JP4697581B2 - 永久磁石体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば希土類焼結磁石等からなる複数の永久磁石片を積層一体化した永久磁石体に関するものであり、さらにはその製造方法に関するものである。
永久磁石は、ハードディスクドライブ用ボイスコイルモータや自動車駆動用モータ等、幅広い分野において使用されている。例えば、自動車分野においては、各制御機構の電動化が進み、1台に使用されるモータ数が増加する傾向にあり、必要な永久磁石の数も増加する傾向にある。さらには、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)等の開発に伴い、主モータや発電機においても前記永久磁石の使用範囲が広がっている。
このような用途に使用されるモータとしては、例えば、中心にシャフトを配し、珪素鋼板等の軟磁性体を多数積層した円筒形状体に、永久磁石を必要な磁極数だけ挿入してなる構造を有するモータが挙げられる。この場合、モータの性能向上を考えると、使用する永久磁石の磁気特性が高い方が有利であり、近年では、フェライト磁石に代わって、非常に高い磁気特性を示すネオジム鉄ボロン系永久磁石等の希土類磁石が多く使用されるようになってきている。
ネオジム鉄ボロン系永久磁石に代表される希土類磁石は、例えばR−T−B(Rは、希土類元素の1種以上である。Tは、Feを必須とし、必要に応じてその他の遷移金属元素を含む。)で表される組成を有し、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であること等の利点を有することから、その需要は益々拡大する傾向にある。
ところで、高出力を必要とするモータにおいては、前述のような優れた磁気特性を有するネオジム鉄ボロン系永久磁石を使用すれば、高いエネルギー変換効率が実現され、モータ性能の向上に繋がるものと期待されるが、モータの回転に伴う磁束の変化により、永久磁石に渦電流が発生するという大きな問題がある。渦電流が発生すると、エネルギーロスによりモータ効率が低下する。また、この渦電流による発熱で、磁石が減磁するという問題もある。特に、希土類磁石は、フェライト磁石に比して電気抵抗率が低いため、前記の問題が顕著である。
したがって、前述の渦電流の対策はモータ設計において非常に重要な課題であり、これまでも様々な対策が取られている。例えば、モータ構造にて渦電流の発生を抑制する方法や、永久磁石体にて発生する渦電流を制御する方法等である。これらの中では、モータ構造を変更する必要のない後者の方が有利であると考えられ、様々な改良案が提案されている(例えば特許文献1〜特許文献5等を参照)。
具体的には、特許文献1に、界磁用永久磁石が互いに絶縁された永久磁石体の薄板を積層することによる永久磁石回転子が開示されている。特許文献2には、ロータに複数ある穴内に、円周方向に分割された永久磁石体を配置する永久磁石モータが開示されている。特許文献3には、絶縁被膜処理が施された永久磁石片を接合した後、さらに接合体の全面に絶縁被膜処理を施した電動機用永久磁石が開示されている。特許文献4には、複数の分割磁石と、分割磁石を接着するために接合面に配される絶縁基材と接着剤を含む絶縁シートを含むモータ用永久磁石が開示されている。また、永久磁石体自体の電気抵抗率を制御する方法として、特許文献5には、Li、Na、Mg、Ca、Ba、Srの内少なくとも1種の元素を含むフッ化物および/または酸化物を含むR−Fe−B系高電気抵抗磁石が開示されている。
特開平4−79741号公報 特開2000−228838号公報 特開2003−134750号公報 特開2003−164083号公報 特開平9−186010号公報
これら特許文献記載の技術の中で、特許文献5記載の技術では、永久磁石体自体を高電気抵抗にするためにフッ化物や酸化物を永久磁石に添加する必要があるが、この場合には製造方法が通常の粉末冶金方法と異なることで製造条件が複雑化し、また、上記添加物により磁場中成形時における磁石粉末の配向が低下する。その結果として磁気特性を低下させることとなる。NdFeB系永久磁石の電気抵抗は1.4×10−6Ωm程度、SmCo系永久磁石は9×10−7Ωm程度であり、フェライト永久磁石の100Ωmに比べると非常に小さく、前記のように酸化物等の添加をしても10−5Ωm程度であり、大幅な電気抵抗改善とは言い難い。したがって、高効率および高出力を目的とするモータに適用しても、十分な効果を期待することはできない。
