信装置を通じて当該自動改札装置を通過する列車利用者が所持する携帯端末1へ送信する動作を行うようになっている。これにより、携帯端末1を所持した列車利用者が、改札入口用の自動改札装置において改札を行ったときには、その携帯端末1が、前記切符情報及び乗車駅情報を通信部7により受信するようになり、このようにして取得した切符情報及び乗車駅情報が記憶部6に記憶されることになる(ステップS1)。
尚、上記乗車駅情報のフォーマットは種々考えられるが、例えば、図5に概略的に示すように、情報コードラベルの複数の設置場所aと列車乗車位置bとの位置関係を特定可能なマトリクス形式のフォーマットとすることができる。
改札が済んだ列車利用者は、駅構内の通路に面した複数箇所の柱や壁などの垂直面に貼り付けられた情報コードラベルのうち身近に存在するラベルを見つけ出し、その近傍位置において、携帯端末1に備えられた画像取り込み部3を使用して情報コードラベルの読み取り操作(情報読取操作)を行い、これにより、当該情報コードラベルに記録された位置情報及び方向情報を、列車利用者の現在位置情報及び方向決定用情報として取得して記憶部6に記憶する(ステップS2)。
上記のような情報読取操作に応じて現在位置情報及び方向決定用情報を取得した後には、制御回路部2が、その情報読取操作を行った列車利用者が向いている方向を、方向決定用情報に基づいて決定するようになる(ステップS3)。具体的には、情報読取対象が、駅構内の柱や壁などの垂直面に表示された2次元コードラベルであって、列車利用者は2次元コードラベルに正対して情報読取操作を行うことになるから、列車利用者が向いている方向は2次元コードのコード表示面とほぼ直行した方向、つまり、方向用決定用情報(2次元コード中の方向情報)により示される方向である、と決定できることになる。
この後には、制御回路部2が、前記現在位置情報及び前記乗車駅情報(特には、図5に示すような情報コードラベルの設置場所aを示す情報)に基づいて列車利用者の現在位置を特定し、その現在位置、前記乗車駅情報により示される列車乗車位置(図5中にbで示す位置)及び上述のように決定された列車利用者が向いている方向に基づいて、当該列車利用者が進むべき誘導方向を算出する(ステップS4)。また、制御回路部2は、このように算出した誘導方向を、表示画面部5で表示すると共に、音声出力部8を通じて音声出力することにより携帯端末1を所持した列車利用者に報知する(ステップS5)。
このような報知動作の実行後には、列車利用者自身が目的とする列車乗車位置に到達したか否かを判断し(ステップS6)、到達していないと判断したときには、前記ステップS2以降の動作を繰り返し、また、到達したと判断したときには、到着した列車に乗車することになる。
以上要するに、列車に乗車しようとする列車利用者が、改札が済んだ後において駅構内の複数箇所に設置された情報コードラベルの近傍位置で携帯端末1による情報読取操作を行う毎に、その位置から進行すべき方向(誘導方向)が報知されるという経路案内サービスが行われるものであり、当該情報読取操作を次々と行うことにより目的とする列車乗車位置まで迷うことなく確実に辿り着けることになる。つまり、列車利用者が目的とする列車乗車位置までの経路案内を、列車利用者側の簡単な操作、具体的には、端末操作が不得意な利用者であっても容易に行うことが可能な情報読取操作の実行に応じて確実に行い得るようになる。また、方向感覚に劣る列車利用者であっても、駅構内に設置された情報コードラベルを見つけるだけで上記のような経路案内サービスを受けることができるから、非常に便利になる。
(2)列車乗車後から下車までの流れ(図3)
列車内の壁、窓などの適宜位置には、当該列車の列車番号、号車番号などを含む乗車車両情報を含む例えばQRコードを記録した列車情報ラベルが貼り付けられている。列車利用者は、乗車した車両内で上記列車情報ラベルを見つけ出し、その近傍位置において、携帯端末1に備えられた画像取り込み部3を使用して列車情報ラベルの読み取り操作(情報読取操作)を行い、これにより、当該列車情報ラベルに記録された乗車車両情報を取得して記憶部6に記憶する(ステップS11)。
