JP4695776B2 - 光電式ロータリーエンコーダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械などに用いられるサーボモータの角度検出用の光電式ロータリーエンコーダ(以下、適宜エンコーダという)に関する。
【従来の技術】
【0002】
エンコーダは、パルス円板と、光源及び、光源からの光を受光する受光部を内蔵したハウジングとが所定の精度で位置合せされて組立てられており、かかる位置合せには、電気的な方式、光学的な方式が存在している。
光学的な方式は、顕微鏡によりパルス円板に施されたパターンと受光部の受光素子との位置関係を調整するもので、精度は良いが、作業が煩雑であるという特徴を有するものである。したがって、特に、高精度な調整をする用途以外には用いられていないのが実情である。
また、電気的な方式の概要は、光源から発生した光がパルス円板のパターンと受光素子との位置関係により受光素子の受光量が変動することから、該受光量を電圧に変換して該電圧を測定することにより、所定の精度で位置合せされていることを確認するもので、所定の位置合せ精度を得ながら作業が比較的簡易であるので、現在の主流となっている。
【0003】
電気的な方式の従来技術を図8によって説明する。図8において、エンコーダ1は、LED等の指向性の高い光源11と、モータの回転軸端(図示せず)に結合されると共に、矩形波を発生させる角度検出パターン15を有するパルス円板13と、光源11から発生した光がパルス円板13を介して受光する受光部17等を有するプリント基板12とを備えている。
【0004】
プリント基板12には、光源11から光を照射することにより電流が流れると共に、略弓形のPN接合から成る受光パターン17aを有する受光部17と、受光パターン17aに流れる電流を電圧に変換せしめるI−V変換器21と、I−V変換器21の電圧信号に基づいてモータ(図示せず)の回転角度を生成する回転角生成器23とを備え、I−V変換器21の出力には、端子t1が接続されている。なお、端子t2が接地されており、光源11及びプリント基板12がハウジング(図示せず)に実装されている。
【0005】
パルス円板13の角度検出パターン15は、幅が一定でリング状をしており、一定の透過面積を有する透過部15aと、一定の反射面積を有する反射部15bとが交互に繰り返されるように形成されている。
【0006】
上記のように構成されたエンコーダ1のパルス円板15とハウジング(図示せず)との組立て調整について図8を参照して説明する。
モータのケース(図示せず)にハウジングを、光源11から発生した光がパルス円板13の角度検出パターン15を介して受光部17の受光パターン17aに受光されるように固定する。
予め、端子t1,t2間にオシロスコープ25を接続しておいて、光源11から光を発生しながら、モータ(図示せず)を駆動してパルス円板13を100〜200(min−1)で回転すると、光源11から発生した光がパルス円板13における角度検出パターン15の透過部15aを通して受光パターン17aに受光し、受光部17に電流が流れ、I−V変換器21が該電流を電圧に変換して端子t1,t2間の電圧をオシロスコープ25によって観察することによりパルス円板13とハウジングとの位置合せの良否を確認する。
なお、上記のようにパルス円板13を回転させるのは、停止したままではパルス円板13と光源11との位置関係により端子t1,t2間の電圧値が変動してパルス円板13とハウジングとの位置合せの良否が確認できないからである。
【0007】
すなわち、パルス円板13における角度検出パターン15と受光部17の受光パターン17aとが所望の位置に一致すると、オシロスコープ25のCRT25aに矩形波電圧Veが観察されるが、上記位置の関係がずれると、点線のように矩形波電圧の振幅の上部がカットされた低い電圧が観察される。したがって、かかる低い矩形波電圧が観察されることによりパルス円板13とハウジングとの位置合せ不良と判断するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような位置合せの良否判断手段では、モータを駆動してパルス円板13を回転させながら組立ての良否を判断するので、ハウジングをモータに完全に固定してから端子t1−t2の電圧をオシロスコープ25で測定しなければならなかった。しかも、パルス円板13とハウジングとの位置ずれの方向が不明であるので、試行錯誤的にパルス円板13とハウジングとの位置関係を調整して、再度、ハウジングをモータに完全に固定してから上記のようにして位置調整をしていたが、作業が煩雑であるという問題点があった。
