JP4702091B2 - 銀インゴットの製造方法 - Google Patents

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本発明は、銀インゴットの製造方法に関し、さらに詳しくは、微量の塩化銀を含む銀粉から塩素成分のみを除去して銀インゴットを製造する方法において、該銀粉から安価な脱塩素剤を用いて塩素成分のみを除去し、従来は銀粉を加熱熔融する際に起っていた塩化銀の揮発による白煙の発生を防止し作業環境を向上するとともに、塩素含有量が低い銀インゴットを製造する方法に関する。
従来、銀のインゴット(鋳塊)を工業的に製造する鋳造工程では、銀原料の加熱熔融において酸素溶存を抑制することが必須であった。酸素溶存の抑制が不十分であると、鋳造において、得られる銀インゴットに気泡によるふくれ等が発生して表面状態が悪化し、またその内部にも気泡の残留があり加工性も不良となるので、商品化できなくなる。すなわち、銀には熔融状態で多量の酸素を吸収し、凝固の際に吸収した酸素を放出する性質がある(例えば、非特許文献1参照。)ことが知られている。
したがって、銀の鋳造工程では、熔融状態で酸素を除去した後に鋳造を行わないと、放出された酸素がインゴットに気泡として残り加工性の悪いインゴットとなる。そのため、木炭等を脱酸素剤として添加してよく撹拌することにより脱酸素を行う(例えば、非特許文献2参照。)、あるいは、熔融銀の表面をアルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス又は木炭で覆って大気を遮断するようにして熔融することが一般的に行われる。
そこで、銀の鋳造工程としては、例えば、原料である銀粉を黒鉛製の坩堝に入れて加熱熔融し、熔融面をバーナー加熱で清浄化した後、熔融銀中の溶存酸素を除去するために木炭を投入し、その後木炭を除いて、得られた熔融銀を鋳型に鋳造する方法が行なわれている。
ところで、従来、銀は、銅、鉛等の精錬の電解精製工程で発生するアノードスライムから回収されている。アノードスライムから高純度銀を分離精製する方法として、前記アノードスライムを乾式処理して粗銀を得て、これを乾式又は電解精製する方法が広く用いられている。前記乾式処理では、環境面では、粉塵及び排ガスが発生し、作業面では、暑熱作業及び火傷のリスクがある。このような状況の下、湿式法による銀の分離回収方法が注目されている。このような湿式法により得られる銀は、多くの場合、塩化銀を経由して得られる還元銀粉であり、工程の効率性の結果として未還元の塩化銀による微量の塩素を含有している。
ところが、前述した銀の鋳造工程において、原料として微量の塩化銀を含む銀粉を用いると、加熱熔融の際に、塩化銀の揮発による白煙が発生し作業環境を悪化させるとともに、得られた銀インゴットの塩素含有量が上昇するという問題が生じた。なお、従来、このような銀の鋳造工程において用いられる原料としては、乾式処理で得られる粗銀を乾式精製した熔融銀又は電解精製して得られる電着銀であり、塩素を殆ど含有していないものであった。
以上の状況から、原料として微量の塩化銀を含む銀粉を用いる場合に、従来の銀インゴットの製造工程を使用して、塩化銀の揮発による白煙の発生を防止し作業環境を向上することができる銀インゴットの製造方法が求められている。
「貴金属元素の化学と応用」、(株)講談社、1984年、p.27 「貴金属のおはなし」、財団法人日本規格協会、1988年、p.53
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、微量の塩化銀を含む銀粉から塩素成分のみを除去して銀インゴットを製造する方法において、該銀粉から安価な脱塩素剤を用いて塩素成分のみを除去し、従来は銀粉を加熱熔融する際に起っていた塩化銀の揮発による白煙の発生を防止し作業環境を向上するとともに、塩素含有量が低い銀インゴットを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、微量の塩化銀を含む銀粉を坩堝中で加熱熔融した際の塩素の挙動について、鋭意研究を重ねた結果、微量の塩化銀を含む銀粉を、酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の共存下で加熱熔融したところ、塩化銀の揮発による白煙の発生を防止することができること、及び塩素含有量が低い銀インゴットを製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、微量の塩化銀を含む銀粉から塩素成分のみを除去して銀インゴットを製造する方法において、
