JP4694051B2 - 電子内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体像を画像信号に光電変換するための撮像センサを持つスコープと、該画像信号を適宜処理してビデオ信号を生成する画像信号処理ユニットと、この画像信号処理ユニットで得られたビデオ信号に基づいて該被写体像を再現表示するモニタ装置とから成る電子内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述したようなタイプの電子内視鏡にあっては、撮像センサは固体撮像素子例えばCCD(charge coupled device)撮像素子から成り、対物レンズ系と組み合わされてスコープの先端部即ち遠位端に設けられる。また、スコープ内には光ファイバー束からなる照明用光ガイドが挿通させられ、その遠位端の端面は照明用レンズと組み合わされる。
【0003】
画像信号処理ユニット内には照明用白色光源例えばハロゲンランプやキセノンランプが設けられ、スコープと画像信号処理ユニットとの接続時に照明用光ガイドの近位端は照明用白色光源に光学的に接続される。かくして、患者の体腔内へのスコープの挿入時、その遠位端の対物レンズ系の前方が照明用光ガイドの先端部端面から射出させられた照明光で照明され、これにより被写体は撮像センサの受光面に被写体像として結像させられてそこで画素信号として光電変換される。撮像センサで得られた画素信号は画像信号処理ユニットに順次送られ、そこでビデオ信号が画素信号に基づいて作成される。次いで、ビデオ信号は画像信号処理ユニットからモニタ装置に対して出力され、そこで被写体像がモニタ装置上で再現表示される。
【0004】
ところで、一般的に、電子内視鏡のスコープの対物レンズ系の焦点深度は比較的深くされる。というのは、スコープの遠位端を病巣等の患部に接近させて観察するだけでなく、病巣等の患部を見つけ出す際には該患部を含む広い領域全体を観察することが必要であるからである。この場合、被写体像を適当な明るさ(輝度)で常に再現するためには、全体的な被写体の遠近に応じて照明用光ガイドの遠位端から射出される照明光の光量を適宜調整することが必要となる。即ち、スコープの遠位端を病巣等の患部に最接近させて観察する際には照明光量は最低レベルまで低下させることが必要であり、また該患部からスコープの遠位端が次第に遠ざかるにつれて、照明光量は次第に増大させることが必要となる。
【0005】
上述したような光量調節は自動調光と呼ばれ、この自動調光については、一フレーム分または一フィールド分の輝度画素信号の輝度レベルを評価し、その評価に基づいて光源に組み込まれた絞りの開度を適宜調整することにより行われる。このような自動調光には2つの調光モードが知られており、一方のモードは平均輝度値モードと呼ばれ、他方のモードはピーク値(有効最大輝度値)モードと呼ばれる。
【0006】
詳述すると、平均輝度値モードでは、撮像センサから順次得られる一フレーム分または一フィールド分の輝度画素信号についてヒストグラム抽出回路でヒストグラムが展開され、このヒストグラムから一フレーム分または一フィールド分の輝度画素信号の平均輝度値が算出され、その平均輝度値が所定の輝度参照値に一致するように絞り開度が制御され、これにより再現画像の輝度レベルが輝度参照値に見合った適正な状態に維持される。例えば、スコープの対物レンズが被写体から次第に遠ざけられると、上述の平均輝度値は一時的に輝度参照値に比べて低くなるので、このときは絞り開度が広げられて照明光量が増大させられ、これとは反対にスコープの対物レンズが被写体に接近させられると、上述の平均輝度値は輝度参照値に比べて高くなるので、このときは絞り開度が狭められて照明光量が減少させられ、かくして被写体の遠近に拘らずモニタ装置上の再現画像の明るさは輝度参照値に見合った所定の輝度レベルに維持される。
【0007】
同様に、ピーク値(有効最大輝度値)モードでも、撮像センサから順次得られる一フレーム分または一フィールド分の輝度画素信号についてヒストグラム抽出回路でヒストグラムが展開されるが、このピーク値モードでは、該ヒストグラムから平均輝度値ではなく有効最大輝度値(ピーク値)が算出され、この有効最大輝度値が所定の輝度参照値に一致するように絞り開度が平均輝度値モードの場合と同様に制御され、これによりモニタ装置上の再現画像の明るさが輝度参照値に見合った所定の輝度レベルに維持される。なお、有効最大輝度値とは上述のヒストグラムの最大輝度値を含む高輝度レベル領域の総計度数が一フレーム分または一フィールド分の全画素数の例えば5%となる境界での輝度値として定義されるものである。
【0008】
従来の電子内視鏡では、自動調光を平均輝度値モード或いはピーク値モードのいずれのモードで行うかは任意に選択し得るようになっている。平均輝度値モードとピーク値モードとを比較した場合、平均輝度値モードでは、再現画像の明るさはピーク値モードよりも明るくなる傾向があり、一方ピーク値モードでは、再現画像の明るさが暗めになるという傾向がある。一般的に、モニタ装置の再現画像は明るめの方が観察し易く、このため多くの医者は平均輝度値モードを選択する傾向が強いが、しかし平均輝度値モードの場合には、局部的なハレーションの発生を回避することができないという欠点がある。一方、ピーク値モードの場合には、再現画像は全体的に暗めとなって観察し難いものとなるが、局部的なハレーションの発生は確実に回避され得るという利点がある。
【0009】
ここで言うハレーションとはモニタ装置の再現画面の輝度が異常に高くなって白色化することであり、上述したように平均輝度値モードでの自動調光時に局部的なハレーションが屡々発生することになる。詳述すると、被写体に小さな突起物があって、その突起物がスコープの対物レンズに接近しているが、その突起物を除く領域が該対物レンズから遠のいているような場合、その再現画像の平均輝度レベルは比較的小さくなって輝度参照値との差が大きくなり、このため平均輝度値モードでの自動調光では、絞り開度が大きく広げられる傾向にあり、このため被写体の突起物からの反射光量が異常に大きくなって、再現画像ではその箇所にハレーションが生じ得ることになる。従って、局部的なハレーションの発生を嫌う医者は再現画像が多少暗めでもピーク値モードを選択することになり、また明るめの再現画像を望む医者は局部的なハレーションの発生に拘わらず平均輝度値モードを選択することになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上述したようなタイプの電子内視鏡であって、自動調光時での局部的なハレーションの発生を速やかにかつ確実に阻止し得ると共に再現画像の輝度レベルを可及的に適正な値に維持し得るように構成された電子内視鏡を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による電子内視鏡は、スコープと、このスコープの先端前方を照明するための照明手段と、該スコープの先端側に設けられた撮像手段と、この撮像手段から得られる輝度画素信号に基づいて照明手段による照明光量を調節する調光手段とを具備して成り、該調光手段により、輝度画素信号の平均輝度値を所定の輝度参照値に実質的に一致させるように光量調節が行われる。
【0012】
本発明の第1の局面によれば、調光手段が輝度画素信号から所定の低輝度値以下の輝度画素信号を除外したものに基づいて平均輝度値を算出するための算出手段を包含し、この算出手段で算出された平均輝度値を用いて該調光手段による光量調節が行われる。
【0013】
本発明の第1の局面にあっては、好ましくは、輝度画素信号の一フレーム分もしくは一フィールド分に基づいてヒストグラムを展開するヒストグラム抽出手段が設けられ、該平均輝度値はヒストグラムから所定の低輝度値以下の度数データを除外したものに基づいて算出される。
【0014】
本発明の第2の局面によれば、調光手段は輝度画素信号の一フレーム分もしくは一フィールド分に基づいて第1の平均輝度値を算出する第1の算出手段と、輝度画素信号の一フレーム分もしくは一フィールド分から所定の低輝度値以下の輝度画素信号を除外したものに基づいて第2の平均輝度値を算出する第2の算出手段と、輝度画素信号の一フレーム分もしくは一フィールド分に基づいて局部的なハレーションの発生の有無を検出する検出手段とを包含し、該検出手段により局部的なハレーションの発生が検出されないとき、第1の平均輝度値を用いて該調光手段による第1の光量調節が行われ、検出手段により局部的なハレーションの発生が検出されたとき、第2の平均輝度値を用いて該調光手段による第2の光量調節が行われる。
