JP4724863B2 - ノロ付着の少ない鋳造用ストーク及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ノロ付着の少ない鋳造用ストーク及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、アルミ鋳造の際に、不可避的に生じるノロ(金属溶湯の酸化物、あるいは生産部材、炉材の溶解成分)の付着が少ない部材とその製造方法に関するものである。本発明は、少なくとも、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、ストーク表面の帯状の領域に沿って、多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸が帯状に形成されているノロ付着防止機能付き鋳造用ストークを提供するものである。
窒化ケイ素セラミックスは、高強度、高硬度、耐熱性、耐腐食性に優れるため、多くの工業分野で応用されている。例えば、従来、ケイ素とホウ素を主原料として反応焼結法でブレークリング等の部材を製造する方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。しかし、これらは、強度が低いため、熱衝撃で破損しやすいという問題点がある。
材料開発的な手法を用いて、例えば、窒化ケイ素セラミックスに窒化ホウ素(BN)を添加すると、加工性、耐腐食性、耐熱性と耐熱衝撃性は、一層改善できるが、強度が低下することは避けられない。また、鋳造用部材は、金属に濡れにくいことが要求されるが、窒化ホウ素等の濡れにくい化合物を添加するといった手法では、限界がある。
また、固体の、液体に対する濡れ性の制御に関して、液体を水とすると、多くの技術が提案されている。おそらく、たとえば、先行技術文献の「撥水性コーティング用組成物及び撥水性コーティング用組成物を塗布した熱交換器」(特許文献3)では、熱交換器の板状フィンの表面に、微細凹凸が生成するように被膜を形成する内容が開示されている。また、同じ系統の内容の技術が、多数報告されている(特許文献4〜8)。
これらは、いずれも、ハスの葉の裏面が水をはじくことがよく知られているように、その現象をヒントにして、特に水に対する撥水性を高めたことを狙いとしている。その点において、本発明と発想の原点は同じ部分があるが、本発明では、水といった扱いやすい液体ではなく、アルミ溶湯という高温融体を相手材としており、また、大型部材でありながら、精緻な微細構造を形成するための加工方法、部材の材質の選定等について、技術的に新規な構成が付加されている。
また、他の文献には、鋼の浸漬ノズルに関して、内孔表面に凹凸の形状を設け、溶鋼との接触角を90度以下とする(濡れやすくする)ことを特徴とする内容が開示されている(特許文献9)。これは、ノズルの表面を濡れやすくすることで、溶鋼の層を部材との間で形成し、溶鋼内での反応により生成するアルミナの付着を防止することを目的としており、本発明とは目的が異なっている。
また、上記文献には、凹凸形成により金属種類によっては濡れ性がよくなるとの記述があり、この点は、本発明と考え方が基本的に異なる点である。本発明では、主としてアルミ、そして、銅、鋳鉄を対象としているが、これらは、溶鋼とは成分も異なり、化学的な性質の差により、表面性状の濡れ性に対する影響も違いがあるものと考えられる。
更に、他の文献には、溶融金属の通路に凹凸を形成する内容のものがあるが、これは、凹凸の形成により、流動溶融金属に乱流を生じせしめ、界面部における非金属介在物の析出付着や溶融金属の停滞を効果的に抑制することを狙いとしている(特許文献10)。
ノロ付着防止技術としては、例えば、溶湯やノロに濡れにくいチタン酸アルミセラミックスを用いたストークが提案され、一部実用化されている。また、窒化ケイ素(耐火物質の材料含む)のストークの湯面近傍にBN等の鱗片状粉末を塗布することによりノロの付着を防止することが知られており、通常、現場で行われている。
更に、他の文献(本発明者による、先願特許)には、溶湯に接触して使用される溶湯用部材において、焼結体からなる耐熱部材であり、溶湯と接触する部分が機械加工を施していない状態の焼成面であり、該焼成面に、配置や大きさにおいて規則性を有し、かつ基材と一体化された凹凸が形成されていることで特徴付けられる溶湯用部材が提案されている(特許文献11)。
特開昭60−22676号公報 特開昭59−107979号公報 特許第2507119号公報 特開平6−93225号公報 特開平5−43736号公報 特開平8−131940号公報 特開平8−195126号公報 特開平8−259851号公報 特開2001−105106号公報 特開昭62−89566号公報 特開2006−136917号公報