上記銀粉を酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の共存下に黒鉛製坩堝中で加熱熔融させ、熱分解反応により生成した塩化カルシウムを含む酸化カルシウムを分離除去した後、得られた熔融銀を脱酸素処理に付し、次いで鋳型に鋳造することを特徴とする銀インゴットの製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の添加量は、銀粉に対して酸化カルシウム換算で1〜5重量%であることを特徴とするの銀インゴットの製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、さらに、炭素質還元剤を、銀粉を加熱熔融させる時に添加することを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、加熱熔融させる時又は加熱熔融させた後の熔融銀の酸素分圧は、次式に示す範囲に制御することを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法が提供される。
logPo<−4
(但し、式中、Poはatm単位に熔融銀中の酸素分圧を表し、かつ1200℃の温度基準に換算したものである。)
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記加熱熔融の温度は、970〜1300℃であることを特徴とする銀インゴットの製造方法が提供される。
本発明の銀インゴットの製造方法は、微量の塩化銀を含む銀粉から塩素成分のみを除去して銀インゴットを製造する方法において、該銀粉から安価な脱塩素剤を用いて塩素成分のみを除去し、従来は銀粉を加熱熔融する際に起っていた塩化銀の揮発による白煙の発生を防止し作業環境を向上することができるとともに、塩素含有量が低い銀インゴットを製造することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の銀インゴットの製造方法を詳細に説明する。
本発明の銀インゴットの製造方法は、微量の塩化銀を含む銀粉から塩素成分のみを除去して銀インゴットを製造する方法において、上記銀粉を酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の共存下に黒鉛製坩堝中で加熱熔融させ、熱分解反応により生成した塩化カルシウムを含む酸化カルシウムを分離除去した後、得られた熔融銀を脱酸素処理に付し、次いで鋳型に鋳造することを特徴とする。
本発明において、前記銀粉に酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩を添加して黒鉛製坩堝中で加熱熔融し、その後、生成された塩素を含む酸化カルシウムを熔融銀から分離除去することが重要である。これによって、塩化銀の揮発による白煙の発生を防止するとともに、塩素含有量が低い銀インゴットを製造することができる。
すなわち、塩素を含む銀粉中の銀の形態としては、多くの場合、特に塩化銀を経由して金属銀を製造する湿式法から得られた銀粉の場合には、塩化銀として混入されている。また、本来は塩化銀の形態で存在しない場合においても、塩素を含む銀粉を熔融する際には、塩化銀の蒸気圧が高いので塩化銀として揮発される。したがって、塩化銀の蒸気圧が高くなる高温状態で、塩化銀が揮発して坩堝外部へ散逸することを防止するためには、揮発した塩化銀を捕そくし、又は分解することが不可欠である。
本発明の方法においては、酸化カルシウムを塩化銀の分解剤及び生成する塩化カルシウムの吸収剤として用いる。ここで、酸化カルシウムによる塩化銀の分解反応は、下記の反応式(1)により表せる。
2AgCl+CaO+C=2Ag+CaCl+CO ・・・・・・(1)