したがって、特許文献1〜特許文献4にあるように、分割した永久磁石片を複数貼り合わせてモータ内に挿入することが一般的であり、特に、永久磁石の分割数が多いほど、渦電流の発生を効率的に低減できるものと期待される。
ただし、前記分割に際しては、永久磁石片を貼り合わせるための接着層の設計が重要になる。例えば、貼り合わされる永久磁石片間の絶縁性を確実に確保するためには、特許文献3や特許文献4に記載されるように、永久磁石片同士を絶縁性接着剤にて接着する際に、予め絶縁皮膜で覆った永久磁石片を用いたり、絶縁基材を含んだ絶縁シートを用いることが有利である。しかしながら、この場合には、永久磁石の分割数が増加するにつれて層間の非磁性材(接着層や絶縁シート)が占める割合が増加し、得られる磁力が低下してしまうという不都合がある。
このような磁力低下を回避するためには、できる限り薄い接着層により永久磁石片間の絶縁性を確保することが必要であり、例えば絶縁被膜処理を施していない永久磁石片同士を一度の接着工程で接着層の厚さを極力薄くして貼り合わせることが好ましい。しかしながら、接着層の厚さを薄くすると、接着層の厚さを厳しく管理して永久磁石片同士の接触を防ぐようにしても、何らかの原因で永久磁石片間に導通が生じてしまい、分割の効果を十分に引き出すことができないという現象が生じている。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、本発明は、分割された永久磁石片間の接着層を薄くした場合にも、各永久磁石片間の絶縁性を十分に確保することができ、渦電流による損失を確実に抑えることが可能な永久磁石体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成せんものと長期に亘り鋭意検討を重ねてきた。その結果、前記導通の原因が、永久磁石片を所定の形状に加工する際の切断工程や研磨工程で発生する磁石粉末等の電気的導電物質が永久磁石片に付着することにあること、さらには前記電気的導通物質は電圧の印加によって消失させることができることを見出すに至った。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の永久磁石体は、複数の永久磁石片が接着層によって接着されてなり、前記接着層は電気的導通物質の消失により形成された空孔を有することを特徴とする。
また、本発明の永久磁石体の製造方法は、複数の永久磁石片を接着剤によって接着した後、隣接する永久磁石片間に5V〜300Vの電圧を印加し、接着層に含まれる電気的導通物質を消失させることを特徴とする。
本発明者が接着層を介して永久磁石片を貼り合わせた際の導通の原因について調べたところ、次のような事実が判明した。すなわち、前記のように永久磁石を分割して貼り合わせる場合、永久磁石片に加工する際に、切断工程や研磨工程等の工程を経て取り扱われるのが通常である。そして、この時に発生する磁石粉末等が磁石体に付着していることが確認された。先の問題は、この磁石粉末等の電気的導通物質に起因しているものと考えられるが、量産工程において前記磁石粉末等の電気的導通物質を接着前に完全に除去することは困難である。
そこで、本発明では、前記の通り、接着後の電圧印加によってこれを消失させることとした。接着層に電気的導通物質が残っていても、電圧を印加すれば速やかに消失し、その結果、電気的導通物質があった場所には空孔が形成される。この空孔は、導通の原因となることはなく、したがって、本発明の永久磁石体では、各永久磁石片間の絶縁性が確保され、渦電流による損失が確実に抑えられる。
本発明の永久磁石体では、永久磁石片間を導通する原因となる電気的導通物質が消失され、接着層には代わりに空孔が残った形になっているので、接着層が薄い場合にも各永久磁石片間の絶縁性を十分に確保することができ、渦電流による損失を確実に抑えることが可能である。また、絶縁性の確保のために接着層の厚さを厚くしたり、接着の前に予め絶縁被膜処理等を施す必要がなく、永久磁石片の体積低下に伴う磁力の低下も最小限に抑えることができる。
一方、本発明の製造方法によれば、電圧を印加するという極めて簡単な方法で導通の原因となる電気的導通物質を消失させることができ、渦電流による損失が少なく、体積低下に伴う磁力の低下を最小限に抑えた永久磁石体を量産することが可能である。
以下、本発明を適用した永久磁石体及びその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される永久磁石体1の概略構成を示すものである。この永久磁石体1は、分割された複数の永久磁石片2を並列に配列し、接着層3により貼り合わせたものである。ここで、永久磁石体1を分割した複数の永久磁石片2から構成するのは、渦電流の発生を抑え、それによる損失を極力抑えるためである。