【0015】
本発明の第2の局面にあっては、好ましくは、輝度画素信号の一フレーム分もしくは一フィールド分に基づいてヒストグラムを展開するヒストグラム抽出手段が設けられ、第1の平均輝度値及び第2の平均輝度値がヒストグラムに基づいて算出され、また検出手段による局部的なハレーションの発生の有無がヒストグラムに基づいて行われる。
【0016】
本発明の第2の局面では、好ましくは、第2の光量調節時に第2の平均輝度値が所定の輝度参照値よりも小さくしかもその差が連続して2回以上所定の値よりも大きいとき、第2の光量調節から第1の光量調節への移行が行われる。
【0017】
また、本発明の第2の局面では、好ましくは、検出手段はヒストグラムから局部的なハレーションの発生状態を評価するハレーション状態変数を算出するハレーション状態変数算出手段と、該ハレーション状態変数を所定の値と比較する比較手段とから成り、このときハレーション状態変数が該所定の値を上回った際に局部的なハレーションの発生が検出されたとされる。ハレーション状態変数については、輝度画素信号の一フレーム分或いは一フィールド分の全画素数に対する所定の高輝度値以上の画素数の比率として定義することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による電子内視鏡の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1を参照すると、本発明による電子内視鏡の一実施形態がブロック図として図示される。電子内視鏡は可撓性導管からなるスコープ10を具備し、このスコープ10はプロセッサと呼ばれる画像信号処理ユニット12に着脱自在に連結されるようになっている。スコープ10の先端即ち遠位端には固体撮像素子例えばCCD撮像素子から成る撮像センサ14が設けられ、この撮像センサ14は対物レンズ系(図示されない)が組み込まれる。
【0020】
スコープ10内には光ファイバー束からなる照明用光ガイド16が挿通させられ、この照明用光ガイド16の遠位端はスコープ10の遠位端まで延び、該照明用光ガイド16の遠位端の端面には照明用レンズ(図示されない)が組み合わされる。画像信号処理ユニット12へのスコープ10の連結時、照明用光ガイド16の近位端は画像信号処理ユニット12内に設けられたキセノンランプ或いはハロゲンランプ等の白色光源18に光学的に接続される。白色光源18の光射出側には絞り20及び集光レンズ22が順次設けられ、絞り20は白色光源18からの光量を適宜調節するための光量調節手段として用いられ、また集光レンズ22は絞り20を経た光を照明用光ガイド16の近位端の端面に集光させるために用いられる。
【0021】
本実施形態では、カラー画像を再現するために面順次方式が採用されるので、照明用光ガイド16の近位端の端面と集光レンズ22との間に回転式三原色カラーフィルタとしてRGBカラーフィルタ24が介在させられる。図2に示すように、RGBカラーフィルタ24は円板要素から成り、この円板要素には赤色フィルタ24R、緑色フィルタ24G及び青色フィルタ24Bが設けられ、これら色フィルタはそれぞれセクタ状の形態とされる。カラーフィルタ24R、24G及び24Bはそれぞの半径方向の中心が120度の角度間隔となるように円板要素の円周方向に沿って配置され、互いに隣接する色フィルタ間の領域は遮光領域とされる。
【0022】
図3に最もよく図示するように、RGBカラーフィルタ24はサーボモータ或いはステップモータのような駆動モータ26によって回転させられる。RGBカラーフィルタ24の回転周波数は電子内視鏡で採用されるTV映像再現方式に応じて決められる。例えば、PAL方式が採用されている場合には、RGBカラーフィルタ24の回転周波数は25Hzであり、NTSC方式が採用されている場合には、その回転周波数は30Hzとなる。
【0023】
例えば、RGBカラーフィルタ24が回転周波数30Hzで回転させられるとすると(NTSC方式)、その1回転に要する時間は1/30secとなり、その間に光ガイド16の遠位端の端面からは赤色光、緑色光及び青色光が順次射出させられ、被写体は赤色光、緑色光及び青色光でもって順次照明され、このとき被写体が撮像センサ14の対物レンズ系によってそのCCD撮像素子の受光面に各色の照明で順次結像させられる。撮像センサ14はそのCCD撮像素子の受光面に結像された各色の被写体像を一フレーム分のアナログ画素信号に光電変換し、その一フレーム分のアナログ画素信号は各色の照明時間に続く遮光時間に亘って撮像センサ14から順次読み出され、このような撮像センサ14からのアナログ画素信号の読出しについてはスコープ10内に設けられたCCDドライバ28によって行われる。
【0024】
図1から明らかなように、画像信号処理ユニット12にはシステムコントローラ30が設けられ、このシステムコントローラ30はマイクロコンピュータから構成される。即ち、システムコントローラ30は中央処理ユニット(CPU)、種々のルーチンを実行するためのプログラム、常数等を格納する読出し専用メモリ(ROM)、データ等を一時的に格納する書込み/読出し自在なメモリ(RAM)、入出力インターフェース(I/O)から成り、電子内視鏡の作動全般を制御する。また、システムコントローラ30内にはタイミングジェネレータも設けられ、このタイミングジェネレータからは種々の周波数の制御クロックパルスが出力される。
【0025】
画像信号処理ユニット12へのスコープ10の接続時、撮像センサ14はCCDドライバ28を介して画像信号処理ユニット12内のCCDプロセス回路32に接続される。CCDドライバ28によって撮像センサ14から読み出された各色の一フレーム分のアナログ画素信号はCCDプロセス回路32に送られ、そこで所定の画像処理例えばホワイトバランス補正処理、ガンマ補正処理、輪郭強調処理等を受ける。なお、図1では、CCDドライバ28及びCCDプロセス回路32に対するシステムコントローラ30の接続関係についてはその複雑化を避けるために特に図示されていないが、CCDドライバ28での画素信号の読出し及びCCDプロセス回路32での画像処理についてはシステムコントローラ30内のタイミングジェネレータから出力されるクロックパルスに従って行われる。
【0026】
CCDプロセス回路32で処理された各色の一フレーム分のアナログ画素信号は順次アナログ/デジタル(A/D)変換器34に送られ、そこでデジタル画素信号に変換され、次いで各色の一フレーム分のデジタル画素信号はフレームメモリ36に一旦書き込まれて格納される。フレームメモリ36には各色の一フレーム分のデジタル画素信号を格納するための3つの格納領域が設けられる。フレームメモリ36からは一フレーム分の三原色のデジタル画素信号が同時に順次読み出され、このとき例えば緑色のデジタル画素信号には水平同期信号、垂直同期信号等を含む複合同期信号が付加される。要するに、一フレーム分の三原色のデジタル画素信号はフレームメモリ36からコンポーネントビデオ信号(R、G、B)として読み出されてビデオプロセス回路38に送られる。
【0027】
ビデオプロセス回路38には、コンポーネントビデオ信号の三原色カラービデオ信号成分に対応したデジタル/アナログ(D/A)及びローパスフィルタ等が設けられ、各色のビデオ信号成分はアナログビデオ信号成分に変換され、次いでローパスフィルタを経た後に適宜増幅されてカラーモニタ装置40に送られ、そこで被写体像がカラー画像として再現される。また、ビデオプロセス回路38にはカラーエンコーダが設けられ、そこでコンポーネントビデオ信号に基づいてコンポジットビデオ信号等が作成され、このコンポジットビデオ信号は別のモニタ装置、ビデオテープレコーダ、画像処理用コンピュータ等の周辺機器に対して外部に出力されるようになっている。
【0028】
なお、図1では、A/D変換器34、フレームメモリ36及びビデオプロセス回路38に対するシステムコントローラ30の接続関係についてはその複雑化を避けるために特に図示されていないが、A/D変換器34からのデジタル画素信号のサンプリング、フレームメモリ36に対するデジタル画素信号の書込み及び読出し並びにビデオプロセス回路でのビデオ信号の処理については、システムコントローラ30内のタイミングジェネレータから出力される種々のクロックパルスに従って行われ、また上述の複合同期信号は該タイミングジェネレータ内で生成される。