上記のような情報読取操作に応じて乗車車両情報を取得した後には、携帯端末1の制御回路部2が、その乗車車両情報と記憶部6に記憶されている切符情報とを比較することにより、列車利用者が当該切符情報に対応した正しい列車に乗車しているか否かを判断し(ステップS12)、乗車した列車が間違っている場合には、音声出力部8を通じて警報を出力すると共に、必要に応じて表示画面部に警告を表示することにより、その旨を報知する(ステップS13)。尚、このような警報が出力された場合、列車利用者は当該列車から下車したり、或いは次の駅で当初の目的地へ向かうように列車を乗り換えたりするなどの対処を行うことになる。
一方、乗車した列車が間違っていなかった場合には、制御回路部2は、前記列車内情報提供サーバとの間での前記車両内通信装置を介したデータ通信を、通信部7を通じて開始し、記憶部6に記憶されている切符情報を列車内情報提供サーバへ送信する(ステップS14)。この場合、列車内情報提供サーバは、受信した切符情報に基づいて下車駅情報データベースを検索することにより、当該切符情報により示される列車利用者の下車駅に対応した改札出口情報を抽出し、その改札出口情報を携帯端末1へアンサバックするものであり、携帯端末1の制御回路部2は、アンサバックされてきた改札出口情報を取得して記憶部6に記憶する(ステップS15)。
このように列車内情報提供サーバから取得する改札出口情報は、例えば、下車駅についての複数の改札出口及び当該改札出口の周辺施設に係る情報を含むものであり、必要に応じて改札出口や駅周辺の案内地図を含んだ構成とすることもできる。
制御回路部2は、改札出口情報を取得した後には、その改札出口情報を表示部画面5に表示する(ステップS16)。このような表示は、改札出口情報に含まれる改札出口をキー入力部4により選択操作できる形態で行われるものであり、その選択操作が行われるのに応じて、列車利用者が目的とする改札出口を選択すると共に、選択された改札出口に係る情報を含むデータ配信要求を、通信部6を通じて列車内情報提供サーバへ送信する(ステップS17)。
このデータ配信要求を受信した列車内情報提供サーバは、当該データ配信要求により示される改札出口と下車駅における前記情報コードラベルの設置場所との位置関係を定義した下車駅情報を取得し、その下車駅情報を、前記車両内通信装置を通じて列車利用者が所持する携帯端末1へ送信する動作を行うようになっている。これにより、携帯端末1を所持した列車利用者が車両内に設けられた列車情報ラベルの読取操作を行ったときには、その携帯端末1が、前記下車駅情報を通信部7により受信するようになり、制御回路部2は、このようにして取得した下車駅情報を記憶部6に記憶するようになる(ステップS18)。そして列車利用者は、このように下車駅情報を記憶した後に、列車から下車するものである。尚、上記下車駅情報のフォーマットは、前述した乗車駅情報(図5参照)と同様形式のもので良いものである。
以上要するに、列車利用者が経路案内対象の改札出口を選択するに当たっては、乗車した列車内の列車情報ラベルの読み取り操作を携帯端末1により行うことにより、列車内情報提供サーバに記憶された下車駅情報を参照できるものであるが、このような下車駅情報には駅周辺施設などに関して豊富な情報を盛り込むことが可能であるから、結果的に列車利用者の利便性の向上を図る上で有益になる。
(3)列車下車後から改札出口までの流れ(図4)
携帯端末1により前記下車駅情報を取得した列車利用者は、目的の駅で下車した後には、駅構内の通路に面した複数箇所の柱や壁などの垂直面に貼り付けられた情報コードラベルのうち身近に存在するラベルを見つけ出し、その近傍位置において、携帯端末1に備えられた画像取り込み部3を使用して情報コードラベルの読み取り操作(情報読取操作)を行い、これにより、当該情報コードラベルに記録された位置情報及び方向情報を、列車利用者の現在位置情報及び方向決定用情報として取得して記憶部6に記憶する(ステップS21)。
上記のような情報読取操作に応じて現在位置情報及び方向決定用情報を取得した後には、制御回路部2が、その情報読取操作を行った列車利用者が向いている方向を、方向決定用情報に基づいて前述同様に決定するようになる(ステップS22)。
この後には、制御回路部2が、前記現在位置情報及び前記下車駅情報に基づいて列車利用者の現在位置を特定し、その現在位置、前記下車駅情報により示される改札出口及び上述のように決定された列車利用者が向いている方向に基づいて、当該列車利用者が進むべき誘導方向を算出する(ステップS23)。また、制御回路部2は、このように算出した誘導方向を、表示画面部5で表示すると共に、音声出力部8を通じて音声出力することにより携帯端末1を所持した列車利用者に報知する(ステップS24)。
