JP4696908B2 - 火花点火式直噴エンジン - Google Patents
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Description
各気筒毎に、燃焼室内に電極が突出された点火プラグと燃焼室内に直接燃料噴射を行う複数の噴口を有するマルチホール型の燃料噴射弁とが設けられ、
各気筒において、前記複数の噴口のうち一部の特定噴口の軸線が、前記電極下方の所定位置に指向された火花点火式直噴エンジンにおいて、
各気筒について、前記点火プラグの軸線上における前記電極と前記特定噴口の軸線との間の距離に関連した値となる距離データを把握する距離データ把握手段と、
あらかじめ設定された所定温度を超える温間時でのエンジン始動時において、クランキング開始直後に最初に混合気に対して点火を行う初爆気筒を、前記距離データ把握手段で得ている前記距離が最大となっている特定気筒以外の他の気筒に設定する初爆気筒設定手段と、
を備えているようにしてある。上記解決手法によれば、温間時におけるエンジン始動時には、電極と特定噴口の軸線との距離がもっとも大きい特定気筒以外の気筒、つまり燃料噴霧によって相対的にリッチになる気筒を初爆気筒とするようにしてあるので、初回の点火での着火を確実に行いつつそのときの燃焼トルクが大きなものとなるようにして、エンジン回転数をすみやかに上昇させ、この分噴射される燃料の圧力も上昇されて、これ以後に噴射される燃料の微粒化が促進されて、以後に点火される気筒の着火性ひいては燃焼トルクも向上されることになる。このようにして、温間時でのエンジン始動を迅速に行うことが可能になる。
前記距離データ把握手段が、前記電極を通して流れるイオン電流を検出する電流検出手段と、該電流検出手段によって検出されたイオン電流の大きさを記憶する記憶手段とから構成されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、検出されるイオン電流は、電極回りに存在する混合気の空燃比に応じた大きさとなり、イオン電流に対応した空燃比がリーンであることは電極と特定噴口からの燃料噴霧との距離が大きいと判断することができる。
各気筒毎に、燃焼室内に電極が突出された点火プラグと燃焼室内に直接燃料噴射を行う複数の噴口を有するマルチホール型の燃料噴射弁とが設けられ、
各気筒において、前記複数の噴口のうち一部の特定噴口の軸線が、前記電極下方の所定位置に指向された火花点火式直噴エンジンにおいて、
各気筒について、前記点火プラグの軸線上における前記電極と前記特定噴口の軸線との間の距離に関連した値となる距離データを把握する距離データ把握手段と、
エンジン冷機時において、各気筒間について角速度の変動状態を検出する角速度変動検出手段と、
前記角速度検出手段で検出される気筒間での角速度の変動が小さいときは、あらかじめ設定された所定温度を超える温間時でのエンジン始動時において、クランキング開始直後に最初に混合気に対して点火を行う初爆気筒を、前記距離データ把握手段で得ている前記距離が最小となっている最小気筒に設定する初爆気筒設定手段と、
を備えているようにしてある。気筒間において角速度変動が小さいということは、気筒間での燃焼トルクの差が小さいときであるが、このときは、電極周りがもっともリッチになっている距離最小の気筒を初爆気筒とすることにより、エンジン始動を迅速に行なうことができる。
前記初爆気筒設定手段は、前記角速度検出手段で検出される気筒間での角速度の変動が大きいときは、あらかじめ設定された所定温度を超える温間時でのエンジン始動時において、クランキング開始直後に最初に混合気に対して点火を行う初爆気筒を、角速度が大きい気筒に設定する、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、気筒間の角速度が大きいということは、角速度が大きい気筒は燃焼トルクが大きいということであり、したがって、角速度が大きい気筒を初爆気筒とすることにより、エンジン始動を迅速に行うことができる。
各気筒毎に、燃焼室内に電極が突出された点火プラグと燃焼室内に直接燃料噴射を行う複数の噴口を有するマルチホール型の燃料噴射弁とが設けられ、
各気筒において、前記複数の噴口のうち一部の特定噴口の軸線が、前記電極下方の所定位置に指向された火花点火式直噴エンジンにおいて、
