JP4696526B2 - コイル挿入装置およびコイル挿入方法 - Google Patents

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Description

本発明は、モータなどにおけるステータコアのスロットにコイルを挿入するためのコイル挿入装置およびコイル挿入方法に関する。
従来ステータコアの内周部に形成されたスロットにコイルを挿入する作業は、例えば下記特許文献1,2に記載されてるような装置を用いて行われる。すなわち、モータにおける円筒状に形成されたステータコアの内周面には、軸方向に沿って延びる内歯が円周方向等間隔に設けられ、この内歯の相互間にはコイルを挿入するスロットが形成されている。
コイル挿入装置は、内歯に対応する位置にてコイルを保持する複数のブレードが環状に配置されるとともに、ステータコア内に挿入してコイルを押圧するストリッパが移動可能に設けられている。ストリッパは、外周部に、ブレード相互間を移動しつつコイルを押圧してスロット内に押し込む押圧突起を円周方向等間隔に複数備えている。
上記の構成において、コイルを所定のブレード相互間に挿入してブレードに保持させた後、ステータコアを、ブレードが内歯に対向する位置となるようコイル挿入装置にセットする。この状態で、ストリッパを、ステータコア内に向けて移動させると、コイルは、ストリッパの押圧突起に押圧されてブレード相互間にガイドされつつ移動してスロット内に入り込む。
特開昭60−74949号公報 特開2000−83356号公報
ところで、コイル挿入作業時にコイルを保持するブレードは、その基端部をブレードホルダに取り付け、それより先端側は、ストリッパなどにより支えられている。このようなブレードは、コイル挿入中に外側部分がステータコアの内歯にも接触するが、ステータコアとの間の隙間は大きく、またコイル挿入抵抗を受けてステータコアの変形も発生するので、充分な支えになっていない。
このため、上記したブレードは、コイル挿入中に、その先端側がコイル挿入抵抗を受けてステータコアの内歯に接触する方向に変形し、この結果互いに隣接するブレード相互間の隙間寸法が変化して、この隙間に位置するコイルが傷付いたり、コイルの移動が阻止されて挿入作業ができなくなるという不具合が発生する。
そこで、本発明は、コイル挿入中のブレードの変形を防止することを目的としている。
本発明は、円筒状のステータコアの内歯に対向して円周方向に沿って複数配置されるブレードと、前記ステータコア内に侵入可能で、前記ブレードに保持させたコイルを、外周部に設けた押圧突起で押圧して前記ステータコアの内歯相互間に形成されるスロットに挿入するストリッパとを有するコイル挿入装置において、前記ブレードと前記ストリッパとの間に、前記ブレードの前記ステータコア外周側への変形を抑える変形抑止部を設け、この変形抑止部を、前記ブレードに設けられてステータコア中心側に向けて突出する凸部と、前記ストリッパに設けた凹部とが、前記ステータコアの軸線方向に沿って相対移動可能に嵌合する嵌合部で構成し、この嵌合部は、前記凸部が、ステータコア中心側に向けて突出する首部と、首部の先端から両側に突出する突出部とをそれぞれ有する一方、前記凹部が、前記首部および突出部にそれぞれ対応して嵌合する首部挿入穴および突出部挿入穴を有するT字形状としたことを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、コイルを保持するブレードと、コイルを押圧してステータコアのスロットに挿入するストリッパとの間に、ブレードのステータコア外周側への変形を抑える変形抑止部を設けたので、コイル挿入中に、ブレードの先端側がコイル挿入抵抗を受けてステータコアの内歯に接触する方向に力を受けても、変形抑止部がブレードの変形を抑え、これにより、互いに隣接するブレード相互間の隙間寸法を所望に確保でき、この隙間に位置するコイルの傷付きや、コイルの移動阻止を回避して、コイル挿入作業を効率よく行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示すコイル挿入装置の断面図で、円筒状のステータコア1のスロット3にコイル5を挿入している状態を示す。ステータコア1は、図2にその一部を平面断面図として示すように、スロット3を円周方向に沿って等間隔に複数備えるとともに、このスロット3相互間に内歯7を備えている。コイル挿入装置は、コイル挿入時に内歯7に対向するブレード9(9A,9B)を円周方向に沿って複数備えている。
ここでは、ブレード9Aを、4つの内歯7に対向して配置されるよう円周方向に沿って長く形成し、ブレード9Bを、1つの内歯7に対向して配置されるようブレード9Aより小さく形成する。これら各ブレード9A,9Bを円周方向に沿って交互に配置する。