【0029】
図4を参照すると、絞り20がその駆動機構と共に図示される。絞り20は一対のブレード要素42及び44から成り、各ブレード要素(42、44)からはアーム部(42A、44A)が一体的に延びる。ブレード要素42及び44は互いに交差するような態様で枢着ピン46によって枢動自在に軸支され、ブレード要素42及び44の開度に応じて白色光源18から射出される白色光の光量が適宜調節される。絞り20の駆動機構はアーム部42A及び44Aの先端の間に作用させられた引張りコイルばね48を包含し、このコイルばね48によりブレード要素42及び44はその開度を狭めるような弾性的偏倚力を常に受ける。なお、枢動ピン46は画像信号処理ユニット12の筐体に対して適宜保持される。
【0030】
絞り20の駆動機構は更に一対のブレード要素42及び44の開度を調節するためにアーム部42A及び44A間に係合させられたカムピン50を包含し、このカムピン50は駆動板52の下端部に固着されて保持される。駆動板52の一方の側辺にはラック54が形成され、このラック54にはピニオン56が係合させられる。ピニオン56はサーボモータ或いはステップモータ等の適当な駆動モータ58の出力シャフト58A上に固着される。なお、駆動モータ58は画像信号処理ユニット12の筐体に対して適宜保持され、またラック54は適当なガイド手段(図示されない)によって摺動自在に適宜保持される。駆動モータ58が回転されると、駆動板52はカムピン50と共にその長手方向(即ち、図4において上下方向)に沿って移動させられ、その移動方向は駆動モニタ58の回転方向に依存する。要するに、駆動モータ58の回転方向に従って、ブレード要素42及び44の開度、即ち絞り開度が調節される。
【0031】
図1に示すように、駆動モータ58は駆動回路60によって駆動され、駆動回路60はシステムコントローラ30によって制御される。即ち、駆動回路60からは駆動モータ58に駆動パルスが出力され、この出力駆動パルス数を適宜制御することにより、駆動モータ58の回転量が調節され、また出力駆動パルスの相を逆相にすることにより、駆動モータ58の回転方向が逆転され、これにより絞り20の開度が調節される。勿論、駆動回路60から出力される駆動パルス数の制御及びその相の逆転制御についてはシステムコントローラ30によって行われる。
【0032】
図1に示すように、画像信号処理ユニット12にはランプ電源回路62が設けられ、このランプ電源回路62によって白色光源18への給電が行われる。なお、ランプ電源回路62は図示されないプラグを介して商用電源に接続され、かつシステムコントローラ30によって適宜制御される。
【0033】
また、図1に示すように、画像信号処理ユニット12にはヒストグラム抽出回路64が設けられ、このヒストグラム抽出回路64はビデオプロセス回路38に接続され、ビデオプロセス回路38内のカラーエンコーダから一フレーム分あるいは一フィールド分の輝度画素信号がヒストグラム抽出回路64に対して出力される。
【0034】
スコープ10側には図1に示すように適当な不揮発性メモリ例えば再書込み可能な読出し専用メモリ(EEPROM)66が設けられ、このEEPROM66にはそのスコープ10自体の種々の情報が書き込まれる。例えば、EEPROM66には、該スコープの種別データ、例えば胃用スコープ、気管支用スコープ或いは大腸用スコープ等の種別データが格納され、またそこで用いられるCCDイメージセンサ14の画素数データ、CCDドライバ28によって読み出されたアナログ画像信号を処理する際のクロックパルスの周波数情報等が格納される。スコープ10が画像信号処理ユニット12に連結されると、EEPROM66はシステムコントローラ30に接続され、このときシステムコントローラ30はEEPROM66内の情報データを読み出し、その情報データはシステムコントローラ30内のRAM内に格納される。
【0035】
図1に示すように、システムコントローラ30には更にキーボード67が接続され、このキーボード67を通して種々の指令信号や種々のデータ等が入力される。
【0036】
図5に示すように、画像信号処理ユニット12の筐体の外側壁面には操作パネル68が取り付けられ、この操作パネル68上には種々のスイッチ等が設けられる。また、図6を参照すると、操作パネル68上の種々のスイッチ等がシステムコントローラ30との関連でブロック図として示される。なお、図6では、システムコントローラ30のCPU、ROM、RAM及びI/Oがそれぞれ参照符号30A、30B、30C及び30Dで示され、これら構成要素は互いにバスで接続される。
【0037】
図5において、参照符号70は主電源回路(図示されない)の主電源ON/OFFスイッチを示し、この主電源ON/OFFスイッチ70により、商用電源から画像信号処理ユニット12への給電がON/OFFされる。要するに、主電源ON/OFFスイッチ70がONされると、画像信号処理ユニット12は作動可能状態となる。図5及び図6において、参照符号72はランプ電源回路62のON/OFFスイッチを示し、このランプ電源ON/OFFスイッチ72からはシステムコントローラ30に対してON/OFF信号が出力される。即ち、ランプ電源ON/OFFスイッチ72がONされると、これにより白色光源18はランプ電源62によって給電されて点灯される。また、図5及び図6において、参照符号73は調光モード選択スイッチを示し、この調光モード選択スイッチ73により平均輝度値モード及びピーク値モードのいずれかが選択される。なお、図5において、“モードA”は平均輝度モードを表し、“モードP”はピーク値モードを表し、同図の例では、調光モード選択スイッチ73により平均輝度値モードが選択されている。
【0038】
また、操作パネル68にはモニタ装置40の再現画像の全体の輝度を調節するためにUPボタンスイッチ74及びDOWNボタンスイッチ76が設けられる。図6に示すように、UPボタンスイッチ74は輝度増大パルス信号発生回路77を介してシステムコントローラ30のI/O30Dに接続され、この輝度増大パルス信号発生回路からはUPボタンスイッチ74が押下される度毎に輝度増大パルス信号がI/O30Dに対して出力され、輝度増大パルス信号の出力の度毎にモニタ装置40の再現画像の輝度レベルが所定値だけ段階的に増大させられる。また、DOWNボタンスイッチ76は輝度減少パルス信号発生回路78を介してシステムコントローラ30のI/O30Dに接続され、この輝度減少パルス信号発生回路からはDOWNボタンスイッチ76が押下される度毎に輝度減少パルス信号がI/O30Dに対して出力され、輝度減少パルス信号の出力の度毎にモニタ装置40の再現画像の輝度レベルが所定値だけ段階的に減少させられる。
【0039】
このようにモニタ装置40の再現画像の全体の輝度レベルはUPボタンスイッチ74及びDOWNボタンスイッチ76の押下操作により調節されるが、電子内視鏡の操作者にとっては、該輝度レベルがどの程度であるか認識されなければならない。この目的のために、操作パネル68上に輝度レベル表示器79が設けられ、この輝度レベル表示器79は図5に示すように操作パネル68上に上下方向に整列させられた13個の表示窓から成り、各表示窓は半透明の光拡散板から形成される。13個の表示窓にはそれぞれに隣接して“−6”から“+6”までの数字が付され、中央に位置する表示窓はその他の表示窓よりも大きく、そこには数字“0”が付される。
【0040】
輝度レベル表示器79は更に各表示窓の内側に配置された電気的発光体例えば発光ダイオード(LED)80-6、80-5、…800、…80+5及び80+6を包含し、これらLEDは図6では互いに整列された小ブロックとして図示され、個々の小ブロック内には上述の表示窓と対応した数字が付されている。個々のLED80-6、80-5、…800、…80+5及び80+6はLED電源回路82から給電されて点灯させられ、どのLEDを点灯させるかについては、LED電源回路82をシステムコントローラ30で制御することによって行われる。
【0041】
