JP4696058B2 - 層状掃気エンジン用2ボアロータリ気化器のロータ内形状 - Google Patents
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Description
この公知技術では、気化器は同一軸ロータに2つの円孔形状ボアを持っており、アイドル時に燃料供給側ボアを先に開かすため、空気供給側ボアのロータ外径を大きくし2段形状のロータ構成になっているものである。
空気先導式層状掃気2サイクルエンジンにおいては、同一のボア内に仕切壁を持つ構造の気化器は構造が簡単で、気化器の高さを最小にできるため気化器を小型にでき、エンジンも小型に設計できるメリットがある。
しかしながら、同一のボアに仕切壁を設けただけではロータリ気化器の空燃比制御の構造上、アイドル開度ではロータが下方に変位するため、空気供給側のボアが先に開き、燃料供給側のボアが後から開く構造となってしまうため、少ない空気量でのアイドル空燃比の維持が難しい。
また、燃料供給側のボア形状を対称に大きくするとアイドル時に燃料供給側のボアを先に開かせることは可能だが、パーシャル時の空気供給側のボアの開き始めに空燃比が大きく変化するため適正な空燃比を得るために燃料制御が難しい。
また、前記溝ポケットは、前記開口縁に中心軸に対して対称状に形成され、前記ロータ弁の周面に沿って加速回転方向側へ徐々に上向きとなり、且つ断面積が減少する形状となっているものである。
また、前記溝ポケットは、前記開口縁に中心軸に対して対称状に形成され、前記ロータ弁の周面に沿って加速回転方向側へ徐々に上向きとなり、且つ断面積が減少する形状となっているものである。
本発明の層状掃気エンジン用2ボアロータリ気化器のロータ内形状は、前記溝ポケットが、前記開口縁に対称状に形成され、前記ロータ弁の周面に沿って加速回転方向側へ徐々に上向きとなり、且つ断面積が減少する形状となっているので、アイドルからパーシャル時に空気供給側ボアが開き始める際の空気量変化を緩和できるためパーシャル開度での空燃比制御が容易となる。(CO%の変化を最小にできる。)
本発明の層状掃気エンジン用2ボアロータリ気化器のロータ内形状は、アイドル時には燃料供給側ボアの溝ポケットの凹みが中心のノズル部の上下流側にあり、全開時には空気の伸縮をノズル部に与えないため、全開空燃比の安定を阻害せず、安定した燃料制御が可能となる。
図1は、本発明の層状掃気エンジン用2ボアロータリ気化器の一実施例の正面図であり、1は気化器本体、2は前記気化器本体1に貫通形成したエア通路、3は前記気化器本体1に貫通形成したミックス通路、4は前記エア通路2と前記ミックス通路3を分離する前記気化器本体1に形成した仕切壁である。
図2の図1A−A断面図に示すように、気化器本体1には、水平方向に横断して断面形状が上方に半円状のエア通路2及び断面形状が下方に半円状のミックス通路3を上下に、すなわちエア通路2の下方にミックス通路3が設けられ、そして両者は仕切壁4によって互いに分離された一つの円筒状の共通円孔に形成されている。
前記エア通路2と前記ミックス通路3の図2左方端は上流側のエアクリーナに接続されており、前記エア通路2と前記ミックス通路3の図2右方端は下流側のエンジン側インシュレータを介して吸気通路及び掃気通路へ接続されている。
なお、必ずしも前記空気供給側ボア7を前記燃料供給側ボア8より大きい開口面積とする必要はない。
前記エア通路2及び前記ミックス通路3並びに空気供給側ボア7及び前記燃料供給側ボア8は略同一の断面形状に形成され、両者はそれぞれ仕切壁4,9によって互いに一致した一つの円筒状の共通円孔に形成されている。
なお、この共通円孔の配置は、後述の他の実施例の断面形状が円形状のエア通路及び断面形状が円形状のミックス通路が上下並列に配置された配置と比較して垂直距離が減少させられる事から、気化器の小型化に貢献している。
図4の気化器ロータ弁の正面図に示すように、前記燃料供給側ボア8には、前記ロータ弁6の加速回転方向側の上流端及び下流端の開口縁に前記燃料供給側ボア8に連通する溝ポケット10をそれぞれ形成する。
なお、図4においては上流端の開口縁の溝ポケット10のみを示しており、下流端の開口縁の溝ポケット10は中心軸に対して対称的に形成される。
