JP4697365B2 - 表示用磁気シート - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた柔軟性及び機械的強度と優れた貯蔵安定性及び製品安定性とを有するとともに、可塑剤や滑剤の使用量が可及的に少ないにもかかわらず、磁性粒子粉末の含有量を可及的に高めた表示用磁気シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示用磁気シートは、充填材料である磁性粒子粉末を結合材料を用いてシート状に成型した後、着磁することによって得られた磁気シートと該磁気シート表面の片面に貼着されている文字、数字、記号、模様、図形等が印刷された印刷シートとからなり、標識・表示用マーク、自動車の初心者マーク、文房具・事務用シート等各種の装着・貼付シートなど種々の用途に広く使用されている。
【0003】
これら用途に使用される表示用磁気シートは、被装着物や被貼付物に対して装着・貼付して使用した場合に所定位置からのずれや脱落がないことが必要であり、そのためには、磁気シート中における磁性粒子粉末の充填性をできるだけ高めて含有量を増し、表示用磁気シートの表面磁束密度を大きくすることが強く要求されている。
【0004】
被装着物や被貼付物の表面は、平面的な物ばかりでなく、凹凸面、一部傾斜面、複雑形状面等多様であり、これら多様な面にできるだけ密着追従して装着・貼付できるとともに、容易に装着・貼付や取りはずしができるためには、表示用磁気シートが柔軟性を有していることが強く要求されている。
【0005】
次に、表示用磁気シートは、装着・貼付や取りはずしを繰り返して長期に亘って使用しても、一部欠損や破れが生じない、所謂、機械的強度が優れていることが強く要求されている。
【0006】
次に、特開平11−49904号公報の「防音材として、……ゴム成分に高比重の充填剤を添加したシートが提案されている。……このような防音材は、製造した後集合住宅や一戸建て住宅に施工されるまでは工場や建築現場で積み重ねられた状態で保管されるが、上記シートはゴム成分を含有するため、特に夏季の高温高湿条件下で積み重ねられた場合には、シート同士がブロッキングするという問題点があった。」なる記載、特開平11−90991号公報の「上記折板屋根に使用される制振シートとして、……エラストマー及び無機粉体からなる制振複合材が提案されている。しかしながら、このような制振複合材を製造する際に捲重体として巻き取った場合、制振複合材自体が粘着性を有するため巻出しが困難になることがあった。特に夏場等の高温環境下においてこの傾向が著しくなり、制振複合材同士が合着して巻出すことができなくなるという問題があった。」なる記載の通り、表示用磁気シートは、数枚を重ねて保存又は貯蔵した場合、磁気シートを構成する結合材料中にゴム成分を有していることによって磁気シート面が相互にくっつく現象、所謂ブロッキングが生起しやすいため、保存又は貯蔵中にブロッキングを起こさない、所謂、貯蔵安定性が優れていることが強く要求されている。
【0007】
更に、表示用磁気シートを被装着物や被貼付物に装着・貼付したまま長期に亘り放置しておくと、磁気シート中に含有されている可塑剤がブリードして磁気シートの粘着性が増し、被装着物や被貼付物の表面から表示用磁気シートを取りはずした時に表示用磁気シートの裏面部分が被装着物や被貼付物の表面に粘着して被装着物や被貼付物が汚染される現象、所謂、フォギング(fogging)が生起しやすいため、装着・貼付したまま放置した場合にも汚染が抑制できる、所謂、製品安定性が優れていることが強く要求されている。
【0008】
従来、磁性粒子粉末の充填性を高めた柔軟性を有する磁気シートとして、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル、クロロスルホン化ポリエチレン等に代表される塩素系樹脂を結合材料として用い、該結合材料の合計量が100重量部に対し、可塑剤1〜120重量部や滑剤1〜30重量部を混合配合した磁気シートが広く使用されている。
【0009】
また、前出特開平11−90991号公報には、結合材料としてスチレン−イソプレンブロック共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体とを用いた磁気シートが開示されている。
【0010】
表示用磁気シートとしては、塩素化ポリエチレン樹脂、エチレンアクリル酸エチレン共重合樹脂及びナイロン樹脂の各樹脂を結合材料として用いた表示用磁気シートが知られている。(特開平8−152859号等)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
優れた柔軟性及び機械強度と優れた貯蔵安定性及び製品安定性を有するとともに、磁性粒子粉末の含有量を可及的に高めた表示用磁気シートは、現在最も要求されているところであるが、このような特性を有する表示用磁気シートは未だ得られていない。
【0012】
即ち、前述の結合材料として塩素系樹脂を用いる磁気シートは、磁性粒子粉末の含有量を十分高めるとともに柔軟性を付与するために、塑性や加工性を付与する所謂、可塑剤の添加、配合を必須とし、その結果、添加、配合した可塑剤が時間の経過にともなってブリードするため製品安定性が悪いものであり、また、貯蔵安定性も低下する。
【0013】