さらに、位置ずれのマージンを得るために、図9に示すように受光パターン17aの幅Laを角度検出パターン15の透過部15aの幅Lsよりも大きく形成されるのが一般である。このため、受光パターン17a内から角度検出パターン15の透過部15aとが外れなければ、端子t1−t2の電圧が変動しないので、精度の良い位置調整が困難であるという問題点があった。
【0009】
また、光源11からの発光量が光源11を成す半導体素子のバラツキなどによって変動し、受光パターン17aを流れる電流が変動してI−V変換器21の出力電圧、すなわち、端子t1−t2間の電圧がパルス円板13と受光部17との位置ずれ以外の要因でも変動する。したがって、パルス円板13と受光部17との精度の良い位置調整が困難であるという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡易にハウジングとパルス円板との位置関係のずれを精度良く調整可能な光電式ロータリーエンコーダを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段、発明の作用及び効果】
第1の発明に係る光電式ロータリーエンコーダは、光を透過するリング状の透過部を有するパターンを備えると共に、モータの回転軸に固定されるパルス円板と、指向性を有する光を発生する光源と、前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部を介して受光すると共に、前記受光の量に応じた第1の電流を流す第1の受光部と、前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部の一部を介して前記第1の受光部の近傍で、受光すると共に、前記受光の量に応じた第2の電流を流す第2の受光部と、前記モータに固定される締結部材を挿入する僅かな遊びを有する取付け孔を設けたハウジングと、前記第1の電流に基づく第1の値と、前記第2の電流に基づく第2の値との比を演算する演算手段とを備え、前記ハウジングには、前記光源と前記第1及び第2の受光部との間に前記パルス円板が挿入されるように前記光源、前記第1及び第2の受光部を設けた、ことを特徴とするものである。
ここで、前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部を介して受光すると共に、前記受光の量に応じた第1の電流を流す第1の受光部と、における、透過部を介しては、一部の透過部を介する場合も含まれる。
また、前記モータに仮固定から固定される締結部材とは、例えばモータに設けられたネジ孔に螺合するネジ部材が好ましい。
かかるエンコーダによれば、光源から発生した光がパターンの透過部を通過して第1及び第2の受光部で受光されることにより該受光部に流れる電流に基づいた第1、第2の値の比を演算手段が演算する。
したがって、作業者は、ハウジングの取付け孔に締結部材を挿入し、該締結部材によりモータに仮固定すると共に、ハウジングが取付け孔の遊びの範囲で移動できる状態(ハウジングの仮固定)において、演算手段の演算値を確認してハウジングの移動方向を定めながら、ハウジングを僅かに移動して、締結部材をモータに固定する。
このため、ハウジングをモータに仮固定した状態において、ハウジングを僅かに移動してパルス円板との位置関係を正確に調整して、ハウジングをモータに簡易に固定できるという効果がある。
さらに、演算手段が第1、第2の値の比を求めているので、光源の発光強度の変動を受けにくいという効果もある。
なお、例えば回転角度を検出する略リング状の位置検出パターンをパルス円板に備え、光源から発生した光を、前記位置検出パターンを介して受光すると共に、電流を流す受光部としての角度検出パターンを備えていても良い。
【0012】
第2の発明に係る光電式ロータリーエンコーダは、光を透過するリング状の透過部を有するパターンを備えると共に、モータの回転軸に固定されるパルス円板と、指向性を有する光を発生する光源と、前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部を介して受光すると共に、前記受光の量に応じた第1の電流を流す第1の受光部と、前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部の一部を介して前記第1の受光部の近傍で、受光すると共に、前記受光の量に応じた第2の電流を流す第2の受光部と、前記モータに仮固定から固定された締結部材を挿入する僅かな遊びを有する取付け孔を設けたハウジングと、前記第1の受光部に流れる電流を一定になるように前記光源の光出力を一定に制御する光量制御手段と、前記第1の電流に基づく第1の値と、前記第2の電流に基づく第2の値との和又は差を演算する演算手段とを備え、前記ハウジングには、前記光源と前記第1及び第2の受光部との間に前記パルス円板が挿入されるように前記光源、前記第1及び第2の受光部を設けた、ことを特徴とするものである。
