JP4696197B2 - カソードルミネッセンス検出装置 - Google Patents
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Description
カソードルミネッセンス(CL)は、試料に電子銃からの電子ビームを照射したとき試料から放出される光で、カソードルミネッセンス検出装置は、主に、(1)電子ビーム照射系、(2)真空容器、(3)真空排気系、(4)試料を保持するためのステージ、(5)試料から放出されたカソードルミネッセンスを集光するための集光光学系、(6)集光された光を分光器へ転送する為の光転送系、(7)転送された光を分光するための分光系、(8)分光された光を検出するための検出系、(9)検出された信号を分析するための分析系から構成され、分光された光の波長に対する光の強度分布であるスペクトルもしくは電子ビームを走引させながらCLを取得することで画像(例えばCLマッピング)として視覚化し分析する装置である。
一般に電子ビーム源には、二次元走査性の良さから市販の電子顕微鏡装置が利用される。このことから必然的に、電子銃からの電子ビーム電流及び加速電圧は、電子顕微鏡装置の性能に依存し限定されることになり、CLの発光点は、典型的に10-14cm-3程度と非常に小さくなり微弱であることが多い。そのため、いかにして微弱な発光を最大限捕らえるかが、カソードルミネッセンス装置の分析能力及び精度を決定する要素の一となる。同時にその集光光学系は、試料から放出された発光を集光し、光転送系へ集光された光を転送する役割も担う。
型光学 系、(Y01)中央部に光通過孔が形成された凹面鏡、(Y02)前記凹面鏡に対向する凸面を有し、前記光通過孔を通過した光束である孔通過光束の通路に配置された凸レンズ、(Y03)可視光を透過させるが赤外光を反射するように前記凸面に形成された光反射膜、(Y04)前記孔通過光束のうち、前記光反射膜で反射しさらに前記凹面鏡で反射した赤外光を前記凸レンズの前記凸面とは反対側で且つ前記孔通過光束の中心線上の赤外光収束位置に収束させる前記凹面鏡(特許文献1)や光放射手段と、該光放射手段からの光が照射された試料からの反射光の電界強度の時系列信号を検出する検出手段と、
試料を保持する試料保持部と、前記光放射手段側からの光を試料へ導光すると共に前記照射による試料からの反射光を前記検出手段側へ導光する試料部入出射光学 系と、を備えた時系列変換パルス分光計測装置において、前記試料部入出射光学 系は、前記試料の試料面に垂直な光軸に対して180°回転対称な光学 配置を有し、かつ、前記光放射手段側から前記試料部入出射光学 系への入射光束及び前記試料部入出射光学 系から前記検出手段側への出射光束について光学 的整合を有することを特徴とする時系列変換パルス分光計測装置において、前記試料部入出射光学 系は、光路上の前記試料の前後においてカセグレン 型の光学 配置を有する光学 系を含むことを特徴とする時系列変換パルス分光計測装置。(特許文献2)などが知られている。
しかし、カソードルミネッセンス装置において、集光光学系を構成する集光ミラーに色収差と球面収差を同時に補正可能なカセグレン式光学配置を導入すれば、飛躍的な性能向上につながることについては、知られていなかった。
本発明の目的は、現在のカソードルミネッセンス装置で使用されている集光光学系の検討により、従来の水準よりもさらに1桁から2桁以上の超高感度検出可能なカソードルミネッセンス装置を提供する。
すなわち、本発明は、
(1)電子ビーム照射系、(2)真空容器、(3)真空排気系、(4)試料を保持するためのステージ、(5)試料から放出されたカソードルミネッセンスを集光するための集光光学系、(6)集光された光を分光器に転送するための光転送系、(7)転送された光を分光するための分光系、(8)分光された光を検出するための検出系、(9)検出された信号を分析するための分析系から構成するカソードルミネッセンス検出装置において、(5)中央に穴の開いた放物面の主鏡を有し、前記主鏡で反射した光を鏡筒前面にある凸面の副鏡でさらに反射させて主鏡の穴を通し、集光光学系を構成する集光ミラーに色収差と球面収差を同時に補正できるカセグレン式光学装置とし、電子ビームを試料に照射しながら、結像された光は、次にベンダー用ミラーにより90°方向へまげられ、照明光の逆の経路をたどり真空装置の光学窓を通し真空外の環境へ転送されるようにし、電子ビーム照射領域からのカソードルミネッセンス取得と同時に試料の高倍率の光学顕微鏡像をリアルタイムで取得すると共に、照明系の光源からの白色光をハーフミラーと波長選択ミラーを経由し試料を照明し、光学窓にはあらかじめ照明光の入射に対する散乱光の戻りを防ぐために傾斜させた、ことを特徴とするカソードルミネッセンス検出装置である。
