JP4692723B2 - 非接触型変位センサ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、検出対象に対する移動量を磁気回路を介して検出する非接触変位センサ装置に関するものである。
図10(a)は従来の非接触変位センサ装置の構成を示し、図10(b)はセンサ出力を示す。
図10(a)において、センサ11はコア12、コイル13からなり、検出対象14はコア12とのギャップgが異なる凹凸面15を有する磁性体からなる。コイル13に交流電流が流れると、センサ11と検出対象14との間に磁気回路が構成される。検出対象14が矢印方向に移動すると、検出対象14である磁性体と凹凸面15とのギャップgの変化に応じてコイル13のインダクタンスが変化し、図10(b)のように検出対象14の移動量に応じた正弦波状の出力が得られる。コイル13に接続された図示しないセンサ回路により正弦波の波数をカウントし演算することによって、検出対象14の位置情報を得ることができる。
また従来より、変位に対する検出コイルのインピーダンスの温度変化を簡単な回路で補償できるポジションセンサ(例えば、特許文献1参照)、及び少なくとも一方の面が金属で覆われているストリップ材料の厚さを検出する装置が提案されている。
特開2004−29002号公報 特開平6−50704号公報
上記従来の非接触変位センサ装置では、検出対象14の形状に高い加工精度が要求され、また、センサ11と検出対象14の凹凸面15とのギャップgを一定にするように組み付けなければならず、このため加工・組付けのコストが高くなるという問題があった。また、上記特許文献1に示すものは、温度補償のための回路を必要とし、上記特許文献2に示すものは、変位を検出することはできない。
従って本発明は、小型、安価、単純な構造を有し、検出範囲が広く、かつセンサと検出対象とのギャップ変動にも強い非接触変位センサ装置を提供することを課題とする。
本発明による非接触変位センサ装置は、環状の磁性体からなり環状の一部を切り欠いた開口部を有するコアと、前記コアに巻回されたコイルとからなる検出部と、磁性体からなり、その一部が前記開口部に前記コアに対して所定のギャップを介して挿入可能になされた検出対象と、前記コイルに接続された移動量算出部とを備え、前記検出部と検出対象とは、前記コア、コイル及びギャップと共に磁気回路を形成して相対的に移動するようになされ、前記移動量算出部は、前記コイルの出力信号から前記相対的な移動に応じて変化する前記コイルのインダクタンスを検出し、この検出に基づいて移動量を算出することを特徴とし、さらに、前記検出部を構成する第1の検出部に対して第1の検出対象を備え、前記第1の検出部とは大きさの異なる第2の検出部に対して前記第1の検出対象とは大きさの異なる第2の検出対象を備え、前記移動量演算部は、前記第1、第2の検出部の各コイル出力信号からそれぞれインダクタンスを検出し、この検出に基づいて前記移動量を算出することを特徴とする。
本発明によれば、次の効果を得ることができる。
・検出部と検出対象とのギャップが取り付けや寸法誤差によらず略一定になるため、精度良く移動量の検出を行うことができる。
・可動部が運動方向と直交する方向に変動した場合でもギャップが変わらないため、非検出方向の変動に影響されにくい非接触変位センサ装置を得ることができる。
・検出部と検出対象とが非接触であり、交換を要する部品がないためメンテナンスフリーである。
・部品点数が少ない簡単な構造であり、そのため温度や油などといった外乱の影響を受けにくく、また、小型化低コスト化を実現することができる。特に高温などの特殊環境下において高精度な位置決め制御を行うことができる。
・検出部のコアと検出対象の長さを変えるだけで検出範囲を変えることができる。
・検出部と検出対象を直線状に配置すれば、リニアアクチュエータ可動部の絶対変位を検出することができ、また、検出部と検出対象を扇形にして円弧状に回転させれば、モータ回転軸等の絶対角度を検出することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態による非接触変位センサ装置の構成を示す正面図及び側面図である。
図1において、検出部1はコア2とこのコア2に巻回されたコイル3から成る。コア2は、図示のように長さlの環状(図示では四角形の環状)の磁性体からなり、環状の一部を切り欠いた開口部2aを有する。またコア2の磁路長さをaとする。この検出部1は、図示しないアクチュエータの固定部、例えばアクチュエータのアウターコアやカバー等に固定される。
一方、検出対象4は長さl、幅tの直方体の磁性体からなり、一部がコア2の開口部2aに挿入され、開口部2aの高さbの面に対してδ=δ1+δ2のギャップを介して配置される。この検出対象4はアクチュエータなどの可動部5に固定される。可動部5は図のX軸方向に移動する。また、図1(b)において、コア2の端部から検出対象4の端部までのxを可動部5の移動量とし、0≦x≦lとする。
コイル3にはセンサ回路、演算回路等を含む移動量演算部6が接続されている。この移動量演算部6はコイル3のインダクタンス変化を検出して可動部5の移動量に応じた移動量信号7を出力する。
