JP4701380B2 - アルミ溶湯用部材及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、金属溶湯用部材及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、耐食・耐磨耗性に優れ、かつアルミや銅、鋳鉄等の高温金属溶湯に濡れにくく、溶湯の付着等が少ない、しかも、耐熱性及び耐久性に優れたセラミックスでなる溶湯用部材及びその製造方法を提供するものである。
窒化ケイ素セラミックスは、高強度、高硬度、耐熱性、及び耐腐食性に優れているために、多くの工業分野で応用されている。例えば、従来、ケイ素とホウ素を主原料として反応焼結法でブレーキリング等の部材を製造する方法が知られている(特許文献1、2)。しかし、窒化ケイ素セラミックスは、強度が低いため、熱衝撃で破損しやすいという問題点がある。材料開発的な手法により、例えば、窒化ホウ素を添加すると、加工性、耐腐食性、耐熱性及び耐熱衝撃性は一層改善できるが、強度が低下することは避けられない。また、金属に濡れにくいことが要求されるが、窒化ホウ素等の濡れにくい化合物を添加するといった手法では、限界がある。
また、固体の、液体に対する濡れ性の制御に関して、液体を水とすると、多くの開発例がある。先行文献には、例えば、熱交換機の板状フィンの表面に微細凹凸が生成するように被膜を形成する内容が開示されている(特許文献3)。同じ系統の内容としては、他の先行文献に、多数報告されている(特許文献4〜8)。これらは、いずれも、ハスの葉の裏面が水をはじくことがよく知られているが、その現象をヒントにして、特に水に対する撥水性を高めたことを狙いとしている。
また、他の先行文献には、鋼の浸漬ノズルに関して、内孔表面に凹凸の形状を設け、溶鋼との接触角を90度以下にする(濡れやすくする)ことを特徴とする内容が開示されている(特許文献9)。該方法では、濡れやすくすることで溶鋼の層を部材との間で形成し、溶鋼内での反応により生成するアルミナの付着を防止することを目的としており、本発明とは目的が異なっている。また、他の先行文献には、凹凸形成により金属種類によっては濡れ性がよくなる(特許文献10)との記述があるが、この点は、本発明と考え方が基本的に異なる点である。本発明では、主としてアルミ、そして銅、鋳鉄を対象としているが、溶鋼とは成分も異なり、化学的な性質の差により、表面性状の濡れ性に対する影響も違いがでたものと思われる。
同じく、他の先行文献には、溶融金属の通路に凹凸を形成する内容が示されているが(特許文献11)、これは凹凸の形成により、流動溶融金属に乱流を生じせしめ、界面部における非金属介在物の析出付着や溶融金属の停滞を効果的に抑制することを狙いとしている。そのため、凹凸の大きさも、2−9mm程度と大きい。また、その経済的な形成方法についても、詳細な記述はなされていない。
また、これらの従来例には、凹凸形成の手法については詳細な記載はなされていないが、凹凸自身を形成する場合、機械的に加工すると経済的に極めてコスト高となり、実用性があるとはいえない。また、塗布等でするといった記述もあるが、その場合、溶湯部材として使用すると激しい熱サイクルにさらされるために、凹凸部分が使用中に消失してしまう可能性が高く、著しく寿命が短くなる可能性が高い。更に、塗布法では、必要な高さをもち、そして規則的な大きさや配置を有する凹凸を形成することはめて困難である。したがって、例えば、間隙が広く、平坦な部分が局所的に存在すると、その部分は凹凸部形成による効果は得られないこととなる。
特開昭60−22676号公報 特開昭59−107979号公報 特許第2507119号明細書 特開平6−93225号公報 特開平5−43736号公報 特開平8−131940号公報 特開平8−195126号公報 特開平8−259851号公報 特開2001−105106号公報 特開2001−105106号公報 特開昭62−89566号公報