ここで、前記モータに仮固定から固定される締結部材とは、例えばモータに設けられたネジ孔に螺合するネジ部材が好ましい。
かかるエンコーダによれば、光源から発生した光がパターンの透過部を通過して第1及び第2の受光部で受光されることにより該受光部に流れる電流に基づいた第1の値と第2の値との和又は差を演算手段が演算する。
作業者は、該演算値を確認しながら、ハウジングの取付け孔に締結部材を挿入し、該締結部材をモータに仮固定すると共に、ハウジングが取付け孔の遊びの範囲で移動できる状態(ハウジングの仮固定)において、演算手段の演算値を確認しながら、ハウジングを僅かに移動して、締結部材をモータに固定する。
したがって、ハウジングをモータに仮固定した状態において、演算手段の演算値を確認しながら、ハウジングを僅かに移動することにより正確にハウジングとパルス円板との位置関係を調整して、ハウジングをモータに固定できるという効果がある。
さらに、演算手段が第1、第2の値の和又は差を求めており、例えば、差を求める演算手段であれば、差動増幅器を用いることができ、和を求める演算手段であれば、加算器を用いることができるので、演算手段が簡易に構成できるという効果がある。
また、光量制御手段を有するので光源の発光強度等の変動を受けにくいという効果もある。
【0013】
第3の発明に係る光電式ロータリーエンコーダは、第1又は第2の発明において、第1の受光部と第2の受光部とが同心円上に並べて設けられている、ことを特徴とするものである。
かかるエンコーダによれば、第1の受光部と第2の受光部との各重心を結ぶ方向、すなわち、パルス円板における半径方向の位置ずれの程度を演算手段により演算して検出できるという効果がある。
【0014】
第4の発明に係る光電式ロータリーエンコーダは、第1から第3の発明の何れかの発明において、第1の受光部と第2の受光部とが同一の円周上に設けられている、ことを特徴とするものである。
かかるエンコーダによれば、第1の受光部と第2の受光部との重心を結ぶ方向、すなわち、パルス円板の半径方向と交差する方向の位置ずれを演算手段により演算して検出できる。
特に、第3の発明を従属すると、パルス円板の半径方向及び、半径方向の交差する方向、両者の位置ずれを検出できるという効果がある。
【0015】
第5の発明に係る光電式ロータリーエンコーダは、第1から第4の発明の何れかの発明において、第2の受光部が光源の側から見てパルス円板の中心から半径方向に向かってパターンの透過部と半分重なっている、ことを特徴とするものである。
ここで、前記半径方向とは、パルス円板の中心から外側に向かう方向をいい、前記重なっているとは、パターンの透過部と第2の受光部とが所定の隙間を有して光源の側から見て重なっていることをいう。
かかるエンコーダによれば、光源の側から見て第2の受光部の半分が半径方向にパターンと重なっているので、ハウジングとパルス円板との位置ずれを正規の位置から振り分けることができる。
したがって、ハウジングとパルス円板との位置ずれの調整が容易であるという効果がある。
【0016】
第6の発明に係る光電式ロータリーエンコーダは、第1、第3、第4の発明の何れかの発明において、第1及び第2の受光部が光源の側から見てパルス円板の中心から半径方向に向かってパターンの透過部と半分重なっている、ことを特徴とするものである。
ここで、前記半径方向、前記重なっているとは、第5の発明と同一である。
かかるエンコーダによれば、光源の側から見て第1及び第2の受光部がパターンの透過部と半径方向に半分重なっているので、ハウジングとパルス円板との位置ずれを正規の位置から振り分けることができると共に、第1の受光部のみに比較して位置ずれの検出精度を向上でき、しかも、ハウジングとパルス円板との位置合せの高精度な調整が容易であるという効果がある。
【0017】
第7の発明に係る光電式ロータリーエンコーダは、第1乃至第6の何れかの発明において、第1及び第2の受光部はPN接合から成るパターンで、同一工程にて製造された、ことを特徴とするものである。
かかるエンコーダによれば、第1及び第2の受光部の受光量対電流特性が同一となるので、第1及び第2の電流に基づく演算値の精度が良くなり、より正確なパルス円板とハウジングとの位置合せができるという効果がある。
【0018】