反応式(1)において、酸化カルシウム(CaO)は、塩化銀(AgCl)と反応し塩化銀を分解し、塩素を塩化カルシウム(CaCl)として固定する作用を有することを示す。また、反応式(1)は、熔融銀を形成する温度域では、還元性雰囲気が強い程、反応が右側に進むので、適切な条件下で、酸化カルシウムは、塩化銀蒸気を捕そくし分解するとともに、同時に、熔融銀中に残留する塩素を低下させることが分かる。さらに、前記還元性雰囲気の形成においては、炭素が存在するような強還元雰囲気が望ましいことを示す。
本発明の方法において、塩化銀の分解反応は、例えば以下のように行なわれる。
まず、塩素を含む銀粉に所定量の酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩を添加する。ここで、上記分解反応を効率的に行なわせるためには、特に限定されるものではないが、銀粉中に酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩が充分に混合された状態にすることが望ましい。
次いで、黒鉛製坩堝内に上記銀粉を投入し加熱熔融する。なお、カルシウム塩の場合には、加熱により熱分解して酸化カルシウムを生成する。この加熱熔融において、還元雰囲気下、塩化銀蒸気は固体状態の酸化カルシウムと反応して、銀と塩化カルシウムを生成する。生成された塩化カルシウム融体は、未反応の酸化カルシウムと反応し、結果的には多量に存在する酸化カルシウムに吸収される。ここで、還元性雰囲気を保持することが重要である。そのため、黒鉛製坩堝の使用が好ましいが、さらに、必要により、炭素質還元剤を添加することができる。炭素質還元剤の添加は、銀粉に酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩を添加する際に同時に行なうが、熔融銀の表面に適宜投入することもできる。また、炉内への大気の流入を抑制するための設備上の配慮がなされることが望ましい。
ここで、適切な還元性雰囲気が保持されていれば、塩化銀の揮発による白煙の発生は見られないが、酸素プローブ等により酸素分圧を測定すれば、加熱熔融時又は加熱熔融後の熔融銀の酸素分圧を適正値に制御することができ、また反応の終点を確定して塩素含有量の低いインゴットを得ることができる。
その後、熔融銀上に生成された塩化カルシウムを吸収した酸化カルシウムを分離除去し、次いで、熔融銀の表面に炭素質還元剤等の脱酸素剤を投入して、脱酸素処理を行なう。この処理後、直ちに熔融銀を鋳型に鋳造する。
本発明の方法に用いる銀粉としては、特に限定されるものではなく、銀の精錬プロセスから得られる塩素を含む銀粉が用いられるが、この中で、特に高純度銀インゴットの原料である還元銀粉が用いられ、特に数〜数十ppm含む銀粉が好ましく用いられる。ここで、還元銀粉は、例えば塩化銀を湿式精製して不純物元素を除去し、その後アルカリ水溶液中で還元剤を添加して塩化銀を還元することにより得られる。
上記方法では、酸化カルシウムのほか、加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩を用いることができる。前記カルシウム塩としては、特に限定されるものではなく、カルシウムの水酸化物(消石灰)、炭酸塩、有機酸塩等の化合物が挙げられるが、高純度銀を製造する場合には、不純物として銀を汚染する元素の含有がないものが用いられる。
その添加量は、特に限定されるものではなく、銀粉に対して酸化カルシウム換算で1〜5重量%が好ましい。すなわち、添加量が1重量%未満では、加熱溶融時に坩堝壁に付着する割合が多く、銀との接触面積が小さくなって反応の進行が不十分である。そのため、得られる銀インゴット中の塩素含有量を1ppm以下にすることが困難になる。一方、5重量%を超えると、薬剤コストが高くなり、かつ分離される廃棄物量が増える。
上記方法で用いる坩堝としては、黒鉛製のものが用いられる。これによって、坩堝内の還元性雰囲気の保持が容易になるとともに、一般的に、セラミックス製の坩堝に比べて耐久性が高くコスト的に有利である。しかしながら、坩堝内に還元性雰囲気を保持する対策をとることにより、セラミックス製の坩堝を使用することができる。
