JP4694169B2 - 気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物及びその用途 - Google Patents

気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物及びその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP4694169B2
JP4694169B2 JP2004267848A JP2004267848A JP4694169B2 JP 4694169 B2 JP4694169 B2 JP 4694169B2 JP 2004267848 A JP2004267848 A JP 2004267848A JP 2004267848 A JP2004267848 A JP 2004267848A JP 4694169 B2 JP4694169 B2 JP 4694169B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon fiber
grown carbon
inorganic fine
fine particles
vapor grown
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004267848A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005113363A (ja
Inventor
利夫 森田
千明 外輪
竜之 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2004267848A priority Critical patent/JP4694169B2/ja
Publication of JP2005113363A publication Critical patent/JP2005113363A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4694169B2 publication Critical patent/JP4694169B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物及びその用途に関する。詳しくいえば、気相法炭素繊維の表面に無機微粒子を付着させて複合体を形成することにより繊維表面の特性を改質した複合物、及び無機微粒子を担持する担体として気相法炭素繊維を用いた気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物(以下、気相法炭素繊維/無機微粒子複合物と略すことがある。)に関する。
気相法炭素繊維は、炭素の結晶が発達しており、樹脂や他の材料との複合化を図る場合に、樹脂等のマトリックスとの濡れ性が重要な因子となる。濡れ性が悪い場合は、マトリックス中に均一に分散させることが困難で、炭素繊維や気相法炭素繊維同士が凝集し、孤立分散した状態となる。また、炭素結晶が発達している表面は不活性であって、カップリング剤や添加剤の作用を受けにくい。
炭素繊維や気相法炭素繊維の表面を改質する方法として、表面酸化法がある。酸化法は種々提案されているが、代表的な方法として、(1)硝酸や硫酸による酸処理法、(2)空気酸化法、(3)オゾン酸化法がある(特開昭61-12967号公報(特許文献1)、特開2000-96429号公報(特許文献2)、特開昭61-119767号公報(特許文献3)参照。)。また、近年、プラズマ雰囲気で、表面をフッ素処理する方法等も行われている(特開平3-227325号公報(特許文献4)参照。)。
酸化処理後の表面炭素層には、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基等が導入されて活性となっているため、その表面官能基に各種カップリング剤等を作用させて表面をさらに改質することも可能である(大谷著「炭素繊維」近代編集社(1972)(非特許文献1))。
特開昭61−12967号公報 特開2000−96429号公報 特開昭61−119767号公報 特開平3−227325号公報 大谷著 「炭素繊維」 近代編集社(1972)
従来から行われている気相法炭素繊維表面の酸化処理による官能基の導入方法では、表面特性は改善されるものの、酸化によって強度、導電性、熱伝導性等本来の気相法炭素繊維の物性を発揮する炭素の結晶構造を損なうことになる。
したがって、本発明の目的は、気相法炭素繊維の炭素結晶構造を壊すことなく、表面特性が改質された気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を提供することにある。
本発明者らは、気相法炭素繊維の表面に種々の特性を有する無機微粒子を複合化させることにより、気相法炭素繊維の表面を所望の特性に改質できること、この複合化を物理的(機械的)に行うメカノケミカル法を用いて行うことにより、従来の溶媒分散法に比べて複合化が容易に行われ、かつ炭素繊維表面の結晶構造の破壊が抑えられ良好な特性を有する複合物が得られることを見出した。また、この方法により、触媒等に使用できる無機微粒子を気相法炭素繊維と複合化することにより、気相法炭素繊維が無機微粒子触媒の担持体として使用できることを確認し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の気相法炭素繊維/無機微粒子複合物及びその用途を提供するものである。