第8の発明に係る光電式ロータリーエンコーダは、第1乃至第6の何れかの発明において、演算手段の演算値に基づいた表示をする表示手段を備えたことを特徴とするものである。
かかるエンコーダによれば、ハウジングとパルス円板との位置ずれの程度が表示手段に表示されるので、ハウジングとパルス円板の位置合せを視覚により容易に確認できるという効果がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の実施の形態を図1乃至図3によって説明する。図1及び図2は本発明の一実施の形態によるエンコーダの全体構成図、図3は受光部のパターン及びパルス円板のパターンの平面図である。
図1乃至図3において、エンコーダは、モータ30の回転軸30a端に固定されたパルス円板103と、光源101から発生した光を受光部107で受光すると共に、モータ30の回転角度を検出する角度検出部、後述する判断部を有するプリント基板52と、光源101、プリント基板52を固定すると共に、光源101と受光部107との間にパルス円板103を挿入し、側面視で略コ形状のコ部50aを有するハウジング50とを備えている。
【0020】
モータ30には、ハウジング50を固定するための雌ネジ30eが設けられており、ハウジング50には、雌ネジ30eに螺合させる取付けボルト54のネジ部を貫通させる二つの取付け孔50eが穿設されており、取付け孔50eは雌ネジ30eの径に対して僅かな遊び、例えば±30μmの遊びを有している。
【0021】
光源101は、LED又はLD等と光学系とを組み合わせて指向性の高い光を発生するように形成されており、受光部107は1チップICから成り、光源101から発生した光を、パルス円板103を介して受光すると共に、受光量に比例した電流を流すもので、位置検出パターン107a,基準パターン107m,チェックパターン107cを有している。
【0022】
パルス円板103には、光を透過させる透過部105aと光を反射させる反射部105bとが交互に繰り返される角度検出パターン105と、角度検出パターン105と同心円で形成されると共に、リング状の透過部を有するモニターパターン105m(請求項1,2のパターン)を備えている。
位置検出パターン107a,第1の受光部としての基準パターン107m,第2の受光部としてのチェックパターン107cは、光源101からの光を均一に受光できると共に、薄い面状で、略弓形状のPN接合から成るフォトダイオードから成っており、基準パターン107mとチェックパターン107cの受光面積は同一で、例えば幅300μm,長さ800μmで形成されている。
基準パターン107m、チェックパターン107cの受光量対電流特性は誤差を無視できるようにほぼ同一に形成されている。これは、基準パターン107m、チェックパターン107cが同一の工程で製造されると共に、1チップ内に形成されているからである。なお、位置検出パターン107aも同一工程で、1チップ内に形成されている。
基準パターン107m、チェックパターン107cの相互位置関係は、近傍で、同一の中心点からの二つの異なる円周上、すなわち、同心円上に並べて設けられている。これにより基準パターン107mとチェックパターン107cとの重心を結ぶ線の方向(以下、Y方向という。)のパルス円板103とハウジング50との位置ずれを検出できるように構成されている。
なお、上記Y方向と直交するX方向におけるパルス円板103とハウジング50との位置ずれについては実施の形態3によって説明する。
また、位置検出パターン107aの幅は、角度検出パターン105の透過部105aの幅よりも広く形成されている。
【0023】
パルス円板103と受光部107とが位置合せできた状態、すなわち、モータ30にハウジング50を誤差なしで固定した状態では、図3に示すようにチェックパターン107cにおける上記Y方向の上半分のみがモニターパターン105mと重なっている。
ここで、チェックパターン107cの半分をモニターパターン105mと重ね合わせたのは、パルス円板103と受光部107とのY方向のずれ量を内側及び外側に振り分けて均等に位置ずれを検出するためである。
また、基準パターン107mを設けたのは、チェックパターン107cのみであれば、光源101からの発光強度の変動によってチェックパターン107cに流れる電流が変動することによりパルス円板103とチェックパターン107cとの位置ずれと光源101の発光強度の変動とが区別できなくなるからである。
【0024】
回転角度検出部は、位置検出パターン107aに流れる電流Iを電圧Vに変換せしめるI−V変換器21と、I−V変換器21の出力電圧値に基づいて回転角度を生成する回転角度生成器23とから成っている。
【0025】
