JP4701333B2 - 病院における移動体監視システム - Google Patents

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Description

本発明は、病院における患者や薬剤トレーを載せたワゴン等の移動体の移動軌跡を常時監視することにより、患者に異変等が生じたことの検出と薬剤を運ぶ看護師に配送ミス等が起きたことの検出を行ない、迅速且つ確実な対応を図ることができる、病院における移動体監視システムに関するものである。
従来、病院(老人ホーム等の介護,養護施設を含む)の施設内において、多くの患者が所用やリハビリのため当該病院内の通路やリハビリコースを歩いている。該患者には症状の程度や内容により様々な患者がおり、更には認知症患者もいる。該状況下において患者に異変等が生じて倒れたり、徘徊により行方不明になることがある。日中は病院職員や見舞客も多いため、迅速な救助や発見がなされることが可能であるが、夜間等においては前記救助や発見が遅れて大事に至ることが懸念される。
上記課題を解決すべく、例えば特開2003−323490号公報の『被管理者の居場所管理システム』においては、非接触型のICタグを被管理者(患者・入居者)に所持させ、管理区域内に複数のリーダーを設置し、前記ICタグをどのリーダーで検出したかの情報をサーバーで管理することにより、被管理者の居場所を管理するシステムが提案されている。
また、上記病院内において、患者に投与するための薬剤は、患者名等が記載された薬剤トレー内に入れられ、看護師が該当患者の病室までワゴンに載せて運んでいる。該状況下において看護師が確認を誤り異なった薬剤を患者に運ぶ配送ミスを起こしたり、病棟や配送階のルートミスやワゴンの転倒等の事故を起こすことがある。該配送ミスを起こすと、本来投与されるべき薬剤とは異なる薬剤が投与され、症状の改善に悪影響を及ぼすことになる。また、ルートミスやワゴンの転倒等の事故が起きると、患者への薬剤投入時間が遅れてしまい、前記と同様の問題が懸念される。
上記課題のうち配送ミスの課題を解決すべく、例えば特開2002−269234号公報の『薬剤の取扱管理方法及びその取扱管理システム』においては、ワゴンに載せた薬剤トレーにICタグを内蔵したオーダーカードを入れ、各病室やベッドに設置したチェックユニット(リーダー)で前記オーダーカードの内容を確認及び管理することにより、薬剤の配送ミスを防止するシステムが提案されている。
特開2003−323490 特開2002−269234
しかしながら、上記特開2003−323490号公報においては、被管理者に所持させるICタグは、近年普及が著しいRFID(Radio Frequency Identification)タグとは異なり、バッテリーを内蔵することにより自ら微弱電波を発信して15〜20m程度の無線通信を行うことができる無線通信ユニットである。このため、前記ICタグを連続使用するとバッテリーの消耗が激しくなり、長時間使用することができないという欠点があった。また、長時間使用するためにはバッテリーを大きくする必要があり、ICタグの形状が大きくなってしまうという欠点があった。
また、上記特開2002−269234号公報においては、ICタグを内蔵したオーダーカードを入れた薬剤トレーをワゴンに載せて運ぶため、各病室やベッドに設置したチェックユニット(リーダー)で前記オーダーカードの内容を確認及び管理することにより、薬剤の配送ミスを防止することができるが、病棟や配送階のルートミスを起こした場合には、該ルートミスをナースステーションや管理センターより看護師に知らせることができないという欠点があった。また、ワゴンの転倒等の事故が起きた場合には、該状態を迅速にナースステーションや管理センターに連絡することができないという欠点があった。
本発明は、以上述べたような問題点を解決するために成されたものであり、バッテリーレス型のRFIDタグを用いて病院における患者や薬剤トレーを載せたワゴン等の移動体の移動軌跡を常時監視することにより、患者に異変等が生じたことの検出と薬剤を運ぶ看護師に配送ミス等が起きたことの検出を行ない、迅速且つ確実な対応を図ることができる、病院における移動体監視システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の病院における移動体監視システムにおいては、リーダーとバッテリーレスにて無線通信を行うことにより情報伝送を行うRFIDタグと、無線基地局と自ら電波を発信して無線通信を行うことにより情報伝送を行うRF通信モジュールと、前記RFIDタグを構成するRFIDチップ内にインターフェース回路を内蔵して接点信号入力及び/又はセンサ信号入力が行える手段と、前記RF通信モジュールに発光素子及び/又は発音素子を内蔵して警報出力が行える手段にて構成した遠隔通信機能付きRFIDタグを患者に所持させ及び薬剤トレーを載せたワゴンに装着し、