1.繊維径0.001〜1μm、アスペクト比5〜15000の中空構造を有する気相法炭素繊維表面に粒径0.0001〜5μmの無機微粒子が付着した複合体を含有する気相法炭素繊維/無機微粒子複合物であって、気相法炭素繊維の平均繊維径と無機微粒子の平均粒子径との比が1:0.01〜1:5である気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
2.複合体の気相法炭素繊維と無機微粒子との質量比が1:0.005〜1:50である前記1に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
3.無機微粒子が、周期律表の2〜15族に属する元素の単体物質、またはその元素を含む化合物からなる前記1または2に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
4.周期律表の2〜15族に属する元素が、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、シリコン、ゲルマニウム、スズ、リンまたはビスマスである前記3に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
5.周期律表の2〜15族に属する元素を含む化合物が、その元素を含む酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、錯体またはハロゲン化物である前記3に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
6.周期律表の2〜15族に属する元素を含む化合物が、その元素を含む酸化物である前記3に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
7.無機微粒子が、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン及び酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記1または2に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
8.気相法炭素繊維がホウ素を0.01〜5質量%含有する前記1に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
9.前記1乃至8のいずれかに記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を含む樹脂複合材。
10.前記1乃至8のいずれかに記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を含むペースト。
11.前記1乃至8のいずれかに記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を含む触媒。
以下、本発明の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物について詳細に説明する。
本発明で用いる気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber。以下、VGCF(登録商標)。)は、繊維径0.001〜1μm、アスペクト比5〜15000、好ましくは繊維径0.002〜0.5μm、アスペクト比10〜10000の中空径を有するものである。
気相法炭素繊維は、炭化水素等のガスを金属触媒の存在下で気相熱分解することによって製造することができる。
例えば、ベンゼン等の有機化合物を原料とし、触媒としてのフェロセン等の有機遷移金属化合物をキャリアーガスとともに高温の反応炉に導入し、基盤上に生成させる方法(特開昭60-27700号公報)、浮遊状態でVGCF(登録商標)を生成させる方法(特開昭60-54998号公報)、あるいは反応炉壁に成長させる方法(特許第2778434号)等が開示されている。これらの方法により得られたVGCFをアルゴン等の不活性雰囲気下600〜1500℃で熱処理し、さらに2000〜3300℃で熱処理を行い黒鉛化を行うことにより得られる。
これら製法により、比較的細く、導電性や熱伝導性に優れ、アスペクト比の大きいフィラー材に適した炭素繊維が得られる。
VGCFは、形状や結晶構造に特徴があり、炭素六角網面の結晶が年輪状に巻かれ積層した構造を示し、その内部には極めて細い中空構造を有する繊維である。
また、本発明に用いるVGCFは、特開2002-266170号公報に開示した中空構造が互いに結合した分岐状気相法炭素繊維であっても良い。
また、本発明に用いる気相法炭素繊維は、平均繊維径が80〜500nm、好ましくは80〜140nm、さらに好ましくは80〜110nmであり、繊維径のバラツキは少なく、平均繊維径の±20%の範囲に全繊維の65%(本数基準)以上、好ましくは70%(本数基準)以上、さらに好ましくは75%(本数基準)以上が含まれるものであってもよい。また、嵩密度は0.015g/cm3以下、比抵抗は0.015Ωcm以下のものであってもよい。