判断部は、基準パターン107m,チェックパターン107cに流れる電流を電圧Vma,Vcaに変換せしめる各I−V変換器123,125と、各I−V変換器123,125の出力となるアナログ電圧Vma,Vcaをデジタル電圧Vmd,Vc dに変換させるA/D変換器127,129と、A/D変換器127,129に接続されたCPU130と、CPU130に接続されたROM132、RAM134、出力I/F136とから形成されており、出力I/F136に表示手段としてのLCD138が接続され、表示部を形成している。
ROM132には、CPU130により実行されるべき制御プログラム、即ち、電圧Vmdと電圧Vcdとの比を求めるプログラム等が記憶されており、RAM134はCPU130に作業領域を提供するように形成されている。
【0026】
上記のように構成されたエンコーダのパルス円板とハウジングとの位置合せを図1乃至図3によって説明する。
いま、モータ30の回転軸端30aにパルス円板103を固定し、ハウジング50のコ部50aにパルス円板103を挿入し、ハウジング50の二つの孔50eをモータ30の上面に設けられたネジ孔30eと一致させ、二つのボルト54をハウジング50の孔に挿入してボルト54のネジ部をネジ孔30eに螺合してハウジング50をモータ30の上面に仮固定する。
【0027】
この状態において、光源101から光を発生すると、該光はパルス円板105におけるリング状の透過部から成るモニターパターン105mを透過して基準パターン107m,チェックパターン107cで受光して該パターン107m,107cには電流が流れる。I−V変換器123,125がアナログ電流をアナログ電圧Vma,Vcaに変換し、A/D変換器127,129がアナログ電圧Vma,Vcaをデジタル電圧Vmd(請求項1の第1の値),Vcd(請求項1の第2の値)に変換し、CPU130はVcd/Vmdの比Kyを求め、出力I/F136を介してLCD138に10進数形式によって比Kyを表示する。
作業者は、比Kyの基準値を例えば0.5として±0.05の範囲内か否かをLCD138を視認して判定し、範囲内であれば、そのままボルト54を締付けてハウジング50をモータ30の上面に固定してパルス円板103とハウジング50の位置合せが完了する。
一方、±0.05の範囲越えている場合、例えば比Kyが0.4であれば、図3の矢印の方向Ydに受光部107がずれているので、光源101からの光を継続して発生させた状態で、判断部が上記のように比Kyを連続して求めてLCD138に表示する。該表示を見ながら作業者は、方向Ydとは反対方向に受光部107を有するハウジング50を僅かに移動して許容値に入った位置で、ボルト54によってハウジング50をモータ30の端部に固定する。
また、例えば上記比Kyが0.6であれば、図3の矢印Yuの方向に受光部107がずれているので、判断部が上記のように比Kyを求めてLCD138に表示する。該表示を見ながら作業者は、方向Yuとは反対方向にハウジング50を僅かに移動して許容値に入った位置で、ボルト54によってハウジング50をモータ30の端部に固定する。
さらに、この実施の形態によれば、エンコーダをモータ30に取り付けて稼動中に、エンコーダの判断部が動作して比Kyの演算を継続しているので、モータ30の回転軸30aがずれてパルス円板103とハウジング50との位置関係がずれても容易に検出できる。
【0028】
実施の形態2.
本発明の他の実施の形態によるエンコーダを図4によって説明する。図4は、他の実施の形態によるエンコーダ(ハウジングを除く)の全体構成図で、図4中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示して説明を省略する。
実施の形態1は電圧Vmdと電圧Vcdとの比を求めてパルス円板103とハウジング50との位置合せの良否を判断したが、この実施の形態は、電圧Vmaと電圧Vcaとの和又は差によって上記位置合せの良否を判断するものである。
【0029】
図4において、I−V変換器123が抵抗154を介して差動増幅器156の入力に接続され、同様にI−V変換器125が抵抗152を介して差動増幅器156の入力に接続されており、差動増幅器156の出力が抵抗158を介してA/D変換器160に接続され、A/D変換器160の出力がLCD138に接続されている。
【0030】
光量制御手段としての光量一定調節回路160は、基準パターン107mに流れる電流値を一定に制御することにより光源101の発光量としての発光出力(発光強度(W))を一定にするもので、入力が受光部107のモニターパターン105mに接続され、出力が光源101に接続されている。光量一定調節回路160を設けたのは、光源101からの発光強度(W)の変動によって基準パターン107m、チェックパターン107cに流れる電流が変動することにより差動増幅器156の出力電圧値が変動して正確にパルス円板103とハウジング50との位置合せを行うことができないからである。
