JP4700375B2 - インクジェットヘッド駆動方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェットヘッド駆動方法及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、アクチュエータによって圧力室の容積を変化させてノズルからインク滴の吐出を行うインクジェット駆動装置及びこの駆動装置を搭載したインクジェット記録装置に関する。
インクジェットヘッドの駆動方式として、例えば、駆動信号に応じて変形するアクチュエータによって圧力室の容積を変化させ、複数のノズルの中から選択的にインク滴を吐出させるオンディマンド方式のものが知られている。そして、このようなインクジェットヘッドの駆動方式において、階調印字を行うために大きさの異なるインク滴を連続的に吐出するものがある。
しかし、このように大きさの異なるインク滴を連続的に吐出するものでは、各大きさのインク滴は前のインク滴の残留振動により吐出速度や体積がばらつくという課題があった。このようなことから、矩形波状の第1乃至第4パルスを連続的に発生させ、圧力室の容積を拡張させる第1パルス幅と圧力室の容積を収縮させる第2パルス幅の和を一定に保ち、かつ、それぞれのパルス幅を調整し、さらに、第3、4パルスにより第1、2パルスで生じた残留振動を打ち消すことによって残留振動を低減するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−82697号公報
しかし、第1パルス幅と第2パルス幅の和を一定に保つものでは、吐出体積を可変するために第1パルス又は第2パルスのパルス幅を狭くすると、圧力室の容積を変化させるアクチュエータが応答しない場合がある。
本発明は、圧力室の容積を拡大させるパルス幅と圧力室の容積を収縮させるパルス幅を狭くすることなく吐出体積を可変でき、しかも、残留振動を低減し吐出速度の変動を極力抑えることができるインクジェット駆動装置及びインクジェット記録装置を提供する。
本発明は、内部にインクを充填するとともにインク滴を吐出するノズルを設けた圧力室とこの圧力室の容積を変化させるアクチュエータとを備えたインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドに対し、圧力室の容積を拡大させる第1パルスと、圧力室の容積を収縮させる第2パルスと、圧力室の容積を再び拡大させる第3パルスと、圧力室の容積を再び収縮させる第4パルスとからなる駆動信号を発生し、第1パルスと前記第2パルスとの電圧振幅の比および第3パルスと前記第4パルスとの電圧振幅の比を変化させることでアクチュエータの駆動を変化させてインク滴の吐出体積を変化させる駆動手段とを具備したインクジエット駆動装置であって、前記駆動手段は、前記インクジェットヘッドの駆動信号に対するメニスカス流速振動の応答特性の測定結果とインク吐出によるメニスカスの後退を無視した仮想メニスカス振動とから演算された駆動信号の波形をもとに、前記インク滴の大きさが小さいほど、前記第1、第3パルスの電圧振幅を前記第2、第4パルスの電圧振幅より大きくし、前記インク滴の大きさが大きいほど、前記第1、第3パルスの電圧振幅を前記第2、第4パルスの電圧振幅より小さくした駆動信号を生成することを特徴とする
本発明によれば、圧力室の容積を拡大させるパルス幅と圧力室の容積を収縮させるパルス幅を狭くすることなく吐出体積を可変でき、しかも、残留振動を低減し吐出速度の変動を極力抑えることができるインクジェット駆動装置およびインクジェット記録装置を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
この実施の形態は、シェアードウォール構造のインクジェットヘッド及びその駆動方法について述べる。
図1はインクジェットヘッド全体の構成を示す縦方向の断面図で、図に示すように、低誘電率の基板1の先端部には、分極方向が互いに板厚方向に対して内側に向かって反対になるように貼り合わせた圧電部材2、3が埋め込まれている。そして、前記圧電部材2、3及びその後方にある基板1の部分には、例えばダイヤモンドカッタによる切削加工により、一定の間隔で複数の長溝4を互いに平行に形成している。
前記基板1の上には、天板枠5とインク供給口6を有する天板蓋7を接着し、これによりインク供給路8を形成している。前記各長溝4と天板枠5とで複数の圧力室9を形成している。前記各圧電部材2、3は、圧力室9を変形駆動するアクチュエータになっている。