図5に示すように、前記溝ポケット10は前記ロータ弁6の周面に沿って加速回転方向側へ徐々に上向きとなり、且つ断面積が減少する形状となっている。
したがって、前記ロータ弁6の水平回転時に、最初に前記溝ポケット10が前記ミックス通路3と重なり合い、前記燃料供給側ボア8と前記ミックス通路3が連通し、空気供給側ボア7より先に前記燃料供給側ボア8が開口する構造となっている。
図7の気化器の平面図に示すように、前記ロータカバー12から突出されたスロットルシャフト11の終端にはスロットルレバー13が取り付けられている。
したがって、前記スロットルレバー13にネジ止めされた図示しないスロットルケーブルワイヤーの引張により、前記ロータ弁6はスロットルレバー13の回転によりスロットルシャフト11を中心として水平回転され、前記気化器本体1及び前記スロットルレバー13との間に設けられているカム機構14によって、前記スロットルレバー13及び前記ロータ弁6は徐々に持ち上げられながら約90°水平回転される。
すなわち、前記ロータ弁6は0°の停止時に空気供給側ボア7及び燃料供給側ボア8がエア通路2及びミックス通路3と直交して両通路2,3を塞ぎ、アイドル約15°水平回転の時に溝ポケット10のみがミックス通路3と連通し、パーシャル約15°〜90°水平回転の時に空気供給側ボア7及び燃料供給側ボア8とエア通路2及びミックス通路3と比例して開口し、全開90°の時に空気供給側ボア7及び燃料供給側ボア8とエア通路2及びミックス通路3が直列に完全に一致する。
前記空気供給側ボア7と燃料供給側ボア8は上昇中に仕切壁9により停止0°、アイドル約15°から全開約90°まで互いに完全に仕切られている構造である。
前記ロータ弁6は前記ロータカバー12及び前記ロータ弁6の端部に取り付けられたスロットルリターンスプリング16をねじりながら水平に回転させられる。
図8の気化器の一部断面図に示すように、前記気化器本体1にはロータカバー12とは反対側の底面にメタリングダイヤフラム17によってベント穴から大気開放された空気チャンバ18から隔離されたメタリングチャンバ19が配設される。
そして、メタリングチャンバ19からの燃料は、前記燃料供給側ボア8の中に設けられるメインノズル20から流出する。
前記メタリングチャンバ19からの燃料気流は、前記ロータ弁6が前記カム機構14の水平回転により上昇・下降する構造により、前記メインノズル20に挿入された燃料調節するニードル15により、前記メインノズル20側面に形成された逆三角形の穴面積を可変して燃料制御する。
層状掃気式2サイクルエンジンは、クランクケースの上部にシリンダを配設し、シリンダに嵌合するピストンがクランクケースに支持されたクランク軸のクランク腕に連接棒により往復動自在に連結されている。
シリンダの上端壁には燃焼室へ突出する点火栓が装着され、シリンダの周壁にはピストンの下死点付近で開く排気口と掃気口が設けられ、排気口は排気マフラを経て大気に連通し、掃気口はシリンダ壁中に形成された掃気通路を経てクランクケース内のクランクチャンバへ連通している。
気化器からの混合気を吸気する吸気通路の終端を接続する吸気口がクランクケースに設けられ、前記吸気口に前記クランクチャンバへの混合気の流れを許す逆止弁を設ける。
前記シリンダの燃焼室とクランクチャンバとを連通する掃気通路の掃気口に近接する部分に気化器からの空気を送気する空気通路の終端を接続し、該空気通路に前記掃気通路への空気の流れを許す逆止弁を設ける。
前記吸気通路及び前記空気通路は気化器本体、空気清浄器を経て大気に連通される。
エンジンは、ピストンの上昇時クランク室が負圧になると、気化器で生成された混合気が吸気口を経てクランク室へ吸引される。同時に空気が空気通路から逆止弁を経て掃気通路又は掃気口に近接する部分へ吸引される。混合気の爆発によりピストンが下降すると、ピストンの下死点付近で排気口が開き、クランク室の正圧によりまず掃気通路の空気がシリンダの内部へ噴出され、次いでクランク室の混合気がシリンダの内部へ噴出される。この場合に、排気口が開いている間に、掃気口からシリンダの内部へ当初噴出する空気が排気口へ流れ、空気に続いて混合気が排気口へ流れるまでに排気口は閉じるようになっている。