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、アルミ鋳造の際に、不可避的に生じるノロ(金属溶湯の酸化物、あるいは生産部材、炉材の溶解成分)の付着が少ない部材を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、ノロ付着防止機能を有するストークを開発することに成功し、本発明を完成するに至った。本発明は、ノロ付着防止機能付き鋳造用ストーク及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)アルミ溶湯の鋳造に使用されるノロ付着防止機能を有するストークであって、少なくとも、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、ストーク表面の帯状の領域に沿って、多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸が帯状に形成され、当該凹凸の谷部に、ノロに対して濡れにくく化学的に安定な無機系物質が、厚膜として充填され、上記無機系物質が、BN、グラファイト、雲母のいずれかあるいはそれらの混合物であり、それらが脱水縮合反応により固化するリン酸アルミ乃至マグネシアを含む無機物でなる結合材により固定されていることを特徴とするノロ付着防止機能付き鋳造用ストーク。
(2)上記多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸の谷部に、ノロに対して濡れにくく化学的に安定な無機系物質が、厚膜として充填され、前記表面の突起及び/又は穴からなる凹凸の谷部に入り込むことより、基材との結合が高まり、また、前記厚膜における亀裂進展が抑えられている前記(1)記載のノロ付着防止機能付き鋳造用ストーク。
)上記無機系物質が、ジルコニア、チタン酸アルミであって、溶射により基材と密着、被覆されていることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の鋳造用ストーク。
)上記ストークが、窒化ケイ素あるいは窒化ケイ素を基材とする複合材料であることを特徴とする前記(1)から()のいずれかに記載の鋳造用ストーク。
)ストークの頂面から50〜200mmの範囲にわたって凹凸が帯状に形成されている、前記(1)又は(2)記載の鋳造用ストーク。
)ノロ付着防止機能を有するストークを製造する方法であって、ストークの原料をプレス後、生加工、あるいは鋳込み成形で、最終形状に近い形状に成形する工程と、得られた成形体のうち、焼成後、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、帯状の領域に、マスキングを行い、ブラスト加工、あるいは研削加工により、多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸を帯状に形成後、焼成する工程を含むことを特徴とするノロ付着防止機能付き鋳造用ストークの製造方法。
)前記()記載のストークの製造方法における上記焼成する工程の後、BN、グラファイト、雲母のいずれかあるいはそれらの混合物の無機系物質を、ストーク表面の帯状の領域に形成した多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸の谷部に充填後、熱処理することを特徴とするノロ付着防止機能付き鋳造用ストークの製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、アルミ溶湯の鋳造に使用されるノロ付着防止機能を有するストークであって、少なくとも、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、ストーク表面の帯状の領域に沿って、多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸が帯状に形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明は、上記ストークの上記多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸の谷部に、ノロに対して濡れにくく化学的に安定な無機系物質が、厚膜として充填され、前記表面の突起及び/又は穴からなる凹凸の谷部に入り込むことより、基材との結合が高まり、また、前記厚膜における亀裂進展が抑えられていることを特徴とするものである。
また、本発明は、上記ストークを製造する方法であって、プレス後、生加工、あるいは鋳込み成形で、最終形状に近い形状に成形する工程と、得られた成形体のうち、焼成後、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、帯状の領域に、マスキングを行い、ブラスト加工、あるいは研削加工により、多数の多角錐、球面状突起、溝、穴等の凹凸を帯状に形成後、焼成する工程を含むことを特徴とするものである。
更に、本発明は、上記ストークの製造方法における上記焼成する工程の後、BN、グラファイト、雲母のいずれかあるいはそれらの混合物の無機系物質を、ストーク表面の帯状の領域に形成した多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸の谷部に充填後、熱処理することを特徴とするものである。
アルミ溶解・鋳造ラインにおいては、溶湯表面が大気に晒されることで、溶湯表面には、溶湯が酸化、あるいは生産部材の一部が溶解、半凝固状になった物質である、通称ノロといわれる「ノロ」が発生し、浮遊する現象が生じることが通常である。これは、飴状で、部材に付着しやすく、これを除去するために、生産を停止する必要があり、生産効率の低下を招く原因となる。
また、塗布や機械的な加工で部材に凹凸を形成することも考えられるが、これらの手法では、耐久性や経済性及び規則的で所定の高さを有する凹凸は得られず、品質が安定しないといった課題もある。もともと濡れにくいチタン酸アルミの活用も進んでいるが、強度が数十メガパスカル程度ときわめて低いため、破損することがあり、その場合、溶湯が流出するなど危険な状況になる可能性をはらんでいる。