前記各圧力室9の先端に、インク滴を吐出するためのノズル10を形成したノズルプレート11を接着剤により接着固定している。前記圧力室9を形成する長溝4の側面と底面に個々に電気的に独立した電極12を無電解メッキにより形成している。前記電極12は圧力室9の後端から基板1の上面に延出して回路基板13上に配置された後述する駆動回路に接続している。なお、電極12の形成は、無電解メッキに限らず、スパッタリングや真空蒸着などで電極材を成膜後、エッチングにより所定のパターンにする方法で形成してもよい。
図2はインクジェットヘッドの先端部の構成を示す横方向の断面図で、この図に基づいてインクジェットヘッドの動作を説明する。図中9a〜9kは圧力室を示し、12a〜12kは各圧力室9a〜9kに形成された電極を示し、14a〜14kは前記各圧電部材2、3によって圧力室間の隔壁として形成されたアクチュエータを示している。
このインクジェットヘッドを5分割駆動したときにおいて圧力室9cからインク滴を吐出させる場合について説明する。なお、圧力室9a〜9jに対応するノズルをそれぞれノズル10a〜10jとして述べる。
インク供給口6からインクジェットヘッド内に注入されたインクは、インク供給路8を介して圧力室9に充填される。後述する駆動信号により、電極12cと電極12b及び電極12cと電極12dの間に電圧差が生じると、アクチュエータ14c及び14dがせん断変形して圧力室9c内の容積が変化し、ノズル10cからインク滴が吐出する。
この実施の形態においては、インクジエットヘッドとしては、いわゆる、シェアーウオール型ヘッドを用いているので、アクチュエータ14は、左右に隣接する圧力室9の間で共用される。このため、互いに隣接する2つの圧力室9を個別に制御することはできない。そのため、互いに隣接する圧力室9が同時に駆動されないようにするため時分割駆動が行われる。ここでは5分割駆動を行う。
さらに、このインクジエットヘッドは、互いに隣接する圧力室9が、アクチュエータ14である隔壁を共有しているので、例えば、アクチュエータ14c及び14dが変形すると、圧力振動が圧力室9cに生じるとともに圧力室9b及び9dにも生じてしまう。そこで、この圧力室9b及び9dに生じてしまう圧力振動を分散させる。すなわち、圧力室9cのインクを吐出させる場合に、電極12a、12b間及び電極12d、12eにも電位差を生じさせることにより、アクチュエータ14b及び14eを、圧力室9b及び9dに発生する圧力振動が圧力室9a、9eに分散する方向に変形させる。
このように、インクを吐出させない圧力室9b、9dに発生する圧力振動を分散させることにより、非吐出ノズルにおけるメニスカス振動の振幅を減らすことができる。この結果、振動によりメニスカスがノズル面から盛り上がる現象を抑制することができるため、インク吐出時のメニスカスの位置のばらつきが小さくなり、インク滴の吐出速度のばらつきが抑制されて印字品質が向上する。
次に、インクジェットヘッドを駆動信号により駆動する駆動回路について述べる。
図3に示すように、駆動回路は、インクを吐出させる圧力室9に印加する駆動信号ACT1〜5の波形情報及びインクを吐出させない圧力室9に印加する駆動信号INAの波形情報を記憶した駆動波形メモリ21、この駆動波形メモリ21に記憶した駆動信号の波形情報ACT1〜5、INAをアナログ信号に変換するD/A変換器22、このD/A変換器22からの駆動信号を増幅する増幅器23を設けている。そして、前記増幅器23からの駆動信号ACT1〜5、INAを駆動信号選択手段24に供給している。
また、駆動回路は、画像の各画素の階調情報を記憶した画像メモリ25及びデコーダ26を設け、画像メモリ25に記録された画像の各画素の階調情報に基づき前記デコーダ26がインク滴の吐出/非吐出を制御するON/OFF信号を発生し、前記駆動信号選択手段24に供給している。前記駆動信号選択手段24は駆動信号を選択し、選択した駆動信号に基づいてインクジェットヘッド27を駆動する。
ここでは、1画素につき最大で8値の階調記録を行う。すなわち、吐出体積が6plの第1ドロップ、吐出体積が12plの第2ドロップ、吐出体積が24plの第3ドロップの3滴のインク滴の吐出/非吐出を表1に示すように制御することにより8値の階調記録を行う。
Figure 0004700375
前記駆動信号選択手段24は、図4に示すように、アナログスイッチ28a〜28jを備え、前記デコーダ26からのON/OFF信号29a〜29jにより前記アナログスイッチ28a〜28jをそれぞれオン、オフ動作する。なお、ここでは図2の一部のヘッドの電極数に対応したアナログスイッチ数の構成になっているが、実際にはインクジェットヘッド27の全ての圧力室9の電極12の数に対応してアナログスイッチは設けられる。
前記アナログスイッチ28a〜28eはON/OFF信号29a〜29eがオンのとき、前記増幅器23から入力した駆動信号ACT1〜5をそれぞれ選択してインクジェットヘッド27の電極12a〜12eにそれぞれ供給し、ON/OFF信号29a〜29eがオフのときには前記増幅器23から入力した駆動信号INAを選択してインクジェットヘッド27の電極12a〜12eにそれぞれ供給する。