次に、上記構成による移動量検出の原理を説明する。
真空の透磁率をμ0とし、コア2と検出対象4の透磁率をμとする。漏れ磁束の影響を無視した場合、図1のコア2、コイル3、ギャップδ及び検出対象4で形成される磁気回路のパーミアンスΛは、次式(1)のようにxの1次式で表すことができる。
Λ=〔μ0μbl/{μ(t+δ)+μ0a}〕+〔μ0μb(μ−μ0)t/{μδ+μ0(a+t)}{μ(t+δ)+μ0a}〕・x ・・・・(1)
コイル3のインダクタンスLがパーミアンスΛに比例し、可動部5の移動量xに対して線形となるため、インダクタンスLの変化を検出することにより、移動量xに対して線形なセンサ出力信号(移動量信号7)を得ることができる。また、振動や取付誤差等により検出対象4がY軸方向に動いた場合でも検出対象4を通る磁束の量が変わりにくく、さらにZ軸方向に動いた場合でも、ギャップδ=δ1+δ2が変わらないため、ギャップ変動に強い構成となる。
次に、上記第1の実施の形態の変形例としての第2〜第11の実施の形態について図2〜図9と共に説明する。尚、各図においては、図1及び各図相互に対応する部分には同一番号を付して重複する説明は省略する。また、各検出部1のコイル3に接続される移動量演算部6も図示を省略する。
図2は第2の実施の形態を示すもので、第1の実施の形態では検出部1のコア2と検出対象4の形状が直方体であったが、本実施の形態は図示すように、検出部1のコア2を中空円柱(円筒)形状にしたものである。本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
図3は第3の実施の形態を示すもので、1つの可動部5の上面と下面にそれぞれ検出対象4を設けると共に、各検出対象4に対してそれぞれ検出部1を設けたものである。
上記構成によれば、移動量演算部6において2つのコイル3から得られる2つの出力の差動を取ることにより、温度変化等によるオフセット変化分や外部磁界の影響を相殺することができ、さらに精度を向上することができる。
図4は第4の実施の形態を示すもので、可動部5の1つの検出対象4に対して2つの検出部1を移動方向に配置したものである。
このような構成でも、上記2つのコイル3の差動出力を取ることにより、第3の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
図5は第5の実施の形態を示すもので、検出部1と検出対象4及び可動部5を扇形に形成すると共に、可動部5及び検出対象4をモータ回転軸等の軸7を中心に円弧を描くよう回転させるようにしたものである。
この構成によれば、直線変位ではなく角度検出を行うことができる。図5の場合は、0°〜90°の絶対角度を検出することができる。
図6は第6の実施の形態を示すもので、大きさの異なる検出部と検出対象を、2組以上組合わせて特定位置の分解能を上げるようにしたものである。
図6に示すように、可動部5の上下に小さい検出対象4Aと大きい検出対象4Bを設けると共に、検出対象4Aに対して小さい検出部1Aを設け、検出対象4Bに対して大きい検出部1Bを設けたものである。
上記構成によれば、検出部1A,1Bそれぞれの検出範囲と移動量xに対する出力の大きさを変えることができる。また、検出部1Bの磁束が通る断面積が増え、コイル3に流す電流を大きくすることにより、変位に対する出力の傾きを大きくすることができる。これによって検出対象位置付近での分解能を上げることができる。
また、第7の実施の形態として、検出部1A,1Bを同じ大きさとし、検出対象4A,4Bを同じ大きさとして、各コイル3に接続される移動量演算回路6のゲインを変える、もしくは各コイル3の巻数を変えても、上記第6の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
また、第8の実施の形態として、検出部1Aの両端部にそれぞれ検出部1Bを設けると共に、検出対象4Aの両端部に検出対象4Bをそれぞれ設けることにより、センサのストロークエンドの分解能を上げることができる。
図7は第9の実施の形態を示すもので、複数の検出部と検出対象を組合わせ、出力の立ち上がりを数えて広範囲の検出を行えるようにしたものである。
図7(a)は同じ大きさの3つの検出対象4と、この検出対象4との位相関係が90°異なる同じ大きさの2つの検出部1A,1Bとを組み合わせている。図7(b),(c)に示す検出部1A,1Bの出力を図示しない移動量演算部6で監視し、それぞれのセンサ出力信号の立上がりと立下りを検出する。そして図7(d)に示すようなセンサ出力信号が得られるように演算処理をすることにより、広い範囲に渡って高分解能なセンサを実現することができる。
図8は第10の実施の形態を示すもので、これまでの各実施の形態では図1のように検出対象4の厚さtを一定のものとしていたが、場所によって厚さが異なっても良い。例えば図8のように検出対象4の中心付近に長さl’(<l)、幅t’(>t)の肉厚部4aを設け、検出対象4の厚さが部分的に異なるようにする。この場合、出力波形は図9のようになり、厚さがt’の肉厚部4a部分だけ感度が良いものとなる。