上記のVGCFや分岐状VGCFは、国際公開第00/58536号パンフレット(ホウ素処理)に開示した方法で、ホウ素、あるいは、ホウ酸、ホウ酸塩、酸化ホウ素、炭化ホウ素等のホウ素化合物と共に、アルゴン等の不活性雰囲気下2000〜3300℃で熱処理することにより、あるいは特開2003-20527号公報(ガス接触法)に開示した方法により得られ、ホウ素、あるいはホウ素とホウ素化合物を含有する気相法炭素繊維も使用できる。
本発明で用いる無機微粒子は、周期律表の2〜15族に属する元素の単体物質、あるいはその元素を含む化合物である。中でも、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、シリコン、ゲルマニウム、スズ、リン、ビスマスの単体物質、あるいはその元素を含む化合物が好ましく、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、シリコン、ゲルマニウム、スズ、リン、ビスマスの単体物質、あるいはその元素を含む化合物がさらに好ましい。
化合物としては、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、錯体、ハロゲン化物が挙げられ、好ましくは酸化物、炭酸塩、ハロゲン化物であり、特に好ましいのは酸化物である。酸化物は酸素と他の元素との化合物であって、過酸化物、超酸化物も含まれる。また、酸性酸化物、塩基性酸化物、両性酸化物も含まれ、例えば複酸化物、酸素酸塩がある。
具体的には、例えばシリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、チタン酸バリウムなどが挙げられる。
これら無機化合物を用いることにより、気相法炭素繊維の表面を、親水性、疎水性等の特性を有するように改質することができる。
本発明で用いる気相法炭素繊維と無機微粒子の大きさの範囲は、無機微粒子の平均粒径と気相法炭素繊維の平均繊維径との比が0.01:1〜5:1が好ましく、0.01:1〜3:1がより好ましく、0.1:1〜1:1がさらに好ましい。この比率(0.01:1)より無機微粒子が小さいと無機微粒子の粒径の調整が困難である。また、この比率(5:1)より無機微粒子が大きいと気相法炭素繊維の表面への結合がし難く、表面改質の効果が小さい。
本発明の無機微粒子と気相法炭素繊維との複合化の配合比は、質量比で0.005:1〜50:1であり、0.01:1〜40:1がより好ましく、0.05:1〜30:1がさらに好ましい。この比率(0.005:1)より小さいと、表面改質の効果は得られ難く、またこの比率(50:1)より大きいと、気相法炭素繊維の表面への結合がし難く表面改質の効果が小さい。
本発明の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物は、無機微粒子を気相法炭素繊維の表面に物理的(機械的)に付着させるメカノケミカル法により気相法炭素繊維の表面に無機微粒子を複合化する方法等により製造することができる。
メカノケミカル法とは、無機微粒子と気相法炭素繊維とを原理的に溶剤を使用しない乾式法で加圧及び剪断力を加えながら混合することにより、両者を互いに付着させる方法である。メカノケミカル法の利点は、実質的に溶媒を用いないため、気相法炭素繊維や無機微粒子を溶媒に分散させる必要がないこと、溶媒除去の必要がないことである。このメカノケミカル法により、炭素繊維や気相法炭素繊維を構成する炭素結晶を壊すことなく無機微粒子を付着させて表面特性の改善された炭素繊維を得ることができる。
本発明の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物は、気相法炭素繊維の炭素結晶構造が損なわれることなく無機微粒子により表面が改質されているため、気相法炭素繊維本来の強度、導電性、熱伝性を持ったフィラー材として導電性樹脂用フィラーや鉛蓄電池の添加材等に有用である。また、気相法炭素繊維を無機微粒子の担持体として用いる際にも、それ自体の持つ強度、導電性、熱伝性の特性が損なわれずに気相法炭素繊維の特性を活用することができる。また、気相法炭素繊維と無機微粒子との複合物は、無機微粒子との複合化の程度(量)を調整することにより、それを含む樹脂複合材の導電性を調整することができる。
以下、実施例により本発明を説明する。なお、気相法炭素繊維及び無機微粒子として下記のものを使用した。
気相法炭素繊維:
ベンゼン及びフェロセン(触媒)を用い、特許第2778434号に記載の方法に従って、平均繊維径150nm、平均繊維長20μmの気相法炭素繊維を得、この繊維をアルゴン雰囲気下、1000℃で熱処理を行い、さらに2800℃で黒鉛化処理をして製造した。この気相法炭素繊維の面間隔C0は0.678nm、繊維と繊維の結合の度合いを示す分岐度は0.2本/μm(SEM画像解析より繊維長1μm当たりの分岐数を算出)であった。
無機微粒子:
(1)炭酸カルシウム:平均1次粒子径700nm
(白石カルシウム(株)製,SECTACARB HG )、
(2)アルミナ:平均1次粒子径30nm(昭和電工(株)製,UFA-40)、
(3)酸化チタン:平均1次粒子径30nm