前記アナログスイッチ28f〜28jはON/OFF信号29f〜29jがオンのとき、前記増幅器23から入力した駆動信号ACT1〜5をそれぞれ選択してインクジェットヘッド27の電極12f〜12jにそれぞれ供給し、ON/OFF信号29f〜29jがオフのときには前記増幅器23から入力した駆動信号INAを選択してインクジェットヘッド27の電極12f〜12jにそれぞれ供給する。
なお、駆動信号ACT1〜5は5分割駆動の第1〜第5サイクルに対応している。例えば、あるタイミングにおいて、圧力室9cからインク滴を吐出させ、同じ動作タイミングにある圧力室9hからはインクを吐出させない場合、圧力室9cに対応するON/OFF信号29cと、その両側2つずつのON/OFF信号29a、29b、29d、29eをONとし、圧力室9hに対応するON/OFF信号29hと、その両側2つずつのON/OFF信号29f、29g、29i、29jをOFFとすることにより、インク滴を吐出させる圧力室9cとその両側2つずつの圧力室9a、9b、9d、9eにはACT3、ACT1、ACT2、ACT4、ACT5の各信号を供給し、インクを吐出させない圧力室9hとその両側2つずつの圧力室9f、9g、9i、9jにはINA信号を供給する。
次に、前記駆動信号選択手段24に供給されるインク吐出用の駆動信号ACT1〜5及び非インク吐出用の駆動信号INAについて述べる。
図5に、駆動信号ACT1〜5と、駆動信号INAの1印字周期分、すなわち、5サイクル分を示す。駆動信号ACT1〜5は、W1,W2,W3の3つの駆動信号から構成され、駆動信号INAは駆動信号W4から構成される。駆動信号W1はインク滴を吐出する圧力室9の電極12に印加される駆動信号である。
駆動信号ACT1〜5は、各々時分割された時間だけ位相が異なる。例えば、図2における圧力室9cからインク滴を吐出させる場合は第3サイクルであり、この第3サイクルにおいてON/OFF信号29a〜29eをONにすることにより、圧力室9aと圧力室9eの電極12aと12eには駆動信号W3が印加され、圧力室9bと圧力室9dの電極12bと12dには駆動信号W2が印加され、圧力室9cの電極12cには駆動信号W1が印加される。
次に、駆動信号W1〜W4について述べる。
駆動信号W1〜W4は、図6に示す駆動信号からなり、それぞれ、体積が6plの第1ドロップを吐出させる期間にある駆動信号W1a、W2a、W3a、W4aと、体積が12plの第2ドロップを吐出させる期間にある駆動信号W1b、W2b、W3b、W4bと、体積が24plの第3ドロップを吐出させる期間にある駆動信号W1c、W2c、W3c、W4cとで構成されている。
例えば、図2における圧力室9cから第1ドロップを吐出させ、圧力室9hからは第1ドロップを吐出させない場合、図5に示す第3サイクルの第1ドロップの期間にON/OFF信号29a〜29eをONにし、ON/OFF信号29f〜29jをOFFにする。その結果、電極12cには駆動信号W1aが印加され、電極12b,12dには駆動信号W2aが印加され、電極12a,12eには駆動信号W3aが印加され、電極12f〜12jには駆動信号W4aが印加される。
この結果、アクチュエータ14c、14dは駆動信号W1aとW2aの電圧差により大きく変形して、圧力室9cから体積6plのインク滴が吐出する。アクチュエータ14bと14eは、駆動信号W2aとW3aの電圧差により圧力室9b,9dに発生する圧力振動を圧力室9a,9eに分散させる方向に変形する。また、アクチュエータ14fには駆動信号W3aとW4aの電位差により、圧力室9eに発生する圧力によりアクチュエータ14fが変形しようとする力に抗する力が発生し、アクチュエータ14fは実質的に変形しなくなる。そのため、圧力室9cで吐出動作を行った際に圧力室9eに発生する圧力振動がアクチュエータ14fを介して圧力室9fに漏洩する現象が遮断され、実質的にアクチュエータ14fを介するクロストークを0にすることができる。また、アクチュエータ14g〜14jは、各アクチュエータを挟む電極12f、12g、12h、12i、12jに同じ駆動信号W4aが印加されるため、変形しない。そのため、圧力室9hからはインクが吐出しない。
次に、駆動信号W1〜W4の決定方法について述べる。
駆動信号W1〜W4は、インクジェットヘッド27の駆動信号に対するメニスカス流速の応答特性と、インク吐出によるメニスカス後退を無視した仮想メニスカス振動とから、駆動信号を逆算することによって求めることができる。仮想メニスカス振動は、駆動信号を逆算するために定義されたメニスカス振動のことである。また、以下、メニスカス流速を単に流速と称する。