窒化ホウ素(BN)は、鱗片状の結晶構造を有しており、その塗布によりノロの付着を抑制できることは知られている。しかし、これは、固体潤滑材でもあり、塗布と同時に少なからず、現場に飛散し、滑り易くなるなどの危険が生じること、また、BNは、通常、高価であり、これらを多量に塗布することで経済的にも不利となる。
本発明は、こうしたアルミ溶解・鋳造ラインでの現実的な課題を解決できるように、強度、耐磨耗性、耐食性、耐熱衝撃性に優れ、ノロが付着しにくく、経済性、耐久性があり、品質の安定したストークを提供するものである。なお、本発明は、狭義のストークに限定されるものでなく、同じ課題を抱えるストーク類似の部材にも同様に適用することができる。
公知例には、前述のように、先行技術として、例えば、本発明者による、本発明と関連の深い技術が提案されているが、ノロとの反応を抑えるための、表面形態の形状、無機系充填物質の固定方法、性状、特定部品の点で、本発明と別異のものである。本発明では、少なくとも、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、ストーク表面の帯状の領域に沿った部分の接触面積を低減させるための、多数の多角錐、球面状突起、溝、穴等の凹凸が帯状に形成される。
また、上記接触面積を低減させるための多数の多角錐、球面状突起、溝、穴等の凹凸の谷部には、ノロに対して濡れにくい無機系物質が充填されることも効果的である。この場合、従来法による平面上への塗布では、厚く塗ることができないために、短い間隔で、塗布することに限られる。これに対し、本発明では、上記谷部に、無機系物質を厚く充填して厚膜とすることで、メンテナンスのインタバルも長くすることが可能であり、また、アンカー効果により、形成した厚膜部分は、平坦な面への塗布に比べて、はがれ難くなるという効果が得られる。
本発明では、原料として、好適には、例えば、平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素及びアルミナ、イットリアが用いられる。この場合、平均粒径は、0.5〜1ミクロン程度のものが使用される。窒化ケイ素に代えて、炭化ケイ素、ジルコニアを使用することも可能である。
一般的には、上記原料に、所定量のPVA、粉末総重量に対して、例えば、140wt%程度の水を配合し、ボールミルにより混合し、スプレードライヤーを使って造粒し、これをCIP成形し、生加工により、例えば、長さ約1mのストーク形状を作製する。次に、生加工により、ストークの頂面から50mm〜200mmの範囲にわたって帯状に、適宜の形状の凹凸を形成する。
この場合、上記凹凸は、少なくとも、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、ストーク表面の帯状の領域に沿って、多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸を帯状に形成する。これらの凹凸の組み合わせ、選択、形成する領域は、任意に設計することができる。表面に形成する凹凸(突起部)の大きさは、通常の場合、2mm以下の範囲にあること、また、突起部の距離は1ミリ以下、高さは2mm以上の範囲にあることが望ましい。
次に、上記帯状の領域に沿って形成した凹凸の谷部に、ノロに対して濡れにくく化学的に安定な無機系物質を厚膜として充填し、これが前記表面の突起、穴に入り込むようにすることにより、基材との結合を高め、また、前記厚膜における亀裂進展が抑えられるようにする。
上記無機系物質としては、好適には、例えば、窒化ホウ素(BN)、グラファイト、雲母のいずれか、あるいはそれらの混合物、ジルコニア、チタン酸アルミが例示される。BN、グラファイト、雲母の場合は、それらが脱水縮合反応により固化するリン酸アルミ乃至マグネシアを含む無機物でなる結合材により固定されることが好ましい。また、ジルコニア、チタン酸アルミの場合は、溶射により基材と密着、被覆されていることが好ましい。
このように、本発明は、上記帯状の凹凸部により、ノロとの接触面積を小さくすることができるために、ノロが付着しにくく、また、付着した場合にも、はがれ易い部材を製造し、提供することが可能となる。また、突起形状を有するスリーブを別個に作製し、それを本体に嵌合、あるいは無機系接着材で固定するといった構成でも同様の効果を得ることができる。
上記凹凸の形成方法は、多様であるが、経済性を考えると、成形後、マスキング+ブラスト加工、あるいは鋳込み成形で付与することが望ましい。もちろん、形成方法は、これらに限定されるものではなく、焼成後に、所定形状に加工を施すことも適宜可能である。
ストークの材料は、窒化ケイ素が主流であるが、炭化ケイ素、アルミナやジルコニアといった耐熱性を有するセラミックスあるいは金属であっても同様の効果は期待できる。また、溶湯としてアルミ以外の溶湯でも同様の効果が得られる場合には、同様に使用することができる。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)アルミ溶湯の鋳造に使用されるノロ付着防止機能を有するストークを製造し、提供することができる。