また、塩素系樹脂の流動性を高めるために滑剤を添加、配合した場合には、充填性及び機械的強度を高めるとともに製品安定性もよいが、柔軟性が極端に悪化するという問題がある。
【0014】
そして、周知の通り、塩素系樹脂は、加工中に塩素ガス等の有害ガスが発生することがあり、作業環境性が悪いものであり、また、廃棄にあたって焼却処分するとダイオキシン等の有害物が生成するため、環境性が悪いという問題がある。
【0015】
前出特開平11−90991号公報に記載の磁性シートは、後出比較例18及び19の各比較例に示す通り、磁性粒子粉末の含有量を高めると貯蔵安定性や製品安定性が悪くなる。
【0016】
また、前出特開平8−152859号公報に記載の磁気シートは、後出比較例22に示す通り、充填性や曲げ特性が悪くなる。
【0017】
そこで、本発明は、優れた柔軟性及び機械的強度と優れた貯蔵安定性及び製品安定性とを有するとともに、可塑剤や滑剤の使用量を可及的に少なくした場合、殊に可塑剤を使用しない場合においても、磁性粒子粉末の含有量を可及的に高めた表示用磁気シートを得ることを技術的課題とする。
【0018】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は次の通りの本発明によって達成できる。
【0019】
即ち、本発明は、マグネットプランバイト型フェライト粒子粉末及び希土類磁石粒子粉末から選ばれた1種又は2種以上の磁性粒子粉末を充填材料とし、該充填材料を結合材料を用いてシート状に成形してなる厚みが0.05〜0.17mmの磁気シートと該磁気シート表面の片面に貼着した印刷シートとからなり、前記結合材料としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体及びエチレン−プロピレン共重合ゴムから選ばれた1種又は2種以上の熱可塑性樹脂50〜95重量部とプロピレンホモポリマー及びプロピレン−エチレン共重合体から選ばれた1種又は2種の軟質ポリオレフィン樹脂5〜50重量部とを用いるとともに、当該両結合材料の合計量100重量部に対して前記充填材料がと400〜1900重量部となるように前記充填材料と前記両結合材料とを混合配合することを特徴とする表示用磁気シートである。
【0020】
また、本発明は、マグネットプランバイト型フェライト粒子粉末及び希土類磁石粒子粉末から選ばれた1種又は2種以上の磁性粒子粉末を充填材料とし、該充填材料を結合材料を用いてシート状に成型してなる厚みが0.05〜0.17mmの磁気シートと該磁気シート表面の片面に貼着した印刷シートとからなり、前記結合材料としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体及びエチレン−プロピレン共重合ゴムから選ばれた1種又は2種以上の熱可塑性樹脂50〜95重量部とプロピレンホモポリマー及びプロピレン−エチレン共重合体から選ばれた1種又は2種の軟質ポリオレフィン樹脂5〜50重量部と当該両結合材料の合計量が100重量部に対して5〜30重量部のエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム及びエチレン−ブテン共重合体から選ばれた1種又は2種の改質樹脂を用いるとともに、前記熱可塑性樹脂、前記軟質ポリオレフィン樹脂及び前記改質樹脂からなる全結合材料100重量部に対して前記充填材料が400〜1900重量部となるように前記充填材料と前記全結合材料とを混合配合することを特徴とする表示用磁気シートである。
【0021】
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
【0022】
先ず、本発明に係る表示用磁気シートについて述べる。
【0023】
本発明における磁気シートは、充填材料である磁性粒子粉末をスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体及びエチレン−プロピレン共重合ゴムから選ばれた1種又は2種以上の熱可塑性樹脂とプロピレンホモポリマー及びプロピレン−エチレン共重合体から選ばれた1種又は2種の軟質ポリオレフィン樹脂と必要により、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム及びエチレン−ブテン共重合体から選ばれた1種又は2種の改質樹脂とからなる結合材料を用いてシート状に成型した後、多極着磁したものである。
【0024】
本発明における熱可塑性樹脂であるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、ブロック共重合体のスチレンブロックとしては、アニオン重合可能な芳香族ビニルモノマー、例えばスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−フェニルブチルスチレン等がある。このうちスチレンが特に好ましい。
【0025】
ブロック共重合体のゴム成分を構成するイソプレンブロックとしてはイソプレンまたはイソプレン−ブタジエンが適している。ゴム成分はスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体に対して40〜90重量%が好ましく、より好ましくは50〜90重量%である。イソプレンの場合、磁気シート及び表示用磁気シートの引張強度を考慮すれば、ビニル結合含有量が40%以上であることが好ましい。イソプレン−ブタジエンの場合、磁気シート及び表示用磁気シートの柔軟性を考慮すれば、イソプレンの割合がスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体に対し、40%以上が好ましく、より好ましくは50〜80重量%である。イソプレンブロック内の共重合体の形態としてはランダム、ブロック、テーパードのいずれでもよい。