また、本発明において、(9)検出された信号を分析するための分析系からの信号に基づき、画像としての視覚化することができる。
さらに、本発明において、集光ミラーのミラーが、xyzステージと連動して、ミラーの位置を調整することができる。
また、本発明において、反射対物部及びベンダー用ミラー保持部により保持された反射対物部とベンダー用ミラーから構成される集光ミラーが、電子銃と試料の間の電子ビーム軸上に設置することができる。
さらに、本発明においては、本発明の光学系が、カセグレン式光学装置による集光ミラーを備えた反射対物部、ベンダー用ミラー、反射対物部及びベンダー用ミラー保持部、集光ミラー位置調整用xyzステージ、波長選択ミラー、イメージインテンシファイアー付きCCDカメラ、照明系、フォーカス用レンズから構成することができる。
図3に示すように、反射対物部及びベンダー用ミラー保持部により保持された反射対物部とベンダー用ミラーは、電子銃と試料の間の電子ビーム軸上に設置される。
設置された集光ミラーは、最大集光効率が得られる集光ミラーの焦点位置へ試料が配置されるように距離を調整する必要がある。ここで、ミラー位置を調整するxyzステージは、真空容器の真空を破ることなく、真空容器の外に設置されたマニュピュレータにより操作する。
まず、照明系の光源からの白色光をハーフミラと波長選択ミラーを経由し試料を照明する(ケーラー照明)。ここでは、波長選択ミラーに可視光領域を選択的に反射するミラーを導入する。試料へ入射された白色光は明視野照明され試料表面で反射された光は、反射対物部を構成する中央に穴の開いた放物面の主鏡の反射鏡で受け、そこで反射した光を鏡筒前面にある凸面の副鏡でさらに反射させて主鏡の穴を通し色収差と球面収差が補正される。つまり結像された光は、次にベンダー用ミラーにより90°方向へまげられ、照明光の逆の経路をたどり真空装置の光学窓を通し真空外の環境へ転送される。この時、光学窓にはあらかじめ照明光の入射に対する散乱光の戻りを防ぐために傾斜させる。
図4は、反射対物部により結像された光学顕微鏡像を示す。結像倍率は54倍で、観測視野領域は200マイクロメートル×200マイクロメートルである。また、観察分解能は1マイクロメートルである。図4(a)は調整前で、図4(b)は調整後のダイヤモンド薄膜表面のモニター像を示す。図に示すとおり、ジャストフォーカスされた反射対物部によって形成された像はダイヤモンド薄膜表面に形成されたマクロバンチング形態をCCDカメラによって確実に転送されていることがわかる。従って、この状態における観測面上に電子ビームを照射させることによって、発光する試料からの微弱なカソードルミネッセンスは、確実に検出系へ転送することができ、さらに再現性良く定量的なカソードルミネッセンス信号を検出することを可能にする。カソードルミネッセンススペクトルを検出するためには、CCDカメラへ転送されている光を分光系へ転送する必要がある。これは、波長選択ミラーを引き抜き、フォーカス用レンズ方向へ光を直進させることで可能にする。
ジャストフォーカスされた本光集光学系の性能を確認するために、同一装置、同一測定条件のもと集光光学系のみの変更により、現在主流の楕円面ミラーと本集光ミラーとの比較実験を行った。