仮想メニスカス振動は、実際のインクジェットヘッドの吐出動作において生じるメニスカス振動から、ノズルからのインク吐出に伴うメニスカスの前進や、ノズルからインクが排出された後に発生するメニスカスの後退や、インクの表面張力等によるインクリフィル作用に伴うメニスカスの前進などの非線形な成分を除去したもので、駆動信号に対して線形なメニスカス振動である。このようなメニスカス振動は、インクが吐出しない程度に振幅を縮小した駆動信号をインクジェットヘッドに与えた場合に発生するメニスカス振動の振幅を拡大したものと考えることができる。図7を用いて実際のメニスカス振動と仮想メニスカス振動の相違を示す。
このような仮想メニスカス振動は、実際のインクジェットヘッドの吐出動作において生じるメニスカス振動とは異なるが、インクの吐出速度や吐出体積、インク吐出動作後の残留振動、ノズル間のクロストーク、アクチュエータの固有振動によるメニスカスの微振動など、インクジェットヘッドの吐出動作に重要な特性を反映している。また、実際のメニスカス振動は、非線形振動なことに加え、インクリフィル作用など駆動信号とは無関係な要因の影響を受けるので、実際のメニスカス振動を駆動信号により制御することには限界がある。しかし、仮想メニスカス振動は、駆動信号とは無関係な要因の影響を受けないので、駆動信号で仮想メニスカス振動を充分に制御することが可能である。従って、望ましい仮想メニスカス振動を定義し、それを生じさせる駆動信号をアクチュエータに与えることにより、インクの吐出速度や吐出体積、インク吐出動作後の残留振動、ノズル間のクロストーク、アクチュエータの固有振動によるメニスカスの微振動などに関して望ましい特性を得ることができる。
まず、インクジェットヘッド27の駆動信号に対する流速振動の応答特性Rの求め方について述べる。
最初に、テスト駆動信号VTに対するノズル内の流速振動UTを求める。具体的には、圧力室9a〜9jに印加する駆動信号をそれぞれVT〜VT10としたとき、駆動信号VTとしては図8の(a)に示すように低電圧の周期Tのノイズ波形の駆動信号を使用する。また、駆動信号VT〜VT10としては図8の(b)に示すように0Vの電圧を使用する。さらに、圧力室9kに対しては圧力室9aと同じ駆動信号VTを印加し、多数の圧力室に対して10チャンネルおきの駆動パターンを適用する。
そのような駆動パターンでインクジェットヘッド27を駆動すると、ノズル10a〜10j内のメニスカスの流速をそれぞれUT〜UT10としたとき、図9に示すような流速振動が周期的に発生する。このような流速振動は、実際のインクジェットヘッドにおいて、市販のレーザードップラー振動計、例えば(株)小野測器のLV−1710を用い、ノズル10内のメニスカスに測定用レーザビームを照射することによって観測することができる。
続いて、下記の(1)式と(2)式を用いて、テスト駆動信号VTと流速振動UTをフーリエ変換し、それぞれFVTとFUTに変換する。
Figure 0004700375
ここで、mは、レーザードップラー振動計で観測された時系列流速データのデータ数である。レーザードップラー振動計で観測された流速データのサンプリング時間をdtとすれば、mはTc/dtの値となる。添字のiは、チャンネル番号を示す1から10までの整数であり、この番号は電極12a〜12jまたはノズル10a〜10jに対応している。また、添字のjは、時系列データにおいて先頭からj番目のデータを示す1〜mまでの整数である。j番目のデータは、時刻j×dtのデータを示している。添字のkは、周波数系列データにおいて先頭からk番目のデータを示す1〜mまでの整数である。k番目のデータは、周波数(k−1)/Tcのデータを示している。Iは虚数単位である。ここで述べた添字の記法は以下の説明においても用いることとする。
電圧スペクトルFVTi,kは、駆動信号VTの周波数(k−1)/Tcにおける電圧振幅と位相を複素数の形で表している。また、流速スペクトルFUTi,kは、流速UTの周波数(k−1)/Tcにおける流速振幅と位相を複素数の形で表している。
次に電圧スペクトルFVTと流速スペクトルFUTから、下記(3)式により応答特性Rを求める。
i,k=FUTi,k/FVT1,k …(3)
i,kは、ある周波数の駆動信号に対する流速UTの周波数応答を示している。R〜R10の絶対値を図10に示し、位相角を図11に示す。図10のfmaxは、ノズル10内のメニスカスが、駆動信号に対して低周波領域から連続して応答可能な周波数領域の上限の周波数である。
ここでは、テスト駆動信号VTとしてノイズ波形の駆動信号を用いる場合について説明したが、テスト駆動信号として周波数可変の正弦波や余弦波を用い、各周波数におけるメニスカス流速振動の振幅と位相を測定することによって応答特性を求めても良い。
次に、上記方法で求めた応答特性Rを用い、仮想メニスカス振動から駆動信号を決定する方法について述べる。