基準パターン107mの幅は、モニターパターン105mの幅よりも狭く、パルス円板103とハウジング50とが所定範囲の位置ずれをしても、基準パターン107mがモニターパターン105mに重なるように形成されている。これは、光量一定調節回路160の機能を確保するためである。
なお、光量一定調節回路160は、公知で例えば、株式会社 東芝 1995年に発行された「赤色半導体レーザ アプリケーションノート、第36頁に記載されている``APC回路例1''」を掲げることができる。
【0031】
上記のように構成されたエンコーダのパルス円板とハウジングとの位置合せを図1、図3、図4によって説明する。
実施の形態1と同様にして、モータ30の回転軸端30aにパルス円板103を固定し、ハウジング50をモータ30の上面に仮固定する。この状態において、光源101から光を発生すると、該光はパルス円板105におけるリング状の透過部から成るモニターパターン105mを透過して基準パターン107m,チェックパターン107cで受光して該パターン107m,107cには電流が流れる。I−V変換器123,125が電流を電圧Vma,Vcaに変換し、電圧Vma,Vcaが差動増幅器156に入力されて、差動増幅器156が電圧Vma(請求項2の第1の値)と電圧Vca(請求項2の第1の値)の差電圧値V0求めてA/D変換器160を介してLCD138に差電圧値V0を表示する。
作業者は、差電圧値V0が例えば基準電圧値1.0(V)として許容電圧範囲±0.05(V)の範囲内か否かをLCD138を視認して判定し、範囲内であれば、そのままボルト54を締付けてハウジング50をモータ30の上面に固定してパルス円板103とハウジング50の位置合せが完了する。
一方、差電圧値V0が±0.05(V)の範囲越えている場合、例えば+1.1(V)であれば、図3の矢印の方向Ydに受光部107がずれているので、光源101からの光を継続して発生させた状態で、判断部が上記のように連続して差電圧値V0を求めてLCD138に表示する。該表示を見ながら作業者は、方向Ydとは反対方向に受光部107を有するハウジング50を僅かに移動して許容値に入った位置で、ボルト54によってハウジング50をモータ30の端部に固定する。
また、例えば上記差電圧値V0が0.9(V)であれば、図3の矢印Yuの方向に受光部107がずれているので、光源101からの光を継続して発生させた状態で、判断部が上記のように連続して差電圧値V0を求めてLCD138に表示する。該表示を見ながら作業者は、方向Yuとは反対にハウジング50を僅かに移動して許容値に入った位置で、ボルト54によってハウジング50をモータ30の端部に固定する。
なお、差動増幅器156により電圧Vmaと電圧Vcaの差を求めたが、加算器により電圧Vmaと電圧Vcaの和を求めても良い。
【0032】
また、図5に示すように上チェックパターン207cを設け、パルス円板103とハウジング50とが位置合せできた状態では、光源101から見て上チェックパターン207cの下半分、チェックパターン107cの上半分のみがモニターパターン105mと半径方向に重なっているように形成されている。
実施の形態1と同様に、上チェックパターン207c、チェックパターン107cは面積が同一で、受光量対電流特性も誤差を無視できるようにほぼ同一に形成されている。
【0033】
このようなエンコーダによれば、図6に示すハウジング50のY方向の移動により上チェックパターン207cとモニターパターン105mの重なりが増加し、チェックパターン107cとモニターパターン105mの重なりが上記増加の割合と同様な割合で減少し、I−V変換器123,125の電圧Vmaと電圧Vcaとの差電圧V0を差動増幅器156により求めれば、パルス円板103とハウジング50との位置ずれ量が実施の形態1と同一でも、差電圧V0が実施の形態1の2倍となるので、検出精度を2倍に向上させることができる。したがって、パルス円板103とハウジング50との組立て精度を向上させることができるものである。
なお、実施の形態1と同様にして上チェックパターン207c(請求項1の第1の受光部)に基づく電圧Vmaとチェックパターン107cに基づく電圧Vcaとに基づく比をCPUにより演算してLCD138に表示しても上記と同様に検出精度を向上できる。このような比を演算する場合には、基準パターン107mは不要である。
【0034】
実施の形態3.