各気筒間において、前記点火プラグの軸線上における前記電極と前記特定噴口の軸線との間の距離がもっとも小さくなる最小気筒を記憶している記憶手段と、
あらかじめ設定された所定温度を超える温間時でのエンジン始動時において、クランキング開始直後に最初に混合気に対して点火を行う初爆気筒を、前記記憶手段に記憶されている前記最小気筒に設定する初爆気筒設定手段と、
を備えているようにしてある。上記解決手法によれば、請求項4に対応した効果と同様の効果を得ることができる。
前記電極が燃焼室の略中央部に配設され、
前記燃料噴射弁が、燃焼室周縁部に配設されて、前記複数の噴口として、前記特定噴口の他に、ピストン頂面方向に指向される他の噴口を有し、
各気筒について、それぞれ2つの吸気弁が設けられ、
前記燃料噴射弁が前記2つの吸気弁間に位置されている、
ようにしてある(請求項9対応)。この場合、燃料噴射弁を燃焼室周縁部に設けたいわゆるサイド噴射とされる。そして、一部の噴口はピストン頂面に指向されているので、もっぱら電極回りをリッチ化する成層燃焼の他に、気筒内に極力均一に燃料分布させた均一燃焼を行う場合にも対応できる噴射態様を得ることが可能となる。また、特に自動車用として広く普及している吸気2弁式のエンジンに本発明を適用する上で好ましいものとなると共に、燃料噴射弁を、2つの吸気弁の間という大きな空間を有効に利用して配設することができる。
前記特定噴口、左側方噴口および右側方噴口の各噴口から前記電極までの距離が20mm以上に設定され、
前記特定噴口と前記左側方噴口とのなす開き角が15度〜25の度の範囲に設定されて、エンジンの低回転・低負荷域となる所定運転領域で該特定噴口からの燃料噴霧と該左側方噴口からの燃料噴霧が相互干渉効果によって互いに連続したものとなるように設定され、
前記特定噴口と前記右側方噴口とのなす開き角が15度〜25の度の範囲に設定されて、前記所定運転領域で該特定噴口からの燃料噴霧と該右側方噴口からの燃料噴霧が相互干渉効果によって互いに連続したものとなるように設定されている、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、電極周りでの成層化状態が、燃料噴射弁から電極を見たとき、濃混合気が略V字状となって電極の下方および左右側方を囲んだ状態となって、成層化として極めて好ましい状態が得られる。
1.燃料噴射制御
燃料噴射制御は、エンジン温度に応じて燃料噴射制御マップが切換えられ、その切換えられたマップに従ってその制御が行われる。燃料噴射制御マップは、エンジン温度が所定値(例えば60度C)以上の温間時は、図5に示す温間時のマップが選択される。温間時のマップは、エンジンの運転状態が低負荷・低回転の所定運転領域にある時、成層燃焼領域
とされ、その他の運転領域では均一燃焼領域とされる。また、冷間時の燃料噴射制御マップは、図示を略すが、全ての運転領域において均一燃焼領域とされる。
燃圧制御は、エンジン温度に応じて燃圧制御マップが切換えられ、その切換えられたマップに従ってその制御が行われる。燃圧制御マップは、エンジン温度が所定値(例えば、60度C)以上の温間時は、図6に示す温間時のマップが選択される。この図6のマップでは、成層燃焼領域では、エンジン回転数の増大に応じて燃圧が徐々に大きくなるように変化され(最低燃圧a1が例えば12MPaとされ、最高燃圧a2が例えば20MPaとされる)。また、均一燃焼領域では、常時、成層燃焼領域での最高燃圧a2という一定値とされて、エンジン回転数上昇に伴う燃圧上昇が抑制された状態となる。なお、エンジン温度が所定値よりも低い冷間時は、常時、成層燃焼領域での最高燃圧a2に相当する燃圧とされる。また、エンジン始動時の燃圧は、高圧燃料ポンプ26がカム軸によって駆動される関係で燃圧が十分に上がらないことから、例えば、0.5MPa程度になっている。
エンジン低回転・低負荷域となる所定運転領域では、スワール弁40が開かれて、燃焼室6内に吸気のスワールが生成される。この場合、スワール弁40の開度は、上記所定運転領域においては、エンジン負荷の大小にかかわらず例えば常に全閉としてもよいが、低負荷域では開度が大きくされ(全開に近い)、エンジン負荷の増大に伴って徐々に開度が小さくされ、高負荷域で全閉となるように設定することもできる。
(1)極冷間時でのエンジン始動
