JP4696736B2 - 光加熱装置 - Google Patents
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Description
すなわち、PET樹脂は遠赤外線の波長域の透過率が極めて低い特性を有することから、プリフォーム品Pの外面部分Paにおいて遠赤外線が吸収されて、プリフォーム品Pの内面部分Pbにまで届かない現象が発生する結果、厚み(肉厚)方向に対して外面部分Paと内面部分Pbとの間で大きな温度差が生じてしまうものと考えられる。
近赤外線を主に透過すると共に波長4.5μm以上の遠赤外線を主に吸収する遠赤外線吸収部材が、光照射方向に対してヒータランプの前方側の位置に配置されており、
ヒータランプから放射される放射光および反射部材からの反射光が遠赤外線吸収部材を介して被加熱対象物に照射され、
前記遠赤外線吸収部材は、ヒータランプと対向して配置される、互いに略平行に扁平な面方向に伸びる2つの平板状の壁と周壁とを有し、当該2つの平板状の壁と周壁とによって当該遠赤外線吸収部材に内部空間が形成されており、
前記遠赤外線吸収部材の周壁には、冷却風を内部空間内に導入するための開口部が少なくとも1箇所形成されていると共に、光照射方向に対して後方側に位置される平板状の壁に、内部空間に導入された冷却風をヒータランプに供給するための複数の冷却風供給用開口が形成されていることを特徴とする。
本発明の第1実施形態に係る光加熱装置は、特定の光学特性を有する遠赤外線吸収部材が光照射方向に対してヒータランプの前方側の位置に配置されてなり、ヒータランプから放射される光が遠赤外線吸収部材を介して照射されると共に、ヒータランプおよび反射部材を冷却するための冷却風が利用されて遠赤外線吸収部材が冷却される構成のものである。
この光加熱装置においては、互いに等間隔毎に離間して並んだ位置において、各々平行に伸びるよう配置された多数本の棒状のヒータランプ10と、当該ヒータランプ10から放射される光を反射して被加熱対象物に照射する反射部材とを備えている。
隣り合うヒータランプ10のランプ中心軸間の離間距離の大きさは、被加熱対象物に対して実質的に均一な分布で光を照射することができるという理由から、例えば20〜30mmとされていることが好ましい。
この遠赤外線吸収部材20の光学特性について具体的に説明すると、例えば波長1.5μmの近赤外線の透過率が80%以上であり、波長4.5μmの遠赤外線の透過率が45%以下である。
具体的な数値例を示すと、例えば石英ガラスの場合には例えば1mm、パイレックス(登録商標)ガラスの場合には例えば2mm、バイコールの場合には例えば1.2mm、アクリル樹脂の場合には例えば2mm、PET樹脂の場合には例えば2.2mmである。これらのうちで、例えば石英ガラスが用いられる場合には、その製法によって遠赤外線領域の光透過率が異なるが、上述したように、波長4.5μmの光の透過率45%以下となるよう厚みが設定されることが望ましい。
一方、冷却風が反射板11における冷却風流通孔12を介して供給され、冷却風が各々のヒータランプ10の発光管の壁面に沿って流過されることにより反射板11およびヒータランプ10が冷却され、その後、冷却風が遠赤外線吸収部材20の表面に吹き付けられ、その表面に沿って周縁部に向かって流過されることにより遠赤外線吸収部材20が冷却される。
また、その遠赤外線がハロゲンランプの発光管を構成する石英ガラスによって吸収されることにより、ハロゲンランプを連続点灯した場合には、発光管が蓄熱し、例えば500〜800℃程度の高温になる。そして、高温となった石英ガラス製の発光管から、二次輻射として、4μm以上の波長の遠赤外線が放射されることが判明した。
従って、主に近赤外線によりプリフォーム品Pを加熱処理することができるので、プリフォーム品Pを、その被光照射領域において厚み方向に対して均一に加熱することができ、ブロー成形後に得られる成形品は、偏肉が生ずることがなく、所期の形状を有するものとなる。
本発明の第2実施形態に係る光加熱装置は、遠赤外線吸収部材それ自体に直接的に冷却体が供給されることにより遠赤外線吸収部材が冷却される構成のものである。
この光加熱装置における遠赤外線吸収部材30は、内部空間が遠赤外線吸収部材30を冷却するための冷却風または冷却水などの冷却体が流通される冷却体導入用空間Cとされた全体が扁平な箱型形状であって、互いに略平行に扁平な面方向に伸びる2つの壁31、36が、均一な厚みを有する平板状のものとされており、扁平な面が光照射方向に対して垂直な方向に伸びるよう、ヒータランプ10と対向して設けられている。
この遠赤外線吸収部材30には、例えば互いに対向する2つの周壁32、37の各々に、冷却体を冷却体導入用空間Cに導入するための開口が形成されており、一方の開口に、冷却体を冷却体導入用空間Cに導入するための冷却体導入管33が設けられていると共に、他方の開口に、冷却体導入用空間C内を流通された冷却体を排出するための冷却体排出管38が設けられている。
一例を示すと、遠赤外線吸収部材30が石英ガラスよりなる場合には、ヒータランプ側の壁31の厚みt1が例えば1mm程度、被加熱対象物側の壁36の厚みt2が例えば1〜1.5mm、全体の厚みTが3〜4.5mmとして構成することができる。
一方、反射板11の冷却風流通孔12を介して供給される冷却風が、各々のヒータランプ10の発光管の壁面に沿って流過されることにより反射板11および各ヒータランプ10が冷却され、さらに、冷却風が遠赤外線吸収部材30の表面に吹き付けられ、その表面に沿って周縁部に向かって流過されることにより遠赤外線吸収部材30が冷却されると共に冷却体が遠赤外線吸収部材30の冷却体導入用空間Cに導入され、当該冷却体導入用空間C内を流通されることにより遠赤外線吸収部材30が冷却されて、所定の温度以下となる状態が維持される。