図9(a)の気化器アイドリング状態の正面図に示すように、アイドル約15°水平回転の時に溝ポケット10のみがミックス通路3と連通し、図9(b)の気化器アイドリング状態の断面図に示すように、空気供給側ボア7及び燃料供給側ボア8がエア通路2及びミックス通路3とほぼ直交して塞いで、図10の(a)空気供給側ボア及び(b)燃料供給側ボアの横断面図に示すように、前記溝ポケット10が前記ミックス通路3と重なり合い、前記燃料供給側ボア8と前記ミックス通路3が連通し、空気供給側ボア7より先に前記燃料供給側ボア8が開口する。
そして、図11(a)の気化器パーシャル状態の正面図に示すように、パーシャル約15°〜90°水平回転の時に空気供給側ボア7及び燃料供給側ボア8とエア通路2及びミックス通路3とが比例して開口し、図11(b)の気化器パーシャル状態の断面図に示すように、空気供給側ボア7及び燃料供給側ボア8とエア通路2及びミックス通路3とが比例して重なり合い、図12の(a)空気供給側ボア及び(b)燃料供給側ボアの横断面図に示すように、前記ロータ弁6の水平回転により空気量及び混合気量は重なり合う角度にしたがって増加する。
同時に、前記ロータカバー12及び前記スロットルレバー13との間に挟まれているカム機構14によって、前記スロットルレバー13及び前記ロータ弁6は徐々に持ち上げられ、したがってニードル15のメインノズル20への挿入深さは減少されるために、燃料の流量比を増加する。
同時に、前記燃料供給側ボア8及び前記ミックス通路8は互いに完全に重なり合い、前記燃料供給側ボア8は全開される。
また、図2に示すように、前記ロータ弁6に形成された空気供給側ボア7及び燃料供給側ボア8の間に形成された仕切壁9は、前記気化器本体1に形成されたエア通路2及びミックス通路3との間に形成された仕切壁4と密封状態で一致するように形成される。
前記エア通路2及び前記ミックス通路3はアイドル開口角度15°からスロットルレバーの全開角度90°へ回転される前記ロータ弁6の空気供給側ボア7及び燃料供給側ボア8に重なり合うように形成されている。
さらに、前記溝ポケット10が、前記開口縁に対称状に形成され、前記ロータ弁6の周面に沿って加速回転方向側へ徐々に上向きとなり、且つ断面積が減少する形状となっているので、アイドルからパーシャル時に空気供給側ボア7が開き始める際の空気量変化を緩和できるためパーシャル開度での空燃比制御が容易となる。(CO%の変化を最小にできる。)
全開時には、燃料供給側ボア8の溝ポケット10の凹みが中心のメインノズル20の上下流にあり、空気の伸縮をメインノズル20に与えないため、全開空燃比の安定を阻害せず、安定した燃料制御が可能となる。
図15(a)のエンジン側フランジ面の正面図、図15(b)のチョーク側フランジ面の背面図、図15(c)のロータ弁の正面図に示すように、エア通路21、ミックス通路22、空気供給側ボア23、燃料供給側ボア24の断面形状が円形となっている以外は、前述した気化器と同一の構造である。
気化器本体1に設けたロータ弁6は、単一の円筒で、前記ロータ弁6には断面形状が円形状の空気供給側ボア23と断面形状が円形状の燃料供給側ボア24が前記ロータ弁6を直径方向に上下並列に横切って貫通形成され、前記エア通路21は前記ミックス通路22より大きい開口面積を有し、前記空気供給側ボア23は及び前記燃料供給側ボア24より大きい開口面積を有する。
前記燃料供給側ボア24には、前記ロータ弁6の加速回転方向側の上流端及び下流端の開口縁に最小限の溝ポケット25をそれぞれ形成しており、前記溝ポケット25は、前記開口縁に中心軸に対して対称状に形成され、前記ロータ弁6の周面に沿って加速回転方向側へ徐々に上向きとなり、且つ断面積が減少する形状となっている。
図15(a)のアイドリング状態の正面図及び図15(b)のアイドリング状態の背面図に示すように、アイドル約15°水平回転の時に溝ポケット25のみがミックス通路22と連通し、前記溝ポケット25が前記ミックス通路22と重なり合い、前記燃料供給側ボア24と前記ミックス通路22が連通し、空気供給側ボア23より先に前記燃料供給側ボア24が開口する。
また、図15(a)のパーシャル状態の正面図及び図15(b)のパーシャル状態の背面図に示すように、パーシャル約15°〜90°水平回転の時に空気供給側ボア23及び燃料供給側ボア24とエア通路21及びミックス通路22とが比例して開口し、空気供給側ボア23及び燃料供給側ボア24とエア通路21及びミックス通路22とが比例して重なり合い、前記ロータ弁6の水平回転により空気量及び混合気量は重なり合う角度にしたがって増加する。