電動機用の永久磁石において、永久磁石の分割が渦電流による損失を低減する上で有効であることは、例えば青山らによる文献「永久磁石同期電動機の磁石分割による損失低減効果の解析」(平成13年電気学会産業応用部門大会,115,(2001))等において報告されているように、既に知られるところである。本発明においても、前記理論に基づいて、渦電流による損失を低減する目的で、永久磁石を分割して複数の永久磁石片2とし、これらを接着層3によって接着することで積層一体化し、渦電流損失の少ない永久磁石体1を実現することとする。
対象となる永久磁石体1としては、例えば自動車駆動用モータや発電機等に用いられる永久磁石を挙げることができる。これらの用途の永久磁石においては、交流磁界の印加により渦電流が発生し易く、発生した渦電流による損失が顕著であり、また渦電流による永久磁石の発熱により、さらに損失が大きくなるからである。
また、永久磁石体1を構成する永久磁石材料については、電気抵抗の低い永久磁石材料の場合に効果が高い。前記モータ等においては、高性能化のためにフェライトに代わり希土類磁石等が使用されてきている。この希土類磁石は、電気的な抵抗が小さいため、渦電流が発生し易く、渦電流による損失が大きな問題となる。したがって、本発明により渦電流による損失を抑えることができれば、より一層の高性能化が可能になる。
前記希土類磁石としては、特に限定されないが、例えばネオジム鉄ボロン系等の希土類焼結磁石を挙げることができる。希土類焼結磁石の場合、ボンド磁石のように樹脂成分を含んでおらず、電気抵抗が小さく、前記渦電流による損失が顕著である。
希土類焼結磁石は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを主成分とするものであり、磁気特性に非常に優れることから、モータに用いた場合、その小型化、高性能化を実現することができる。なお、希土類焼結磁石の磁石組成は特に限定されず、用途等に応じて任意に選択すればよい。例えば、希土類元素Rとは、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのことをいい、これらから1種又は2種以上を用いることができる。中でも、資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また、遷移金属元素Tは、従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、焼結性の点からFe、Coが好ましく、特に磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましい。また、前記希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bの他、保磁力等の特性改善を目的として、例えばAl、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を添加してもよい。これらの元素の他、不可避的不純物又は微量添加物として、例えば炭素や酸素、窒素等が含有されていてもよい。
勿論、本発明が適用される永久磁石体1を構成する永久磁石材料が前記の希土類焼結磁石に限定されるものではなく、金属系の永久磁石全般に適用することができ、例えばSmCo系永久磁石等にも適用可能である。
前記永久磁石体1では、各永久磁石片2は接着層3によって互いに貼り合わされ、積層一体化されているが、各永久磁石片2間の接着層3には、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等、任意の接着剤を使用することが可能である。
接着層3の厚さも任意であるが、50μm〜300μmとすることが好ましく、50μm〜150μmとすることがより好ましい。接着層3の厚さが50μm以下であると、永久磁石片2の加工精度等に起因して、永久磁石片2同士が接着工程において接触する可能性が増大する。また、接着層3の厚さが300μm以上の場合、仮に電気的導通物質が層間に介在しても絶縁性が確保できることから、本発明を適用することの意義が薄れる。