しかも、遠赤外線吸収部材30それ自体に直接冷却体が供給されて遠赤外線吸収部材30が冷却される構成とされていることにより、ヒータランプ10の点灯時において遠赤外線吸収部材30を効率的に冷却することができるので、遠赤外線吸収部材30からの遠赤外線の二次輻射が生ずることを一層確実に防止することができ、上記のような効果を確実に得ることができる。
本発明の第3実施形態に係る光加熱装置は、遠赤外線吸収部材それ自体に冷却風が供給されて遠赤外線吸収部材が冷却されると共に、当該冷却風が利用されてヒータランプおよび反射部材が冷却される構成のものである。
この光加熱装置は、遠赤外線吸収部材40が以下に示すような特定の構成のものであり、反射板15が冷却風流通孔の代わりに後述する遠赤外線吸収部材の冷却風供給用開口を介して供給される冷却風を外部に排出するための排気口16が形成されてなるものであることの他は、第1実施形態に係る光加熱装置と同様の構成を有する。
一方、冷却風が遠赤外線吸収部材40の冷却風導入用空間Cに導入され、当該冷却風導入用空間C内を流通されることにより遠赤外線吸収部材40が冷却されて所定の温度以下となる状態が維持されると共に、冷却風が冷却風供給用孔45を介して各ヒータランプ10および反射板15に供給され、当該冷却風が各々のヒータランプ10の発光管の壁面に沿って流過されると共に反射板15に吹き付けられることにより各ヒータランプ10および反射板15が冷却される。
例えば、本発明の光加熱装置の用途は、例えばペットボトル成形用のプリフォーム品(PET樹脂)の加熱処理に限定されるものではなく、例えば液晶ガラス用の平板状の硼珪酸ガラスやアクリル板などの加熱処理を行う場合にも適用することができる。
また、ヒータランプの数および隣接するヒータランプ間の離間距離などの構成は、目的に応じて適宜に変更することができる。例えばヒータランプの数は一であってもよい。
さらに、以上においては、光照射方向に対してヒータランプの後方側に反射板が配置された構成のものについて説明したが、反射板を用いずに、例えば光照射方向の後方側に位置される発光管の外表面に直接的に金属やセラミックなどの反射コート膜(白半面コート)を形成することにより、ヒータランプから放射される光を照射する構成とされていてもよく、さらに、反射コート膜を形成したヒータランプと反射板とが組み合わせられた構成とされていてもよい。
当該空間Sを形成する扁平な面方向に伸びる壁62は、冷却体導入用空間Cを構成する、扁平な面方向に伸びる壁61、63と互いに略平行に伸びる、均一な厚みを有する平板状のものとされている。
このような構成の遠赤外線吸収部材60を備えてなる光加熱装置によれば、図2に示す光加熱装置と実用上同様の効果を得ることができ、しかも、光照射方向に対して冷却体導入用空間Cの後方側に形成された空間Sの作用により、遠赤外線吸収部材60を一層高い効率で冷却することができ、遠赤外線吸収部材60からの遠赤外線の二次輻射が生ずることを一層確実に防止することができる。すなわち、ヒータランプ10から放射される遠赤外線が吸収されることによって高温となる部分が空間Sを形成する壁62であるので、被加熱対象物側に位置される壁63は、冷却体によって所定の温度以下となる状態に維持することが容易となり、また、空間Sを形成する壁62が高温となって遠赤外線が放射された場合であっても、当該遠赤外線を冷却体導入用空間Cを形成する壁61、63によって吸収することができる。
11 反射板
12 冷却風流通孔
15 反射板
16 排気口
20 遠赤外線吸収部材
30 遠赤外線吸収部材
31、36 壁
32、37 周壁
33 冷却体導入管
38 冷却体排出管
C 冷却体導入用空間
40 遠赤外線吸収部材
41、46 壁
42、47 周壁
43 冷却風導入管
45 冷却風供給用孔
50 遠赤外線吸収部材
51 スリット
60 遠赤外線吸収部材
61、62、63 壁
65 冷却体導入管
66 冷却体排出管
S 空間
70 ハロゲンランプ
71 反射板
72 冷却風流通孔
P プリフォーム品
Pa 外面部分
Pb 内面部分
Claims (2)
- 少なくとも一以上のヒータランプと、このヒータランプから放射される光を反射して加熱処理されるべき被加熱対象物に照射する反射部材とを備えてなる光加熱装置において、 近赤外線を主に透過すると共に波長4.5μm以上の遠赤外線を主に吸収する遠赤外線吸収部材が、光照射方向に対してヒータランプの前方側の位置に配置されており、
ヒータランプから放射される放射光および反射部材からの反射光が遠赤外線吸収部材を介して被加熱対象物に照射され、
前記遠赤外線吸収部材は、ヒータランプと対向して配置される、互いに略平行に扁平な面方向に伸びる2つの平板状の壁と周壁とを有し、当該2つの平板状の壁と周壁とによって当該遠赤外線吸収部材に内部空間が形成されており、
前記遠赤外線吸収部材の周壁には、冷却風を内部空間内に導入するための開口部が少なくとも1箇所形成されていると共に、光照射方向に対して後方側に位置される平板状の壁に、内部空間に導入された冷却風をヒータランプに供給するための複数の冷却風供給用開口が形成されていることを特徴とする光加熱装置。 - 複数の冷却風供給用開口は、前記ヒータランプの配置位置に対応して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光加熱装置。
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