本発明の他の実施の形態によるエンコーダを図6及び図7によって説明する。図6は、他の実施の形態によるエンコーダ(ハウジングを除く)の全体構成図、図7は受光部のパターン及びパルス円板のパターンの平面図で、図6及び図7中、図2及び図3と同一符号は、同一又は相当部分を示して説明を省略する。
実施の形態1,2では、図2及び図3に示すようにハウジング50本体のずれ量による位置検出パターン107aに流れる電流変動は、Y方向がX方向に比較して大きいので、Y方向のずれ量のみを検出するものであったが、この実施の形態は、X方向のずれ量をも検出してパルス円板103とハウジング50との位置合せ精度を向上させるものである。
【0035】
図6及び図7において、エンコーダの受光部107は、光源101から発生した光を、パルス円板103を介して受光すると共に、受光量に比例した電流を流すもので、三つのチェックパターン107c,207c,307cを有している。
【0036】
チェックパターン107c,207c,307cは、光源101からの光を均一に受光できると共に、薄い面状で、略弓形のPN接合からフォトダイオードが形成されており、各チェックパターン107c,207c,307cの面積は、同一に形成されている。
パルス円板103と受光部307とが正規に位置合せできた状態では、図7に示すように光源101から見てチェックパターン107c,207c,307cの半径方向の半分のみがモニターパターン105mと重なっている。
ここで、実施の形態1と同様にして各チェックパターン107c,207c,307cの光源101から受光量に対して流れる電流の受光量対電流の特性が同一で、誤差を無視し得るように形成されている。
また、第1の受光部としてのチェックパターン207cと、第2の受光部としてのチェックパターン307cとの相互位置関係は、パルス円板103の中心点からの同一円周上の近傍に並設されて設けられている。これによりチェックパターン207cとチェックパターン307cとの重心を結ぶ線の方向(以下、X方向という。)のパルス円板103とハウジング50との位置ずれを検出できる。そして、パルス円板103とハウジング50とのX方向のずれを求めるだけであれば、チェックパターン207c,307cの二つのみあれば良いが、Y方向のずれ量を求めるためにチェックパターン107cが設けられているのである。
【0037】
判断部は、各チェックパターン107c,207c,307cに流れる電流Iを電圧Vに変換せしめる各I−V変換器225〜227と、各I−V変換器225〜227の出力となるアナログ電圧V1a,V2a,V3aをデジタル電圧V1d,V2d,V3dに変換させるA/D変換器230〜232と、A/D変換器230〜232に接続されたCPU130と、CPU130に接続されたROM132、RAM134、出力I/F136とから形成されており、出力I/F136にLCD138が接続されている。
ROM132には、CPU130により実行されるべき制御プログラム、即ち、V3d/V2dを演算するプログラム等が記憶されており、RAM134はCPU130に作業領域を提供するように形成されている。
【0038】
上記のように構成されたエンコーダのパルス円板とハウジングとの位置合せを図1、図6、図7によって説明する。
いま、上記実施の形態1のようにしてパルス円板103をモータ30の回転軸端30a、ハウジング50をモータ30の上面に仮固定する。
【0039】
この状態において、光源101から光を発生すると、該光はパルス円板105におけるリング状の透過部から成るモニターパターン105mを透過して各チェックパターン107c,207c,307cで受光して該パターン107c,207c,307cには電流が流れる。I−V変換器225〜227が電流を電圧に変化し、A/D変換器230〜232がアナログ電圧V1 a,V2a,V3aをデジタル電圧V1 d,V2d,V3dに変換し、CPU130は、V3d/V2dになる比Kxを求める。
ここで、比Kxの値はX方向のずれ成分が全く存在しなければ、V2d=V3dとなるので1となり、右方向XRにずれている場合、V2d>V3dとなるので、Kx<1となり、左方向XLにずれている場合、V2d<V3dとなるので、Kx>1なる。
したがって、LCD138に表示される値によってハウジング50のおよその移動量を把握できるので、ハウジング50とパルス円板103との位置合せが簡易である。
なお、Y方向のずれを調整するには、実施の形態1のようにV1 a/V2aとなる比Kyによってパルス円板103とハウジング50との位置関係を調整すれば良い。
【0040】
なお、上記電圧V2d,V3dとの和又は差によりX方向の位置ずれを評価する場合には、実施の形態2、図5に記載したように光量一定調節回路160と図7に示すモニターパターン107mを設けることにより構成できる。
また、チェックパターン307dを設けて、チェックパターン307dとチェックパターン107cに流れる電流に基づいて上記X方向のずれを調整しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態によるエンコーダの全体構成を示す正面図である。
【図2】 図1に示すエンコーダ(ハウジングを除く)の全体構成図である。
【図3】 図1に示す受光部のパターン及びパルス円板のパターン(受光部側から見た)の平面図である。
【図4】 他の実施の形態によるエンコーダ(ハウジングを除く)の全体構成図である。
【図5】 受光部のパターン及びパルス円板のパターン(受光部側から見た)の平面図である。
【図6】 他の実施の形態によるエンコーダ(ハウジングを除く)の全体構成図である。
【図7】 図6に示す受光部のパターン及びパルス円板のパターン(受光部側から見た)の平面図である。
【図8】 従来のエンコーダ(ハウジングを除く)の全体構成図である。
【図9】 図8に示す受光部のパターン及びパルス円板のパターン(受光部側から見た)の平面図である。