【0026】
得られるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の密度は0.92〜0.95g/ccであって、数平均分子量は30000〜300000の範囲である。密度が0.92g/cc未満の場合、又は分子量が30000未満の場合には、ブロック共重合体自体の破断時の強度、伸度等の機械的性質が低下し好ましくない。また、密度が0.95g/ccを超える場合又は分子量が300000を超える場合には、加工性が悪くなるため好ましくない。より好ましくは、密度が0.93〜0.94g/ccであって、数平均分子量が80000〜250000の範囲である。
【0027】
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体のブロック形態は、A(BA)n 、(AB)n で示される。ここでAはスチレンブロック、Bはイソプレンブロックを示し、nは1以上の整数である。このうち、A(BA)n の形態が好ましい。
上記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としては市販品を使用すればよく、ハイブラVS−1(商品名、株式会社クラレ(製))などがある。
【0028】
本発明における熱可塑性樹脂であるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体は、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素溶媒中でスチレンとジエンとをアルキルリチウム触媒を用いてアニオン重合させることにより生成したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を炭化水素溶剤中で水素添加することにより得られる。ゴム成分であるエチレン・ブチレンブロック含有量は63〜87重量%が好ましく、より好ましくは70〜87重量%である。磁気シート及び表示用磁気シートの柔軟性を考慮すると、スチレンとエチレン・ブチレンとの比が13:87〜37:63であることが好ましく、より好ましくは、13:87〜30:70である。密度は0.90〜0.91g/ccであることが好ましい。
【0029】
上記スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体としては市販品を使用すればよく、クレイトンG1657(商品名、シェル化学株式会社(製))などがある。
【0030】
本発明における熱可塑性樹脂であるエチレン・プロピレン共重合ゴムは、ハ−ドセグメントであるポリプロビレン又はポリエチレン等のポリオレフィンにソフトセグメントであるエチレン・プロピレンゴムをブレンドする方法、ハードセグメントであるポリプロピレンまたはポリエチレンとソフトセグメントであるエチレン・プロピレンゴムとを重合する方法(インプラント)又はハードセグメントであるポリプロピレンまたはポリエチレンとソフトセグメントであるエチレン・プロピレンゴムとを混合すると同時にソフトセグメントを高速で加硫処理する方法(動的加硫)して得られる。ゴム成分であるエチレン・プロピレンを20重量%以上含有しており、比重が0.86〜0.88の範囲であることが好ましい。
ゴム成分であるエチレン・プロピレンゴム含有量が20重量%未満の場合には、磁性粒子粉末の充填性を高めることはできるが、柔軟性が低下する。上記磁性粒子粉末の充填性、磁気シート及び表示用磁気シートの柔軟性を考慮すると、エチレン・プロピレンゴムの含有量は32〜52重量%が好ましく、より好ましくは32〜49重量%であって、比重は0.87〜0.88が好ましい。
【0031】
上記エチレン−プロピレン共重合ゴムとしては、市販品を使用すればよく、EPT3070(商品名、三井化学工業株式会社(製))などがある。
【0032】
本発明における熱可塑性樹脂は、単独であっても、2種以上を組み合わせたものであってもよいが、柔軟性を考慮すれば、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体とスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の2種を組み合わせた場合の配合割合は、重量比で1:1〜2:1の範囲が好ましい。
得られた表示用磁気シートの柔軟性を考慮すれば、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。
【0033】
本発明における熱可塑性樹脂の配合割合は、熱可塑性樹脂と軟質ポリオレフィン樹脂との両結合材料(以下、両結合材料とする。)100重量部に対し50〜95重量部である。
50重量部未満の場合には、十分な柔軟性を有する磁気シート及び表示用磁気シートを得ることが困難になるとともに、製品安定性や貯蔵安定性も低下する。
95重量部を超える場合には、磁性粒子粉末の充填性を十分高めた磁気シートを得ることが困難となる。
磁性粒子粉末の充填性と磁気シート及び表示用磁気シートの柔軟性を考慮すると、好ましくは55〜90重量部、より好ましくは60〜85重量部である。