(2)少なくとも、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、ストーク表面の帯状の領域に沿って、多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸が帯状に形成されているノロ付着防止機能付き鋳造用ストークを提供することができる。
(3)主に窒化ケイ素系材料からなる溶湯用部材の表面、特に、湯面近傍に、ノロとの接触面積を低減するための凹凸、溝、穴を形成した、ノロ付着防止機能を有する鋳造用ストークを提供することができる。
(4)強度、耐磨耗性、耐食性、耐熱衝撃性に優れ、ノロが付着しにくく、経済性、耐久性、品質の安定性に優れた鋳造用ストークを提供することができる。
(5)BNの吹きつけ工程を省略、簡素化できるので、清浄な作業環境とできる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素粉末及びアルミナ、イットリアがそれぞれ90:3:5となるように秤量し、所定量のPVA、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合し、スプレードライヤーを使って、造粒した。これをCIP成形し、生加工により、一辺が約30mmで厚さ9ミリのプレートを作製した。
次に、生加工により、四角錐状の突起群を上面に形成した。脱脂後、0.93MPaの窒素雰囲気中、最高1800℃で焼成し、緻密化させた。得られた焼結体の表面には、一辺が2mm、高さ2mmの四角錐群が形成されていることを確認した。得られた試験プレートの表面に、アルミ合金AC4Aの鋳造ラインで生成したノロ粒をおき、大気炉中、800℃で2時間保持した。炉冷後、取り出したところ、若干付着がみられるが、ノロの粘性は高いために、突起の内部にまで入り組んでいることはなく、突起先端部分で、簡単に、付着したノロははがすことができた。
比較例1
平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素粉末及びアルミナ、イットリアがそれぞれ90:3:5となるように秤量し、所定量のPVA、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合し、スプレードライヤーを使って、造粒した。これをCIP成形し、生加工により、一辺が約30mmで厚さ9ミリのプレートを作製した。脱脂後、0.93MPaの窒素雰囲気中、最高1800℃で焼成し、緻密化させた。得られた焼結体の表面を研削加工し、平坦な表面をもつ試験片を作製した(図1の比較例1参照)。
得られた試験プレートの表面に、アルミ合金AC4Aの鋳造ラインで生成したノロ粒をおき、大気炉中、800℃で2時間保持した。炉冷後、取り出したところ、実施例1と比べて、面全体にノロが付着し、その量も多く、はがれ難いことが分かった。
平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素粉末及びアルミナ、イットリアがそれぞれ90:3:5となるように秤量し、所定量のPVA、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合し、スプレードライヤーを使って、造粒した。これをCIP成形し、生加工により、一辺が約30mmで厚さ9ミリのプレートを作製した。
生加工により、幅約1.2mmの溝を格子状に形成した。このとき溝の深さは、2.4mmである。四角錐状の突起群を上面に形成した。脱脂後、0.93MPaの窒素雰囲気中、最高1800℃で焼成し、緻密化させた。得られた焼結体の表面には、幅約1mm、深さ約2mm格子状の溝が形成されていることを確認した(図2の実施例2参照)。
得られた試験プレートの表面に、アルミ合金AC4Aの鋳造ラインで生成したノロ粒をおき、大気炉中、800℃で2時間保持した。炉冷後、取り出したところ、若干付着がみられるが、ノロの粘性は高いために突起の内部にまで入り組んでいることはなく、突起先端部分で、簡単に、付着したノロははがすことができた。
実施例2において、溝部に無機系バインダーを結合材とするBNコンパウンドを充填した。その工程は、以下の通りである。BN粉末:15.0wt%、リン酸アルミニウム:9.0wt%、MgO粉末:0.5wt% の比率で混練し、溝部に充填した。自然乾燥後、炉内に入れ、300℃まで加熱し、固化させた(図2の実施例3参照)。
得られた試験プレートの表面に、アルミ合金AC4Aの鋳造ラインで生成したノロ粒をおき、大気炉中、800℃で2時間保持した。取り出したところ、ほとんどノロの付着は認められなかった。
実施例1において、溝部に溶射により、Y部分安定化ジルコニア(ZnO)を充填した(図2の実施例4参照)。得られた試験プレートの表面に、アルミ合金AC4Aの鋳造ラインで生成したノロ粒をおき、大気炉中、800℃で2時間保持した。取り出したところ、ほとんどノロの付着は認められなかった。
平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素粉末及びアルミナ、イットリアがそれぞれ90:3:5となるように秤量し、所定量のPVA、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合し、スプレードライヤーを使って、造粒した。これをCIP成形し、生加工により、一辺が約30mmで厚さ9ミリのプレートを作製した。次に、マスキングを行い、表面上に平方センチあたり10個の穴を設けた。このとき穴の径、深さはそれぞれ1mm、2mmである。