図6は、図5の信号強度100カウント/秒以下のスペクトルを示す。図6(a)の従来光集光光学系と比較し、図6(b)の本光集光系で観測したスペクトルは、約5倍の検出信号強度の増加だけでなく、S/N比が一桁改善され、結果的に50倍の集光能力の改善によって良好なスペクトルが得られていることがわかる。これによって、従来光集光光学系では困難であった50カウント/秒以下の微弱な信号に対し高い検出能力を示し、従来の光集光系を使用した場合では知ることができなかった新たな発光ピークの検出に成功している。このような測定は、本発明の光集光方法及びその調整方法によらない限り達成不可能なもので、画期的な結果である。実際、図7に示すとおり、ジャストフォーカスの状態からわずか10マイクロメートル反射対物部を上下にずらしたところ、その検出信号強度は約1/2となり、サブマイクロ及びマイクロメータレベルでの調整の有効性を示す。
図8は、図5で示した235nmのフリーエキシトン再結合発光の空間的な発光イメージを示す。ここでは、波長選択ミラーに235nmの光のみを反射させるミラーを使用する。図では、写真の中心が反射対物部の集光ミラーの中心を示す。電子銃から放出される電子ビームは、照射位置および照射エリアなどを静電偏向器および電子レンズによって制御できるため、光学顕微鏡による観測エリアと電子ビームの照射エリアの組み合わせにより、従来のカソードルミネッセンス装置には無い新たな観測方法の提案も可能にする。具体的には、この観測視野範囲の所望の場所へ電子ビームを照射し、その電子ビーム照射のタイミングと画像取得のタイミングを同期させることで、波長分解されたCL画像のS/N比を向上させることが可能であり、さらにその画像取得タイミングをコントロールすることで、発光プロセスの動的な振る舞いをリアルタイムで視覚化し観測することが可能になる。このように、本発明によれば、従来のカソードルミネッセンス装置では得られない情報を与え、半導体材料評価のみにとどまらず、多様な分野でカソードルミネッセンス法の応用の可能性を大いに広げることに多大の貢献をするものと期待される。
Claims (5)
- (1)電子ビーム照射系、(2)真空容器、(3)真空排気系、(4)試料を保持するためのステージ、(5)試料から放出されたカソードルミネッセンスを集光するための集光光学系、(6)集光された光を分光器に転送するための光転送系、(7)転送された光を分光するための分光系、(8)分光された光を検出するための検出系、(9)検出された信号を分析するための分析系から構成するカソードルミネッセンス検出装置において、(5)中央に穴の開いた放物面の主鏡を有し、前記主鏡で反射した光を鏡筒前面にある凸面の副鏡でさらに反射させて主鏡の穴を通し、集光光学系を構成する集光ミラーに色収差と球面収差を同時に補正できるカセグレン式光学装置とし、電子ビームを試料に照射しながら、結像された光は、次にベンダー用ミラーにより90°方向へまげられ、照明光の逆の経路をたどり真空装置の光学窓を通し真空外の環境へ転送されるようにし、電子ビーム照射領域からのカソードルミネッセンス取得と同時に試料の高倍率の光学顕微鏡像をリアルタイムで取得すると共に、照明系の光源からの白色光をハーフミラーと波長選択ミラーを経由し試料を照明し、光学窓にはあらかじめ照明光の入射に対する散乱光の戻りを防ぐために傾斜させた、ことを特徴とするカソードルミネッセンス検出装置。
- (9)検出された信号を分析するための分析系からの信号に基づき、画像としての視覚化する請求項1に記載したカソードルミネッセンス検出装置。
- 集光ミラーのミラーが、xyzステージと連動して、ミラーの位置を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載したカソードルミネッセンス検出装置。
- 反射対物部及びベンダー用ミラー保持部により保持された反射対物部とベンダー用ミラーから構成される集光ミラーが、電子銃と試料の間の電子ビーム軸上に設置されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載されたカソードルミネッセンス検出装置。
- 本発明の光学系が、カセグレン式光学装置による集光ミラーを備えた反射対物部、ベンダー用ミラー、反射対物部及びベンダー用ミラー保持部、集光ミラー位置調整用xyzステージ、波長選択ミラー、イメージインテンシファイアー付きCCDカメラ、照明系、フォーカス用レンズから構成される請求項1に記載したカソードルミネッセンス検出装置。
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