JP4698154B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
そして、燃料電池100を一次冷却用熱媒を用いて冷却しながら運転させるときには、一次冷却用熱媒の燃料電池100への流入温度を設定温度に調節するために、一次冷却用熱媒の燃料電池100への流入温度を燃料電池用流入温度センサ103を用いて測定し、制御部107は測定された流入温度と設定温度との偏差に基づいて、一次冷却用熱媒と熱交換を行う二次冷却用熱媒の流量を二次冷却用熱媒循環手段105によって調節するように構成されている。
他方で、燃料電池100の発電電力が急激に上昇したときには燃料電池100から一次冷却用熱媒に授けられる熱量も増大するのだが、同様に一次冷却用熱媒の温度変化が暫くの間は現れないために二次冷却用熱媒循環手段105の調節も暫くの間は行われないことになる。そのため、一次冷却用熱媒の温度が上昇しすぎてしまい、燃料電池は過熱状態となって、燃料電池内の水蒸気が不足することによってイオン交換膜が乾燥するなどの理由により、発電効率の低下のみならず、燃料電池の寿命の低下にも影響が及ぼされることとなる。
従って、燃料電池の運転状態が変化したときに二次冷却用熱媒の流量を適切に調節することのできる燃料電池システムが提供されることになる。
以下に図面を参照して本発明の燃料電池システムについて説明する。
図1にブロック図で示すように本発明の燃料電池システムには、原燃料を改質して水素を主成分とするガスを生成する改質装置1と、改質装置1から供給される水素ガスと空気中の酸素とを用いて発電を行う燃料電池2と、燃料電池2での発電出力の大きさに応じて発生する排熱を熱媒にて回収して貯留する熱媒貯留槽3とが設けられている。また、燃料電池2で発生する排熱を回収する熱媒は、燃料電池2を適正な稼動温度に維持する冷却機能も担っている。そこで、マイクロコンピュータなどを用いて実現される制御部(制御手段の一例)Hは、一次冷却用熱媒循環路10を流動する一次冷却用熱媒に関して、燃料電池2に流入する燃料電池流入温度と燃料電池2から流出する燃料電池流出温度とが燃料電池流入目標温度と燃料電池流出目標温度となるようにするために、一次冷却用熱媒との間で冷却用熱交換器4において熱交換する二次冷却用熱媒を二次冷却用熱媒循環路20に流動させている。
まず制御部Hはステップ100において、燃料電池2の発熱量と相関のある燃料電池2の実運転情報に基づいて、一次冷却用熱媒が受け取る一次冷却用熱媒受熱量Q1を導出する。燃料電池2の実運転情報としては、燃料電池2の発電電力、発電電流、改質装置1への原燃料供給量、燃料電池2への水素ガス供給量などの情報を用いることができ、それらの値から燃料電池の発熱量を概算することができる。
上述したように、ステップ100及びステップ102において制御部Hは燃料電池2の発熱量に基づいて一次冷却用熱媒が受け取る一次冷却用熱媒受熱量Q1を導出し、その一次冷却用熱媒受熱量Q1に基づいて、一次冷却用熱媒の燃料電池2への流入温度を燃料電池流入目標温度T1sにさせ、且つ、一次冷却用熱媒の燃料電池2からの流出温度を燃料電池流出目標温度T3sにさせるために二次冷却用熱媒が一次冷却用熱媒から受け取るべき二次冷却用熱媒受熱量Q2を導出する。燃料電池2の運転状態が変化した後で二次冷却用熱媒が一次冷却用熱媒から二次冷却用熱媒受熱量Q2だけの熱量を奪うことで、一次冷却用熱媒の燃料電池2への流入温度が燃料電池流入目標温度T1sになり、且つ、一次冷却用熱媒の燃料電池2からの流出温度が燃料電池流出目標温度T3sになると仮定すると、以下の数式1が成立する。数式1において、Uは総括伝熱係数であり、Aは冷却用熱交換器4の伝熱面積であり、ΔTlmは冷却用熱交換器4での対数平均温度差である。
Q2=U×A×ΔTlm
ΔTlm={(T1−T2)/(T3−T4)}/ln{(T1−T2)/(T3−T4)}
Q2=(T4p−T2r)/V2
第2実施形態の燃料電池システムは、導出された二次冷却用熱媒目標流量V2に補正が加えられる点で上記第1実施形態と異なる。以下に第2実施形態の燃料電池システムにおいて行われる制御のフローチャートについて説明するが、第1実施形態と同様の説明については省略する。
第3実施形態の燃料電池システムは、一次冷却用熱媒受熱量Q1又は二次冷却用熱媒受熱量Q2に基づいて二次側ポンプP2の作動制御が行われる点に加えて、一次冷却用熱媒受熱量Q1に基づいて一次側ポンプP1の作動制御も行われる点で上記実施形態と異なる。以下に第3実施形態の燃料電池システムにおいて行われる制御のフローチャートについて説明するが、例えば図4に示すステップ200、ステップ202、ステップ204、ステップ206及びステップ208は、図2に示したステップ100、ステップ102、ステップ104、ステップ106及びステップ108と同様であるので、上記実施形態と同様の説明は適宜省略する。