病棟内外において前記遠隔通信機能付きRFIDタグ内のRFIDタグと無線通信を行うリーダーを通路及びリハビリコース等において通信範囲が連続してカバーできるよう複数箇所に配置し、前記遠隔通信機能付きRFIDタグ内のRF通信モジュールと無線通信を行う無線基地局を前記リーダーの通信範囲を超えて広範囲にカバーできるよう1箇所以上に配置し、前記複数のリーダーと1個以上の無線基地局をLAN又は電力線搬送通信を中継してナースステーション又は管理センター内のサーバーに接続して構成する。
本発明の病院における移動体監視システムによれば、遠隔通信機能付きRFIDタグを患者に所持させ及び薬剤トレーを載せたワゴンに装着することにより、移動軌跡をリーダー及びバッテリーレス型のRFIDタグにて常時監視してナースステーション又は管理センター内のサーバーにて管理することができる。そのため、患者に異変等が生じた場合又はワゴンの転倒等の事故が起きた場合に、緊急事態を通報するためのスイッチや転倒を検出するためのセンサにより当該位置が検出でき、迅速且つ確実な対応を図ることができるという効果を奏する。また、患者が通路やリハビリコースを外れた場合又は薬剤を運ぶ看護師がルートミスを起こした場合に、RF通信モジュールを起動して無線通信により患者や看護師に前記事態を警報にて知らせることができ、事故を防止できるという効果を奏する。該RF通信モジュールは、前記緊急事態の通報送信時や警報送信時のみ作動するため、RF通信モジュールを駆動するためのバッテリーは小型化できるという効果も奏する。
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。
図3は本発明の病院における移動体監視システムで用いる遠隔通信機能付きRFIDタグの通信形態を示す模式図である。該図に示すように、遠隔通信機能付きRFIDタグ26は、リーダー24とバッテリーレスにて無線通信を行うことにより情報伝送を行うRFIDタグ1と、無線基地局27と自ら電波を発信して無線通信を行うことにより情報伝送を行うRF通信モジュール15と、前記RFIDタグ1を構成するRFIDチップ2内にインターフェース回路を内蔵して接点信号及び/又はセンサ信号35の入力が行える手段と、前記RF通信モジュール15に発光素子及び/又は発音素子36を内蔵して警報出力が行える手段にて構成する。
なお、上記RFIDタグ1はRFIDチップ2及びアンテナ3にて構成し、アンテナ25を接続したリーダー24と無線通信を行う。また、アンテナ16を接続したRF通信モジュール15に当該RF通信モジュール15を駆動するためのバッテリー17を接続し、前記RFIDチップ2内のインターフェース回路に接点信号及び/又はセンサ信号を入力して感応した場合又はリーダー24とRFIDタグ1との通信範囲が外れた場合に前記RF通信モジュール15を起動して自ら電波を発信してアンテナ28を接続した無線基地局27と無線通信を行う。該RF通信モジュール15の送信出力は、微弱無線や特定小電力無線など用途に応じて任意に選択して構わない。
上記インターフェース回路に入力する接点信号源としては緊急信号発生用の押しボタンスイッチが好適であり、センサ信号源としては傾斜センサや転倒センサ又は加速度センサ等が好適であるが、何れも特に限定するものではない。
また、図4は本発明の病院における移動体監視システムの一実施例におけるシステム系統図である。該図に示すように、病棟内外において上記遠隔通信機能付きRFIDタグ26内のRFIDタグ1と無線通信を行うリーダー24を通路29及びリハビリコース等において通信範囲が連続してカバーできるよう複数箇所に配置し、前記遠隔通信機能付きRFIDタグ26内のRF通信モジュール15と無線通信を行う無線基地局27を前記リーダー24の通信範囲を超えて広範囲にカバーできるよう1箇所以上に配置し、前記複数のリーダー24と1個以上の無線基地局27をLAN32又は電力線搬送通信を中継してナースステーション33又は管理センター内のサーバー34に接続して構成する。また、前記遠隔通信機能付きRFIDタグ26を患者30に所持させ及び薬剤トレーを載せたワゴン31に装着する。
なお、上記電力線搬送通信を行う場合には、リーダー24や無線基地局27及びサーバー34の各通信ポートと電力線間に、図示しないPLC(Power Line Communication)モデムを接続する必要がある。該電力線搬送通信を使用すれば、リハビリコースが病棟外の公園等であっても街路灯の電力線を利用できるため、ケーブルの敷設が不要となる。
本発明の実施例を図を用いて説明する。