(昭和電工(株)製,スーパータイタニア(登録商標)F−4)。
実施例1〜6:気相法炭素繊維と無機微粒子との複合化
気相法炭素繊維と炭酸カルシウムとを98:2(質量比)の比率で、下記の条件でメカノケミカル処理を行い、気相法炭素繊維/炭酸カルシウム複合物(2)(実施例1)を得た。
実施例1の炭酸カルシウムの代わりにアルミナ及び酸化チタンを用いて、気相法炭素繊維/アルミナ複合物(2)(実施例2)、気相法炭素繊維/酸化チタン複合物(2)(実施例3)をそれぞれ得た。
また、気相法炭素繊維と酸化チタンとの混合比を95:5(質量比)として同じ処理を行い、気相法炭素繊維/酸化チタン複合物(5)(実施例4)を得た。
また、気相法炭素繊維と酸化チタンとの混合比を90:10(質量比)として同じ処理を行い、気相法炭素繊維/酸化チタン複合物(10)(実施例5)を得た。
気相法炭素繊維として、嵩密度0.012g/cm3、嵩密度0.8g/cm3に圧縮したときの比抵抗0.007Ωcm、繊維径97nm、繊維径の標準偏差23.4nm、繊維長平均13μm(平均アスペクト比=130)であり、全繊維の75%(本数基準)が平均繊維径の±20%の範囲に含まれるものを用い、実施例3と同様の気相法炭素繊維/酸化チタン複合物(2)(実施例6)を得た。
メカノケミカル処理条件:
使用機器:(株)奈良機械製作所 MICROS-O型,
容積:0.75リットル,
有効容積:0.45リットル,
処理量:20g,
主軸回転数:1800rpm,
処理時間:90分。
実施例7〜13及び比較例1〜6:気相法炭素繊維/無機微粒子複合物を含む樹脂複合材
実施例1〜6で得た気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を用いて、下記の方法により樹脂(ナイロン66、以下PAと記す。)との複合化を行い、分散性の評価を行った。分散性の指標として樹脂複合材の導電性を測定して評価した。なお、PAは、東レ株式会社製 CM3001を用いた。
PAとの複合化:
ラボプラストミル(東洋精機)を用い、PA:(気相法炭素繊維/無機微粒子複合物)=74g:4g(実施例7〜11及び13)、あるいは70g:8g(実施例12)を温度270℃、40rpm、10分間、溶融混合した。得られたPA複合材を熱プレス(280℃、20MPa(200kgf/cm2)、30秒)により、100mm×100mm×2mmの平板を成形し試料とした。また、比較用試料として、無機微粒子と複合化していない気相法炭素繊維とPAとの複合材、気相法炭素繊維と炭酸カルシウムの混合物を、PA:気相法炭素繊維:炭酸カルシウム=74g:3.9g:0.08gで混合した混合物及びPAのみの試料をも調製した。
試料の導電性は、四探針計、絶縁抵抗計にて測定した。抵抗及び強度(JIS K7194)の測定結果を表1に示す。
Figure 0004694169
表1から、気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物は、気相法炭素繊維の表面に無機微粒子が複合化しているため、樹脂に対する濡れ性が改善され、複合化していないものに比べて、同一条件下での樹脂複合材の導電性が向上していることがわかる。
実施例14及び比較例7:気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を含むペースト
気相法炭素繊維/アルミナ複合物(2)(実施例14)、及び比較として無機微粒子と複合化していない気相法炭素繊維(比較例7)を用い、各々、キシレン変性フェノキシ樹脂と溶剤のグリコールエーテルを用い、乾燥後のペースト基準で10質量%用いて、3本ロールにて混練りを行い導電性ペーストを得た。
このペーストを用いて、エポキシ基板にパターンをn=5でスクリーン印刷法にて印刷し、200℃で乾燥硬化を行った。乾燥硬化後のパターンの膜厚は10μmであった。
パターンの表面抵抗を測定したところ、表面抵抗値は、200Ω/□(実施例14)及び400Ω/□で(比較例7)あった。この結果から、同一条件下でのペースト系(塗膜)においても、気相法炭素繊維の表面に無機微粒子が複合化している本発明の複合物は複合化していないものに比べて、樹脂に対する濡れ性が改善し、導電性が向上することがわかる。
実施例15:気相法炭素繊維/無機微粒子複合物を含む触媒
実施例1と同様の方法で気相法炭素繊維と酸化鉄(和光純薬製,平均1次粒子径300nm)を95:5(質量比)として、複合化を行った。得られた気相法炭素繊維/酸化鉄(5)複合物1gをアルミナボードに入れ、内径20mm、長さ600mmの石英管を横置きにした反応炉の中心部に入れ、水素雰囲気下、900℃で60分の還元処理を行った。先の気相法炭素繊維/酸化鉄(5)複合物をX線回折装置で分析したところ、酸化鉄のピークは見られず、鉄のピークが得られた。この気相法炭素繊維/鉄複合物を0.1gアルミナボードに入れ、上記反応炉に戻し、反応炉温度を1150℃とし、水素100ml/min、ベンゼン1ml/minで20分間反応をさせた。反応炉を降温後、気相法炭素繊維/鉄複合物の周囲には、多くの蜘蛛の巣状の気相法炭素繊維物(繊維径200nm、アスペクト比=50、平均面間隔C0は0.69nm)が生成していることがわかった。
この気相法炭素繊維/鉄複合物はベンゼンから気相法炭素繊維製造の触媒としての機能を有することが確認された。