なお、より狭い層間を安定して確保したい場合には、接着層3を構成する接着剤に絶縁性粒子、例えばガラスビーズを混在させて使用してもよい。ガラスビーズが層間に介在することで、永久磁石片2の加工精度が低い場合や、接着精度が低い場合であっても、確実に所定の接着層厚をもって層間を確保することができる。ここで、前記絶縁性粒子(ガラスビーズ)の粒径は、必要な接着層厚に応じて選定すればよい。例えば、短絡の原因となる電気的導通物質(削り粉=磁石粉末)は、永久磁石片2を研磨加工する際に用いる砥石にもよるが、数十〜数百μm程度の径を有する。したがって、前記サイズと同等以上のガラスビーズを使用すれば、永久磁石片2の接着工程にて層間に介在する電気的導通物質に加わる圧縮応力が低減され、後述の電圧印加により消失し易くなる。
前述の構成を有する永久磁石体1では、図2(a)に示すように、磁石粉末等の電気的導通物質4が永久磁石片2に付着しており、これが永久磁石片2間の絶縁性を損ない、分割による渦電流損失低減効果を損なう原因となっている。そこで、本発明では、この電気的導通物質4を消失させ、図2(b)に示すように、電気的導通物質4が存在していた部分を空孔5とすることで、永久磁石片2間の絶縁性を確保している。
接着層2に、接着層2の厚さとほぼ等しい電気的導通物質4が存在すると、その両側の永久磁石片2間は、前記電気的導通物質4を介して電気的に接続された形になり、前記のように分割による渦電流損失低減効果を損なう原因となる。これに対して、空孔5の場合、永久磁石片2間には絶縁物質である空気が介在されることになるので、絶縁性が損なわれることはなく、永久磁石片2間は確実に電気的に分離され、渦電流による損失が効果的に抑えられる。
前記のように接着層3に存在する電気的導通物質4を消失させ、空孔5とするためには、永久磁石片2間に電圧を印加すればよい。以下、本発明の製造方法について説明する。
永久磁石を複数の永久磁石片2に分割し、これを接着して積層一体化し永久磁石体1とするには、先ず、永久磁石を所定の形状,大きさに機械加工し、永久磁石片2を作製する必要がある。ここで、永久磁石を必要な永久磁石片2の形状,大きさに加工する際には、切断工程や研磨工程等の工程を経て取り扱われるのが通常であり、この時に発生する磁石粉末等が電気的導通物質として永久磁石片2に付着する。この磁石粉末等の電気的導通物質は、永久磁石片2間の絶縁性を損ない、渦電流損失低減効果を損なう原因となるが、これを量産工程において完全に除去することは困難である。
そこで、本発明では、複数に分割された永久磁石片に対して、電圧を印加することで前記磁石粉末等の電気的導通物質を消失させ、絶縁性を向上させることとする。接着層3を介した永久磁石片2間に電圧を印加することで、電気的導通物質に負荷がかかり、この負荷により接着層2から消失する。
なお、前記電圧の印加は、前記切断工程等において発生する磁石粉末に限らず、例えば接着剤に使用する樹脂やガラスビーズに電気的導通物質が混入(混在)している場合にも適用することができ、これら電気的導通物質についても、同様に電圧を印加することで消失させることができる。また、前記電圧印加の対象となる永久磁石は、永久磁石片を接着した後に加工工程(切断工程や研磨工程等)を経たもの、永久磁石片を加工工程後に接着したもの、加工工程を経た永久磁石片を接着し更に加工工程を経たもの等、接着層を介して複数の永久磁石片を貼り合わせたものであれば如何なるものであっても良い。
前記電圧の印加は、隣接する一対の永久磁石片2毎に行う必要がある。具体的には、図3に示すように、隣接する永久磁石片2aと永久磁石片2bの間に電源6を接続し、所定の電圧を印加して、これら永久磁石片2a,2b間の接着層3中に存在する電気的導通物質を消失させる。次に、永久磁石片2bと永久磁石片2cの間に前記電源6を接続し、永久磁石片2b,2c間の接着層3中に存在する電気的導通物質を消失させる。永久磁石片2c,2d間、永久磁石片2d,2e間、永久磁石片2e,2f間、永久磁石片2f,2g間、永久磁石片2g,2h間についても同様の操作を行い、各永久磁石片間の電気的導通物質を消失させる。
ここで、前記電圧の印加に使用する電源6は、瞬間的に電圧を印加できるものであれば如何なるものであってもよい。例えば、直流電圧を印加する直流電源、交流電圧を印加する交流電源、パルス電圧を印加するパルス電源等を挙げることができる。
各永久磁石片2間において、電圧の印加は、一回行えば十分な効果を発揮するが、複数回繰り返し行っても良い。なお、加工工程にて発生した磁石粉末(削り粉)は、例えば永久磁石片2が角柱形状であれば、各辺、または角部に付着することが多い。特に、永久磁石片2を加工する際には、永久磁石を固定するために磁力による吸引を利用することが多く、この磁力吸引磁界によって永久磁石が着磁されることとなり、前記付着が助長される。この状態で永久磁石片2を接着すると、電気的導通物質は永久磁石片2間であって、表面近傍に近いところに存在する確率が高い。したがって、前記のように電圧を印加することで、電気的導通物質を高い確率で消失させることができる。