図12は仮想メニスカス振動の変位Xを示す波形図である。例えば、圧力室9cから第1〜第3ドロップを吐出させ、圧力室9hからはインクを吐出させない場合、ノズル10a〜10jの仮想メニスカス変位はそれぞれX1〜X10となる。仮想メニスカス変位のプラス側の山のピークが各ドロップのインクの吐出体積に相当する。
次に、仮想メニスカス変位Xに対応する流速振動を求める。流速振動Uは、下記(4)式により求めることができる。
=d/dt・X …(4)
図13に、上記(4)式により求めた流速振動U〜U10を示す。
次に、下記(5)を用いて流速Uのフーリエ変換を行う。
Figure 0004700375
ここで、Uは時間間隔dtで長さmの時系列データであり、UTi,jは、UTの先頭からj番目のデータである。また、FUは周波数間隔1/(m dt)おきの周波数系列データである。このようにして得られた周波数系列の流速スペクトルFUのうち、FUの絶対値を図14に示す。図14に示すこの流速スペクトルの周波数成分の大部分は、前述のfmaxより低い周波数に含まれることが望ましい。
次に、周波数系列の電圧スペクトルFVAを求める。行列[R]を下記(6)式、列ベクトル{FVA}を下記(7)式、列ベクトル{FU}を下記(8)式としたとき、下記(9)式により周波数系列の電圧スペクトルFVAを求めることができる。
Figure 0004700375
次に、時系列の駆動信号VAを求める。時系列の駆動信号VAは、周波数系列の電圧スペクトルFVAを下記(10)式により逆フーリエ変換することにより求めることができる。ここで、[R] −1は、[R]の逆行列である。逆行列の演算は、WOLFRAM RESEARCH社のMATHEMATICAなどの数式解析ソフトウェアにより行うことができる。
Figure 0004700375
ここで、m′は、
m′≦fmax・Tc
となる最も大きい整数である。このように逆フーリエ変換の周波数の上限をfmaxとすることにより、駆動信号VAの周波数成分の上限値がfmaxに定められる。このように、駆動信号の波形を仮想メニスカス振動からフーリエ変換を用いて逆算する場合、演算を行う周波数の範囲をインクジェットヘッドが応答する周波数の範囲である0〜fmaxに制限することにより、計算結果が発散することを防止できる。計算の結果得られた波形の駆動信号が十分な精度で仮想メニスカス振動を再現するためには、fmaxが流速スペクトルFUの周波数成分の大部分を含んでいることが望ましい。駆動信号VAの電圧変動が現れる期間や電圧振幅は、圧力室9の長さLに応じて変化する。圧力室9の長さLは、電圧変動が現れる期間が最小限になる範囲内で、電圧振幅が最も小さくなる値に定められることが望ましい。
以上のようにして得られた駆動信号VA〜VA10を図15に示す。このようにして得られた駆動信号VAは、駆動信号の始まりと終わりの電圧が一致しない場合があるため、それぞれ図中点線で示すような基準駆動信号VREF〜VREF10を設定し、駆動信号VA〜VA10からそれぞれ基準駆動信号VREF〜VREF10を差し引いて図16に示す駆動信号VB〜VB10を得る。
最後に、下記(11)式により、駆動信号VBの電圧振幅を小さくした駆動信号VDを得る。図17に駆動信号VD〜VD10を示す。
VDi,j=VBi,j−MIN[VB1,j、VB2,j、…、VB10,j] …(11)
但し、MIN[VB1,j、VB2,j、…、VB10,j]は、[]内の値のうち、最小の値を示す関数である。
以上のようにして求められた駆動信号VDは駆動信号W1になり、駆動信号VDまたはVDは駆動信号W2になり、駆動信号VDまたはVDは駆動信号W3になり、駆動信号VD〜VD10のいずれかは駆動信号W4になる。
こうして、インクを吐出する圧力室9cの電極12cには駆動信号W1が印加され、隣接した圧力室9b、9dの電極12b、12dには駆動信号W2が印加される。その結果、インクを吐出する圧力室9cを駆動するアクチュエータ14c,14dに印加される駆動信号VEは、VD−VDによって算出され、図18に示す駆動信号となる。すなわち、第1ドロップ時は駆動信号VEaが印加され、第2ドロップ時は駆動信号VEbが印加され、第3ドロップ時は駆動信号VEcが印加される。
このような駆動信号の作成方法を実際のインクジェットヘッドに適用するには、まず、ノイズ波形あるいは正弦波などの適当なテスト駆動信号を用い、製造されたインクジェットヘッドの駆動信号に対するメニスカス流速の応答特性Rを測定する。次に、駆動信号に対するメニスカス流速の応答特性と予め定められた仮想メニスカス振動を基に、上記(4)式〜(10)式により駆動信号を演算により作成する。
次に、必要に応じて駆動信号の波形を修正する。最後に、得られた駆動信号の波形を前記駆動波形メモリ21に記憶させる。なお、駆動信号の波形を記憶する代わりに、測定された応答特性Rと仮想メニスカス振動をメモリに記憶するようにしてもよい。この場合は、記憶した応答特性Rと仮想メニスカス振動から駆動信号を演算により求め、この求めた駆動信号を使用することになる。