図1は本発明の病院における移動体監視システムで用いる遠隔通信機能付きRFIDタグの構成要素であるRFIDタグのブロック図である。該図において、アンテナ3はリーダー24と電磁波による無線通信を行うため、RFIDチップ2内又は一部RFIDチップ2外の同調キャパシタ(図示せず)から成る同調回路4に接続し、本発明の病院における移動体監視システムで使用するキャリア周波数、例えば13.56MHzや950MHz帯又は2.45GHz等に同調させて共振回路を構成する。
上記同調回路4の後段には、リーダー24のアンテナ25から送信された電磁波が当該RFIDタグ1のアンテナ3を通過した時に発生する誘導起電力の電圧波形を検波したり、該誘導起電力を半波又は全波整流して直流電圧を取り出すための整流回路5を接続する。
次に、上記整流回路5の後段には、検波したキャリアを分周してシステム用のクロックを生成するためのクロック生成回路6と、信号受信時においてキャリアから信号を取り出す復調動作を行ったり信号送信時においてスイッチング素子(図示せず)により変調動作を行うための変復調回路7と、上記直流電圧を安定化して回路電源を供給したり、充電用コンデンサ9に充電電圧を供給するための電源回路8を接続する。該充電用コンデンサ9は一般的にはセラミックコンデンサであり、電力を必要とする場合には大容量型の電気二重層コンデンサ等が好適であるが、特に限定するものではない。
次に、上記変復調回路7の後段には、該変復調回路7の制御や不揮発性メモリであるFRAM(Ferroelectric RAM:米国Ramtron社の登録商標)11に対する当該RFIDチップ2の固有ID情報等のデータの書込み又は読出し制御を行うためのロジック回路10を接続する。
次に、上記変復調回路7とロジック回路10に接続されている通信信号線13を端子14に接続し、後述のRF通信モジュール15に接続する。また、緊急信号発生用の押しボタンスイッチや、傾斜センサや転倒センサ又は加速度センサ等から出力される信号状態に応じてRF通信モジュール15を起動して無線基地局27との通信を行うためのインターフェース回路12を前記のロジック回路23とFRAM24に接続する。
図2は本発明の病院における移動体監視システムで用いる遠隔通信機能付きRFIDタグの構成要素であるRF通信モジュールのブロック図である。該図において、RF通信モジュール15は、無線基地局27のアンテナ28を介して無線通信を行うことにより情報伝送を行うRF通信回路18及びアンテナ16と、RFIDチップ2内の通信信号線13を端子23を介して接続することによりRFIDチップ2内の情報伝送を行うインターフェース回路20と、発光素子及び/又は発音素子36にて警報出力を行う警報回路21と、前記RF通信回路18とインターフェース回路20及び警報回路21の動作制御を行う制御回路19と、バッテリー17より回路駆動に必要な回路電源を生成する電源回路22にて構成する。また、バッテリー17と電源回路22との間にはスイッチ素子37を挿入し、制御信号としてインターフェース回路12から出力される制御信号を接続する(図1中の符号aと図2中の符号bを接続)ことにより電源のON/OFFを行う。なお、該スイッチ素子33はボルテージディテクタが好適であるが、特に限定するものではない。また、前記発光素子としては発光ダイオードが好適であり、発音素子としては圧電ブザーが好適であるが、何れも特に限定するものではない。
また、上記FRAM11は強誘電体型の不揮発性メモリであり、回路電源がOFFになっても当該RFIDチップ2の固有ID情報等のデータは消失することはない。また、データの書込み電圧は、EEPROMやフラッシュメモリのように高圧に昇圧する必要がないため、昇圧回路が簡略化される。また、書込み又は読出し速度はDRAMと同等であり、EEPROMやフラッシュメモリよりはるかに高速であるという特徴を持つものである。このように、不揮発性メモリとしてはFRAM11が好適であるが他のメモリを使用しても構わない。
次に、前述の図4のシステム系統図に基づいて動作説明を行う。該図においては、病院の通路29を歩いている患者30や薬剤を載せたワゴン31の移動軌跡を監視する状態を示している。
上記状態において、病院の通路29の上部や病室の入口付近には適度な間隔でリーダー1が複数設置され、更に無線基地局27が設置されている。該複数のリーダー1及び無線基地局27はLAN32を中継してナースステーション33内のサーバー34に接続されている。また、患者30には遠隔通信機能付きRFIDタグ26をペンダント等に内蔵して所持させ、ワゴン31には前記遠隔通信機能付きRFIDタグ26を看護師の目に付く場所に装着しておく。
ここで、病院内の通路29を患者30が歩行する場合、該患者30の位置情報は、病院の通路29の各所に設置されたリーダー24と患者30が所持している遠隔通信機能付きRFIDタグ26内のRFIDタグ1との無線通信により、当該リーダー24にて読み出される。また、患者30が別の場所に移動した場合、該患者30の新たな位置情報も前記と同様に別の場所の通路29の各所に設置されたリーダー24との無線通信により、当該リーダー24にて読み出される。該読み出された位置情報は、LANを中継してナースステーション33内のサーバー34に伝送され、患者30の位置を常時把握することができることになる。