前記電気的導通物質の消失においては、前記印加電圧を5V〜300Vとすることが好適である。前記印加電圧が5V以下であると、電気的導通物質を接着層3から十分に消失させることが困難であり、電気的導通物質が残存して渦電流損失を十分に抑えることができなくなるおそれがある。逆に、前記印加電圧が300V以上としても、電気的導通物質を消失させる効果が変わらず、無駄に電力を消費することになり、また、スパークが激しくなる等、作業性等に問題が生ずるおそれもある。さらに、極端に過大な電圧の印加は、接着層3の絶縁破壊に繋がるおそれもある。より好ましくは、5V〜100vである。
以上の電圧印加により、永久磁石片2aから永久磁石片2hまでの各永久磁石片間に配される接着層3に存在する電気的導通物質を消失させることができ、各永久磁石片2間の絶縁性を十分に確保することが可能である。その結果、分割による渦電流損失抑制効果を十分に引き出すことができ、係る永久磁石体1を例えばモータ等の回転機に使用することで、その効率や性能を大幅に向上することが可能である。
以下、本発明の具体的実施例について、実験結果を基に説明する。
比較例
Nd−Fe−B系希土類焼結磁石を作製し、焼結体を長さ50mm、幅30mm、厚さ20mmの短冊形状の永久磁石片に切り出した。前記切り出しには、切断加工機を用いた。切り出した短冊形状の永久磁石片を8枚用意し、これらをガラスビーズが入ったエポキシ系接着剤を用いて貼り合わせ、永久磁石積層体を作製した。
実施例
前記比較例と同様に永久磁石積層体を作製した後、各永久磁石片間に50vの電圧を印加した。
評価
前記比較例及び実施例で作製した永久磁石積層体について、図4に示すように、永久磁石片2間に抵抗測定器7を接続して、各永久磁石片2間の抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004697581
この表1から明らかなように、比較例の永久磁石積層体では、永久磁石片2間の電気抵抗値が小さいところがあることがわかる。これに対して、実施例の永久磁石積層体では、全ての永久磁石片2間において抵抗値が400MΩ以上となっており、全ての永久磁石片2間が絶縁化されたことがわかる。
また、図5は、電圧印加前後の接着層の様子を示すものである。電圧印加前には、図5(a)に示すように、接着層に導体(電気的導通物質)が存在する。これに対して、電圧印加後には、図5(b)に示すように、導体が消失し、導体が存在した部分に空孔が形成されていることがわかる。
永久磁石片を積層した永久磁石体の概略構成を示す斜視図である。 接着層を拡大して示す図であり、(a)は電気的導通物質が存在する様子を模式的に示す断面図、(b)は空孔が形成された様子を模式的に示す断面図である。 永久磁石片間への電圧の印加方法の一例を示す概略斜視図である。 永久磁石片間の抵抗値の測定方法を示す概略斜視図である。 電圧印加前後の接着層の様子を示すものであり、(a)は電圧印加前の顕微鏡写真、(b)は電圧印加後の顕微鏡写真である。
符号の説明
1 永久磁石体、2 永久磁石片、3 接着層、4 電気的導通物質、5 空孔、6 直流電源、7 抵抗測定器

Claims (8)

  1. 複数の永久磁石片が接着層によって接着されてなり、前記接着層は電気的導通物質の消失により形成された空孔を有することを特徴とする永久磁石体。
  2. 前記接着層の厚さが50μm〜300μmであることを特徴とする請求項1記載の永久磁石体。
  3. 前記接着層は、絶縁性粒子を含有することを特徴とする請求項1または2記載の永久磁石体。
  4. 前記絶縁性粒子は、ガラスビーズであることを特徴とする請求項3記載の永久磁石体。
  5. 前記永久磁石片は、金属系の永久磁石により構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の永久磁石体。
  6. 前記永久磁石片は、希土類磁石により構成されていることを特徴とする請求項5記載の永久磁石体。
  7. モータ用の永久磁石体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の永久磁石体。
  8. 複数の永久磁石片を接着剤によって接着した後、隣接する永久磁石片間に5V〜300Vの電圧を印加し、接着層に含まれる電気的導通物質を消失させることを特徴とする永久磁石体の製造方法。
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