このように、駆動信号は予め定めたメニスカス振動を再現するように設定されるため、ヘッドの主音響共振周波数等がばらついても、吐出速度や体積がばらつく課題を解決できる。
次に、図12に示した仮想メニスカス振動Xについて詳しく述べる。
1画素に吐出体積が異なる複数のドロップ(インク滴)を選択的に吐出させる場合、各ドロップの吐出速度が大きく異なると、各ドロップの吐出速度を適当な範囲内におさめることが困難になる。吐出速度が低過ぎると着弾位置精度の悪化を招き、吐出速度が高過ぎると動作安定性の悪化を招く。吐出速度は、インクの吐出時間をst、インク吐出時のメニスカス変位をaとすると、概ねa/stによって定まる。メニスカス変位aと吐出時間stは各ドロップとも概ね一定であり、各吐出速度が略一定になる。
一方、インク吐出前のメニスカス引き込み量bは各ドロップによって異なり、それによりインクの吐出体積を可変している。b1は大ドロップ、b2は中ドロップ、b3は小ドロップを吐出するときのメニスカス引きこみ量を示している。また、各ドロップの仮想メニスカス変位の終端に、変位が0で、かつ変位の時間微分、すなわち流速が0となるタイミングを設けることにより、各ドロップの吐出動作終了後の残留振動を実質的に0にする。このことにより、例えば、第2ドロップを吐出させる場合、第1ドロップを吐出させたか否かによる吐出速度の変動を防止でき、各ドロップの吐出速度を均一化できる。
インクを吐出する圧力室9cを駆動するアクチュエータ14c,14dに印加する駆動信号VEは、図18に示すように、第1ドロップ時は駆動信号VEaが印加され、第2ドロップ時は駆動信号VEbが印加され、第3ドロップ時は駆動信号VEcが印加されるが、VEa、VEb、VEcはそれぞれ2周期の電圧振動を有し、かつ、プラス側、すなわち圧力室9cの容積を拡大させる側の電圧振幅と、マイナス側、すなわち圧力室9cの容積を収縮させる側の電圧振幅とが各ドロップに応じて異なっている。
第1ドロップ時の駆動信号VEaは、圧力室の容積を拡大させる第1パルスP11と、圧力室の容積を収縮させる第2パルスP12と、圧力室の容積を再び拡大させる第3パルスP13と、圧力室の容積を再び収縮させる第4パルスP14とからなる。また、第2ドロップ時の駆動信号VEbは、圧力室の容積を拡大させる第1パルスP21と、圧力室の容積を収縮させる第2パルスP22と、圧力室の容積を再び拡大させる第3パルスP23と、圧力室の容積を再び収縮させる第4パルスP24とからなる。また、第3ドロップ時の駆動信号VEcは、圧力室の容積を拡大させる第1パルスP31と、圧力室の容積を収縮させる第2パルスP32と、圧力室の容積を再び拡大させる第3パルスP33と、圧力室の容積を再び収縮させる第4パルスP34とからなる。
そして、第1ドロップのようにドロップの大きさが小さいほど、圧力室の容積を拡大させる側の電圧振幅(第1パルスP11、第3パルスP13の電圧振幅)は大きく、その容積を収縮させる側の電圧振幅(第2パルスP12、第4パルスP14の電圧振幅)は小さい。また、第3ドロップのようにドロップの大きさが大きいほど、圧力室の容積を拡大させる側の電圧振幅(第1パルスP31、第3パルスP33の電圧振幅)は小さく、その容積を収縮させる側の電圧振幅(第2パルスP32、第4パルスP34の電圧振幅)は大きい。
すなわち、駆動信号において第1パルスと第2パルスとの電圧振幅の比および第3パルスと第4パルスとの電圧振幅の比を変化させることでドロップの大きさ、すなわちインクの吐出体積を可変できる。換言すれば、ドロップの大きさに応じて圧力室の容積を拡大させる側と収縮させる側との電圧振幅の比を変化させればよい。
このような制御を行うことで、圧力室の容積を拡大させるパルス幅と圧力室の容積を収縮させるパルス幅を狭くすることなく吐出体積を可変でき、しかも、残留振動を低減し吐出速度の変動を極力抑えることができる。
また、各駆動信号VEa、VEb、VEcの電圧の最大値と最小値の差は略同じである。駆動信号VEa、VEb、VEcは、吐出体積がそれぞれ異なり、吐出速度が概ね一定で、なおかつ、残留振動が実質的に0となる仮想メニスカス振動から逆算されたものであるから、上記の特徴を有する駆動信号VEa〜VEcは階調印字に適した性質を有している。