ここで、患者30に異変が生じて倒れた場合、遠隔通信機能付きRFIDタグ26内のRFIDタグ1に接続された緊急信号発生用の押しボタンスイッチの接点信号及び/又は転倒センサ等のセンサ信号がインターフェース回路12に入力されて緊急事態又は転倒状態を検出することになる。該状況において遠隔通信機能付きRFIDタグ26内のインターフェース回路12より制御信号が出力されてRF通信モジュール15のスイッチ素子37をONにすることで当該RF通信モジュール15が起動し、通路29に設置された無線基地局15と無線通信を行うことにより、倒れた患者30の位置情報が当該無線基地局15にて読み出される。該読み出された位置情報も、上記と同様にLANを中継してナースステーション33内のサーバー34に伝送され、患者30の緊急事態又は転倒状態を検出して救助を行うなど迅速且つ確実な対応を図ることが可能となる。なお、通路29の代りにリハビリコースであっても同様である。
また、ワゴン31の位置情報も上記と同様にして常時把握することができる。このため、薬剤を運ぶ看護師が配送ミスやルートミス等を起こした場合に、ナースステーション33内のサーバー34にて該状態を検出することができ、無線基地局27と遠隔通信機能付きRFIDタグ26内のRF通信モジュール15の無線通信により当該RF通信モジュール15に接続された発光素子及び/又は発音素子により警報で知らせることができる。
本発明の病院における移動体監視システムで用いる遠隔通信機能付きRFIDタグの構成要素であるRFIDタグのブロック図である。 本発明の病院における移動体監視システムで用いる遠隔通信機能付きRFIDタグの構成要素であるRF通信モジュールのブロック図である。 本発明の病院における移動体監視システムで用いる遠隔通信機能付きRFIDタグの通信形態を示す模式図である。 本発明の病院における移動体監視システムの一実施例におけるシステム系統図である。
符号の説明
1 RFIDタグ
2 RFIDチップ
3 アンテナ
4 同調回路
5 整流回路
6 クロック生成回路
7 変復調回路
8 電源回路
9 充電用コンデンサ
10 ロジック回路
11 FRAM
12 インターフェース回路
13 通信信号線
14 端子
15 RF通信モジュール
16 アンテナ
17 バッテリー
18 RF通信回路
19 制御回路
20 インターフェース回路
21 警報回路
22 電源回路
23 端子
24 リーダー
25 アンテナ
26 遠隔通信機能付きRFIDタグ
27 無線基地局
28 アンテナ
29 通路
30 患者
31 ワゴン
32 LAN
33 ナースステーション
34 サーバー
35 接点信号及び/又はセンサ信号
36 発光素子及び/又は発音素子
37 スイッチ素子

Claims (3)

  1. リーダーとバッテリーレスにて無線通信を行うことにより情報伝送を行うRFIDタグと、無線基地局と自ら電波を発信して無線通信を行うことにより情報伝送を行うRF通信モジュールと、前記RFIDタグを構成するRFIDチップ内にインターフェース回路を内蔵して接点信号入力及び/又はセンサ信号入力が行える手段と、前記RF通信モジュールに発光素子及び/又は発音素子を内蔵して警報出力が行える手段にて構成した遠隔通信機能付きRFIDタグを患者に所持させ及び薬剤トレーを載せたワゴンに装着し、
    病棟内外において前記遠隔通信機能付きRFIDタグ内のRFIDタグと無線通信を行うリーダーを通路及びリハビリコース等において通信範囲が連続してカバーできるよう複数箇所に配置し、前記遠隔通信機能付きRFIDタグ内のRF通信モジュールと無線通信を行う無線基地局を前記リーダーの通信範囲を超えて広範囲にカバーできるよう1箇所以上に配置し、前記複数のリーダーと1個以上の無線基地局をLAN又は電力線搬送通信を中継してナースステーション又は管理センター内のサーバーに接続して構成することを特徴とした、病院における移動体監視システム。
  2. 患者に異変等が生じた場合又はワゴンの転倒等の事故が起きた場合に、緊急事態を通報するためのスイッチや転倒を検出するためのセンサにより当該位置が検出できることを特徴とした、請求項1に記載の病院における移動体監視システム。
  3. 患者が通路やリハビリコースを外れた場合又は薬剤を運ぶ看護師がルートミスを起こした場合に、RF通信モジュールを起動して無線通信により患者や看護師に前記事態を警報にて知らせることができることを特徴とした、請求項1に記載の病院における移動体監視システム。
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