アルミ溶湯を使用する溶解・鋳造ラインで使用されるラドルや保護管、ストークといった部材は、溶湯に濡れにくいことが必要である。これらの部材に溶湯が付着すると、計量精度が低下する、あるいは応答性が悪くなるといった問題が生じる。また、部材に金属が付着し、固化すると、現場の作業員は、その部分をハンマー等を使って除去することが多々あり、その場合、衝撃によっては破損を招く。また、塗布や機械的な加工で凹凸を形成すると、耐久性や経済性及び規則的で所定の高さを有する凹凸は得られず、品質が安定しないといった課題もある。これらに対して、本発明では、主にアルミ用の大型部材(ストーク、保護管、ラドル)を中心に、大型化、かつ表面に精密な形状賦与を可能とする方法、及び、溶湯に対して濡れにくくする上で効果的な凹凸形状賦与の特長を明らかにするものである。本発明は、こうした溶解鋳造ラインでの現実的な課題を解決できるように、強度、耐磨耗性、耐食性、及び耐熱衝撃性に優れ、アルミ溶湯に対して飛躍的に濡れ難く、かつその経済性、耐久性、及び品質の安定性したセラミック製のアルミ溶湯用部材を提供することを目的とするものである。尚、前述の撥水性を高めたことを狙いとしている点において、本発明と前述の従来技術における発想の原点は同じである部分があると認められるが、水といった扱いやすい液体ではなく、本発明では、溶湯という高温融体を相手材としており、大型部材でありながら精緻な微細構造を形成するための方法、部材材質の選定等について、提案するものであり、新規な技術を提供するものである。
上記課題を解決するための本発明は、溶湯に接触して使用される溶湯用部材において、焼結体からなる耐熱部材であり、溶湯と接触する部分が機械加工を施していない状態の焼成面であり、該焼成面に、配置や大きさにおいて規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸が形成されている溶湯用部材であって、上記焼成面に形成された凸部の直径が0超〜1mm以下であることを特徴とする溶湯用部材、である。本部材は、(1)上記耐熱部材が保護管であること、(2)上記耐熱部材がラドルであること、(3)上記保護管の外周面、あるいはラドルの内面に凹凸が形成され、該凹凸により溶湯との濡れ性を低下させ、それにより、溶湯の付着量を低減し、あるいは計量精度を高めるようにしたこと、(4)上記耐熱部材が、窒化ケイ素又は窒化ケイ素を基材とする複合材料からなること、(5)上記凹凸部が、表面に形成された球状の突起群であること、(6)上記焼成面に形成された2つの凸部間の底面の距離が0.5mm以下であること、()上記焼成面に形成された凸部の高さが0.2mm以上であること、()上記凹凸部が、正四角、正三角、正六角状のいずれかの格子網目の格子点を形成するように配されていること、()上記耐熱部材が、ヒータチューブであること、(1)上記ヒータチューブの内面には配置や大きさにおいて規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸が形成され、それにより、表面積が増大し、また、乱流形成によって熱伝達係数が大きくなることで、内部に配された熱源の熱が効率的に外部に供給されるようにしたこと、(1)上記凹凸部分に、溶湯に対して濡れにくい成分が塗布又は被覆されていること、を好ましい態様としている。また、本発明は、前記(1)から(11)のいずれかに記載の溶湯用部材を製造する方法であって、原料をスラリー化する工程と、表面に凹凸を有する多孔質でなる型に、前記スラリーを注入する工程と、注入後、多孔質の気孔に水分を吸収させることにより着肉固化させ、型の内壁表面に形成した凹凸を着肉固化部に転写する工程と、成形体を型から取り出し、乾燥後、所定の温度にて焼成し、焼結・緻密化せしめる工程からなることを特徴とする溶湯部材の製造方法、である。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、金属溶湯に接触して使用され、焼結工程を経て製造される耐熱部材であって、溶湯と接触する部分が機械加工を施していない状態の、いわゆる焼成面であり、該焼成面のうち少なくとも溶湯に接触する部分には、配置や大きさにおいて、規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸が形成されている金属溶湯用部材であることを特徴とするものである。本発明の金属溶湯部材は、特に、溶湯と接触する部分が機械的加工を施していない焼成面であること、該焼成面には、配置や大きさにおいて、規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸が形成されていることを特徴とするものである。
本発明では、セラミック焼結体の焼成面に、基材と一体化された、そして、配置や大きさが規則性を有する凹凸が形成されていることが重要である。ここで、上記基材の材料としては、窒化ケイ素又は窒化ケイ素系化合物が好適であるが、これらに限定されるものではなく、他のセラミックス材料を使用することも可能である。また、上記凹凸としては、例えば、球状の突起が好適であるが、その形態及び大きさは、使用目的に応じて任意に設計することができる。