図7を参照すると、そこにはビデオプロセス回路38から得られる一フレーム分或いは一フィールド分のデジタル輝度画素信号に基づいてヒストグラム抽出回路64で展開されたヒストグラムの一例がグラフとして示される。同図に示すように、本実施形態にあっては、ヒストグラム抽出回路64では、一フレーム分或いは一フィールド分のデジタル輝度画素信号が256通りの輝度レベルに振り分けられる。要するに、図7のヒストグラムにおいては、その横軸Xに沿って256通りの輝度レベルが示され、その縦軸Yには各輝度レベルに対応したデジタル輝度画素信号の個数即ち度数が示される。輝度レベル0はぺデスタルレベルに対応するものであり、また輝度レベル255は最大輝度レベルに対応する。
【0042】
平均輝度値モード(モードA)下での自動調光については、各フレーム毎或いは各フィールド毎のデジタル輝度画素信号から算出される平均輝度値(va)に基づいて行われる。平均輝度値モードでは、システムコントローラ30により、平均輝度値が輝度参照値(vr)と一致するように絞り20の開度調節が行われる。即ち、平均輝度値が輝度参照値よりも大きければ大きい程、絞り20の開度が一層小さくなるように駆動モータ58が駆動され、これとは反対に平均輝度値が輝度参照値よりも小さければ小さい程、絞り20の開度が一層大きくなるように駆動モータ58が駆動される。
【0043】
一方、ピーク値モード(モードP)下での自動調光は、各フレーム毎或いは各フィールド毎のデジタル輝度画素信号の有効最大輝度値(vp)に基づいて行われる。本実施形態では、有効最大輝度値については、ヒストグラムの最大輝度値を含む高輝度レベル領域の総計度数が一フレーム分或いは一フィールド分の全画素数の5%となる境界での輝度値として定義される。具体的に述べると、一フレーム分或いは一フィールド分のデジタル輝度画素信号のヒストグラムが図8に示すようなものであるとき、有効最大輝度値は最大輝度値(図8の例では255)を含む高輝度レベル領域(斜線領域)の境界での輝度値(vp)とされ、この高輝度レベル領域はそこに含まれる総計度数(画素数)が一フレーム分或いは一フィールド分の全画素数の5%となる領域である。
【0044】
平均輝度値モードの場合と同様に、ピーク値モードにおいても、有効最大輝度値(vp)が輝度参照値(vr)と一致するように絞り20の開度調節が行われる。即ち、有効最大輝度値が輝度参照値よりも大きければ、絞り20の開度が小さくなるように駆動モータ58が駆動され、これとは反対に有効最大輝度値が輝度参照値よりも小さければ、絞り20の開度が大きくなるように駆動モータ58が駆動される。
【0045】
有効最大輝度値(vp)は平均輝度値(va)に比べると常に大きく、このためモニタ装置40の再現画像の輝度レベルについては平均輝度値モードの場合よりもピーク値モードの場合の方が一層低めとなり、このためピーク値モードでは局部的なハレーションが発生することは殆ど無い。しかしながら、既に述べたように、ピーク値モード下では、再現画像の明るさは平均輝度値モードと比べると暗めとなる。
【0046】
平均輝度値モードでもピーク値モードでも、輝度参照値(vr)については、UPボタンスイッチ74及びDOWNボタンスイッチ76の操作によって段階的に変えることが可能であり、これによりモニタ装置40の再現画像の全体の輝度レベルが電子内視鏡を使用する医者の好みに応じて適宜調節される。勿論、輝度参照値が増大させられると、再現画像の輝度レベルが上げられ、輝度参照値が減少させられると、再現画像の輝度レベルが下げられる。
【0047】
本実施形態では、輝度参照値(vr)は例えば80と200との間で調整可能とされ、その基準値即ち中間値は140とされる。輝度参照値が基準値140とされているとき、LED800(図6)が点灯させられる。UPボタンスイッチ74の押下操作が行われる度に輝度参照値に10が順次加算されると共にLED(80+1、80+2、…80+6)の点灯も上方に向かってシフトさせられる。例えば、vr=140のとき(LED800が点灯)、UPボタンスイッチ74が一回押下されると、vr=150とされ、このときLED800は消灯されてLED80+1が点灯される。このようにUPボタンスイッチ74を押下することにより、輝度参照値は最大値200まで増大させられる。一方、DOWNボタンスイッチ76の押下操作が行われる度に輝度参照値からは10が順次減算されると共にLED(80-1、80-2、…80-6)の点灯も下方に向かってシフトさせられる。例えば、vr=140のとき(LED800が点灯)、DOWNボタンスイッチ76が一回押下されると、vr=130とされ、このときLED800は消灯されてLED80-1が点灯される。このようにDOWNボタンスイッチ76を押下することにより、輝度参照値は最小値80まで減少させられる。
【0048】
以上に述べた平均輝度値モードによる自動調光及びピーク値モードによる自動調光は共に従来から提案されているものと同様であり、いずれの調光モードを選択するかは上述したように調光モード選択スイッチ73の切換操作によって行われる。
【0049】
本発明の第1の局面によれば、平均輝度値(va)は各フレーム毎或いは各フィールド毎のデジタル輝度画素信号のヒストグラムから所定の低輝度値例えば輝度値35以下の度数データを除外したものから算出される。即ち、本発明の第1の局面では、平均輝度値は以下のような演算式により求められる。
va=[Σ(bi*ni)]/(Σni)
ここで、i=36〜255
【0050】
上記式中、biは各輝度レベル(36から255)に対応した輝度値を示し、ここでは、その輝度値として、各輝度レベルを表す数値が用いられる。即ち、輝度レベル36ないし255に対応した輝度値はそれぞれ36ないし255とされる。また、niは各輝度レベル(36から255)に振り分けられたデジタル輝度画素信号の度数(画素数)を示し、Σniはヒストグラムのうちの輝度値36以上の度数データの総和を示す。
【0051】
以上の記載から明らかなように、本発明の第1の局面においては、平均輝度値(va)はヒストグラムから輝度値35以下のほぼ真っ暗な画素の度数データを除外して、観察したい明るい画素についてだけから算出されるので、従来提案されている平均輝度値モードではハレーションとなっていた部分が適正輝度値となり、かくして局部的なハレーションの発生頻度は確実に抑えられ得る。
【0052】
要するに、輝度値35以下の画素に対応したモニタ装置40の再現画像箇所はほぼ真っ暗な状態となるので、該モニタ装置40の再現画像の全体的な輝度レベルを評価する上で、輝度値35以下の画素は有効なデータとはならず、却ってモニタ装置40の再現画像の平均輝度レベルを不当に低く評価するものとなる。かくして、平均輝度値(va)を求める際に輝度値35以下の画素(度数データ)を除外することにより、その平均輝度値(va)はモニタ装置40の再現画像の平均輝度レベルを一層適正に評価し得る値となって、局部的なハレーションの発生が効果的に抑えられ得ることとなる。
【0053】
本発明の第2の局面によれば、第1の平均輝度値(va1)と第2の平均輝度値(va2)が各フレーム毎或いは各フィールド毎のデジタル輝度画素信号のヒストグラムから算出される。即ち、第1及び第2の平均輝度値のそれぞれは以下のような演算式(1)及び(2)により求められる。
va1=[Σ(bi*ni)]/(Σni) … (1)
ここで、i=0〜255
va2=[Σ(bi*ni)]/(Σni) … (2)
ここで、i=36〜255
【0054】
上述した平均輝度値(va)の演算式の場合と同様に、上記(1)式中、biは各輝度レベル(0から255)に対応した輝度値を示し、ここでは、その輝度値として、各輝度レベルを表す数値が用いられる。即ち、輝度レベル0ないし255に対応した輝度値のそれぞれは0ないし255とされる。また、niは各輝度レベル(0から255)に振り分けられたデジタル輝度画素信号の度数(画素数)を示し、Σniはヒストグラムの全度数データの総和を示す。一方、上記(2)式は上述の平均輝度値(va)の演算式と同じである。要するに、本発明の第2の局面においては、各フレーム毎或いは各フィールド毎のデジタル輝度画素信号のヒストグラムの全度数データから算出された第1の平均輝度値(va1)と該ヒストグラムから低輝度値(35以下)の度数データを除外したものから算出された第2の平均輝度値(va2)との双方が算出される。
【0055】