そして、ここでのコイル5は、その挿入前に、ブレード9Aの両側、つまりブレード9Aとブレード9Bとの間の隙間に入り込ませてセットする。したがって、本コイル挿入装置は、1度のコイル挿入作業で、コイル5をすべてのスロット3に挿入するわけではなく、一つのブレード9Aの円周方向両端部に対応する二つのスロット3にのみコイル5を挿入する。このとき、コイル5は、図1に示すように、図1中で上端部側の一方の端部5aがブレード9の内側に位置し、同下端部側の他方の端部5bがブレード9の外側に位置することになる。
前記したスロット3には、コイル挿入前にあらかじめ絶縁紙11を周囲三方の内壁に密着するようセットし、コイル挿入時には、挿入したコイル5のスロット開口側を塞ぐウェッジ13の挿入作業も、本コイル挿入装置によって連続して行う。なお、図2は、ウェッジ13を挿入した後の状態を示しており、このときコイル5もスロット3にすでに挿入されているが、ここではコイル5を省略している。
前記したブレード9は、図1に示すように、その基端部(図1中で下端部)を本コイル挿入装置のハウジング17内に設けてあるブレードホルダ15に固定する。ブレードホルダ15の中心部には、ロッド19を、図示しない油圧シリンダなどの駆動手段によって図1中で上下動可能に設けている。
上記したロッド19の先端部(図1中で上端部)には、全体としてほぼ円盤状のストリッパ21をボルト23によって固定し、ストリッパ21はロッド19と一体となって図1中で上下方向に移動する。このストリッパ21は、ブレード9の内側に位置し、互いに隣接するブレード9相互間の隙間に入り込む押圧突起24を、外周部に複数備えている。この押圧突起24が、上記隙間にセットしたコイル5を、ストリッパ21の図1中での上昇移動により押圧してスロット3に挿入する。
ストリッパ21の上記した押圧突起24相互間の外周部とブレード9(9A,9B)との間には、変形抑止部としてのT字形状の嵌合部25を設けている。嵌合部25は、ブレード9(9A,9B)のステータコア周方向中央部に設けた凸部27と、凸部27に対しステータコア1の軸線方向(図2中で紙面に直交する方向)に沿って移動可能に嵌合する凹部29とから構成している。
凸部27は、図3(a)にブレード9(9A)を単体で示すように、ステータコア中心側に向けて突出する首部27aと、首部27aの先端から両側に突出する突出部27bとをそれぞれ有している。一方凹部29は、図3(b)にストリッパ21の一部を単体で示すように、上記した首部27aおよび突出部27bにそれぞれ対応して嵌合する首部挿入穴29aおよび突出部挿入穴29bを有している。
また、各ブレード9は、図2に示すように、その幅方向両端に、互いに隣接する内歯7相互間の隙間に入り込む両端突起31を備えるとともに、ブレード9Aについては、ブレード9Aに対向する部分の内歯7相互間の隙間に入り込む中央突起33を備えている。中央突起33は、コイル挿入時にブレード9Aのステータコア周方向への移動を規制するもので、両側面がその両側の内歯7にほぼ接触する状態であるが、両端突起31は、内歯7相互間の隙間の中央に入り込むストリッパ24の先端と内歯7とに間に位置している。
図1に示すように、ステータコア1の外部における各ブレード9の外側には、ウェッジガイド35を配置する。ウェッジガイド35は、互いに隣接するウェッジガイド35相互間の決められた位置に、挿入前の前記したウェッジ13を挟持する。
また、上記したウェッジガイド35相互間には、ウェッジプッシャ37を配置する。ウェッジプッシャ37は、ウェッジ13を、コイル5を挿入したスロット5の開口側に向けて押圧して挿入するもので、図示しない駆動手段によって図1中で上下方向に移動する。
次に作用を説明する。ストリッパ21を、図1の状態に対してブレード9の基端側の後退位置へ移動させた状態で、あらかじめ巻かれたコイル5を、ブレード9Aに引っ掛けるようにしてその両側のブレード9Bとの間に保持させる。その後、スロット3内にあらかじめ絶縁紙11を装着したステータコア1を、複数のブレード9の環の外側に嵌め込みつつ、内歯7をブレード9の外面に沿わせてウェッジガイド35の図1中で上端部に当接する位置まで移動させ、この位置にて図示しないステータコア位置決め装置によりステータコア1を固定する。
続いて、駆動手段によりロッド19を前進方向に作動させ、ストリッパ21をブレード9の環内にてステータコア1内に進出させ、ブレード9に保持させているコイル5を、押圧突起24で押圧しつつステータコア1のスロット3内の絶縁紙11内に挿入する。これと同時に、駆動手段によってウェッジプッシャ37を進出させ、ウェッジガイド35相互間に挟持されているウェッジ13を、絶縁紙11の内部においてスロット3の開口側に押し込む。
上記したコイル5およびウェッジ13の挿入作業過程では、ストリッパ21の凹部29とブレード9の凸部27とが、互いに嵌合した状態を維持している。このため、ブレード9は、コイル挿入中に、その先端側がコイル挿入抵抗を受け、ステータコア1の内歯7に接触する方向に力を受けても、上記した凹部29と凸部27との嵌合によって、ステータコア1側への変形が阻止される。
この結果、互いに隣接するブレード9相互間のコイル5がセットされている隙間寸法の変化を回避し、コイル挿入作業に最適な隙間寸法を維持することができ、この隙間に位置するコイル5の傷付きを防止し、またコイル5の移動もスムーズになされてコイル挿入抵抗も低下し、コイル挿入作業を効率よく行うことができる。