上記方法において、必要により、炭素質還元剤を添加することができる。炭素質還元剤の添加は、銀粉に酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩を添加する際に同時に行なうが、熔融銀の表面に適宜投入することもできる。これによって、銀粉の加熱熔融時に還元性雰囲気の保持を行うことができる。この場合、適切な条件で行うことにより、セラミックス製の坩堝を使用することができる。
また、このときの炭素質還元剤の添加又は投入量を、加熱熔融後に熔融銀の表面上に残留する程度に多量に行なうことによって、熔融銀中の溶存酸素の除去も同時に行うことができる。この際には、熔融銀は、生成された炭素質還元剤と酸化カルシウムの混合物を分離除去後、直ちに鋳造される。したがって、加熱熔融後に脱酸素処理を別途行なう場合に比べて、分離除去操作が簡単化される。
上記方法において、加熱熔融時又は加熱熔融後の熔融銀の酸素分圧を次式に示す範囲に制御することが好ましい。
logPo<−4
(但し、式中、Poはatm単位に熔融銀中の酸素分圧を表し、かつ1200℃の温度基準に換算したものである。)
これによって、加熱熔融時又は加熱熔融後の熔融銀の酸素分圧を適正値に制御することができる。
上記方法に用いる加熱熔融の温度としては、特に限定されるものではなく、銀インゴットの鋳造操作を行うことができる温度が選ばれるが、この中で、特に、970〜1300℃が好ましい。
上記方法に用いる脱酸素処理としては、特に限定されるものではなく、熔融銀内を還元性雰囲気下に保持することによって行なわれるが、例えば、簡便な方法としては、木炭、コークス、活性炭等の反応性の良い炭素、あるいは、砂糖、殿粉等の上記加熱熔融温度で炭素を生成する炭素含有化合物等の還元剤を添加する方法が用いられる。これによって、表面状態及び加工性が優れた高純度銀インゴットが製造される。脱酸素処理後の熔融銀は、直ちに鋳型に鋳造される。
上記鋳造温度としては、特に限定されるものではなく、銀インゴットの鋳造操作を行うことができる温度が選ばれるが、この中で、特に、酸素の含有量が少ない銀の融点(962℃)直上近くが好ましい。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた塩素の分析方法は、銀中から塩素を蒸留させて捕集し、硝酸銀を添加して塩化銀として、X線にて定量を行った。
また、実施例及び比較例において銀粉の熔融に用いた坩堝炉の概略構造を図1に示す。
図1において、坩堝炉1は、電気加熱式の炉本体2と半密閉型の蓋3からなり、内部に坩堝4が設置されている。
(実施例1)
塩素30ppmを含有する還元銀粉500gと試薬の酸化カルシウム20gを黒鉛製坩堝に入れ、この坩堝に黒鉛製蓋をしたうえで、上記坩堝炉内に設置した。坩堝炉内を大気雰囲気としたままで、加熱し、1200℃で2時間保持した。加熱時、白煙は発生しなかった。このとき消耗式の酸素プローブを用いて酸素分圧測定を行ったところ、酸素分圧(logPo)は、−9であった。次に、熔融銀の表面上に浮いた酸化カルシウム宰を分離回収した。
次いで、坩堝内に木炭粉を熔融銀の表面が覆われる程度に添加し、15分間保持した。その後、残留した木炭粉を分離した後、熔融銀を耐熱鋳鉄製鋳型に鋳造した。なお、鋳造後には、鋳造物の湯面をプロパンガスバーナーを使ってあぶりながら徐冷した。なお、熔融銀の鋳造に際しての酸素放出による気泡の発生は極めて少なく、そのため得られたインゴットの表面は、気泡によるふくれ及び穴開きが無く平滑な形状であり、極めて良好な状態であった。その後、得られた銀インゴットと酸化カルシウム宰の塩素の分析を行なった。その結果、塩素の含有量は、銀インゴットが1ppm以下、酸化カルシウム宰が0・07重量%であった。
(実施例2)
酸化カルシウムの量が10gであったこと以外は実施例1と同様に行い、その後、得られた銀インゴットの塩素含有量を分析した。なお、加熱時に白煙は発生しなかった。また、熔融銀の鋳造に際しての酸素放出による気泡の発生は極めて少なく、そのため得られたインゴットの表面は、気泡によるふくれ及び穴開きが無く平滑な形状であり、極めて良好な状態であった。その結果、銀インゴットの塩素含有量は1ppm以下であった。
(実施例3)
加熱温度が1100℃であったこと以外は実施例1と同様に行い、その後、得られた銀インゴットの塩素含有量を分析した。なお、加熱時に白煙は発生しなかった。また、熔融銀の鋳造に際しての酸素放出による気泡の発生は極めて少なく、そのため得られたインゴットの表面は、気泡によるふくれ及び穴開きが無く平滑な形状であり、極めて良好な状態であった。その結果、銀インゴットの塩素含有量は1ppm以下であった。