極冷間時においては、各気筒間においてもっとも早く混合気に点火が行われる気筒が、次のように選択される。すなわち、エンジン冷機時を前提として、外気温度が例えば0度C以下の極冷間時には、もっとも大きい距離X1とされた3番気筒が選択されて、この選択気筒である3番気筒から点火が行われる(3番気筒の点火が行われた後は、通常の点火順での点火が行われる)。もっとも早く点火が行われる3番気筒においては、クランキング回転数程度の小さい回転数であるために、噴射燃料の圧力が十分に小さくて微粒化が十分に行われていない状態とされるが、もっとも大きいい距離X1とされているので、その電極Eが燃料によって濡れてしまうことがなく、確実に着火されることになる。
エンジン冷機時であることを前提として、極冷間時以外でのエンジン始動時、例えば外気温度が0度Cを超えるときのエンジン始動は、迅速なエンジン始動のために、各気筒間においてもっとも早く混合気に点火が行われる気筒が、次のように選択される。すなわち、
もっとも小さい距離X4とされた1番気筒が最小気筒とされて、この最小気筒である1番気筒から点火が行われる(1番気筒の点火が行われた後は、通常の点火順での点火が行われる)。もっとも早く点火が行われる1番気筒においては、クランキング回転数程度の小さい回転数であるために、噴射燃料の圧力が十分に小さくて微粒化が十分に行われていない状態とされるが、もっとも小さい距離X1とされているので、その電極E回りには気筒間においてもっともリッチな混合気が存在することとなって、確実な着火が行われて、エンジン始動を迅速に行えることになる。この迅速なエンジン始動のためには、点火順に、距離Xが順次大きくなるように設定することもできる。
れるイオン電流値が小さくなれば現在の空燃比が理論空燃比よりもリーンであり、検出されるイオン電流値が大きくなれば現在の空燃比が理論空燃比よりもリッチであるということが理解される。なお、イオン電流検出は、エンジンの定常運転状態のときに行えばよい。
3:シリンダブロック
4:シリンダヘッド
5:ピストン
6:燃焼室
10(10A、10B):吸気ポート
12:吸気弁
16:点火プラグ
16a:絶縁碍子
16b:着座面(基準位置)
17:点火回路
18:燃料噴射弁
18B:燃料噴射弁(図22〜図24)
41:切換スイッチ
42:イオン電流検出回路
61a:特定噴口(図24)
E:点火プラグの電極
E1:中心電極
E2:周辺電極
LB:燃料噴射弁の軸線
L1:第1噴口(特定噴口)の軸線
A1:第1噴口(特定噴口)から噴射された燃料の噴霧角
LS:計測器(電極の燃焼室内からの突出量を計測)
MR:記憶手段(検出値の記憶用)
Y(Y1〜Y4):電極の燃焼室内への突出量
θ(θ1〜θ4):特定噴口の軸線と燃料噴射弁の軸線とのなす角度
X(X1〜X4):電極と特定噴口の軸線との距離
S5:外気温度センサ
Claims (10)
- 各気筒毎に、燃焼室内に電極が突出された点火プラグと燃焼室内に直接燃料噴射を行う複数の噴口を有するマルチホール型の燃料噴射弁とが設けられ、
各気筒において、前記複数の噴口のうち一部の特定噴口の軸線が、前記電極下方の所定位置に指向された火花点火式直噴エンジンにおいて、
各気筒について、前記点火プラグの軸線上における前記電極と前記特定噴口の軸線との間の距離に関連した値となる距離データを把握する距離データ把握手段と、
あらかじめ設定された所定温度を超える温間時でのエンジン始動時において、クランキング開始直後に最初に混合気に対して点火を行う初爆気筒を、前記距離データ把握手段で得ている前記距離が最大となっている特定気筒以外の他の気筒に設定する初爆気筒設定手段と、
を備えていることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 請求項1において、
前記距離データ把握手段が、前記電極を通して流れるイオン電流を検出する電流検出手段と、該電流検出手段によって検出されたイオン電流の大きさを記憶する記憶手段とから構成されている、
ことを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 請求項1において、
前記距離データ把握手段が、前記電極の燃焼室内への突出量と前記特定噴口の軸線位置に関するデータとに基づいて決定された前記距離データを記憶する記憶手段を備えている、