【0034】
本発明における軟質ポリオレフィン樹脂は、ASTM D1238に記載の230℃におけるメルトフローレートが通常1〜40g/10分であり、密度は0.87〜0.89g/ccが好ましく、軟化点は40〜112℃が好ましい。
【0035】
本発明における軟質ポリオレフィン樹脂であるプロピレンホモポリマーは、ASTM D1238に記載の230℃におけるメルトフローレートが1〜40g/10分、好ましくは2〜20g/10分、より好ましくは10〜20g/10分であって、ASTM D1238における曲げ弾性率が30〜300MPa、好ましくは30〜150MPaである。
【0036】
更に、密度は、0.87〜0.89g/ccが好ましい。軟化点は40〜112℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
【0037】
上記プロピレンホモポリマーとしては、市販品を使用すればよく、FPOW101(商品名、ハンツマン化学株式会社(製))などがある。
【0038】
本発明における軟質ポリオレフィン樹脂であるプロピレン−エチレン共重合体は、ASTM D1238に記載の230℃におけるメルトフローレートが1〜40g/10分、好ましくは2〜20g/10分、より好ましくは10〜20g/10分であって、更に、ASTM D1238における曲げ弾性率が30〜300MPa、好ましくは30〜150MPaである。
【0039】
更に、密度は、0.87〜0.89g/ccが好ましい。軟化点は40〜112℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
【0040】
上記プロピレン−エチレン共重合体としては市販品を使用すればよく、FPOW201(商品名、ハンツマン化学株式会社(製))などがある。
【0041】
本発明における軟質ポリオレフィン樹脂は、単独であっても2種を組み合わせたものであってもよいが、磁気シート及び表示用磁気シートの柔軟性及び機械的強度を考慮するとプロピレン−エチレン共重合体が好ましい。
【0042】
本発明における軟質ポリレオフィン樹脂の配合割合は、熱可塑性樹脂と軟質ポリオレフィン樹脂との両結合材料100重量部に対し、5〜50重量部である。
5重量部未満の場合には、磁性粒子粉末の充填性が低下し、含有量が十分でなくなるため、磁気シート及び表示用磁気シートの表面磁束密度が十分でなく、また、引張強度が2.0未満となる。
50重量部を超える場合には、磁気シート及び表示用磁気シートの折り曲げ特性が低下し柔軟性が悪化する。磁性粒子粉末の充填性と磁気シート及び表示用磁気シートの柔軟性を考慮すると、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜50重量部である。
【0043】
本発明における改質樹脂であるエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムは、プロピレン含有量が20〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜28重量%である。ASTM D1238に記載の230℃におけるメルトフローレートが0.1g/10分以上、1g/10分未満であり、好ましくは0.2〜0.8g/10分である。更に、100℃におけるムーニー粘度が10〜90が好ましく、より好ましくは70〜88である。
【0044】
上記エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムは、市販品を使用すればよく、EP57P(商品名、JSR株式会社(製))などがある。
【0045】
本発明における改質樹脂であるエチレン−ブテン共重合体は、結晶質と非晶質があるが非晶質のエチレン−ブテンランダム共重合体が好ましい。ブテン含有量は18〜35重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜32重量%である。
更に、JIS K7206に記載のビカット軟化点が30〜60℃であることが好ましく、より好ましくは40〜60℃である。
【0046】
上記エチレン−ブテン共重合体は、市販品を使用すればよく、EBM2011P(商品名、JSR株式会社(製))などがある。
【0047】
本発明における改質樹脂の量は、前記熱可塑性樹脂と前記軟質ポレオレフィン樹脂の合計量が100重量部に対して、5〜30重量部、好ましくは7〜25重量部である。
【0048】
5重量部未満の場合は、より十分な貯蔵安定性を有する磁気シート及び表示用磁気シートを得ることが困難となる。
30重量部を超える場合には、磁性粒子粉末の充填性を十分高めた磁気シートを得ることが困難となる。
【0049】
本発明における磁性粒子粉末は、磁気シート及び表示用磁気シートにした時に、表面磁束密度が100ガウス以上となるマグネトプランバイト型フェライト粒子粉末や希土類磁石粉末である。
【0050】
マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末は、式AO・nFe23(但し、AはBa、Sr又はBa−Sr、n=5.0〜6.5)で表されるバリウムフェライト粒子粉末、ストロンチウムフェライト粒子粉末、バリウム−ストロンチウムフェライト粒子粉末及びこれらフェライト粒子粉末に0.1〜7.0mol%のTi、Mn、Al、La、Zn、Bi及びCoから選ばれた1種又は2種以上の元素を含む粒子粉末であり、平均粒子径0.1〜20.0μm、好ましくは1.0〜5.0μm、より好ましくは1.0〜2.0μmの粒子である。更に、好ましくはBET比表面積が1〜10m2/g、より好ましくは1〜5m2/g、更に好ましくは1〜2m2/gであって、保磁力IHcが1500〜7000Oe、好ましくは1500〜4000Oe、より好ましくは1500〜2000Oeであって、残留磁化が20〜60emu/g、好ましくは30〜50emu/g、より好ましくは30〜40emu/gである。
【0051】
上記マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末としては市販品を使用すればよく、GP−300(商品名、戸田工業株式会社(製))、HM410(商品名、フージャーマグネティクス株式会社(製))などがある。
【0052】
希土類磁石粉末は、R−T−Bで表される粒子粉末(RはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれた1種又は2種以上の元素、TはFe、Co、Ni、Ga及びTiから選ばれた1種又は2種以上の元素)及びR−T−Nで表される粒子粉末であって、好ましくはこれら粒子粉末のRがNd、またはNdの1部が他の希土類元素で置換された粒子粉末、TがFe又はFeの1部がCo、Ga及びTiの1種又は2種以上で置換された粒子粉末であって、平均粒子径1〜100μm、好ましくは1〜80μm、より好ましくは3〜50μmの粒子である。更に、BET比表面積が0.5〜2m2/g、好ましくは0.7〜1.8m2/gであって、保磁力IHcが3000〜9000Oe、好ましくは4000〜9000Oeであって、残留磁化が80〜400emu/g、好ましくは100〜400emu/gである。
【0053】
上記希土類磁石粉末としては、市販品を使用すればよく、MQP−B(商品名、マグネクウエンチ株式会社(製))などがある。
【0054】
本発明における磁性粒子粉末は、両結合材料又は熱可塑性樹脂、軟質ポリオレフィン樹脂及び改質樹脂からなる全結合材料(以下、全結合材料とする。)が100重量部に対し、結合材料の合計量に対し、400〜1900重量部、好ましくは600〜1800重量部である。
400重量部未満の場合、得られた磁気シート及び表示用磁気シートは、充分な表面磁束密度が得られず、磁力が低い。
1900重量部を超える場合、得られた磁気シート及び表示用磁気シートは、樹脂の含有量が少ないため、充分な柔軟性が得られない。
【0055】
本発明における磁気シートの厚みの下限値は、表示用磁気シートの厚みや印刷シートの厚みを考慮すると、通常0.05mm、好ましくは0.1mmである。上限値は通常1.0mm、好ましくは0.5mm、より好ましくは0.2mm、更により好ましくは0.18mmである。
0.05mm未満の場合には、充分な表面磁束密度が得られない。
1.0mmを超える場合には、シートの面密度が3kg/mを越えるため重くなり、施工性や曲げ特性が低下し、表示用磁気シートとして好ましくない。
【0056】
本発明における磁気シートは、板厚が、1.0mmの場合において表面磁束密度が100〜800ガウスであることが好ましい。
100ガウス未満の場合は、磁気シートの磁力が低いため、装着・貼付したときにわずかな振動、接触などにより簡単にずれたり、脱落する。
磁気シートの表面磁束密度の上限は、800ガウスで十分であり、必要以上に着磁する意味がない。800ガウスを超えると吸着力が高すぎるため、例えば貼り場所の位置変更がしにくく、磁気シートを重ねて貯蔵した場合、使用時に容易に剥離しにくい等の問題が生起する。
【0057】
本発明における磁気シートは、曲げ特性が4.5cm以下が好ましく、より好ましくは3.0cm以下、更により好ましくは2.0cm以下であり、柔軟性が優れたものである。
その下限値は、1.0cmである。
【0058】
本発明における磁気シートは、引張強度が2MPa以上、好ましくは2.5MPa以上であり、機械的強度が強いものである。
その上限値は4.0である。
【0059】
本発明における磁気シートは、塩素系樹脂において、通常使用されるフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、エポキシ化アマニ油、ブチルステアレート等の可塑剤が結合材料100重量部に対して0.5重量部以下であるにもかかわらず、磁性粒子粉末の含有量を可及的に高めることができるとともに柔軟性をも有している。
【0060】
本発明における磁気シートは、滑剤を全く使用しない場合にも磁性粒子粉末の含有量を可及的に高めることができ機械的強度を高めることができるが、製造工程における流動性を考慮すると両結合材料又は全結合材料が100重量部に対し、1重量部未満配合してもよい。
【0061】
本発明における磁気シートは、必要により、各種カップリング剤やシリカ粉末等の磁気シートの諸特性を改善するために通常配合される他の添加剤を配合してもよい。
【0062】
上記カップリング剤は周知の通り、両結合剤又は全結合材料が100重量部に対し、0.1〜10重量部配合することができ、磁性粒子粉末の粒子表面のぬれを良くして充填性を改良し、磁性粒子粉末の含有量を高めることができる。
【0063】