本実施の形態によれば、アクチュエータにより位置制御を行う場合、停止する位置が決まっている場合があり、この部分のみ感度を上げることにより停止位置精度を上げることができる。
また、検出対象の複数箇所の厚さを変えても良い。例えば図9において、検出対象4の両端部を厚さt’の肉厚部とすれば、ストロークエンドの感度を上げることもできる。即ち、停止位置精度を高くしたい部分の厚さを大きくすればよい。
次に、第11の実施の形態は、検出部1のコア2と検出対象4の材料を、ケイ素銅板等の磁性材料を積層したもの、もしくはMn-Zn系, Ni-Zn系, Ni-Cu等のフェライトとしたものである。このような磁性材料を用いることにより、渦電流の影響を減らすことができ、センサの周波数特性を上げることができる。検出部1や検出対象4を積層した薄板で構成した場合は、部品をプレスで製作できるため、量産時に材料費や加工費の削減ができ、低コスト化を実現することができる。
尚、以上の各実施の形態では、検出部1が固定され、検出対象4が移動することにより、変位を検出したが、検出対象4を固定し、検出部1を移動させてもよい。要するに検出部1と検出対象4とが相対的に移動すればよい。
本発明の第1の実施の形態を示す正面図及び側面図である。 本発明の第2の実施の形態を示す正面図及び側面図である。 本発明の第3の実施の形態を示す正面図及び側面図である。 本発明の第4の実施の形態を示す側面図である。 本発明の第5の実施の形態を示す側面図である。 本発明の第6の実施の形態を示す正面図、側面図及び出力特性図である。 本発明の第9の実施の形態を示す側面図及び出力特性図である。 本発明の第10の実施の形態を示す正面図及び側面図である。 第10の実施の形態による出力特性図である。 従来の非接触変位センサ装置の正面図及び側面図である。
符号の説明
1,1A,1B 検出部
2 コア
3 コイル
4,4A,4B 検出対象
4a 肉厚部
5 可動部
6 移動量演算回路
7 軸


Claims (9)

  1. 環状の磁性体からなり環状の一部を切り欠いた開口部を有するコアと、前記コアに巻回されたコイルとからなる検出部と、
    磁性体からなり、その一部が前記開口部に前記コアに対して所定のギャップを介して挿入可能になされた検出対象と、
    前記コイルに接続された移動量算出部とを備え、
    前記検出部と検出対象とは、前記コア、コイル及びギャップと共に磁気回路を形成して相対的に移動するようになされ、
    前記移動量算出部は、前記コイルの出力信号から前記相対的な移動に応じて変化する前記コイルのインダクタンスを検出し、この検出に基づいて移動量を算出し、
    前記検出部を構成する第1の検出部に対して第1の検出対象を備え、前記第1の検出部とは大きさの異なる第2の検出部に対して前記第1の検出対象とは大きさの異なる第2の検出対象を備え、
    前記移動量演算部は、前記第1、第2の検出部の各コイル出力信号からそれぞれインダクタンスを検出し、この検出に基づいて前記移動量を算出することを特徴とする非接触変位センサ装置。
  2. 1つの検出対象に対して複数の検出部を備え、前記移動量演算部は、前記複数の検出部の各コイル出力信号からそれぞれインダクタンスを検出し、この検出に基づいて前記移動量を算出することを特徴とする請求項1記載の非接触変位センサ装置。
  3. 1つ以上の検出対象に対して複数の検出部を備え、前記移動量演算部は、前記複数の検出部の各コイル出力信号の立上がりと立下りを検出し、この検出に基づいて前記移動量を算出することを特徴とする請求項1記載の非接触変位センサ装置。
  4. 前記第1の検出部の両端に前記第2の検出部を設け、前記第2の検出対象の両端に前記第1の検出対象を設けたことを特徴とする請求項1記載の非接触変位センサ装置。
  5. 前記移動量演算部は、前記複数の検出部に対する回路ゲインがそれぞれ異なることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の非接触変位センサ装置。
  6. 前記複数の検出部のコイル巻数がそれぞれ異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の非接触変位センサ装置。
  7. 前記検出対象は、前記相対移動により前記ギャップが変化するように局所的に厚さが1箇所以上異なることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の非接触変位センサ装置。
  8. 前記検出部のコアと前記検出対象を、ケイ素鋼板等の磁性材料を積層したもの、もしくはMn-Zn系, Ni-Zn系, Ni-Cu系などのフェライトで構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の非接触変位センサ装置。
  9. 前記検出部は固定部に固定され、前記検出対象は可動部に固定されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の非接触変位センサ装置。
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