本発明の第2の局面によれば、モニタ装置40の再現画像に局部的なハレーションが発生しているか否かが監視され、局部的なハレーションの発生が検出されないときは、平均輝度値モード下での自動調光は第1の平均輝度値(va1)に基づいて行われ、局部的なハレーションの発生が検出されると、平均輝度値モード下での自動調光は第2の平均輝度値(va2)に基づいて行われる。勿論、第2の平均輝度値はヒストグラムから低輝度値(35以下)のヒストグラムデータを除外したものから算出されるので、第2の平均輝度値は第1の平均輝度値よりも大きな値となり、モニタ装置40の再現画像の輝度レベルについては第1の平均輝度値に基づく自動調光の場合よりも第2の平均輝度値に基づく自動調光の場合の方が低めになり(要するに、va 2 >va 1 なので、絞り20の開度はより小さくなり)、これにより局部的なハレーションの発生は効果的に抑えられ得る。
【0056】
本発明の第2の局面においては、モニタ装置40の再現画像に局部的なハレーションが発生しているか否かを監視するために、ハレーション状態変数(vh)が導入され、このハレーション状態変数を所定の値と比較することにより、局部的なハレーションの発生の有無が検出される。
【0057】
詳述すると、ハレーション状態変数(vh)は以下のように定義される。
vh=(100*x)/(Σni)
ここで、i=0〜255
上記式中、xは一フレーム分或いは一フィールド分のデジタル輝度画素信号から得られたヒストグラムのうちの輝度値220以上の度数データの総和であり、またΣniは該ヒストグラムの全度数データの総和を示す。要するに、ハレーション状態変数は一フレーム分或いは一フィールド分のデジタル輝度画素信号の総和に対する輝度値220以上の画素数の百分率として定義される。
【0058】
本発明の第2の局面においては、ハレーション状態変数(vh)が例えば6%を上回ったとき、モニタ装置40の再現画像に局部的なハレーションが発生したとされる。従って、vh<6%では、平均輝度値モードによる自動調光は第1の平均輝度値(va1)に基づいて行われるが、vh≧6%となったとき、平均輝度値モードによる自動調光は第2の平均輝度値(va2)に基づいて行われる。
【0059】
図9を参照すると、本発明の第1の局面による絞り制御ルーチンのフローチャートが示される。この絞り制御ルーチンはシステムコントローラ30で実行されるものであって、例えば映像再現方式としてNTSC方式が採用されている場合には1/30sec毎に実行される時間割込みルーチンとされる。なお、絞り制御ルーチンの実行開始は主電源ON/OFFスイッチ70がONされてシステムコントローラ30で所定の初期化処理が行われた後とされる。
【0060】
先ず、ステップ901では、ヒストグラムの全データがシステムコントローラ30に取り込まれる。次いでステップ902では、モード設定変数vmが0であるか1であるかが判断される。このモード設定変数vmはモード設定フラグとして機能するものであり、調光モード選択スイッチ73により平均輝度値モードが選択されているとき、モード設定変数vmには0が与えられ、調光モード選択スイッチ73によりピーク値モードが選択されているとき、モード設定変数vmには1が与えられる。
【0061】
vm=0のとき、即ち平均輝度値モードが選択されているとき、ステップ903に進み、そこでヒストグラムから平均輝度値vaが以下の演算式に基づいて算出される。
va=[Σ(bi*ni)]/(Σni)
ここで、i=36〜255
既に述べたように、上記式中、biは各輝度レベル(36から255)に対応した輝度値を示し、niは各輝度レベル(36から255)に振り分けられたデジタル輝度画素信号の度数(画素数)を示し、Σniはヒストグラムのうちの輝度値36以上の度数データの総和を示す。
【0062】
一方、ステップ902でvm=1であるとき、即ちピーク値モードが選択されているとき、ステップ905に進み、そこで有効最大輝度値vpが算出される。既に述べたように、有効最大輝度値vpの算出はヒストグラムの最大輝度値を含む高輝度レベル領域の総計度数が一フレーム分或いは一フィールド分の全画素数の5%となる境界での輝度値として定義される。なお、有効最大輝度値vpの算出については、図11に示す有効最大輝度値算出ルーチンを参照して後で詳しく説明する。
【0063】
ステップ903で算出された平均輝度値vaはステップ904で調光変数vyに与えられ、またステップ905で得られた有効最大輝度値vpはステップ906で調光変数vyに与えられる。
【0064】
いずれにしても、ステップ907では、差|vy−vr|が例えば許容値4より大きいか否かが判断される。既に述べたように、変数vrはモニタ装置40の再現画像の明るさ(輝度レベル)を表す輝度参照値であり、この輝度参照値vrはUPボタンスイッチ74及びDOWNボタンスイッチ76の押下操作によって80と200との間で任意に設定される値である。要するに、差|vy−vr|が許容値4以下であれば、調光変数vyと輝度参照値vrとは互いに実質的に一致するものとして判断され、このとき本ルーチンは一旦終了する。その後、本ルーチンは1/30sec毎に繰り返し実行されるが、差|vy−vr|が許容値4以下である限り、絞り20の開度調整が行われることはない。
【0065】
一方、差|vy−vr|が許容値4を上回る場合には、調光変数vyと輝度参照値vrとを互いに実質的に一致させるべく、ステップ908ないし911で絞り20の開度調整が行われる。
【0066】
詳しく述べると、先ず、ステップ908で調光変数vyが輝度参照値vrを上回るか否かが判断される。もしvy>vrであれば、モニタ装置40の再現画像の輝度レベルは輝度参照値vrよりも明る過ぎることになり、この場合にはステップ909に進み、そこで変数vdに0が与えられる。一方、もしvy<vrであれば、モニタ装置40の再現画像の輝度レベルは輝度参照値vrよりも暗過ぎることになり、この場合にはステップ910に進み、そこで変数vdに1が与えられる。変数vdは絞り20の駆動モータ58の回転方向を設定するための駆動方向設定フラグとして機能し、vd=0のとき、駆動モータ58は絞り20の開度を狭める方向に駆動させられることになり、vd=1のとき、駆動モータ58は絞り20の開度を広げる方向に駆動させられることになる。
【0067】
いずれにしても、ステップ911では、差|vy−vr|の大きさに応じた数の駆動パルスが駆動回路60から駆動モータ58に対して出力され、これにより絞り20の開度調整が行われる。差|vy−vr|の大きさと駆動パルス数との関係は図10の表に示す通りである。同表に示すように、差|vy−vr|が大きければ大きい程、即ちモニタ装置40の再現画像の明るさを表す調光変数vyが輝度参照値vrから乖離すればする程、駆動回路60から駆動モータ58に対して出力されるべき駆動パルス数は増大させられ、このためモニタ装置40の再現画像の明るさを輝度参照値vrに速やかに一致させることが可能となる。
【0068】
以上で述べたような絞り制御ルーチンにあっては、平均輝度値モードの選択時(vm=0)、平均輝度値vaはヒストグラムから輝度値35以下の度数データを除外したものから算出されるので、該ヒストグラムの全度数データから算出された平均輝度値に比べて大きな値のものとなり、このためモニタ装置40の再現画像の輝度レベルについては、従来提案されている平均輝度値モードに比べると常に低めとなり(要するに、絞り20の開度はより小さくなり)、かくして局部的なハレーションの発生頻度は確実に抑えられ得ることとなる。なお、平均輝度値vaがヒストグラムから輝度値35以下の度数データを除外したものから算出されたとしても、その平均輝度値va自体は有効最大輝度値vpまで増大することはないので、モニタ装置40の再現画像の輝度レベルがピーク値モード時まで低下することはない。
【0069】
図11を参照すると、図9の絞り制御ルーチンのステップ905で実行される有効最大輝度値算出ルーチンのフローチャートが示される。また、図12を参照すると、ヒストグラム抽出回路64からシステムコントローラ30のRAM30Cに取り込まれたヒストグラムデータがアドレスとの関係で模式的に示されている。同図に示すように、アドレス[000]には最低輝度値の度数データY[000]が格納され、アドレスが1ずつ増える毎にそのアドレスには最低輝度値から1ずつ増大した輝度値の度数データY[i]が格納され、アドレス[255]には最大輝度値の度数データY[255]が格納される。有効最大輝度値vpの算出については図12に示すようなヒストグラムデータに基づいて行われる。