ことを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記初爆気筒設定手段によって設定される前記他の気筒が、前記距離データ把握手段で得ている前記距離が最小となっている気筒とされる、
ことを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記温間時でのエンジン始動時には、圧縮行程後半に燃料噴射が行われる、
ことを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 各気筒毎に、燃焼室内に電極が突出された点火プラグと燃焼室内に直接燃料噴射を行う複数の噴口を有するマルチホール型の燃料噴射弁とが設けられ、
各気筒において、前記複数の噴口のうち一部の特定噴口の軸線が、前記電極下方の所定位置に指向された火花点火式直噴エンジンにおいて、
各気筒について、前記点火プラグの軸線上における前記電極と前記特定噴口の軸線との間の距離に関連した値となる距離データを把握する距離データ把握手段と、
エンジン冷機時において、各気筒間について角速度の変動状態を検出する角速度変動検出手段と、
前記角速度検出手段で検出される気筒間での角速度の変動が小さいときは、あらかじめ設定された所定温度を超える温間時でのエンジン始動時において、クランキング開始直後に最初に混合気に対して点火を行う初爆気筒を、前記距離データ把握手段で得ている前記距離が最小となっている最小気筒に設定する初爆気筒設定手段と、
を備えていることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 請求項6において、
前記初爆気筒設定手段は、前記角速度検出手段で検出される気筒間での角速度の変動が大きいときは、あらかじめ設定された所定温度を超える温間時でのエンジン始動時において、クランキング開始直後に最初に混合気に対して点火を行う初爆気筒を、角速度が大きい気筒に設定する、
ことを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 各気筒毎に、燃焼室内に電極が突出された点火プラグと燃焼室内に直接燃料噴射を行う複数の噴口を有するマルチホール型の燃料噴射弁とが設けられ、
各気筒において、前記複数の噴口のうち一部の特定噴口の軸線が、前記電極下方の所定位置に指向された火花点火式直噴エンジンにおいて、
各気筒間において、前記点火プラグの軸線上における前記電極と前記特定噴口の軸線との間の距離がもっとも小さくなる最小気筒を記憶している記憶手段と、
あらかじめ設定された所定温度を超える温間時でのエンジン始動時において、クランキング開始直後に最初に混合気に対して点火を行う初爆気筒を、前記記憶手段に記憶されている前記最小気筒に設定する初爆気筒設定手段と、
を備えていることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記電極が燃焼室の略中央部に配設され、
前記燃料噴射弁が、燃焼室周縁部に配設されて、前記複数の噴口として、前記 特定噴
口の他に、ピストン頂面方向に指向される他の噴口を有し、
各気筒について、それぞれ2つの吸気弁が設けられ、
前記燃料噴射弁が前記2つの吸気弁間に位置されている、
ことを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、
前記電極近傍に指向される噴口として、前記特定噴口の他に、該電極の左側方に指向された左側方噴口と、該電極の右側方に指向された右側方噴口とを有し、
前記特定噴口、左側方噴口および右側方噴口の各噴口から前記電極までの距離が20mm以上に設定され、
前記特定噴口と前記左側方噴口とのなす開き角が15度〜25の度の範囲に設定されて、エンジンの低回転・低負荷域となる所定運転領域で該特定噴口からの燃料噴霧と該左側方噴口からの燃料噴霧が相互干渉効果によって互いに連続したものとなるように設定され、
前記特定噴口と前記右側方噴口とのなす開き角が15度〜25の度の範囲に設定されて、前記所定運転領域で該特定噴口からの燃料噴霧と該右側方噴口からの燃料噴霧が相互干渉効果によって互いに連続したものとなるように設定されている、
ことを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
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