(実施例4)
塩素30ppmを含有する還元銀粉500g、試薬の酸化カルシウム20g及び木炭粉10gを黒鉛製坩堝に入れ、蓋をしないで、この坩堝を上記坩堝炉内に設置した。坩堝炉内を大気雰囲気としたままで、加熱し、1100℃で1時間保持した。加熱時、白煙は発生しなかった。このとき消耗式の酸素プローブを用いて酸素分圧測定を行ったところ、酸素分圧(logPo)は、−6であった。次に、熔融銀の表面上に浮いた酸化カルシウム宰及び残留した木炭粉を分離回収した後、熔融銀を耐熱鋳鉄製鋳型に鋳造した。なお、鋳造後には、鋳造物の湯面をプロパンガスバーナーを使ってあぶりながら徐冷した。なお、熔融銀の鋳造に際しての酸素放出による気泡の発生は極めて少なく、そのため得られたインゴットの表面は、気泡によるふくれ及び穴開きが無く平滑な形状であり、極めて良好な状態であった。その後、得られた銀インゴットと酸化カルシウム宰の塩素の分析を行なった。その結果、銀インゴット中の塩素の含有量は、1ppm以下であった。
(比較例1)
銀粉に酸化カルシウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に行い、その後、得られた銀インゴットの塩素含有量を分析した。なお、加熱時に白煙が発生した。その結果、銀インゴットの塩素含有量は3ppmであった。
以上より、実施例1〜4では、銀粉は黒鉛製坩堝中で酸化カルシウムの共存下で加熱熔融され、本発明の方法に従って行われたので、白煙の発生が抑えられ、かつ塩素含有量が低い銀インゴットが得られること、さらに、脱酸素処理により表面状態が良好な高純度銀インゴットが得られることが分かる。これに対して、比較例1では、酸化カルシウムの添加がこれらの条件に合わないので、白煙の発生及び銀インゴットの塩素含有量において満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の銀インゴットの製造方法は、微量の塩化銀を含む銀粉を加熱熔融して鋳型に鋳造して銀インゴットを得る際に、白煙の発生を防止し、かつ塩素を除去することができ、さらにその表面形状が平滑なインゴットを得ることができる方法として有用である。
実施例及び比較例で使用した坩堝炉の概略構造を表す図である。
符号の説明
1 坩堝炉
2 炉本体
3 蓋
4 坩堝

Claims (5)

  1. 微量の塩化銀を含む銀粉から塩素成分のみを除去して銀インゴットを製造する方法において、
    上記銀粉を酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の共存下に黒鉛製坩堝中で加熱熔融させ、熱分解反応により生成した塩化カルシウムを含む酸化カルシウムを分離除去した後、得られた熔融銀を脱酸素処理に付し、次いで鋳型に鋳造することを特徴とする銀インゴットの製造方法。
  2. 前記酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の添加量は、銀粉に対して酸化カルシウム換算で1〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法。
  3. さらに、炭素質還元剤を、銀粉を加熱熔融させる時に添加することを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法。
  4. 加熱熔融させる時又は加熱熔融させた後の熔融銀の酸素分圧は、次式に示す範囲に制御することを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法。
    logPo<−4
    (但し、式中、Poはatm単位に熔融銀中の酸素分圧を表し、かつ1200℃の温度基準に換算したものである。)
  5. 前記加熱熔融の温度は、970〜1300℃であることを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法。
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