【0070】
ステップ1101では、先ず、変数iに数値255が与えられ、次いでステップ1102では、カウンタcnがリセットされる。次いで、ステップ1103では、閾値THが以下の演算により求められる。
TH←0.05*Σni
即ち、一フレーム分或いは一フィールド分の全画素数Σniの5%に相当する画素数が閾値THとして設定される。
【0071】
ステップ1104では、カウンタcnに最大輝度値255の度数データY[255]が与えられる。次いで、ステップ1105では、カウンタcnのカウント値が閾値THと比較される。もしカウンタcnのカウント値が閾値THよりも小さければ(cn<TH)、ステップ1106に進み、そこで変数iは1だけ減算され、その数値は最大輝度値255よりも1だけ小さい値254とされる。
【0072】
続いて、ステップ1106からステップ1104に戻り、そこでカウンタcnのカウント値(最大輝度値255の度数データY[255])に輝度値254の度数データY[254]が更に加えられる。ステップ1105では、度数カウントcnのカウント値が再び閾値THと比較される。要するに、カウンタcnのカウント値が閾値THに到達するまで、最大輝度値255から1ずつ小さい輝度値の度数データY[i]が順次カウンタcnに加えられる。
【0073】
ステップ1105でcn≧THとなったとき、ステップ1105からステップ1107に進み、そこで変数iの値が有効最大輝度値vpとされる。有効最大輝度値vpが求められた後、図9の絞り制御ルーチンのステップ905に戻る。
【0074】
図13を参照すると、本発明の第2の局面による絞り制御ルーチンのフローチャートが示される。この絞り制御ルーチンもシステムコントローラ30で実行されるものであって、例えば映像再現方式としてNTSC方式が採用されている場合には1/30sec毎に実行される時間割込みルーチンとされる。なお、本発明の第2の局面による絞り制御ルーチンの実行開始も主電源ON/OFFスイッチ70がONされてシステムコントローラ30で所定の初期化処理が行われた後とされる。
【0075】
先ず、ステップ1301では、ヒストグラムの全データがシステムコントローラ30に取り込まれる。次いで、ステップ1302でハレーション状態変数vhが算出される。既に述べたように、ハレーション状態変数vhは一フレーム分或いは一フィールド分のデジタル輝度画素信号の総和に対する輝度値220以上の画素数の百分率として定義されものであって、その値vhが大きくなればなる程、局部的なハレーションの発生の可能性が高くなる。なお、ハレーション状態変数vhの算出については、図14に示すハレーション状態変数算出ルーチンを参照して後で詳しく説明する。
【0076】
ステップ1303では、モード設定変数vmが0であるか1であるかが判断される。このモード設定変数vmは本発明の第1の局面の場合と同様にモード設定フラグとして機能するものであり、調光モード選択スイッチ73により平均輝度値モードが選択されているとき、モード設定変数vmには0が与えられ、調光モード選択スイッチ73によりピーク値モードが選択されているとき、モード設定変数vmには1が与えられる。
【0077】
vm=0のとき、即ち平均輝度値モードが選択されているとき、ステップ1304に進み、そこでハレーション状態変数vhが6%を下回っているか否かが判断される。上述したように、ハレーション状態変数vhが6%を上回ったとき、モニタ装置40の再現画像に局部的なハレーションが発生したとされる。要するに、ステップ1304では、モニタ装置40の再現画像上で局部的なハレーションの発生の有無が検出される。
【0078】
vh<6%のとき、即ち再現画像に局部的なハレーションの発生が認められないとき、ステップ1305に進み、そこで第1の平均輝度値va1がヒストグラムから以下の演算式に基づいて演算される。
va1=[Σ(bi*ni)]/(Σni)
ここで、i=0〜255
既に述べたように、biは各輝度レベル(0から255)に対応した輝度値を示し、niは各輝度レベル(0から255)に振り分けられたデジタル輝度画素信号の度数(画素数)を示し、Σniはヒストグラムの全度数データの総和を示す。
【0079】
一方、もしvh≧6%のとき、即ち再現画像に局部的なハレーションの発生が認められるとき、ステップ1306に進み、そこで第2の平均輝度値va2がヒストグラムから以下の演算式に基づいて演算される。
va2=[Σ(bi*ni)]/(Σni)
ここで、i=36〜255
勿論、この第2の平均輝度値va2は本発明の第1の局面で算出された平均輝度値vaと同様なものである。即ち、第2の平均輝度値va2はヒストグラムから輝度値35以下の度数データを除外したものから算出される。
【0080】
一方、ステップ1303でvm=1のとき、即ちピーク値モードが選択されているとき、ステップ1307に進み、そこで有効最大輝度値vpが算出される。本発明の第1の局面の場合と同様、有効最大輝度値vpの算出は図11に示す有効最大輝度値算出ルーチンの実行により行われる。
【0081】
ステップ1305で得られた第1の平均輝度値va1はステップ1308で調光変数vyに与えられ、ステップ1306で得られた第2の平均輝度値va2はステップ1309で調光変数vyに与えられ、ステップ1307で得られた有効最大輝度値vpはステップ1310で調光変数vyに与えられる。
【0082】
いずれにしても、ステップ1311では、差|vy−vr|が例えば許容値4より大きいか否かが判断される。本発明の第1の局面の場合と同様に、変数vrはモニタ装置40の再現画像の明るさ(輝度レベル)を表す輝度参照値であり、この輝度参照値vrはUPボタンスイッチ74及びDOWNボタンスイッチ76の押下操作によって80と200との間で任意に設定される値である。要するに、差|vy−vr|が許容値4以下のとき、調光変数vyと輝度参照値vrとは互いに実質的に一致するものとして判断され、このとき本ルーチンは一旦終了する。その後、本ルーチンは1/30sec毎に繰り返し実行されるが、差|vy−vr|が許容値4以下である限り、絞り20の開度調整が行われることはない。
【0083】
一方、差|vy−vr|が許容値4を上回る場合には、調光変数vyと輝度参照値vrとを互いに実質的に一致させるべく、ステップ1312ないし1315で絞り20の開度調整が行われる。
【0084】
詳述すると、先ず、ステップ1312で調光変数vyが輝度参照値vrを上回るか否かが判断される。もしvy>vrであれば、モニタ装置40の再現画像の輝度レベルは輝度参照値vrよりも明る過ぎることになり、この場合にはステップ1313に進み、そこで変数vdに0が与えられる。一方、もしvy<vrであれば、モニタ装置40の再現画像の輝度レベルは輝度参照値vrよりも暗過ぎることになり、この場合にはステップ1314に進み、そこで変数vdに1が与えられる。本発明の第1の局面の場合と同様に、変数vdは絞り20の駆動モータ58の回転方向を設定するための駆動方向設定フラグとして機能し、vd=0のとき、駆動モータ58は絞り20の開度を狭める方向に駆動させられることになり、vd=1のとき、駆動モータ58は絞り20の開度を広げる方向に駆動させられることになる。
【0085】
いずれにしても、ステップ1315では、差|vy−vr|の大きさに応じた数の駆動パルスが駆動回路60から駆動モータ58に対して出力され、これにより絞り20の開度調整が行われる。勿論、本発明の第1の局面の場合と同様に、差|vy−vr|の大きさと駆動パルス数との関係は図10の表に示したものとなる。即ち、差|vy−vr|が大きければ大きい程、即ちモニタ装置40の再現画像の明るさを表す調光変数vyが輝度参照値vrから乖離すればする程、駆動回路60から駆動モータ58に対して出力されるべき駆動パルス数は増大させられ、このためモニタ装置40の再現画像の明るさを輝度参照値vrに速やかに一致させることが可能となる。
【0086】
以上で述べたような絞り制御ルーチンにあっては、平均輝度値モードの選択時には、モニタ装置40の再現画像に局部的なハレーションの発生の有無が検出され、局部的なハレーションの発生が認められないとき、平均輝度値モードによる光量調節は従来の場合と同様にヒストグラムの全データから算出された第1の平均輝度値(va1)に基づいて行われ、局部的なハレーションの発生が認められたとき、平均輝度値モードによる光量調節はヒストグラムから輝度値35以下の度数データを除外したものから算出された第2の平均輝度値(va2)に基づいて行われる。かくして、局部的なハレーションの発生時には、モニタ装置40の再現画像の輝度レベルは低めとなるので、(要するに、絞り20の開度はより小さくなり)、局部的なハレーションの発生は効果的に抑えられ得ることとなる。