このような報知動作の実行後には、列車利用者自身が目的とする改札出口に到達したか否かを判断し(ステップS25)、到達していないと判断したときには、前記ステップS21以降の動作を繰り返し、また、目的の改札出口に到達したと判断したときには、その改札出口で改札を行うことになる。
以上要するに、列車から下車した列車利用者が目的とする改札出口に向かおうとする場合に、駅構内の複数箇所に設置された情報コードラベルの近傍位置で携帯端末1による情報読取操作を行う毎に、その位置から進行すべき方向(誘導方向)が報知されるという経路案内サービスが行われるものであり、当該情報読取操作を次々と行うことにより目的とする改札出口の位置まで迷うことなく確実に辿り着けることになる。つまり、列車利用者が目的とする改札出口の位置までの経路案内を、列車利用者側の簡単な操作により確実に行い得るようになる。また、方向感覚に劣る列車利用者であっても、駅構内に設置された情報コードラベルを見つけるだけで上記のような経路案内サービスを受けることができるから、非常に便利になる。
(その他の実施の形態)
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のような変形または拡張が可能である。
情報記録担体として、駅構内の通路に面した複数箇所の柱や壁などの垂直面に貼り付けられた情報コードラベルを使用する構成としたが、駅構内の床面に表示した2次元コードを利用することも可能である。但し、この場合には、2次元コードとして上下左右の方向性を有するもの(QRコード、Data Matrix(登録商標)コード、PDF417など)を利用すると共に、その2次元コードを所定の向きで表示することが前提となるものであり、これにより、列車利用者が携帯端末1により2次元コードの情報読み取りを行ったときに、その読み取り画像を解析することにより、列車利用者がどの方向から情報読み取りを行っているかを決定できることになる。
また、情報記録担体としてRFIDタグなどの他の手段を利用することも可能である。
携帯端末1の記憶部6に対して、乗車券或いは指定席券に記録されている切符情報を予め記憶しておく構成とすることも可能であり、このような構成とした場合には、図2に示したステップS1において乗車駅情報のみを取得すれば良いものである。また、このように携帯端末1に切符情報を予め記憶しておく構成とした場合には、その切符情報を利用することにより当該携帯端末1を利用した自動改札(つまり、所謂チケットレス化)も可能になる。
上記実施例では、携帯端末1の記憶部6に対して切符情報及び乗車駅情報を記憶させる手段として、改札用通信装置及び駅構内情報提供サーバを組み合わせた手段を設ける構成としたが、このような手段に限定されないことは勿論である。
具体的には、切符情報を記憶させる手段としては、乗車券または指定席券が磁気カード式やICカード式のものであった場合に、その記憶データを読み取る磁気カードリーダ或いはICカードリーダを含んだ手段を利用する構成とすれば良く、特に、この場合には、携帯端末1に設けられることになる磁気カードリーダやICカードリーダを切符(乗車券や指定席券)の格納手段として兼用することも可能になる。また、乗車券または指定席券に、列車情報を記憶したRFIDタグが設けられている場合、或いは切符情報を記録した光学情報コード(2次元コードなど)が設けられている場合には、それぞれに対応した情報読取手段(RFIDタグリーダ、2次元コードリーダ)を含んだ手段を利用する構成とすれば良い。
さらに、乗車券または指定席券の購入時に、発券機側から提供される切符情報を通信部7により取り込んで記憶部6に記憶させる手段を採用することも可能であり、このような手段は、記憶部6に乗車駅情報を記憶させる手段としても利用できる。
上記実施例では、携帯端末1の記憶部6に対して下車駅情報を記憶させる手段として、車両内通信装置及び列車内情報提供サーバを組み合わせた手段を設ける構成としたが、このような手段に限定されないことは勿論である。具体的には、例えば、列車利用者の乗車駅に設けられた駅構内情報提供サーバ、下車駅に設けられた駅構内情報サーバから取得する手段であっても良い。また、下車ホームに設けた駅周辺案内地図看板上に位置を表示した改札出口と対応付けた状態で、その改札出口情報を含む2次元コードを表示し、この2次元コードを携帯端末1により読み取るのに応じて改札出口情報を得る構成することもできる。