上記焼成面に形成される凹凸は、好適には、例えば、凸部の直径が1mm以下、2つの凸部間の底面の距離が0.5mm以下、凸部の高さが0.2mm以上であり、また、上記凹凸は、例えば、正四角、正三角、正六角状の格子網目の格子点を形成するように規則性を有して配置されていることが好適であるが、これらに制限されるものではなく、これらと同効のものであれば同様に使用することができ、それらの具体的な構成は任意に設計することができる。
本発明は、以下の鋳込成形のプロセスを利用した工程;窒化ケイ素や助剤でなる出発原料を、水と混合し、スラリー化する工程と、表面に凹凸を有する多孔質でなる型に、スラリーを注入する工程と、前記スラリーを前記型内に注入後、多孔質の気孔に水分を吸収させることにより着肉固化させ、型に形成した凹凸を転写する工程と、成形体を型から取り出し、乾燥して、所定の温度にて焼成し、焼結せしめる工程、からなる手段が採用される。
出発原料の平均粒径は、好適には0.1から20ミクロンである。また、材料としては、窒化ケイ素が主流であるが、炭化ケイ素、アルミナやジルコニアといった耐熱性を有するセラミックスあるいは金属であっても使用することができる。また、溶湯としては、アルミ溶湯が代表例として例示されるが、アルミ以外でも効果が得られることが期待できる。
以上の鋳込成形のプロセスを利用した特定の工程によって、形状や大きさ、配置、間隔が規則的に制御された凹凸が焼成体の表面の焼成面に、基材と一体的に形成された金属溶湯用部材を作製することができる。こうした凹凸を形成することによって、溶湯との接触面積を小さくすることができるために、溶湯が濡れにくく、耐久性や対熱衝撃性、計量精度が高く、その品質が安定している部材を製造し、提供することが可能となる。
また、本発明では、窒化ホウ素を添加することにより、更に、濡れにくくする(濡れ性を悪くする)ことができる。更に、凹凸をもつ表面に、例えば、BNや雲母のような本来溶湯金属と濡れにくい粉末を塗布した場合、塗布部分は凹凸によって剥がれにくくなるため、濡れにくい性質を持続させることができる。前述のように、表面に形成する凸部は、球状が望ましいが、表面積を小さくできるものであればいずれの形態でも良く、例えば、ピラミッド状、台形であっても同様の効果が期待できる。表面に形成する凹凸(突起部)の大きさは、通常の場合、1mm以下の範囲にあること、また、突起部の距離は0.5ミリ以下、高さは0.2mm以上の範囲にあることが望ましく、また、実用上、濡れ角は90度以上であることが望ましい。
このように、本発明では、主に窒化ケイ素系材料が使用される溶湯用部材の表面に、球状等の凹凸が形成された溶湯用部材を作製することで、溶湯との接触面積を小さくすることができるために、溶湯が濡れにくく、耐久性や対熱衝撃性、計量精度の高く、その品質が安定している溶湯部材を製造し、提供することが可能となる。
本発明は、好適には、例えば、アルミ溶湯部材であるストーク、保護管、ラドル、ヒーターチューブ等に適用され、例えば、保護管の外周面、あるいはラドルの内面に凹凸が形成され、該凹凸により、アルミ溶湯との濡れ性を低下させ、それにより、部材への溶湯の付着量が低減し、あるいは計量精度が高められること、また、ヒーターチューブの内面に凹凸を形成することにより、表面積が増大し、受熱、放熱面積の増大と、乱流形成による熱伝達係数の増によって、内部に配された熱源の熱が効率的に溶湯に供給されることで、溶湯が所定温度に加熱されるまでの時間が、従来品に比べて、約10%短縮されること、等の作用効果が期待できる。
本発明では、溶湯と接触する部分が機械加工を施していない状態の焼成面であること、該焼成面に、配置や大きさにおいて規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸が形成されていること、これらが、鋳込成形の手法を利用して作製されていること、が重要である。従来、金属溶湯用部材の表面に、例えば、濡れ性を向上させるために塗布法等の手法を利用して凹凸を形成することが行われている。しかし、本発明のように、溶湯が濡れにくくなるように、機械加工を施していない状態の焼成面に、配置や大きさにおいて規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸を形成することは行われていないが、それは、本発明で提案されている、原料スラリーを表面に凹凸を有する多孔質の型に注入し、多孔質の気孔に水分を吸収させることにより着肉固化させ、型の内壁表面に形成した凹凸を着肉固化部に転写する工程を含む鋳込成形の手法が確立されていなかったことによるものである。本発明は、上記鋳込成形の手法を確立し、該手法を利用することで、特に、従来、作製が困難とされていた大型の溶湯用部材の表面に上記凹凸を形成すること、焼結体からなる耐熱性部材の焼成面に、配置や大きさにおいて規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸を形成すること、それにより、大型の溶湯用部材において、溶湯が濡れにくくなるようにすること、を可能としたものである。