Claims (11)

  1. 繊維径0.001〜1μm、アスペクト比5〜15000の中空構造を有する気相法炭素繊維表面に粒径30nm〜5μmの無機微粒子が付着した複合体を含有する気相法炭素繊維/無機微粒子複合物であって、気相法炭素繊維の平均繊維径と無機微粒子の平均粒子径との比が1:0.01〜1:5であり、かつ無機微粒子と気相法炭素繊維との質量比が0.05:1〜30:1である気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。

  2. 無機微粒子が、周期律表の2〜15族に属する元素の単体物質、またはその元素を含む化合物からなる請求項1に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
  3. 周期律表の2〜15族に属する元素が、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、シリコン、ゲルマニウム、スズ、リンまたはビスマスである請求項2に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
  4. 周期律表の2〜15族に属する元素を含む化合物が、その元素を含む酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、錯体またはハロゲン化物である請求項2に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
  5. 周期律表の2〜15族に属する元素を含む化合物が、その元素を含む酸化物である請求項2に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
  6. 無機微粒子が、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン及び酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
  7. 気相法炭素繊維がホウ素を0.01〜5質量%含有する請求項1に記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を含む樹脂複合材。
  9. 請求項1乃至のいずれかに記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を含むペースト。
  10. 請求項1乃至のいずれかに記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を含む触媒。
  11. 請求項1乃至7のいずれかに記載の気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物を含む蓄電池。
JP2004267848A 2003-09-16 2004-09-15 気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物及びその用途 Expired - Fee Related JP4694169B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004267848A JP4694169B2 (ja) 2003-09-16 2004-09-15 気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物及びその用途

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003322752 2003-09-16
JP2003322752 2003-09-16
JP2004267848A JP4694169B2 (ja) 2003-09-16 2004-09-15 気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物及びその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005113363A JP2005113363A (ja) 2005-04-28
JP4694169B2 true JP4694169B2 (ja) 2011-06-08