また、この駆動信号がアクチュエータ14c、14dに印加されることにより、圧力室9cは以下に述べるインク吐出動作を行う。最初に圧力室9cの容積を拡張し、次に圧力室9c容積を収縮し、再び圧力室9cの容積を拡張し、再び圧力室9cの容積を収縮した後に、インク吐出動作前の容積に戻すことにより、インク滴を吐出させるとともに圧力室9cの容積の拡張量と圧力室9cの容積の収縮量を吐出体積に応じて異ならせる。すなわち、吐出体積が小さいほど圧力室9cの容積を拡大量は大きくし、その収縮量は小さくする。また、各吐出動作における圧力室9cの容積の最大値と最小値の差は実質的に同じである。このようなインクの吐出方法は、吐出体積が各々異なり,吐出速度が概ね一定で、なおかつ残留振動が実質的に0となることから、階調印字に適した性質を有している。
なお、ここでは、仮想メニスカス振動を生じさせる駆動信号を逆算する方法について述べたが、駆動信号VAや駆動信号VBをそのままインクジェットヘッドの駆動信号として用いることも可能である。
なお、この実施の形態は、インクジェットヘッドとしてシェアードウォール構造のインクジェットヘッドを使用した場合について述べたが、シェアードウォール構造でなく、それぞれ独立して圧力室の制御が可能なインクジェットヘッドについても適用できる。このタイプのインクジェットヘッドは、以下の手順で駆動信号を計算する。
まず、上述したシェアードウォール構造のインクジェットヘッドと同様の方法で駆動信号に対するメニスカス流速の応答特性Rを求める。次に、同様の方法で周波数系列のメニスカススペクトルFU求める。そして、FV=R−1・FU、により、駆動信号の周波数系列の電圧スペクトルFVを求める。最後に、同様の方法で周波数系列の電圧スペクトルFVを逆フーリエ変換することで駆動信号を求める。このようにして求めた駆動信号により、独立して圧力室の制御が可能なインクジェットヘッドを駆動することにより、シェアードウォール構造のインクジェットヘッドの場合と同様の作用効果が得られる。
(第2の実施の形態)
この実施の形態は、第1の実施の形態におけるインクジェットヘッドとこのヘッドの駆動方法を使用したインクジェット記録装置について述べる。
図19はインクジェット記録装置の要部外観を示す斜視図で、基板31の両面に、複数のインクジェットヘッド32を交互にかつ位置も交互となるようにずらして配置して1つのラインヘッド30を構成している。
前記ラインヘッド30は媒体搬送ベルト33から所定の隙間だけ離れた位置に設置されている。前記媒体搬送ベルト33は搬送ローラ34によって矢印の方向に駆動するもので、用紙などの記録媒体35を上面に密着した状態で搬送する。記録媒体35がラインヘッド30の下を通過するとき、各インクジェットヘッド32から下向きにインク滴を吐出し、このインク滴を記録媒体35に付着させて印刷を行う。なお、記録媒体35を媒体搬送ベルト33に密着させる方法としては、静電気や空気流により吸着させる方法や、記録用紙の端を部材で押さえる方法など、周知の方法を用いることができる。
前記ラインヘッド30の各インクジェットヘッド32は圧力室のノズルから吐出するインク滴のタイミングをインクジェットヘッド間で調整することで、各インクジェットヘッド32により記録媒体35に対して同一ラインを印刷できるようになっている。前記各インクジェットヘッド32の構成及びこのヘッドを駆動する駆動回路の構成は前述した第1の実施の形態と同じである。
これにより、このインクジェット記録装置に使用する各インクジェットヘッド32は、圧力室の容積を拡大させるパルス幅と圧力室の容積を収縮させるパルス幅を狭くすることなく吐出体積を可変でき、しかも、残留振動を低減し吐出速度の変動を極力抑えることができる。
本発明の、第1の実施の形態に係るインクジェットヘッド全体の構成を示す縦方向の断面図。 同実施の形態に係るインクジェットヘッドの先端部の構成を示す横方向の断面図。 同実施の形態に係るインクジェットヘッドの駆動回路を示すブロック図。 図3の駆動信号選択手段の回路構成を示す図。 図3の駆動信号選択手段に入力する駆動信号を示す波形図。 図5の駆動信号を構成する各駆動信号の構成を示す波形図。 実際のメニスカス振動と仮想メニスカス振動の相違を示す図。 同実施の形態におけるテスト駆動信号の例を示す波形図。 図8のテスト駆動信号印加時のインクジェットヘッドの各ノズルにおける流速を示す図。 図8のテスト駆動信号印加時のインクジェットヘッドの各ノズル内のメニスカス流速の周波数応答特性の絶対値を示す図。 図8のテスト駆動信号印加時のインクジェットヘッドの各ノズル内のメニスカス流速の周波数応答特性の位相角を示す図。 同実施の形態で使用する仮想メニスカス変位を示す図。 同実施の形態における仮想メニスカス変位に対応する流速を示す図。 同実施の形態において求めた周波数系列の流速振動のうちの1つの流速振動の絶対値を示す図。 同実施の形態において求めた駆動信号を示す図。 図15の駆動信号から基準駆動信号を差し引いた駆動信号を示す図。 図16の駆動信号に他の駆動信号を加えた駆動信号を示す図。 圧力室を駆動するアクチュエータに印加する駆動信号例を示す図。 本発明の、第2の実施の形態に係るインクジェット記録装置の要部外観を示す斜視図。