上記シリカ粉末は、周知の通り、両結合材料又は全結合材料が100重量部に対して0.1〜5重量部配合することができ、結合材料と磁性粒子粉末との連続混練工程において、ペレット状結合材料の混練機への供給に際して連続的に定量供給することが可能となり、工業的に有利である。また、得られた表示用磁気シートの貯蔵安定性及び製品安定性を向上させる効果をも有している。
【0064】
本発明における印刷シートは、上質紙、コート紙等の紙、合成紙及び合成樹脂フィルム等のいずれをも使用することができ、後出する印刷方法により適切なものを適宜選択すればよい。印刷シートの厚みの下限値は、通常0.045mm、好ましくは0.05mm、より好ましくは0.1mmである。上限値は、通常1.0mm、好ましくは0.46mm、より好ましくは0.3mm、更により好ましくは0.15mmである。印刷シートとして合成紙が使用される場合、磁気シートの色(茶褐色)を隠蔽し印刷色を損なう事を防止する為に、合成紙の厚みは0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.1〜0.15mmである。また、表示用磁気シートの厚みが薄い、殊に、0.2〜0.35mmの場合には、表面磁束密度の強さとより好ましい厚みを考慮すれば、磁気シートの厚みは、0.05〜0.17mmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.15mmである。
【0065】
本発明に係る表示用磁気シートは、通常、前記磁気シート表面の一方面に印刷シートが貼着されており、他方面が着磁面となっている。表示用磁気シートの厚みの下限値は、通常0.095mm、好ましくは0.1mm、より好ましくは0.15mm、更により好ましくは0.2mmである。厚みの上限値は、通常2.0mm、好ましくは0.8mm、より好ましくは0.5mm、更により好ましくは0.35mmである。
【0066】
本発明に係る表示用磁気シートは、厚みが薄い場合、殊に0.35mm以下である場合には、一般家庭やオフィス等における複写機やコンピュータ等の出力装置としての印刷機で簡単に印刷できる。
柔軟性、機械的強度、貯蔵安定性及び製品安定性を考慮すれば、その下限値は0.1mmであり、実用性を考慮すれば厚さが0.15〜0.3mmが好ましい。
【0067】
本発明に係る表示用磁気シートは、表面磁束密度が100〜400ガウス、引張強度が2.0〜4.0MPaであって、曲げ特性が5.0cm以下、好ましくは3cm以下、より好ましくは2.5cm以下であり、充填性、貯蔵安定性及び製品安定性がA以上と優れたものである。
【0068】
次に、本発明に係る表示用磁気シートの製造法について述べる。
本発明における磁気シートは、常法により、熱可塑性樹脂と軟質ポリオレフィン樹脂と必要により改質樹脂とを予備混練してペレット化とし、次いで、該ペレットと磁性粒子粉末と必要により添加剤とを連続混練機に供給して連続混練し、次いで、シート状に成型した後、片面に着磁することにより製造する。
着磁は、通常の方法により行うことができ、例えば、N極とS極を交互に多極着磁すればよい。
【0069】
本発明に係る表示用磁気シートは、印刷シートを接着剤を用いて、又は熱圧着することにより磁気シート表面に貼着する。
接着剤としては、樹脂と紙、合成紙又は合成樹脂フィルムとを接着するに際して通常使用される接着剤を使用すればよい。例えば、「サイレックスクリヤー」(商品名:コニシ株式会社(製))を好ましく使用することができる。貼着に際しては、印刷シートの裏面に10〜20g/cm2の割合で接着剤を塗布した後、磁気シート表面に貼り合わせればよい。
熱圧着による貼着は、磁気シートと印刷シートとを重ね、あらかじめ140℃〜160℃に加熱したプレス機に入れ、0.5〜1kg/cm2の条件下で熱加圧プレス成形すればよい。
【0070】
印刷シート層は、印刷方式により選ばれた適切な紙を使用すればよい。印刷方式としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、シール印刷、溶融型熱転学印刷、インクジェット印刷、レーザー方式(LBP)、ドットインパクト方式などが挙げられる。
【0071】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0072】
尚、以下の実施の形態及び後出実施例及び比較例における磁性粒子粉末の平均粒子径はレーザー回折式粒度分布計(株式会社堀場製作所(製))で測定した値で示し、磁気特性は、振動試料型磁力計VSM−3S−15(東英工業株式会社(製))で測定した値で示した。
【0073】
磁気シート及び表示用磁気シートの磁気特性は、ホットプレスにより得られたシートを幅50mm×長さ50mmに切り出し、多極着磁器(極ピッチ3mm)HD100(電子磁気工業株式会社(製))を用いて多極着磁した磁気シートをガウスメーターHGM8300M(ADS株式会社(製))で測定した表面磁力の値で示した。
【0074】
磁気シート及び表示用磁気シートの機械的強度は、JIS K 6301−1975の「可硫ゴム物理試験方法」における「3.2試験片」の記載に従って製造したダンベル状2号形(平行部分の幅10mm、平行部分の長さ20mm、平行部分の厚さ3mm以下、標線距離20mm)を試験片とし、該試験片を引張試験機である精密万能試験機AG−1000B(株式会社島津製作所(製))を用いて引張り速さ50mm/分で引っ張ったときの切断に至る最大応力(引張り強さ)(MPa)で示した。
【0075】