コイル挿入抵抗が低下することから、軸方向(図1中で上下方向)長さのより長いステータコア1に対してコイル挿入作業を行うことができるとともに、スロット3内におけるコイル5の占積率(密度)の高いステータの製造が可能となる。
また、ブレード9の変形を回避することによってステータコア1の変形も回避できるので、スロット3内の容積変化を抑えて上記した占積率を向上させることができる。さらに、ステータコア1の剛性が低い場合であっても、ブレード9の変形を抑えることができるため、安定したコイル挿入作業を行うことができる。
また、ブレード9Aに、ブレード9Aに対向する部分の内歯7相互間の隙間に入り込む中央突起33を設けたので、コイル挿入作業時に、ブレード9Aの円周方向へのずれを防止でき、安定したコイル挿入作業を行うことができる。
図4は、この発明の参考例に係わるブレード90(90A,90B)とストリッパ210との間に設けた変形抑止部としてのあり溝形状の嵌合部250を示す。この嵌合部250は、ストリッパ210にあり溝となる凹部39を設け、この凹部39に嵌合する先広がりの凸部41をブレード90(90A,90B)に設けている。
図5は、本発明の参考例に係わるブレード90(90A,90B)とストリッパ2100との間に設けた変形抑止部としての嵌合部2500を示す。この嵌合部2500は、前記図2に示した実施形態とは逆に、ブレード90(90A,90B)に凹部43を、ストリッパ2100に前記凹部43に嵌合する凸部45をそれぞれ設けている。
本発明の一実施形態を示すコイル挿入装置の断面図である。 図1のコイル挿入装置およびステータコアの一部を示す平面断面図である。 (a)は図2のコイル挿入装置におけるブレードの断面図、(b)は図2のコイル挿入装置におけるストリッパの一部を示す断面図である。 本発明の参考例に係わるコイル挿入装置およびステータコアの一部を示す平面断面図である。 本発明の他の参考例に係わるコイル挿入装置およびステータコアの一部を示す平面断面図である。
符号の説明
1 ステータコア
3 ステータコアのスロット
5 コイル
7 ステータコアの内歯
9(9A,9B) ブレード
21 ストリッパ
24 ストリッパの押圧突起
25,250,2500 嵌合部(変形抑止部)
27,41,45 凸部
29,39,43 凹部
33 ブレードの中央突起(ブレードの移動を規制する突起)

Claims (3)

  1. 円筒状のステータコアの内歯に対向して円周方向に沿って複数配置されるブレードと、前記ステータコア内に侵入可能で、前記ブレードに保持させたコイルを、外周部に設けた押圧突起で押圧して前記ステータコアの内歯相互間に形成されるスロットに挿入するストリッパとを有するコイル挿入装置において、前記ブレードと前記ストリッパとの間に、前記ブレードの前記ステータコア外周側への変形を抑える変形抑止部を設け、この変形抑止部を、前記ブレードに設けられてステータコア中心側に向けて突出する凸部と、前記ストリッパに設けた凹部とが、前記ステータコアの軸線方向に沿って相対移動可能に嵌合する嵌合部で構成し、この嵌合部は、前記凸部が、ステータコア中心側に向けて突出する首部と、首部の先端から両側に突出する突出部とをそれぞれ有する一方、前記凹部が、前記首部および突出部にそれぞれ対応して嵌合する首部挿入穴および突出部挿入穴を有するT字形状としたことを特徴とするコイル挿入装置。
  2. 前記ブレードを、前記ステータコアの互いに隣接する複数の内歯にそれぞれ対向するよう形成し、このブレードに、前記互いに隣接する内歯相互間の前記スロットの入口部に入り込んで前記ステータコア周方向への前記ブレードの移動を規制する突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載のコイル挿入装置。
  3. 円筒状のステータコアの内歯に対向して円周方向に沿って複数配置されるブレードを備え、前記ステータコア内に侵入可能なストリッパが、前記ブレードに保持させたコイルを、外周部に設けた押圧突起で押圧して前記ステータコアの内歯相互間に形成されるスロットに挿入する際に、前記ブレードと前記ストリッパとの間に設けた変形抑止部により、前記ブレードの前記ステータコア外周側への変形を抑えるコイル挿入方法であって、前記変形抑止部は、前記ブレードに設けられてステータコア中心側に向けて突出する凸部が、前記ストリッパに設けた凹部に、前記ステータコアの軸線方向に沿って相対移動可能に嵌合するT字形状の嵌合部であり、この嵌合部は、前記凸部のステータコア中心側に向けて突出する首部が、前記凹部の首部挿入穴に嵌合し、前記首部の先端から両側に突出する突出部が、前記凹部の突出部挿入穴に嵌合することで、前記ブレードの前記ステータコア外周側への変形を抑えることを特徴とするコイル挿入方法。
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