【0087】
要するに、先にも述べたように、輝度値35以下の画素に対応したモニタ装置40の再現画像箇所はほぼ真っ暗な状態となるので、該モニタ装置40の再現画像の全体的な輝度レベルを評価する上で、輝度値35以下の画素は有効なデータとはならず、却ってモニタ装置40の再現画像の平均輝度レベルを不当に低く評価するものとなる。かくして、第2の平均輝度値(va2)を求める際に輝度値35以下の画素(度数データ)を除外することにより、第2の平均輝度値(va2)はモニタ装置40の再現画像の平均輝度レベルを一層適正に評価し得る値となって、局部的なハレーションの発生が効果的に抑えられ得ることとなる。
【0088】
図14を参照すると、図13の絞り制御ルーチンのステップ1302で実行されるハレーション状態変数算出ルーチンのフローチャートが示される。なお、ハレーション状態変数vhの算出についても図12に示すようなヒストグラムデータに基づいて行われる。
【0089】
ステップ1401では、先ず、変数iに数値255が与えられ、次いでステップ1402では、カウンタcnがリセットされる。続いて、ステップ1403では、カウンタcnに最大輝度値255の度数データY[255]が与えられる。次いで、ステップ1404では、変数iがハレーションを引き起し得る高輝度値220に対応した数値220に到達したか否かが判断される。もしi>220であれば、ステップ1405に進み、そこで変数iは1だけ減算され、その数値は最大輝度値255よりも1だけ小さい値254とされる。
【0090】
続いて、ステップ1405からステップ1403に戻り、そこでカウンタcnのカウント値(最大輝度値255の度数データY[255])に輝度値254の度数データY[254]が更に加えられる。ステップ1404では、変数iが数値220に到達したか否かが再び判断される。即ち、変数iが数値220に到達するまで、変数iが1ずつ減算されると共にその変数に対応した度数データY[i]が順次カウンタcnに加えられる。
【0091】
ステップ1404でi=220となったとき、ステップ1404からステップ1406に進み、カウンタcnのカウント値(即ち、輝度値220以上の度数データの総計値)がxとされる。次いで、ステップ1407では、ハレーション状態変数vhが以下の演算式に基づいて算出される。
vh=(100*x)/(Σni)
ここで、i=0〜255
即ち、先に述べたように、ハレーション状態変数は一フレーム分或いは一フィールド分のデジタル輝度画素信号の総和に対する輝度値220以上の画素数の百分率として定義される。
【0092】
ところで、図13に示す絞り制御ルーチンにおいて、局部的なハレーションが発生し得る条件下でスコープ10の遠位端即ち撮像センサ14が被写体に対して静止され続けたとすると、第2の平均輝度値va2に基づく光量調節のために絞り20は一旦は狭められてモニタ装置40の再現画像の明るさは適正輝度レベルとされる。しかしながら、その直後の光量調節は第1の平均輝度値va1に基づくものとなって絞り20の開度は広げられ、その結果局部的なハレーションが再び発生することになる。即ち、局部的なハレーションが発生し得る条件下で撮像センサ14が被写体に対して静止され続けた場合には、モニタ装置40の再現画像には局部的なハレーションが繰り返し発生するという不具合が起き得る。ところが、実際問題としては、電子内視鏡の使用時に撮像センサ14が被写体に対して静止され続けるというようなことは稀であり、殆どの場合には、撮像センサ14の移動に伴い、局部的なハレーションの発生条件は速やかに回避され得ることになる。
【0093】
図15及び図16を参照すると、図13に示した絞り制御ルーチンの変形例のフローチャートが示される。この変形例では、局部的なハレーションが発生し得る条件下で撮像センサ14が被写体に対して静止され続けたとしても、モニタ装置40の再現画像に局部的なハレーションが繰り返し発生するという不具合が起き得ないようにされている。なお、繰り返し述べるが、このような不具合が起きる可能性はきわめて稀であり、図13の絞り制御ルーチンでも実用上は殆ど問題はない。
【0094】
図15及び図16に示す変形例では、上述したような不具合を回避するために変数vcが導入される。ここで、変数vcの機能について説明すると、変数vcにはフラグとしての機能が与えられ、vc=0のときだけ、光量調節は第1の平均輝度値va1に基づいて行われ、vc≠0のとき、光量調節は常に第2の平均輝度値va2に基づいて行われる。また、変数vcには後述するように減算カウンタとしての機能も与えられ、局部的なハレーションの発生が検出されたとき、変数vcには適当な初期値例えば3が与えられ、その後所定条件下で1ずつ減算され、vc=0となるまでは、第2の平均輝度値va2に基づく光量調節が持続される。なお、図15及び図16のフローチャートでは、図13のフローチャートと同様なステップには同じ番号が付され、図13のフローチャートに追加されたステップに対して1500番代の番号が付されている。
【0095】
ステップ1304でvh≧6%のとき、即ち局部的なハレーションの発生が検出されたとき、ステップ1304からステップ1501に進み、そこで変数vcに上述したように適当な数値3が与えられる。なお、変数vcはシステムコントローラ30の初期化処理で0とされ、局部的なハレーションの発生が検出されるまでは、vc=0の儘となっている。次いで、ステップ1306で第2の平均輝度値va2が算出される。要するに、図15及び図16の変形例では、局部的なハレーションの発生が検出されると、変数vcに初期値として3が与えられた後、第2の平均輝度値va2に基づく光量調節が行われ、これにより局部的なハレーションの発生が回避される。
【0096】
一方、ステップ1304でvh<6%のとき、即ち局部的なハレーションの発生が検出されないとき、ステップ1304からステップ1502に進み、そこで変数vcが0であるか否かが判断される。vc=0のとき、ステップ1305に進み、そこで第1の平均輝度値va1が算出され、このため光量調節は第1の平均輝度値va1に基づいて行われる。一方、vc≠0のときは、ステップ1502からステップ1306に進み、そこで第2の平均輝度値va2が算出され、このため第2の平均輝度値va2に基づく光量調節が行われる。
【0097】
ステップ1312でvy>vrであれば、ステップ1503に進み、そこで変数vcが0以外の値を取るか否かが判断される。もしvc≠0であれば、ステップ1504に進み、変数vcには再び初期値として3が与えられる。一方、もしvc=0であるならば、ステップ1504を迂回してステップ1313及び1315に進み、そこで差|vy−vr|の大きさに応じて絞り20の開度が狭められる。
【0098】
ステップ1312でvy<vrであれば、ステップ1312からステップ1505に進み、そこで変数vcが0であるか否かが判断される。もしvc=0であるならば、ステップ1314及び1315に進み、そこで差|vy−vr|の大きさに応じて絞り20の開度が広げられる。一方、もしvc≠0であれば、ステップ1505からステップ1506に進み、そこで差(vr−vy)が所定の許容値例えば16を上回っているか否かが判断される。差(vr−vy)が許容値16以下であれば、本ルーチンは一旦終了し、その後vr>vy、vc≠0且つ(vr−vy)≦16である限り、絞り20の開度調節は行われない。
【0099】
一方、ステップ1506で差(vr−vy)が許容値16を上回っているときには、ステップ1506からステップ1507に進み、そこで変数vcから1だけ減算される。ステップ1312でvy≦vr、ステップ1505でvc≠0及びステップ1506で(vr−vy)>16という条件が3回連続して成立した場合にのみ、変数vcは0まで減算され、このとき第1の平均輝度値va1に基づく光量調節に戻る。かくして、局部的なハレーションが発生し得る条件下で撮像センサ14が被写体に対して静止され続けたとしても、変数vcが0まで減算されない間は(要するに、再現画像が暗くなり過ぎるという状況の変化が起きなければ)、第2の平均輝度値va2に基づく光量調節が持続されるので、上述したようにモニタ装置40の再現画像に局部的なハレーションが繰り返し発生するという不具合は回避され得る。