<1>
本発明の燃料電池システムは図1に示した構成のものに限定されず、例えば、図5に示すような構成の燃料電池システムでも構わない。図5に示す燃料電池システムでは、一次冷却用熱媒循環路10に排熱回収用熱交換器7が設けられ、二次冷却用熱媒循環路20に放熱用熱交換器6が設けられている。この排熱回収用熱交換器7は、例えば、改質装置1の改質触媒(図示せず)を加熱するために用いられた燃焼ガスの高温の排ガスから一次冷却用熱媒へ熱量を授けるように構成されている。そして、放熱用熱交換器6は、二次冷却用熱媒の熱量が大気中に放出されるように二次冷却用熱媒を通流させる熱交換部6aとその放熱を促進させるように通風させる放熱ファン6bとを備えており、二次冷却用熱媒の温度(例えば、冷却用熱交換器4への流入温度)が設定温度以上になると、制御部Hが放熱ファン6bを作動させるように構成されている。
上記実施形態では、図2を参照して、制御部Hが、燃料電池流出温度センサT3によって測定される一次冷却用熱媒の実燃料電池流出温度T3rと燃料電池流出目標温度T3sとの間の偏差に基づいて、一次冷却用熱媒目標流量を導出するように構成されている場合について説明したが、他のパラメータに基づいて一次冷却用熱媒目標流量V1を導出するように改変することもできる。
上記実施形態では、制御部Hが二次冷却用熱媒目標流量V2を導出し、二次冷却用熱媒がその二次冷却用熱媒目標流量V2で循環するように二次側ポンプP2の出力を制御するように構成する場合について説明したが、二次冷却用熱媒循環路20中に設けられた流量計(二次冷却用熱媒流量測定手段の一例)5を用いて二次冷却用熱媒の実際の流量である実二次冷却用熱媒流量を測定し、実二次冷却用熱媒流量が二次冷却用熱媒目標流量となるように二次側ポンプP2の出力を再制御するように構成してもよい。また、図示しないが一次側ポンプP1の流量を同様の手法で再制御するように構成することもできる。
10 一次冷却用熱媒循環路
20 二次冷却用熱媒循環路
P1 一次側ポンプ
P2 二次側ポンプ
Claims (7)
- 燃料電池から発生する排熱を回収した一次冷却用熱媒が二次冷却用熱媒との間で熱交換を行う冷却用熱交換器に供給される形態で、前記一次冷却用熱媒を一次冷却用熱媒循環路において循環させる一次冷却用熱媒循環手段と、
前記二次冷却用熱媒が前記冷却用熱交換器と熱媒貯留槽とを順に流動する形態で、前記二次冷却用熱媒を二次冷却用熱媒循環路において循環させる二次冷却用熱媒循環手段と、
前記一次冷却用熱媒循環手段を作動させることによる前記一次冷却用熱媒の流量及び前記二次冷却用熱媒循環手段を作動させることによる前記二次冷却用熱媒の流量を、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池への流入温度が燃料電池流入目標温度となり、且つ、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池からの流出温度が燃料電池流出目標温度となるように制御する制御手段とが設けられている燃料電池システムであって、
前記二次冷却用熱媒の前記冷却用熱交換器への実熱交換器流入温度を測定する熱交換器流入温度測定手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記燃料電池の発熱量と相関がある実運転情報、前記実熱交換器流入温度、前記燃料電池流入目標温度及び前記燃料電池流出目標温度に基づいて、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池への流入温度を前記燃料電池流入目標温度にさせ、且つ、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池からの流出温度を前記燃料電池流出目標温度にさせるための二次冷却用熱媒目標流量を導出し、前記二次冷却用熱媒が前記二次冷却用熱媒目標流量で循環するように前記二次冷却用熱媒循環手段を作動させるように構成されている燃料電池システム。 - 前記制御手段が、