【符号の説明】
30 モータ、30a 回転軸、30e ネジ孔、50 ハウジング、50e取付け孔、101 光源、103 パルス円板、105 角度検出パターン、105m モニターパターン、107a 位置検出パターン、107c,207c,307c,307d チェックパターン、138 LCD、160 光量一定調節回路。
Claims (8)
- 光を透過するリング状の透過部を有するパターンと前記パターンの周囲に配され透過部及び反射部が交互に繰り返された角度検出パターンとを備えると共に、モータの回転軸に固定されるパルス円板と、
指向性を有する光を発生する光源と、
前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部を介して受光すると共に、前記受光の量に応じた第1の電流を流す第1の受光部と、
前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部の一部を介して前記第1の受光部の近傍で、受光すると共に、前記受光の量に応じた第2の電流を流す第2の受光部と、
前記モータに仮固定から固定される締結部材を挿入する僅かな遊びを有する取付け孔を設けたハウジングと、
前記第1の電流に基づく第1の値と、前記第2の電流に基づく第2の値との比を演算する演算手段とを備え、
前記ハウジングには、前記光源と前記第1及び第2の受光部との間に前記パルス円板が挿入されるように前記光源、前記第1及び第2の受光部を設け、
前記第1の受光部は、前記パルス円板に垂直な方向から見た場合に、前記第2の受光部と前記角度検出パターンとの間に配置されており、
前記第1の受光部は、前記透過部に沿った略弓形状の受光面を有しており、
前記第2の受光部は、前記透過部に沿った略弓形状の受光面を有している
ことを特徴とする光電式ロータリーエンコーダ。 - 光を透過するリング状の透過部を有するパターンと前記パターンの周囲に配され透過部及び反射部が交互に繰り返された角度検出パターンとを備えると共に、モータの回転軸に固定されるパルス円板と、
指向性を有する光を発生する光源と、
前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部を介して受光すると共に、前記受光の量に応じた第1の電流を流す第1の受光部と、
前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部の一部を介して前記第1の受光部の近傍で、受光すると共に、前記受光の量に応じた第2の電流を流す第2の受光部と、
前記モータに仮固定から固定される締結部材を挿入する僅かな遊びを有する取付け孔を設けたハウジングと、
前記第1の受光部に流れる電流を一定になるように前記光源の光出力を一定に制御する光量制御手段と、
前記第1の電流に基づく第1の値と、前記第2の電流に基づく第2の値との和又は差を演算する演算手段とを備え、
前記ハウジングには、前記光源と前記第1及び第2の受光部との間に前記パルス円板が挿入されるように前記光源、前記第1及び第2の受光部を設け、
前記第1の受光部は、前記パルス円板に垂直な方向から見た場合に、前記第2の受光部と前記角度検出パターンとの間に配置されており、
前記第1の受光部は、前記透過部に沿った略弓形状の受光面を有しており、
前記第2の受光部は、前記透過部に沿った略弓形状の受光面を有している
ことを特徴とする光電式ロータリーエンコーダ。 - 前記第1の受光部と前記第2の受光部とが同心円上に並べて設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電式ロータリーエンコーダ。 - 光を透過するリング状の透過部を有するパターンを備えると共に、モータの回転軸に固定されるパルス円板と、
指向性を有する光を発生する光源と、
前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部の一部を介して受光すると共に、前記受光の量に応じた第1の電流を流す第1の受光部と、
前記光源から発生した光を、前記パターンにおける透過部の一部を介して前記第1の受光部の近傍で、受光すると共に、前記受光の量に応じた第2の電流を流す第2の受光部と、
前記モータに仮固定から固定される締結部材を挿入する僅かな遊びを有する取付け孔を設けたハウジングと、
前記第1の電流に基づく第1の値と、前記第2の電流に基づく第2の値との和又は差を演算する演算手段とを備え、
前記ハウジングには、前記光源と前記第1及び第2の受光部との間に前記パルス円板が挿入されるように前記光源、前記第1及び第2の受光部を設け、
前記第1の受光部と前記第2の受光部とは、同一の円周上に設けられている、
ことを特徴とする光電式ロータリーエンコーダ。 - 前記第2の受光部は、前記光源の側から見て前記パルス円板の中心から半径方向に向かって前記パターンの透過部と半分重なっている、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光電式ロータリーエンコーダ。 - 前記第1及び第2の受光部は、前記光源の側から見て前記パルス円板の中心から半径方向に向かって前記パターンの透過部と半分重なっている、
ことを特徴とする請求項4に記載の光電式ロータリーエンコーダ。 - 前記第1及び第2の受光部はPN接合から成るパターンで、同一工程にて製造された、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の光電式ロータリーエンコーダ。 - 前記演算手段の演算値に基づいた表示をする表示手段、を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の光電式ロータリーエンコーダ。
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