図15(a)の全開状態の正面図及び図15(b)の全開状態の背面図に示すように、エア通路21及び空気供給側ボア23は互いに完全に重なり合い、空気供給側ボア23は全開され、同時に前記燃料供給側ボア24及び前記ミックス通路22は互いに完全に重なり合い、前記燃料供給側ボア24も全開される。
このように、前記ロータ弁6がアイドル状態の時、前記ロータ弁6は先行して溝ポケット25とミックス通路22の部分的に重なり合いにより、すなわち前記燃料供給側ボア24の溝ポケット25が先にミックス通路22と連通することにより前記ミックス通路22は開かれる一方、前記エア通路21は閉じられたままで、したがって、全ての空気と燃料は前記溝ポケット25を介してエンジン側に供給されるため、エマルジョンが比較的高速となりエンジンに供給されるため、アイドル全姿勢変化時の回転落ち込みが改善される。
また、前記溝ポケットが前記開口縁に中心軸に対して対称状に形成され、前記ロータ弁の周面に沿って加速回転方向側へ徐々に上向きとなり、且つ断面積が減少する形状となっているので、燃料供給側ボアが小さくても同径のロータで空燃比を容易に制御できる。
さらに、前記ロータ弁は単一の円筒に形成されるので、段差を付けることなく構造が簡単になり、コストを低減することができる。
2 エア通路
3 ミックス通路
4 仕切壁
5 ロータ弁孔
6 ロータ弁
7 空気供給側ボア
8 燃料供給側ボア
9 仕切壁
10 溝ポケット
11 スロットルシャフト
12 ロータカバー
13 スロットルレバー
14 カム機構
15 ニードル
16 スロットルリターンスプリング
17 メタリングダイヤフラム
18 空気チャンバ
19 メタリングチャンバ
20 メインノズル
21 エア通路
22 ミックス通路
23 空気供給側ボア
24 燃料供給側ボア
25 溝ポケット
Claims (5)
- 気化器本体に垂直に形成された有底円筒のロータ弁孔に嵌合されるロータ弁を設け、前記ロータ弁は前記ロータ弁孔と略同径の単一の円筒で、前記ロータ弁には空気供給側ボアと燃料供給側ボアが前記ロータ弁を直径方向に横切って貫通形成された気化器において、前記燃料供給側ボアには、前記ロータ弁の加速回転方向側の上流端及び下流端の開口縁に溝ポケットをそれぞれ形成することを特徴とする層状掃気エンジン用2ボアロータリ気化器のロータ内形状。
- 気化器本体に垂直に形成された有底円筒のロータ弁孔に嵌合されるロータ弁を設け、前記ロータ弁は前記ロータ弁孔と略同径の単一の円筒で、前記ロータ弁には断面形状が上方に半円状の空気供給側ボアと断面形状が下方に半円状の燃料供給側ボアが前記ロータ弁を直径方向に横切って貫通形成され、前記空気供給側ボアと前記燃料供給側ボアの間には仕切壁を有し、互いに分離された一つの円筒状の共通円孔に形成されている気化器において、前記燃料供給側ボアには、前記ロータ弁の加速回転方向側の上流端及び下流端の開口縁に溝ポケットをそれぞれ形成することを特徴とする請求項1記載の層状掃気エンジン用2ボアロータリ気化器のロータ内形状。
- 前記溝ポケットは、前記開口縁に中心軸に対して対称状に形成され、前記ロータ弁の周面に沿って加速回転方向側へ徐々に上向きとなり、且つ断面積が減少する形状となっていることを特徴とする請求項2記載の層状掃気エンジン用2ボアロータリ気化器のロータ内形状。
- 気化器本体に垂直に形成された有底円筒のロータ弁孔に嵌合されるロータ弁を設け、前記ロータ弁は前記ロータ弁孔と略同径の単一の円筒で、前記ロータ弁には断面形状が円形状の空気供給側ボアと断面形状が円形状の燃料供給側ボアが前記ロータ弁を直径方向に上下並列に横切って貫通形成された気化器において、前記燃料供給側ボアには、前記ロータ弁の加速回転方向側の上流端及び下流端の開口縁に溝ポケットをそれぞれ形成することを特徴とする請求項1記載の層状掃気エンジン用2ボアロータリ気化器のロータ内形状。
- 前記溝ポケットは、前記開口縁に中心軸に対して対称状に形成され、前記ロータ弁の周面に沿って加速回転方向側へ徐々に上向きとなり、且つ断面積が減少する形状となっていることを特徴とする請求項4記載の層状掃気エンジン用2ボアロータリ気化器のロータ内形状。
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