本発明により、(1)主に窒化ケイ素系材料が使用される溶湯用部材の表面の焼成面に、配置や大きさにおいて規則性を有し、かつ基材と一体化された球状等の凹凸が形成された耐熱部材を作製することができる、(2)それにより、溶湯との濡れ性を低下させ、溶湯の付着量を低減させることができる、(3)上記構成により、溶湯との接触面積を小さくすることができるために、溶湯が濡れにくく、耐久性や対熱衝撃性、計量精度の高く、その品質が安定している部材を製造し、提供することができる、(4)鋳込成形の手法を利用し、特に、大型の溶湯用部材の生産に適した新しい生産技術を提供することができる、という効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素粉末、アルミナ、及びイットリアを、それぞれ90:3:5(重量比)となるように秤量し、所定量のPVA、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合してスラリーを調製した。一方、表面に、直径Dが0.5ミリで、その距離dが1.0ミリの間隙で、球状の突起部(高さ0.25mmの半球面の凸部)を形成し、一辺が約50ミリとした平板を内壁にもつ石膏型を準備し、上記スラリーを該石膏型内に注入して鋳込成形した。図1の上段に、石膏型の内壁の表面に形成された球状の突起部(凸部)の形態を示す。所定時間経過後、成形体を型から取り出し、更に、生強度向上のため静置した。得られた成形体を、乾燥後、0.93MPaの窒素雰囲気中、最高1800℃で焼成し、緻密化させた焼結体を得た。得られた焼結体の表面の焼成面には、直径D:約0.8ミリの球状、突起部の底部の距離d:0.5ミリ、高さh:0.4mmで、正四角の格子状の規則性を有し、かつ基材と一体化された突起部(凸部)が形成されていることが確認された。図1の下段に、その観察結果(外観)を示す。
実施例1と同様のプロセスにより、サイズの異なる石膏型を使って、突起部の直径D及びその距離dを変えて、球状突起を表面に形成した窒化ケイ素製のプレートを作製した。それらの表面に、直径6ミリ、高さ6ミリとしてアルミ製ピン状試料を作製し、該試料を球状突起を表面に形成したプレートの表面でレーザーを使って溶解させ、固体表面との間で決まる接触角を測定した。なお、このときの溶解した金属の温度は約690℃であった。図2に、その結果を示す。平滑な表面を有する窒化ケイ素上での接触角は約10度であった。表面に球状突起を形成したプレートを使用すると、接触角は大きくなっていた。これは溶解金属が濡れにくくなったことを示唆する。また、突起部の底面の距離を変えると、稠密な方が濡れにくくなる傾向が認められた。実用上、濡れ角は90度以上であることが望ましい。この条件で考えると、凸部の直径Dは1mm以下、その間隔dは0.5mm以下で有効であることがわかった。また、同様の試験を100回繰り替えしても、性能劣化は認められなかった。
配列を正三角、及び正六角として、凸部の直径Dは1mm以下、その間隔dは0.5mmとして、実施例2と同様の試験を行った結果、凹凸を規則性を有し、かつ基材と一体に形成した部材が上記実施例2と同様の効果を有することが確認された。
比較例1
窒化ケイ素粉末と燐酸アルミニウムを混合した粉末を用いて、基材の表面に塗布法により微細凹凸の形成を行った試料を用いて、実施例2と同様の試験を行った結果、数回の試験後に、塗布層は脱落して、微細凹凸は消失してしまった。
比較例2
実施例2において、不規則な配列を有する微細凹凸を形成し、同様の試験を行ったところ、凹凸の間隔が一定せず、間隔が広く平坦な箇所には、アルミは濡れやすく、所期の効果が得られないことが確認された。
実施例1と同様のプロセスで、焼結体の表面の焼成面に形成した突起の形状をピラミッド状とした試料を作製した。このときの突起の大きさ(底部の一片の大きさ)は1ミリとした。実施例2、3と同様の試験を実施した結果、アルミの場合で接触角が32度、鋳鉄の場合は接触角が43度と平滑な表面を有するセラミックスに比べて、接触角が大きく、濡れにくくなっていることが確認された。
直径D:約0.8ミリの球状、突起部の底部の距離d:0.1ミリ、高さh:0.6mmで、正四角の格子状の規則性を有し、かつ基材と一体化された突起部(凸部)が表面に形成された試料を用いて、実施例2と同様の試験を行った。図3に、その結果を示す。同じく凸部の高さを変えて試料を作製し、その評価を行ったが、高さが0.2mmに満たない場合には、十分な濡れ難さを得ることは困難であることがわかった。