【0100】
以上で述べた実施形態にあっては、カラー画像を再現するために面順次方式が採用されているが、カラー画像を再現するために所謂同時方式を採用してもよい。即ち、撮像センサ14として、その受光面にモザイク状のカラーフィルタを設けたものを使用してもよく、この場合にはRGBカラーフィルタ24は勿論必要とされない。
【0101】
また、以上で述べた実施形態にあっては、照明光源としてキセノンランプ或いはハロゲンランプ等の白色光源を画像信号処理ユニット12内に設け、その照明光を照明用光ガイド16によってスコープ10の先端側に導く構成とされているが、しかし照明光源として発光ダイオード(LED)のような半導体発光素子を使用してもよく、このような半導体発光素子はスコープ10側に設けることが可能である。例えば、カラー画像再現のために面順次方式が採用される場合には、三原色の発光ダイオード、即ち赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード及び青色発光ダイオードを設け、これら三原色発光ダイオードを周期的に発光させることにより、被写体を赤色光、緑色光及び青色光で順次照明することができる。また、カラー画像再現のために同時方式が採用されている場合には、三原色の発光ダイオードを同時に発光させて白色光で被写体を照明してもよいし、或いは白色光発光ダイオードを用いることもできる。
【0102】
発光ダイオード(LED)を照明光源として用いる場合には、絞りを排除して該発光ダイオードの通電量を制御して照明光量を制御することができる。この場合には、図9に示す絞り制御ルーチンと、図13に示す絞り制御ルーチンと、図15及び図16に示す絞り制御ルーチンとはそれぞれLED駆動ルーチンとされ、図9のステップ911及び図13(図15)のステップ1315のそれぞれでは、|vy−vr|の大きさに応じてLEDの駆動電流が制御される。即ち、vd=0のとき(ステップ909またはステップ1313)、LEDの駆動電流は|vy−vr|の大きさに応じて減少させられ、vd=1のとき(ステップ910またはステップ1314)、LEDの駆動電流は|vy−vr|の大きさに応じて増大させられる。
【0103】
また、発光ダイオードを照明光源としてスコープ10側に設ける場合には、発光ダイオードをスコープ10の先端面に直接配置してもよいし、或いはスコープ10内に配置して光ガイドでスコープ10の先端面に導くようにすることもできる。
【0104】
【発明の効果】
以上の記載から明らかなように、本発明による電子内視鏡にあっては、平均輝度値モードによる自動調光による利点、即ちモニタ装置の再現画像を比較的明るい状態で観察し得るといる利点を生かしつつ、再現画像での局部的なハレーションの発生を防止或いは回避し得るという作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子内視鏡の概略ブロック図である。
【図2】図1に示す回転式RGBカラーフィルタの正面図である。
【図3】図2に示す回転式RGBカラーフィルタをその駆動モータと共に示す側面図である。
【図4】図1に示す絞りをその駆動機構と共に示す概略正面図である。
【図5】本発明による電子内視鏡の画像信号処理ユニットに設けられる操作パネルの正面図である。
【図6】図5に示す操作パネル上に設けられた種々のスイッチ等とシステムコントローラの関係を示すブロック図である。
【図7】図1に示すヒストグラム抽出回路で展開されるヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図8】ヒストグラムの有効最大輝度値の定義を模式的に示すグラフである。
【図9】本発明の第1の局面による絞り制御ルーチンのフローチャートである。
【図10】図9に示す絞り制御ルーチンの実行時に絞りの駆動モータに出力されるべき駆動パルス数と、モニタ装置の再現画像の輝度値と輝度参照値との差の大きさとの関係を示す表である。
【図11】図9に示す絞り制御ルーチンの実行時にサブルーチンとして実行される有効最大輝度値算出ルーチンのフローチャートである。
【図12】図1に示すヒストグラム抽出回路から取り込まれてシステムコントローラのメモリに格納されたヒストグラムの度数データとそのアドレスとの関係を示す表である。
【図13】本発明の第2の局面による絞り制御ルーチンのフローチャートである。
【図14】図13に示す絞り制御ルーチンの実行時にサブルーチンとして実行されるハレーション状態変数算出ルーチンのフローチャートである。
【図15】図13の絞り制御ルーチンの変形例のフローチャートの一部分である。
【図16】図13の絞り制御ルーチンの変形例のフローチャートの残りの部分である。
【符号の説明】
10 スコープ
12 画像信号処理ユニット
14 撮像センサ
16 光ガイド
18 白色光源
20 絞り(調光手段)
24 回転式RGBカラーフィルタ
28 CCDドライバ
30 システムコントローラ
32 CCDプロセス回路
34 アナログ/デジタル(A/D)変換器
36 フレームメモリ
38 ビデオプロセス回路
40 モニタ装置
64 ヒストグラム抽出回路
68 操作パネル
70 電源スイッチ
72 ランプ電源ON/OFFスイッチ
73 調光モード選択スイッチ
74 UPボタンスイッチ
76 DOWNボタンスイッチ
82 LED電源回路
Claims (5)
- スコープと、このスコープの先端前方を照明するための照明手段と、前記スコープの先端側に設けられた撮像手段と、この撮像手段から得られる輝度画素信号に基づいて前記照明手段による照明光量を調節する調光手段とを具備して成る電子内視鏡であって、前記調光手段が前記輝度画素信号の平均輝度値を所定の輝度参照値に実質的に一致させるように光量調節を行うように構成された電子内視鏡において、
前記調光手段が前記輝度画素信号の一フレーム分もしくは一フィールド分に基づいて第1の平均輝度値を算出する第1の算出手段と、前記輝度画素信号の一フレーム分もしくは一フィールド分から所定の低輝度値以下の輝度画素信号を除外したものに基づいて第2の平均輝度値を算出する第2の算出手段と、前記輝度画素信号の一フレーム分もしくは一フィールド分に基づいて局部的なハレーションの発生の有無を検出する検出手段とを包含し、この検出手段により局部的なハレーションの発生が検出されないとき、前記第1の平均輝度値を用いて前記調光手段による第1の光量調節が行われ、前記検出手段により局部的なハレーションの発生が検出されたとき、前記第2の平均輝度値を用いて前記調光手段による第2の光量調節が行われることを特徴とする電子内視鏡。 - 請求項1に記載の電子内視鏡において、前記輝度画素信号の一フレーム分もしくは一フィールド分に基づいてヒストグラムを展開するヒストグラム抽出手段が設けられ、前記第1の平均輝度値及び前記第2の平均輝度値が前記ヒストグラムに基づいて算出され、前記検出手段による局部的なハレーションの発生の有無が前記ヒストグラムに基づいて行われることを特徴とする電子内視鏡。
- 請求項1または2に記載の電子内視鏡において、前記第2の光量調節時に前記第2の平均輝度値が前記所定の輝度参照値よりも小さくしかもその差が連続して所定回数2回以上所定の値よりも大きいとき、前記第2の光量調節から前記第1の光量調節への移行が行われることを特徴とする電子内視鏡。
- 請求項2または3に記載の電子内視鏡において、前記検出手段が前記ヒストグラムから局部的なハレーションの発生状態を評価するハレーション状態変数を算出するハレーション状態変数算出手段と、該ハレーション状態変数を所定の値と比較する比較手段とから成り、前記ハレーション状態変数が前記所定の値を上回った際に局部的なハレーションの発生が検出されたとされることを特徴とする電子内視鏡。
- 請求項4に記載の電子内視鏡において、前記ハレーション状態変数が前記輝度画素信号の一フレーム分或いは一フィールド分の全画素数に対する所定の高輝度値以上の画素数の比率として定義されることを特徴とする電子内視鏡。
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