JP4702091B2 - 銀インゴットの製造方法 - Google Patents
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Description
上記銀粉を酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の共存下に黒鉛製坩堝中で加熱熔融させ、熱分解反応により生成した塩化カルシウムを含む酸化カルシウムを分離除去した後、得られた熔融銀を脱酸素処理に付し、次いで鋳型に鋳造することを特徴とする銀インゴットの製造方法が提供される。
logPo2<−4
(但し、式中、Po2はatm単位に熔融銀中の酸素分圧を表し、かつ1200℃の温度基準に換算したものである。)
本発明の銀インゴットの製造方法は、微量の塩化銀を含む銀粉から塩素成分のみを除去して銀インゴットを製造する方法において、上記銀粉を酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の共存下に黒鉛製坩堝中で加熱熔融させ、熱分解反応により生成した塩化カルシウムを含む酸化カルシウムを分離除去した後、得られた熔融銀を脱酸素処理に付し、次いで鋳型に鋳造することを特徴とする。
まず、塩素を含む銀粉に所定量の酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩を添加する。ここで、上記分解反応を効率的に行なわせるためには、特に限定されるものではないが、銀粉中に酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩が充分に混合された状態にすることが望ましい。
その後、熔融銀上に生成された塩化カルシウムを吸収した酸化カルシウムを分離除去し、次いで、熔融銀の表面に炭素質還元剤等の脱酸素剤を投入して、脱酸素処理を行なう。この処理後、直ちに熔融銀を鋳型に鋳造する。
その添加量は、特に限定されるものではなく、銀粉に対して酸化カルシウム換算で1〜5重量%が好ましい。すなわち、添加量が1重量%未満では、加熱溶融時に坩堝壁に付着する割合が多く、銀との接触面積が小さくなって反応の進行が不十分である。そのため、得られる銀インゴット中の塩素含有量を1ppm以下にすることが困難になる。一方、5重量%を超えると、薬剤コストが高くなり、かつ分離される廃棄物量が増える。
logPo2<−4
(但し、式中、Po2はatm単位に熔融銀中の酸素分圧を表し、かつ1200℃の温度基準に換算したものである。)
これによって、加熱熔融時又は加熱熔融後の熔融銀の酸素分圧を適正値に制御することができる。
また、実施例及び比較例において銀粉の熔融に用いた坩堝炉の概略構造を図1に示す。
図1において、坩堝炉1は、電気加熱式の炉本体2と半密閉型の蓋3からなり、内部に坩堝4が設置されている。
塩素30ppmを含有する還元銀粉500gと試薬の酸化カルシウム20gを黒鉛製坩堝に入れ、この坩堝に黒鉛製蓋をしたうえで、上記坩堝炉内に設置した。坩堝炉内を大気雰囲気としたままで、加熱し、1200℃で2時間保持した。加熱時、白煙は発生しなかった。このとき消耗式の酸素プローブを用いて酸素分圧測定を行ったところ、酸素分圧(logPo2)は、−9であった。次に、熔融銀の表面上に浮いた酸化カルシウム宰を分離回収した。
次いで、坩堝内に木炭粉を熔融銀の表面が覆われる程度に添加し、15分間保持した。その後、残留した木炭粉を分離した後、熔融銀を耐熱鋳鉄製鋳型に鋳造した。なお、鋳造後には、鋳造物の湯面をプロパンガスバーナーを使ってあぶりながら徐冷した。なお、熔融銀の鋳造に際しての酸素放出による気泡の発生は極めて少なく、そのため得られたインゴットの表面は、気泡によるふくれ及び穴開きが無く平滑な形状であり、極めて良好な状態であった。その後、得られた銀インゴットと酸化カルシウム宰の塩素の分析を行なった。その結果、塩素の含有量は、銀インゴットが1ppm以下、酸化カルシウム宰が0・07重量%であった。
酸化カルシウムの量が10gであったこと以外は実施例1と同様に行い、その後、得られた銀インゴットの塩素含有量を分析した。なお、加熱時に白煙は発生しなかった。また、熔融銀の鋳造に際しての酸素放出による気泡の発生は極めて少なく、そのため得られたインゴットの表面は、気泡によるふくれ及び穴開きが無く平滑な形状であり、極めて良好な状態であった。その結果、銀インゴットの塩素含有量は1ppm以下であった。
加熱温度が1100℃であったこと以外は実施例1と同様に行い、その後、得られた銀インゴットの塩素含有量を分析した。なお、加熱時に白煙は発生しなかった。また、熔融銀の鋳造に際しての酸素放出による気泡の発生は極めて少なく、そのため得られたインゴットの表面は、気泡によるふくれ及び穴開きが無く平滑な形状であり、極めて良好な状態であった。その結果、銀インゴットの塩素含有量は1ppm以下であった。
塩素30ppmを含有する還元銀粉500g、試薬の酸化カルシウム20g及び木炭粉10gを黒鉛製坩堝に入れ、蓋をしないで、この坩堝を上記坩堝炉内に設置した。坩堝炉内を大気雰囲気としたままで、加熱し、1100℃で1時間保持した。加熱時、白煙は発生しなかった。このとき消耗式の酸素プローブを用いて酸素分圧測定を行ったところ、酸素分圧(logPo2)は、−6であった。次に、熔融銀の表面上に浮いた酸化カルシウム宰及び残留した木炭粉を分離回収した後、熔融銀を耐熱鋳鉄製鋳型に鋳造した。なお、鋳造後には、鋳造物の湯面をプロパンガスバーナーを使ってあぶりながら徐冷した。なお、熔融銀の鋳造に際しての酸素放出による気泡の発生は極めて少なく、そのため得られたインゴットの表面は、気泡によるふくれ及び穴開きが無く平滑な形状であり、極めて良好な状態であった。その後、得られた銀インゴットと酸化カルシウム宰の塩素の分析を行なった。その結果、銀インゴット中の塩素の含有量は、1ppm以下であった。
銀粉に酸化カルシウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に行い、その後、得られた銀インゴットの塩素含有量を分析した。なお、加熱時に白煙が発生した。その結果、銀インゴットの塩素含有量は3ppmであった。
2 炉本体
3 蓋
4 坩堝
Claims (5)
- 微量の塩化銀を含む銀粉から塩素成分のみを除去して銀インゴットを製造する方法において、
上記銀粉を酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の共存下に黒鉛製坩堝中で加熱熔融させ、熱分解反応により生成した塩化カルシウムを含む酸化カルシウムを分離除去した後、得られた熔融銀を脱酸素処理に付し、次いで鋳型に鋳造することを特徴とする銀インゴットの製造方法。 - 前記酸化カルシウム又は加熱により酸化カルシウムを生成するカルシウム塩の添加量は、銀粉に対して酸化カルシウム換算で1〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法。
- さらに、炭素質還元剤を、銀粉を加熱熔融させる時に添加することを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法。
- 加熱熔融させる時又は加熱熔融させた後の熔融銀の酸素分圧は、次式に示す範囲に制御することを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法。
logPo2<−4
(但し、式中、Po2はatm単位に熔融銀中の酸素分圧を表し、かつ1200℃の温度基準に換算したものである。) - 前記加熱熔融の温度は、970〜1300℃であることを特徴とする請求項1に記載の銀インゴットの製造方法。
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