符号の説明
9,9a〜9k…圧力室、10…ノズル、12a〜12k…電極、14a〜14k…アクチュエータ、21…駆動波形メモリ、24…駆動信号選択手段、27…インクジェットヘッド。

Claims (6)

  1. 内部にインクを充填するとともにインク滴を吐出するノズルを設けた圧力室とこの圧力室の容積を変化させるアクチュエータとを備えたインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドに対し、前記圧力室の容積を拡大させる第1パルスと、前記圧力室の容積を収縮させる第2パルスと、前記圧力室の容積を再び拡大させる第3パルスと、前記圧力室の容積を再び収縮させる第4パルスとからなる駆動信号を発生し、前記第1パルスと前記第2パルスとの電圧振幅の比および前記第3パルスと前記第4パルスとの電圧振幅の比を変化させることで前記アクチュエータの駆動を変化させてインク滴の吐出体積を変化させる駆動手段とを具備したインクジエット駆動装置であって、
    前記駆動手段は、前記インクジェットヘッドの駆動信号に対するメニスカス流速振動の応答特性の測定結果とインク吐出によるメニスカスの後退を無視した仮想メニスカス振動とから演算された駆動信号の波形をもとに、前記インク滴の大きさが小さいほど、前記第1、第3パルスの電圧振幅を前記第2、第4パルスの電圧振幅より大きくし、前記インク滴の大きさが大きいほど、前記第1、第3パルスの電圧振幅を前記第2、第4パルスの電圧振幅より小さくした駆動信号を生成することを特徴とするインクジエット駆動装置。
  2. 前記仮想メニスカス振動は、1回のインク吐出行程が終了した時点の変位がインク吐出行程前の変位と同じで、かつ、1回のインク吐出行程が終了した時点の流速が略ゼロとなるように設定したことを特徴とする請求項1に記載のインクジエット駆動装置
  3. 前記メニスカス流速振動の応答特性の測定結果と仮想メニスカス振動とから駆動信号の波形を求める演算は、仮想メニスカスの流速振動をU、この流速振動Uのフーリエ変換結果をFU、インクジェットヘッドの駆動信号に対するノズル内のメニスカス流速の周波数応答特性をRとしたとき、FV=R−1FUとして、FVを逆フーリエ変換する過程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジエット駆動装置
  4. 前記メニスカス流速振動の応答特性の測定結果と仮想メニスカス振動とから駆動信号の波形を求める演算は、複数のノズルにおける仮想メニスカス振動の流速ベクトルを{U}、このベクトル{U}のフーリエ変換結果のベクトルを{FU}、インクジェットヘッドの駆動信号に対する前記各ノズル内のメニスカス流速の周波数応答特性の行列を[R]としたとき、{FV}=[R]−1{FU}とした複数の電圧ベクトルを求め、{FV}を逆フーリエ変換する過程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジエット駆動装置
  5. 前記メニスカス流速振動の応答特性の測定結果と仮想メニスカス振動とから駆動信号の波形を求める演算は、所定の周波数以上の周波数成分をカットして行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジエット駆動装置
  6. 内部にインクを充填するとともにインク滴を吐出するノズルを設けた圧力室とこの圧力室の容積を変化させるアクチュエータとを備えたインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドに対し、前記圧力室の容積を拡大させる第1パルスと、前記圧力室の容積を収縮させる第2パルスと、前記圧力室の容積を再び拡大させる第3パルスと、前記圧力室の容積を再び収縮させる第4パルスとからなる駆動信号を発生し、前記第1パルスと前記第2パルスとの電圧振幅の比および前記第3パルスと前記第4パルスとの電圧振幅の比を変化させることで前記アクチュエータの駆動を変化させてインク滴の吐出体積を変化させる駆動手段とを具備して記録媒体に記録を行うインクジエット記録装置であって、
    前記駆動手段は、前記インクジェットヘッドの駆動信号に対するメニスカス流速振動の応答特性の測定結果とインク吐出によるメニスカスの後退を無視した仮想メニスカス振動とから演算された駆動信号の波形をもとに、前記インク滴の大きさが小さいほど、前記第1、第3パルスの電圧振幅を前記第2、第4パルスの電圧振幅より大きくし、前記インク滴の大きさが大きいほど、前記第1、第3パルスの電圧振幅を前記第2、第4パルスの電圧振幅より小さくした駆動信号を生成することを特徴とするインクジエット記録装置。
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