磁気シート及び表示用磁気シートの柔軟性は、株式会社合成樹脂工業新聞社発行「ボンデットマグネット」(1990年)第121頁に記載されている折曲げ特性、即ち、幅1cmで各種長さの試片を作成し、その試片の両先端を合わせる様に折曲げ、クラック、破断片が認められない最小の試片長で示した。
【0076】
磁気シート及び表示用磁気シートの充填性は、140℃に温度調整したロールで20分間混練したロール混練物を140±5℃でプレス成型して得られたシートの凹凸や穴開きの有無を目視観察することによって行った。
【0077】
磁気シート及び表示用磁気シートのフォギング(fogging)はプレパラートガラス板(76mm×26mm)の上にシート試験片(10mm×50mm)を密着して設置したものを60℃の雰囲気下に12時間放置した後、常温に取り出し、シート試験片を取り除いた後のプレパラートガラス板の表面の汚染状態を目視観察し、汚染の有無で判断した。汚染がなかった場合をA、汚染があった場合をBで示した。
【0078】
貯蔵安定性はシート(50mm×50mm)3枚を重ねて0.1kg/cm2の荷重を載加しながら、空気中60℃の雰囲気下に設置し、48時間経過後、室温に取り出し、真中の試験片を剥離し、剥離状態を目視観察した。容易に剥離し、実用上良好な場合をAA、剥離はするが部分的にブロッキングしている場合をA、剥離はするがシートが破れる又は剥離不能の場合をBで示した。
【0079】
表示用磁気シートの印刷特性は、連続印刷性及び印刷画像性により評価した。連続印刷性は、210mm×297mmのサイズの表示用磁気シート20枚を各種印刷機にセットして、連続印刷を行った時の給紙状態の異常回数及び印刷機内に滞留することにより印刷機の停止が発生した回数により評価した。評価は、下記の通り、A乃至Eの5段階で行なった。
実用上、A、B及びCであることが好ましい。
A:給紙状態が良好、印刷機内滞留なし
B:給紙異常1回以下、印刷機内滞留発生なし
C:給紙異常2回以下、印刷機内滞留発生なし
D:給紙異常3回以下、印刷機内滞留発生1回以下
E:給紙異常3回以上、印刷機内滞留発生2回以上
印刷画像性は、線幅0.5mmで描いた5mm間隔の方眼模様の画像(横150mm×縦150mm)を各種印刷機を用いて印刷した時の線歪みを評価した。評価は、下記の通り、3段階で行なった。実用上、A及びBが好ましい。
A:線の歪みが0.1mm以下
B:線の歪みが0.3mm以下
C:線の歪みが0.3mm以上
【0080】
<磁気シートの製造>
熱可塑性樹脂A(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体)クレイトンG1657(商品名、シェル化学株式会社(製))68重量部と軟質ポリオレフィン樹脂F(プロピレン−エチレン共重合体)WL205(商品名、ハンツマン化学株式会社(製))32重量部とからなる結合材料に対し、磁性粒子粉末C、HM410(商品名、フージャーマグネティックス株式会社(製))1000重量部を添加、配合し、該配合物を試験ロールを用いて温度160℃で20分間加熱溶融混練した。得られた混練物を140±5℃で加圧プレス成型することによりシート厚さ1mmのシートを作成した。
得られたシートを更に150±5℃で加圧プレスし厚さ0.15mmのシートを作製した。このシートの片面に着磁機HD100(電子磁気工業株式会社(製))を用い、着磁ヨークを3mmピッチとし、着磁電圧400VでN極とS極を交互に多極に着磁した。
磁気シートは、表面磁束密度が120−130ガウスであって、引張強度が3.0MPa、曲げ特性が2.0cm以下であった。また、充填性はA、製品安定性はA、貯蔵安定性はAであった。
【0081】
<表示用磁気シートの製造>
この磁気シートに印刷シート層として、印刷紙MJA4SPI(商品名:エプソン株式会社(製))の裏面に接着剤サイレックスクリア(商品名:コニシ株式会社(製))を10g/m2の割合で塗布して貼り合わせて表示用磁気シートを作製した。
得られた表示用磁気シートは、厚み0.25mm、幅210mm及び長さ297mmのA4サイズであった。
この表示用磁気シートは、表面磁束密度が100−110ガウスであって、引張強度が2.0MPa、曲げ特性が2.0cm以下であった。そして、目視観察の結果、シートの凹凸や穴が認められずガラス板の表面には汚染が全く認められないことから、充填性及び製品安定性のいずれもAであり、優れていることが分かった。
また、シートが容易に剥離し、ブロッキングも認めらなかったことから貯蔵安定性がAであって優れたものであることが分かった。
この表示用磁気シートを用いて各種複写機を用いて複写した時の連続印刷性及び印刷画像性を後出表9及び表10に示す。
【0082】
【作用】
本発明において最も重要な点は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体及びエチレン−プロピレン共重合ゴムから選ばれた1種又は2種以上の熱可塑性樹脂50〜95重量部とプロピレンホモポリマー及びプロピレン−エチレン共重合体から選ばれた1種又は2種の軟質ポリオレフィン樹脂5〜50重量部とを用いるとともに、当該両結合材料の合計量に対して磁性粒子粉末が400〜1900重量部となるように磁性粒子粉末と両結合材料とを混合配合した場合には、可塑剤や滑剤の使用量を可及的に少なくした場合、殊に、可塑剤を使用しない場合においても、柔軟性や機械的強度などを維持しながら磁性粒子粉末の含有量を可及的に高めた磁気シートを得ることができるという事実である。
【0083】