目的とする列車乗車位置及び改札出口までの誘導経路の算出を、携帯端末1内の制御回路部2により行う構成としたが、その算出処理を駅構内情報提供サーバ或いは列車内情報提供サーバにより実施し、算出した誘導経路を、各サーバから携帯端末1へ転送する構成とすることもできる。
携帯端末1は、記憶部6に記憶した切符情報に基づいて乗車時間までの余裕時間を算出し、その余裕時間を表示画面部5にて表示或いは音声出力部8から音声報知する構成としても良い。
携帯端末1が携帯電話機であった場合には、RF送受信ユニットやアナログベースバンド処理回路などを備えたセルラー通信部が設けられるものであり、このセルラー通信部を前記駅構内情報提供サーバや列車内情報提供サーバとのデータ通信に利用する構成とすることも可能である。
改札を済ませた状態から列車乗車位置までの経路案内を行う構成としたが、改札前から経路案内を行う構成も可能である。但し、この場合には、切符情報及び乗車駅情報を、改札前において携帯端末1の記憶部6に予め記憶させておく必要がある。
経路案内時に、進行方向のみを報知する構成としたが、誘導経路中に階段またはエスカレータが存在する場合には、それらの昇り降りを指示する報知動作を行うことも可能である。
本発明の一実施例に係る携帯端末の電気的構成を示す機能ブロック図 経路案内機能を説明するためのフローチャート(その1) 経路案内機能を説明するためのフローチャート(その2) 経路案内機能を説明するためのフローチャート(その3) 乗車駅情報のフォーマット例を示す概略図
符号の説明
1は携帯端末、2は制御回路部(方向決定手段、誘導方向決定手段)、3は画像取り込み部(現在位置情報取得手段)、4はキー入力部(改札出口情報選択手段)、5は表示画面部(誘導方向報知手段、下車駅情報報知手段)、6は記憶部(乗車位置情報記憶手段、改札出口情報記憶手段)、7は通信部(下車駅情報取得通信手段)、8は音声出力部(誘導方向報知手段)を示す。

Claims (1)

  1. 列車利用者が列車から下車した位置から改札出口までの経路案内を、当該列車利用者が所持する携帯端末を通じて行う駅構内用案内システムにおいて、
    駅構内の通路の複数箇所に、設置場所を特定可能な位置情報を記録して成る情報記録担体を設置することを特徴とし、
    前記携帯端末においては、
    列車利用者が目的とする改札出口の位置を示す改札出口情報を記憶する改札出口情報記憶手段と、
    前記情報記録担体の近傍位置での前記列車利用者による情報読取操作に応じて当該情報記録担体に記録された位置情報を列車利用者の現在位置情報として取得する現在位置情報取得手段と、
    この現在位置情報取得手段により情報読取操作が行われるのに応じて、その情報読取操作を行った列車利用者が向いている方向を決定する方向決定手段と、
    前記現在位置情報取得手段により得られる前記列車利用者の現在位置、前記改札出口情報記憶手段に記憶されている目的改札出口の位置及び前記方向決定手段により決定された前記列車利用者が向いている方向に基づいて、当該列車利用者が進むべき誘導方向を決定する誘導方向決定手段と、
    この誘導方向決定手段により決定された誘導方向を報知する誘導方向報知手段と、を備えるとともに、
    前記列車内に、当該列車が運行する駅に係る改札出口の周辺情報を含む下車駅情報を配信可能な列車内情報提供サーバを設置することを特徴とし、
    前記携帯端末に備えられた前記改札出口情報記憶手段には、列車の乗車券または指定席券から少なくとも下車駅の特定が可能な切符情報を取り込んで記憶することを特徴とし、
    前記携帯端末においては、
    前記改札出口情報記憶手段に記憶されている切符情報により特定される下車駅に係る下車駅情報を前記列車内情報提供サーバから取得する下車駅情報取得通信手段と、
    この下車駅情報取得通信手段を通じて取得した下車駅情報を報知する下車駅情報報知手段と、
    この下車駅情報報知手段による報知内容に基づいて前記列車利用者が目的とする改札出口の位置を示す改札出口情報を前記改札出口情報記憶手段に選択的に記憶させるための改札出口選択手段と、
    を備えた構成とされていることを特徴とする駅構内用案内システム。
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