平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素粉末、アルミナ、及びイットリアを、それぞれ92:3:5(重量比)となるように秤量し、所定量のPVA、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合してスラリーを調製した。一方、内壁に、直径が0.5ミリの球状の凹凸を形成した石膏型を準備し、上記スラリーを該石膏型内に注入して鋳込成形した。この石膏型の内部(キャビティー)の形状は、保護管用であり、内径が35ミリで、深さは700ミリである。気泡を巻き込まないように上記スラリーを石膏型に注入した後、保持して着肉させた。所定時間経過後、成形体を型から取り出し、更に、生強度向上のため静置した。得られた成形体を乾燥後、0.93MPaの窒素雰囲気中、最高1800℃で焼成し、緻密化させた焼結体を得た。得られた焼結体は、直径約28ミリ(焼結収縮により型寸法より小さくなる)の有底管であり、その表面の焼成面には、焼結収縮により直径D:0.8ミリ程度の球状、突起部の底部の距離d:0.5ミリ、高さh:0.6mmで、正四角の格子状の規則性を有し、かつ基材と一体化された突起部(凸部)が形成されていることが確認された。
上記焼結体より試験片を切り出し、強度を測定した結果、平均で840MPaとなった。同保護管を使って、アルミ溶湯に浸漬し、取り出したところ、ほとんどアルミ溶湯が付着しないことがわかった。一方、表面に突起のない、一般的な窒化ケイ素で同じように保護管を作製し、使用したところ、表面にアルミ溶湯の付着が認められた。また、同じ材料を使って、ラドル、ヒータチューブを作製し、アルミ溶湯に対して付着しにくいことを確認した。図4に、セラミックヒータチューブの外観を示す。ラドルでは、表面にアルミが付着しにくく、型内に、すくった溶湯を残らず注入することが可能となり、計量精度を向上させることができた。また、その効果は、数百回使用しても問題なく、発現されることが確認された。
ケイ素粉末、アルミナ、イットリア、及び窒化ホウ素粉末を、それぞれ80:5:7:8(重量比)となるように秤量し、所定量のPVA、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合してスラリーを調製した。一方、内壁に、直径が1ミリの球状の凹凸を形成した石膏型を準備し、上記スラリーを該石膏型内に注入して鋳込成形した。この石膏型の内部(キャビティー)の形状は、保護管用であり、内径が35ミリで、深さは700ミリである。気泡を巻き込まないように上記スラリーを石膏型に注入した後、保持して着肉させた。所定時間経過後、成形体を型から取り出し、更に、生強度向上のため静置した。得られた成形体を乾燥後、1気圧の窒素ガス中で1400℃で反応焼結後、9気圧の窒素雰囲気中、最高1800℃で焼成し、緻密化させた焼結体を得た。得られた焼結体は、直径約30ミリ(焼結収縮により型寸法より小さくなる)の有底管であり、その表面の焼成面には、焼結収縮により直径D:0.9ミリ程度の球状の凸部が表面に形成されていることが確認された。該焼結体の切り出し試験片の相対密度は85%であり、該材料の3点曲げ強度は390MPaであった。BNの分散によりアルミ溶湯に濡れにくくなっているものがBNが焼結性を低下させるために、強度が低下していた。
平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素粉末、アルミナ、及びイットリアを、それぞれ92:3:5(重量比)となるように秤量し、所定量のPVA、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合してスラリーを調製した。一方、内壁に、直径が0.5ミリの球状の凹凸を形成した石膏型を準備し、上記スラリーを該石膏型内に注入して鋳込成形した。この石膏型の内部(キャビティー)の形状は、保護管用であり、内径が35ミリで、深さは700ミリである。気泡を巻き込まないように上記スラリーを石膏型に注入した後、保持して着肉させた。所定時間経過後、成形体を型から取り出し、更に、生強度向上のため静置した。得られた成形体を乾燥後、0.93MPaの窒素雰囲気中、最高1800℃で焼成し、緻密化させた焼結体を得た。