磁性粒子粉末の含有量を可及的に高めることができた理由について、本発明者は、特定種類の熱可塑性樹脂と特定種類の軟質ポリオレフィン樹脂とからなる結合材料であって、その配合割合が特定範囲外である場合、特定種類の熱可塑性樹脂と特定種類以外の軟質ポリオレフィン樹脂とからなる結合材料を用いた場合、特定種類以外の熱可塑性樹脂と特定種類の軟質ポリオレフィン樹脂を用いた場合は、柔軟性や機械的強度などを維持しながら磁性粒子粉末の含有量を可及的に高めることができないことから、特定種類の熱可塑性樹脂と特定種類の軟質ポリオレフィン樹脂とを特定割合で配合したことによるものと考えている。
【0084】
【実施例】
次に、実施例並びに比較例を挙げる。
実施例1〜18、比較例1〜22結合材料の種類及び量、磁性粒子粉末の種類及び量、可塑剤及び滑剤の有無及び量並びに添加剤の有無及び量を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして磁気シートを製造した。また、印刷シート層として合成紙を用いた場合は、印刷方法に応じて適切な合成紙を用いた。使用した結合材料の種類と製品名及び諸特性等を表1に、磁性粒子粉末、可塑剤、滑剤及び添加剤の種類と製品名及び諸特性を表2に示すとともに、磁気シートの主要製造条件を表3及び表4に、合成紙の種類を表5に、複写機の種類を表6に、磁気シートの諸特性を表7に、表示用磁気シートの諸特性を表8に、表示用磁気シートの連続印刷性を表9に、表示用磁気シートの印刷画像特性を表10に示す。
【0085】
【表1】
Figure 0004697365
【0086】
【表2】
Figure 0004697365
【0087】
【表3】
Figure 0004697365
【0088】
【表4】
Figure 0004697365
【0089】
【表5】
Figure 0004697365
【0090】
【表6】
Figure 0004697365
【0091】
【表7】
Figure 0004697365
【0092】
【表8】
Figure 0004697365
【0093】
【表9】
Figure 0004697365
【0094】
【表10】
Figure 0004697365
【0095】
【発明の効果】
本発明に係る表示用磁気シートは、優れた柔軟性及び機械的強度と優れた貯蔵安定性及び製品安定性とを有しているとともに、可塑剤や滑剤の使用量が可及的に少ないにもかかわらず、磁性粒子粉末の充填性を高めることができるため、被装着物や被貼付物に対して装着、貼付したり、取り外しが容易にできるので、表示用磁気シートとして好適である。
殊に、表示用磁気シートの厚みが0.35mm以下の場合には、一般家庭やオフィス等における複写機やコンピュータ等の出力装置としての印刷機で簡単に印刷することができる。
【0096】
本発明に係る表示用磁気シートは、使用する結合材料が塩素系樹脂でないため磁気シートの加工中に塩化水素が発生することがないので、取り扱いが容易であり、使用済表示用磁気シートの廃棄に際して、焼却処分してもダイオキシン等の有害物が発生することが少ないので環境にやさしいものである。

Claims (2)

  1. マグネットプランバイト型フェライト粒子粉末及び希土類磁石粒子粉末から選ばれた1種又は2種以上の磁性粒子粉末を充填材料とし、該充填材料を結合材料を用いてシート状に成型してなる厚みが0.05〜0.17mmの磁気シートと該磁気シート表面の片面に貼着した印刷シートとからなり、前記結合材料としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体及びエチレン−プロピレン共重合ゴムから選ばれた1種又は2種以上の熱可塑性樹脂50〜95重量部とプロピレンホモポリマー及びプロピレン−エチレン共重合体から選ばれた1種又は2種の軟質ポリオレフィン樹脂5〜50重量部とを用いるとともに、当該両結合材料の合計量100重量部に対して前記充填材料が400〜1900重量部となるように前記充填材料と前記両結合材料とを混合配合することを特徴とする表示用磁気シート。
  2. マグネットプランバイト型フェライト粒子粉末及び希土類磁石粒子粉末から選ばれた1種又は2種以上の磁性粒子粉末を充填材料とし、該充填材料を結合材料を用いてシート状に成型してなる厚みが0.05〜0.17mmの磁気シートと該磁気シート表面の片面に貼着した印刷シートとからなり、前記結合材料としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体及びエチレン−プロピレン共重合ゴムから選ばれた1種又は2種以上の熱可塑性樹脂50〜95重量部とプロピレンホモポリマー及びプロピレン−エチレン共重合体から選ばれた1種又は2種の軟質ポリオレフィン樹脂5〜50重量部と当該両結合材料の合計量が100重量部に対して5〜30重量部のエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム及びエチレン−ブテン共重合体から選ばれた1種又は2種の改質樹脂を用いるとともに、前記熱可塑性樹脂、前記軟質ポリオレフィン樹脂及び前記改質樹脂からなる全結合材料100重量部に対して前記充填材料が400〜1900重量部となるように前記充填材料と前記全結合材料とを混合配合することを特徴とする表示用磁気シート。
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