脱脂後、0.93MPaの窒素雰囲気中、最高1800℃で焼成し、緻密化させた。得られた焼結体の表面には、直径D約0.8ミリの穴が表面に形成されていることを確認した。得られた試験プレートの表面に、アルミ合金AC4Aの鋳造ラインで生成したノロ粒をおき、大気炉中、800℃で2時間保持した。炉冷後、取り出したところ、若干付着がみられるが、簡単にはがすことができた。
平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素粉末及びアルミナ、イットリアがそれぞれ90:3:5となるように秤量し、所定量のPVA、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合し、スプレードライヤーを使って、造粒した。これをCIP成形し、生加工により、長さ約1mのストーク形状の部材を得た。次に、ストークの頂面から50mm〜200mmの範囲にわたって帯状に、実施例3に倣い、生加工により格子状の溝を形成し、ノロと接触する帯状の領域に、表面形状加工が施された部材を得た。
得られたストークを使ってアルミ溶湯に浸漬し、取り出したところ、ほとんどノロが付着しないことが分かった(図3)。一方、表面に突起のない、一般的な窒化ケイ素で同じようにストークを作製し、使用したところ、表面にアルミ溶湯の付着が認められた。その効果は、数百回使用しても問題のないことを確認した。
以上詳述したように、本発明は、ノロ付着の少ない鋳造用ストーク及びその製造方法に係るものであり、本発明により、アルミ溶湯の鋳造に使用されるノロ付着防止機能を有する鋳造用ストークを製造し、提供することができる。また、本発明によれば、主に窒化ケイ素系材料が使用される溶湯用部材の表面、特に、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、ストーク表面の帯状の領域に沿って、ノロとの接触面積を低減するための、溝及び/又は穴からなる凹凸を形成することにより、ノロの付着を防止することができる。本発明により、少なくとも、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、ストーク表面の帯状の領域に沿って、多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸が帯状に形成されているノロ付着防止機能付き鋳造用ストークを提供することができる。
実施例1及び比較例1の試験片の表面形状を示す。 実施例2〜4の表面加工形態の例を示す。 アルミ溶湯の鋳造に使用される鋳造用ストークの構成例を示す。

Claims (7)

  1. アルミ溶湯の鋳造に使用されるノロ付着防止機能を有するストークであって、少なくとも、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、ストーク表面の帯状の領域に沿って、多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸が帯状に形成され、当該凹凸の谷部に、ノロに対して濡れにくく化学的に安定な無機系物質が、厚膜として充填され、上記無機系物質が、BN、グラファイト、雲母のいずれかあるいはそれらの混合物であり、それらが脱水縮合反応により固化するリン酸アルミ乃至マグネシアを含む無機物でなる結合材により固定されていることを特徴とするノロ付着防止機能付き鋳造用ストーク。
  2. 記多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸の谷部に、ノロに対して濡れにくく化学的に安定な無機系物質が、厚膜として充填され、前記表面の突起及び/又は穴からなる凹凸の谷部に入り込むことより、基材との結合が高まり、また、前記厚膜における亀裂進展が抑えられている請求項1記載のノロ付着防止機能付き鋳造用ストーク。
  3. 上記無機系物質が、ジルコニア、チタン酸アルミであって、溶射により基材と密着、被覆されていることを特徴とする請求項1又は2記載の鋳造用ストーク。
  4. 上記ストークが、窒化ケイ素あるいは窒化ケイ素を基材とする複合材料であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の鋳造用ストーク。
  5. ストークの頂面から50〜200mmの範囲にわたって凹凸が帯状に形成されている、請求項1又は2記載の鋳造用ストーク。
  6. ノロ付着防止機能を有するストークを製造する方法であって、ストークの原料をプレス後、生加工、あるいは鋳込み成形で、最終形状に近い形状に成形する工程と、得られた成形体のうち、焼成後、湯面近傍に浮遊するノロと接触する部分となる、帯状の領域に、マスキングを行い、ブラスト加工、あるいは研削加工により、多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸を帯状に形成後、焼成する工程を含むことを特徴とするノロ付着防止機能付き鋳造用ストークの製造方法。
  7. 請求項記載のストークの製造方法における上記焼成する工程の後、BN、グラファイト、雲母のいずれかあるいはそれらの混合物の無機系物質を、ストーク表面の帯状の領域に形成した多数の多角錐、球面状突起、溝及び/又は穴からなる凹凸の谷部に充填後、熱処理することを特徴とするノロ付着防止機能付き鋳造用ストークの製造方法。
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