得られた焼結体は、直径約28ミリ(焼結収縮により型寸法より小さくなる)の有底管であり、その表面の焼成面には、焼結収縮により直径D:0.8ミリ程度の球状、突起部の底部の距離d:0.5ミリ、高さh:0.6mmで、正四角の格子状の規則性を有し、かつ基材と一体化された突起部(凸部)が形成されていることが確認された。該焼結体の試験片を切り出し、強度を測定した結果、平均で840MPaとなった。同保護管を使って、アルミ溶湯に浸漬し、取り出したところ、ほとんどアルミ溶湯が付着しないことがわかった。一方、表面に突起のない、一般的な窒化ケイ素で同じように保護管を作製し、使用したところ、表面にアルミ溶湯の付着が認められた。
内面にも凹凸を有するセラミックヒータチューブを作製し、管内部でガスを熱源としてアルミを溶解したところ、平坦な表面を有する従来品に比べて、約10%、所定温度に加熱されるまでの時間が短縮された。これは、受熱、放熱面積の増大と乱流形成による熱伝達係数の増大によって、内部の熱が、効率よくアルミ溶湯側に伝わったためと考えられた。
以上詳述したように、本発明は、例えば、アルミ溶湯用部材及びその製造方法に係るものであり、本発明によれば、主に窒化ケイ素系材料が使用される溶湯用部材の表面に球状等の凹凸が形成された溶湯用部材を作製することができ、溶湯との接触面積を小さくすることができるために、溶湯が濡れにくく、耐久性や対熱衝撃性、計量精度の高い部材を製造し、提供することができる。
セラミックス表面の焼成面に形成した球状突起の形態(上段)、及び鋳込み成形で作製した突起つき試料表面の観察結果(下段)を示す。 表面の突起部の大きさ及び距離を変えた場合のアルミ溶湯の接触角の変化を示す。 表面の突起部の高さを変えた場合のアルミ溶湯に対する接触角の変化を示す。 セラミックヒータチューブの形状の一例を示す。

Claims (13)

  1. 溶湯に接触して使用される溶湯用部材において、焼結体からなる耐熱部材であり、溶湯と接触する部分が機械加工を施していない状態の焼成面であり、該焼成面に、配置や大きさにおいて規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸が形成されている溶湯用部材であって、
    上記焼成面に形成された凸部の直径が0超〜1mm以下であることを特徴とする溶湯用部材。
  2. 上記耐熱部材が保護管である請求項1記載の溶湯用部材。
  3. 上記耐熱部材がラドルである請求項1記載の溶湯用部材。
  4. 上記保護管の外周面、あるいはラドルの内面に凹凸が形成され、該凹凸により溶湯との濡れ性を低下させ、それにより、溶湯の付着量を低減し、あるいは計量精度を高めるようにした請求項2又は3に記載の溶湯用部材。
  5. 上記耐熱部材が、窒化ケイ素又は窒化ケイ素を基材とする複合材料からなる請求項1記載の溶湯用部材。
  6. 上記凹凸部が、表面に形成された球状の突起群である請求項1記載の溶湯用部材。
  7. 上記焼成面に形成された2つの凸部間の底面の距離が0.5mm以下である請求項1記載の溶湯用部材。
  8. 上記焼成面に形成された凸部の高さが0.2mm以上である請求項1記載の溶湯用部材。
  9. 上記凹凸部が、正四角、正三角、正六角状のいずれかの格子網目の格子点を形成するように配されている請求項1記載の溶湯用部材。
  10. 上記耐熱部材が、ヒータチューブである請求項1記載の溶湯用部材。
  11. 上記ヒータチューブの内面には配置や大きさにおいて規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸が形成され、それにより、表面積が増大し、また、乱流形成によって熱伝達係数が大きくなることで、内部に配された熱源の熱が効率的に外部に供給されるようにした請求項10記載の溶湯用部材。
  12. 上記凹凸部分に、溶湯に対して濡れにくい成分が塗布又は被覆されている請求項1記載の溶湯用部材。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の溶湯用部材を製造する方法であって、原料をスラリー化する工程と、表面に凹凸を有する多孔質でなる型に、前記スラリーを注入する工程と、注入後、多孔質の気孔に水分を吸収させることにより着肉固化させ、型の内壁表面に形成した凹凸を着肉固化部に転写する工程と、成形体を型から取り出し、乾燥後、所定の温度にて焼成し、焼結・緻密化せしめる工程からなることを特徴とする溶湯用部材の製造方法。
JP2004327897A 2004-11-11 2004-11-11 アルミ溶湯用部材及びその製造方法 Active JP4701380B2 (ja)

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