前記実運転情報に基づいて前記一次冷却用熱媒が受け取る一次冷却用熱媒受熱量を導出し、前記一次冷却用熱媒受熱量に基づいて、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池への流入温度を前記燃料電池流入目標温度にさせ、且つ、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池からの流出温度を前記燃料電池流出目標温度にさせるために前記二次冷却用熱媒が前記一次冷却用熱媒から受け取るべき二次冷却用熱媒受熱量を導出し、
前記二次冷却用熱媒受熱量、前記実熱交換器流入温度、前記燃料電池流入目標温度及び前記燃料電池流出目標温度に基づいて前記二次冷却用熱媒の前記冷却用熱交換器からの予測熱交換器流出温度を導出し、
前記二次冷却用熱媒受熱量、前記実熱交換器流入温度及び前記予測熱交換器流出温度に基づいて前記二次冷却用熱媒目標流量を導出するように構成されている請求項1記載の燃料電池システム。 - 前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池への実燃料電池流入温度を測定する燃料電池流入温度測定手段が設けられ、
前記制御手段が、前記実燃料電池流入温度と前記燃料電池流入目標温度との間の偏差に基づいて前記二次冷却用熱媒目標流量を補正するように構成されている請求項1又は2記載の燃料電池システム。 - 前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池への実燃料電池流入温度を測定する燃料電池流入温度測定手段と、
前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池からの実燃料電池流出温度を測定する燃料電池流出温度測定手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記実燃料電池流出温度と前記燃料電池流出目標温度との間の偏差に基づいて、前記実燃料電池流入温度と前記燃料電池流入目標温度との間の偏差に基づいて、又は、前記実燃料電池流出温度と前記実燃料電池流入温度との間の偏差に基づいて、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池への流入温度を前記燃料電池流入目標温度にさせ、且つ、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池からの流出温度を前記燃料電池流出目標温度にさせるための一次冷却用熱媒目標流量を導出し、前記一次冷却用熱媒が前記一次冷却用熱媒目標流量で循環するように前記一次冷却用熱媒循環手段を作動させるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池への実燃料電池流入温度を測定する燃料電池流入温度測定手段と、
前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池からの実燃料電池流出温度を測定する燃料電池流出温度測定手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記実運転情報に基づいて前記一次冷却用熱媒が受け取る一次冷却用熱媒受熱量を導出し、前記一次冷却用熱媒受熱量に基づいて、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池への流入温度を前記燃料電池流入目標温度にさせ、且つ、前記一次冷却用熱媒の前記燃料電池からの流出温度を前記燃料電池流出目標温度にさせるための一次冷却用熱媒目標流量を導出し、前記一次冷却用熱媒が前記一次冷却用熱媒目標流量で循環するように前記一次冷却用熱媒循環手段を作動させ、
前記実燃料電池流出温度と前記実燃料電池流入温度との偏差に基づいて前記一次冷却用熱媒目標流量を補正するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記二次冷却用熱媒の前記二次冷却用熱媒循環路中における実二次冷却用熱媒流量を測定する二次冷却用熱媒流量測定手段が設けられ、
前記制御手段が、前記実二次冷却用熱媒流量が前記二次冷却用熱媒目標流量となるように前記二次冷却用熱媒循環手段を作動させるように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記一次冷却用熱媒循環路中に熱交換器が設けられ、
前記制御手段が、前記熱交換器において前記一次冷却用熱媒との間で授受された熱量を前記一次冷却用熱媒受熱量に対して加減算するように構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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