Family

ID=34554440

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004267848A Expired - Fee Related JP4694169B2 (ja) 2003-09-16 2004-09-15 気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物及びその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4694169B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007118112A (ja) * 2005-10-26 2007-05-17 National Institute For Materials Science ナノ樹木/ナノ微粒子複合構造物の作製方法とナノ樹木/ナノ微粒子複合構造物
JP4851772B2 (ja) * 2005-10-27 2012-01-11 昭和電工株式会社 導電性磁性流体及びその用途
JP2013231245A (ja) * 2012-04-27 2013-11-14 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 表面処理された炭素繊維および炭素繊維−樹脂複合材料。
CN104088132B (zh) * 2014-07-23 2016-11-16 昆明理工恒达科技股份有限公司 一种碳纤维粉表面改性方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63283750A (ja) * 1987-05-14 1988-11-21 Asahi Chem Ind Co Ltd 炭素繊維を担体とする触媒
JPH0354199A (ja) * 1989-07-21 1991-03-08 Nikkiso Co Ltd ウィスカーの表面改質方法
JP2001200096A (ja) * 2000-01-20 2001-07-24 Showa Denko Kk 導電性熱可塑性樹脂組成物
JP2003020527A (ja) * 2001-07-04 2003-01-24 Showa Denko Kk 炭素繊維とその製造方法及びその用途
JP2003105640A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Hitachi Chem Co Ltd 触媒物質担持カーボンファイバーの製造方法及び水素貯蔵方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63283750A (ja) * 1987-05-14 1988-11-21 Asahi Chem Ind Co Ltd 炭素繊維を担体とする触媒
JPH0354199A (ja) * 1989-07-21 1991-03-08 Nikkiso Co Ltd ウィスカーの表面改質方法
JP2001200096A (ja) * 2000-01-20 2001-07-24 Showa Denko Kk 導電性熱可塑性樹脂組成物
JP2003020527A (ja) * 2001-07-04 2003-01-24 Showa Denko Kk 炭素繊維とその製造方法及びその用途
JP2003105640A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Hitachi Chem Co Ltd 触媒物質担持カーボンファイバーの製造方法及び水素貯蔵方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005113363A (ja) 2005-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Alam et al. Electrically conductive, mechanically robust, pH-sensitive graphene/polymer composite hydrogels
US20110091724A1 (en) Composite of vapor grown carbon fiber and inorganic fine particle and use thereof
JP5179979B2 (ja) カーボンナノファイバー及びその製造方法、カーボンナノファイバーを用いた炭素繊維複合材料の製造方法及び炭素繊維複合材料
Choi et al. Processing and characterization of epoxy nanocomposites reinforced by cup-stacked carbon nanotubes
JP5875622B2 (ja) 混和性が増大した複合炭素素材及びその連続的な製造方法、並びにその装置
KR101583916B1 (ko) 나노카본 강화 알루미늄 복합재 및 그 제조방법
Cheng et al. Glycera‐inspired synergistic interfacial interactions for constructing ultrastrong graphene‐based nanocomposites
WO2017139078A1 (en) Chemical-free production of graphene-reinforced inorganic matrix composites
WO2011074125A1 (ja) 酸化グラフェンシート及びこれを還元して得られるグラフェン含有物質を含有する物品、並びに、その製造方法
KR100895696B1 (ko) 전기 절연성을 가지는 실리콘고무/카본나노튜브 복합체의제조 방법
JP2013091783A (ja) 導電性樹脂組成物及びこれを用いた導電性塗料並びに導電性接着剤
JP2019001701A (ja) カーボン修飾窒化ホウ素、その製造方法および高熱伝導性樹脂組成物
JP4694169B2 (ja) 気相法炭素繊維と無機微粒子の複合物及びその用途
Xie et al. Graphene/carbon nanotube/polypyrrole composite films for electromagnetic interference shielding
WO2018230638A1 (ja) カーボン修飾窒化ホウ素、その製造方法および高熱伝導性樹脂組成物
Tseng et al. Thermal conductivity and morphology of silver‐filled multiwalled carbon nanotubes/polyimide nanocomposite films
JP6241586B2 (ja) カーボンナノファイバーの製造方法とその分散液および組成物の製造方法
JP4953224B2 (ja) 複合体粒子含有スラリー及び複合体粒子の製造方法
JP4719875B2 (ja) 膨張化炭素繊維含有複合材料及びその製造方法
Jiao et al. Bidirectionally enhanced thermally conductive and mechanical properties MXene nanocomposite film via covalently bridged functionalized single-walled carbon nanotube
WO2014084042A1 (ja) 2層カーボンナノチューブ含有複合体
Bodin et al. Mild air oxidation of boron nitride nanotubes. Application as nanofillers for thermally conductive polycarbonate nanocomposites
JP5242124B2 (ja) 微細炭素繊維及び複合材料
JPH01101372A (ja) 導電性複合樹脂組成物
多次元炭素複合材料の作製および電気特性に関する研究 STUDY ON PREPARATION AND ELECTRICAL PROPERTIES OF CARBON COMPOSITE MULTIDIMENSIONAL MATERIALS

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070705

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070802

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100427

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100702

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110222

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110223

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4694169

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees